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K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人大阪科学技術センター付属ニューマ

テリアルセンター(OSTEC)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定す

べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

JIS K 0145

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)  簡易的な計算手法を用いた最小二乗法によるピークの結合エネルギーの決定

附属書 B(参考)  不確かさの導出

附属書 C(参考)  測定した結合エネルギーの不確かさの引用

附属書 D(参考)  単色化したアルミニウム X 線源を装備した X 線光電子分光装置使用時の修正オー

ジェパラメータ測定法


K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

(2)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

2

2.

  引用規格

2

3.

  記号及び略語

2

4.

  手法の概要

3

5.

  エネルギー軸目盛の校正手順

6

5.1

  標準物質の入手

6

5.2

  試料の取付け

6

5.3

  試料の清浄化

6

5.4

  エネルギー軸校正をする分光器の設定の選択

7

5.5

  装置の操作

7

5.6

  最初とその次からの校正測定の特例

7

5.7

  ピークの結合エネルギーの再現性標準偏差と目盛の直線性の測定

7

5.8

  ピークの結合エネルギーの繰返し標準偏差の計算

9

5.9

  結合エネルギー軸の直線性の点検

12

5.10

  校正誤差を定期的に決めるための手順

12

5.11

  装置の結合エネルギー軸の目盛を補正する手順

13

5.12

  次期の校正

15

5.13

  校正時期の決定

15

附属書 A(規定)簡易的な計算手法を用いた最小二乗法による  ピークの結合エネルギーの決定

17

附属書 B(参考)不確かさの導出

19

附属書 C(参考)測定した結合エネルギーの不確かさの引用

21

附属書 D(参考)単色化したアルミニウム 線源を装備した 線光電子分光装置使用時の

                修正オージェパラメータ測定法

23

参考文献

26

解  説

28

 


日本工業規格

JIS

 K

0145

:2002

(ISO 15472

:2001

)

表面化学分析―

X

線光電子分光装置―

エネルギー軸目盛の校正

Surface chemical analysis

―X-ray photoelectron spectrometers―

Calibration of energy scales

序文  この規格は,2001 年 2 月に第 1 版として発行された ISO 15472,Surface chemical analysis―X-ray

photoelectron spectrometers

―Calibration of energy scales を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

X

線光電子分光(XPS)は,材料の表面分析に広く使用されている。試料中の元素(水素とヘリウムは

除く。

)は測定した結合エネルギーを種々の元素の結合エネルギー表と比較することによって同定すること

ができる。元素の化学状態の情報は,その元素の光電子及びオージェ電子スペクトルの特性の化学シフト

から得られる。化学状態の同定には 0.1 eV 程度の測定精度が要求される。それゆえに適切な精度で個々の

スペクトルを測定する必要がある。したがって,XPS 装置の結合エネルギー軸目盛は 0.2 eV 又はそれ以下

の正確さで校正しなければならない。

装置の結合エネルギー軸を校正するここに述べる方法では純金属の銅(Cu)

,銀(Ag)

,金(Au)を用

いる。また,この方法は非単色化アルミニウム(Al)及びマグネシウム(Mg)又は単色化アルミニウム(Al)

X

線源をもつ X 線光電子分光装置に応用できる。この規格は 0∼1 040 eV の結合エネルギーに対して有効

である。

ISO 17025

[1]の適用範囲内で,又は他の目的で分析を行うためには,校正した XPS 装置の推定される

不確かさについて述べる必要がある。これらの装置は結合エネルギーの測定のためにある定義された許容

範囲内±

δ

で校正される。

δ

の値はこの規格を用いる使用者が決めるもので,この規格においては定義し

ない。なぜならば,それは XPS 装置の応用や設計に依存するからである。標準の使用者の経験,装置の安

定性,結合エネルギーの測定での不確かさ,校正を行うための労力,を考慮して

δ

の値はこの規格の使用

者が決める。この規格は適切な

δ

の値を選ぶための情報を提供する。典型的には

δ

の値は 0.1 eV 又は,繰

り返し標準偏差,σ

R

の約 4 倍より大きい。時間による装置のドリフトを加えた場合,結合エネルギーの

基準値からのずれプラス 95%信頼限界の拡張校正不確かさが選択した許容限界を超えていない,というの

が校正された状態である。装置が校正状態から外れそうなときは,それ以前に校正状態を保つために再校

正しなければならない。再校正のための校正測定では測定値と基準値との差が減少するようにする。この

差はゼロにする必要はないが,普通,分析業務に要求される許容範囲以内のできるだけ小さな値まで減少

させるべきである。

この規格は,装置の考えられるすべての欠陥について述べるものではない。というのはそれらに要求さ

れるテストには時間がかかるし,特別な知識と器具が必要であるからである。しかし,この規格は XPS 装


2

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

置の結合エネルギー軸の校正における基本的なごく普通の問題について述べることを意図している。

1.

適用範囲  この規格は,通常の分析用途に用いる場合の,単色化しない Al と Mg,単色化した Al を

励起 X 線源として用いる X 線光電子分光装置の結合エネルギー軸目盛を校正する方法を定める。この規格

は,

測定試料をスパッタクリーニングすることが可能なイオン銃を備えた装置に限って有効である。

更に,

この規格は,結合エネルギー軸目盛の直線性を確認するためにいつ校正を行うべきかという日程を決める

ための方法,ある中間の一つのエネルギーで目盛の直線性を調べて校正値の誤差範囲を読み取り,ある高

い結合エネルギー値と低い結合エネルギースケール値の不確かさを校正し,こうして,小さな変動の修正

と結合エネルギー軸目盛の拡張不確かさを信頼限界 95%で校正できる不確かさを定義する。この不確かさ

の範囲には機関間によるものを含むが,分光装置に生じるすべての欠陥を範囲として含むものではない。

また,この規格は次のような場合,エネルギー目盛が明らかに直線性を失っている場合,エネルギー阻止

比が 10 未満の定エネルギー阻止比で測定する場合,

分光器のエネルギー分解能が 1.5 eV よりも悪い場合,

許容誤差範囲として±0.03 eV 以下の値を要求する場合には適用できない。この規格は設定可能なすべての

エネルギー点に関するエネルギー軸目盛の校正ではなく,そのような校正は装置製造業者の推奨する方法

に従ってなされるべきである。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 15472

,Surface chemical analysis―X-ray photoelectron spectrometers―Calibration of energy

scales (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

  ISO 18115  Surface chemical analysis―Vocabulary

3.

