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K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  原理

2

4

  装置

2

4.1

  グロー放電発光分光分析装置

2

4.2

  必要とする装置性能

3

5

  試料の採取及び調製

4

6

  手順

4

6.1

  分析線の選択

4

6.2

  グロー放電発光分光分析装置の最適化

5

6.3

  検量線の作成(calibration

8

6.4

  検量線の妥当性確認(validation

10

6.5

  検量線の検証(verification)及びドリフト補正

11

6.6

  未知試料の分析

12

7

  結果の表記

12

7.1

  定量深さ分布

12

7.2

  単位面積当たりのめっき質量の定量

12

7.3

  各元素の平均質量分率の定量

13

8

  精度

13

9

  試験報告書

14

附属書 A(規定)検量線定数の算出及び深さ方向分布の定量化

15

附属書 B(参考)元素ごとに使用できるスペクトル線の例

22

附属書 C(規定)単位面積当たりのめっき質量の定量方法

23

附属書 D(規定)共同実験に関する追加情報

27


K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準

原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大

臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


日本工業規格

JIS

 K

0150

:2009

(ISO 16962

:2005

)

表面化学分析−亜鉛及び/又はアルミニウム基金属

めっきのグロー放電発光分光分析方法

Surface chemical analysis-Analysis of zinc- and/or aluminium-based

metallic coatings by glow-discharge optical-emission spectrometry

序文

この規格は,2005 年に第 1 版として発行された ISO 16962 を基に,技術的内容及び対応国際規格の構成

を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

1

適用範囲

この規格は,亜鉛及び/又はアルミニウム基材料からなる金属めっきの厚さ,単位面積当たりの質量,

及び化学組成の定量のためのグロー放電発光分光分析方法について規定する。合金元素は,ニッケル,鉄,

けい素,鉛及びアンチモンを対象とする。

この規格が適用できるめっき中の元素含有量は,次による。

質量分率  0.01  %∼100  %の亜鉛含有量

質量分率  0.01  %∼100  %のアルミニウム含有量

質量分率  0.01  %∼20  %のニッケル含有量

質量分率  0.01  %∼20  %の鉄含有量

質量分率  0.01  %∼10  %のけい素含有量

質量分率  0.005  %∼2  %の鉛含有量

質量分率  0.005  %∼2  %のアンチモン含有量

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 16962:2005

,Surface chemical analysis−Analysis of zinc- and/or aluminium-based metallic

coatings by glow-discharge optical-emission spectrometry (IDT)

なお,対応の程度を表す記号 (IDT) は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,一致していることを示

す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 0417

  鉄及び鋼−化学成分定量用試料の採取及び調製

注記  対 応国際規 格: ISO 14284 , Steel and iron− Sampling and preparation of samples for the

determination of chemical composition (IDT)


2

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

JIS K 0144

  表面化学分析−グロー放電発光分光分析方法通則

注記  対 応 国 際 規 格 : ISO 14707 , Surface chemical analysis − Glow discharge optical emission

spectrometry (GD-OES)−Introduction to use (IDT)

JIS Z 8402-1

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 1 部:一般的な原理及び定義

注記  対応国際規格:ISO 5725-1,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results

−Part 1:General principles and definitions (IDT)

JIS Z 8402-2

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 2 部:標準測定方法の併行精度及

び再現精度を求めるための基本的方法

注記  対応国際規格:ISO 5725-2,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results

−Part 2:Basic method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard

measurement method (IDT)

JIS Z 8402-6

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 6 部:精確さに関する値の実用的

な使い方

注記  対応国際規格:ISO 5725-6,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results

−Part 6:Use in practice of accuracy values (IDT)

ISO 17925:2004

,Zinc and/or aluminium based coatings on steel−Determination of coating mass per unit area

and chemical composition−Gravimetry, inductively coupled plasma atomic emission spectrometry and

flame atomic absorption spectrometry

3

原理

この規格の分析方法は,次の過程から成る。

a)

直流又は高周波のグロー放電によるめっきの陰極スパッタリング。

b)

グロー放電によって生成するプラズマ中の分析原子の励起。

c)

スパッタリング時間に伴う分析原子の特性発光線強度の測定(深さ方向分布)

d)

発光強度及び時間の測定結果から,質量分率と深さ方向分布との関係へ検量線を用いて変換(定量)。

定量のための検量線は,化学組成とスパッタリング率が既知の標準物質を測定することによって作

成する。

4

装置

4.1

グロー放電発光分光分析装置

分析装置は,グリムタイプ[1]又は類似したグロー放電発光源(直流又は高周波電力源による)及び分

析元素の適切なスペクトル線(推奨する線については

附属書 参照)を分光できる JIS K 0144 に規定する

多元素同時分光器で構成する。

グロー放電発光源の中空陽極の内径は,2 mm∼8 mm とする。試料が薄い場合には,冷却液が循環する

金属ブロックのような冷却器で冷やすことが望ましい。

定量は,めっきの連続的スパッタリングによって行うため,分析装置は発光強度の時間分解測定のため

のデジタル読み出し部を備えている。スペクトル線当たり,少なくとも 500 点/秒のデータ取り込み速度

をもつことが望ましいが,この規格の適用範囲内で用いるときはスペクトル線ごとに 2 点/秒の速度でも

よい。


3

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

4.2

必要とする装置性能

4.2.1

一般

分析装置は 4.2.24.2.3,及び 6.2.7 に規定する事項の性能仕様を満足することが望ましい。

注記  分析条件の設定には,幾つかの制御条件の調整を繰り返す必要がある。

4.2.2

併行精度

分析装置が要求される併行精度を満足していることを確かめるために,次の試験を行う。

質量分率 1  %以上の分析元素を含む均質なバルク試料について,10 回の発光強度測定を行う。そのグロ

ー放電条件は,実際の分析の条件と同じにする。測定は,少なくとも 60 秒間の放電(以下,予備放電とい

う。

)の後に,5∼20 秒のデータ取り込みを行う。各測定においては,試料の新しい測定部位を用いる。10

回の測定の相対標準偏差を計算する。相対標準偏差は,用途に合致する要求及び/又は仕様を満足しなけ

ればならない。

注記  通常の測定では,相対標準偏差は 2  %程度である。

4.2.3

検出限界

4.2.3.1

一般

検出限界は,分析装置及び試料のマトリックスに依存する。特定の分析元素の検出限界は,すべての装

置,又はここで検討するすべての Zn-Al 基合金に対して,一義的に決まらない。この規格では,各分析元

素の検出限界を 4.2.3.2 又は 4.2.3.3 の規定によって求め,

その値が,

めっき中の最低の質量分率の 5 分の 1,

又は箇条 に規定する質量分率の範囲の下限値の 5 分の 1 のいずれか大きい値以下であることが望ましい。

4.2.3.2

信号対雑音比(SNR)法

特定の分析元素の検出限界下限を求める信号対雑音比(SNR)法の手順は,次による。

1)

ブランクとして用いるバルク試料を選定する。このブランク試料のマトリックス組成は,めっきの組

成と似ている。さらに,試料中の分析元素は,0.1 µg/g 未満であることが既知である。

2)

ブランク試料で,10 回の繰返し放電を行う。各放電においては,分析波長で 10 秒間発光強度を取り

込む。これが,バックグラウンド発光強度測定である。用いるグロー放電条件は,めっき試料の分析

で用いる条件と同じにする。安定な信号を得るために,各測定においては発光強度の測定の前に,十

分長い時間ブランク試料の放電を行う。個々の放電で,ブランク試料の表面のスパッタリングしてい

ない領域を用いる。

3)

検出限界は,質量分率を用いて,次の式 (1) によって算出する。

m

s

DL

×

=

3

(1)

ここに,

DL: 検出限界

s: 手順 2)で行う 10 回のバックグラウンド強

度測定の標準偏差

m: 装置校正によって得られる分析感度

1)

  注

1)

  強度の質量分率に対する比。

算出した検出限界が許容できない場合には,この試験を繰り返す。その結果も許容できない場合には,

試料分析の前にその原因について調査し是正する。

4.2.3.3

信号対バックグラウンド比−バックグラウンドの相対標準偏差(SBR-RSDB)法

信号対バックグラウンド比−バックグラウンドの相対標準偏差(SBR-RSDB)法の手順は,次による。

この方法は,ブランク試料を必要としない。


4

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

1)

分析するめっきと類似の組成をもつマトリックスの組成をもち,分析元素の質量分率が 0.1  %以上で

ある既知のバルク試料を選択する。自己吸収が起こりやすい(6.1 参照)分析線を用いる場合には,分

析元素の質量分率は 1  %以下にする。

2)

