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K 0163:2010 (ISO 18114:2003) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 量記号及び略語 ················································································································ 2 

5 原理······························································································································· 2 

6 装置······························································································································· 2 

7 イオン注入標準物質 ·········································································································· 3 

8 手順······························································································································· 3 

9 報告······························································································································· 3 

K 0163:2010 (ISO 18114:2003) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標

準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業

大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0163:2010 

(ISO 18114:2003) 

表面化学分析−二次イオン質量分析法− 

イオン注入標準物質を用いた相対感度係数の 

決定方法 

Surface chemical analysis-Secondary-ion mass spectrometry- 

Determination of relative sensitivity factors from 

 ion-implanted reference materials 

序文 

この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 18114を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。 

二次イオン質量分析計を用いて注目する元素の濃度を校正する場合は,一般的にイオン注入標準物質が

用いられる。この規格は,特定のマトリックス材料中に存在する特定元素の1同位体を対象とした相対感

度係数を決定するための共通の分析方法と,同じ種類の材料で構成された異なる試料中におけるその元素

の1同位体の濃度を決定する方法を提供する。 

適用範囲 

この規格は,イオン注入標準物質を用いて,二次イオン質量分析法(以下,SIMSという。)による特定

のマトリックス材料中に存在する,特定元素の1同位体の相対感度係数(以下,同位体相対感度係数とい

う。)を決定する方法について規定する。この方法は,均一な化学組成をもつマトリックス材料中に,イオ

ン注入した元素のピーク濃度が1 %を超えない場合に適用可能である。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 18114:2003,Surface chemical analysis−Secondary-ion mass spectrometry−Determination of 

relative sensitivity factors from ion-implanted reference materials(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0147 表面化学分析−用語 

注記 対応国際規格:ISO 18115,Surface chemical analysis−Vocabulary(IDT) 

K 0163:2010 (ISO 18114:2003) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0147による。 

量記号及び略語 

この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。 

CiA,M 

j

A

iI 

k

M

iI

k

M

I

IBG 

j

A

Φ 

k

jM

,

A

RSF

SIMS 

:マトリックス材料M中の分析対象元素Aの,深さ方向分布の測定サイクルi番目における原

子濃度(原子数/cm3) 

:深さ方向分布においてイオン強度を積算する深さ(μm又はnm) 

:測定サイクルi番目において検出した,分析対象元素の同位体Ajのイオン強度(カウント/s) 

:測定サイクルi番目において検出した,参照元素の同位体Mkのイオン強度(カウント/s) 

:イオン強度が一定であるとみなせる場合における参照元素の同位体Mkのイオン強度(カウ 

ント/s) 

:分析対象元素の同位体Ajのバックグラウンド信号の平均強度(カウント/s) 

:測定試料中における分析対象元素の同位体Ajの同位体存在比 

:深さ方向分布においてイオン強度を積算する測定サイクル数 

:分析対象元素の同位体Ajのイオン注入量(原子数/cm3) 

:参照元素の同位体Mkに対する分析対象元素の同位体Ajの同位体相対感度係数 

:二次イオン質量分析法 

注記 参照元素とは,マトリックス材料を構成する元素又はイオンビームに含まれる元素であって,

どの試料からも等しい強度の二次イオンが得られることが期待されるものである(例えば,シ

リコン中の“Si”,酸素イオンビームの“O”)。 

原理 

特定のマトリックス材料,及び特定の分析対象元素の組合せにおける分析対象元素の同位体の相対感度

係数は,イオン注入標準物質のSIMSによって深さ方向分布から求める。この相対感度係数は,マトリッ

クス材料と同一の材料で構成された試料中における,同一の分析対象元素の濃度を定量するために用いる

ことができる。濃度は,式 (1) によって計算する。 

N

I

I

C

i

i

i

j

k

j

k

j

A

M

A

M

,

A

M

A,

RSF

×

×

=

 ·································································· (1) 

この計算式は,分析対象元素のイオン強度が濃度に比例する場合にだけ適用する。実際に,この比例関

係が成り立つ分析対象元素の濃度は,1 %が上限と考えられる。イオン注入標準物質及び測定試料の分析

に使用する装置,並びに測定条件は同一にしなければならない。 

装置  

この規格で示す測定方法は,深さ方向分布を取得できる二次イオン質量分析計によって得られる測定結

果から,

k

jM

,

A

RSF

を決定する場合に用いることができる。最も優れた深さ方向分布の分析結果を得るため,

測定者は装置製造業者が提供する作業手順書又は装置担当者が作成した手順書に従い装置条件を決定しな

ければならない。 

K 0163:2010 (ISO 18114:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

イオン注入標準物質 

この測定法によるイオン注入標準物質中における分析対象元素のピーク濃度は1 %以下で,しかも二次

イオン質量分析計で測定した場合における分析対象元素の同位体のイオン強度は,バックグラウンド又は

検出限界よりも100倍以上大きくなければならない。イオン注入標準物質中における分析対象元素の深さ

方向分布のピーク深さは,参照元素のイオン強度が一定値になる深さ,すなわちスパッタリングの定常状

態が始まる深さよりも少なくとも2倍以上深くなければならない。イオン注入標準物質には,認証標準物

質,又は認証標準物質で校正された二次標準物質を用いなければならない。もし,認証標準物質が利用で

きない場合には,ラザフォード後方散乱分析法又は核反応分析法のような別の分析手法によってイオン注

入量を測定した標準物質を用いなければならない。 

手順 

イオン注入標準物質を用い,深さ方向分布の各測定サイクルiにおける

j

A

iI及び

k

M

iI

を求める。

k

jM

,

A

RSF

は,式 (2) によって計算する。 

(

)

n

i

i

i

d

I

I

I

n

Φ

1

k

M

BG

j

A

k

M

,j

A

RSF

 ················································ (2) 

深さdは,各測定サイクルに対してスパッタリングされる深さが一定であるとの仮定のもとに,深さ方

向分布を測定した試料中のスパッタクレータを,校正された触針式表面粗さ測定機によって測定する。  

もし,参照元素のイオン強度の変動が許容レベル以下であれば,その強度は一定であるとみなし,その

強度

k

M

I

は深さ方向分布の中で1回だけ測定すればよい。この場合,

k

jM

,

A

RSF

は,式 (3) によって計算す

る。 

(

)

n

i

i

d

I

I

I

n

Φ

1

BG

j

A

k

M

k

M

,j

A

RSF

 ··························································· (3)  

報告 

同位体相対感度係数をこの手順によって決定したときは,次の情報を記録しなければならない。 

a) 同位体相対感度係数 

b) 使用した二次イオン質量分析計の形式 

c) 一次イオンビームの種類及びエネルギー 

d) 二次イオンの種類,質量数及び極性 

e) 参照イオンの種類及び質量数 

f) 

高質量分解能条件,エネルギー分別条件など,特別な分析計の条件 

g) 試料表面への酸素吹き付けなど,特別な分析条件