記号及び略語

a

実測したエネルギー目盛の誤差

b

実測したゼロオフセットの誤差,単位 eV

E

corr

ある与えられた E

meas

値に対応する補正された結合エネルギー値

E

elem

頻繁に測定する元素の結合エネルギー値で,校正後にはここに結合エネルギーの目盛を合わせ,

正確に読み取れるようにする。単位 eV

E

meas

測定された結合エネルギー値,単位 eV

E

meas n

表 のピーク について測定された結合エネルギーの平均値,単位 eV

E

meas ni

表 のピーク について一つの組として測定された結合エネルギー値の一つ,単位 eV

E

ref n

表 のピーク についての結合エネルギーの参照値

FWHM

バックグラウンドを除去したピークにおける半値全幅,単位 eV

j

ある新しいピークについての測定繰返し回数

k

繰返し測定の標準偏差を求めエネルギー軸目盛の直線性を定義する際の Au 4f

7/2

,Cu 2p

3/2

,Ag 3d

5/2

又は Cu L

3

VV

ピークに関する測定繰返し回数

m

定期的校正時の Au 4f

7/2

,Cu 2p

3/2

ピークに関する測定繰返し回数


3

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

n

表 のピーク番号

t

x

信頼限界 95%における双方向分布の 自由度に関する検定のステューデント t-値

95

U

信頼限界 95%で校正されたエネルギー軸目盛の総合不確かさ,単位 eV

E

U

c

95

エネルギー軸目盛の直線性が完全であると仮定し,Au 4f

7/2

と Cu 2p

3/2

を使って校正を行ったとき

の,結合エネルギー値 における信頼限界 95%での不確かさ,単位 eV

l

95

U

方程式(7)によって導く信頼限界 95%の不確かさε

2

又はε

3

,単位 eV

cl

95

U

直線性の誤差がないときに方程式(12)と(13)によって導かれる信頼限界 95%での校正の不確

かさ

XPS

X線光電子分光法

Δ

n

用いたX線源について,

表 の n=1,2,3,4 の参照エネルギーから校正に用いたピークエネル

ギーの平均測定値を差し引いた値,単位 eV

Δ

E

corr

校正後に E

meas

に加える補正値で,補正済み結合エネルギーを得るための値

Δφ

方程式(16)から求められる

Δ

1

Δ

4

の平均値

δ

信頼限界 95%でのエネルギー校正の信頼限界値(分析者が設定する値)

,単位 eV

ε

2

方程式(4)によって Ag 3d

5/2

ピーク位置で観察されるエネルギーの直線性誤差,単位 eV

ε

3

方程式(5)又は(6)によって Cu L

3

VV

ピーク位置で観察されるエネルギーの直線性誤差,単位

eV

σ

R

σ

R1

σ

R2

又は

σ

R3

のいずれかと,

σ

R4

の最大値

σ

Rn

表 に示すピーク の結合エネルギー値を 7 回測定して得た繰返し再現性の標準偏差,単位 eV

σ

Rnew

ある新しいピークに関する繰返し再現性の標準偏差

附属書 及び附属書 に用いられている追加の記号一覧は,これらの附属書中にある。

4.

手法の概要  手法の詳細は,5.に記載する。この規格に従って X 線光電子分光装置を適切に校正する

ためには,銅と金の標準物質フォイルを用いて Cu 2p

3/2

と Au 4f

7/2

光電子ピークの測定を行うので,あらか

じめこれらを入手しておく。

これらのピークは結合エネルギーの高い領域と低い領域の端に近いことから,

エネルギー測定値の直線性を校正するための実用的基準として選ばれたものである。Al Kαの単色化 X 線

を利用する装置でエネルギー軸の直線性を試験するには Ag 3d

5/2

ピークを用いるので,銀の標準物質が必

要である。同じ試験を非単色化 X 線にて行う場合には,同じピークを利用してもよいし,より簡便には

Cu L

3

VV

オージェ電子ピークを用いてもよい。これらのピークエネルギー値に関してはよく調べられてお

り,放出角が試料法線から 0∼56°で有効な参照データが公表されている。これら校正の最初の段階につ

いては,5.15.5 に述べているが,関連項目を項目番号とともに

図 の流れ図に示す。

初めての校正を行う段階では,

分光器の特性について何の予備知識はないものとする。

そこで,

5.7

では,

Cu 2p

3/2

,Ag 3d

5/2

又は Cu L

3

VV

,Au 4f

7/2

の各ピークを一連で測定するが,その測定を七回繰り返す。これ

らのデータによって用いたピークの繰返し再現性の標準偏差

σ

R1

σ

R2

又は

σ

R3

σ

R4

が求まる。これらの

標準偏差には,分光器における電源の安定性,測定試料位置に関する感度とピークの統計雑音成分が関係

している。これらのデータを得るに当たっては,統計雑音成分が相対的に小さくなるような条件で行う必

要がある。他の二つの寄与は,測定を行った結合エネルギー値によっても異なるので,

σ

R

は用いた三つ

のピーク測定値の標準偏差値から最大値を選んでこれに当てる。

σ

R

の値は選んだ測定位置によっても影

響されることがある。そこで,5.7.1 では測定位置決定は一貫していることを要求し,そして最終的な校正

は,ここで定めた位置で行ったものだけ有効である。


4

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

分光器に関する調査結果からは,概して,ピークエネルギーに関するどのような測定誤差もピークの結

合エネルギー値に対し直線的に変化している。この規格に記述する方程式は,ごく普通の状態のときに限

って有効である。更に,結合エネルギーの参照値と測定値の差は小さく,結合エネルギーに対する依存性

は直線で近似することが可能な状態であることを前提としている。この直線性は,装置が不調なときには

成立しないことがある。したがって,5.7 と 5.9 では中間エネルギー領域でどの程度の直線性が成立してい

るかという点についての確認を行う。簡便性という点で,Al,Mg の非単色化 X 線源を用いるとき,銅の

オージェ電子ピークを含めると好都合である。これに対して,単色化した Al の X 線を利用する場合には,

実効的な X 線のエネルギーは分光結晶の位置決めの精密さにより最大で 0.2 eV 程度異なることがある。す

なわち,光電子とオージェ電子のピークエネルギー差は最大で 0.2 eV 程度まで異なることがある[2]

。し

たがって,単色化した Al の X 線を用いるエネルギー軸直線性試験では,光電子ピークだけを利用するこ

とになり,Ag 3d

5/2

光電子ピークが選ばれる[3]

