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K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人大阪科学技術センター付属ニュー

マテリアルセンター(OSTEC)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を

制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格

である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び

日本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 18115:2001,Surface chemical

analysis

−Vocabulary を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後

の実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調

査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS K 0147:2004

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)IEC 60050-111,国際電気技術用語集−第 111 章:物理及び化学からの抽出語


K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

2

2.

  略号

2

3.

  形式

3

3.1

  定義の中で太字で示している用語

3

3.2

  推奨できない用語

3

3.3

  対象分野

3

4.

  表面分析法

3

5.

  表面分析法に関する用語

5

附属書 A(参考)IEC 60050-111,国際電気技術用語集−第 111 章:物理及び化学からの抽出語

43

索引 4

5


日本工業規格     

JIS

 K

0147

:2004

(ISO 18115

:2001

)

表面化学分析−用語

Surface chemical analysis

Vocabulary

序文  この規格は,2001 年に第 1 版として発行された ISO 18115,Surface chemical analysis−Vocabulary

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格の点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,表面化学分析で用いる主な略語及び用語とその定義について規定する。

なお,参考として対応英語を示すが,表記上,ISO 18115 中に示されているものと語順を変えた用語が

ある。 

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 18115:2001

,Surface chemical analysis−Vocabulary (IDT)

2.

略号  略号は,次による。

AES

    (Auger

electron

spectroscopy)

:オージェ電子分光法

CDP

    (compositional

depth

profile)

:深さ方向組成分析

CMA

   (cylindrical

mirror

analyser)

:円筒鏡形分析器

eV

    (electron

volt)

:電子ボルト

EELS         (electron energy loss spectroscopy)

:電子エネルギー損失分光法

EIA

    (energetic-ion analysis)

:エネルギーイオン分析

EPMA        (electron probe microanalysis)

:電子線マイクロアナリシス

ESCA         (electron spectroscopy for chemical analysis)

:化学分析のための電子分光法(=X 線光電子分

光法)

FABMS       (fast atom bombardment mass spectrometry)

:高速原子衝撃質量分析法

FWHM        (full width at half maximum)

:半値幅

GDS

   (glow

discharge

spectrometry)

:グロー放電分析法

GDOES       (glow discharge optical emission spectrometry)

:グロー放電発光分光分析法

GDMS        (glow discharge mass spectrometry)

:グロー放電質量分析法

HEISS        (high-energy ion-scattering spectrometry)

:高速イオン散乱分光法

HSA

   (hemispherical

sector

analyser)

:半球形分析器

IBA

    (ion

beam

analysis)

:イオンビーム分析


2

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

LEISS        (low-energy ion-scattering spectrometry)

:低速イオン散乱分光法

MEISS        (medium-energy ion-scattering spectrometry)

:中速イオン散乱分光法

ptp

    (peak-to-peak)

:ピークツーピークハイト

RBS

    (Rutherford

backscattering

spectrometry)

:ラザフォードバックスキャッタリング(=イオン後

方散乱法)

RFA

    (retarding

field

analyser)

:阻止形エネルギー分析器

SAM

   (scanning

Auger

microscope)

:走査オージェ電子顕微鏡

SDP

    (sputter

depth

profile)

:スパッタ深さ方向分析

SEM

   (scanning

electron

microscope)

:走査電子顕微鏡

SIMS

   (secondary-ion mass

spectrometry)

:二次イオン質量分析法

SNMS        (sputtered neutral mass spectrometry)

:スパッタ中性粒子質量分析法

SSA

    (spherical

sector

analyser)

:球形分析器

TOF

又は ToF

(time of flight)

:飛行時間形分析器

TXRF        (total-reflection X-ray fluorescence spectroscopy)

:全反射蛍光 X 線分析法

UPS

    (ultra-violet photoelectron

spectroscopy)

:真空紫外光電子分光法

XPS

    (X-ray

photoelectron

spectroscopy)

:X 線光電子分光法

3.

形式 

3.1

定義の中で太字で示している用語  定義及び備考の中で太字で示している用語は,この規格の中に

定義されていることを示す。

3.2

推奨できない用語  細字で示している用語は望ましくない(非推奨),又はあまり意味のない用語

である。望ましい用語は,太字で示す。

3.3

対象分野  用語が幾つかの概念を表す場合,それぞれの概念が使用される対象分野を示すことが重

要である。このため,定義に先だって,同じ行に<>の括弧で対象分野を示す。

4.

表面分析法 

番号

用語

定義

対応英語(参考)

4.001 

オ ー ジ ェ 電 子 分 光
法, 
AES

電子分光器を用いて表面から放出されるオージェ電子のエ
ネルギー分布を測定する方法。 
備考  オージェ電子の励起には,通常,2〜30 keV のエネル

ギー範囲の電子ビームが用いられる。オージェ電子
はX線,イオン,その他の励起源によっても励起さ

れるが,特に付記されていない場合,オージェ電子
分光法という用語は,電子ビームを励起源とする手
法に限られて用いられる。X線励起の場合,オージ

ェ電子のエネルギーは

フェルミレベルに対して定義

されるが,電子ビーム励起の場合はフェルミレベル
又は

真空レベルのいずれかに対して定義される。ス

ペクトルは便宜的に

積分形又は微分形のいずれかで

表される。

Auger electron

spectroscopy

AES

4.002 

ダイナミック SIMS SIMS において,物質の表面が十分に速い速度でスパッタ

されるため,もとの表面が分析中に損傷を受けていないと
はみなせない場合。 
備考1.  ダイナミック SIMS を単に SIMS と呼ぶ場合が多い。

dynamic SIMS


3

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

2.

測定中の

面ドーズ量は通常,10

16

イオン数/m

2

より

大きい。

4.003 

化学分析のための電

子分光法,

ESCA

AES

及び XPS の総称。

備考 ESCA という用語は使われなくなってきている。実

際には,その用語は X 線光電子分光法(XPS)とい
う用語でより明りょう(瞭)に定義されるが,これ

を表すためによく用いられた。

1980

年以降,

後者 XPS

が適切とされている。

electron spectroscopy

for chemical analysis

(deprecated)

ESCA (deprecated)

4.004 

高速原子衝撃質量分
析法, 
FABMS

FAB

高速の中性原子の衝撃によって放出される

二次イオンの質

量対電荷比及び存在量を質量分析計によって測定する方
法。

fast atom

bombardment mass

spectrometry

FABMS

FAB (deprecated)

4.005 

グロー放電質量分析
法, 
GDMS

グロー放電によって試料表面で生成するイオンの質量対電
荷比及び存在度を質量分析計によって測定する方法。

glow discharge mass

spectrometry

GDMS

4.006 

グロー放電発光分光
法, 
GDOES

グロー放電によって表面で励起される光の波長と強度とを
発光分光器によって測定する方法。

glow discharge optical

emission

 

spectrometry,

GDOES

4.007 

グロー放電分析法,
GDS

表面とグロー放電との相互作用によって発生する光又はイ
オン強度を分光器(質量分析計を含む。

)によって測定する

方法。 
備考  これは,GDOES 及び GDMS の総称である。

glow discharge

spectrometry

GDS

4.008 

イオンビーム分析,
IBA

固体の最表面にある原子層の組成と構造とを調べる方法で
あって,原則的には単一エネルギーの

プローブイオンが表

面から散乱されたものを,そのエネルギー又は散乱角,若
しくは両方の関数として記録する方法。 
備考 LEISS,MEISS,RBS はすべて IBA に属し,プロー

ブイオンのエネルギーが,それぞれ,0.1 keV〜10

keV

,50 keV〜200 keV,1 MeV〜2 MeV の範囲のも

のをいう。この分類は基本的に異なった物理現象が

起こる三つの範囲に対応する。

ion beam analysis

IBA

4.009 

二次イオン質量分析
法, 
SIMS

エネルギーをもったイオンの衝撃によって放出される

二次

イオンの質量対電荷比及び存在度を質量分析計によって測
定する方法。 
参照  ダイナミック SIMS,スタティック SIMS 
備考 SIMS は通常,慣用的に,測定中に物質表面が連続的

に削られるダイナミック型と,表面が本質的に損傷
を受けないように測定中の

面ドーズ量を 10

16

イオン

数/m

2

未満とするスタティック型とに分類する。

secondary-ion mass

spectrometry

SIMS

4.010 

スパッタ中性粒子質
量分析, 
SNMS

粒子の衝撃によって放出される中性粒子を二次的にイオン

化して,質量対電荷比及び存在度を質量分析計によって測
定する方法。 
備考  中性種は,プラズマ,電子,光子を用いたイオン化

法によって検出できる。

sputtered neutral mass

spectrometry

SNMS

4.011 

スタティック SIMS SIMS において,物質の表面が十分に遅い速度でスパッタ

されるため,元の表面が分析中にほとんど損傷を受けてい

ない場合。 
参照  ダイナミック SIMS

static SIMS


4

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

備考  測定中の面ドーズ量は 10

16

イオン数/m

2

未満で,その

上限は試料の材質及び分析する分子のフラグメント
サイズの両方に依存する。

4.012 

全反射蛍光 線分光
法, 
TXRF

全反射条件の下で一次 X 線を照射した表面から放出される
蛍光 X 線のエネルギー分布をX線分光器で測定する手法。

total reflection X-ray

fluorescence

 

spectroscopy

TXRF

4.013 

紫外光電子分光法,
UPS

紫外線が照射された試料

表面から放出される光電子のエネ

ルギー分布を電子分光器によって測定する方法。 
備考  紫外光源としては様々な放電現象から生じる気体の

共鳴線が通常用いられる(例えば,21.2 eV のヘリウ

ム I 線及び 40.8 eV のヘリウム II 線など)

。エネルギ

ー可変光源としては

放射光源が用いられる。

ultra-violet

photoelectron

spectroscopy

UPS

4.014 X

線光電子分光法,

XPS

X

線が照射された

表面から放出される光電子及びオージェ

電子のエネルギー分布を

電子分光器によって測定する方

法。 
備考  X 線源としては単色化されていない Al Kα線(1

486.6 eV

)又は Mg Kα線(1 253.6 eV)が通常用いら

れる。最近の装置では単色化された Al Kα線も用い

られる。装置によっては様々な陰極による線源を用
いたり,

シンクロトロン放射光源を用いている。

X-ray photoelectron

spectroscopy

XPS

5.

表面分析法に関する用語 

番号

用語

定義

対応英語(参考)

5.001 

線形吸収係数 

線形

減衰係数。 Linear

absorption

     

coefficient

5.002 

質量吸収係数, 
質量減衰係数

〈TXRF,XPS〉特定粒子又は光の平行ビームが,物質の質
量厚み

Δ

(

ρ

x)  の薄層を通過する際に減衰する量  (

µ

/

ρ

)

Δ

(

ρ

x)  において,

Δ

(

ρ

x)  を無限にゼロに近づけた際の値

µ

/

ρ

。ここで,

Δ

(

ρ

x)  はビームの進行方向に測定した量。

参照  減衰長さ 
備考1.

ρ

は物質の密度,はビームの進行方向の距離。

2.

ビーム中の粒子数又は強度は距離 を進んだとき,

exp(-

µ

x)  のように指数関数的に減少する。

3.

質量減衰(吸収)係数は線形減衰(吸収)係数を
密度で除した商に等しい。

Mass absorption

coefficient,

mass attenuation

Coefficient

5.003 

自然付着炭素エネル
ギー基準 

〈XPS〉実験的に求められた試料表面への吸着炭化水素に
由来する C 1s の結合エネルギーを,標準結合エネルギーと
比較することによって試料の

帯電電位を決定すること。

参照  内部炭素基準 
備考  一般的には,吸着炭素の C 1s のピーク値については

285.0 eV

がよく用いられる。分析者によっては,基

板の性質によって 284.6 eV  から 285.2 eV の範囲から
値を選ぶこともある。

adventitious carbon

Referencing

5.004 

変質層 

〈粒子衝撃〉粒子衝撃の際,衝撃によって化学状態又は物

理的な構造が変質した表面領域。 
例 4

keV

の O

2

+

を表面垂直に近い角度でシリコンに衝撃し

た場合,十分長い時間のスパッタリングによって定常

状態となったとき,表面から 15 nm 付近までは化学量

altered layer


5

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

論的な SiO

2

となり,それより深い領域では酸素濃度が

低くなる。

5.005 

分析領域 

〈試料〉分析に用いられる信号の全体又は特定割合が検出

される試料

表面の二次元領域。

analysis area

5.006 

分析領域 

〈分光器〉分光器の中心軸に対して正しい角度に設定され

た試料から,すべて又は特定割合の信号が分析される試料
表面の二次元領域。

analysis area

5.007 

分析体積 

〈試料〉すべて又は特定割合の信号が分析される試料の三
次元領域。

analysis volume

5.008 

分析体積 

〈分光器〉すべて又は特定割合の信号が計測される可能性
のある分光器からみた三次元領域。

analysis volume

5.009 

臨界角 

〈TXRF〉試料マトリックスからの蛍光 X 線を

視射角に対

してプロットしたときの最初の変曲点に相当する視射角。

critical angle

5.010 

視射角 

〈TXRF〉入射線と平均表面とのなす角。 
備考  入射角と視射角とは補角関係にある。

glancing angle

5.011 

斜め研磨 

元の表面に対して,ある角度で機械的に研磨する試料調製

法。 
例  ボールクレータ法,径方向切り出し法。 
備考  角度としては 1°以下がよく使われ,このようにする

と,元の表面からの深さ方向の情報が横方向に変換
される。

angle lapping

5.012 

マジックアングル 

〈XPS〉試料表面において,分光器の検出軸と入射 X 線と
が 54.7°をなす角度。 
備考  非偏光の X 線に照射された孤立原子から放出される

光電子の角度分布に対して,単純な双極子理論を応
用した場合,マジックアングルでは単位立体角に取
り込まれる光電子強度が,散乱が等方的に起こると

仮定した場合の強度と等しくなる。

magic angle

5.013 

放出角度 

粒子又は光子が表面を離れる際にその軌跡と局所表面又は
平均表面の法線とのなす角。 
備考  対象としている表面法線は,定義されている必要が

ある。

angle of emission

5.014 

入射角 

入射ビームと局所表面又は平均表面の法線とのなす角。 
備考  対象としている表面法線が,局所表面又は平均表面

について定義されている必要がある。

angle of incidence

5.015 

散乱角 

入射粒子又は光子の入射方向と散乱後の粒子又は光子の軌
跡方向とのなす角。

angle of scattering

5.016 

角度分解 AES, 
ARAES

角度依存 AES

オージェ電子強度を

放出角度の関数として測定する手法。 angle-resolved

AES

ARAES

angle-dependent AES

5.017 

角度分解 XPS, 
ARXPS

角度依存 XPS

X

線光電子強度を

放出角度の関数として測定する手法。

備考  この手法は,表面からおよそ 5 nm 程度の深さまでの

層中の,元素又は化合物の深さ方向分布についての
情報を調べるためにしばしば用いられる。

angle-resolved XPS

ARXPS

angle-dependent XPS

5.018 

分光器立体角 

粒子又は光子が,試料上の測定点から検出器に到達できる
分光器の取込み立体角。 
参照  分光器透過関数

solid angle of analyser

5.019 

検出器立体角 

〈EIA,RBS〉

ビームスポットの中心点から検出器によって

見込まれる立体角。

solid angle of detector

5.020 

脱出角 

粒子が固体表面から脱出する際の軌跡が局所表面又は平均

take-off angle


6

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

表面となす角度。 
備考1.  対象としている表面が,局所表面又は平均表面か

について定義されている必要がある。

2.

脱出角は

出射角と補角をなす。

3.

以前,脱出角は誤って放出角と同じ意味として用
いられたこともある。

5.021 

非 対 称 性 パ ラ メ ー
タ,

β

 

〈XPS〉非偏光の X 線によって励起された孤立原子から放
出される光電子の入射 X 線から

γ

方向への強度分布 L(

γ

)

を添付の式によって求めるためのパラメータ。

備考  この式は気体に適用される。したがって,固体に適

用する際は弾性散乱の効果の補正が必要である。

asymmetry parameter

β

 

5.022 

アトミックミキシン
 

表面領域において,入射粒子からのエネルギー移送によっ

て生じる試料原子の移動。 
参照  カスケードミキシング,衝突カスケード,イオンビ

ーム誘起物質輸送,ノックオン,反跳イオン注入

atomic mixing

5.023 

減衰係数 

想定している粒子又は放射源の平行線束(平行ビーム)の
減衰量を

µΔ

で表す場合の

µ

の値,若しくは

Δ

が 0 に近づ

くとき,厚さ

Δ

の薄層を物質が通過する間の単位厚さ当

たりのビーム減衰量の極限値。ここで

Δ

はビームと同じ

方向にとる。 
参照  減衰長さ,質量吸収係数 
備考1.  距離 に対し exp(−

µ

/x)

に従って減少するビーム

における粒子の数又は信号強度。

2.

減衰係数は,しばしば

線吸収係数と呼ばれ EPMA

に利用される。いずれも,AES 及び XPS で用いら
れる

減衰長さの逆数である。

attenuation coefficient

5.024 

減衰長さ 

想定している粒子又は放射線の平行ビームが,ある物質で
できた厚さ

Δ

の薄層を通過する際の減衰量を

Δ

x/で表す

場合,

Δ

がゼロに近づくときの の値。ここで,

Δ

はビ

ームと同じ方向にとる。 
参照  減衰係数,ディケイ長,有効減衰長さ,電子の非弾

性平均自由行程,線吸収係数,質量吸収係数

備考1.  線束の強度,又は粒子数は距離 の場合 exp(−x/l)

で減衰する。

2.

固体中の電子の振る舞いについては,古典的な散乱
の効果による指数関数的な減衰で近似される。この
近似が成り立つ場合は,有効減衰長の用語を用いる。

参考  想定している粒子又は放射源の平行ビームの減衰量

Δ

x/で表す場合の の値,又はある物質でできた

厚さ の薄層を通過する際の減衰量を厚さ の関数

として考えた場合,

Δ

がゼロに近づくとき,粒子又

は光が通過する間に起こる単位厚さ当たりの減衰量
の極限値の逆数で与える の値。ここで,はビーム

と同じ方向にとる。

attenuation length

5.025 

有効減衰長さ 

深さ方向放出分布関数が指数関数で十分に近似できるとき

放出関数の平均ディケイ長。

参照  減衰長さ

effective attenuation

length

]

1

)

)(sin

2

/

3

[(

2

/

1

1

)

(

2

+

=

γ

β

γ

L


7

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

備考  有効減衰長さは AES 及び XPS で,電子の移動時に

起こる非弾性散乱で失うエネルギーが 1 eV よりも大
きくないときによく利用される。

5.026 

オージェ脱励起 

〈表面〉

a)

励起を受けた原子又はイオンがエネルギーを放出する
ときに,その原子又はイオンからX線放射を伴わずに

電子の再配列が発生する過程。

b)

固体の表面近傍にある準安定状態の原子などが表面と
の相互作用によってエネルギーを失う過程であり,表

面原子から電子を放出するのに十分なエネルギーを放
出するもの。

参照  オージェ中和 
備考  いずれの過程でも,電子が真空中に放出されること

もある。

Auger de-excitation

5.027 

オージェ電子 

原子から

オージェ過程によって放出される電子。

参照  オージェ遷移 
備考1.  オージェ電子は,物質内を通過する間に非弾性散

乱によってエネルギーを失うことがある。したが
って,測定されるオージェ電子スペクトルは,散
乱を受けていないオージェ電子のピークが,オー

ジェ電子が非弾性散乱する間にエネルギーを失っ
て低エネルギー側に現れるバックグラウンド及び
その他の過程で生み出されるバックグラウンドの

上に重ね合わされたものである。

2.

