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K 0149-1

:2008

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

2

4

  像倍率

3

4.1

  スケールマーカ

3

4.2

  倍率値の表示

4

5

  認証標準物質及び標準物質

4

5.1

  一般

4

5.2

  CRM の要件

4

5.3

  CRM のピッチパターン

4

5.4

  保管及び取扱い

5

6

  像倍率校正の手順

5

6.1

  一般

5

6.2

  CRM の装着

5

6.3

  SEM 操作条件の設定

5

6.4

  像の記録

6

6.5

  像の測定

6

6.6

  像倍率及びスケールマーカの校正

6

7

  像倍率及びスケールマーカの精度

8

8

  像倍率校正報告書

8

8.1

  一般

8

8.2

  像倍率校正報告書の内容

9

附属書 A(参考)像倍率校正用の認証標準物質及び標準物質

10

附属書 B(参考)SEM の像倍率校正に影響する諸因子

11

附属書 C(参考)像倍率測定の不確かさ

12

附属書 D(参考)像倍率校正報告書の例

14

附属書 JA(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

16


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(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準

原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大

臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。


日本工業規格

JIS

 K

0149-1

:2008

マイクロビーム分析−走査電子顕微法−

第 1 部:像倍率校正方法

Microbeam analysis

Scanning electron microscopy

Guidelines for calibrating image magnification

序文

この規格は,2004 年に第 1 版として発行された ISO 16700 を基に作成した日本工業規格であるが,国内

の状況に適合させるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

1

適用範囲

この規格は,認証標準物質(以下,CRM という。

)又は標準物質(以下,RM という。

)を用いて走査電

子顕微鏡(以下,SEM という。

)の像倍率の校正方法について規定する。ただし,この規格は測長 SEM に

は適用しない。

なお,この規格の校正の倍率範囲は,用いる CRM 又は RM によって制約を受ける。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 16700:2004

,Microbeam analysis−Scanning electron microscopy−Guidelines for calibrating

image magnification (MOD)

なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,修正していることを

示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Q 0030

  標準物質に関連して用いられる用語及び定義

注記  対応国際規格:ISO Guide 30:1992,Terms and definitions used in connection with reference

materials (IDT)

JIS Q 0034

  標準物質生産者の能力に関する一般要求事項

注記  対応国際規格:ISO Guide 34:2000,General requirements for the competence of reference material

producers (IDT)

JIS Q 0035

  標準物質の認証−一般的及び統計学的原則

注記  対応国際規格:ISO Guide 35:1989,Certification of reference materials−General and statistical

principles (IDT)


2

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JIS Q 17025

  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項

注記  対応国際規格:ISO/IEC 17025:2005,General requirements for the competence of testing and

calibration laboratories (IDT)

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 0030 によるほか,次による。

3.1

走査電子顕微鏡(scanning electron microscopySEM

電子線で試料表面を走査することによって試料表面の拡大像を得る装置。

3.2

像(image

SEM で形成される試料表面の二次元像。

3.3

像倍率(image magnification

試料表面を走査する電子線の走査幅と表示される像の幅との比。

3.4

スケールマーカ(scale marker

試料上の寸法を表す線分。

3.5

標準物質(reference materialRM

均一で良質な特性をもち,その特性を装置の校正に用いることができる物質。

3.6

認証標準物質(certified reference materialCRM

特性のトレーサビリティと不確かさの数値とをもつ,公的機関で認証された RM。

注記 SEM の像倍率校正用 CRM 又は RM は,像倍率校正に用いる目的にあったピッチの特性をもつ

ことが必要である。

3.7

校正(calibration

装置の表示倍率と CRM を用いて得た倍率との関係を得るための一連の操作。

3.8

試料傾斜角(tilt angle

試料表面の法線と試料照射電子線とのなす角(

図 参照)。


3

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図 1−試料傾斜角

3.9

ディスプレイ(display

SEM の像を表示する機器。

3.10

ワーキングディスタンス(working distance

SEM の対物レンズ下面と試料表面との距離。

3.11

ピッチ(pitch

CRM の特性で,繰り返される1周期又はその長さ。

3.12

精確さ(accuracy

個々の測定結果と採択された参照値との一致の程度。

注記 1  個々の測定結果とは,この規格で規定する方法で得られる CRM の SEM 像のピッチである。

注記 2  採択された参照値とは,CRM のピッチである。

なお,ピッチには不確かさの数値も付加されている。

注記 3  精確さ(accuracy)と精度(precision)とは異なる。精度は,定められた条件下での独立した

複数測定結果のデータ間の一致の程度である(JIS Z 8402-1 参照)