。この規格の測定を行うとき,Cu L

3

VV

ピークから Ag 3d

5/2

ピークへの変更に伴って純銀試料が必要となるが,これは非単色化 X 線源を単色化した Al の X 線源に変

更したときだけのことである。

もし直線性試験が適切に行われたならば,結合エネルギー目盛に関する補正は 5.10 に定める単純な校正

手順が利用できる。いかに結合エネルギー目盛が補正されるかという点は校正を行う装置がどのように校

正されているかという点に依存しているので,作業方針をいくつか 5.11 に述べる。また,分析者はピーク

の結合エネルギー値にどの程度の不確かさを見込むかを考慮しておく必要がある。この規格で用いるいく

つかの値を

表 に示す。これらの値は,表示の許容誤差±0.1 eV で信頼限界 95%の誤差範囲が±0.2 eV の

場合である。

表 において校正周期内における変動の許容範囲は重要である。ゆえに,校正周期の値は,

図 の流れ図に従って行う 5.13 の装置変動の測定結果に基づいて決定する。通常のエネルギー校正は要求

する許容誤差範囲に結合エネルギー目盛の誤差が収まっている校正周期の長さによって校正周期を適切に

定めるようにする。

この規格によって校正すればそれが終了した直後には信頼限界が 95%となる誤差範囲で測定結果は記

述されていることになる。結合エネルギー目盛の誤差は通常時間とともに増加するが,校正と校正の間に

は,測定の質を評価するために分析(管理)者自身が定義して選んだ±

δ

という許容誤差範囲を超えるこ

とがあってはならない。

表 の例に示すように表にすべて記入することによって

δ

の適切な値を定めるこ

とができる。もし利用している装置の能力についての予備知識がなく,装置製造業者からの情報がこの点

に関して不十分で,しかも要求精度について明確な指針をもっていないときには,とりあえず

表 

δ

0.1 eV

を入力してから始める。この規格に述べた手順を実行し,空欄の行を埋め,最終的には

δ

の値が使

っている装置にとって適切であるか否かを検討する。もし適切でなければ,操作内容と手順について検討

し直す必要があり,U

95

に関係する項目の幾つかを緩めるか,又は許容範囲内で

δ

の値を大きくするかの

いずれかを行う。

δ

が装置の結合エネルギー目盛の校正に関して正確さの許容限界であることは重要な点である。その後

の測定では,結合エネルギー値はピーク幅が広がったり,計数量が不十分であったり,帯電の効果などに

より必ず

δ

よりも大きな不確かさをもつことになる。

附属書 に校正時の測定の不確かさに関する報告の

方法を示す。上に述べた中で,単色化した Al の X 線を用いるとき,X 線の実効的なエネルギー値は装置

ごとに異なっているだろう。そこで,

附属書 に,このエネルギー値を求める方法を述べる。


5

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

  1  操作手順の方法の流れ図

(小節の数字は本文中に現れるその番号に対応する。


6

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

  1  結合エネルギー目盛の校正に関して寄与する誤差の見積り

(誤差範囲の信頼度は 95%。例は校正の誤差範囲に関する選択が再校正までの期間に与える効果を示す。

項目

記号

算出元

要求正確さ高

要求正確さ低

許容誤差,eV

±

δ

選択

±0.1

±0.2

この値は指定した正確
さと,通常の校正時に可

能な時間内に測定する
スペクトル数によって
決まる。

再現性の標準偏
差,eV

σ

R

方程式(1)

0.020 0.020

初めての校正の時に測
定された利用分光器の

特性値(5.7 参照)

スペクトル組の

測定回数

m m=1

又は 2 で

選択

m=1

m=2

m=1

m=2

校正測定の誤差
範囲,eV

方程式(12)

又は(13)

0.074 0.052 0.074 0.052

目盛の非直線性,

eV

ε

2

又は

ε

3

方程式(4)

(5)又は(6)

0.020 0.020 0.020 0.020

初めての校正の時に測
定された利用分光器の

特性値(5.7 参照)

校正後の目盛誤
差範囲,eV

U

95

方程式(11)

0.078 0.057 0.078 0.057

校正周期の内に
許容される最大

変動,eV

±(

δ

U

95

)

δ

と U

95

±0.022

±0.043

±0.122

±0.143

設定限度±

δ

 eV

を超

えないように許容変動

範囲を決める。

校正周期の最大
値(0.025 eV/月

という定速変動
のとき)

,月

項目番号 5.13

0.9 1.7 4.9 5.7

この最大値を超えない
範囲で便利な周期を,4

か月以下で,思いがけな
いことが起こっても大
丈夫な値に設定する。

校正周期の選択,

観察された変
動に基づき選

非実用的
も選択肢

1 3 4

5.

