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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0304-1996 

大気中の二酸化炭素測定方法 

Methods for determination of carbon dioxide in air 

1. 適用範囲 この規格は,大気中の二酸化炭素濃度を,高精度に測定する方法について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を付表1に示す。 

2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 共通事項 この規格について共通する一般事項は,JIS K 0055,JIS K 0114,JIS K 0151,JIS K 0211,

JIS K 0213,JIS Z 8103による。 

3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0042によるもののほか,次のとおりとする。 

(1) 直接採取方法 あらかじめ真空にした捕集容器に大気を直接採取する方法。 

(2) ガス置換採取方法 捕集容器内を大気で置換して採取する方法。 

(3) 二酸化炭素混合ガス 二酸化炭素と空気の混合ガス。 

(4) 比較流通形赤外線ガス分析計 JIS K 0151の非分散形赤外線ガス分析計の比較セルに比較ガスが流通

できる構造のもの。 

4. 測定方法の種類 測定方法は,非分散形赤外線ガス分析計法とガスクロマトグラフ法の2種類とする。 

5. 試料ガス採取方法 

5.1 

連続採取による場合 

5.1.1 

装置の構成 装置は,図1に例示するように採取管,一次フィルタ,二次フィルタ,一次除湿器,

吸引加圧ポンプ,背圧調整器,二次除湿器,三次除湿器,流量調整器などで構成する。 

図1 試料ガス採取装置(一例) 

(1) 採取管 採取管は,次のとおりとする。 

K 0304-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 採取管の構造は,試料ガスの流量,機械的強度,掃除のしやすさなどを考慮する。 

(b) 採取管の先端の形状は,ダスト,雨水などの混入が少ない構造にする。 

(c) 試料ガス中にダストなどが混入することを防ぐため,採取管の適当な位置にろ過材を入れる。 

(2) 導管 導管は,次のとおりとする。 

(a) 導管の内径は,導管の長さ,吸引ガス量,凝縮水による目詰まり,吸引加圧ポンプの能力などを考

慮して決める。 

(b) 試料ガス中の水分が,導管中で凝縮又は凝縮水が導管中で凍結することを避けるため,導管の保温

又は加熱を行う。 

(c) 導管の材質は,大気の浸透及び大気との交換が少ないものを選択する。 

参考 導管には,ステンレス鋼,アルミニウム合金とポリエチレンをはり合わせたものなどが用いら

れている。 

(3) フィルタ 試料ガス中にダスト及びミストが混入することを防ぐため,採取管と一次除湿器の間の適

当な位置にフィルタを付ける。 

備考 一次フィルタには,40〜50 μm程度,二次フィルタには2〜10 μm程度の孔径のステンレス鋼製

のものを用いる。 

(4) 一次除湿器 

(a) 除湿器 試料ガス中の水分が凝縮しない程度にガスの除湿を行うもので,JIS K 0095 4.9(前処理部)

の電子冷却式又は半透膜式とする。 

(b) 気液分離器 冷却除湿を行うとき,凝縮水を試料ガスから分離するために除湿器の下流に接続する

もので,JIS K 0095 4.9の気液分離管及び凝縮水トラップからなる。 

(5) 吸引加圧ポンプ 分析計の応答を迅速にするため,二次除湿器直前のバイパス部まで試料ガスを大量

に送ることのできるもので,試料ガスに接触する部分には,試料ガス成分に対して不活性であり,か

つ,試料ガスの汚染源とならないような材料を用いる。 

(6) 背圧調整器 分析計に通じる流路側(一次側)の圧力を一定に保つためのもので,試料ガスに接触す

る部分には,試料ガス成分に対して不活性であり,かつ,試料ガスの汚染源とならないような材料を

用いる。 

(7) 二次除湿器 露点−30 ℃程度にガスの除湿を行うもので,例えばJIS K 0095 4.9の電子冷却式又は半

透膜式がある。 

参考 電子冷却式を用いる場合は,水分の凝縮(氷結)による流路の目詰まりを防ぐため,2系列式

の加熱パージ可能なものが用いられている。 

(8) 三次除湿器 露点−40〜−80 ℃にガスの除湿を行うもので,例えばエタノール冷媒を用いた冷凍除湿

器又は過塩素酸マグネシウムなどの乾燥剤を充てんした水分除去管がある。 

(9) 流量調節器 分析計に導入する試料ガスの流量を調節するためのもので,ニードル弁,毛細管などを

用いる。 

5.1.2 

採取方法 試料ガス採取装置の背圧調整器で試料ガスの圧力を,流量調節器で流量をそれぞれ調節

し,分析計の試料ガス入口に接続する。 

5.2 

捕集容器による場合 

5.2.1 

捕集容器 捕集容器の材質は,ステンレス鋼又はガラスとし,捕集する大気中の二酸化炭素濃度が

変化しないように内面処理を施したものを用いる。図2に捕集容器(例)を示す。 

参考 捕集容器の内容積は,0.5〜5 l程度のものが用いられている。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