4

像倍率

4.1

スケールマーカ

像倍率を表示する方法として,スケールマーカ及びその長さに対応した値(国際単位系)を像にちょう

じょう(重畳)して表示する。この表示は,試料の実寸法を表している。その例を

図 に示す。

電子線

試料

試料傾斜角

傾斜した試料


4

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500 nm

図 2−スケールマーカ及びその値の表示

4.2

倍率値の表示

像の倍率値の表示は,数値の前又は後に記号×(又は X,x)を付け,像にちょうじょう(重畳)して表

示する。  その例を次に示す。

100×,10 000×,10 k×,又は  ×100,×10 000,×10 k

注記 1  表示された像上の倍率値は,SEM の供給元が指定する縦・横寸法で像が出力される場合にだ

け正しい表示となる。

注記 2  像倍率は,使用する出力機器(ディスプレイ,プリンタ,写真など)の画像寸法に依存する。

注記 3  像上のスケールマーカは,像と一体で拡大・縮小されるため,使用する出力機器の画像寸法

には依存しない。

注記 4  スケールマーカが像上に表示されている場合には,倍率値の表示は必ずしも必要としない。

5

認証標準物質及び標準物質

5.1

一般

像倍率の校正には,できる限り JIS Q 0034 及び JIS Q 0035 に従って作製された CRM を用いる。校正す

る倍率に適した CRM が入手できない場合には,JIS Q 0034 に従って作製された RM を用いてもよい(

属書 参照)。

5.2

CRM

の要件

次の要件を確認する。

−  真空中での使用及び電子線照射で繰り返し使用したとき,物理的・化学的に安定である。

−  よいコントラストの SEM 像が得られる。

−  導電性がある。

−  通常の使用又は保管で生じるごみなどを,損傷を与えることなく取り去ることができる。

−  認証書をもつ。

5.3

CRM

のピッチパターン

CRM のもつピッチの配列パターンは,次のうちの一つ以上とする。

−  直交した格子配列

−  直線の配列

−  点の直線的配列

−  点の直交した配列

CRM のパターンが少なくとも一方向(X 又は Y 方向)の倍率校正に使用でき,しかもパターンの不確

かさの数値が,必要とする倍率の精確さを満たすことを確認する。

注記 1 CRM が X・Y 二方向の直交パターンをもつ場合には,一方向にパターンを合わせれば試料の

機械的回転による CRM の再設定を行わずに X・Y 二方向の倍率校正ができる。


5

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なお,CRM が像ひずみ試験及び/又は像分解能試験のための特性(構造)をもつ場合もあ