ブランク試料で,3 回の繰返し放電を行う。各放電においては,分析波長での発光強度を 10 秒間積分

する。用いるグロー放電条件は,めっき試料の分析で用いる条件と同じにする。各測定においては,

安定な信号を得るために,発光強度の定量前に,ブランク試料を十分長時間これらの条件で予備放電

を行う。個々の放電では,試料表面のスパッタリングしていない領域を用いる。3 回の繰返し発光強

度の平均をとる。

3)

分析線のピークから 0.2 nm 以内で,発光線のピークがない領域を選択する。10 回の繰返し放電を行

う。これがバックグラウンド強度の測定である。グロー放電条件及び予備放電は手順 2)で用いた条件

と同じにする。この場合も,個々の放電では試料表面のスパッタリングしていない領域を用いる。10

回の繰返し測定の平均及び相対標準偏差を計算する。

4)

検出限界は,次の式 (2) によって算出する。

(

)

(

)

B

B

S

RSDB

MF

DL

/

100

/

3

×

×

=

 (2)

ここに,

DL

検出限界

MF

試料中の分析元素の質量分率

RSDB

手順 3

)

によるバックグラウンドの相対標準

偏差(百分率)

B

手順 3

)

によるバックグラウンド強度

S

手順 2

)

による平均ピーク強度

計算した検出限界が許容できない場合には,この試験を繰り返す。その結果も許容できない場合には,

試料分析の前にその原因について調査し是正する。

5

試料の採取及び調製

JIS G 0417

及び/又は関連する規格によって,試料を採取する。この規格によれない場合には,めっき

材の製造業者が推奨する方法又は他の適切な手順による。採取するときは,めっき板の端部は避ける。試

料の大きさは,

20 mm

100 mm

(直径,幅及び/又は長さ)で,円状又は角状とし,分析用のグロー放電

発光源に適した大きさにする。

油を取り除くために,適切な溶媒(アセトン又はエタノール)で試料表面を洗浄する。不活性ガス(ア

ルゴン又は窒素)又は油を含まない清浄な圧縮空気を,ガス管が表面に接しないように,試料表面に吹き

付け乾燥する。汚れがひどい場合には,洗浄しやすくするために,溶媒をしみ込ませた柔らかい毛羽のな

い布又は紙で軽くふき取ってもよい。ふき取った後には,前記の溶媒で表面を洗浄し乾かす。

注記

アセトンは JIS K 8034  種類:特級  相当品,エタノールは JIS K 8101  種類:特級  相当品

とするのがよい。

6

手順

6.1

分析線の選択

測定において選択できる分析線は,複数存在する。適切な分析線は,用いる装置の分析波長範囲,試料


5

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

中の分析元素の濃度,分析線の感度,共存元素の分光干渉など幾つかの条件に基づいて選択する。

分析元素のほとんどが試料中の主成分である場合,高い感度の分析線(いわゆる共鳴線)の自己吸収に

ついて特に注意する必要がある。自己吸収のため高濃度領域では非線形検量線になる。したがって,強い

自己吸収を示す分析線は,主成分の分析には使用してはならない。

附属書 に,幾つかの推奨する分析線

の例を示す。適切であれば,ここに挙げた以外の分析線を使用してもよい。

6.2

グロー放電発光分光分析装置の最適化

6.2.1

一般

機器の使用に関しては,機器製造業者の取扱説明書,又は個々に文書化した手順による。測定条件は,

次の三つの目的を達成するように選ぶ。

めっきに過度の熱を与えないような,分析時間を短縮するなどを考慮した適切なスパッタリング

よりよい深さ分解能を得るための,よい形状のクレータ

最適な精確さ(

accuracy

)を得るための,検量線作成及び分析における同一励起条件

これら三つの目的は,それぞれ相反することがある。特に,分光器の入射スリットは,機器製造業者が

示す手順によって,正確に調整してあることを確認する。これによって,最適な信号対バックグラウンド

比をもつ分析線で発光強度を測定できる。更に詳しい情報は,JIS K 0144 による。

注記

この規格で用いている“精確さ(真度及び精度)

”は,JIS Z 8402-1 の定義による。

6.2.2

直流電源の放電条件設定

6.2.2.1

一般

直流グロー放電発光分光分析装置は,ガス圧力を調整することによって,放電条件(電流,電圧,電力)

のうちの任意の二つが一定になるように制御することができる[アクティブ圧力調整

2)

。アクティブ圧力

調整部のない装置では,同じ結果を達成するために,手動で圧力を調節する。使用者は,次の手順のうち

の一つを採用する。

2)

電流を一定にするために,ガス圧力を調整する方法。

6.2.2.2

定電流−定電圧法

放電を制御する二つの因子は電流及び電圧である。グロー放電発光源用電源を定電流/定電圧に設定す

る。まず,機器製造業者が推奨する値に電流及び電圧を設定する。推奨値がない場合には,電圧を

700 V

に設定し,電流については,内径が

2 mm

又は

2.5 mm

の陽極の場合は

5 mA

10 mA

,内径が

4 mm

の陽極

の場合は

15 mA

30 mA

,内径が

7 mm

又は

8 mm

の陽極の場合は

40 mA

100 mA

に設定する。最適電流

値について,予備知識がない場合には,推奨値の範囲の中央付近に設定する。

検出器の印加電圧を 6.2.4 によって設定し,放電条件を 6.2.5 によって調節する。このとき,最初に電流

を調節し,必要ならば電圧を調節する。

電圧を調節することによって,クレータ形状を 6.2.6 によって最適化する。これらの条件は検量線作成及

び分析に使用する。

6.2.2.3

定電流−定ガス圧力法

放電を制御する二つの因子は,

電流及びガス圧力である。グロー放電発光源用電源を定電流に設定する。

まず,機器製造業者が推奨する値に電流を設定する。推奨値がない場合,電流については,内径が

2 mm

又は

2.5 mm

の陽極の場合には

5 mA

10 mA

,内径が

4 mm

の陽極の場合には

15 mA

30 mA

,内径が

7 mm

又は

8 mm

の陽極の場合には

40 mA

100 mA

に設定する。

最適電流値について,

予備知識がない場合には,

推奨値の範囲の中央付近に設定する。めっき試料をスパッタリングし,めっき部の測定中に電圧が約

600 V

になるようにガス圧力を調節する。


6

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

検出器の印加電圧を 6.2.4 によって設定し,放電条件を 6.2.5 によって調節する。このとき,最初に電流

を調節し,必要ならばガス圧力を調節する。

ガス圧力を調節することによって,クレータ形状を 6.2.6 によって最適化する。新しい系の試料をスパッ

タリングする前に,電圧が以前に設定した値から

5

%以上変化しないことを確認するために仮測定を行う。

もし,外れる場合には,正確な値に到達するまで,ガス圧力を再調整する。これらの条件は

,検量線作成

及び分析に使用する。

発光収率は,電流,電圧及びガス圧力に応じて変化する(参考文献[

4

]を参照)

。そのため,これらの

条件を未知試料測定中及び検量線作成時にできるだけ同じ値に維持することが必要である。すべての試料

において,三つの条件すべてを一定にすることは,実際上不可能であるので,ガス圧力を変化させ,電流

及び電圧を一定にすることを優先する。経験的に求められた関数(参考文献[

4

]を参照)によって電圧及

び電流の変化を補正する方法がある。また,この種の補正は,式

 (A.2)

