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K 0162

:2010

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

1

4

  記号及び略語

1

5

  装置性能を示す主要な項目の記載方法

2

5.1

  分析手法

2

5.2

  試料

2

5.3

  構成及び配置

2

5.4

  線源

2

5.5

  装置の光電子信号強度特性及びエネルギー分解能

2

5.6

  装置のエネルギー軸

2

5.7

  装置の強度軸の直線性

3

5.8

  装置の応答関数

3

5.9

  イメージング及び制限視野の分解能

3

5.10

  帯電中和

5

5.11

  角度分解 XPS

5

5.12

  真空環境

5

5.13

  主要項目の記載事例

5

附属書 JA(参考)主要項目の記載事例

6

附属書 JB(参考)JIS と対応国際規格との対比表

8


K 0162

:2010

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標

準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業

大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


日本工業規格

JIS

 K

0162

:2010

表面化学分析−X 線光電子分光法−

装置性能を示す主要な項目の記載方法

Surface chemical analysis-X-ray photoelectron spectroscopy-

Description of selected instrumental performance parameters

序文

この規格は,2004 年に第 1 版として発行された ISO 15470 を基に,対応する部分については対応国際規

格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定され

ていない規定項目を日本工業規格として追加している。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。変更の一覧表に

その説明を付けて,

附属書 JB に示す。

1

適用範囲

この規格は,X 線光電子分光器(以下,装置という。

)の性能項目を記載する方法について規定する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 15470:2004

, Surface chemical analysis− X-ray photoelectron spectroscopy− Description of

selected instrumental performance parameters(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0147

  表面化学分析−用語

注記  対応国際規格:ISO 18115,Surface chemical analysis−Vocabulary(IDT)

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0147 による。

4

記号及び略語

この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。

FWHM (full width at half maximum)

:半値幅

XPS [X-ray photoelectron spectroscopy (also X-ray photoelectron spectrometer)]

:X 線光電子分光法(又は X

線光電子分光器)


2

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5

装置性能を示す主要な項目の記載方法

5.1

分析手法

試料から情報を得る方法に関する事項を記載しなければならない。また,検討している装置におけるオ

プションとしての他の分析手法に対する有効性も記載しなければならない。

5.2

試料

装置の性能に適した試料の寸法及び形状を記載しなければならない。例えば,角度分解測定,絶縁物測

定などの特別な分析モードにすることによって,試料の寸法及び形状が制限される場合には,その試料の

寸法及び形状を記載しなければならない。

5.3

構成及び配置

分析に重要な装置の構成部品(コンポーネント)について,設計上の幾何学的配置及びそれらの許容範

囲について記載しなければならない(

例参照)。

例  角度 30°±1°

5.4

X

線源

5.4.1

アノード材料

X 線源のアノード材料を記載する。不純 X 線のエネルギー値及び相対強度も記載する。

5.4.2

アノード電力

最大アノード電力は,フィラメント及びアノード間の電位差,並びにそのときのフィラメントからの最

大エミッション電流値によって規定する。これらの値は,装置の測定モードごとに記載しなければならな

い。

なお,分析面積は,次によって定義する。

a)

ラージエリア

b)

モノクロメータで定義する面積

c)

高エネルギー分解能又は他の関連する測定モード

5.4.3

アノード寿命

5.4.2

による操作条件での X 線アノードの予想寿命値を記載する。通常,この値は保証寿命値であるが,

その代わりに平均寿命実績値,又は 5.4.2 で規定した装置オペレーティングモードにおける,使用時間と

性能との相関を図示したものでもよい。ただし,記載した寿命の定義を記載する。

5.5

装置の光電子信号強度特性及びエネルギー分解能

装置のエネルギー分解能は,Ag 3d

5/2

ピークの FWHM で規定する。ただし,測定に用いる銀薄片は,表

面汚染物質に起因するピーク強度が Ag 3d

5/2

のピーク強度の 5 %以下になるまで,イオンスパッタリング

によるか,又はこすり取ることで清浄化する。Ag 3d

5/2

ピークの高さ及び FWHM は,5.4.2 で規定したすべ

ての操作条件に対して提示しなければならない。ただし,ピークの高さ及び FWHM は,ピーク位置の前

後 3 eV のエネルギー位置の信号強度を結ぶように引いた直線バックグラウンドを除去した後に求める。必

要に応じて,エネルギー分解能と強度とのデータをこれ以外の条件で提示してもよい。必す(須)ではな

いが,所定の暖機運転後,10 分間及び 1 時間に生じるエネルギー分解能及び光電子信号強度特性の経時変

化を具体的に記載することが望ましい。

5.6

装置のエネルギー軸

装置の取扱説明書に記載している手順によって,分析位置を調整した試料で測定した Cu 2p

3/2

ピーク位

置における結合エネルギーの標準偏差で表す繰返し性を,

すべての X 線源について与えなければならない。

装置が Cu 2p

3/2

及び Au 4f

7/2

ピークで校正された場合は,Ag 3d

5/2

ピーク位置における結合エネルギーの誤


3

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差を記載しなければならない。結合エネルギー軸校正の時間経過に対する正確さは,Cu 2p