る。

注記 2 CRM が数種類のパターンをもつ場合には,この CRM で広い倍率範囲の倍率校正ができる。

これによれない場合には,異なるピッチをもつ数種類の CRM が必要になる。

5.4

保管及び取扱い

CRM は,デシケータ,真空容器などに保管する。

CRM の取扱いは,指サック,クリーンルーム用手袋,ピンセットなどを用いて行う。

校正を行う前に CRM にごみ及び損傷がないことを目視で確認する。

CRM 表面にごみなどがある場合には,清浄乾燥窒素ガス,清浄乾燥空気などを用い,CRM に損傷を与

えないように注意深くごみなどを取り去る。

もし CRM に損傷などが認められる場合には,これを使用してはならない。

ときどき他の CRM を用いて校正を行い,比較をすることによって CRM の校正が正しいことを確認し,

その結果を記録する。その実施頻度は,CRM の特性及び使用頻度(使用状況)に依存する。

倍率校正用の CRM は,倍率校正の目的に限定して使用する。

6

像倍率校正の手順

6.1

一般

SEM の像倍率に影響を及ぼす因子は,像倍率の校正値に系統的誤差をもたらすことがある。この因子を

附属書 に示す。

SEM の安定性は,校正の間隔を決める上で主要な要素である。最初は,SEM が安定であることを確証

するために短い期間で校正を行う必要がある。

得られた複数の校正結果の統計値は,その分析機関の不確かさを示す。これらは,装置の倍率表示及び

データの不確かさとして現れる。

CRM は,使用する像倍率と要求される校正の精確さとによって選択する。この規格では,精確さが 10  %

よりもよい校正とする。

6.2

CRM

の装着

CRM を装着するときは,5.3 に従って取り扱う。

CRM の装着は,SEM 及び CRM の製造業者の取扱説明書に従って行う。

装着した CRM と SEM の試料ホルダとの間の電気的導通がよいことを確かめる。

CRM が試料ホルダにしっかりと装着され,その装着位置から動かないことを確かめる。これによって振

動による像質の低下を最小限に抑える。

6.3

SEM

操作条件の設定

試料室は,SEM 製造業者の取扱説明書に従って真空排気する。

電子銃の動作条件は,SEM 製造業者の取扱説明書に従って調整する。

試料傾斜角が 0°となるように,

試料ステージの傾斜角を SEM 製造業者の取扱説明書に従って調整する。

試料傾斜角は,次の手順によって確かめる。

a)

傾斜角補正及びスキャンローテーションをオフにする。

b)

像観察モード(二次電子及び/又は反射電子)を選択する。

c)

非点収差の補正と焦点合せを行う。

d)

測定に必要な視野と倍率を選択する。


6

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e)

試料ステージの傾斜角は,CRM ピッチの測定値が最大となる角度に決める。この場合,試料傾斜角は

0°とみなせる。その後の像記録は,この傾斜角で実施する。

注記  視野全体にわたって焦点合せができない場合には,CRM の再装着が必要である。

f)

像倍率校正を実施するために,加速電圧とワーキングディスタンスとを選択する。そして CRM を,

試料ステージを用いて観察する位置に合わせる。

g) SEM

製造業者の取扱説明書が指示する所望の動作条件に,装置が十分に安定するまで待つ。

h) CRM

像の非点収差補正と焦点合せを行う。

i) CRM

パターンがディスプレイの X 方向及び/又は Y 方向と平行になるように,必要に応じて試料ス

テージの回転機構によって CRM を回転する。

j) CRM

ピッチパターンの測定範囲が,ディスプレイ画面の縦方向と横方向のいずれも約 80  %の範囲に

入るように,試料ステージで CRM を移動する。

k)