によって,強度規格化方法に基づ

いたソフトウェアの中で実行する。しかしながら,このような電圧及び電流補正法はソフトウェアに含ま

れていない場合もある。したがって,ソフトウェアにおいて利用可能な場合,使用者は補正を正しく実行

するために,電圧及び電流補正が無効になっていることを確認しなければならない。

6.2.3

高周波電源の放電条件設定

6.2.3.1

一般

通常の高周波電源は,定電力−定ガス圧力法で制御する。他には,定電圧−定ガス圧力法及び定実効電

力−定電圧法がある。すべての高周波放電モードは,6.2.1 による三つの目的に合致する場合は,この規格

を適用できる。通常使用する各種モードの条件設定は,次による。

6.2.3.2

定電力−定ガス圧力法

放電を制御する二つの因子は,電力及びガス圧力である。最初に,機器製造業者が推奨する電力に設定

し,ガス圧力を調整する。推奨値がない場合には,金属試料の深さ方向分布測定で一般的に使用する範囲

の中央付近の電力及び圧力に設定する。鉄又は鋼の試料のスパッタリング率(単位時間当たりの深さ)を

測定する。電力は,スパッタリング率が約

2 μm/min

3 μm/min

となるように調節する。

検出器の印加電圧を 6.2.4 によって設定し,放電条件を 6.2.5 によって設定する。最初に印加電力を調節

し,必要であれば,ガス圧力を調節する。

ガス圧力を調節することによって,クレータ形状を 6.2.6 に示すように最適化する。

鉄又は鋼試料のスパッタリング率を再度測定し,必要であれば,約

2 μm/min

3 μm/min

になるように電

力を調節する。電力及びガス圧力調節は,スパッタリング率又はクレータ形状に著しい変化が見られなく

なるまで繰り返す。このとき,設定した電力及びガス圧力を記録する。これらの条件は,検量線作成及び

分析に使用する。

6.2.3.3

定電力−定バイアス電圧法

放電を制御する二つの因子は,電力及びバイアス電圧である。まず,電力を設定し,機器製造業者の推

奨値に従い,標準的な直流バイアスになるようにガス圧力を調節する。

推奨値がない場合には,金属試料の深さ方向分布測定のために一般に使用する範囲の中央付近の印加電

力及びバイアス電圧を調節する。アクティブ圧力調整を装備した装置では,自動的に調節できる。鉄又は

鋼の試料のスパッタリング率(単位時間当たりの深さ)を測定する。スパッタリング率が約

2  μm/min

3

μm/min

になるように印加電力及びバイアス電圧を調節する。

検出器の印加電圧を 6.2.4 によって設定し,放電条件を 6.2.5 によって調節する。このとき,圧力を調節

して,必要であればバイアス電圧を調節する。


7

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

バイアス電圧を調節することによって,クレータ形状を 6.2.6 によって最適化するか,又は鋼試料のスパ

ッタリング率を再度測定し,必要であれば約

2 μm/min

3 μm/min

になるように電力を調節する。電力及び

バイアス電圧調節を,スパッタリング率又はクレータ形状に著しい変化が見られなくなるまで繰り返す。

このとき,設定した電力及びバイアス電圧を記録する。これらの条件は,検量線作成及び分析に使用する。

6.2.3.4

定実効電力−定高周波電圧法

放電を制御する二つの因子は,実効電力及び高周波電圧である。実効電力は,印加電力から反射電力及

び試料を付けた状態でプラズマのない条件(真空条件)で測定するブラインド・パワーを引いたものと定

義する。また,高周波電圧は,その電力が直接印加される電極における実効値として定義する。

グロー放電発光源用電源は,定実効電力−定高周波電圧に設定する。まず,電力は,機器製造業者が推

奨する値に設定する。推奨値がない場合には,例えば,高周波電圧を

700 V

に設定し,内径が

4 mm

の陽

極の場合,電力を

10 W

15 W

に調節する。前もって適切な電力が不明の場合,推奨電力範囲の中央付近

に設定する。

検出器の印加電圧を 6.2.4 によって設定し,放電条件を 6.2.5 によって設定する。このとき,電力を調節

して,必要であれば高周波電圧を調節する。

高周波電圧を調節することによって,クレータ形状を 6.2.6 によって最適化する。

鉄又は鋼試料のスパッタリング率を再度測定し,必要であれば約

2 μm/min

3 μm/min

になるように実効

電力を調節する。実効電力及び高周波電圧調節を,スパッタリング率又はクレータ形状に著しい変化が見

られなくなるまで繰り返す。このとき,設定した実効電力及び高周波電圧を記録する。これらの条件は,

検量線作成及び分析に使用する。

6.2.4

検出器の印加電圧設定

定量すべき,すべての系のめっき試料を選択する。これらの試料を使用して,測定原子からの検出信号

を観察する。最も高濃度に含有する元素の測定時に検出強度が飽和しないように,かつ,最も濃度が低い

元素の測定時に十分感度が得られるように,検出器の印加電圧を調節する。

6.2.5

放電条件の調節

各種の試料について,めっき全体の深さ方向分布測定を行うために,長時間グロー放電を行ってめっき

部分を完全に取り去り,基板まで連続してスパッタリングする。発光強度をスパッタリング時間の関数(定

性的な深さ方向分布という。

)で観察することによって,設定した放電条件が深さ方向の分布に対し安定し

た発光信号が得られていることを確認する。

不安定な発光信号は,試料表面が熱的に不安定であることを示している場合があり,試料冷却はこの点

に関して有効である。発光信号が不安定な場合,制御因子のうちの一つを少しの量だけ減らして,再度,

試料をスパッタリングする。安定性がなお不十分な場合,別の制御パラメータを少しの量だけ減らして,

測定を繰り返す。必要であれば安定した発光条件が得られるまで,この手順を繰り返す。

6.2.6

クレータ形状の最適化

黄銅試料(6.3.2 を参照)

,又は亜鉛及び/又はアルミニウム基めっき(めっき部分)を深さ

10 μm

20 μm

スパッタリングし,適切な表面形状測定機などでクレータ形状を測定する。黄銅又はめっき試料を用い,

制御因子のうちの一つをわずかに変えてクレータ形状確認を繰り返す。底面が平らなクレータが得られる

最適な条件を選択する。

6.2.7

予備測定

選択された測定条件が 4.2 に規定する必要条件を満足することを確認する。これらの必要条件が満足し

ない場合には,測定条件の再調整が必要である。


8

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

6.3

検量線の作成(calibration

6.3.1

一般

A.2

又は A.3 に規定する方法によって,各分析元素とその波長ごとに,応答信号のグラフを作成して検

量線とする。そのためには,検量線作成用標準物質の化学成分及びスパッタリング率(質量減少率)の二

つが必要である。

6.3.2

検量線作成用標準物質

6.3.2.1

一般

検量線作成用標準物質は,可能な限り

CRM

(認証標準物質)を使用する。発光効率を用いた定量方法に

よるため,検量線作成用標準物質の組成は,めっき材に近い必要はない。ただし,スパッタリング率は,

精確に求め,かつ,再現性をもたなければならない。特に,純亜鉛の標準物質又はそれに近い亜鉛の標準

物質は,安定で再現性のあるスパッタリング率を得ることが困難なため推奨できない。また,高純度金属

の標準物質は,高質量分率域で検量線を作成するためには必ずしも必要でないが,スペクトルのバックグ

ラウンドを知るためには有用である。検量線作成用の標準物質を選択する場合には,次による。

a

)

各分析元素ごとに,ゼロから最高質量分率の範囲で,

  5

個以上の検量線作成用標準物質を使用する。

b

)

標準物質は均質でなければならない。

これらの必要事項に基づき,次の検量線作成用標準物質を使用することが望ましい。分析元素を含有し

ていれば,これ以外の合金標準物質を使用してもよい。

6.3.2.2

黄銅標準物質

亜鉛が質量分率(以下,質量分率を省略する。

25

%∼

50

%,アルミニウムが

1

%∼

4

%,鉛が

1

4

%の黄銅標準物質を,二つ以上選定する。

6.3.2.3

亜鉛アルミニウム合金標準物質

亜鉛が

40

%∼

90

%の亜鉛アルミニウム合金標準物質を,二つ以上選定する。

6.3.2.4

鉄又は低合金鋼標準物質

鉄分が

98

%を超える鉄又は低合金鋼標準物質を,二つ以上選定する。鉄の質量分率は,

100

%から鉄

以外のすべての成分の質量分率を差し引いた値とする。

6.3.2.5

ステンレス鋼標準物質

ニッケルが

10

%∼

40

%のステンレス鋼標準物質を,二つ以上選定する。

6.3.2.6

ニッケル合金標準物質

ニッケルが

70

%を超えるニッケル合金標準物質を,一つ以上選定する(亜鉛ニッケル合金のスパッタ

リング率はニッケル合金より大きく,検量線の点はスパッタリング率と質量分率の積で表されるので,ニ

ッケルの質量分率は箇条 

20

%より高いものが必要である。

6.3.2.7

アルミニウムけい素合金標準物質

けい素が

5

%∼

10

%のアルミニウム・けい素合金標準物質を,一つ以上選定する。

6.3.2.8

高純度銅標準物質

分析元素が

0.001

%未満の高純度銅標準物質を,一つ選定する。この標準物質を,銅以外の成分のゼロ

点用として使用することができる。

6.3.3

検量線の妥当性確認用標準物質及び検量線作成用のめっき標準物質

6.3.3.1

一般

分析結果の精確さを検証するために検量線の妥当性確認(6.4 参照)用標準物質を用意する。次の標準物

質を使用することが望ましいが,可能なら他の標準物質を使用してもよい。これらの標準物質は,検量線


9

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

作成用標準物質として使用してもよい。

6.3.3.2

ニッケル亜鉛電気めっき標準物質

ニッケルが

20

%未満の電気めっき標準物質を用意する。めっきの質量と化学組成は ISO 17925 などで

規定する方法によって値付けを行う。

6.3.3.3

亜鉛電気めっき標準物質

亜鉛が

30

%を超え,鉄が

5

%を超える電気めっき標準物質を用意する。めっき標準物質の単位面積当

たりのめっきの質量及び化学成分は,ISO 17925 などで規定する方法によって値付けを行う。

6.3.3.4

亜鉛アルミニウムめっき標準物質

亜鉛が

10

%超,アルミニウムが

5

%超のめっき標準物質を用意する。めっき標準物質のめっきの質量

及び化学組成は,ISO 17925 などで規定する方法によって値付けを行う。

注記 1

標準物質(

RM

)とは,一つ以上の指定された特性について,十分,均質,かつ,安定であ

り,装置校正,測定方法の評価,又は物質の値付けの目的に適するように作製された物質。

注記 2

認証標準物質(

CRM

)とは,一つ以上の指定された特性について,計量学的に妥当な手順に

よって値付けされ,指定された特性の値及びその不確かさ,並びに計量学的トレーサビリテ

ィを記述した認証書が付いている標準物質。

6.3.4

検量線作成用標準物質のスパッタリング率の測定

“スパッタリング率”とは,ここではグロー放電でスパッタリングされる質量の減少速度をいう。また,

“相対スパッタリング率”とは,同一スパッタリング条件下における試料のスパッタリング率を標準物質

のスパッタリング率で除した値をいう。試料及び標準物質のスパッタリング面積が同じであれば,相対ス

パッタリング率は単位面積当たりの相対スパッタリング率に等しい。スパッタリング率は,次の手順で求

める(機器製造業者がスパッタリング率を提供することもある)

a

)