3/2

又は Au 4f

7/2

ピークのエネルギー位置で記載しなければならない。

注記  装置の結合エネルギー軸の校正法は,JIS K 0145 に規定している。

5.7

装置の強度軸の直線性

実用的な測定条件範囲における最大計数率,及び計数率の直線性として定義された制限値(例えば,±

2 %)における最大計数率を記載する。

5.8

装置の応答関数

5.4.2

に規定した装置の測定モードに関連して定まっている装置の応答関数,又はそのエネルギー依存性

を記載しなければならない。また,時間に依存した変化が無視できる条件及びその範囲についても記載し

なければならない。

5.9

イメージング及び制限視野の分解能

5.9.1

一般

イメージングシステム及び制限視野システムは同等と扱う。空間分解能の測定は,5.9.25.9.4 に規定す

る手法のいずれかを用いて測定する。

5.9.2

手法 1

イメージングシステムの場合,試料が,装置のもつ空間分解能の 30 %より小さい,孤立した特徴的な構

造をしているときに適用する方法。その構造物からの光電子信号強度による線分析から評価される FWHM

を空間分解能とする。制限視野システムの場合,このような小さな構造をもつ試料を,マイクロメータ試

料ステージを用いて,測定領域を横切らせてもよい。この場合,特徴付ける信号が,最大値の 50 %∼100 %

に上昇し,再度 50 %に減少するまでの距離を空間分解能とする(

図 参照)。

図 1−空間分解能の概念図

注記 1  孤立した特徴的な構造の幅が空間分解能の 30 %より大きい場合は,評価される分解能は,真

の空間分解能より大きくなる。


4

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注記 2  空間分解能がガウス形分解能関数で表されるならば,空間分解能関数の FWHM は,強度が

12 %∼88 %の変化に対応する幅と一致する。微細な試料を使うことで,装置の非点収差を調

べることができる。

注記 3  空間分解能は,エネルギー依存性をもつ場合がある。適切な大きさの金上の銅ドット及び銅

上の金ドットを試料として使用することによって,エネルギー軸の両端における分解能を決

定することが可能である。

5.9.3

手法 2

イメージングシステムの場合,二つの物質が,同一平面上で共通の直線に沿って接した試料に適用する

方法。二つの物質のうちの一つを特徴付ける光電子を対象として,線分析を境界に垂直に行うことで空間

分解能が得られる。制限視野システムの場合,試料は,マイクロメータ試料ステージを用いて,測定領域

を境界に垂直に横切らせてもよい。両方のシステムについて,光電子信号強度が,プラトー部[平たん(坦)