このとき,再度,試料ステージの回転機構を用い,CRM 測定パターンがディスプレイの X 方向及び

/又は Y 方向と平行になるように,必要に応じて CRM を回転する。また,CRM のピッチパターンの

像がよりシャープになるように,焦点を合わせる。

注記  観察画面上で CRM の測定するピッチパターン数は,約 10  個がよい。例えば,観察領域が

100 mm のディスプレイの場合,種々の倍率における推奨ピッチ幅は次による。

×50 000

        0.2 µm

×10 000

  1 µm

×1 000

10 µm

6.4

像の記録

CRM のピッチパターンが SEM の観察画面の X 方向及び/又は Y 方向と合っていることを確かめる。

像の記録を行う電子線走査速度を設定する。

一度,目的の像が得られたら,SEM のいかなる観察条件も変えてはならない。CRM の観察像をスケー

ルマーカ付きで写真若しくは写真フィルム又はデジタルで記録する。

注記  デジタル記録の場合には,測定は記録画像を紙に再表示して行う。このとき,像の寸法又はア

スペクト比が,最初に記録された像と異なる場合がある。このような場合には,オリジナル像

の寸法又はアスペクト比も記録しておくとよい。

6.5

像の測定

像倍率の測定は,すべて経時変化の少ない用紙に再現した像上で実施する。

記録像の測定は,精度が既知の標準校正されたスケール(1 mm 未満の測定が可能)を用いる。

記録像周辺部の像ひずみの影響を最小限にするため,測定は,像表示領域の中心部約 80  %内で行う。

記録像の X 方向及び/又は Y 方向のピッチを測定する。すなわち,記録像の領域内で幾つかの整数個の

ピッチに相当する 2 点間距離を測定する。

測定する距離は,ピッチの約 10 個分とする。

測定は,記録像上 3 mm 以上離れた位置で,3 か所以上行う。

注記  ピッチ測定は,CRM 周期構造の中心から中心,又はエッジからエッジにて行ってもよい。

6.6

像倍率及びスケールマーカの校正

6.6.1

一般

通常使用する倍率で校正を行う。

6.6.2

倍率


7

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倍率(M)は,次の式によって求める。

d

D

M

=

ここに,

D: 記録像上で測定されたピッチの平均値(距離)(図 参照)

d: に相当する CRM のピッチ(距離)(図 参照)

X 方向及び Y 方向の平均距離をそれぞれ求め,それぞれの方向に対して像倍率を算出する。ただし,X

方向及び Y 方向間の像倍率差が,使用者にとっての許容範囲を超える場合には,CRM の装着及び/又は

SEM の電子光学系の調整状態を確認し再校正を行う。

6.6.3

スケールマーカ

スケールマーカの校正を行う。

スケールマーカが示す長さ(

ind

f

)に対応する記録像上の長さ(L)は,次の式によって求める。

d

D

f

M

f

L

×

=

×

=

ind

ind

ここに,

L: 記録像上のスケールマーカの校正された長さ

ind

: 記録像上のスケールマーカの表示値(図 参照)

注記  もし可能ならば,スケールマーカの長さは校正された倍率に合わせて調整する。ただし,調整

ができない場合には,校正された長さ(L)及び実際の長さを記録しておく。

図 3−記録された像

ind

f

ind

M

ind

L

D

10


8

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図 4CRM

7

像倍率及びスケールマーカの精度

像倍率の精度

m

A

(%)は,像倍率誤差(

M

Δ

)と像倍率値( )とから次の式によって求める。

d

D

M

M

M

M

=

=

ind

ind

Δ

100

m

×

=

M

M

A

Δ

ここに,

ind

: 表示されている像倍率値(図 参照)

スケールマーカの精度

s

A

(%)は,スケールマーカの誤差(

L

Δ

)とスケールマーカ値( )とから次

の式によって求める。

d

D

f

L

L

L

L

ind

ind

ind

=

=

Δ

100

s

×

=

L

L

A

Δ

ここに,

ind

L

記録した像上のスケールマーカの長さ(mm)

注記 1  及び

ind

L

は,例えば,ノギスを使用しても,目視の限界から±0.2 mm の許容差がある。

注記 2  デジタル像の場合,精度は 及び

ind

L

が±1 画素の精度で測定してもよい。

及び

ind

L

は,

m

A

及び

s

A

を計算するために画素の長さ(mm)で表す。

注記 3  測定の不確かさは,SEM の観察条件,その他の要因に依存し,統計的な誤差は CRM のピッ

チの不均一性に依存する。これらが倍率校正の結果に含まれていることを認識しておくこと

が大切である(

附属書 参照)。

8

像倍率校正報告書

8.1

一般

像倍率校正報告書は正確で,かつ,明確に記載しなければならない。また,像倍率校正報告書は,この

規格で規定する像倍率校正方法に従っていなければならない。

像倍率校正報告書には測定結果を記載しなければならない。報告書には像倍率校正結果を判定するため

に必要なすべての情報と JIS Q 17025 の 5.10.2(試験報告書及び校正証明書)で要求する情報とのすべてを

d

10


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記載しなければならない。さらに,依頼者から要求された情報を加えることができる。

依頼者が文書で同意している場合には,像倍率校正結果を簡便な方法で報告してもよい。JIS Q 17025

の 5.10.2 に規定する情報については,校正を実施した機関で容易に検索できるようになっていなければな

らない。

8.2

像倍率校正報告書の内容

像倍率校正報告書には,次の内容を含む。校正の結果に影響する他の情報があれば,これも含む。

附属

書 にその例を示す。

a)