設備が整えば,各検量線作成用標準物質の密度を測定する。均質な試料の場合は,試料の質量を試料

の体積で除して求めることができる。試料の体積は,試料を水中に浸漬しアルキメデスの原理で求め

る。また,試料の体積は試料の寸法から求められ,試料の密度は式

 (A.29)

によって試料の成分から

求めることができる。実測又は計算による密度の精確さは

5

%以内でなければならない。

b

)

機器製造業者の推奨又は他の適切な手順に従って,標準物質表面を仕上げる。

c

)

6.2

で選択した放電条件に設定する。

d

)

クレータ深さが

20  μm

40  μm

になる時間を推定し,試料をスパッタリングし,全体のスパッタリン

グ時間を記録する。

e

)

試料の表面積に余裕があれば,d

)

を数回繰り返し,各クレータについて全スパッタリング時間を記録

する。

f

)

各クレータについて,光学的又は機械的な表面形状測定機を用いて,中心を通り異なった方向に

4

以上深さを測定する。

g

)

絶対スパッタリング率を使う場合は,次による。

1

)

一つ以上のクレータの面積を測定する。

2

)

この面積に平均スパッタリング深さを乗じて,各クレータのスパッタリング体積を計算する。

3

)

このスパッタリング体積に試料の密度を乗じて,スパッタリング質量を計算する。

4

)

このスパッタリング質量を全スパッタリング時間で除して,各クレータのスパッタリング率を計算

する。

5

)

各クレータの測定結果から,スパッタリング率の平均値及び標準偏差を算出する。


10

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

h

)

相対スパッタリング率を使う場合

1

)

スパッタリング深さに試料の密度を乗じて,各クレータの単位面積当たりのスパッタリング質量を

計算する。

2

)

この単位面積当たりのスパッタリング質量を全スパッタリング時間で除して,各クレータの単位面

積当たりのスパッタリング率を計算する。

3

)

基準とする試料(鉄又は低合金鋼が望ましい)を選び,前記の方法で,この基準試料の単位面積当

たりのスパッタリング率を測定して平均値を求める。

4

)

試料の単位面積当たりのスパッタリング率を,基準とする標準物質の単位面積当たりの平均スパッ

タリング率で除して,各クレータの相対スパッタリング率を計算する。

5

)

各クレータの測定結果から,相対スパッタリング率の平均値及び標準偏差を求める。

深さ測定に使う表面形状測定機の精確さは

5

%より良好でなければならない。

注記

スパッタリング質量はスパッタリング前後で試料をひょう量することによって求めることもで

きる。しかし,これには非常に高精度の天びん(秤)を必要とし,かつ,測定の不確かさは一

般に上記のクレータ深さ測定方法のそれよりも劣る。

6.3.5

検量線作成用標準物質の発光強度の測定

標準物質の発光強度の測定は,次による。

a

)

機器製造業者が推奨する手順によって,標準物質表面を仕上げる。特にその手順がない場合には,バ

ルク標準物質の場合は通常

220

番の乾式研磨紙による仕上げで十分であるが,湿式研磨の方がよい。

湿式研磨した試料は乾燥した後にアルコールで洗浄し,アルゴン又は窒素のような不活性ガスを吹き

付けて溶液を完全に除く。試料の表面がガスの吹出口に触れないように注意する。

b

)

6.2

に規定した放電条件に調節する。予備放電時間を

50

秒∼

200

秒に,信号積分時間は

5

秒∼

30

秒に

設定する。

c

)

分析元素の発光強度を測定する。強度の単位は任意でよいが,通常

1

秒当たりのカウント数

 (cps)

は電圧

 (V)

が使われる。各試料を

2

回以上測定し,平均値を求める。

6.3.6

検量線定数の計算(検量線の作成)

A.2

又は A.3 によって検量線を作成する。

注記

放電源の形式,操作モード及び検量線作成用標準物質によって,特定元素の検量線が異なるマ

トリックスをもつ試料間で分かれることがある。この理由は,主に二つのマトリックスのグル

ープ間で起こることが多い。一つのグループは,低合金鋼,ステンレス鋼及び黄銅のグループ

であり,もう一つはアルミニウム及びアルミニウム亜鉛合金のグループである。検量線に二つ

のグループの試料を使うと,このようなかい(乖)離現象が起こることが指摘されてきた。こ

のかい離は発光収率が異なることの証拠であり,グロー放電プラズマにおいてマトリックスに

依存した変動に関係している。この影響を少なくした機器が入手可能であれば,それを使用す

ることが望ましい。又は,各検量線ごとに,測定する試料に最も似た標準物質を選択して検量

線を作成する。これは特に難しいことではなく,例えば亜鉛の場合,アルミニウム亜鉛合金中

の亜鉛を測定する場合には,検量線から黄銅の試料を除外すればよい。

6.4

検量線の妥当性確認(validation

6.4.1

一般

検量線を作成した後に,

その精確さを確かめるために,

直ちに次の手順で検量線の妥当性確認

validation

を行う。新しい試料を測定する度ごとに妥当性確認を行う必要はなく,日常の分析では,測定機器のドリ


11

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

フトを補正するために 6.5 に規定する検量線の検証(

verification

)を行う。

二つの妥当性確認の方法は,次による。

第一の方法は,バルクの標準物質を使用する方法(6.4.2 参照)で,第二の方法はめっき標準物質を使用

する方法(6.4.3 参照)である。めっき標準物質を作るには難しさがともなうので,第二の方法は,任意と

する。

注記 1

第二の方法は,我が国では一般的に行われている方法である。

注記 2

妥当性確認(

validation

)とは,客観的証拠を提示することによって,特定の意図された用途

又は適用に関する要求事項が満足していることを確認することである(JIS Q 9000 

3.8.5

参照)

。妥当性確認は,JIS Q 17025 の 5.4.5 に定義されている。検量線の妥当性確認はその考

え方に沿っている(6.5 

注記参照)。

6.4.2

バルク標準物質による精確さの評価

a

)

検量線の妥当性確認を行うための幾つかのバルク標準物質を 6.3.2 の規定によって選択する。

b

)

検量線作成時と同じグロー放電条件,予備放電時間及び積分時間でこれらの妥当性確認試料の発光強

度を測定する。各試料について,放電ごとに新しい表面を使って

3

回以上の放電を行う。

c

)

検量線を使って,各妥当性確認試料中の分析対象元素の平均質量分率を計算する。

d

)

こうして求めた分析元素の平均質量分率と既知の値(例えば認証値)とが,統計的な許容差内にある

ことを確認する。許容差内になければ,その原因を究明し,検量線を再度作成することが望ましい。

6.4.3

めっき標準物質による精確さの評価

a

)

機器製造業者の取扱説明書によって,深さ方向分析の準備をする。

b

)

検量線作成時と同じグロー放電条件を使用する。

c

)

めっき部を完全に取り除き,基板まで続けて,十分長時間スパッタリングする。

d

)

機器製造業者の取扱説明書によって,発光強度と時間との関係(定性)及び元素の質量分率とマイク

ロメートル単位の深さとの関係(定量)を求める。

注記

最近の機器では,各測定が完了すると,定量関係を自動的に表示する。

e

)

めっきの質量をグラム毎平方メートル(以下,

g/m

2

という。

)の単位で計算する。この単位面積当た

りのめっき質量は,理論的又は計算密度を使って計算することができる。標準物質のめっき質量と計

算した質量との差は

10

%を超えてはならない。

f

)

めっき厚さをマイクロメートル(以下,

μm

という。

)の単位で計算する。標準物質のめっき厚さと計

算した厚さとの差は,

5

%を超えてはならない。市販のめっき鋼鈑によって求めた厚さとグロー放電

による計算値との差は,

10

%を超えてはならない。

g

)