オージェ電子は,物質内を通過する際に弾性散乱
によって伝ぱ(播)の方向を変えることがある。

Auger electron

5.028 

オージェ電子スペク
トル 

オージェ電子強度を

運動エネルギーの関数としてプロット

したものであり,通常,検出電子のエネルギー分布の一部

である。 
備考1.  電子の入射によって励起を行っているときには,

検出電子のエネルギー範囲として 0  〜2 500 eV が

よく使われ,この領域には

オージェ電子,後方散

乱(一次)電子,二次電子が含まれている。この
分布の全体をオージェ電子スペクトルということ

もある。

2.

オージェ電子スペクトルは,

直接スペクトル又は

微分スペクトルのいずれの形式で記述してもよ
い。

Auger electron spectrum

5.029 

オージェ電子収率 

ある原子の内殻励起によって発生した空孔が,

オージェ過

程(参考文献[1]を参照のこと。)によって緩和する確率。

Auger electron yield

5.030 

オージェ中和 

表面に接近したイオンに,固体の伝導帯からトンネル効果
によって電子を与えて中和し,このとき表面原子から電子

が放出される過程。 
備考  放出された電子は真空中に放射されることもある。

Auger neutralization

5.031 

オージェパラメータ

〈XPS〉同一元素からのある幅の狭いオージェ電子ピーク
の運動エネルギーと,強度の最も強い光電子ピークの運動
エネルギーとのエネルギー差。 
参照  始状態オージェパラメータ,修正オージェパラメー

備考1.  オージェパラメータの値は励起 X 線のエネルギー

Auger parameter


8

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

によって異なるので,励起X線の種類は明記しな
ければならない。

2.

オージェパラメータは,終状態オージェパラメー

タといわれることがある。

3.

オージェパラメータは,試料の帯電が束縛エネル
ギー値にあいまいさを生じさせたり,束縛エネル

ギーのシフトが化学状態の同定を行うには適切で
ないような場合に,化学状態を分離する上で有効
である。

4.

類似の化学シフトを示す内殻準位間の

オージェ遷

移に関して,内殻ホールの生成によって生じるイ
オン化された構成元素の

緩和エネルギーを評価す

るのにオージェパラメータは有用である。

5.032 

始状態オージェパラ
メータ   

〈XPS〉β=3E

B

E

K

で表されるβ。ここで E

B

は光電子ピ

ークの

束縛エネルギー,E

K

フェルミレベル基準のオージ

ェピークの運動エネルギー。E

B

E

K

は同じ元素の同じ始状

態内殻準位から得られたものである。 
参照  オージェパラメータ,修正オージェパラメータ 
備考  オージェ遷移が類似の束縛エネルギーシフトを示す

内殻準位間のものとすると,始状態のオージェパラ
メータは二つの環境間の束縛エネルギー変化に寄与

する原子の内殻ポテンシャルの変化を評価するのに
有用である。

initial state Auger

parameter

5.033 

修正オージェパラメ
ータ 

〈XPS〉スペクトル上で鋭い形状を示すオージェ電子ピー
クの

フェルミ準位基準の運動エネルギー値と,同じ元素か

ら発生する最も強い光電子ピークの

束縛エネルギー値の

和。 
参照  オージェパラメータ,始状態のオージェパラメータ 
備考  修正オージェパラメータは,オージェパラメータと

励起に用いたX線のエネルギー値との和である。オ
ージェパラメータと異なり,この値はX線のエネル
ギー値に依存しない。

modified Auger

parameter

5.034 

オージェ過程 

内殻に空孔がある原子の電子放出を伴う緩和(参考文献[1]
を参照のこと。

参照  オージェ脱励起,オージェ電子,オージェ遷移 
備考  放出電子は,オージェ遷移によって決まった値のエ

ネルギーをもつ。

Auger process

5.035 

原子間オージェ過程

〈AES〉少なくとも一つの最終空孔が,最初に発生した空
孔をもつ原子の隣にある原子の価電子帯又は分子軌道に形

成される

オージェ遷移。

interatomic Auger

process

5.036 

オージェ遷移 

過程に関与した殻又は副殻を含めて記述した

オージェ過

程。 
備考1.  オージェ過程に含まれている三つの殻は,三つの

文字で記述する。頭一文字は,最初に空孔が発生
した殻を表し,後の二文字はオージェ過程によっ

て空孔が現れる殻を表す(例,KLL,LMM)

。価電

子帯の電子が関与している場合には,それを文字

V

で表す(例,LMV,KVV)

。殻についての特定

の副殻が分かっている場合には,それも記述して
よい(例,KL

1

L

2

。もし分かっているならば,結

Auger transition


9

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

合項も書き加えて原子の終状態を示すこともでき
る(例,L

3

M

4

,

5

M

4

,

5

;

1

D

2.

さらに複雑なオージェ過程の場合には(初期イオ

ン化が多重に起こったり,他の電子励起が付随す
るような場合)

,始状態と終状態をダッシュ記号で

分 け て 記 述 す る こ と が で き る ( 例 , LL-VV ,

K-VVV

3.

最初に電子空孔が発生した同じ殻にある電子を含
んでいるオージェ過程(例,L

1

L

2

M

)は,

コスター・

クロニッヒ遷移という。もし,すべての電子が最
初に空孔が発生した殻に属しているならば,(例 

M

1

M

2

M

3

超コスター・クロニッヒ遷移という。

5.037 

オージェ遷移速度 

単位時間に

オージェ過程が起こる確率。

Auger transition rate

5.038 

非弾性散乱バックグ
ラウンド 

元々単一のエネルギーをもつ粒子が一回以上の

非弾性散乱

過程を経ることによって,低エネルギー側に現れるスペク
トル成分。 
参照  非弾性散乱バックグラウンド除去,シャーリーバッ

クグラウンド,シッカフスバックグラウンド,ツガ
ードバックグラウンド

備考 AES と XPS では,考慮しているオージェ電子又は光

電子のピークに付随しているバックグラウンドとし
て,ピークに近いエネルギーをもつ電子を入射させ
てエネルギー損失スペクトルを測定し,近似として

用いてきた。ツガードバックグラウンドも同様に用
いられてきた。正確ではないが,より単純な非弾性
散乱バックグラウンド関数としてシャーリーバック

グラウンドがある。単なる直線のバックグランドも
利用されるが,更に不正確であり,絶縁物を XPS で
解析する場合以外は用いられない。

inelastic background

5.039 

装置起源バックグラ
ウンド 

装置の理想的ではない振る舞いをする箇所から発生する一
般的には好ましくない信号。

instrumental

background

5.040 

シャーリーバックグ
ラウンド 

〈AES,XPS〉ある

運動エネルギーにおけるバックグラウ

ンドの強度は,そのエネルギーよりも高いエネルギー領域

のピーク面積に一定の割合で比例するものとして,実測ス
ペクトルにおいてピークよりも高い運動エネルギー側と低
いエネルギー側との 2 点で適合させて算出するバックグラ

ウンド。 
参照  ツガードバックグラウンド

Shirley background

5.041 

シッカフスバックグ
ラウンド 

〈AES,XPS〉連鎖的に

二次電子として放出される電子が

形成するバックグラウンドを,

運動エネルギーの単項べき

乗関数を用いて表す方法。 
備考1.  シッカフスバックグラウンドを正しく適用するた

めには,測定された連鎖的二次電子は,測定装置

分光器応答関数で補正されていなければならな

い。

2.

シッカフスバックグラウンド B

S

(E)

の形状は,次の

関数形で表される。

        B

S

(E)

E

m

ここに,E:放出される電子の運動エネルギーで

あり,数値 の範囲は 1 と 2 との間にある。

Sickafus background


10

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

5.042 

バックグラウンド信
 

本来,注目している過程又は信号源以外の原因によって,
特定の位置,エネルギー,質量,波長などに表れる信号。 
参照  シャーリーバックグラウンド,シッカフスバックグ

ラウンド,ツガードバックグラウンド

Background signal

5.043 

ツガードバックグラ
ンド 

〈AES,XPS〉表面領域におけるエネルギー損失,及び電
子を放出する原子の三次元的分布を考慮した微分非弾性散

乱断面積モデルを用いて得られる信号強度分布。 
参照  シャーリーバックグラウンド 
備考1.  幾つかの種類の原子分布と,それに対応する微分

非弾性散乱断面積を用いることができる。用いら
れた原子分布と非弾性散乱断面積とを明記してお
く必要がある。

2.

ツガードバックグラウンドは,注目しているピー
クの領域と,そのピークよりも約 50 eV 低い運動
エネルギーの領域を除外した,広いエネルギー領

域にわたって測定されたスペクトルに合致するよ
うに計算される。測定されたスペクトルは,測定
に使用した装置の

分光器応答関数の補正を行って

からツガードバックグラウンドの計算に用いなけ
ればならない。

Tougaard background

5.044 

背面散乱電子 

〈AES,EELS〉入射電子が試料と相互作用した後に放出さ
れる電子。 
備考1.  通常,50 eV 以上のエネルギーをもった電子は,ほ

とんどが背面散乱電子と考えられている。

2.

入射ビームは,しばしば

一次ビームと呼ばれ,背面

散乱電子はしばしば背面散乱一次電子と呼ばれる。

backscattered electron

5.045 

後方散乱係数, 
後方散乱収率

〈EIA,RBS〉ある後方散乱エネルギー幅において検出され
る粒子数を,そのエネルギー領域の幅と入射イオン数とで

除した量。

backscattering

coefficient,

backscattering yield

5.046 

後方散乱エネルギー

後方散乱衝突を行い,試料から脱出した

一次ビーム粒子の

エネルギー。 
参考  主として EIA,RBS で用いられる。

backscattering energy

5.047 

背面散乱因子 

〈AES〉

背面散乱電子によって,オージェ信号強度が,一

次電子で直接励起される場合よりも余分に励起されて増加
する分を定義する因子。 
備考  異なる用い方がある。この因子は,通常は上で定義

したように増加分だけを表すが,ときには 1 に増加
分を加えたものを背面散乱因子ということもある。
後者の定義は推奨しない。明確にするために,特定

の使い方をするときは定義が必要である。

backscattering factor

5.048 

後方散乱スペクトル

〈EIA,RBS〉後方散乱エネルギーに対して,後方散乱収率

をプロットしたもの(参考文献[1]を参照のこと。

backscattering

spectrum

5.049 

背面散乱収率, 
背面散乱係数, 
η 

〈AES,EPMA〉50 eV 以上のエネルギーをもって試料から
放出された電子の数の,あるエネルギー及び

入射角で試料

に入射した電子の総数に対する比。 
参照  二次電子収率,全二次電子収率,背面散乱因子

backscattering yield

backscattering

coefficient

η

5.050 

ボールクレータ法 

クレータ内の横方向での位置を深さに対応させるため,球

体を用いて試料面下の層の組成変化を露出させる研削操
作。

ball cratering


11

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

参照  斜め研磨,径方向切り出し法

5.051 

ビーム収束角 

焦点面又はその前方の空間におけるビーム全部若しくは特
定の部分を含む角度。 
参照  ビーム広がり角 
備考  ビームが対称である場合には,全角又は半角が用い

られる。どの角度の測定をしているかについて,明

記する必要がある。

beam covergence angle

5.052 

ビーム電流, 
I 

dQ

を dで除した量。ここで dは時間 dの間に通過した

ビームに含まれる特定極性の電荷量。

参照  パルスビーム電流,平均ビーム電流 
備考  電流が時間とともに変化するビームにおいては,ビ

ーム電流の瞬時値と時間平均値とは一般には異なっ

ている。パルスビームの場合,ビームオン時の電流
は d.c.電流,又はパルス化されていないビーム電流に
等しいこともあるが,そうでないこともある。

beam current, 

5.053 

平均ビーム電流 

を で除した量。ここで は時間 の間に通過したビー
ムに含まれる特定極性の電荷量。 
備考  電流の瞬時値が時間とともに周期的に変化するビー

ムでは,時間経過 は,周期の整数倍となる。

average beam current

5.054 

ビーム電流密度, 
J 

〈荷電粒子が平行ビームの場合〉ビームに垂直な面積 dA
に入射するビーム電流 dを dで除した量。

参照  フルーエンス,フラックス,ドーズ 
備考  収束ビーム又は発散ビームにおいては,面積 dは断

面積 dの小球で置き換えられる。

beam current density

5.055 

累積ビーム電流 

ある時間内にビームとして輸送された全電荷量。

integrated beam current

5.056 

パルスビーム電流 

を tp で除した量。ここで はパルスがオンになっている
時間 tp の間に通過したビームに含まれる特定極性の電荷
量。

pulse beam current

5.057 

ビーム径 

〈円形断面をもつ粒子ビームに対して〉ビームの方向と垂
直な面で測定したビーム強度が最大値の半分となっている

ところでのビームの幅(参考文献[1]を参照のこと。

備考  一般にはビーム径は,試料の位置など,空間におけ

一定の場所において特定される。

beam diameter

5.058 

ビーム拡がり角 

焦点面の後ろの空間において,ビームの全部又は特定の部
分が含まれる角度。 
参照  ビーム収束角 
備考  ビームが対称な場合,全角又は半角が用いられる。

どの角度を測定しているかについて明記する必要が

ある。

beam divergence angle

5.059 

ビームエネルギー 

ビーム粒子の運動エネルギー。 
参照  ビーム衝撃エネルギー,入射粒子エネルギー 
備考1.  エネルギーは通常,電子ボルト(eV)の単位を用

いる。

2.

ビームエネルギーは,通常,試料表面を衝撃する

粒子のエネルギーとして定義される。しかし,試
料が接地電位でない場合には,粒子の

衝撃エネル

beam energy

t

Q

I

d

/

d

=

A

I

J

d

/

d

=


12

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

ギーは電子銃又はイオン銃によって供給されるビ
ームエネルギーとは異なる。このような場合は,
衝撃エネルギーという用語を用いれば,混乱を防

ぐことができる。

5.060 

ビーム衝撃エネルギ
 

試料表面を衝撃する

ビーム粒子の運動エネルギー。

参照  ビームエネルギー,入射粒子エネルギー 
備考1. SIMS の一次ビームの場合は,ビーム衝撃エネルギ

ーはイオン源(厳密にはプラズマメニスカス)と
試料表面の間の静電ポテンシャルの差にイオンの

電荷を掛けたものとなる。幾つかの SIMS 装置で
は,

ビームエネルギーは接地電位から測定したイ

オン源の静電ポテンシャルによって与えられる

が,試料電位は,必ずしも接地電位である必要は
ない。衝撃エネルギーは,どのような試料電位に
対しても用いることができる。

2.

衝撃

という限定詞を用いる場合は,これが表

面を衝撃する粒子のエネルギーであることを示
す。

beam impact energy

5.061 

ビーム粒子 

入射ビームを構成する電子,陽電子,イオン,原子,分子
及びクラスタ。

beam particle

5.062 

一次ビーム 

試料に入射する粒子又は光子の指向性

フラックス。 primary

beam

5.063 

ビームプロファイル

ビームの軸に垂直な面内でのビーム

フラックスの空間分

布。

beam profile

5.064 

二体弾性散乱, 
弾性散乱

運動エネルギー及び全運動量が保存される粒子と別の粒

子との衝突。 
参照  非弾性散乱 
備考  弾性散乱において,運動している粒子は 180°の角度

まで偏向され得る。

binary elastic scattering

5.065 

二体弾性散乱ピーク

〈ISS〉入射イオンが特定の質量の表面原子によって

二体弾

性散乱を受け,分光器の検出系の応答がバックグラウンド
以上に増加すること(参考文献[1]を参照のこと。

binary elastic scattering

peak

5.066 

束縛エネルギー 

ある電子準位の電子を,固体の場合は

フェルミ準位まで,

自由原子又は分子の場合は,

真空準位まで励起するのに必

要なエネルギー。 
参考  慣用的に結合エネルギーと呼ばれることもある。

binding energy

5.067 

ブロッキング配置 

〈EIA,RBS〉単結晶試料の原子軸又は原子面が,試料から

検出器へ向かう方向に平行に整列している実験配置。

blocking geometry

5.068 

ブラッグ則 

W. H.

ブラッグと R.クレーマンとによって定式化された経

験則。化合物試料の阻止断面積が,各構成元素の

阻止断面

積と原子数比との積の和に等しいというもの。すなわち, 

ここに

ε

(A

x

B

y

ε

A

ε

B

はそれぞれ化合物 A

x

B

y

,元素

A

,B の阻止断面積を表す。

Bragg’s rule

5.069 

制動放射 

〈EPMA,

XPS

物質中で入射電子が減速することによって,

その物質から光子が放出される現象。 
備考1.  制動放射は,入射電子のエネルギーを上限とする

連続スペクトルをなす。

2. XPS

においては,簡易形の Al 又は Mg 陽極を用い

た X 線源からの制動放射が連続的な光電子バック

bremsstrahlung

B

A

)

B

A

(

ε

ε

ε

y

x

y

x

+

=


13

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

グラウンドをもたらす。この放射は,また,Al 又
は Mg の K 殻特性 X 線ではエネルギー的に励起不
可能な内殻の光イオン化をもたらす。その結果,

負の束縛エネルギーの領域にオージェ電子が発生
し,更に,他のオージェ電子の強度も特性 X 線だ
けによって内殻励起が生じた場合よりも大きくな

る。制動放射によって励起されたオージェ電子は
化学状態を同定するのに必要な種々の

オージェパ

ラメータを決定するのに役立つ。

5.070 

カスケードミキシン
 

試料表面付近において,減速している入射粒子から与えら
れたエネルギーによって,物質中の原子がランダムな方向
に移動する拡散に類似した現象。 
参照  アトミックミキシング,衝突カスケード,ノックオ

ン,反跳注入

備考1.  アトミックミキシング及びノックオン効果がさほ

ど大きくない場合,スパッタを用いて

デルタ層を

深さ方向分析すると,その組成分布は,カスケー
ドミキシングによって非対称となる。これは,試

料がスパッタされる際に表面位置が内部へ移動す
るためである。しかし,デルタ層の物質のかなり
の部分が表面から失われるまでは,スパッタ初期

における試料内部の組成分布は,正規分布となる。

2.

カスケードミキシングだけがミキシング過程のほ
とんどを占める場合,測定された分布の中心が真

のデルタ層の位置になる(スパッタが平衡に達す
る前に生じる深さのシフトを補正することが前提
となる)

3.

希釈限界以下で,測定されたデルタ層の深さ方向
分布は,指数関数的なすそ(裾)を引く。試料内
部のいかなる原子も浅い方向又は深い方向に移動

する確率は等しい。しかし,浅い方向に移動した
原子はスパッタされるので,表面付近の濃度は無
限に減衰していくためにすそを引く。このすその

存在は,方向性のある

ノックオン効果が働いてい

る証拠であるとしばしば信じられている。真のノ
ックオン効果は,観察されることはまれであり,

スパッタを用いて得た深さ方向分布をゆがませる
主要な原因とはならないであろう。

cascade mixing

5.071 

チャネリング 

結晶中の特定の軸又は面方向に沿ってエネルギーをもった
粒子が選択的に移動すること。 
備考  固体中の個々の原子のポテンシャルが結合して,こ

れらの方向からのエネルギーをもった粒子の散乱を
減少させる。

channelling

5.072 

特性電子エネルギー
損失 

〈AES,EELS,XPS〉物質の特性によって決まる不均一な
エネルギー損失スペクトルを生み出す固体中での電子の

弾性散乱。 
参照  プラズモン 
備考1.  最も顕著な特性損失は,価電子の励起によって生

じる。幾つかの固体(例えば,非遷移金属など)

においては,非弾性散乱はプラズモン励起が支配

characteristic electron

energy losses


14

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

的である。その他の固体では,非弾性散乱は,プ
ラズモン励起と単一価電子励起との組合せによっ
て生じ,これらの励起は区別できない。非弾性散

乱は,もし,エネルギー的に可能な場合には内殻
電子の励起によっても生じる。

2.