エネルギー軸目盛の校正手順

5.1

標準物質の入手  非単色化の Al 又は Mg の X 線源を備えた X 線光電子分光器の校正のためには,

銅と金の試料を使う。単色化した Al の X 線源の装置では,銀を加える。試料は多結晶体で,少なくとも

99.8

%の純度で,はくの形状のものとする。その大きさは,10×10mm,厚さは 0.1∼0.2mm のものが使い

やすい。

備考  試料のクリーニングが必要なときは,銅や銀では,1%硝酸にちょっと浸した後に蒸留水ですす

ぐとよい。銅試料を 2,3 日以上空気中に放置したときは,上記の硝酸に浸すことによって簡単

に 5.3.1 で要求される試料クリーニングができる。

5.2

試料の取付け  銅,金,銀(必要なら)試料を同一のホルダ又は別のホルダにとめねじ,又は他の

金属の手段で電気的な接触を確保して固定する。間違っても,両面粘着テープでとめてはいけない。

5.3

試料の清浄化

cl

95

U


7

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

5.3.1

超高真空にして,イオンスパッタリングによって表面汚染を取り除き,試料を清浄化する。目安は

広域スペクトルで酸素と炭素の 1s ピークが最も強い金属ピークの 2%以下になることである。それぞれの

試料について広域スペクトル(ワイドスキャン)をとり,存在すべき純元素のピークだけであることを確

かめる。ここで必要とされる真空度は 5.10 が終了するまで,又は 1 日の終わりまで(どちらか早い方)に,

酸素と炭素の 1s ピークが金属の最も強いピークの 3%を超えないことである。

備考1.  試料清浄化に適当な希ガスイオンスパッタリング条件は 5 keV のアルゴンイオンでは 1cm

2

当たり 30

µA で 1 分間である。

2. XPS

スペクトルの例は,

参考文献[4∼8]にある。

5.3.2

この規格に関係する測定の部分は,すべての試料において週日の 1 日で終わるべきである。もし,

1

日以上かかるときは,測定に先立ち,その日の初めごとに試料の清浄さを確認すべきである。

5.4

エネルギー軸校正をする分光器の設定の選択

エネルギー軸校正をしたい分光器操作の設定を

択する。5.4 から 5.13 の校正手順はそれぞれの X 線源ごと,更に分光器の設定の組合せに対してその都度

繰り返さなければならない。ここでいう組合せとは,パスエネルギー,減速比,スリット,レンズ

調整な

ど,校正を必要とするものである。これらの設定値は,分光器校正の日誌に記録する。

備考  分光器とその回路のデザインは,いろいろに変化する。そしてある一つの組合せで校正したレ

ンズの調整,スリットとパスエネルギーの値はそれ以外の組合せに対しては必ずしも有効では

ない。大多数の測定者は,ある一つの最適な組合せの条件で正確な測定を行う。したがって,

この条件での校正が必要とされる。どのような校正も実際に設定した組合せに対してだけ有効

である。

5.5

装置の操作  装置製造業者の操作書に従って装置を操作する。装置はベーキング後には完全に室温

まで温度を下げておかなければいけない。X 線出力,計数率,分光器の掃引やその他の操作パラメータは,

装置製造業者の推奨する範囲内で操作していることを確かめる。検出器マルチプライヤーは正しく調整さ

れていることを点検する。多重検出器をもつ装置では,ここで述べる校正に先立ち,装置製造業者の方法

に従って最適化し,それを点検しておくことが必要である。

備考1.  大部分の装置製造業者は正確なエネルギー参照値を必要とするときには,制御部と高圧回路

は少なくとも 4 時間前にはスイッチを入れるように推奨している。更に,正確な測定をする

前には X 線アノードを少し前から,例えば,1 時間,測定状態にしておく必要がある。

2.

モノクロメータは,予熱を必要とすることがある。モノクロメータを通して試料に届く X 線

のエネルギーは,周囲の温度,又はモノクロメータの周囲の温度で変化する。これらの温度

を記録しておくことは,計測したピークエネルギーのドリフトに由来する問題を明らかにす

るのに役立つ。

3.

高すぎる計数率[9]や適切でない検出器電圧[9,10]はピークをゆがませる原因となり,

間違ったピークエネルギーを与える。

5.6

最初とその次からの校正測定の特例  校正において装置の結合エネルギー軸の目盛を維持するため

には,結合エネルギーの繰返し標準偏差,目盛の直線性誤差,校正間の間隔などすべてを決めておくこと

が必要である。もし,これらの中で決めてないものがあれば,次のようにする。もし,この規格の使用に

先立ち,分光器の調整に関連したことがらがすべて求められていて,更に装置を改造したり,重要な修理

をしたり,移動をしたりしていなければ,

図 の流れ図に示す 5.10 に直接進んでよい。

5.7

ピークの結合エネルギーの再現性標準偏差と目盛の直線性の測定


8

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

5.7.1

ピークエネルギーの繰返し再現性標準偏差

σ

R

は,5.7.4 から 5.7.7 に記したように測定する。用い

るピークは Au 4f

7/2

,Ag 3d

5/2

又は Cu L

3

VV

,及び Cu 2p

3/2

である。この測定は,通常は,用いる設定の組

合せごとに,最初に 1 回エネルギー軸校正を行うだけでよい。

σ

R

の値は選択した条件だけで有効であり,

分析時の試料位置合わせの手順からくる大きな影響をも含む。一貫性をもたせるため,この試料位置合わ

せ手順は装置製造業者の推奨する方法を考慮した文書に従うべきである。この部分は 5.4 で選択したよう

にエネルギー軸校正を必要とする分光器設定条件ごとにそれぞれ行わなければならない。装置に重要な改

造をしたときは,その後にこの行程を再度行うことが必要である。

備考  試料の位置合わせの手順は装置のデザイン,試料の性質,形状,及び分析目的に依存する。通

常の場合,正しい試料位置はスペクトル強度が最大値を示す位置に決定される。最適化におい

ては二つ又はそれ以上の影響し合うパラメータがあるので,一貫性をもった最適化の方法が必

要である。最適化がモノクロメータや,試料位置の変更を含むときはピークエネルギー値のシ

フトをもたらすことがある。したがって,強度の最大値で最適化するときは,通常のピークエ

ネルギー値から±0.5 eV に範囲を広げて測定することが必要である。このようなシステムでは,

強度による最適化は試料位置に対して低結合エネルギー側が高エネルギー側よりも敏感である。

ただし,まれには逆の場合もある。最適化は強度が試料位置に敏感な結合エネルギーのところ

で行うのが効率がよい。試料位置調整をうまく行い,かつ,繰返し再現性標準偏差のよい値を

得るためには 5.7 を数回繰り返して行うのが有効である。

5.7.2

結合エネルギー目盛の直線性は 5.7.6 に述べるように,非モノクロの Al や Mg の X 線のときは,

Cu L

3

VV

オージェピークを用い,モノクロ化した Al の X 線を使うときは,Ag 3d

5/2

で決定する。同時に,

不確かさを減らし,労力を軽くするために,ここで繰返し測定を行う。

5.7.3

データ取得の順序は,5.7.4 から 5.7.7 で規定するが,非モノクロ Al 及び Mg の X 線では,Au 4f

7/2

Cu 2p

3/2

,Cu L

3

VV

をこの順序で,更に 6 回繰返し測定する。モノクロ Al X 線では,Au 4f

7/2

,Cu 2p

3/2

,Ag

3d

5/2

をこの順序で,更に 6 回繰返し測定する。

備考 Au

4f

7/2

ピークは,たいてい最も弱いピークであるが,もちろんスペクトロメータに依存するが,

ときには Cu L

3

VV

はそれより弱くなる。測定条件を Au 4f

7/2

から始めると,他のすべてのピー

クでも共通に使えるので操作の運びがよくなる。

5.7.4

金試料を試料面の法線から 0∼56°の範囲で放出電子を検出できる分析位置に取り付ける。文書化

した試料装着法に従い,適切な X 線出力で 5.4 で選択した条件において Au 4f

7/2

ピークの結合エネルギー

を記録する。このとき,X 線の出力とチャンネル当たりの計測時間は,ピーク位置において 40 000 カウン

ト/チャンネル以上になるように調整する。エネルギーの測定間隔はおよそ 0.05 eV 又は 0.1 eV で掃引する

が,この条件は,ピークの結合エネルギーを決定する 5.8.1 に述べる条件で決める。このとき,少なくとも

ピーク位置の 1 eV 手前からその 1 eV ほど高いところまで走査する。また,正しいピークを広域掃引で同

定しておく。Au4f

7/2

の結合エネルギーの参照値を

表 のピーク 1 に示す。

たいていの分光器の操作ユニットは,広い範囲のエネルギー掃引速度を備えている。速い掃引速度は測

定したピーク値のシフトを引き起こす。使用する掃引速度で重大なピークシフトが起こらないことを確か

める。

備考  校正用の結合エネルギーの参照値は検出角度θで変化する。この規格の参照値はθが 0°から

56

°の範囲で有効であり,したがって,この方法は検出範囲をこの角度内に限定している[2]