表面形状測定機があれば,深さの検証が即座にできる。標準物質のめっき厚さ,グロー放電による計

算値及び表面形状測定機による値の差がいずれも f

)

に規定する許容差内にあれば,検量線は適切であ

る。

h

)

めっき及び基板中に存在する分析元素の化学組成を質量分率で求める。質量分率

1

%超の成分の質量

分率について相対的な正確さ(平均値と標準物質の付与値との差を標準物質の付与値で除した値)が

5

%以下であれば,検量線は適切である。

i

)

以上の許容差が満足しない場合は,再度検量線作成を行う。

検量線が適切に作成されていれば,質量分率及びスパッタリング深さの精確さは保証される。

6.5

検量線の検証(verification)及びドリフト補正

分析機器の信号は,時間とともに変動する。機器を標準物質を使って校正し,かつ,妥当性確認を行っ


12

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

ても,未知の試料を定量する前には,作業日ごと又は交替ごとに,検量線が管理限界内にあるかどうかを

検証する必要がある。機器製造業者の取扱説明書に検証の手順がない場合は,次の手順による。

a

)

検量線の検証のための,幾つかの均質な試料(標準化試料ともいう)を選定する。

b

)

検量線作成時と同じ,グロー放電条件,予備放電時間(バルク試料の場合)及び積分時間で,これら

の検証試料の発光強度を測定する。各試料を,放電ごとに新しい表面を使って,

  2

回以上の放電を行

う。

c

)

検量線を使って各試料ごとに分析元素の質量分率の平均値を計算する。

d

)

こうして求めた分析元素の質量分率の平均値と既知の値とが,統計的な許容差内にあることを確認す

る。許容差内になければ,機器製造業者の取扱説明書によってドリフト補正を行う。

ドリフト補正の後には検量線の精確さを確認するために,

検証を

1

試料以上再分析することが望ましい。

注記

検証(

verification

)とは,客観的証拠を提示することによって,規定要求事項を満足している

ことを確認することである(JIS Q 9000 の 3.8.4 及びこの規格の 6.4.1 

注記 参照)。

6.6

未知試料の分析

6.3

6.4 及び 6.5 の手順で作成した検量線を使い,それと同じ分析条件で,6.1 及び 6.2 の手順によって,

未知試料(実試料又は単に試料)を分析する。

7

結果の表記

7.1

定量深さ分布

図 に例として示すような,定量深さ方向分布を作成する。

7.2

単位面積当たりのめっき質量の定量

各元素について,単位面積当たりの全めっき質量(

g/m

2

)を,A.3 又は A.4 のアルゴリズム及び

附属書 C

の手順によって計算する。めっきの深さに応じた時間に対して式

 (A.20)

又は式

 (A.27)

m

iMj

を積算する。

時間から深さへの変換,及び深さから時間への変換は,A.5 のアルゴリズムを使用して行う。

積分は,時間(秒)対(

g/m

2

/s

)の深さ方向分布を使用して行う。しかし,この操作は市販の機器のソ

フトウェアでは,表示されない場合もある。その場合は,C.3.2 を使用して行う。

主元素についての積分深さは,次の方法によって求めることを推奨する。

a

)

めっき厚さは,めっき中の主元素の質量分率が最大値の

50

%に減少した深さと定義する。

b

)

分布上の遷移領域幅(実際は,深さの分解能に相当する。

)は,めっき中の主成分質量分率が,めっき

の最大値の

84

%に減少した深さと,めっきの最大値の

16

%に減少した深さとの差と定義する。

c

)

積分深さは,めっき厚さと遷移領域幅(深さ)との和とする。


13

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

  注記  Al の値は,10 倍に拡大して示す。

図 1−鋼板上の溶融亜鉛めっき 

(

Zn-Fe

)

の定量深さ方向分布

7.3

各元素の平均質量分率の定量

各元素の平均質量分率は,その元素のめっき中の質量をすべての元素のめっき質量の合計で除すること

によって算出する。

8

精度

この方法を使った共同実験が,

4

試験所で,

7

元素について計画され,各試験所が各元素を二つ以上定量

した。使用した試料及び得られた平均値を,

表 D.1 に示す。得られた結果は,JIS Z 8402-2 によって統計

的に処理した。JIS Z 8402-1 で規定する併行条件,すなわち,一人のオペレータが同じ機器,同じ操作条

件,同じ検量線を使って,最小の期間で

2

回以上の定量を行った。併行許容差は

JIS Z 8402-6 によって

算出した。得られた結果を,

表 1,表 及び附属書 に示す。

注記

溶融めっき鋼鈑について得られた精度は,工業製品から得られた試料の不均質性によるもので

あり,測定能力を表すものではない。

表 1−単位面積当たりめっき質量の併行標準偏差及び併行許容差の結果

単位  g/m

2

めっきの種類

併行標準偏差

s

r

併行許容差(repeatability limit)

r (=2.8×s

r

)

電気めっき 0.75

2.1

溶融めっき 4.5

12.6


14

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

表 2−めっき中元素質量分率の併行標準偏差及び併行許容差の結果

単位  g/m

2

元素質量分率

併行標準偏差

s

r

併行許容差(repeatability limit)

r (=2.8×s

r

)

< 0.1

0.006

0.017

1 0.03 0.084

10 0.2  0.56 
99 1  2.8

9

試験報告書

試験報告書には,次の事項を記載する。

a

)

試料を特定するための全情報

b

)

試験所機関名及び分析した年月日

c

)

分析方法(この規格の番号)

d

)

分析結果及び分析結果を表す様式

e

)

特記事項

f

)

この規格に規定のない操作及び結果に影響を及ぼすと思われる操作


15

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

附属書 A

規定)

検量線定数の算出及び深さ方向分布の定量化

A.1

記号の定義

A.1.1

附属書 で使用する記号

a

ij

領域

j

における元素

i

の原子分率

A

M

試料

M

のスパッタリング質量

c

iM

試料

M

中における元素

  i

の質量分率

c

iMj

試料

M

の領域

  j

における元素

  i

の質量分率

Δ

t

j

領域

j

に対応する時間

i

元素名

I

元素

i

の波長

λ

の発光強度

I

j

深さ方向分布において解析対象となっている領域

M

jtot

領域

j

の単位面積当たりの全スパッタリング質量

ρ

i

元素

i

の密度(純物質)

ρ

j

領域

j

の密度

w

i

元素

i

の原子量

z

j

領域

j

の厚さ

A.1.2

A.2

及び A.4 で相対スパッタリング率に関連して使用する記号

B

λ

スペクトル線波長

λ

におけるバックグラウンド強度の補正項(質量分率

%換算)

B

λrel

 

スペクトル線波長

λ

における相対バックグラウンド強度の補正項(質量分率

%換

算)

b

λ

 

スペクトル線波長

λ

におけるバックグラウンド発光強度

[c

iM

×

(q

M

/q

ref

)]

j

 

領域

j

における元素

  i

ごとの相対スパッタリング率

k

 

相対スパッタリング率で除した逆発光収率の補正定数

m

iMj

 

試料

m

の領域

j

における単位面積当たりの元素

i

のスパッタリング質量

q

M

 

試料

M

の単位面積当たりの質量減少速度(スパッタリング率)

q

Mj

領域

  j

における単位面積当たりの質量減少速度(スパッタリング率)

q

M

/q

ref

参照試料に対する試料

M

の相対スパッタリング率

q

ref

/q

M

参照試料を基準とする場合の試料

M

のスパッタリング率の補正因子

R

元素

i

の波長

l

のスペクトル線の発光収率の逆数(逆発光収率)

  

λ

i

元素

i

の波長

l

のスペクトル線の発光収率

s

非線形係数

A.1.3

A.3

及び A.5 で絶対スパッタリング率に関連して使用する記号

B'

λ

スペクトル線波長

λ

におけるバックグラウンド強度の補正項(質量分率

%×質量

/時間)

B'

λrel

スペクトル線波長

λ

における相対バックグラウンド強度の補正項(質量分率

%×

質量/時間)

(c

iM

×

q'

M

)

j

領域

j

における元素

i

のスパッタリング率

K'

スパッタリング率で除した逆発光収率から得られる補正係数

M

iMj

試料

M

の領域

j

における元素

  i

のスパッタリング質量

Q'

M

試料

M

の質量減少速度(スパッタリング率)


16

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

Q'

Mj

領域

j

における質量減少速度(スパッタリング率)

R'

元素

i

の波長

λ

のスペクトル線の逆発光収率

  

λ

ℜ′

i

元素

i

の波長

λ

のスペクトル線の発光収率

s'

非線形係数

A.2

相対スパッタリング率を用いた検量線定数の算出方法

検量線は,次の式

 (A.1)

及び式

 (A.2)

のいずれかによって算出する。

(

)

λ

M

iM

B

I

R

q

q

c

×

=

×

ref

/

(A.1)