特性エネルギー損失は,0  〜100 eV の損失エネル

ギーの領域で最も顕著である。

3.

特性電子エネルギー損失ピークは,しばしばスペ
クトル中の他のピークに付随して観測される。例

えば,オージェ電子ピーク,光電子ピーク一次電
子の弾性散乱ピークなど。

5.073 

特性  

イオン化された原子から,原子番号と原子の化学状態に特

有なエネルギー分布及び強度特性とをもって放出される光
子[1]

備考1. XPS では,この用語は,試料中の光電子を励起す

るのに用いられる X 線源について適用される。

2. EPMA

では,試料から放出された特性 X 線が検出

され,その分析によって試料の組成に関する情報

が得られる。

characteristic X-rays

5.074 

電荷操作 

試料表面における電荷分布の総量又は分布を変えること。 charge

modification

5.075 

帯電中和 

一次粒子又は光子の照射によって,絶縁性又は電気伝導性
の低い試料の表面電位をある値,通常は,ほぼ中性に維持

すること。 
備考  帯電中和は,主に電子を表面に照射することによっ

て達成されるが,まれにイオン又は光子の照射によ

っても達成される。

charge neutralization

5.076 

帯電補正 

〈AES,XPS〉計測したエネルギーを補正して,表面帯電

のない試料のエネルギーと同じになるように,試料の

帯電

電位を決定する手法。 
参照  自然付着炭素基準法 
備考  帯電補正は,しばしば自然付着炭素基準法又は金装

飾法を用いて行われる。

charge referencing

5.077

帯電電位 

絶縁体試料の表面部分において,照射によって変化した電

位。 
備考  試料の異なる表面領域又は深さにおいて,異なった

帯電電位が発生する可能性がある。これは,試料の

不均一性又は入射線フラックスの不均一な強度によ
って発生する。

charging potential

5.078 

化学効果 

〈AES,EELS,EPMA,XPS〉計測した元素のスペクトル
形状又はピークエネルギーが化学結合によって生じる変
化。

chemical effects

5.079 

化学シフト 

〈AES,EELS,EMPA,XPS〉原子の化学状態の変化に起
因する

ピークエネルギーの変化。

chemical shift

5.080 

衝突カスケード 

エネルギーをもった粒子の衝撃によって生じる固体中の原
子間の逐次的なエネルギー移譲。 
参照  アトミックミキシング,カスケードミキシング,ノ

ックオン,反跳注入

collision cascade

5.081 

深さ方向組成分布,
CDP

表面から垂直方向の距離の関数として測定された化学組成

又は元素組成。

compositional depth

profile,

CDP


15

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

5.082 

Δ

E

一定モード,

分光器エネルギー一
定モード, 
CAE

モード,

分光器トランスミッ
ション固定モード,
FAT

モード

電子の減速度を変化させて,分析器のエネルギー分散部に
おける

パスエネルギーを一定にする電子エネルギー分析器

の動作モード。 
備考  このモードは XPS でしばしば用いられ,スペクトル

の全領域で一定の高いエネルギー分解能を達成する
ために用いられる。

constant

Δ

E mode,

constant analyser

energy mode

CAE mode

fixed analyser

transmission mode

FAT mode

5.083 

Δ

E/E

一定モード,

減速率一定モード,
CRR

モード,

減速率固定モード,
FRR

モード

電子の減速電位を変化させて,分析器のエネルギー分散部
における

パスエネルギーが,真空準位基準の運動エネルギ

ーに対して一定の比率となるようにする電子エネルギー分
析器の動作モード。 
備考  このモードは AES でよく用いられ,高エネルギーで

放出された電子に対してスペクトルの分解能を犠牲
にして,

信号対ノイズ比を改善するために用いられ

る。

constant

Δ

E/E mode,

constant retardation

ratio mode

CRR mode

fixed retardation ratio

mode

FRR mode

5.084 

コスタ−クロニッヒ
遷移 

〈AES,EPMA,XPS〉始状態の空孔と同じ殻から発生した
電子を含む

オージェ過程。

参照  オージェ遷移,超コスター・クロニッヒ遷移 
例  L

1

L

2

M

5

; M

1

M

2

N

5

Coster-Kronig

transition

5.085 

カウント 

ある決められた時間内に,検出システムによって記録され
たパルスの全数。 
備考  カウントは(不感時間によるロスがない限り)検出

された粒子一つに一つ対応している。この場合,

(も

し他の

ノイズ源がなければ)カウントはポアソン統

計に従うか,単純に検出した粒子の数に比例する。

計測の方法を明確に記述する必要がある。

Counts

5.086 

クレータ深さ 

測定信号が得られたクレータ領域の平均深さ。 
備考1.  一般にクレータは,スパッタ深さ方向分析時にイ

オン衝撃によって形成される。この場合,その深
さは

変質層の膨張のためスパッタリングによって

除去された試料の厚さとは異なる場合がある。

2.

クレータ深さは,大気又はその他の雰囲気中にば
く(曝)露後,反応層(例えば酸化層)の形成に

よって変化する可能性がある。

crater depth

5.087 

クレータエッジ効果

深さ方向分析時に形成されるクレータの中央領域よりも浅
いクレータエッジからの信号。

crater edge effect

5.088 

断面積 

〈ある特定の標的物と,  ある特定の形態とエネルギーの荷
電粒子又は中性粒子が入射する際に引き起こす反応若しく

はプロセスに対して〉標的物に発生する効果に対する衝突
プロセス又は反応の確率を入射粒子の

フルエンスで除した

値(参考文献[2]を参照のこと。

備考1.  断面積は,しばしば,そのプロセスに対する 1 標

的物(原子,分子など)当たりの面積で表される。

2.

あるビームによって,与えられた状態の数 のう

ちの変化量 dを除去する際の 1 原子当たりの断面
積をσとして,dと距離 dの間には次の関係が
ある。

         

x

n

N

N

d

d

σ

=

ここに,はそのビームが通過する空間の原子の

密度である。

cross-section


16

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

この式を積分すると次の関係が得られる。

         

)

exp(

0

x

n

N

N

σ

=

ここに,N

0

は の原点における の値。

5.089 

弾性散乱断面積 

二体弾性散乱に対する断面積。 

elastic scattering

cross-section

5.090 

微分弾性散乱断面積

標的から十分遠く離れた特定の無限小の立体角の中へ達す

弾性散乱の断面積を無限小の立体角で除した値。

備考  微分弾性散乱断面積は,弾性散乱断面積σ

e

と次の関

係にある。

ここに,d

σ

e

(

Ω

)/d

Ω

は立体角

Ω

における微分弾性散乱断面

積。

differential elastic

scattering cross-section

5.091 

増大された弾性散乱
断面積 

〈EIA,RBS〉弾性散乱に対する原子の

断面積で,試料中の

原子核への入射粒子の部分的な侵入によって,

ラザフォー

ド断面積よりも大きくなるもの。

enhanced elastic

cross-section

5.092 

非弾性散乱断面積 

〈AES,EELS,EMPA,XPS〉物質中を通過する電子の

弾性散乱に対する断面積。

inelastic scattering

cross-section

5.093 

イオン化断面積 

原子の中で,それまでは占有されていた殻に空孔を作る過
程に対する

断面積。

備考1.  全イオン化断面積は,ある原子の任意の殻又は副

殻から一つの電子を取り除く場合に適用される。

2.

部分イオン化断面積又は副殻イオン化断面積は,
その原子のある殻又は副殻から電子を取り除く場

合に適用される。

3.

部分イオン化断面積は殻又は副殻の電子一個当た
りで表されるか,ある原子の殻又は副殻にある全

電子数に対して表される。

4.

一つの原子は,最初のイオン化に引き続く過程,
若しくはオージェ過程又は

コスター・クローニッ

ヒ過程の結果として,複数の空孔をもつことがあ
る。

Ionization

cross-section

5.094 

核反応断面積 

〈EIA〉ある核反応における検出された生成物の特定のビ
ームエネルギー及び放出方向における一原子当たりの断面
積。 
備考  この断面積は通常は一原子当たり,バーンを単位と

する面積として表される。1 バーンは,10

28

 m

2

であ

る。

nuclear reaction

cross-section

5.095 

光イオン化断面積 

あるエネルギーをもち,物質と相互作用し,エネルギー的
に許容できる全副殻から一つ以上の光電子を作る入射光子

に対する全イオン化

断面積。

参照  イオン化断面積,副殻光イオン化断面積

photoionization

cross-section

5.096 

ラザフォード断面積

〈RBS〉古典力学で計算された

弾性散乱断面積。

参照  弾性散乱断面積,増大された弾性断面積 
備考  結果として得られる断面積の公式は,ラザフォード

によって最初に導かれた。

Rutherford cross-

Section

5.097 

阻止断面積 

〈EIA,RBS〉試料内で,粒子が運動方向に沿った距離につ
いてエネルギーを失う割合と,無限に薄い試料厚さに対す

る試料の原子密度の比。

stopping cross-section

ò

=

π

σ

σ

4

e

e

d

d

)

(

d


17

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

備考1.  この阻止断面積は通常 eV·m

2

/atom

の単位で表され

る。

断面積でよく使う一原子当たりの面積ではな

い。

2.

原子密度は数密度 とされたり,質量密度

ρ

とさ

れたりするので,単位は eV·m

2

/atom

又は eV·m

2

/kg

となる。阻止断面積

ε

は次のいずれかの式で与え

られる。

       

)

d

/

d

)(

/

1

(

x

E

N

ε

       

)

d

/

d

)(

/

1

(

x

E

ρ

ε

ここに,dE/dは粒子の運動方向の距離 に対す

るエネルギーの損失割合である。

3. keV·cm

2

/gm

及び他の多くの形式で表した阻止断面

積を載せている古い教科書もある。

5.098 

副殻光イオン化断面
 

物質と相互作用して,ある与えられた副殻から一つ以上の
光電子を作り出す入射光子に対する断面積。 
参照  光イオン化断面積 
備考  一つの副殻からの光イオン化は他の殻からの電子を

シェイクアップしたりシェイクオフしたりすること

がある。

sub-shell

photoionization

cross-section

5.099 

輸送断面積

σ

tr

無限に薄い試料に対して,試料原子の面密度で弾性散乱か

ら発生する試料上の入射粒子の部分的なモーメント損失を
除した値。 
備考1.  この断面積は原子当たりの面積として表される。

2.

あらゆるモーメントの損失に対する断面積は,そ
の値がいかに小さくても,

弾性散乱断面積である。

それとは対照的に,輸送断面積は,大きなエネル

ギーの損失確率の指標である

阻止断面積と類似し

ており,初期モーメントを大きく損失する確率の
指標となる。

3.

輸送断面積は,

微分弾性散乱断面積 d

σ

e

(

Ω

)/d

Ω

関係し,次の式で表せる。

        ここに,

θ

は散乱角。

transport cross-section,

σ

tr

5.100 

断面切り出し 

測定する

界面に垂直な面をへき(劈)開,切断及び研磨を

行う試料作製法。組成の違い及び濃度のこう(勾)配がそ

の断面で測定される。

cross-sectioning

5.101 

不感時間 

パルス計測システムで,これ以下のパルス間隔で到達する

パルスの計測ができない時間。

dead time

5.102 

延長不感時間 

直前のパルスに伴う不感時間内に入力した次のパルスによ
って,不感時間が延長されたシステムの

不感時間。

extended dead time

5.103 

多重検出器不感時間

全検出器を単一検出器として扱ったときのシステム全体の
実効的な

不感時間。

multidetector dead time

5.104 

非延長不感時間 

直前のパルスに伴う不感時間内に入力した次のパルスによ
って,不感時間の延長が起こらないシステムの

不感時間。

non-extended dead

Time

5.105 

ディケイ長 

距離 離れたときに強度が e

±

x/l

を示す場合の長さ の値。

参照  減衰長さ

decay length

5.106 

平均放出関数ディケ
イ長 

特定の深さ範囲における

深さ方向放出分布関数に対して,

指数近似を行った際に得られる対数表示された負となる傾

average emission

function decay length

θ

θ

θ

σ

π

σ

π

d

sin

)

cos

1

(

d

)

(

d

2

0

e

tr

=

ò


18

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

きの逆数。線形表示された深さに対して,対数表示された
深さ放出分布関数における直線フィッティングによって決
定される(参考文献[1]を参照のこと。

5.107 

深い放出関数ディケ
イ長 

表面から深い方向に向かうときの

放出関数ディケイ長の漸

近値。

deep emission function

decay length

5.108 

放出関数ディケイ長

特定の深さにおける対数表示された

深さ方向放出分布関数

の負となる傾きの逆数の値(参考文献[1]を参照のこと。

emission function

decay length

5.109 

上昇端ディケイ長 

極大値を通過する前の深さとともに,増大する信号強度の
ディケイ長の値。 
備考  この用語は,主にデルタ層の SIMS の深さ方向分析

に用いられる。AESXPS 

スパッタ深さ方向分布

にも用いられる。

leading edge decay

length

5.110 

下降端ディケイ長 

極大値を通過した後の深さとともに減少する信号強度の

ィケイ長の値。 
備考  この用語は,主にデルタ層の SIMS の深さ方向分析

に用いられる。AESXPS 

スパッタ深さ方向分布

にも用いられる。

trailing edge decay

length

5.111 

イオン化率, 
イオン化係数 

〈SIMS,FABMS〉放出されたある化学種のイオン数を,

その同種のスパッタ粒子数で除した値。

degree of ionization

5.112 

デルタ層 

基板上に,成膜中に形成される不連続組成をもつ一原子厚

さの層。 
備考  単結晶基板上へのエピタクシャル成長によって形成

されることが多い。

delta layer

5.113 

深さ方向放出分布関
 

〈表面から放出される粒子又は放射の測定信号に関して〉
粒子又は放射が,表面から物質側に垂直に測った特定の深

さから発生し,特定の状態である方向に表面から放出され
る確率。

emission depth

distribution function

5.114 

深さ方向励起分布関
 

ある方向で表面に入射する特定の粒子束又は放射束によっ
て,表面から物質側に垂直に測った特定の深さにおいて,
特定の励起が発生する確率(参考文献[1]を参照のこと。

excitation depth

distribution function

5.115 

深さ方向分布測定 

表面に垂直な距離に関連する変数の関数として,

信号強度

を計測すること。 
参照  深さ方向組成分布 
備考  信号強度は,通常スパッタリング時間の関数として

測定する。

depth profiling

5.116 

深さ分解能 

二種の物質媒体間の理想的に急峻な

界面,又は,ある一つ

の物質媒体中のデルタ層に対する深さ方向分布を測定した
ときに,特定の量だけ信号が変化する距離。 
備考  精確な値は,深さに対する信号の関数に依存する。

しかしながら,日常的な分析において,AES 及び XPS
では上層又は基板からの信号が,プラトー領域値の

間の全変化量の 16  %から 84  %に対応する界面での
距離を慣習的に用いる。

depth resolution

5.117 

装置起源深さ分解能

〈AES,SIMS,XPS〉装置のパラメータに由来する試料中
の深さ分解能。 
備考  スパッタ深さ方向分布測定では,これらのパラメー

タに系のアラインメント調節が含まれる。また,イ
オン種,エネルギー,入射角度,及びスパッタリン
グ中の試料回転を含めてもよい。

instrumental depth

resolution

5.118 

装置起源深さ分解能

〈MEIS,RBS〉分光器のエネルギー分解能に由来する試料

instrumental depth


19

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

中の深さ分解能。 resolution

5.119 

深さ分解能パラメー
 

(i)

測定した深さ方向組成分布を解析的に近似するときの

係数,又は (ii) その分布を記述する定性的方法として使用

してもよいパラメータ。 
参照  深さ分解能 
例  (ガウス形応答関数における)標準偏差,(任意の鐘形

曲線分布における)半値幅,及び(応答関数の指数的
な増加又は減少領域における)

ディケイ長。

備考1.  鐘形曲線分布では標準偏差を用いることができ

る。階段状の組成変化に対してパラメータを測定
したときには,測定深さ領域を十分大きくし,ス
テップのいずれの側でも,信号が深さに対して十

分に一定になることを確認するように注意しなけ
ればならない。

2.

一貫したパラメータを定義すること。

3.

深さ分解能パラメータは,装置の評価及び分布デ
コンボリューションに用いる。

depth resolution

Parameter

5.120 

検出限界 

特定の分析条件下において測定可能な元素又は化合物の最
少量。 
備考1.  慣例によって,検出限界は,物質の全信号からバ

ックグラウンド信号を引いた値が,バックグラウ
ンド信号を超える信号の標準偏差の 3 倍になる量
に対応するとみなすことが多い。この慣例はすべ

ての測定には適用できないため,検出限界の詳細
は参考文献[3]を参照のこと。

2.

検出限界は目的に応じて多くの方法で表記するこ

とができる。表記の例としては,質量分率,原子
分率,濃度,原子数,及び質量がある。

3.

物質が異なれば,一般に検出限界も異なる。

detection limit

5.121 

検出器効率 

検出器に入射する粒子又は光子のうち,検出される信号と
なる割合。

detector efficiency

5.122 

微分スペクトル 

〈AES(まれに XPS)

〉アナログ電圧

変調法,又はスペクト

ルの数値微分によってエネルギーに関して

直接スペクト

ルを微分したスペクトル。 
備考  変調振幅を eV で,又は微分関数の点数と形式を示す

こと。

differential spectrum

5.123 

希釈限界 

〈SIMS〉それ以下では,SIMS による信号が確実に組成に
比例するとみなせる均質マトリックス中の不純物種の原子
分率又は原子濃度。

dilute limit

5.124 

直接スペクトル 

〈AES,XPS〉エネルギーの関数として,分散形エネルギ
ー分析器を用いた分光器を透過させて検出した電子の強

度。 
備考1.  分散素子をもたない減速形エネルギー分析器で

は,直接スペクトルは検出した電流の減速エネル

ギーに対する一次微分から得られる。

2.

慣習的に,XPS における直接スペクトルは

Δ

定モードで表示することが多く,この場合のスペ
クトルは真のスペクトルに近似できる。一方,AES
では,

ΔE/E 一定モードで表示されることが多く,

そのスペクトルは真のスペクトルに を乗じたも

direct spectrum


20

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

のになる。

5.125 

ドーズ量(線量) 

面ドーズ量(番号 5.126)と同義。 Dose

5.126 

面ドーズ量, 
ドーズ密度 

dN

を dで除した値。ここで,dは表面積 dを通って固

体内に侵入した特定の種類のエネルギーをもった粒子数。

A

N

D

d

/

d

=

備考1.  エネルギーをもった粒子は電荷を帯びているか又

は中性の原子若しくはクラスターであり,表面積

dA

は幾何学的な表面積である。

2.

定常的な平行ビームの場合,面ドーズ量は,

フル

エンスと cos

θ

の積に等しい。ここで

θ

は,法線方

向に対するビームの

入射角である。

3.