θ>56°では,大きなピークシフトが起こり,校正に重大な誤差をもたらす。


9

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

  2  結合エネルギー軸目盛における,ピーク位置の参照値[11,12]E

ref n

E

ref n

EV

ピーク番号,n

スペクトル名

Al K

α Mg

K

α

単色化  Al Kα

1 Au

4f

7/2

 83.95

 83.95

 83.96

2 Ag

3d

5/2

(368.22)

(368.22) 368.21

3 Cu

L

3

VV 567.93  334.90

4 Cu

2p

3/2

 932.63  932.62  932.62

備考1.  表 は,旧表の改訂版[13,14]

2.

括弧内の Ag のデータは通常の校正には使わない。

5.7.5

金試料を分析位置から取り除き,その位置に試料位置調整法に従って銅試料が同じ検出角度をもつ

ように置き換える。Cu 2p

3/2

ピーク強度を記録する。このとき,金試料で用いたのと同じ分光器設定の条件

を維持し,ピークにおいて 40 000 カウント/チャンネル以上の強度があるように十分な積算時間をとる。

ピークエネルギー値の少なくとも 1 eV 手前から,ピークより 1 eV 高いところまで掃引する。正確なピー

クを広域掃引で同定し,確かめておく。

5.7.6

パスエネルギー,減速比,スリット,レンズ調整など分光器の設定の組合せを選択するためには,

次のような操作を行う。すなわち,非モノクロの Al 又は Mg の X 線源を使うときは Cu L

3

VV

ピークを測

定・記録する。モノクロの Al の X 線源を用いるときは,試料を銀に置き換えて,検出角度やその他すべ

ては同じ試料位置調整法により Ag 3d

5/2

を測定・記録する。

5.7.7

5.7.4

5.7.5 及び 5.7.6 の順に更に 6 回繰り返し,三つのピークについて,それぞれ七つの独立した

測定値を求める。時間を節約するため,5.8.1.3 に示すピークの結合エネルギーを決めるためのソフトウエ

アで広いインターバルをとる必要がなければ,スペクトルのエネルギー掃引範囲をピークの両側±0.5 eV

に狭めてもよい。

5.8

ピークの結合エネルギーの繰返し標準偏差の計算

5.8.1

測定したピークの結合エネルギーを 5.8.1.15.8.1.25.8.1.3 に記す三つの方法のいずれかで決定す

る。

備考  第一の方法はグラフでしかピークを記録できない装置を用いる分析者向けの方法である。第二

及び第三の方法は,ディジタルデータを利用できる分析者に薦めるものである。

5.8.1.1

第一の方法では,

図 に示すように 0 カウントから測ったピーク高さの 84%の強度の位置に,ピ

ークを横断するように水平に弦を引き,その中点を決める。そして次に,3 本又はそれ以上の数の弦を 84

から 100%強度の中間にほぼ等間隔で引き,それぞれの中点を決める。このようにして決めた中点を

図 2

に示すようにピーク位置に投影するとそれはピークエネルギー値を示す。グラフから読み取るか,又は 4

点かそれ以上の中点による最適化手法で計算してピークエネルギー値を求めればより確かな値が決められ

る。


10

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

  2    ピーク近傍の 5 eV の範囲の走査  a)Cu 2p

3/2

,b)Au 4f

7/2

,測定条件 Mg Kα,パスエネルギー50

eV

,エネルギーステップ 0.05 eV,c)と d)は平滑化処理をしていないものの詳細図,e)と f)はサビツ

キー・ゴーレイ法[15]で 9 点平滑化処理を行ったものの詳細図

図 2 c)から f)は中点法によるピーク結合エネルギーの決定法を表している]

備考  もし,測定に先立ち二,三次のサビツキー・ゴーレイ法[15]で平滑化したデータを用いれば,

この方法の精度は更によくなるだろう。このときのデータ間隔は,バックグラウンドによって

測定し,ピークの最大強度の半分の位置での幅(FWHM)の 1/2 に等しいか又はそれより狭い


11

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

範囲において処理を行う。

図 2 e)及び図 2 f)では 9 点平滑化を行っている。ピークの FWHM

が 1.0 eV で,

測定のエネルギー間隔が 0.1 eV であれば,

スムージング点数は 5 点が適当である。

5.8.1.2

第二の方法では,ピークトップ周辺のデータを放物線(二次式)によって最小二乗法でカーブフ

ィットする。選択したデータポイントは最大強度の両側におよそ同じ点数をとり,強度 0 から測ってピー

ク強度の 87%から 95%の領域でカーブフィットを行う。もし,使用しているシステムに最小二乗法による

カーブフィットのソフトがなければ,

附属書 に示す簡単な最小二乗法を使うとよい。

備考  附属書 の方法を適用するときのエネルギー間隔は,A.2 に与えられている。

5.8.1.3

第三の方法も,また,5.8.1.2 で定義された強度間隔のデータ点に最小二乗法を適合するものであ

るが,ここではピークの結合エネルギーを決めるのに固有のピーク適合ソフトを使用する。この方法は,

ピーク適合が 5.8.1.2 で定義されるデータ点に制限される場合にだけ使うことができるので,フィッティン

グを容易にするために一定のバックグラウンドが差し引かれるか,又は付加される。しかし,傾きをもっ

た直線やシャーリー法やツガード法のような非対称的なバックグラウンドは差し引くべきではないし,フ

ィッティング手順の一部としても利用すべきでもない。フィッティングは対称的な関数の単一ピークで行

われるべきであり,例えば,ガウス関数,ローレンツ関数,Voigt 関数か,又はそれらの関数から合成(和

及び積)されるものである。幾つかのソフトはここで必要とされる条件に完全に適合するものではない。

そこで,まず最初にこの方法を適用するときはそれぞれのピークの 1 記録データにつき 5.8.1.1 又は 5.8.1.2

に述べた方法のいずれかでピーク位置を確かめるべきである。

幾つかのソフトウエアは,単純なガウス型でも,ローレンツ型でも Voigt 関数でもない,非対称なピー

ク形状を生成してしまう。このような非対称性がフィッティングにおいて生成しないことを確認する必要

がある。

5.8.2

三つのピークそれぞれについて,七つの測定した結合エネルギーを表にする。

5.8.3

それぞれのピーク について七つの測定した結合エネルギーE

meas ni

の組から平均の結合エネルギー

E

meas n

を計算する。次に,七つの Au 4f

7/2

ピークエネルギーの測定値 E

meas 1i

の繰返しの標準偏差

σ

R1

を次の

式を用いて 5.7 から計算する。

å

=

7

1

2

1

meas

l

meas

2

R1

6

i

i

E

E

)