又は

(

)

rel

ref

/

λ

M

iM

B

q

q

I

R

c

×

×

=

(A.2)

ここに,

c

iM

試料 における元素 の質量分率

q

M

/q

ref

参照試料に対する試料 の相対スパッタリング率

q

M

試料 の単位面積当たりの質量減少速度で表したスパ
ッタリング率

q

ref

参照試料の単位面積当たりの質量減少速度で表したス
パッタリング率

R

i

λ

元素 のスペクトル線

λ

の逆発光収率(

注記 を参照)

I

i

λ

元素 のスペクトル線

λ

の発光強度

B

λ

スペクトル線波長

λ

におけるバックグラウンド発光強

度の補正項。分析元素の質量分率の相当量として与え
られる定数又は実測に合わせた複雑な関数形を取る。

B

λ

rel

スペクトル線波長

λ

における相対バックグラウンド発

光強度の補正項。式 (A.2) で使用する。分析元素の質
量分率の相当量として与えられる定数又は実測に合わ
せた複雑な関数形を取る。バックグラウンド等価濃度
 (BEC) と呼ばれる場合がある(注記 を参照)。

q

ref

/q

M

スパッタリング率の補正因子

注記 1  逆発光収率 R

i

λ

 

と発光収率

λ

i

との関係は,次の式 (A.3) によって表す。

(

)

λ

i

q

R

×

=

ref

/

1

(A.3)

ここで発光収率は,次の式 (A.4) によって定義する。

(

) (

)

M

iM

i

q

c

b

I

×

/

λ

λ

(A.4)

ここに,

b

λ

スペクトル線波長

λ

  におけるバックグラウンド

発光強度

注記 2  二つのバックグラウンド強度の補正項は,次の式 (A.5) の関係がある。

(

)

λ

M

λ

B

q

q

B

×

=

/

ref

rel

(A.5)

実際の操作においては,式 (A.1) 及び式 (A.2) は,非線形の検量線すなわち 2 次及び高次の項を含む検

量線に合わせた関係式によって表現できる。このような直線相関がない検量線を用いるときの解析例とし

て,検量線が二次曲線に近似できる場合には,それぞれ次の式 (A.6) 及び式 (A.7) による。

(

)

λ

i

i

M

iM

B

I

s

I

R

q

q

c

×

+

×

=

×

2

ref

/

λ

λ

(A.6)

(

)

(

)

rel

ref

2

ref

/

/

λ

M

i

i

M

i

iM

B

q

q

I

s

q

q

I

R

c

×

×

+

×

×

=

λ

λ

λ

(A.7)

ここに,

s

i

λ

検量線における 2 次項の係数

これらの検量線定数を求めるためには,実測された検量線データを用いて最小自乗法による回帰計算を


17

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

行わなければならない。

参照試料のスパッタリング定数 q

ref

は,通常,低合金鋼のように検量線として幅広く使用されている試

料の単位面積当たりのスパッタリング率を用いる。これは,様々な鉄基の検量線試料では,これらのスパ

ッタリング率がほぼ等しく(スパッタリング率の補正因子を 1 と見なせる)

,プラズマ条件にほとんど依存

しないからである。

注記 3  式 (A.1) 及び式 (A.2) におけるバックグラウンド強度の補正項は,4.2.3.1 に示すように,定

数ではなく試料のマトリックス組成に依存して変動する。実際の定量操作では,個々の分析

線においてバックグラウンド強度が最小となるような測定条件を選択することが望ましい。

注記 4  最近の市販分析装置は,スペクトル線の重なり(分光干渉)に起因する発光強度をバックグ

ラウンドとして差し引く機能をもっている。この機能が利用できる場合には,その補正を利

用することが望ましい。

A.3

絶対スパッタリング率を用いた検量線定数の算出

検量線は,次の式 (A.8) 又は式 (A.9) によって算出する。

λ

M

iM

B

I

R

q

c

×

=

×

(A.8)

又は

rel

/

λ

M

iM

B

q

I

R

c

×

=

(A.9)

ここに,

c

iM

試料 における元素 の質量分率

q'

M

試料 の質量減少速度で表したスパッタリング率

R'

i

λ

元素 のスペクトル線

λ

の逆発光収率(

注記 を参照)

I

i

λ

元素 のスペクトル線

λ

の発光強度

B'

λ

スペクトル線波長

λ

におけるバックグラウンド発光強度の

補正項。分析元素の質量分率にスパッタリング率を乗じた
定数又は実測に合わせた複雑な関数形をとる。

B'

λ

rel

式 (A.9) で使用するスペクトル線波長

λ

における相対バ

ックグラウンド発光強度の補正項。分析元素の質量分率の
定数又は実測に合わせた複雑な関数形をとる。バックグラ
ウンド等価濃度ともいう(

注記 を参照)。

注記 1  逆発光収率 R'

i

λ

 

と発光収率

i

λ

ℜ との関係は,次の式 (A.10) による。

λ

λ

i

i

R

ℜ′

=

/

1

(A.10)

ここで発光収率は,次の式 (A.11) で定義する。

(

) (

)

M

iM

i

i

q

c

b

I

×

=

ℜ′

/

λ

λ

λ

(A.11)

ここに,

b

λ

バックグラウンド発光強度

注記 2  二つのバックグラウンド強度の補正項は,次の式 (A.12) の関係がある。

M

q

B

B

=

/

rel

λ

λ

(A.12)

実際の操作においては,式 (A.8) 及び式 (A.9) は,非線形検量線すなわち 2 次及び高次の項を含む検量

線に合わせた関係式で表現できる。このような直線相関がない検量線を用いるときの解析例として,検量

線が二次曲線に近似できる場合には,それぞれ次の式 (A.13) 及び式 (A.14) によって表す。

λ

λ

λ

λ

λ

i

i

i

i

i

M

iM

B

I

s

I

R

q

c

×

+

×

=

×

2

(A.13)

rel

2

/

/

λ

λ

λ

λ

λ

i

M

i

i

M

i

i

iM

B

q

I

s

q

I

R

c

×

+

×

=

(A.14)

ここに,

s'

i

λ

検量線における 2 次項の係数


18

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

これらの検量線定数を求めるためには,実測された検量線データを用いて最小自乗法による回帰計算を

行わなければならない。

注記 3  式 (A.8) 及び式 (A.9) におけるバックグラウンド強度の補正項は,4.2.3.1 にあるように,常

に定数ではなく試料のマトリックス組成に依存して変動する。実際の定量操作では,個々の

分析線において,バックグラウンド強度が最小となるような測定条件を選択することが望ま

しい。

注記 4  最近の市販分析装置は,スペクトル線の重なり(分光干渉)に起因する発光強度をバックグ

ラウンドとして差し引く機能をもっている。この機能が利用できる場合には,その補正を利

用することが望ましい。

A.4

相対スパッタリング率を用いた質量分率及びスパッタリング質量の算出

A.4.1

一般

深さ方向分布の各測定点におけるスパッタリング質量及び構成元素の質量分率は,使用する検量線に応

じて,次に示す異なるアルゴリズムを用いて算出する。いずれの方法によっても,得られる結果は等しい。

A.4.2

相対元素スパッタリング率を用いる方法

発光強度からスパッタリング質量及び構成元素の質量分率を算出するために,式 (A.1) に規定する検量

線を使用する場合には,次の計算方法による。

深さ方向分布の各領域 について,各測定元素 ごとに検量線を用いて  [c

iM

×(q

M

 

/q

ref

)]

j

を算出する。こ

の量を相対元素スパッタリング率と呼ぶ。

測定した元素の質量分率の総和が試料総質量に対して 98  %を超える場合には,試料 の深さ方向分布

の領域 における相対スパッタリング率  (q

M

 

/q

ref

)

j

  は,次の式 (A.15) によって算出する。

(

)

(

)

[

]

×

=

i

j

M

iM

j

M

q

q

c

q

q

100

/

/

/

ref

ref

(A.15)

領域 の元素 の質量分率 c

iMj

は,次の式 (A.16) によって算出する。

(

)

[

]

(

)

j

M

j

M

iM

iMj

q

q

q

q

c

c

ref

ref

/

/

/

×

=

(A.16)

ここに,

c

iMj

は,質量分率(%)

領域

j

,スパッタリング時間の増分

Δt

j

における,単位面積当たりのスパッタリング質量

M

jtot

は,次の式

(A.17)

によって算出する。

(

)

j

j

M

j

t

q

q

q

M

Δ

×

×

=

ref

ref

ot

t

/

(A.17)

A.4.3

構成元素の質量分率を用いる方法

発光強度からスパッタリング質量及び構成元素の質量分率を算出するために式

 (A.2)

に示す検量線を

使用する場合には,次の計算方法を用いる。

測定した元素の質量分率の総和が試料総質量に対して

98

%を超える場合には,試料

M

の領域

j

におけ

る元素

i

の質量分率

c

iMj

(%)は,次の式

 (A.18)