ドーズ密度という用語は使われることもあるが,
ドーズ量(面ドーズ量)の方が一般的である。ド
ーズという用語は放射線科学,医学では異なった

意味で定義されている。ドーズ量という用語を表
面に照射した粒子の全量という意味で使う場合
と,粒子の量を表面積で除した値という意味で使

う場合がある。ここでいうドーズ量は,後者の意
味である。ドーズ密度及びドーズ量という用語が
出てきた場合,面ドーズ量を意味する。

4.

イオン注入標準物質と関連する面ドーズ量の説明
は,参考文献[4]を参照のこと。

areic dose, 
D 

5.127 

注入面ドーズ量, 
D

imp

dN

imp

を dで除した値。ここで,dN

imp

は表面積 dの固体

内に入り,固体内にとどまった特定の種類の加速粒子数。

備考  固体内にとどまらなかった粒子は,後方散乱又は透

過した粒子のいずれかである。

implanted areic dose, 
D

imp

5.128 

公称面ドーズ量, 
D

nom

概算的な方法で測定する

面ドーズ量。

備考  一般に,荷電粒子ビームに用いる D

nom

は,電流の積

分に相当する粒子数を,ビームが面内を均一に走査

された領域の表面積と時間とで除した値として求め
られる。したがって,D

nom

は の近似的な平均値と

なる。

nominal areic dose, 
D

nom

5.129 

非注入面ドーズ量 

受面ドーズ量のうち,試料内にとどまらなかった粒子の面
ドーズ量。 
備考  注入面ドーズ量と非注入面ドーズ量との合計は,受

面ドーズ量に等しい。

non-implanted areic

dose

5.130 

面ドーズ量率, 

dD

を dで除した値。ここで,dは時間 dの間に固体内に

侵入した粒子の

面ドーズ量。

備考  定常的な平行ビームの場合,面ドーズ量率はフラッ

クスと cos

θ

との積に等しい。ここに,

θ

は試料法線

方向に対するビームの

入射角である。

areic dose rate, 
G

5.131 

受面ドーズ量, 
D

rec

dN

rec

を dで除した値。ここで,dN

rec

は表面積 dの固体内

部に侵入した,エネルギーをもった特定種類の粒子の数。

received areic dose, 
D

rec

5.132 

残留面ドーズ量, 
D

ret

dN

ret

を dで除した値。ここで,dN

ret

は表面積 dの固体内

部に侵入し,固体内で止まり,そこに残留した特定種類の

retained areic dose, 
D

ret

A

N

D

d

/

d

imp

imp

=

t

D

G

d

/

d

=

A

N

D

d

/

d

ret

rec

=


21

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

エネルギーをもった粒子の数。

備考1.  固体内でとどまったがそこに残留しなかった粒子

は,熱的に蒸発又は固体がスパッタされることに
よって再放出された粒子を意味する。

2.

残留面ドーズ量は,

注入面ドーズ量の一部である。

5.133 

スパッタ面ドーズ量

注入面ドーズ量のうち,スパッタリングによって試料から
失われた

面ドーズ量。

備考  スパッタ面ドーズ量は,注入面ドーズ量の一部であ

る。

sputtered areic dose

5.134 

ダイナミックエミッ
タンスマッチング法

試料表面上のラスター走査のすべてのポイントにおいて,
一次ビームの衝突エリアを分光器の軸とそろえるための電
子又はイオン光学式方法。

dynamic emittance

matching

5.135 

電子エネルギー分析
 

電子の

運動エネルギーの関数として,電子数又は電子数に

比例した強度を測定する装置。 
参照  電子分光器

electron energy

analyser

5.136 

電子フラッド法 

帯電電位を変化させたり,安定化させたりするために低エ
ネルギー電子を試料に照射すること。

electron flooding

5.137 

電子減速法 

〈AES,XPS〉

電子エネルギー分析器の前段又は内部で,

放出電子のエネルギーを減速することによって

運動エネル

ギー分布を測定する方法。

electron retardation

5.138 

電子分光器 

電子のエネルギー分析器を基本部分とする装置。 
備考  電子分光器は,電子エネルギー分析器の同義語とし

て,又は電子エネルギー分析器と附属する電子光学
要素からなる,より複雑な装置を記述するのに用い

る。場合によって,この用語はエネルギー分析器,
電子光学要素,電子検出器,励起源,真空ポンプ制
御電源及びデータ処理システムから構成される完全

な動作装置を記述するのに用いられる。

electron spectrometer

5.139 

発光収率 

〈GDOES〉ある特定波長における発光信号に関して,あら

かじめバックグラウンドを差し引いた信号強度を時間積分
して得られる積分強度を,その時間内にスパッタされた試
料原子の質量総量で除した値。

emission yield

5.140 

エネルギー端 

〈EIA,RBS〉元素又は同位体元素が試料の表面に存在する
としたときの

後方散乱エネルギー値。

energy edge

5.141 

エネルギー損失 

試料と相互作用するときの粒子とによる損失エネルギー。 
参照  特性電子エネルギー損失,プラズモン

energy loss

5.142 

電子エネルギー損失
スペクトル 

試料との非弾性散乱によって放出される見かけ上,単一の
エネルギー源から得られる電子のエネルギースペクトル。
これは,しばしば,特定の非弾性損失過程によって生じる

ピークをもっている。 
参照  特性電子エネルギー損失,プラズモン 
備考1.  AES 又は XPS ピークとほぼ同じエネルギーの入射

電子線を用いて得られたスペクトルから,そのピ
ークに対応するエネルギー損失スペクトルが近似
できる。

2.

入射電子線によって測定された電子エネルギー損
失スペクトルは,ビームエネルギー,電子線の

射角,放出角及び試料の電子的諸特性の関数であ

electron energy loss

spectrum

A

N

D

d

/

d

ret

ret

=


22

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

る。

5.143 

入射ビームエネルギ

ビーム衝撃エネルギー(番号 5.060)を参照。

energy of incident

beam (deprecated)

5.144 

チャンネル当たりの
エネルギー 

スペクトルの隣接チャンネル間のエネルギー差。

energy per channel

5.145 

表面近似エネルギー

〈EIA,RBS〉固体中を移動するイオンのエネルギーを含む
計算を単純化するため,適正に平均化したエネルギーの代

わりに表面におけるイオンのエネルギーを使うこと[1]

備考  この近似は,散乱断面積又は阻止断面積を計算する

ときのエネルギーを決定するために用いる。

surface approximation

energy

5.146 

浸食率 

〈表面〉粒子又は光子の照射によって生じる表面位置の変
化量を照射時間で除した値。 
参照  スパッタリング率 
備考1.  浸食率は,分析後のクレータを表面形状測定する

ことで推定される。この場合,

変質層及び分析後

の酸化の影響を考慮する必要がある。

2.

スパッタリングにより浸食が生じる場合は,スパ
ッタリング粒子が保持されるために,初期には浸

食率がスパッタリング率より小さい場合がある。

3.

浸食率は,浸食速度として測定しても差し支えな
い。

erosion rate

5.147 

平均脱出深さ 

特定の粒子又は電磁波が表面から脱出するとき,次の式で
定義される垂直方向に測った平均深さ(参考文献[1]を参
照のこと。

ここで,

φ

z

θ

)は表面から物質中への深さ z,表面に

垂直な方向から測った

放出角

θ

に対する

放出深さ方向分布

関数である。

mean escape depth

5.148 

ファラデーカップ 

入射した荷電粒子の電荷量を検出するため,検出器からの
荷電粒子の放出が最小になるように設計された杯状の電極

構造の検出器。 
備考  ファラデーカップは,外側から内部へ移動する荷電

粒子に対してだけ開放され,内部から外部へ移動す

るいかなるタイプの荷電粒子に対しても閉じられて
いるのであれば,ブラックホールとしての性質をも
つ。イオンビームに対する検出器としては,ブラッ

クホールの機能と電子及び二次イオンに対する選別
器としての機能とを併せもつならば,理想的なファ
ラデーカップといえる(すなわち,ファラデーカッ

プはイオンビームの移動方向にだけ開放されるが,
カップの内部及び外側からのすべての電子及び二次
イオンに対しては閉鎖されている)

Faraday cup

5.149 

フ ェ ル ミ エ ネ ル ギ
ー, 
フェルミ準位

〈伝導体〉絶対 0 度における荷電子帯電子の最大エネルギ
ー。 
参照  真空レベル 
備考  絶縁体及び半導体に対しては,フェルミエネルギー

は通常価電子帯と伝導帯との間にある。

Fermi energy

Fermi level

5.150 

フェルミ順位基準 

〈XPS,UPS〉XPS 又は UPS のスペクトルの解析によって, Fermi level referencing

ò

ò

0

0

d

)

(

/

d

)

(

z

z

z

z

z

θ

φ

θ

φ


23

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

フェルミ順位に対応した運動エネルギーを結合エネルギー
のゼロ点として,特定の試料に対する結合エネルギー軸を
決めること(参考文献[1]を参照のこと。

参照  真空順位基準

5.151 

電界誘起移動 

絶縁物中で,イオン又は電子の衝撃によって生じる内部電
界のため,試料を構成する原子が移動する現象。

field induced migration

5.152 

終状態 

〈AES,EPMA,XPS〉

オージェ,X 線又は光電子放出過程

後の原子の状態。

final state

5.153 

フルエンス, 

〈あらゆる方向に動いている粒子に対して〉dを dで除
した値。ここで dは断面積 dの球殻に入射する特定粒子

の数。

fluence, 
F

5.154 

フルエンス, 

〈平行な粒子ビームに対して〉dを dで除した値。ここ

で dはビームの方向に垂直な面積 dにおける特定の種類
の入射粒子の数。

備考1.  走査される平行ビームの場合は,フルエンスは実

験室系又は走査線自体のもつ移動座標系で規定す

ることができる。後者では一般的に高い値になる。
このような状況でフルエンスを活用するには,使
用される座標系の明確な説明が必要となる。

2.

フルエンスという用語は,面ドーズ量という意味
で使用されている場合がある。これは正しい解釈
ではなく,混乱を招いている。面ドーズ量の定義

備考 2.を参照のこと。

3.

平行ビームに関しては,

フルエンスとフラックス

とは同等の測定量である。

fluence, 
F 

5.155 

蛍光 

〈AES,TXRF,XPS〉入射線によって形成された内殻の空
孔に,より低い束縛エネルギー状態にある充満した殻の電
子が遷移する際に発生する X 線。

fluorescence

5.156 

蛍光収率 

〈AES,TXRF,XPS〉特定の内殻に空孔をもつ原子が,

光 X 線放射によって緩和する確率。

fluorescence yield

5.157 

フラックス,

Φ

 

〈粒子ビームに対して〉dを dで除した値。ここに dは,
時間 dの間に通過する特定の種類の粒子の数。

備考  平行ビームに関しては,フルエンス率とフラックス

密度とは等価な測度である。

flux,

Φ

5.158 

ゲート領域 

信号が検出され得る領域内の指定された領域。 
備考  通常,指定領域はクレータの中心部に,光学アパー

チャ,電気的ゲート又はデジタルゲートによって設
定される。

gated area

5.159 

デジタルゲート 

情報を得たい領域からの累積データを作り出すために,選
択した一まとまりのイメージピクセルのデータを足し合わ
せることができるシステム。

digital gate

5.160 

電気的ゲート 

一次ビームが走査領域の選択した部分を照射するときにだ
け信号を蓄積するように,ビーム走査システムからの信号

によって計数状態のオン・オフを設定できるカウンタ又は
検出器をもつシステム。

electronic gate

5.161 

グロー放電 

気体中に電流が流れる結果として生じる現象で,発光を伴

glow discharge

A

N

F

d

/

d

=

t

N

Φ

d

/

d

=


24

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

い,低電流密度(約 0.01  〜1 000 A/m

2

,及び放電電圧が気

体のイオン化ポテンシャル以上,スパークポテンシャル以
下であることを特徴とする。 
備考1.  グロー放電を利用する表面分析装置では,正イオ

ン及び運動エネルギーをもつ中性の化学種の表面
衝撃によって,試料物質が気体放電の中に入る。

その後,導入された試料物質は放電の中の衝突に
よって,励起及びイオン化を受ける。

2.

分析用のグロー放電装置では通常,アルゴンを用

い,10  〜2 000 Pa の圧力範囲で動作させる。

5.162 

金装飾法 

〈XPS〉絶縁体の上に不連続な島状に蒸着した極少量の金
によって

帯電補正を行う方法。

備考1.  金は蒸着するか,溶液中に浸せき(漬)してコロ

イド状の金沈殿物を形成することによってたい
(堆)積する。

2. Au4f

7/2

の束縛エネルギーは,通常 84.0 eV に指定さ

れる。しかし,金の束縛エネルギーの測定値は,
導電性の基板に蒸着した場合でも,金の島の直径

の平均値によって変化する。

gold decoration

5.163 

斜め出射, 
グレージング出射,
グランシング出射 

散乱された(又は放出された)粒子の角度が試料表面の法

線から 90°に近い幾何学的配置。 
備考  この配置は,一般的に表面感度を増強し,深さ方向

分解能を向上させる効果がある。

grazing exit

glancing exit

5.164 

斜め入射, 
グレージング入射,
グランシング入射 

試料表面の法線に対しほぼ 90°の角度で粒子が入射する
幾何学的配置。 
備考  この配置によって表面感度が向上する(例えば,

TXRF

grazing incidence

glancing incidence

5.165 

面情報深さ方向分布

深さの関数又は

スパッタリングによって削られる物質の量

の関数として表示される特定の元素又は分子種(放出され
た二次イオン又は二次電子によって示される。

)の三次元空

間分布(参考文献[1]を参照のこと。

image depth profile

5.166 

入射粒子エネルギー

試料表面に入射する粒子の

運動エネルギー。

参照  ビームエネルギー,ビーム衝突エネルギー 
備考  入射エネルギーは,入射する原子クラスターの 1 原

子ごとのエネルギーとして示すこともできる。しか
し,混乱を避けるために,その場合は per atom の

語句を用いるべきである。

incident-particle energy

5.167

電子の非弾性散乱バ
ックグラウンド除去
 

〈AES,XPS〉測定されたスペクトルから非弾性散乱バッ

クグラウンドを除去する処理。 
参照  非弾性バックグラウンド,シャーリーバックグラウ

ンド,ツガードバックグラウンド

備考 AES と XPS では,考慮しているオージェ電子又は光

電子のピークに付随しているバックグラウンドとし
て,ピークに近いエネルギーをもつ電子を入射させ

てエネルギー損失スペクトルを測定し,近似として
用いてきた。ツガードのバックグラウンドも同様に
用いられてきた。正確ではないが,より単純な非弾

性バックグラウンド関数として,シャーリーバック
グラウンドがある。単なる直線のバックグラウンド
も利用されるが,更に不正確であり,絶縁物を XPS

inelastic electron

scattering background

subtraction


25

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

で解析する場合以外は用いられない。

5.168 

電子の非弾性平均自
由行程 

あるエネルギーをもつ電子が,ある非弾性衝突から次の非
弾性衝突を起こすまでに移動する平均距離。 
参照  減衰長さ

electron inelastic mean

free path

5.169 

非弾性散乱 

運動している粒子と別の粒子又は粒子団との相互作用で,

全体の

運動エネルギーが保存されないもの。

備考  運動エネルギーは,様々なメカニズム,例えば,内

殻イオン化,プラズモン励起,フォノン励起,制動

放射などで固体に吸収される。通常このような励起
は,運動している粒子の方向にわずかな変化を生じ
させる。

inelastic scattering

5.170 

情報深さ 

有効な情報が得られる表面垂直方向の最大深さ。 
備考1.  情報深さは,表面分析法によって大きく異なる。

それぞれの手法による情報深さは,分析する材料,
測定に用いる信号,及び測定の幾何学的条件に依
存する。

2.

情報深さは,検出した信号のある特定の割合(例
えば,95  %又は 99  %)が発生する試料の厚さか
ら求められる。

3.

情報深さは,測定,計算,又は推定した信号の

さ方向放出分布関数から決定できる。

information depth

5.171 

初期状態 

〈AES,EPMA〉

オージェ遷移又は X 線放出が生じる前の

原子の内殻空孔励起状態。

initial state

5.172 

初期状態 

〈XPS〉光電子放出が生じる前の原子の基底状態。 initial

state

5.173 

装置検出効率 

測定可能量に対する測定量の割合。 instrumental

detection

efficiency

5.174 

ピーク強度 

構成成分のスペクトルピークに対する

信号強度の測度。

備考1.  強度は,通常,定量的な目的のために測定される

が,電子の直接スペクトル又は質量スペクトルに
対して,ある定義されたバックグラウンドを超え
るピーク高さ,又は

ピーク面積としてよい。単位

としては,カウント,カウント eV,カウント/秒,
カウント eV/秒,カウント/amu,カウント/秒/amu
などがある。

微分電子スペクトルの場合,強度は

ピークからピークまでの高さ又はピークからバッ
クグラウンドまでの高さなどが用いられる。各々
の場合,強度の測度を定義し,その単位を表記し

なければならない。

2.

ピーク強度が,バックグラウンドを除去する前又
は後での測定されたピークの文字通りの最大値を

意味する場合はまれである。

peak intensity

5.175 

信号強度 

分光検出器で測定される信号強度,又は何らかの定義され

た処理の後の信号強度。 
備考1.  信号強度は,信号の発生点と信号の検出点との間,

更には検出点と測定装置の表示部との間では大き

く変化する。

2.

信号強度は,カウント(/チャンネル)

,カウント/

秒(/チャンネル)

,カウント・eV/秒,又はその他

の単位で表記される。AES では,信号強度の微分
を分光器の電極のアナログ変調,又はスペクトル

signal intensity


26

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

の数値微分によって得ることができる。このため,
信号の種類を定義する必要がある。

3.