(

=

σ

(1)

ここで,E

meas 1

は E

meas 1i

値の平均値である。Ag 3d

5/2

又は Cu L

3

VV

と Cu 2p

3/2

の繰返し標準偏差

σ

R2

又は

σ

R3

σ

R4

も同様な方法で計算する。全体の繰返し標準偏差

σ

R

σ

R1

σ

R2

又は

σ

R3

σ

R4

の最も大きい

ものに等しいとみなされる。

備考  表 

σ

R

の値を記録しておけば何かにつけ有益である。

5.8.4 Cu

2p

3/2

,Au 4f

7/2

のピークエネルギーの系統的な時間変化を測定の順番でよく調べる。このような

系統的なものは,予熱が不十分か,又は他のドリフトの原因を示唆してくれることもある。もし,このよ

うなことが起こったら,適切な処置をし(例えば,予熱時間を増やす)

5.7 を繰り返す。

5.8.5

繰返し標準偏差の値は,装置が良好な動作状態であれば,0.05 eV 以下である。もし,

σ

R4

σ

R1

がこの値を超えるときは,装置の電圧の安定性やアースの適切さ,

試料の分析位置の調整法等を点検する。

もし,

σ

R

>

δ

/4

であれば,宣言したδの値を大きくするか,

σ

R

を減少させる方法をみつける必要がある。

備考  実験室間の比較[16]では,個別に準備した銅試料を測定ごとに試料位置調整を行ったときの

結果は,87%は

σ

R4

0.030 eV

であった。ここで,試料を動かさないで測定すれば

σ

R4

は減少し,

例えば,

σ

R4

0.021 eV

を得ている[3]

σ

R4

の値については 0.001 eV 位の小さい値さえ測定


12

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

されている[3]

5.9

結合エネルギー軸の直線性の点検

5.9.1

5.8.3

で決定された結合エネルギーの測定値の平均 E

meas  n

から,

表 で与えられる参照エネルギー

E

ref n

を差し引くことで,それぞれのピーク に対する装置のオフセットエネルギーの測定値,

Δ

n

が得られ

る。すなわち,式(2)が得られる。

Δ

n

=E

meas n

E

ref n

(2)

5.9.2

結合エネルギー軸の目盛が,目的とする分析のために十分に直線的であるかどうかを判定するため

には,次の式(4)

,式(5)

,式(6)を用いて,測定した結合エネルギー軸の目盛における直線性の誤差,

すなわち,Ag 3d

5/2

のピークにおける

ε

2

(単色化 Al X 線のとき)

,又は Cu L

3

VV

のピークにおける

ε

3

(非

単色化 Al 又は MgX 線のとき)を計算する必要がある。この誤差は,装置のオフセットエネルギーの測定

値である

Δ

2

又は

Δ

3

と,目盛が線形であると仮定したときの Cu 2p

3/2

及び Au 4f

7/2

ピークの結合エネルギー

から導出される数値との差である。単色化 Al X 線の場合,

ε

2

は,次の式によって与えられる。

û

ù

ë

é

=

1

ref

4

ref

1

ref

2

ref

4

2

ref

4

ref

1

2

2

)

(

)

(

E

E

E

E

E

E

Δ

Δ

Δ

ε

(3)

非単色化 X 線の場合,

ε

3

は,

Δ

2

Ε

ref 2

とを,

Δ

3

Ε

ref 3

とに置き換えた同様の式で与えられる。これ

らの式は,具体的に数値を用いて次のように表される。

ε

2

=

Δ

2

−0.665

Δ

1

−0.335

Δ

4

    (単色化 Al X 線のとき)  (4)

ε

3

=

Δ

3

−0.430

Δ

1

−0.570

Δ

4

    (非単色化 Al X 線のとき)  (5)

ε

3

=

Δ

3

−0.704

Δ

1

−0.296

Δ

4

    (非単色化 Mg X 線のとき) (6)

それぞれの X 線源について,式(4)

,式(5)又は式(6)から,

ε

2

ε

3

の値を計算する。

備考

ε

2

及び

ε

3

の値を,

表 に記録しておくとよい。

5.9.3 eV

単位で示された信頼性 95%での

ε

2

ε

3

の不確かさは,

l

95

U

より小さく,ここで,

l

95

U

は次の

式によって与えられる。

[

]

2

1

2

2

R

l

95

(0.026)

)

(1.2

/

U

σ

=

(7)

l

95

U

を計算する。もし,|

ε

2

|又は|

ε

3

|が

l

95

U

より小さければ,実用上,結合エネルギー軸の目盛

は直線的とみなされる。もし,|

ε

2

|又は|

ε

3

|の値が

l

95

U

より大きい場合,結合エネルギー軸の目盛

は直線的ではない。しかし,|

ε

2

|又は|

ε

3

|が

δ

/4

より小さいならば,すなわち,選択した誤差許容

限界

δ

に比べて,直線性の誤差が十分小さい値とみなせるならば,この程度の非直線性は許容できる。

例  もし,

σ

R

が 0.020 eV(

表 に示した値)ならば,不確かさ

l

95

U

は 0.035 eV となる。

備考1.  式(7)は,附属書 の B.1 で導出される。

2.