によって算出する。

(

)

(

)

100

rel

rel

×

×

×

=

i

j

i

i

j

i

i

iMj

B

I

k

B

I

k

c

λ

λ

λ

λ

λ

λ

(A.18)

ここに,

k

i

λ

は,

R

i

λ

×

(q

ref

/q

M

)

に等しい。

注記

 (A.18)

は,測定した元素の質量分率の総和を

100

%として正規化したものである。


19

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

もし非線形の検量線を用いる場合には,式

 (A.18)

における線形関数の部分を実験結果に合致する非線

形の関数に置き換える。

深さ方向分布の各領域

j

において,単位面積当たりのスパッタリング率

q

Mj

は,次の式

 (A.19)

によって

算出する。

(

)

×

×

=

i

i

i

Mj

B

I

k

q

q

100

/

rel

ref

λ

λ

λ

(A.19)

深さ方向分布の各領域

j

,スパッタリング経過時間の増分

Δ

t

j

における,元素

i

の単位面積当たりのスパ

ッタリング質量

m

iMj

は,次の式

 (A.20)

によって算出する。

100

/

j

iMj

Mj

iMj

t

c

q

m

Δ

×

×

=

(A.20)

領域

j

の単位面積当たりの全スパッタリング質量

M

jtot

は,次の式

 (A.21)

によって算出する。

=

i

iMj

j

m

M

tot

(A.21)

A.5

絶対スパッタリング率を用いた質量分率及びスパッタリング質量の算出

A.5.1

一般

深さ方向分布の各測定点におけるスパッタリング質量及び構成元素の質量分率は,使用する検量線に応

じて,次に示す異なるアルゴリズムを用いて算出する。いずれの方法によっても得られる結果は等しい。

A.5.2

相対元素スパッタリング率を用いる方法

発光強度からスパッタリング質量及び構成元素の質量分率を算出するために式

 (A.8)

に規定する検量

線を使用する場合には,次の計算方法による。

深さ方向分布の各領域

j

について,各測定元素

i

ごとに検量線を用いて

  (c

iM

×

q'

M

)

j

を算出する。この量は

元素ごとのスパッタリング率である。

測定した元素の質量分率の総和が試料総質量に対して

98

%を超える場合には,試料

M

の深さ方向分布

の領域

j

におけるスパッタリング率

q'

Mj

は,次の式

 (A.22)

によって算出する。

(

)

×

=

i

j

M

iM

Mj

q

c

q

100

/

(A.22)

領域

j

の元素

i

の質量分率

c

iMj

は,次の式

 (A.23)

によって算出する。

(

)

Mj

j

M

iM

iMj

q

q

c

c

×

=

/

(A.23)

                      ここに,

c

iMj

は,質量分率

領域

j

,スパッタリング時間の増分

Δt

j

における,単位面積当たりのスパッタリング質量

M

jtot

は,次の式

(A.24)

によって算出する。

M

j

Mj

j

A

t

q

M

/

'

tot

Δ

×

=

(A.24)

ここに,

A

M

試料

M

のスパッタリング面積

A.5.3

構成元素の質量分率を用いる方法

発光強度からスパッタリング質量及び構成元素の質量分率を算出するために式

 (A.9)

に示す検量線を

使用する場合には,次の計算方法による。

測定した元素の質量分率の総和が試料総質量に対して

98

%を超える場合には,試料

M

の領域

j

におけ

る元素

i

の質量分率

c

iMj

(%)は,次の式

 (A.25)

によって算出する。


20

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

(

)

(

)

100

rel

rel

×

×

×

=

i

j

i

i

j

i

i

iMj

B

I

k

B

I

k

c

λ

λ

λ

λ

λ

λ

(A.25)

ここに,

k'

i

λ

は,

R'

i

λ

/q'

m

に等しい。

注記

 (A.25)

は,測定した元素の質量分率の総和を

100

%として正規化したものである。

もし,非線形の検量線を用いる場合には,式

 (A.25)

における線形関数は,実験結果に合致する非線形

関数に置き換える。

深さ方向分布の各領域

j

において,単位面積当たりのスパッタリング率

q'

Mj

は,次の式

 (A.26)

によって

算出する。

(

)

×

=

i

i

i

Mj

B

I

k

q

100

/

rel

λ

λ

λ

(A.26)

深さ方向分布の各領域

j

,スパッタリング経過時間の増分

Δ

t

j

における,元素

i

の単位面積当たりのスパ

ッタリング質量

M

iMj

は,次の式

 (A.27)

によって算出する。

100

/

j

iMj

Mj

iMj

t

c

q

M

Δ

×

×

=

(A.27)

領域

j

の単位面積当たりの全スパッタリング質量

M

jtot

は,次の式

 (A.28)

によって算出する。

=

i

M

iMj

j

A

M

M

/

tot

(A.28)

A.6

スパッタリング深さの算出方法

A.6.1

一般

A.3

から A.5 の分析方法によって,試料の全スパッタリング量及び構成元素の質量分率が決定される。

さらに,スパッタリング深さを求めるためには,分析試料の密度が必要である。ここで扱う試料について

は,試料の密度は,元素組成及び純物質の密度から算出できる。

スパッタリング深さを算出するために二つの方法があり,試料の密度を得るためにいずれかの方法が利

用できる。

A.6.2

原子容積を用いる方法

深さ方向分布の各領域

j

において,密度

ρ

j

は次の式

 (A.29)

によって算出する。

=

i

i

iMj

j

ρ

c

ρ

/

100

(A.29)

ここに,

ρ

i

各構成元素の純物質

i

の密度

注記

原子容積とは密度の逆数である。

各領域

j

において,その部分の厚さ

z

j

は次の式

 (A.30)

によって算出する。

j

ot

t

ρ

M

z

j

j

=

(A.30)

試料全体の厚さは,式

 (A.30)

によって,各領域

j

ごとに得た厚さ

z

j

の総和から得ることができる。

M

jtot

Δt

j

で除することによって,

領域

j

における単位面積当たりのスパッタリング率を求めることができる。

A.6.3

平均密度を用いる方法

深さ方向分布の各領域

j

における,元素

i

ごとの原子分率

a

ij

は,次の式

 (A.31)

によって算出する。


21

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

(

)

(

)

=

i

i

iMj

i

iMj

ij

w

c

w

c

a

/

/

(A.31)

ここに,

w

i

元素

i

の原子量

各領域

j

において,その密度

ρ

j

は次の式

 (A.32)

によって算出する。

i

i

ij

j

ρ

a

ρ

×

=

(A.32)

各領域

j

ごとの厚さ

z

j

は,式

 (A.30)

によって算出する。また,試料全体の厚さは各領域ごとに得た厚さ

z

j

の総和である。


22

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

附属書 B

参考)

元素ごとに使用できるスペクトル線の例

表 B.1−元素ごとに使用できるスペクトル線の例

元素

波長

nm

使用可能な質量分率の範囲

説明

Zn 330.26 0.001∼100  
Zn 334.50 0.001∼100  
Zn 481.053

0.001∼100

Al 172.50 0.1∼100  
Al 396.15 0.001∼100

 a)

自己吸収

Ni 231.603

0.01∼100

Ni 341.78 0.001∼100

 a)

弱い自己吸収

Ni 349.30 0.005∼100

 a)

弱い自己吸収

Pb 202.20 0.001∼10  
Pb 405.87 0.005∼100  
Sb 206.83 0.005∼2

Si 212.41  ―

Si 251.61  ―

Si 288.16 0.001∼20

Fe 249.318

0.01∼100

Fe 259.94 0.01∼100  
Fe 271.44 0.1∼100  
Fe 371.94 0.005∼100

 a)

弱い自己吸収

Fe 379.50 0.01∼100

Cu 296.12 0.01∼100  
Cu 327.40 0.001∼5

 a)

強い自己吸収

a)

  非線形の検量線を使用する。


23

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

附属書 C 

規定)

単位面積当たりのめっき質量の定量方法

C.1

一般

単位面積当たりのめっき質量は,縦軸の単位

g/m

2

/s

,横軸の単位

s

で表す定量深さ方向分布曲線を使っ

て算出する。市販の

GD-OES

分析器は,各成分について単位面積当たりのめっき質量を計算するためのソ

フトを備えている。これは相対スパッタリング率を使うか又は絶対スパッタリング率を使うかによって,

それぞれ式

 (A.16)

及び式

 (A.17)

,又は

 (A.23)

及び式

 (A.24)