電子スペクトル又は質量スペクトルにおいて,エ

ネルギー又は質量及び立体角について積分した測
定スペクトルは電流に等しい。分光器が校正済み
であれば,強度の単位は,電流 eV

1

·sr

1

又は電流

amu

1

·sr

1

となる。スペクトルが単位一次ビーム電

流で規格化されている場合,eV

1

·sr

1

又は amu

1

·sr

1

が適切な単位となる。スペクトルが放射立体

角について積分されている場合は,eV

1

又は amu

1

が適切な単位となる。

5.176 

界面 

化学的,元素的,又は物理的に異なる特性をもつ二相の境

界。

interface

5.177 

観測された界面幅 

〈AES,XPS,SIMS〉二つの異なったマトリックスの接合

部において,16  〜84  %又は 84  〜16  %の

信号強度の変化

が測定される距離。マトリックスの厚さは,観測された界
面幅の 6 倍より大きくなければならない。

observed interface

width

5.178 

界面領域 

二相間に存在し,いずれの相とも化学的,元素的,又は物
理的に異なる特性をもつ領域。

interfacial region

5.179 

妨害信号 

〈質量分析法,光学的スペクトル法,TXRF〉対象外の化学
種が原因で,注目している質量,エネルギー又は波長の位

置で測定される信号。 
備考  一般的には, 妨害 という用語は,電気ノイズ,ラ

インのピックアップノイズ,又はその他検出したい

信号に対して好ましくない効果を及ぼすものなど比
較的広義に使用してもよい。

interference signal

5.180 

内部炭素基準 

〈XPS〉実験的に決定した試料に含まれる特定の炭素化合

物の C 1s 束縛エネルギー値とその炭素化合物の標準的束縛
エネルギー値とを比較することによって,試料の

帯電電位

を決定する方法。 
参照  自然付着炭素基準 
備考  試料内の炭化水素分子が,この目的によく用いられ

る。

internal carbon

referencing

5.181 

内部散乱 

ある粒子が分光器の内側の表面に衝突することで,散乱粒
子又は二次粒子がスペクトル中の望ましくない信号強度と

して検出されるようなプロセス。

internal scattering

5.182 

イオンビーム 

電荷をもった原子又は分子の方向性のある

フラックス[1]。 ion

beam

5.183 

イオンビーム誘起物
質輸送 

イオン衝撃で生じる試料中の原子の移動。

ion beam induced mass

transport

5.184 

イオン像 

〈SIMS〉試料のある決まった領域から放出された特定の二
次イオンの量を空間分布として二次元に表現したもの。 
参照  元素マップ

ion image

5.185 

イオン注入 

試料へイオンを注入すること(参考文献[1]を参照のこ
と。

ion implantation

5.186 

イオン寿命 

ある特定の電子配置(例えば,原子の特定の殻に空孔をも
つ配置)でイオンが存在し得る平均時間。

ion lifetime

5.187 

イオン中和 

〈ISS,SIMS〉材料の表面若しくは気相の原子又は分子と
相互作用することで,イオンがその電荷を失う電荷交換過

程。

ion neutralization

5.188 

イオン散乱分光器 

〈ISS〉主として,単一エネルギーで一価の低エネルギー

ion-scattering


27

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

次イオンを発生し,固体表面から特定の角度に散乱された
一次イオンのエネルギー分布を調べることができる装置
(参考文献[1]を参照のこと。

備考  表面化学分析への応用では,入射イオンは通常 0.1

〜10 keV の範囲のエネルギーをもつ希ガス原子が用
いられる。

spectrometer

5.189 

イオン散乱スペクト
 

〈ISS〉試料から散乱されたイオンの強度を,入射イオンエ
ネルギーに対する散乱イオンエネルギーの比の関数として
プロットしたもの。

ion-scattering spectrum

5.190 

イオン種 

イオンの種類と電荷。 
例 Ar

+

,O

,H

2

+

備考  もし同位体を使用する場合は,そのことを明示しな

ければならない。

ion species

5.191 

部分イオン収率 

特定の粒子種について,試料からスパッタされた全粒子数
に対するイオン数の比。 
参照  部分スパッタリング収率

fractional ion yield

5.192 

負イオン収率   

入射一次イオン粒子の総数に対する試料からスパッタされ
た負の二次イオン総数の比。

negative ion yield

5.193 

正イオン収率 

入射一次イオン粒子の総数に対する試料からスパッタされ
た正の二次イオン総数の比。

positive ion yield

5.194 

実効イオン収率 

〈SIMS〉試料からスパッタされた特定の元素の総原子数に
対する検出されたその元素のある同位体のイオン数の比。 
参考  この定義で用いられることはまれである。多くの場

合,次の意味で用いられる。

試料からスパッタされた特定の粒子種について,スパッ

タされた全粒子数に対する検出器でカウントされたイオン

数の比。質量分析器の透過効率と検出器の検出効率とを含
む値。

useful ion yield

5.195 

ジャンプ比 

〈EPMA,TXRF〉吸収端前後における低エネルギー側に対
する高エネルギー側のX線

吸収係数の比。

備考  X 線吸収スペクトルは,光イオン化のいき(閾)値

近傍においては複雑な形状をもつため,必ずしも明
確な吸収端が観察されるわけではない。

Jump ratio

5.196 

動力学的因子 

〈EIA,RBS,ISS〉実験室系での照射粒子の衝突前のエネ
ルギーに対する弾性衝突後のエネルギーの比。 
備考  動力学的因子(因子)には通常,記号 が使われ,

ISS

又は RBS の測定では,K

Si

又は K

28

のようにター

ゲット原子を示す添え字が付けられる。同位体が正
しく識別できるので,添え字は質量数のほうが望ま

しい。

kinematic factor

5.197 

運動エネルギー 

運動のエネルギー。 
備考  運動による荷電粒子のエネルギーは,必ずしも一定

ではなく,局所電場によって変化する。もし,すべ
ての局所電極が接地電位であるならば,粒子の運動
エネルギーは,その局所真空準位で変動する。この

真空準位は,AES 及び XPS 装置の異なった位置で 1

eV

以上変化し得る。したがって,測定された電子の

エネルギーも同様に変化する。この変動は,もし,

運動エネルギーを

フェルミ準位基準にするならば取

り除かれる。XPS においては,習慣として,

フェル

kinetic energy


28

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

ミ準位基準が常に使われるが,AES においては,真
空準位基準及びフェルミ準位基準の両方が使われ
る。AES 及び XPS が両方とも使える装置では,フェ

ルミ準位を基準にしている。AES でのエネルギーの
正確な測定のためには,フェルミ準位基準が推奨さ
れる。電子分光装置においては,フェルミ準位基準

で校正されたエネルギー値は,真空準位基準の値よ
りも典型的には 4.5 eV 大きい。AES においては,フ
ェルミ準位基準のオージェ電子ピークエネルギーを

真空準位基準エネルギー,又は,その逆に矛盾なく
変換できるように,

標準真空準位をフェルミ準位の

4 500 eV

上方に仮定するのが便利である。

5.198 

ノックイン, 
ノックオン, 
反跳注入 

一次粒子との衝突の結果として生じた試料構成原子の試料
のより内部への移動。 
参照  アトミックミキシング,カスケードミキシング,衝

突カスケード

備考  ノックイン過程は,構成原子の前方への移動(一次

衝撃の方向)だけに適用される。一方,

カスケード

ミキシングは,前方に加えて後方への原子の移動も
含む。

knock-in

knock-on

recoil implantation

5.199 

クープマンエネルギ
 

電子を無限遠まで離したとき,電子緩和を伴わないとした
仮定のもとでの,軌道電子の計算されたエネルギー(参考
文献[1]を参照のこと。

Koopmans energy

5.200 

ラインスキャン 

試料表面上の想定された線に沿った分光器からの出力信号
強度,他の検出器からの信号強度,又は利用可能なソフト

ウエアによって処理された強度情報をプロットしたもの。 
備考  ラインスキャンの方向は,通常長方形のラスターに

おける x 又は y-線走査が用いられるが,より高度な

システムでは,任意の方向の線走査が可能である。

参考  線分析とも呼ばれる。

line scan

5.201 

ライン形状 

固有の特徴をもつ測定されたスペクトル形状。 lineshape

5.202 

真性ライン形状, 
自然ライン形状 

〈AES,UPS,XPS〉装置上の影響をすべて取り除いた後の
スペクトルの

ライン形状。

備考1.  状況に応じて,目的のライン形状からバックグラ

ウンドを取り除くことができる場合がある。真性
ライン形状を決定する操作は複雑な場合があり,

したがって,明確に記述されなければならない。

2. AES

では,

非弾性散乱,二次電子,又は後方散乱

電子によるバックグラウンドを除去できる場合が

ある。

非弾性バックグラウンド,シッカフスバッ

クグラウンドを参照。

3. XPS

では,試料中の他の光電子放出過程及び非弾

性散乱過程によるバックグラウンドを除去できる
場合がある。

非弾性バックグラウンドを参照。

intrinsic lineshape

natural lineshape

5.203 

真性ライン幅 

〈装置〉

分解能(番号 5.254,5.255)を参照。 intrinsic

linewidth

5.204 

真性ライン幅, 
自然ライン幅 

〈AES,UPS,XPS〉バックグラウンド及び励起源による影

響などすべての装置依存項を取り除いた後の特定の遷移に
対するスペクトルの半値全幅。 
備考  測定ライン幅は,ライン形状によって決定されるが,

そのライン形状は真性ライン形状,試料及び装置(例

intrinsic linewidth,

natural linewidth


29

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

えば,XPS における X 線源のライン幅,AES,XPS
両方における

分光器のエネルギー分解能など)から

くる広がりの影響を重ね合わせたものである。

5.205 

マップ, 
画像 

試料表面の二次元表示。描画上の各ポイントにおける情報
は分光器からの出力信号,別の検出器からの出力信号,又
は利用可能なソフトウエアによって処理された強度情報に

関係付けられている。 
備考1.  慣例的には,通常,マップは情報が主に組成に関

する場合に用いられ,一方,画像は主として凹凸

に関する場合に用いられる。

2.

通常,マップ及び画像は

一次ビームの長方形ラス

ターを使用するか,又はイメージング検出システ

ムを使用して形成される。

3.

マップの強度は,最大及び最小の信号強度を,例
えば,それぞれ全白及び全黒,又はカラースケー

ルになるよう規格化された方法で表示される。し
たがって,コントラストのスケールを定義しなけ
ればならない。

map

image

5.206 

元素マップ 

試料に存在する元素の量に比例する信号による

マップ。 elemetal

map

5.207 

化学状態マップ 

試料中の特定な化学状態にある元素の量に比例する信号に
よるマップ。

chemical map

5.208 

質量分析器 

質量と電荷との比の関数として,粒子を分散させて検出す
る装置。

mass analyser

5.209 

質量スペクトル 

質量と電荷との比の関数として,測定された粒子信号のプ

ロット。

mass spectrum

5.210 

マトリックス効果 

化学的若しくは物理的環境の変化から生じた試料中の元素

に関する強度又はスペクトル情報の変化。 
備考  環境変化の例:異なる試料形態(例えば,薄膜,ク

ラスター,繊維組織,ナノ構造)

,非晶質若しくは結

晶,マトリックスの種類の変化,他の物理相又は化
学種に近接した状態。

matrix effects

5.211 

マトリックス因子 

マトリックスの組成に依存する係数。表面分析によって,
組成を決定するための定量式において,適切な感度係数と
測定強度との商に乗じるマトリックスの組成による因子。 
備考  AES のような手法においては,マトリックス因子は,

表面近傍の物質の組成及び試料中の分析容積の組成
から決められる。

matrix factor

5.212 

輸送平均自由行程

λ

tr

エネルギーをもつ粒子について,初期の運動方向における
運動量が,弾性散乱だけによって初期値の 1/e に減少する

までに移動する平均距離。 
備考  均一で等方的固体において,二体弾性散乱が起こる

場合の輸送平均自由行程は,

輸送断面積

σ

tr

と,

の関係をもつ。ここに,は単位体積当たりの

散乱体の個数。

transport mean free

path,

λ

tr

5.213 

変調 

〈AES,微分スペクトル〉

微分スペクトルを発生させる目

的で分光器の透過エネルギー又は試料に印加された周期的
波形。 
備考  変調の振幅は,ピーク対ピークの電圧よりもむしろ,

modulation

tr

tr

1

σ

λ

N

=


30

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

分光器の適切な幾何学的因子を考慮したピーク対ピ
ークを eV 表示で与えるべきである。振動数と波形も
与えるべきである。

5.214 

単層 

〈化学吸着,物理吸着,偏析〉一つの化学種の 1 原子層又
は 1 分子層によって,基板が完全に覆われた状態。 
備考  単層という用語は一般に,吸着又は偏析しているす

べての原子又は分子の基本単位が表面に接触してい
ることを示している点で,

多層という用語と異なる。

monolayer

5.215 

単層容量 

〈化学吸着〉吸着剤の構造及び吸着質の化学的性質によっ
て決定されるすべての吸着サイトを占めるのに必要な吸着
質の量(参考文献[5]を参照のこと。

monolayer capacity

5.216 

単層容量 

〈物理吸着〉最密充てん配列に,原子又は分子が完全な単
層で表面を覆うのに必要な吸着質の量(参考文献[5]を参

照のこと。

備考  最密充てんの形を明らかにする必要がある。

monolayer capacity

5.217 

多層 

化学的に区別される二つ以上の層で構成される構造。 
参照  デルタ層 
備考  この用語はしばしば,各層の厚みが極めて均一で, 
      1  〜100 nm の範囲にある固体試料に適用される。

multilayer

5.218 

多層 

〈化学吸着,物理吸着〉吸着又は凝集種からなる複数の原
子層又は分子層が基板表面を覆ったもの。 
参照  単層

multilayer

5.219 

多重項分裂 

〈AES〉オージェ過程によって生成される,原子空孔の相

互作用によって起こる二つ以上の成分へのオージェ電子ピ
ークの分裂。

multiplet splitting

5.220 

多重項分裂, 
交換分裂 

〈XPS〉光電子放出によって生成した不対電子と原子中の
他の不対電子との相互作用によって起こる光電子ピークの
分裂(参考文献[1]を参照のこと。

multiplet splitting,

exchange splitting

5.221 

ノイズ 

信号強度の不確かさにつながる変動をもち,解析信号に重
畳された時間に応じて変化するじょう(擾)乱。 
備考1.  正確なノイズ量は,変動の標準偏差によって求め

ることができる。半定量的なノイズ量としては,
スペクトル中のピーク対ピークノイズのような視

覚指標が有用な場合がある。

2.

測定強度における変動は,

統計的ノイズ,電気的

干渉など多くの原因によって発生し得る。

noise

5.222 

統計的ノイズ 

無作為に検出された一事象の統計だけに基づくスペクトル
中の

ノイズ。

備考  ポアソン統計を示す一粒子計数系の場合,ノイズ以

外では安定している同一時間間隔で測定したカウン
ト率,を示す多数の測定値の標準偏差は の平方
根に等しい。

statistical noise

5.223 

光学絞り, 
光学ゲート 

信号検出視野を制限するための光学若しくは粒子分光器の
中で用いられる光子又は粒子レンズと絞りの組合せからな

るシステム。

optical aperture

optical gate(depicted)

5.224 

軌道エネルギー 

〈XPS〉

クープマンエネルギーに原子内緩和を補正したエ

ネルギー。

orbital energy

5.225 

オーバーポテンシャ
ル, 

〈AES〉ある原子の特定の内殻又は副殻の束縛エネルギー

に対する電子線エネルギーの比。 
備考  オーバーポテンシャルの値は,典型的には 2〜200 の

overpotential 
U


31

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

範囲である。

5.226 

パスエネルギー 

〈AES,ISS,XPS〉エネルギー分析器のエネルギー分散部
分を通過する検出粒子の平均

運動エネルギー。

pass energy

5.227 

ピーク面積 

バックグラウンドを取り除いた後のスペクトルのピーク下
の面積。 
参照  電子の非弾性散乱バックグランド除去法,信号強度 
備考  ピーク面積は,カウント,カウント/秒,カウント eV,

カウント eV/秒,カウント/amu などで表記すること

ができる。

peak area

5.228 

ピークエネルギー 

〈AES,EELS,ISS,UPS,XPS〉

直接スペクトルの最大強

度又は

微分スペクトルの最小強度(すなわち,下方への最

大ふれ)に対応するエネルギー値。 
備考1.  エネルギー値は,一連の重なったピークを包括し

たピーク又は

ピーク合成によって得られる成分ピ

ークの位置として与えられる場合がある。

2. AES

における微分スペクトルに関しては,

変調又

は微分振幅を与えなければならない。

3. AES

における

微分スペクトルのピークエネルギー

は,

直接スペクトルよりも運動エネルギーが高い。

peak energy

5.229 

ピークフィッティン
 

ピーク合成によって生成されるスペクトルを,測定された
スペクトルに合うよう調節する手順。 
備考1.  この目的のためのコンピュータプログラムにおい

ては,一般に最小二乗法による最適化が使用され
る。

2.

適用したピーク形状及びバックグラウンド形状を
明示しなければない。計算に用いた制約条件につ
いてもすべて明示しなければならない。

peak fitting

5.230 

ピーク合成, 
曲線分解

モデル又は実験に基づくピーク形状のいずれかを用いてス
ペクトルを合成し,ピークの数,形状,幅,位置,強度及
びバックグラウンド形状並びに強度をピークフィッティン

グのために調節する手順。 
参照  ピークフィッティング 
備考  適用したピーク形状及びバックグラウンド形状を明

示しなければならない。

peak synthesis

curve resolving

(deprecated)

5.231 

ピーク対バックグラ
ンド比, 
信号対バックグラン
ド比 

バックグラウンドより上のピークの最大高さとバックグラ

ウンド強度との比。 
備考1.  信号対バックグラウンド比は,一般的に GDS に使

用される用語で,SBR と省略される。ピーク対バ

ックグランド比は,AESXPS などの電子分光法
において一般的に使用される用語である。

2.

バックグラウンド強度の評価法を提示する必要が

ある。AES の場合,バックグラウンド強度は,し
ばしば注目するピークのすぐ上の

運動エネルギー

の位置で決定される。

peak-to-background

ratio

signal-to-background

ratio

5.232 

ピーク幅, 
ライン幅 

ピーク高さをある割合で分割した位置におけるピークの
幅。 
参照  真性ライン幅 
備考1.  用いたバックグラウンド除去法を特定する必要が

ある。

2.

最も一般的なピーク幅の値は,半値全幅(FWHM)

peak width

line width


32

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

である。

3.

非対象ピークの場合,ピーク幅の便利な指標は,
ピーク両側の二つの半値半幅である。

5.233 

光電効果 

原子,分子及び固体中の束縛電子と光子との相互作用で,
結果として一個又は数個の光電子を生成する現象。

photoelectric effect

5.234 

サテライト 線励起
光電子ピーク

陽極物質のX線スペクトルに由来する非主要特性X線によ
って励起された,光電子放出によってスペクトル中に現れ
る光電子ピーク(参考文献[1]を参照のこと。

例  非主要なものとして Kα',Kα

3,4

,Kα

5,6

及び Kβがあ

る。

photoelectron X-ray

satellite peaks

5.235 

サテライト 線励起
光電子の除去 

スペクトルからサテライト X 線励起光電子ピークを取り除
くこと。 
備考  単色化していない Al 及び Mg の X 線では,通常取り

除かれるサテライトは Kα

3,4

,Kα

5,6

である。更に精

密な除去法では Kα

2

,Kα'及び Kβサテライトも除

去される。

photoelectron X-ray

satellite subtraction

5.236 

光電子放出 

光電効果によって起こった原子又は分子からの電子の放
出。

photoemission

5.237 

パイルアップ 

〈EIA,RBS〉後方散乱スペクトルにおいて,二つ以上の個
別の事象が非常に近接した時間内に生じることによって,
信号が検出システムによって分解できず,計数が誤ったチ

ャンネルに記録される現象。 
備考  不感時間

pileup

5.238 

プラズモン 

〈AES,EELS,XPS〉固体中における価電子帯電子の集団
振動励起。 
参照  特定電子エネルギー損失 
備考1.  プラズモン励起は,弾性散乱電子,光電子,オー

ジェ電子及びイオン化端のようなスペクトル中の
他のピークに付随した特定エネルギー損失ピーク

としてしばしば観測される。

2.