像倍率校正報告書名

b)

機関名及び住所

c)

像倍率校正報告書番号

d)

関連する依頼者名及び住所

e)

用いた規格の規格番号(JIS K 0149-1:2008)

f)

使用装置の製造業者名,形式名及びシリアル番号

g) RM

名及び識別記号

h)

加速電圧(kV)

,ワーキングディスタンス(mm)

,像モード,走査速度及び設定倍率

i)

測定回数 及び像倍率校正結果:スケールマーカの長さ及び/又は倍率。X 方向及び/又は Y 方向の

精確さ(%表示)

j)

校正者名

k)

校正日時

l)

承認者:役職,氏名及び署名

m)

校正結果に影響する情報があれば,その記載

注記  機関の同意なく校正報告書を複製してはならないことを明記するのがよい。


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附属書 A

参考)

像倍率校正用の認証標準物質及び標準物質

序文

この附属書は,像倍率校正用の認証標準物質及び標準物質について記載するものであって,規定の一部

ではない。

A.1

概要

この附属書に,SEM の像倍率校正用の CRM 及び RM の実例を示す。

A.2

CRM

A.2.1  National Institute of Standards and Technology

USA

− SRM484g:SEM Magnification Standard  0.5∼5 µm ピッチ(ニッケル中の金の薄膜)

− SRM2069b:SEM Performance Standard  2∼4 mm のピッチ(3 mm 径の取付け軸をもつ 12.5 mm 径の

SEM 用ホルダに搭載した,滑らかで均一なエッジをもつ黒鉛化されたレーヨン糸)

− SRM2090:SEM Magnification Standard  0.2∼3 000 µm ピッチ(シリコン基板)

A.2.2  Physikalisch

Technische BundesanstaltGermany

−  IMS-HR 94 175-04:1,2,5,10 µm ピッチ(シリコン基板上の酸化シリコン)

A.2.3  National Physical Laboratory

UK

− 0.5,50 µm ピッチ(2 種類の直交格子をもつ金属レプリカ,製作 SIRA,認証 NPL)

A.2.4  GOST R, Russian Federation

− CRM6261-91:0.39 µm ピッチ(15 mm×15 mm の金属板)

A.3

RM

A.3.1

正方形のグリッド

− 254

µm ピッチ(1 000 メッシュ),254 µm ピッチ  (100 メッシュ)(金,ニッケル,銅)

A.3.2

入れ子状正方形パターン

− 0.5∼500 µm ピッチ(入れ子状正方形)

A.3.3

ピッチパターン(National Institute of Standards and TechnologyUSA

− RM

8090:0.2∼3 000 µm ピッチ(シリコン基板)

注記 SRM

2090 の非認証品

A.3.4

シリコンマイクロスケール

− 0.24

µm ピッチ[シリコン基板。認証:財団法人日本品質保証機構(JQA)]

注記  上記以外の RM があれば使ってもよい。


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附属書 B

参考)

SEM

の像倍率校正に影響する諸因子

序文

この附属書は,SEM の像倍率に影響する因子について記載するものであって,規定の一部ではない。

次に挙げる諸因子は,相互に関係する場合があるが,装置部位に関連付けて示す。

a)

電子銃高圧の不安定又はドリフトは,電子のエネルギを変化させるので,像倍率に誤差を生じること

がある。

b)

集束レンズ励磁の変化(照射電流の変化)は,対物レンズの焦点位置を変化させ,像倍率に誤差を生

じることがある。

c)

対物レンズの非点収差補正不足は,像倍率に誤差を生じることがある。

d)

対物レンズの磁気ヒステリシスは,像倍率に誤差を生じることがある。

e)

低倍率で,焦点深度が極端に深い場合には,不正確な焦点合せを招くことがある。

f)

電子線の非直交走査(X 軸及び Y 軸)は,像ひずみを生じることがある。

g)

走査波形発生回路(スキャンジェネレータ)の出力は,経時変化することがある。

h)

像倍率のズーム制御(アナログ式)は非線形になることがある。

i)