研究機関同士の共同研究の結果[17]

,12 台の装置のうち 10 台は 0.05 eV より小さい|

ε

3

を示し,

δ

=0.2 eV

の直線性があったと考えられている。12 台のうち 7 台は,0.025 eV より

小さい|

ε

3

|をもち,

δ

=0.1 eV

の直線性があったと考えられる。

5.9.4

もし|

ε

2

|又は|

ε

3

|が

δ

/4

より大きければ,装置を修正することを勧める。これは 5.7 の繰返

しに沿って操作を見直すか,装置製造業者に連絡するか,先に示した

δ

の緩い値への変更が必要となる。

備考  上記は直線性を点検するために必要な試験のすべてではない。すべての試験を行おうとすると,

大規模な設備が必要となり,この規格の範囲を超えたものとなる。

5.10

校正誤差を定期的に決めるための手順


13

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

5.10.1

σ

R

ε

2

又は

ε

3

が決定された後,エネルギーの校正が必要とされる分光器を操作条件の設定ごと

に,一定の校正周期で校正誤差は決定されなければならない。5.13 で述べるように,校正誤差の決定は以

前の校正手順で決まっていた有効校正期間が失効する以前になされるべきである。

5.10.2

定期的な校正には,Au 4f

7/2

及び Cu 2p

3/2

ピークだけが用いられる。測定の手順は Au 4f

7/2

と Cu 2p

3/2

の順で,この手順に従った以前の校正が

σ

R

<

δ

/8

でなければ,もう一度測定を繰り返すが,

σ

R

<

δ

/8

の場

合はこの繰返しをする必要はない。定期の校正における繰返しの回数 は,1 回又は 2 回である。それぞ

れの測定は電子放出角度が法線方向から 0∼56°となるように試料を保持して測定する。これは,他で定

まっている試料設置手順に従って行う。5.8.1 で述べた方法で,結合エネルギーのピークを決定し,そして,

式(2)に従って,測定に用いた装置のオフセットエネルギー

Δ

1

Δ

4

の値を求める。

備考  単色化 Al X 線を用いて修正オージェパラメータを測定するときには,Cu 2p

3/2

ピークに続けて

Cu L

3

VV

ピークを測定する。その詳細は,

附属書 に示す。

5.10.3

補正した結合エネルギーの値 E

corr

と結合エネルギーの測定値 E

meas

とは,次に示す線形関係がある

と仮定する。

E

corr

 = (1 + aE

meas

 + 

(8)

エネルギー軸の目盛誤差 は,次の式によって与えられる。

1

ref

4

ref

4

1

E

E

a

Δ

Δ

=

(9)

そして,

表 で E

ref 1

と E

ref 4

が与えられると,エネルギーが 0 のときのオフセット値 は,次の式によっ

て与えられる。

1

ref

4

ref

4

ref

1

1

ref

4

E

E

E

E

b

Δ

Δ

=

(10)

備考  と の値は,に対する

Δ

Δ

ではない)の傾きと切片である。

5.10.4

信頼性が 95%である場合,この校正の確からしさ U

95

は,次の式によって与えられる。

2

3

2

2

cl

95

2

95

)

or

.2

1

(

)

(

)

(

ε

ε

U

U

=

(11)

結合エネルギーの範囲が 0 eV から 1 040 eV の場合,

cl

95

U

は次の式によって与えられる。

)

2

(

6

2

R

cl

95

=

=

m

.

U

σ

(12)

又は

)

1

(

7

3

R

cl

95

=

=

m

.

U

σ

(13)

備考1.  自分が選んだ に対し,

cl

95

U

95

U

の値を自分の

表 に記入しておくとよい。

2.

附属書 に式(11)から式(13)の導出法を示す。

5.11

装置の結合エネルギー軸の目盛を補正する手順

5.11.1

分光器を校正するかどうかは,装置,ソフトウエア,装置のオフセットエネルギーの大きさを表す

Δ

n

,再現性の標準偏差

σ

R

,及び誤差許容範囲±

δ

,のうちどれを実行するかによって決まる。

もしピーク 1 と 4 に対する(|

Δ

n|

U

95

)の値が共に

δ

/4

より小さければ,校正用のチェックを行った後,

装置を再校正する必要はない。もちろん,校正用のチェックをした後に毎回再校正を行う方がよいが,毎

回再校正をするかどうかは,これにかかる労力と要求される不確かさとで決めればよい。校正するには,

装置製造業者から利用者に示されている校正方法に従っていなければならない。多くの装置において,利


14

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

用者には分光器の仕事関数φを変更することだけが許されている。校正の戦略は装置の機能ごとに異なる

が,次に三つのケースを提案する。

これらの提案では,結合エネルギーの補正値 E

corr

は,次の式で与えられる。

E

corr

E

meas

+

Δ

E

corr

(14)

                      ここで,

Δ

E

corr

は,以下の選択ごとに提案する補正値である。

5.11.1.1

選択 1 は装置を変更しないで,式(8)の結合エネルギーに,測定後の補正値

Δ

E

corr

を加える。

Δ

E

corr

a E

meas

b

(15)

                      ここで,と は,式(9)及び式(10)によって与えられる。

5.11.1.2

選択 2 は,0∼1 040eV の範囲の結合エネルギー範囲に適用されるもので,測定後の補正を最小に

する。ここでは,増分

Δφ

を,装置で採用されている分光器の仕事関数に加える。

Δ

φ

= 1/2 (

Δ

1

+

Δ

4

)

(16)

測定された結合エネルギーに対する測定後の補正は,次の式で与えられる。

÷ø

ö

çè

æ

=

2

ref4

1

ref

meas

corr

E

E

E

a

E

Δ

(17)

この選択では,508.3 eV の結合エネルギーのところで

Δ

E

corr

がゼロになり,結合エネルギーの測定値に

対する測定後の補正が,0∼1 040 eV の範囲の結合エネルギー範囲で最小となる。

5.11.1.3

選択 3 では,分析者によって選択される特定の結合エネルギー(頻繁に測定される元素の結合エ

ネルギー)で,測定後の補正をゼロにする。ここでは,次の式で与えられる増分

Δφ

を分光器の仕事関数

に加える。

Δφ

a E

elem

 (18)

ここで,E

elem

は頻繁に測定される元素の結合エネルギーである。実際に測定された結合エネルギーへの

測定後の補正は,次の式で与えられる。

Δ

E

corr

a (E

meas

E

elem

)

(19)

                      ここで,

Δ

E

corr

は結合エネルギーE

elem

で,ゼロとなる。

5.11.2

もし,5.11.1 に従い,分析上必要な結合エネルギーの全範囲,又は選択された狭い結合エネルギー

の範囲において,|

Δ

E

corr

|+|U

95

|で表される和が,校正を実施する校正周期にわたって

δ

より小さく

なるならば,5.11.1.15.11.1.25.11.1.3 で定義された測定後の補正

Δ

E

corr

は無視できるはずである。しか

し,選択された結合エネルギーの範囲内においてだけ,この校正は有効である。

5.11.3

採用した補正手順は,もし実行していれば

Δ

1

Δ

4

ab,運動エネルギー範囲や

Δφ

とともに,

記録されていなければならない。すべての手順が正確に行われたことを明確にするために,最初の繰返し

校正手順において,その補正手続をチェックする。

5.11.4

もし,これが最初の校正なら,

図 のような管理図を準備する。すべての校正において,もし結合

エネルギー軸に対し,測定後の補正がなされていないならば,

Δ

1

Δ

4

の測定値を,この管理図に書き加

える。もし,結合エネルギー軸に対する測定後の補正がなされるならば,

Δ

1

+

Δ

E

corr

E

ref 1

のエネルギー

点で算出されたもの)と

Δ

4

+

Δ

E

corr

E

ref 4

のエネルギー点で算出されたもの)の測定値を,校正実施日を

記入してこの管理図に書き加える。また,このチャートには,この測定に対応した不確かさ U

95

と許容限

界±

δ

も付け加える。再校正が必要となる時期を示す±0.7

δ

の警戒限界も示す。


15

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

要点

1.