また,ガラス製捕集容器には,通常Pyrex又はDuran系ガラスが用いられている。 

図2 捕集容器(例) 

5.2.2 

捕集容器の前処理 加熱真空排気を行い,排気終了後350 volppm程度の二酸化炭素混合ガスを,

大気圧より若干高めの圧力で充てんし放置する。加熱真空排気の条件(例)を表1に示す。 

表1 加熱真空排気の条件(例) 

加熱温度 

150℃ 

真空度 

1.3Pa {1×10-2 Torr} 

処理時間 

3時間 

5.2.3 

採取方法 試料ガス採取装置(例)を図3に示す。 

図3 試料ガス採取装置(例) 

(1) 水分除去管 試料ガス中の水分を除去するためのもので,過塩素酸マグネシウムなどの乾燥剤が充て

んされたもの。. 

(2) 直接採取方法 

(a) 試料採取前に捕集容器を真空ポンプなどで1.3Pa {1×10-2Torr} 程度まで真空排気を行う。 

(b) 図3(a)に示すように,採取管,水分除去管及び捕集容器を接続する。 

(c) 採取者の呼気の影響を受けないように注意して,捕集容器の入口バルブを開けて大気を採取する。 

(d) 捕集容器の入口バルブを閉める。 

(3) ガス置換採取方法(大気圧) 

(a) 図3(b)に示すように,採取管,水分除去管,捕集容器及び吸引ポンプを接続する。 

(b) 捕集容器の入口及び出口バルブを開き,吸引ポンプを作動し,捕集容器内を大気で十分置換する。 

(c) 採取者の呼気の影響を受けないように注意して,大気を採取する。 

(d) 捕集容器の出口及び入口バルブを閉める。 

(4) ガス置換採取方法(加圧) 

(a) 図3(c)に示すように,採取管,水分除去管,吸引加圧ポンプ及び捕集容器を接続する。 

(b) 捕集容器の入口及び出口バルブを開き,吸引加圧ポンプを作動し,捕集容器内を大気で十分置換す

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る。 

(c) 捕集容器の出口バルブを閉め,大気を加圧 (0.2〜0.3MPa) 送入後,入口バルブを閉める。 

6. 測定方法 

6.1 

非分散形赤外線ガス分析法 

6.1.1 

分析計 図4に示す光源,回転セクタ,試料セル,比較セル,検出器,増幅器及びデータ処理部で

構成する比較流通形赤外線ガス分析計(一例)による。 

備考 試料セル,比較セル,光源,回転セクタ及び検出器(図4の点線内)は,光束の通路に当たり,

周囲空気の二酸化炭素や水蒸気などの濃度変動が測定値に影響するため,比較セルを通過した

比較ガスを,これらの収納された箱の内部に放出するなどの措置を行う必要がある。 

図4 分析計の構成(一例) 

6.1.2 

ガスの種類 ガスの種類は,次のとおりとする。 

(1) 校正用ガス JIS K 0042に規定する高精度二酸化炭素標準ガスで,通常330,340,350,360 volppm

程度のものを用いる。 

(2) 比較ガス 比較ガスは,通常300〜330 volppm程度の二酸化炭素混合ガスを用いる。 

6.1.3 

測定装置の構成 

(1) 連続分析による場合 図1の試料ガス採取装置と図4の分析計を接続する。 

(2) 捕集容器による場合 校正用ガス及び吸引加圧ポンプを接続した捕集容器を5.1.1(8)の三次除湿器を

介して分析計に接続する。 

6.1.4 

校正及び測定 

(1) 比較ガス又は用意した校正用ガスの濃度が一番低いものを,分析計に定められた流量で導入し,指示

が安定した後,ゼロ調整を行う(例 330 volppm)。 

(2) 校正用ガスの濃度が一番高いものを,分析計に定められた流量で導入し,指示が安定した後,スパン

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調整を行う(例 360 volppm)。 

(3) 6.1.2(1)の4本の校正用ガスを用いて,JIS K 0055の4.(校正)に従って,校正曲線(1)を作成する(例 

330,340,350,360 volppm)。 

注(1) 4本の校正用ガス濃度と指示値の関係から,校正曲線を求める。 

(4) 試料ガスを分析計に定められた流量で導入し,指示が安定した後,その値を読み取り,(3)で求めた校

正曲線から試料ガス中の二酸化炭素濃度を求める。 

6.1.5 

結果の表示 結果の表示は,次のとおりとする。 

二酸化炭素濃度 (volppm) は,小数点以下3けた目まで求め,JIS Z 8401に従い,小数点以下2けたに

丸めて表示する。 

6.2 

ガスクロマトグラフ法 

6.2.1 

ガスクロマトグラフ JIS K 0114の3.に規定するもので,次による。 

(1) 検出器 水素炎イオン化検出器 

(2) カラム用管 内面をよく洗浄した内径2〜4 mm,長さ3〜5 mのステンレス鋼管 

(3) 充てん剤 ポーラスポリマー(粒径範囲 149〜177 μm) 