プラズモンは,ある特定の材料では顕著である。

3.  2

種類のプラズモンが通常観察され,物質内部に由

来するバルクプラズモンと物質表面に由来する表
面プラズモンとがある。時折,界面に由来する界
面プラズモンが観測されることがある。バルクプ

ラズモンのエネルギーは,材料の電子構造に依存
し,大まかには価電子密度の平方根に比例する。
表面プラズモンのエネルギーは,典型的にはバル

クプラズモンのエネルギーの 50  〜90  %になる。

plasmon

5.239 

多原子イオン 

電荷を帯びた多原子種。 
備考  二量体又は三量体イオンは,それぞれ 2 個又は 3 個

の原子を含む多原子イオンの典型的な例である。

polyatomic ion

5.240 

一次電子   

電子源から引き出されて,試料に向かう電子。 
参照  二次電子

primary electron

5.241 

一次イオン 

イオン源から引き出され試料に向かうイオン。 
参照  プローブイオン,二次イオン

primary ion

5.242 

プローブイオン 

イオン源で意図的に生成され,既知の

入射角及び既知のエ

ネルギーで試料表面に向かうイオン種。

probe ion

5.243 

横方向プロファイル    試料面内方向で測定された化学組成,元素組成,信号強度,

又はソフトウエアを利用して加工された強度情報。

lateral profile


33

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

参照  ラインスキャン

5.244 

深さ方向分布, 
垂直方向分布 

表面垂直方向に測定された化学組成,元素組成,信号強度,
又はソフトウェアを利用して加工された強度情報。 
参照  深さ方向組成分布

depth profile,

vertical profile

5.245 

投影飛程 

〈EIA,RBS,SIMS〉運動エネルギーをもつイオン又は原

子が試料中で静止する表面からの距離を入射軸方向に投影
した距離。 
参照  ストラグリング飛程 
備考  同一種,同一エネルギーの多数のイオン又は原子に

対する平均的な投影飛程は,通常は計算によって求
められる。

projected range

5.246 

定量分析 

検出される試料中の分析種の量を決めること。 
備考1.  分析種は,本質的に元素又は化合物である。

2.

その量は,例えば,原子又は質量%,原子又は質
量比,モル又は質量/単位体積,

(原子の)数/単位

面積,

(原子の)数/単位体積などで,適宜,表記す

ることができる。

3.

不均質な試料材料では,解釈上ある特別なモデル
構造を仮定する必要がある。モデルの詳細は明確

にする必要がある。

quantitative analysis

5.247 

径方向切り出し法   

試料表面に存在する層の深さを,円筒によって作られた試

料の位置に関連させることによって,元々の試料表面の下
層に見られる組成変化を現出させるため,試料を円筒によ
って研磨する試料調製法。 
参照  斜め研磨,ボールクレータ法 
参考  試料を円筒で研磨すると露出した表面が試料の下層

に対応するという観点からそのような円筒で研磨を

行う試料の処理法。

radial sectioning

5.248 

照射促進拡散, 
照射誘起拡散 

粒子ビームによる損傷又は照射誘起欠陥によって,入射粒

子の典型的な侵入深さをはるかに超えて原子が固体中で動
くこと(参考文献[1]を参照のこと。

radiation-enhanced

diffusion

radiation-induced

diffusion

5.249 

飛程ストラグリング

〈EIA,RBS,SIMS〉与えられたエネルギーをもったイオ
ン又は原子の投影飛程の標準偏差。 
参照  垂直ストラグリング

range straggling

5.250 

ラスタ 

一次ビームの偏向によって生成する二次元のパターン。 
備考  通常は正方形又は長方形のラスタが用いられる。

raster

5.251 

分光器の相対分解能

〈エネルギー,質量又は光〉あるエネルギー,質量又は波

長における

分光器の分解能の,そのエネルギー,質量又は

波長に対する比。 
参照  分光器の分解能力 
備考1.  分光器の相対分解能は,分光器の分解能の逆数で

ある。

2.

電子分光器の相対エネルギー分解能,質量分析器

の相対質量分解能,又は光学分光器の相対波長分
解能を規定すると便利である。

3.

実際には,通常できるだけ狭いライン幅を与える

ように選ばれたライン幅が既知の輝線をもつ光源
を用いて,相対分光器分解能を導出することがで

relative resolution of a

spectrometer


34

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

きる。

4.

分光器の設計では,一般に,全スペクトルを通し
て一定の分解能か,又は走査されるエネルギー,

質量若しくは波長に比例する分解能が維持され
る。前者の場合,分解能という用語は実用的であ
るが,後者の場合には,相対分解能又は分解能力

という用語の方がより実用的である。

5.

相対分解能は,しばしば百分率で表記される。

5.252 

緩和エネルギー 

〈XPS〉系の

終状態のエネルギーを最小にするような,原

子に束縛された電子の移動に伴う原子内又は原子間での電
子状態の再構成に関連するエネルギー(参考文献[1]を参
照のこと。

relaxation energy

5.253 

原子間緩和エネルギ
ー, 
遮へい(蔽)エネル
ギー 

原子が近接しているときに,電子間に働くクーロン引力に
よる固体中のイオン化した原子の減少したエネルギー。

extra-atomic relaxation

energy

screening energy

5.254 

エネルギー分解能 

単一エネルギー粒子に対して測定されたエネルギー分布強
度の半値全幅(FWHM)

energy resolution

5.255 

横方向分解能 

試料表面上の面内又は結像光学系の軸に垂直な面内におい
て測定された距離。 
備考1.  平面の選択について明確にしなければならない。

2.

実際には,横方向の分解能は,(i)  サンプル上の非
常に小さな放射点からの強度分布の FWHM,又は

(ii)

区別しようとする特性と関係した信号が十分

にステップ関数と規定できる分布をもつ表面を横
切ってラインスキャンをする場合で,強度が 12  %
と 88  %の位置間の距離のいずれかとして表現す

ることができる。これら 2 種類の値は,ガウス強
度分布に対応したものである。他の分布に関して
は,他のパラメータを選択するほうが適切である。

ステップ関数については,しばしば,ラインスキ
ャンにおいて強度が 20  %と 80  %の位置間の距
離,又は強度が 16  %と 84  %の位置間の距離が使

用される。後者は,ガウス分解能関数の 2σを与え
る。

lateral resolution

5.256 

分光器の分解能 

〈エネルギー,質量又は光〉バックグラウンドを除去した

スペクトルピーク強度の半値全幅(FWHM)への分光器の
影響の度合い。 
参照  分光器の相対分解能,分光器の分解能力 
備考1.  電子分光器のエネルギー分解能,質量分析器の質

量分解能,又は光学分光器の波長分解能を規定す
ると便利である。

2.

実際には,通常できるだけ狭いライン幅を与える
ように選ばれたライン幅が既知の輝線をもつ光源
を用いて,相対分光器分解能を導出することがで

きる。

3.

分光器の設計では,一般に,全スペクトルを通し
て一定の分解能にするか,又は走査されるエネル

ギー,質量若しくは波長に比例する分解能にする
かの考えがとられている。前者の場合分解能とい

resolution of a

spectrometer


35

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

う用語は実用的であるが,後者の場合には,相対
分解能又は分解能力という用語の方がより実用的
である。

5.257 

システム分解能 

〈EIA,RBS〉単一エネルギーをもつ入射イオンビームに対
する

後方散乱スペクトルにおいて測定されたエネルギー又

は深さ分解能。

system resolution

5.258 

分光器の分解能力 

〈エネルギー,質量又は光〉エネルギー,質量又は波長の,
そのエネルギー,質量又は波長における

分光器の分解能に

対する比。 
参照  分光器の相対分解能 
備考1.  分光器の分解能力は,分光器の分解能と逆数の関

係にある。

2.

電子分光器のエネルギー分解能力,質量分析器の
質量分解能力,又は光学分光器の波長分解能力を

規定すると便利である。

3.

実際には,通常できるだけ狭いライン幅を与える
ように選ばれたライン幅が既知の輝線をもつ光源

を用いて,分光器分解能力を導出することができ
る。

4.

分光器の設計では,一般に,全スペクトルを通し

て一定の分解能にするか,又は走査されるエネル
ギー,質量又は波長に比例する分解能にするかの
考えがとられている。前者の場合,分解能という

用語は実用的であるが,後者の場合には,相対分
解能又は分解能力という用語の方がより実用的で
ある。

resolving power of a

spectrometer

5.259 

共鳴反応 

〈EIA〉エネルギーの関数としての

核反応断面積において,

狭いピークをもつ核反応であって,ピーク前後の近接した

エネルギーにおける核反応断面積より圧倒的に大きいた
め,この反応によって検出される粒子のすべてがこのピー
クに起因するもの(参考文献[1]を参照のこと。

resonance reaction

5.260 

試料帯電   

粒子又は光子の照射によって試料又は試料の表面の電位が
変化すること。

sample charging

5.261 

散乱イオンエネルギ
 

〈ISS〉衝突後の一次イオンの

運動エネルギー。

備考  二体弾性散乱後の一次(又はプローブ)イオンの運

動エネルギーE

S

は,次の式で与えられる。

ここに,

     

E

S

:散乱されたプローブイオンの運動エネルギー,

     

E

0

:散乱前のプローブイオンのエネルギー,

     

M

0

:プローブイオンの質量,

     

M

1

:ターゲット原子の質量,

      θ

:プローブイオンの始めと終わりの速度ベクト

          ル間の角度を,実験室座標系の共通原点から

          の角度として決めたものであり,0°と 
          180°との間の値で表される。

scattered-ion energy

5.262 

散乱イオンエネルギ
ー比 

〈ISS〉衝突前の入射

プローブイオンのエネルギーに対する

散乱イオンのエネルギーの比。

scattered-ion energy

ratio

5.263 

実験的散乱イオン強

〈ISS〉試料をイオンビームで照射した結果,エネルギー分

experimental

2

2

/

1

2

2

0

1

2

1

0

0

S

}

]

sin

)

[(

{cos

)]

/(

[

0

θ

θ

+

+

=

M

M

M

M

M

E

E


36

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

 

析及び検出システムによって測定された応答。通常,

イオ

ン散乱スペクトルの縦軸として用いられる。

scattered-ion intensity

5.264 

理論的散乱イオン強
 

〈ISS〉与えられた方向の決められた立体角の中に散乱され

た入射イオン強度の計算値。 
備考  二体弾性散乱に対する散乱イオン強度は,次式で定

義される。

ここに,

     

I

i

(

θ

)

:散乱角

θ

の方向に原子種 によって散乱

              されたイオン強度で,単位は ions·・s

-1

     

I

0

:入射プローブイオン強度で,単位は ions·・s

-1

     

N

i

:入射ビームが到達できる単位面積当たりの原

          子種 の散乱体の数で,単位は,atoms·・m

-2

     

P

i

:原子種 と相互作用した後にプローブイオン

          がイオンのまま残る確率,

α

i

は与えられた環境

          及び配置における原子種 の幾何学的因子又は 
          シャドウイング因子,

(d

σ

i

/d

Ω

)

θ

:散乱が測定された角度における原子種 

微分弾性散乱断面積。すなわち,原子種 の 1

原子当たり,入射イオンの単位フラックス当

たりの散乱イオン強度の角度分布で,単位は

          metre

2

·

・atom

-1

·

・steradian

-1

     

ΔΩ

:分析及び検出系の入り口によって決まる見込

            み立体角で,単位は steradian, は分析及び検 
            出系の透過率。

theoretical

scattered-ion intensity

5.265 

二次電子 

入射した電子,光子,イオン又は中性粒子によって引き起
こされた励起の結果,表面から放出される一般には低エネ
ルギーの電子。 
備考  慣習的には,特に断らない限り,50 eV 以下のエネル

ギーをもった電子が二次電子と考えられている。表
面から放出される電子のエネルギー分布に関する計

算から,50 eV がほとんどの電子を含む有用なカット
オフエネルギーであると示されている。このカット
オフは人為的なものであり通常 50 eV 以上の二次電

子も存在する。この慣習は GDS に対しては普通見ら
れない。

secondary electron

5.266 

二次電子収率, 
二次電子放出効率,

δ

 

〈AES,EPMA〉与えられたエネルギー及び

入射角で入射

した電子の総数に対する,50 eV 以下のエネルギーで試料
から放出された電子の総数の割合。

secondary-electron

yield

secondary-electron

emission coefficient,

δ

5.267 

二次電子収率, 
二次電子放出効率 

〈GDS,SIMS〉試料表面に入射した粒子の総数に対する試
料から放出された電子の総数の割合。 
備考  二次電子収率は,エネルギーをもつ特定のタイプの

入射粒子(例えば,Ar

+

)に対して与えられる場合が

ある。

secondary-electron

yield

secondary-electron

emission coefficient

5.268 

全二次電子収率

σ

 

〈AES,EPMA〉与えられたエネルギー及び

入射角で入射

した電子の総数に対する試料から放出された電子の総数の
割合。

total secondary-

electron yield,

σ

ΩT

P

N

I

I

i

i

i

i

i

=

θ

σ

α

θ

)

d

/

d

(

)

(

0


37

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

η

δ

σ

+

=

参照  後方散乱収率,二次電子収率 
備考  全二次電子収率は,しばしば,単に二次電子収率と

呼ばれる。これは,50 eV 以下のエネルギーに制限さ
れる二次電子収率と混乱を招く。

5.269 

二次イオン 

一次イオンからのエネルギーと運動量との移譲の結果,試
料表面から放出されたイオン。

secondary ion

5.270 

二次イオン角度分布

放出角の関数として二次イオンの個数を表したもの。 secondary-ion

angular

distribution

5.271 

二次イオンエネルギ
ー分布 

特定の収集角における

運動エネルギーの関数としての二次

イオンの個数。

secondary-ion energy

distribution

5.272 

二次イオン収率 

ある質量,エネルギー,電荷及び

入射角で入射した一次イ

オンの総数に対する試料からスパッタされた全イオン数の
比。

secondary-ion yield

5.273 

偏析 

速度論的又は熱力学的効果による,ある領域から別の領域

への化学種の分配。 
備考  偏析はしばしば表面及び界面で観察される。

segregation

5.274 

制限視野絞り 

〈XPS,SIMS〉検出する信号を,試料表面の微小領域に制
限する電子光学系又はイオン光学系の絞り。 
参照  光学絞り

selected area aperture

5.275 

元素絶対感度係数 

試料中に存在する元素の原子濃度又は原子分率を求める際
に使われる,ある元素について測定した強度を除するのに

用いる元素固有の係数。 
参照  元素相対感度係数 
備考1.  原子濃度又は原子分率のいずれかを使用したかを

明確にしなければならない。

2.

使用する感度係数の種類は,定量化過程で使用す
る数式,及び均一試料又は偏析層など分析する試

料の種類に適合していなければならない。

3.

適切な

マトリックス因子又はその他のパラメータ

を使用されていることを明確にするために,感度

係数の出典を示さなければならない。

4.

感度係数は,励起源及び分光器のパラメータ,及
びこれらの試料に対する向きに依存する。また,

感度係数は,分析するマトリックスにも依存し,

SIMS

ではこの影響が支配的である。

absolute elemental

sensitivity factor

5.276 

元素相対感度係数 

〈AES,XPS,TXRF〉

元素絶対感度係数に比例する係数。

基準となる元素の遷移の値が 1 になるような比例定数が選
ばれる。 
備考1.  通常,用いる元素と遷移は,XPS では C 1s や F 1s

であり,AES では Ag M

4,5

VV

である。

2.

使用する感度係数の種類は,例えば,均一試料,

又は偏析層の分析に適合しなければならない。

3.

適切な

マトリックス因子又はその他のパラメータ

を使用されていることを明確にするために,感度

係数の出典を示さなければならない。

4.

感度係数は,励起源及び分光器のパラメータ,及
びこれらの試料に対する向きに依存する。感度係

数は分析するマトリックスにも依存し,SIMS では
この影響が支配的である。

relative elemental

sensitivity factor


38

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

5.277 

元素相対感度係数 

〈ダイナミック SIMS〉試料中に存在する元素の原子濃度を
求めるために使われる元素の質量ピークの測定強度をマト
リックスの質量ピークの測定強度で除した値に乗じる係

数。 
備考1.  元素相対感度係数は,同位体相対感度係数を検出

する同位体イオンの同位体存在比で除することで

得られる。

2.

マトリックス効果は大きく,母材,照射イオン種,
入射イオンエネルギー及び

入射角は,分光器の操

作条件と同様,すべてが元素相対感度係数に著し
く影響する。

relative elemental

sensitivity factor

5.278 

同位体相対感度係数

〈ダイナミック SIMS〉試料中に存在する元素の同位体の原

子濃度を求める際に,元素の同位体の測定強度をマトリッ
クスイオンの測定強度で除した値に乗じる係数。 
備考  マトリックス効果は大きく,母材,照射イオン種,

入射イオンエネルギー及び

入射角は,分光器の操作

条件と同様,すべてが元素の相対感度係数に著しく
影響する。

relative isotopic

sensitivity factor

5.279 

シェイクオフ 

〈AES,XPS〉過剰な

運動エネルギーを電子に分配して,2

個以上の電子が放射される多電子過程。 
参照  シェイクアップ 
備考  電子スペクトルにおいて,シェイクアップによって

親ピークより低い運動エネルギーにピーク構造が現

れる。一方,シェイクオフにおいても親ピークより
低い運動エネルギーに連続的バックグラウンド強度
が現れる。

Shake off

5.280 

シェイクアップ 

〈AES,XPS〉光イオン化過程,又はオージェ電子過程の
後に原子が励起状態で残る多電子過程。放出される電子は

元の光電子よりわずかに小さい固有の

運動エネルギーをも

つ。 
参照  シェイクオフ 
備考  シェイクアップピークは,通常親ピークの 10 eV 以

内に観測されるが,バックグラウンドが低い気体で
は,親ピークから 100 eV 小さい範囲の運動エネルギ

ーまで同定されている。

shake up

5.281 

信号対ノイズ比 

信号を決定する際の,全

ノイズ測定値に対する信号強度の

比。 
参照  統計ノイズ 
備考 AES のノイズは,しばしばピークに近接するスペク

トルのバックグラウンドの適切な領域で測定する。

signal to noise ratio

5.282 

平滑化処理 

見掛けの

ノイズを減らすためのデータの数学的処理。 smoothing

5.283 

分光器の分散, 
分析器の分散 

〈エネルギー又は質量〉分析器又は分光器の出口で分散し
ている粒子の位置の変化(

Δ

x)を,粒子エネルギーの割合

変化(

Δ

E/E)又は質量の割合変化(

Δ

m/m)で除した値。

spectrometer

dispersion,

analyser dispersion

5.284 

分光器の分散, 
分析器の分散 

〈光学〉分光器の出口における放射の位置変化

Δ

を,波

長の変化

Δλ

で除した値。

spectrometer

dispersion

analyser dispersion

5.285 

分光器エタンデュ 

分光器の透過率と,分析範囲の中心を通る分析器の軸に垂
直な平面の面積要素との積を,表面全体にわたって積分し
た値。

spectrometer etendue


39

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

備考  エタンデュの単位は,sr・  m

2

 eV

,sr m・m

2

amu

又は

sr

・m

3

である。

5.286 

分光器の応答関数 

分光器によって検出された粒子の総数を,単位立体角及び

測定に用いる分散パラメータ間隔当たりの粒子数で除した
値で分散パラメータの関数として現したもの。 
参照  分光器の透過関数,分光器エタンデュ 
備考1.  分散パラメータは,通常エネルギー,質量,又は

波長である。

2.

透過関数の単位は,sr・eV,sr・amu 又は sr・m であ

る。

3.

分光器の応答関数は,分光器の透過関数,又はエ
タンデュに類似しているが,検出器及び電子的処

理,記録器などの一連の測定系におけるすべての
構成要素の効率を含む。

4.

幾つかの

定量分析法では,相対感度係数を使うた

めに応答関数のエネルギー依存性が必要となる。
これらの場合,絶対応答関数に比例するが比例定
数が必ずしも重要でない関数を用いる。

spectrometer response

function

5.287 

分光器の透過関数,
分析器の透過関数 

分析器によって透過した粒子数を,単位立体角と測定に用
いる分散パラメータ(例えば,エネルギー,質量,波長な

ど)の単位間隔当たりの粒子数で除し,分散パラメータの
関数として表したもの。 
参照  分光器の応答関数 
備考1.  透過関数の単位は,sr・eV,sr・amu 又は sr・m であ

る。

2.