を使って得られる各単位時間にスパッタ

リングされるめっき質量を積分することによって計算できる。

この計算で重要な点は,めっき層を表す領域を精確に決定することである。特に,求めたい成分がめっ

き層と基板との両方に含まれる場合である。このような場合は,次の二つの方法が適用できる。

C.2

方法 1

最初に,めっき層中よりも基板中の質量分率が,高い成分を考える。このような成分に対処する方法を,

図 C.1 に例として示す合金亜鉛めっきによって説明する。この例では,鉄が対象成分である。時間

t

t

(基

板の材料の中の鉄が現れはじめる時間)は,めっき層の主成分,亜鉛の縦軸の値が,最大値又は平たん(坦)

部の値の

95

%に低下した時間とする。時間

t

t

の後では,めっき層中の鉄は,亜鉛の分布に比例して減少

して,ゼロに近づくと仮定する。したがって,この遷移領域の鉄の積分値は,時間

t

t

から亜鉛がその定量

限界以下になる時間までの亜鉛量の積分値に,時間

t

t

における鉄,亜鉛の縦軸値の比を乗じた値に等しい。

また,めっき層中の単位面積当たりの鉄の全質量は,前記の遷移領域の鉄の積分値と時間

t

t

前の鉄分布の

積分値との和となる。

注記

時間

t

t

を求めるために,めっき層中には含まれないが基板中には存在する元素をモニタする方

法がある。この場合は,時間

t

t

はそのような成分が最初に検出される時間としてよい。ニオブ,

モリブデン及びコバルトは,モニタ元素の例である。

めっき層中の質量分率が基板の材料のそれよりも大きい成分の場合,その成分のめっき層中の単位面積

当たりの全質量は,時間ゼロから基板の縦軸値になる時間までの積分値として求める。


24

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

1: 亜鉛 
2: めっき層中のアルミニウム 
3: 鉄 
4: めっき層中の鉄 
5: 亜鉛最大値の 95  %

注記 Al の値は,10 倍に拡大して示す。

図 C.1−方法 を説明するための合金化溶融亜鉛めっきの定量深さ方向分布

C.3

方法 2

C.3.1

g/m

2

/s

対秒の単位の深さ方向分布を用いた計算手順

方法

1

と同じように合金亜鉛めっきを例にして説明する(

図 C.2 を参照)。主成分の亜鉛及び鉄の縦軸の

値が等しくなる時間を

t

s

とする。時間

  t

L

は 7.2 c

)

で定義した積分の深さに相当する時間とする。単位面積

当たりの鉄のめっき量

Fe

coat

は,

g/m

2

の単位で,次の式

 (C.1)

によって算出する。

L

s

s

to

 to

0

coat

 t

 

t

 t

Zn

Fe

Fe

×

=

α

(C.1)

ここに,

s

 to

 t

Fe

時間ゼロから時間

t

s

間の鉄のめっき量の積分値

L

s

to t

 

t

Zn

時間

t

s

から時間

t

L

間の亜鉛のめっき量の積分値

α

 (C.1)

の係数,次の式で表される

1

−めっき中

の鉄推定質量分率×

2/100

めっき中の鉄質量分率が約

10

%のときの係数

α

は,鉄及び亜鉛の原子量比

55.84/65.37 (

0.854)

に等し

い。


25

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

1:  亜鉛 
2:  鉄 
3:  鉄量からめっき中の鉄量を差し引いた量 
4:  亜鉛の対称分布 
5: 0.854×亜鉛の対称分布

図 C.2−方法 を説明するための合金亜鉛めっきの定量深さ方向分布;g/m

2

/s

対秒

注記

この計算値は,

図 C. 2 において時間

0

から時間

t

L

までの,鉄量の積分値から(鉄−めっき中の

鉄)量の積分値を差し引いた値に等しい。

基板の材料中にはそれほど存在しない成分については,その成分のめっき層中の単位面積当たりの全質

量は,時間ゼロから時間

t

L

までの積分値として求める。

C.3.2

質量分率対深さの単位の深さ方向分布を用いた計算手順

ここで述べる手順は,質量分率を縦軸に,深さ(通常マイクロメータ)を横軸にとった組成深さ方向分

布(

図 C.3 参照)のもとで,めっき中に含まれる鉄の単位面積当たりの質量を自動的に計算するソフトウ

エアを機器製造業者が組み込んでいる場合に適用する。次に述べる例は,合金化溶融亜鉛めっきの場合の

計算手順である。

亜鉛の質量分率がその最大値の

84

%,

16

%及び

50

%になる深さを求めて,各々の深さを

Zn 84

%,

Zn 16

%及び

Zn 50

%とする。

境界領域における

Zn 84

%と

Zn 16

%との間の幅を境界深さ

W

とする。

Zn 50

%に境界深さ

W

を加えた深さを

L

とする。鉄を除いた成分について,深さ

0

から深さ

L

までのめ

っき中の単位面積当たりの質量を算出する。

亜鉛と鉄の質量分率とが等しくなる深さを

S

とする。鉄について,深さ

0

から深さ

S

までのめっき中の

単位面積当たりの質量を全鉄量として算出する。

亜鉛について,深さ

S

から深さ

L

までのめっき中の単位面積当たりの質量を算出する。対称性及び質量


26

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

比を使って,深さ

S

から基板側の亜鉛の単位面積当たりの質量を,深さ

S

からめっき側の鉄等価質量に換

算する。めっき中の鉄の単位面積当たりの質量

 (g/m

2

)

は,次の式

 (C.2)

によって算出する。

 L

 S

t

Zn

Fe

Fe

to

 to

0

coa

×

=

α

(C.2)

ここに,

854

.

0

37

.

65

847

.

55

=

=

=

亜鉛の原子量

鉄の原子量

α

W 
L 
S

境界領域の深さ 
Zn 50  %に を加えた深さ 
亜鉛と鉄の質量分率とが等しくなる深さ

図 C.3−方法 を説明するための合金化溶融亜鉛めっきの定量深さ方向分布;質量分率対深さ


27

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

附属書 D 

規定)

共同実験に関する追加情報

表 及び表 のデータは,亜鉛アルミニウムめっき試料を使って 2001 年及び 2002 年に 3 か国の 4 試験

所が参加して行った国際共同実験の結果から導かれたものである。これらの結果の詳細は,ISO/TC 201/SC

8 の資料番号 N 38 の改訂版及び N 55 に述べられており,ISO/TC 201/SC 8 幹事国から入手できる。

共同実験に用いた試料について,得られた単位面積当たりのめっき量及び元素質量分率の平均値を

D.1

に示す。

精度に関するデータは,

図 D.1 及び図 D.2 に示す。この中には,バルク試料での結果及び ECISS/TC20

で行った共同実験の結果も合わせて示す。

表 D.1−共同実験に用いた試料名及び実験結果

元素質量分率

試料 
番号

めっきの種類

めっき質量

g/m

2

Zn Fe Al Ni Si Pb

3 Zn-Fe

(合金化溶融亜鉛めっき;ガルバニー

ル)

    57

 89.1

10.23

 0.210

101 Zn-Fe

(合金化溶融亜鉛めっき;ガルバニー

ル)

    49.0

 88.3

11.3

 0.37

102 Zn-Fe

(合金化溶融亜鉛めっき;ガルバニー

ル)

    50.7

 89.5

10.05

 0.38

103 Zn-Fe

(合金化溶融亜鉛めっき;ガルバニー

ル)

    49.7

 90.6

 9.0

 0.39

104 Zn-Fe

(合金化溶融亜鉛めっき;ガルバニー

ル)

    53.3

 86.6

13.03

 0.37

4 Al-Zn

(溶融めっき)

    91.4

 42.6

54.9

 1.29

12 Zn-Ni

(電気めっき)

    17.81

 86.2

 12.5

201 Zn

(溶融めっき)

   113

 99.5

 0.35

 0.11

202 Zn-Ni

(電気めっき)

        44

  86.7

  13.2

203 Zn

(溶融めっき;ガルファン)

   110

 94.9

 5.1

204 Al-Zn

(溶融めっき;アルジンク)

    81

 45.4

53.2

 1.9

注記  合金化溶融亜鉛めっきとは,溶融亜鉛めっき処理後に焼鈍処理を施しためっきの種類である。


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K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

◆  合金化溶融亜鉛めっき 
×  バルク試料(Zn-5  %Al)

■  Zn-Al(溶融めっき,ガルファン,アルジンク) 
□  Zn-Al(ECISS

a)

データ)

▲  Zn-Ni 
△  Zn-Ni(ECISS

a)

データ)

a)

  ECISS:欧州鉄鋼標準化委員会

図 D.1−単位面積当たりのめっき質量と併行標準偏差との関係


29

K 0150

:2009 (ISO 16962:2005)

図 D.2−元素質量分率と併行標準偏差との関係(対数表記)

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Determination of thickness and chemical composition of zinc- and aluminium-based metallic 

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Routine method 

[9]  JIS Q 9000  品質マネジメントシステム−基本及び用語 
[10]  JIS Q 17025  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項 
[11]  JIS K 8034  アセトン(試薬) 
[12]  JIS K 8101  エタノール(99.5)(試薬)