走査像回転機能(スキャンローテーション機能)の非線形性は,回転角の異なった位置で像がひずむ

ことがある。

j)

外部からの電磁場に起因するじょう(擾)乱によって,電子線走査にひずみを生じることがある。

k)

像倍率の誤差は,それぞれの倍率レンジで異なることがある。

l)

傾斜した試料は,傾斜方向の像倍率に誤差を生じることがある。

m)

走査像傾斜補正機能(ティルトコンペンセーション機能)は,像倍率に誤差を生じることがある。

n)

極端な微分処理などの信号処理は,像倍率に誤差を生じることがある。

o)

ワーキングディスタンス/加速電圧/電子線走査速度の異なった組合せは,像倍率に異なった誤差を

生じることがある。

p)

上記因子に関連する回路素子の熱的ドリフト・電気的ドリフトは,倍率に誤差を生じることがある。

q)

記録用の陰極管(CRT)の表面のひずみ又はビーム偏向ひずみは,倍率の不均一性を生むことがある。

r)

記録用 CRT 上の像倍率は,観察用 CRT 上の像倍率と同じではない。

s)

記録用カメラのレンズひずみは,倍率誤差を生じることがある。また,記録用のカメラ又はアダプタ

の交換も,倍率誤差を生じることがある。

t)

写真材料の膨張及び収縮並びに写真の引伸ばし及び焼付けの調整は,最終的な見掛けの倍率に対し誤

差を生じることがある。

u)

デジタル記録像の場合,倍率誤差はデジタル機器(

例  プリンタなど)の不正確さ(アスペクト比)

又はひずみに起因することがある。アスペクト比(X/Y 方向の倍率比)は,元の画像のアスペクト比

と異なることがある。


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附属書 C 

参考)

像倍率測定の不確かさ

序文

この附属書は,像倍率測定において測定結果の不確かさを求め,これを記述する例について記載するも

のであって,規定の一部ではない。

C.1

合成標準不確かさ

測定倍率の不確かさとは,指定された信頼度(信頼の水準)で,測定倍率が含まれるような分布の範囲

(区間)のことである。この不確かさは,標準不確かさの各成分を用いて,合成標準不確かさとして次の

ように表現できる。

å

=

i

i

u

2

σ

ここに,

u: 合成標準不確かさ

σ

i

成分の標準不確かさ

C.2

不確かさの具体例

SIRA グリッドに関する不確かさの因子及び代表的な値(%表示)を,次に示す。

A:校正 CRM,±1  %

B:繰返し性,±4  %

注記  これらの因子による倍率の変化は,正規分布を示す。これらの不確かさが 95.4  %の信頼の

水準をもつ区間として定められたものであれば(標準偏差の 2 倍)

,上記の式を用いて合成

する前に,標準不確かさに換算するため,各不確かさを 2 で除す必要がある。

C:温度,<±0.5  % 
D:測定する形状,±1  %

E:測定器(例えば,ノギス),±1  %

注記  これらの因子による倍率の変化は一様分布を示す。それゆえ,これらを合成する前に,標

準不確かさに換算するため,各不確かさを常に

3

で除す必要がある。

上記の考え方を用いて表現する不確かさは,校正が行われるときだけに適用できる。長期間にわたり繰

り返し行われる校正は,観察条件(試料位置,オペレータ,装置など)による不確かさによって異なった

結果になる。実際に使用する装置の構成において,不確かさの更なる因子を考える必要がある。

F:ドリフト,±3  %

表示倍率

ind

M

において何回か繰り返し校正した後,測定した倍率 が,測定値の標準偏差に対応する

値 σ と共に定められる。σ は,不確かさの成分を合成した結果である。すなわち σ は,上記の A を除いた

合成標準不確かさ u

′ に等しく, u′ は の大きさを見積るのに役立つ。

|

M

ind

M

|は,装置上の表示とデータ出力の精確さとを表す尺度になる。表示倍率

ind

M

での検査に対し


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て,結果は測定倍率を

M

±

u

n

′ と記述して報告する必要がある。

n

 = 2 とし,

u

′ を合成標準不確かさとす

ると,

測定倍率の不確かさが信頼の水準 95.4  %をもつ区間であることを,

オペレータは知ることができる。

同じことがスケールマーカについてもいえる。倍率とスケールマーカの長さとにおける不確かさは,これ

らの測定のそれぞれの標準偏差によって表現できる。


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附属書 D 

参考)