分光器の受け入れ立体角が,(sr 又は有効な空間

の立体角 2π)の比だけで与えられている場合は,
この用語の用法は不完全である。この用法は推奨
されない。

分光器の立体角。

3.

この用語は,検出器と信号処理系からの寄与を含
む分光器の応答関数としばしば取り違えて使われ
る。

spectrometer

transmission function

analyser transmission

function

5.288 

アライン入射スペク
トル 

〈EIA,ISS〉分析用ビームを

チャネリング(参考文献[1]

を参照のこと。

)が生じる試料の結晶軸又は結晶面の方向に

平行に入射させたときに得られる

後方散乱スペクトル。

aligned incidence

spectrum

5.289 

ランダム入射スペク
トル 

〈EIA,ISS〉試料に対して,

チャネリング(参考文献[1]

を参照のこと。

)が生じないような方向から分析用ビームを

入射したときに得られる

後方散乱スペクトル。

random incidence

spectrum

5.290 

スピン軌道分裂 

スピン角運動量と軌道角運動量との結合によって生じる原

子の p 準位,d 準位又は,f 準位の分裂。

spin orbit splitting

5.291 

スパッタ深さ方向分
析, 
SDP 

スパッタリングによって物質を除去して表面組成を測定し
た場合に得られる

深さ方向組成分布。

備考  SIMS のような幾つかの分析法では,分析に用いられ

るイオンビームによってスパッタリングが起こる

が,他の分析法ではイオンビームが付加的に必要と
なる。

sputter depth profile,

SDP

5.292 

スパッタリング 

粒子衝撃の結果として,表面から原子及びイオンが離脱す
る過程。

sputtering

5.293 

平衡表面組成スパッ
タリング 

一定条件で均一な試料を

スパッタリングすることで生じる

定常状態の表面組成。

equilibrium surface

composition sputtering


40

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

5.294 

選択スパッタリング

多元素物質をスパッタリングする際に生じることがある

衡表面組成の変化。

preferential sputtering

5.295 

スパッタリング率 

粒子衝撃によって除去された試料物質の量を時間で除した

値。 
参照  浸食速度 
備考  浸食率は,速度,単位面積単位時間当たりの質量,

又は単位時間当たりの他の測定量としてもよい。

sputtering rate

5.296 

スパッタリング収率

試料からスパッタされる原子及びイオンの数の入射粒子全

数に対する比。

sputtering yield

5.297 

部分スパッタリング
収率 

試料からスパッタされた特定の原子及びイオンの数の試料

からスパッタされた原子及びイオンの総数に対する比。 
参照  部分イオン収率

fractional sputtering

yield,

partial sputteringyield

5.298 

電子的阻止断面積 

〈EIA,RBS〉試料内の電子にエネルギーを移譲することに
起因する

阻止断面積。

備考  全阻止断面積は,電子的阻止断面積と核阻止断面積

の和で与えられる。

electronic stopping

cross-section

5.299

阻止断面積因子 

〈EIA,RBS〉試料内のある深さで散乱された粒子をある角
度で検出したときの全エネルギー損失を,試料原子の原子

数密度と散乱深さとの積で除した値。

stopping cross-section

factor

5.300 

核阻止断面積 

〈EIA,RBS〉試料内の原子核にエネルギーを移譲すること

に起因する

阻止断面積。

備考  全阻止断面積は,核阻止断面積と電子的阻止断面積

との和で与えられる。

nuclear stopping

cross-section

5.301 

阻止能 

〈EIA,RBS〉試料内の飛跡に沿った距離に対する粒子のエ
ネルギー損失の割合。

stopping power

5.302 

超コスター・クロー
ニッヒ遷移 

〈AES,EPMA,XPS〉始状態で空孔が生じる準位と同じ主
量子数準位とから,電子が放出される

コスター・クローニ

ッヒ遷移。 

M

2

M

4

M

5

;N

5

N

7

N

7

参照

オージェ遷移

super Coster-Kronig

transition

5.303 

表面 

凝縮相と気相,蒸気相又は真空との間の

界面。 surface

5.304 

表面汚染 

試料表面上の一般的には好ましくない物質で,試料にも,

試料を調べるプロセスにも関係しないものであり,また,
本来の表面又は研究対象プロセスに関連しない特別な雰囲
気に試料をさらすことによって生じた物質。

surface contamination

5.305 

表面被覆率 

〈化学吸着,物理吸着〉表面の物質の量を表面の基準面積
で除して求めた値。 
備考  表面被覆率は,原子数/m

2

,モル数/m

2

,kg/m

2

,又は

単層容量に対する量の比で示される。

surface coverage

5.306 

表面偏析 

速度論的又は熱力学的効果によって,ある元素の一部が物
質のバルク中から表面に分配されること。

surface segregation

5.307 

シンクロトロン放射

シンクロトロン又はストレージリングにおいて,電子の加

速によって引き起こされる連続的なエネルギースペクトル
をもつ電磁波(光子)の放射。 
備考  シンクロトロン放射は,オージェ電子分光法及び光

電子分光法における有用なエネルギー可変の光子源
である。光電子分光法に対しては,放射光は単色化
される。

synchrotron radiation

5.308 

ターゲット 

〈EIA,RBS〉測定対象となっている試料。 target

5.309 

厚いターゲット 

〈EIA,RBS〉各構成元素から後方散乱された粒子のエネル

thick target


41

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

ギーが,測定系の分解能に対して十分大きな変化を受ける
ような厚みをもつ試料(参考文献[1]を参照のこと。

5.310 

薄いターゲット 

〈EIA,RBS〉試料の厚みが十分小さく,各構成元素から後

方散乱された粒子のエネルギーの変化が測定系の分解能に
対して小さくなるもの(参考文献[1]を参照のこと。

Thin target

5.311 

薄膜 

典型的には基板上に蒸着又は成長させた 100 nm 以下の厚
さの材料層(参考文献[1]を参照のこと。

Thin film

5.312 

時定数   

〈アナログ電子回路〉ステップ関数を入力したときの応答
時間で,最終的な信号の値に対して[1−(1/e)]又は 63.2  %
に変化する時間。

Time constant

5.313 

形状コントラスト 

サンプル表面の形状によって生じる

画像又はマップにおけ

るコントラスト。 
備考1.  形状効果は,入射ビームとサンプルとの相互作用

を変化させ,分析種の電子又はイオン収量を空間
的に不均一にする場合がある。

2.

形状コントラストは,イオンスパッタリング後に
変化する可能性がある。

topographic contrast

5.314 

全反射 

〈TXRF〉

臨界角以下の視射角であり,入射 X 線が反射さ

れるか又は表面に非常に近い領域で吸収される状態。 
備考  反射強度は入射強度のほぼ 100  %で,透過強度はゼ

ロとなる。

total reflection

5.315 

変換確率 

〈SIMS〉

スパッタリングの結果として,表面にある元々の

原子的又は分子的配列が破壊され,特定の荷電粒子又は中

性粒子が生成される確率。

transformation

probability

5.316 

垂直飛程 

〈EIA,RBS,SIMS〉エネルギーをもったイオン又は原子

が表面に衝突するとき,試料中で静止したイオン又は原子
と入射軸との距離。 
参照  投影飛程

transverse range

5.317 

垂直ストラグリング

〈EIA,RBS,SIMS〉あるエネルギーをもつイオン又は原
子の垂直飛程の標準偏差。 
参照  飛程ストラグリング,垂直飛程

transverse straggling

5.318 

真空準位 

空間のある一点における真空の電気的なポテンシャル。 
参照  フェルミ準位 
備考  電子分光法においては,表面の異なる部分の異なる

仕事関数によって引き起こされる電場がゼロ又は十
分小さくなるように,空間のある一点は,試料から

十分離れた位置に決められる。

vacuum level

5.319 

真空準位基準 

〈AES,XPS〉零点が

真空準位で静止している孤立電子に

相当する

運動エネルギー軸の決定方法。

参照  フェルミ準位基準

vacuum level

referencing

5.320 

標準真空準位 

フェルミ準位から 4 500 eV 上の電気的なポテンシャル。 
参照  真空準位 
備考  フェルミ準位は,電子の運動エネルギーを正確に規

定できる絶対的な準位である。

歴史的には AES では,

電子のエネルギーはフェルミ準位ではなく,代わり
に装置の真空準位を基準としてきた。この基準は装

置ごとに異なり,一定した基準を与えない。しかし
ながら,ほとんどの報告されているオージェ電子の
運動エネルギーは真空準位基準であり,多くの分析

者は,このエネルギー基準を用いてきたために,装

standard vacuum level


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K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

番号

用語

定義

対応英語(参考)

置ごとにばらつきが生じることには慣れている。取
り決めとして,標準真空準位は,上に挙げたように
典型的な装置の真空準位の値に近い一定した基準と

して定義する。標準真空準位を基準としたエネルギ
ーは不変であり,個々の装置の真空準位から測った
値とは,およそ 1 eV 以下の違いがある。

5.321 

価電子帯スペクトル

〈XPS〉試料の価電子帯から励起された光電子のエネルギ
ー分布。

valence band spectrum

5.322 

仕事関数 

フェルミ準位とある特定の表面外側の最大ポテンシャルと
の間の電子のポテンシャル差。 
備考1.  一般に単結晶の異なった結晶面の仕事関数は互い

に異なる。また,これらの仕事関数は結晶表面の
清浄度によって変化する。

2.

多結晶表面の仕事関数は,露出している単結晶面の

種類とその面積の割合に応じた平均的な値を示す。

work function

5.323 X

線ゴースト線 

〈XPS〉X 線アノードに付着又は含まれる不純物,X 線窓

又は試料中に存在する元素から発生したX線によって励起
された光電子スペクトル中の線。 
備考  ゴースト線は Mg と Al とをコーティングしたデュア

ルアノードX線源に典型的に現れる。Mg 線源を使用
するときは,弱い Al の X 線によって励起される弱い
ピークが現れ,又はその逆も起こる。そのほかのゴ

ースト線としてはコーティング材が酸化したときの

O

の X 線,又はコーティング基板からの Cu の X 線

に起因するものがよくみられる。

X-ray ghost line

5.324 X

線線幅 

主要な特性 X 線のエネルギー幅。 
備考1. XPS では,通常 X 線線幅は X 線源の線幅に対応す

る。

2.  X

線線幅は光電子

ピークの線幅に寄与する。

X-ray line width

5.325 X

線モノクロメータ

狭いエネルギー又は波長帯の X 線以外のエネルギー成分の

X

線を除去する装置。

備考 Al の X 線源をもつ XPS では,モノクロメータは,

通常は Al Kα

1

のエネルギーの近傍に調節する。

X-ray monochromator

5.326 

ミキシング領域 

一次ビームが引き起こすアトミックミキシング(参考文献
[1]を参照のこと。

)の試料表面の層。

参照  衝突カスケード

zone of mixing


43

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

附属書 A(参考)IEC 60050-111,国際電気技術用語集−

第 111 章:物理及び化学からの抽出語

表面分析においては,表面に特異ではないある種の一般的な用語によっても混乱が生じ得る。このよ

うな混乱を減らすため,この附属書には国際電気技術用語集 IEC 60050(参考文献[6]を参照のこと。

から幾つか抜粋したものを示す。

番号

用語

定義

対応英語(参考)

A.001 

係数 

異なる種類の二通りの数量を除した結果。 
備考  係数は,ある次元をもつ数量である。

coefficient

A.002 

係数 

乗数として使用される数。 
備考  係数は,同じ種類の二通りの数量の商を表し,次元 1 の数量を定

義する。

factor

A.003 

 

除法による結果。 
備考1.  物理量の分野では,商という用語は,同じ種類又は異なる種類

の複数の数量から新たな数量を定義するために用いる。

2.

商 a/b は, a÷b の商

という言葉で表現される。

quotient

A.004 

 

同じ種類の二通りの数量の商 
備考1.  比は次元がなく,数で表記される。

2.

比 c/d は, d に対する c の比

という言葉で表現される。

ratio

A.005 

面積 

表面.

.密度。

量を表面積で除した商を示すための量の名称を限定する。 
例  面積質量又は表面質量密度,面積電荷又は表面電荷密度。

areic

A.006 

〜の密度, 
〜密度(2

単位面積当たりの束又は流れを表す商を示すための名称を限定する。 
例  熱流速密度,電流密度。 
備考  英語では,密度は,大抵体積質量を意味する。

density of

…,

... density (2)

A.007 

線, 
線...密度 

量を長さで除した商を示すための量の名称を限定する。 
例  線質量又は線質量密度,線電流又は線電流密度。 
備考

線 という修飾語は,類似する数量を区別するためだけにある

量の名称に追加する。 
(例:線イオン化,線膨張係数)

lineic

linear ... density

A.008 

質量, 
 

量を質量で除した商を示すための量の名称を限定する。 
例  質量体積又は比体積。

massic

specific

A.009 

体積, 
〜密度(1

量を体積で除した商を示すための量の名称を限定する。 
例  体積質量又は体積密度,体積電荷又は電荷密度。

volumic

... density (1)

A.010 

濃度 

特に混合物中の物質を対象に,量を全体積で除した商を示すための量の

名称に追加する用語。 
例  物質の量を表す濃度 B,分子濃度 B,イオン濃度。

concentration


44

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

参考文献

[1]ASTM E 673-95a,Standard terminology relating to surface analysis

[2]ISO 31-10:1992,Quantities and units

Part 10: Nuclear reactions and ionizing radiations

[3]CURRIE,L.A.: Nomenclature in evaluation of analytical methods including detection and quantification

capabilities. Pure and Applied Chemistry 1995, Vol 67, No. 10, pp. 1699-1723

[4]GRIES,W.H.: Preparation and certification of ion-implanted reference materials−A critical review, Pure and 

Applied Chemistry, 1992, Vol 64, No. 4, pp. 545-574

[5]Appendix to Manual of symbols and terminology for physico-chemical quantities and units, Pure and Applied 

Chemistry, 1972, Vol 31, No. 4, p. 579

[6]IEC 60050-111:1996,International Electrotechnical VocabularyChapter 111: Physics and Chemistry, pp.

10-12


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K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

索引  五十音順 

(対応英語のうち、表記上 ISO 18115 中に示されているものと語順を変えた語について

は原本中の表記語を括弧中に示した。

) 

【ア】

I

  beam current

5.052

IBA

  ion beam analysis

4.008

厚いターゲット  thick target (target, thick)

5.309

アトミックミキシング  atomic mixing

5.022

アライン入射スペクトル    aligned incidence spectrum (spectrum, aligned incidence)

5.288

【イ】

イオンビーム  ion beam

5.182

イオンビーム分析  ion beam analysis

4.008

イオンビーム分析  IBA

4.008

イオンビーム誘起物質輸送  ion beam induced mass transport

5.183

イオン化係数  degree of ionization

5.111

イオン化断面積  ionization cross-section

5.093

イオン化率  degree of ionization

5.111

イオン散乱スペクトル  ion-scattering spectrum

5.189

イオン散乱分光器  ion-scattering spectrometer

5.188

イオン種  ion species

5.190

イオン寿命  ion lifetime

5.186

イオン像  ion image

5.184

イオン中和  ion neutralization

5.187

イオン注入  ion implantation

5.185

一次イオン  primary ion

5.241

一次ビーム    primary beam

5.062

一次電子  primary electron

5.240

【ウ】 

薄いターゲット  thin target (target, thin)

5.310

運動エネルギー  kinetic energy

5.197

【エ】

AES

  Auger electron spectroscopy

4.001

ARAES

  angle-resolved AES

5.016

ARXPS

  angle-resolved XPS

5.017

ESCA

  electron spectroscopy for chemical analysis

4.003


46

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

F

  fluence

5.153

F

  fluence

5.154

FRR

モード  FRR mode

5.083

η  backscattering yield

5.049

η  backscattering coefficient

5.049

SDP

  sputter depth profile 

5.291

SNMS

  sputtered neutral mass spectrometry

4.010

XPS

  X-ray photoelectron spectroscopy

4.014

X

線ゴースト線  X-ray ghost line

5.323

X

線モノクロメータ  X-ray monochromator

5.325

X

線光電子分光法  X-ray photoelectron spectroscopy

4.014

X

線光電子分光法  XPS

4.014

X

線線幅

X-ray line width

5.324

エネルギー損失  energy loss

5.141

エネルギー端  energy edge

5.140

エネルギー分解能  energy resolution (resolution, energy)

5.254

延長不感時間  extended dead time

5.102

【オ】 

オージェパラメータ  Auger parameter

5.031

オージェ過程  Auger process

5.034

オージェ遷移  Auger transition

5.036

オージェ遷移速度  Auger transition rate

5.037

オージェ脱励起  Auger de-excitation

5.026

オージェ中和  Auger neutralization

5.030

オージェ電子  Auger electron

5.027

オージェ電子スペクトル  Auger electron spectrum

5.028

オージェ電子収率  Auger electron yield

5.029

オージェ電子分光法  Auger electron spectroscopy

4.001

オージェ電子分光法  AES

4.001

オーバーポテンシャル  overpotential

5.225

オーバーポテンシャル  U

5.225

【カ】

界面  interface

5.176

界面領域  interfacial region

5.178

カウント counts

5.085

化学シフト chemical shift

5.079

下降端ディケイ長  trailing edge decay length (decay length, trailing edge)

5.110

化学効果 chemical

effects

5.078


47

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

化学状態マップ  chemical map (map, chemical)

5.207

化学分析のための電子分光法  electron spectroscopy for chemical analysis

4.003

化学分析のための電子分光法  ESCA

4.003

核阻止断面積    nuclear stopping cross-section (stopping cross-section, nuclear)

5.300

核反応断面積    nuclear reaction cross-section

5.094

角度依存 AES  angle-dependent AES

5.016

角度依存 XPS  angle-dependent XPS

5.017

角度分解 AES  angle-resolved AES

5.016

角度分解 AES  ARAES

5.016

角度分解 XPS  angle-resolved XPS

5.017

角度分解 XPS  ARXPS

5.017

カスケードミキシング  cascade mixing

5.070

画像  image

5.205

価電子帯スペクトル  valence band spectrum

5.321

緩和エネルギー  relaxation energy

5.252

観測された界面幅  observed interface width (interface width, observed)

5.177

【キ】

希釈限界 dilute

limit

5.123

軌道エネルギー  orbital energy

5.224

共鳴反応 resonance

reaction

5.259

曲線分解 curve

resolving

5.230

金装飾法 gold

decoration

5.162

【ク】

クープマンエネルギー  Koopmans energy

5.199

グランシング出射  glancing exit

5.163

グランシング入射  glancing incidence

5.164

グレージング出射  grazing exit

5.163

グレージング入射  grazing incidence

5.164

クレータエッジ効果  crater edge effect

5.087

クレータ深さ  crater depth

5.086

グロー放電    glow discharge

5.161

グロー放電質量分析法  glow discharge mass spectrometry

4.005

グロー放電質量分析法  GDMS

4.005

グロー放電発光分光法  glow discharge optical emission spectrometry

4.006

グロー放電発光分光法  GDOES

4.006

グロー放電分析法  glow discharge spectrometry

4.007

グロー放電分析法  GDS

4.007

【ケ】


48

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

形状コントラスト  topographic contrast

5.313

径方向切り出し法    radial sectioning

5.247

蛍光  fluorescence

5.155

蛍光収率 fluorescence

yield

5.156

ゲート領域    gated area

5.158

検出器効率 detector efficiency

5.121

検出器立体角  solid angle of detector (angle, solid, of detector)