参考 ポーラスポリマーには,市販品としてポラパックQなどがある。 

(4) メタン化反応装置 カラムで分離された二酸化炭素を還元触媒管(2)によってメタンに変換するための

装置。 

注(2) 還元触媒は,内径3〜4 mm,長さ200〜250 mmのステンレス鋼製の管にニッケル触媒を均一に

充てんし,水素雰囲気中で450 ℃に加熱して用いる。 

(5) 付属装置 自動試料導入装置,データ処理装置など。 

6.2.2 

ガスの種類 ガスの種類は,次のとおりとする。 

(1) 校正用ガス 6.1.2(1)と同じ。 

(2) キャリヤーガス,燃料ガス及び助燃ガス JIS K 0114の4.による。 

6.2.3 

測定装置の構成 

(1) 連続分析による場合 図1の試料ガス採取装置と6.2.1のガスクロマトグラフを接続する。 

(2) 捕集容器による場合 校正用ガス及び捕集容器を5.1.1(8)の三次除湿器を介して6.2.1のガスクロマト

グラフに接続する。 

6.2.4 

校正及び測定 

(1) ガスクロマトグラフを次の条件に設定し,指示が安定した後,ゼロ調整を行う。 

(a) カラム槽温度 40〜70 ℃ 

(b) キャリヤーガス流量 25〜50 ml/min 

(2) 6.2.2 (1)の4本の校正用ガスの一定量 (1〜5 mλ) を自動試料導入装置を用いて順次ガスクロマトグラ

フに導入し,ピーク面積を求め,4本の校正用ガス濃度とピーク面積の関係から,校正曲線を求める

(例 330,340,350,360 volppm)。 

(3) 試料ガスの一定量 (1〜5 ml) を自動試料導入装置を用いてガスクロマトグラフに導入し,ピーク面積

を求め,(1)で求めた校正曲線から試料ガス中の二酸化炭素濃度を求める。 

6.2.5 

結果の表示 結果の表示は,次のとおりとする。 

二酸化炭素濃度 (volppm) は,小数点以下2けた目まで求め,JIS Z 8401に従い,小数点以下1けたに

丸めて表示する。 

K 0304-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7. 測定結果の記録 測定結果として記録する事項は,次のとおりとする。 

(1) 測定値 

(2) 分析方法 

(3) 試料ガスの採取方法 

(4) 試料ガスの採取日時及び場所 

(5) その他必要な事項 

付表1 引用規格 

JIS K 0042 高精度二酸化炭素標準ガス 

JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則 

JIS K 0095 排ガス試料採取方法 

JIS K 0114 スクロマトグラフ分析通則 

JIS K 0151 赤外線ガス分析計 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門) 

JIS Z 8103 計測用語 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

大気中の二酸化炭素測定方法日本工業規格新規原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

荒 木   峻 

東京都立大学名誉教授 

○ 地 崎   修 

工業技術院標準部 

津 田   博 

通商産業省計量行政室 

◎ 指 宿 堯 嗣 

工業技術院資源環境技術総合研究所 

○ 内 川 恵三郎 

工業技術院計量研究所 

○ 加 藤 健 次 

工業技術院物質工学工業技術研究所 

○ 平 野 耕一郎 

横浜市環境科学研究所 

川 村 周 三 

社団法人日本電気計測器工業会(横河電気株式会社) 

○ 中 田   章 

社団法人日本分析機器工業会(株式会社島津製作所) 

○ 三 笠   元 

株式会社堀場製作所 

○ 奈 島 伴 治 

特殊ガス工業会(住友精化株式会社) 

宮 崎 雅 嗣 

大陽酸素株式会社 

○ 宇都宮 良 明 

日本酸素株式会社 

早 瀬 敏 克 

高千穂化学工業株式会社 

○ 加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

○ 飯 島 弘 淳 

財団法人化学品検査協会 

(事務局) 

野 村 杉 哉 

財団法人化学品検査協会 

備考 ◎印は,分科会長も兼ねる。○印は,分科委員も兼ねる。