部]とエッジ外側部分との信号強度変化量の 12 %∼88 %の変化に対応する距離を,走査方向での空間分解

能とする(

図 参照)。

図 2−空間分解能の概念図

注記 1  空間分解能がガウス形分解能関数で表されるならば,空間分解能関数の FWHM は,強度が

12 %∼88 %の変化に対応する幅と一致する。

注記 2  分解能の限界に近づくと非点収差が見られる場合がある。その場合には,複数の方位で空間

分解能を決定する必要があるときもある。

注記 3  空間分解能はエネルギーによって異なっていることがある。銅及び金から成る試料を使用す

ることによって,エネルギー軸の両端における分解能を決定することが可能である。

5.9.4

手法 3

試料面で一つの物質がナイフエッジを形成している場合に適用する方法。直径の 5 倍以上の深さの穴上

にエッジがあることが条件となる。ナイフエッジを特徴付ける光電子強度をエッジに垂直方向に線分析す

ることで空間分解能が得られる。光電子信号強度が,プラトー部とエッジ外側部分との信号強度変化量の

12 %∼88 %の変化に対応する距離を,走査方向での空間分解能とする(図 参照)。


5

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図 3−空間分解能の概念図

注記 1  空間分解能がガウス形分解能関数で表されるならば,空間分解能関数の FWHM は,強度が

12 %∼88 %の変化に対応する幅と一致する。

注記 2  分解能の限界に近付くと非点収差が見られる場合がある。その場合には,複数の方位で空間

分解能を決定する必要があるときもある。

5.10

帯電中和

絶縁物試料を XPS によって測定する際に,対象装置で適用可能な帯電中和方法について記載する。帯電

中和の有効性を示すために,ポリエチレンテレフタレートに存在する三つの C 1s 光電子ピークのピークエ

ネルギー値及びピーク幅(FWHM)を,X 線源と装置の操作条件(5.4.2 と同様)と共に記載しなければな

らない。

5.11

角度分解 XPS

通常,試料マニピュレータは,試料垂線がエネルギー分析器の軸方向に沿って角度が定義できるように

配置されている。このように定義される角度の範囲及び精度は,試料垂線の回転方向の方位角方向の分析

器の取込み角度と共に規定しなければならない。

5.12

真空環境

規定された温度で 12 時間ベーキングした後,24 時間経過後のベースプレッシャ又は規定したベースプ

レッシャに到達する時間を記載する。また,規定された真空度で分析するために,必要な試料導入時間の

記載もしなければならない。

5.13

主要項目の記載事例

この規格で規定する記載事項の例を,

附属書 JA に示す。


6

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附属書 JA

参考)

主要項目の記載事例

この附属書は,この規格が規定する主要項目の記載例であって,規定の一部ではない。

JA.1

記載例

主要項目の記載例を,次に示す。

XPS

XPS  HE-1ESCA

に関する主要項目表(JIS K 0162 に準拠)

20XX 年    月    日

○○○株式会社

1

分析手法

試料表面に軟 X 線を照射することで,物質表面領域からの光電子を検出し,組成・化学状態など

に関する知見を得る手法。

2

試料

15×15×8 mm

3

以下

3

構成及び配置

X 線源:試料台水平面に垂直方向から 55°±1°

分析器:試料台水平面に垂直

中和銃:試料台水平面に垂直方向から 15°±5°

4

X

線源

4.1

アノード材料

Al  不純 X 線:Cr Kα<  (1/1 000) Al Kα

4.2

アノード電力

a)

ラージエリア      20 kV,3 mA

b)

微小面積          15 kV,5 mA[@ 20 μm

 a)

4.3

アノード寿命

10 000  時間(経験値)

5

分光器の光電子信号強度特性及びエネルギー分解能

Ag 3d

5/2

  で  [@ 20 μm

 a)

FWHM ( eV )       0.4  0.8   1.0   1.2   1.5

強度 ( 10 Kcps )    2.5  6.3  10.0  15.8  25.0

6

分光器のエネルギー軸

X 線    20 kV    5 mA    [@ 20 μm

 a)

Cu 2p

3/2

  のピーク位置繰返し偏差:0.08 eV

Cu 2p

3/2

 Au 4f

7/2

  で校正した Ag 3d

5/2

:367.9±0.02 eV

Cu 2p

3/2

:ΔE  <  0.12 eV /  月


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Au 4f

7/2

:ΔE  <  0.14 eV /月

7

分光器の強度軸の直線性

1 000 Kcps で±1 %

8

分光器の応答関数

9

イメージングの分解能

Cu  メッシュのナイフエッジで評価

8.5 μm (12 %∼88 %)

10

帯電中和

X 線  20 kV    5 mA  [@ 20 μm

 a)

C 1s  #1   285.03 eV      1.10 eV

C 1s  #2   286.54 eV      1.11 eV

C 1s  #3   288.97 eV      0.95 eV

11

角度分解 XPS

測定可能角度  試料表面垂直から  −30°∼+45°

角度精度  ±1°

取込み角度  ±10°

12

真空環境

150  ℃ 12 時間ベーキング後,24 時間冷却で  1×10

8

 Pa 以下

a)

 @

20

μm は,20 μm の条件での値を示す。

参考文献  JIS K 0145  表面化学分析−X 線光電子分光装置−エネルギー軸目盛の校正

注記  対応国際規格:ISO 15472,Surface chemical analysis−X-ray photoelectron spectrometers

−Calibration of energy scales(IDT)


附属書 JB

参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS K 0162:2010

表面化学分析−X 線光電子分光法−装置性能を示す主要な項目の

記載方法

ISO 15470:2004  Surface chemical analysis

−X-ray photoelectron spectroscopy−

Description of selected instrumental performance parameters

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号
及び題名

内容

(Ⅱ) 
国際規格

番号

箇条番号

内容

箇 条 ご と
の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

5.6  装置
のエネル
ギー軸

装置の取扱説明書

5.6

手順書

一致

題名の変更であり,技術的差違
はない。

5.9.2 
図 1

空 間 分 解 能 の 概 念

追加

明りょう化のための追加で,技
術的差異はない。

5.9.3 
図 2

空 間 分 解 能 の 概 念

追加

明りょう化のための追加で,技
術的差異はない。

5.9.4 
図 3 

空 間 分 解 能 の 概 念

追加

明りょう化のための追加で,技
術的差異はない。

附属書 JA

(参考)

追加

参考として記載事例を追加。

技術的差異はない。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 15470:2004,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  一致……………… 技術的差異がない。 
    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

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