5.019

検出限界 detection

limit

5.120

元素マップ  elemental map (map, elemental)

5.206

元素絶対感度係数  absolute elemental sensitivity factor (sensitivity factor, absolute

elemental)

5.275

元素相対感度係数  relative elemental sensitivity factor (sensitivity factor, relative elemental) 5.276

元素相対感度係数  relative elemental sensitivity factor (sensitivity factor, relative elemental) 5.277

原子間オージェ過程  interatomic Auger process (Auger process, interatomic)

5.035

原子間緩和エネルギー  extra-atomic relaxation energy

5.253

減衰係数 attenuation

coefficient

5.023

減衰長さ attenuation

length

5.024

減速率一定モード  constant retardation ratio mode

5.083

減速率固定モード  fixed retardation ratio mode

5.083

【コ】

交換分裂 exchange

splitting

5.220

光学ゲート  optical aperture

5.223

光学絞り optical

aperture

5.223

光電効果 photoelectric

effect

5.233

光電子放出  photoemission

5.236

公称面ドーズ量  nominal areic dose (dose, nominal areic)

5.128

公称面ドーズ量  D

nom

5.128

高速原子衝撃質量分析法  fast atom bombardment mass spectrometry

4.004

高速原子衝撃質量分析法  FABMS

4.004

高速原子衝撃質量分析法  FAB

4.004

後方散乱エネルギー  backscattering energy

5.046

後方散乱係数  backscattering coefficient

5.045

後方散乱収率  backscattering yield

5.045

後方散乱スペクトル  backscattering spectrum

5.048

コスター・クロニッヒ遷移  Coster-Kronig transition

5.084

【サ】 

サテライト X 線励起光電子の除去  photoelectron X-ray satellite subtraction

5.235

サテライト X 線励起光電子ピーク  photoelectron X-ray satellite peaks

5.234


49

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

散乱イオンエネルギー  scattered-ion energy

5.261

散乱イオンエネルギー比  scattered-ion energy ratio

5.262

散乱角  angle of scattering

5.015

残存面ドーズ量  retained areic dose (dose, retained areic)

5.132

残存面ドーズ量  Dret

5.132

【シ】

CAE

モード  CAE mode

5.082

CDP

  compositional depth profile

5.081

CRR

モード  CRR mode

5.083

G

    areic dose rate (dose rate, areic)

5.130

GDMS

  glow discharge mass spectrometry

4.005

GDOES

  glow discharge optical emission spectrometry

4.006

GDS

  glow discharge spectrometry

4.007

J

  beam current density

5.054

SIMS

  secondary-ion mass spectrometry

4.009

σ

  total secondary-electron yield

5.268

σ

tr

  transport cross-section

5.099

シェイクアップ    shake up

5.280

シェイクオフ  shake off

5.279

仕事関数 work function

5.322

紫外光電子分光法  ultra-violet photoelectron spectroscopy

4.013

紫外光電子分光法  UPS

4.013

始状態オージェパラメータ  initial state Auger parameter (Auger parameter, initial state)

5.032

視射角

glancing angle (angle, glancing)

5.010

システム分解能  system resolution(resolution, system)

5.257

自然ライン形状  natural lineshape (lineshape, natural)

5.202

自然ライン幅  natural linewidth (linewidth, natural)

5.204

自然付着炭素エネルギー基準  adventitious carbon referencing

5.003

シッカフスバックグラウンド  Sickafus background (background, Sickafus)

5.041

実験的散乱イオン強度  experimental scattered-ion intensity (scattered-ion intensity,

experimental)

5.263

実効イオン収率  useful ion yield (ion yield, useful)

5.194

質量スペクトル  mass spectrum

5.209

質量吸収係数  mass absorption coefficient (absorption coefficient, mass)

5.002

質量減衰係数  mass attenuation coefficient (attenuation coefficient, mass)

5.002

質量分析器    mass analyser

5.208

時定数 time

constant

5.312

遮蔽エネルギー  screening energy

5.253

シャーリーバックグラウンド  Shirley background (background, Shirley)

5.040


50

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

ジャンプ比  Jump ratio

5.195

修正オージェパラメータ  modified Auger parameter (Auger parameter, modified)

5.033

終状態  final state

5.152

受面ドーズ量  received areic dose (dose, received areic)

5.131

受面ドーズ量  D

rec

5.131

初期状態  initial state

5.171

初期状態  initial state

5.172

照射促進拡散  radiation-enhanced diffusion

5.248

照射誘起拡散    radiation-induced diffusion

5.248

上昇端ディケイ長  leading edge decay length (decay length, leading edge)

5.109

衝突カスケード  collision cascade

5.080

情報深さ information

depth

5.170

試料帯電   sample charging

5.260

真空準位   vacuum level

5.318

真空準位基準  vacuum level referencing

5.319

シンクロトロン放射  synchrotron radiation

5.307

信号強度

signal intensity (intensity, signal)

5.175

信号対ノイズ比    signal to noise    ratio

5.281

信号対バックグランド比  signal-to-background ratio

5.231

浸食率  erosion rate

5.146

真性ライン形状  intrinsic lineshape (lineshape, intrinsic)

5.202

真性ライン幅  intrinsic linewidth (linewidth, intrinsic)

5.203

真性ライン幅  intrinsic linewidth (linewidth, intrinsic)

5.204

【ス】

垂直ストラグリング  transverse straggling

5.317

垂直飛程 transverse

range

5.316

垂直方向分布  vertical profile (profile, vertical)

5.244

スタティック SIMS  static SIMS

4.011

スパッタリング  sputtering

5.292

スパッタリング収率  sputtering yield

5.296

スパッタリング率  sputtering rate

5.295

スパッタ深さ方向分析  sputter depth profile

5.291

スパッタ深さ方向分析  SDP

5.291

スパッタ中性粒子質量分析法  sputtered neutral mass spectrometry

4.010

スパッタ中性粒子質量分析法  SNMS

4.010

スパッタ面ドーズ量  sputtered areic dose (dose, sputtered areic)

5.133

スピン軌道分裂  spin orbit  splitting

5.290

【セ】 


51

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

制限視野絞り  selected area aperture

5.274

制動放射 bremsstrahlung

5.069

正イオン収率  positive ion yield (ion yield, positive)

5.193

線形吸収係数  linear absorption coefficient (absorption coefficient, linear)

5.001

線量  dose

5.125

選択スパッタリング  preferential sputtering(sputtering, preferential)

5.294

全二次電子収率  total secondary-electron yield

5.268

全二次電子収率 

σ

5.268

全反射 total  reflection

5.314

全反射蛍光 X 線分光法  total reflection X-ray fluorescence spectroscopy

4.012

全反射蛍光 X 線分光法  TXRF

4.012

【ソ】 

装置起源バックグラウンド  instrumental background (background, instrumental)

5.039

装置起源深さ分解能  instrumental depth resolution(depth resolution, instrumental)

5.117

装置起源深さ分解能  instrumental depth resolution(depth resolution, instrumental)

5.118

装置検出効率  instrumental detection efficiency

5.173

増大された弾性散乱断面積  enhanced elastic cross-section

5.091

束縛エネルギー  binding energy

5.066

阻止断面積  stopping cross-section

5.097

阻止断面積因子  stopping cross-section factor

5.299

阻止能 stopping

power

5.301

【タ】 

ターゲット target

5.308

ダイナミック SIMS  dynamic SIMS

4.002

ダイナミックエミッタンスマッチング法  dynamic emittance matching

5.134

多原子イオン  polyatomic ion

5.239

多重検出器不感時間  multidetector dead time

5.103

多重項分裂  multiplet splitting

5.219

多重項分裂  multiplet splitting

5.220

多層  multilayer

5.217

多層  multilayer

5.218

帯電中和  charge neutralization

5.075

帯電電位  charging potential

5.077

帯電補正  charge referencing

5.076

脱出角  take-off angle (angle, take-off)

5.020

単層  monolayer

5.214

単層容量  monolayer capacity

5.215

単層容量  monolayer capacity

5.216


52

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

弾性散乱  binary elastic scattering

5.064

弾性散乱断面積  elastic scattering cross-section (cross-section, elastic scattering)

5.089

断面積 cross-section

5.088

断面切り出し  cross-sectioning

5.100

【チ】 

チャネリング  channelling

5.071

チャンネル当たりのエネルギー  energy per channel

5.144

注入面ドーズ量  implanted areic dose (dose, implanted areic)

5.127

注入面ドーズ量  D

imp

5.127

超コスター・クローニッヒ遷移  super Coster-Kronig  transition

5.302

直接スペクトル  direct spectrum

5.124

【ツ】 

ツガードバックグランド  Tougaard background (background, Tougaard)

5.043

【テ】 

D    areic dose (dose, areic)

5.126

D    areic dose (dose, areic)

5.126

D

imp

    implanted areic dose (dose, implanted areic)

5.127

D

nom

    nominal areic dose (dose, nominal areic)

5.128

D

rec

    received areic dose (dose, received areic)

5.131

D

ret

    retained areic dose (dose, retained areic)

5.132

TXRF

  total reflection X-ray fluorescence spectroscopy

4.012

δ  secondary-electron yield

5.266

δ  secondary-electron emission coefficient

5.266

ΔE/E一定モード  ConstantΔE/E mode

5.083

ΔE一定モード  constant analyser energy mode

5.082

ディケイ長  decay length

5.105

定量分析  quantitative analysis

5.246

デジタルゲート  digital gate (gate, digital)

5.159

電荷操作 charge

modification

5.074

電界誘起移動  field induced migration

5.151

電気的ゲート  electronic gate (gate, electronic)

5.160

電子エネルギー損失スペクトル    electron energy loss spectrum (energy loss spectrum,

electron)

5.142

電子エネルギー分析器  electron energy analyser

5.135

電子の非弾性散乱バックグラウンド除去法    inelastic electron scattering background

subtraction

5.167

電子の非弾性平均自由行程  electron inelastic mean free path

5.168


53

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

電子フラッド法  electron flooding

5.136

電子減速法  electron retardation

5.137

電子的阻止断面積    electronic stopping cross-section (stopping cross-section, electronic)

5.298

電子分光器  electron spectrometer

5.138

デルタ層  delta layer

5.112

【ト】 

投影飛程  projected range

5.245

統計的ノイズ  statistical noise (noise, statistical)

5.222

動力学的因子  kinematic factor

5.196

同位体相対感度係数  relative isotopic sensitivity factor (sensitivity factor, relative isotopic)  5.278

ドーズ密度  areic dose (dose, areic)

5.126

ドーズ密度  D

5.126

ドーズ量  dose

5.125

特性 X 線  characteristic X-rays

5.073

特性電子エネルギー損失  characteristic electron energy losses

5.072

【ナ】 

内部散乱 internal

scattering

5.181

内部炭素基準  internal carbon referencing

5.180

斜め研磨 angle

lapping

5.011

斜め出射 grazing

exit

5.163

斜め入射 grazing

incidence

5.164

斜め入射 glancing

incidence

5.164

【ニ】 

二次イオン  secondary ion

5.269

二次イオンエネルギー分布  secondary-ion energy distribution

5.271

二次イオン角度分布  secondary-ion angular distribution

5.270

二次イオン質量分析法  secondary-ion mass spectrometry

4.009

二次イオン質量分析法  SIMS

4.009

二次イオン収率  secondary-ion yield

5.272

二次電子 secondary

electron

5.265

二次電子収率  secondary-electron yield

5.266

二次電子収率  secondary-electron yield

5.267

二次電子収率  δ

5.266

二次電子放出効率  secondary-electron emission coefficient

5.266

二次電子放出効率  secondary-electron emission coefficient

5.267

二次電子放出効率  δ

5.266

二体弾性散乱  binary elastic scattering

5.064


54

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

二体弾性散乱ピーク  binary elastic scattering peak

5.065

入射ビームエネルギー  energy of incident beam

5.143

入射角  angle of incidence

5.014

入射粒子エネルギー  incident-particle energy

5.166

【ノ】 

ノイズ  noise

5.221

ノックイン  knock-in

5.198

ノックオン  knock-on

5.198

【ハ】 

パイルアップ  pileup

5.237

背面散乱因子  backscattering factor

5.047

背面散乱係数  backscattering coefficient

5.049

背面散乱係数 

η

5.049

背面散乱収率  backscattering yield

5.049

背面散乱収率 

η

5.049

背面散乱電子  backscattered electron

5.044

薄膜  thin film

5.311

パスエネルギー  pass energy

5.226

バックグラウンド信号  background signal

5.042

発光収率 emission

yield

5.139

パルスビーム電流  pulse beam current

5.056

反跳注入  recoil implantation

5.198

【ヒ】 

ピークエネルギー  peak energy

5.228

ピークフィッティング  peak fitting

5.229

ピーク強度  peak intensity (intensity, peak)

5.174

ピーク合成  peak synthesis

5.230

ピーク対バックグランド比  peak-to-background ratio

5.231

ピーク幅 peak

width

5.232

ピーク面積  peak area

5.227

ビームエネルギー  beam energy

5.059

ビームプロファイル  beam profile

5.063

ビーム拡がり角  beam divergence angle

5.058

ビーム径 beam

diameter

5.057

ビーム収束角  beam covergence angle

5.051

ビーム衝撃エネルギー  beam impact energy

5.060

ビーム電流  beam current

5.052


55

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

ビーム電流  I

5.052

ビーム電流密度  beam current density

5.054

ビーム電流密度  J

5.054

ビーム粒子  beam particle

5.061

光イオン化断面積  photoionization cross-section

5.095

非延長不感時間  non-extended dead time

5.104

非対称性パラメータ  asymmetry parameter

5.021

非対称性パラメータ  β

5.021

非弾性散乱  inelastic scattering

5.169

非弾性散乱バックグラウンド  inelastic background (background, inelastic)

5.038

非弾性散乱断面積  inelastic scattering cross-section

5.092

非注入面ドーズ量  non-implanted areic dose (dose, non-implanted areic)

5.129

飛程ストラグリング  range straggling

5.249

微分スペクトル  differential spectrum

5.122

微分弾性散乱断面積  differential elastic scattering cross-section (cross-section, elastic

scattering, differential)

5.090

標準真空準位  standard vacuum level (vacuum level,standard)

5.320

表面  surface

5.303

表面汚染  surface contamination

5.304

表面近似エネルギー  surface approximation energy (energy, surface approximation)

5.145

表面被覆率  surface coverage

5.305

表面偏析  surface segregation

5.306

【フ】 

FAB

  FABMS

4.004

FABMS

  fast atom bombardment mass spectrometry

4.004

FAT

モード  FAT mode

5.082

Φ

  flux

5.157

ファラデーカップ  Faraday cup

5.148

負イオン収率    negative ion yield (ion yield, negative)

5.192

フェルミエネルギー  Fermi energy

5.149

フェルミ準位  Fermi level

5.149

フェルミ順位基準  Fermi level referencing

5.150

深い放出関数ディケイ長  deep emission function decay length (decay length, deep

emission function)

5.107

深さ分解能  depth resolution

5.116

深さ分解能パラメータ  depth resolution parameter

5.119

深さ方向組成分布  compositional depth profile

5.081

深さ方向組成分布  CDP

5.081

深さ方向分布  depth profile (profile, depth)

5.244


56

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

深さ方向分布測定  depth profiling

5.115

深さ方向放出分布関数  emission depth distribution function (depth distribution function,

emission)

5.113

深さ方向励起分布関数  excitation depth distribution function (depth distribution function,

excitation)

5.114

不感時間  dead time

5.101

副殻光イオン化断面積    sub-shell photoionization cross-section

5.098

部分イオン収率  fractional ion yield (ion yield, fractional)

5.191

部分スパッタリング収率  fractional sputtering yield (sputtering yield, fractional)

5.297

部分スパッタリング収率  partial sputtering yield (sputtering yield, partial)

5.297

プラズモン  plasmon

5.238

フラックス flux

5.157

フラックス 

Φ

5.157

ブラッグ則  Bragg's rule

5.068

フルエンス  fluence

5.153

フルエンス  fluence

5.154

フルエンス  F

5.153

フルエンス  F

5.154

プローブイオン  probe ion

5.242

ブロッキング配置  blocking geometry

5.067

分光器エタンデュ  spectrometer etendue

5.285

分光器エネルギー一定モード  constant analyser energy mode

5.082

分光器トランスミッション固定モード  fixed analyser transmission mode

5.082

分光器の応答関数  spectrometer response function

5.286

分光器の相対分解能  relative resolution of a spectrometer

5.251

分光器の透過関数  spectrometer transmission function

5.287

分光器の分解能  resolution of a spectrometer

5.256

分光器の分解能力  resolving power of a spectrometer

5.258

分光器の分散  spectrometer  dispersion

5.283

分光器の分散    spectrometer  dispersion

5.284

分光器立体角  solid angle of analyser (angle, solid, of analyzer)

5.018

分析器の透過関数    analyser transmission function

5.287

分析器の分散  analyser  dispersion

5.284

分析体積  analysis volume

5.007

分析体積  analysis volume

5.008

分析領域  analysis area

5.005

分析領域  analysis area

5.006

【ヘ】 

β  asymmetry parameter

5.021


57

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

平滑化処理  smoothing

5.282

平均ビーム電流  average beam current

5.053

平均脱出深さ  mean escape depth (escape depth, mean)

5.147

平均放出関数ディケイ長  average emission function decay length (decay length, average

emission function)

5.106

平衡表面組成スパッタリング  equilibrium surface composition sputtering (sputtering,

equilibrium surface composition)

5.293

偏析  segregation

5.273

変換確率  transformation probability

5.315

変質層  altered layer

5.004

変調  modulation

5.213

【ホ】 

妨害信号 interference

signal

5.179

放出角度  angle of emission

5.013

放出関数ディケイ長  emission function decay length (decay length, emission function)

5.108

ボールクレータ法  ball cratering

5.050

【マ】 

マジックアングル  magic angle (angle, magic)

5.012

マップ  map

5.205

マトリックス因子  matrix factor

5.211

マトリックス効果  matrix effects

5.210

【ミ】 

ミキシング領域  zone of mixing

5.326

【メ】 

面ドーズ量  areic dose (dose, areic)

5.126

面ドーズ量  D

5.126

面ドーズ量率  areic dose rate (dose rate, areic)

5.130

面ドーズ量率  G

5.130

面情報深さ方向分布  image depth profile

5.165

【ユ】 

U

  overpotential

5.225

輸送断面積  transport cross-section

5.099

輸送断面積 

σ

tr

5.099

輸送平均自由行程  transport mean free path (mean free path, transport)

5.212

輸送平均自由行程 

λ

tr

5.212


58

K 0147

:2004 (ISO 18115:2001)

有効減衰長さ  effective attenuation length (attenuation length, effective)

5.025

UPS

  ultra-violet photoelectron spectroscopy

4.013

【ヨ】 

横方向プロファイル  lateral profile (profile, lateral)

5.243

横方向分解能  lateral resolution (resolution, lateral)

5.255

【ラ】 

λ

tr

    transport mean free path (mean free path, transport)

5.212

ラインスキャン  line scan

5.200

ライン形状  lineshape

5.201

ライン幅  line width

5.232

ラザフォード断面積  Rutherford cross-section

5.096

ラスタ  raster

5.250

ランダム入射スペクトル  random incidence spectrum (spectrum, random incidence)

5.289

【リ】 

理論的散乱イオン強度  theoretical scattered-ion intensity (scattered-ion intensity,

theoretical)

 

5.264

臨界角  critical angle (angle, critical)

5.009

【ル】 

累積ビーム電流  integrated beam current

5.055