像倍率校正報告書の例

序文

この附属書は,像倍率校正報告書の例について記載するものであって,規定の一部ではない。

D.1

像倍率校正表

ある品質管理プログラムの中の一例として,校正した像倍率を記録するための“条件”を含む一覧表の

例を,

表 D.1 に示す。

この表には,像倍率校正方法の規定に基づいて測定した実際の像倍率を記入する。

表 D.1 に示す加速電圧,像倍率,ワーキングディスタンスの値は単に例である。これらの値は,実際に

用いたものを記入する。

時系列的な変化を示すために,測定したデータをグラフにすることが望ましい。

参考文献  JIS Z 8402-1  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 1 部:一般的な原理及び定


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08

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1


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著作権法

により

無断で

の複製

,転載


は禁止さ

れてお

ります

表 D.1SEM 像倍率校正報告書例

表題(例):SEM 装置  像倍率校正

同意なしにこの報告書を複製してはならない

機関名          :

校正書管理番号:

住所            :

校正実施日    :

校正者名        :

装置製造業者名:

承諾者役職と氏名:

形式名        :

承認者印        :

シリアル番号  :

依頼者名        :

規格番号      :JIS K 0149-1

住所            :

加速電圧 

標準物質 

倍率 

WD(mm)

測定 

D

x

 

D

y

M

x

 

M

y

 

L

ind

&f

ind

 

L

x

L

y

∆L

x

∆L

y

A

xs

 

A

ys

標準物質名と

識別記号 

平均値,σ 

D

xm

 

D

ym

(

=f

ind

×

M

x

)

(

=f

ind

×

M

y

)

(

=L

ind

L

x

)

(

=L

ind

L

y

)

10 

平均値,σ 

( )

ind

M

(表示像倍率) 
 
 

×100

15 

平均値,σ 

平均値,σ 

10 

平均値,σ 

×1 000

15 

平均値,σ 

注記:

L=f

ind

×

M 

L

観察像上のスケールマーカの計算上の長さ

σ

標準偏差

f

ind

観察像上のスケールマーカの表示値

M

校正された倍率

観察条件

像モード:

∆L=L

ind

L

∆L

走査速度:

L

ind

観察像上のスケールマーカの表示の長さ

照射電流:

A

s

:%

表示のスケールマーカの精確さ

÷ø

ö

çè

æ=

d

D

xm

÷

ø

ö

ç

è

æ=

d

D

ym

÷ø

ö

çè

æ

×

=

100

x

x

L

L

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

=

100

y

y

L

L

100

s

×

=

L

L

A


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著作権法

により

無断で

の複製

,転載


は禁止さ

れてお

ります

附属書 JA

参考)

JIS

と対応する国際規格との対比表

JIS K 0149-1: 2008

  マイクロビーム分析−走査電子顕微法−第 1 部:像倍率校正方

ISO 16700:2004

,Microbeam analysis−Scanning electron microscopy−Guidelines for

calibrating image magnification

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

箇条番号及び名称

内容

(Ⅱ)

国際規格番号

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

6  像倍率校正の手順 
 
 
 
 

6.3 SEM
操 作 条 件

の設定 a) 
 
 
6.4  像 の
記録

6[6.3 a)]
 
 
 
 
6(6.4)

削除 

 
 

削除

ズーム制御をオフにする手順
を削除した。 
 
 
 
写真記録媒体の取扱いについ
て削除した。 

我が国の SEM 装置の状況による。 
 
 
 
 
我が国の SEM 装置の状況による。 
 

7  像倍率及びスケー
ルマーカの精度

7

削除

ind

f

の説明文を削除した。 6.6.3

スケールマーカに説明文が

あり,重複を避けた。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 16700:2004,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  削除………………国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD………………国際規格を修正している。