  許容限界

2.

  警戒限界

  3  装置の校正の状態を表示する管理図[18,19]

備考  この図は,1 月に測定を始めて以来,再校正されておらず,結合エネルギー軸の測定後補正も

なされていない装置における

Δ

1

及び

Δ

4

の経時変化を表す。7 月に初めて校正許容限界を超え

ているだけでなく,5 月に警戒値の上限を超えていた上,4 か月の期限を超えているので,5 月

に再校正をするべきであった。それぞれの時点での不確かさ(U

95

)は信頼性が 95%の場合の

ものであり,

エネルギー軸の目盛の直線性の誤差と不確かさを含む。

この図は

表 における =2,

δ

=0.2 eV

の例を表したものである。

5.12

次期の校正

5.12.1

次の校正は校正の不確かさ U

95

と装置変動との和としての校正の全不確かさが信頼性 95%で,±

δ

を超える前に行うべきである。したがって,5.13 で定義された校正周期で,又はそれより前に校正をする

必要がある。この校正周期が不明な場合,5.13 に示された方法でまず校正周期を決定し,その校正周期で

5.12.2

の手順を実行する。

5.12.2

装置が変更されていないか,又は明らかに変化をしていなければ,5.13 で定義された校正周期で,

5.2

から 5.6 及び 5.10 から 5.11 の手順を繰り返す。常に校正を開始してからの校正でなされた変更と累積

した変化のすべてを記録する。累積した変化は装置製造業者によって推奨された値を超えていないことを

確認する。すべての場合において,パスエネルギー,減速比,スリット又は絞りの設定,レンズの設定,

そして使用した X 線源を含む校正に用いたすべての装置設定条件を記録する。

5.13

校正時期の決定


16

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

5.13.1

装置を終日運転して,Cu 2p

3/2

と Au 4f

7/2

との結合エネルギーを,1 時間間隔で測定する。装置変動

を最小とし,十分な安定性を得るため,電気回路は事前に必要最小限の時間慣らし運転(又は連続運転)

しておく必要がある。測定の際に,周囲の温度を記録して,なんらかの相関関係がないかをチェックして

おく。どのような手順が用いられるにせよ,この規格に準拠した分析をするには,予熱運転時間等の項目

を含めた校正手順のすべての手続きが実際の分析においても使われることが必す(須)である。

備考1.  単色化 Al X 線を用いて修正 Auger パラメータを測定するときには,Cu 2p

3/2

ピークに続けて

Cu L

3

VV

ピークを測定する。その詳細は

附属書 に示す。

2.

多くの場合,元素に対するエネルギー分散のために分光器に印加する電圧や,X 線のモノク

ロメータ系が温度変化することによって,装置変動が生じる。これらの変動は,操作した時

間に関連して発生するので,毎日同じように繰り返されるかもしれない。このため,例えば,

毎日午前 9 時にだけチェックを行うと,これ以外の時間に生じる変動を見逃してしまう。Cu

2p

3/2

ピークのエネルギーの変動は,Au 4f

7/2

のそれに比べてより小さいこともあればより大き

いこともある。

5.13.2

初日に一日を通じて十分な安定性が得られた場合,

Δ

1

Δ

4

とで大きな方を U

95

に加えた値が,校

正周期内で±0.7

δ

以下なら,Cu 2p

3/2

と Au 4f

7/2

の結合エネルギーを測定する校正周期を順次長くとっても

よい。どの程度の校正周期が適切であることを示す実際のデータが得られるまでは,一番最後に行った測

定校正周期が最大の有効な校正周期である。この校正周期は決して 4 か月を超えてはならない。

備考  多くの装置では,1 か月又は 2 か月の校正周期が適切である。校正周期の適正値や適切な許容

範囲は,分析上の必要条件や装置の状況によって異なる。


17

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

附属書 A(規定)簡易的な計算手法を用いた最小二乗法による

    ピークの結合エネルギーの決定

A.1

記号

c

i

   

番目のチャンネルの計数値

E

0

ピーク中で絶対的最大強度に対応するチャンネルより低結合エネルギー側で最初のデータチャンネル

の結合エネルギー値,単位 eV

E

p

最小二乗法で推定されたピークの結合エネルギー値,単位 eV

g  

チャンネル間隔,単位 eV

i  

ピーク中で絶対的最大強度に対応するチャンネルより低結合エネルギー側で最初のデータチャンネル

を原点としたチャンネル番号

p  

ピーク前後の 6 チャンネル分のカウント数の合計

q  

ピーク前後の 6 チャンネル分のカウント分布を で除した第一次モーメント

r  

ピーク前後の 6 チャンネル分のカウント分布を g

2

で除した第二次モーメント

A.2

最小二乗法  最小二乗法を用いたピークのエネルギー位置の推定は,対象とするピークの結合エネ

ルギーの両側の 3 個のデータ値を選択することで慣用的に決定される。非単色化 Al 又は MgX 線源では,

データは 0.1 eV 又は 0.09 eV から 0.11 eV の間の値のチャンネル間隔で測定されなければならない。単色化

された AlX 線源で,ピークの半値全幅(FWHM)が 1.0 eV 以下である場合,チャンネル間隔は 0.05 eV 又

は 0.045 eV から 0.055 eV の間の値のチャンネル間隔で測定されなければならない。一方,半値幅が 1.0 eV

又はそれ以上の場合は,非単色化線源と同じ条件を適用しなければならない。

最小二乗法を用いて評価したピークのエネルギー位置,E

p

は,次の式で表される[20]

÷

÷

÷

ø

ö

ç

ç

ç

è

æ

+

=

p

q

r

p

q

r

g

E

E

3

8

5

8

15

47

2

0

p

(A.1)

ここで,

E

0

は,ピーク中で最大強度に対応するチャンネルより低結合エネルギー側で最初のデータチャンネルの結

合エネルギー値,単位 eV,

g

は,チャンネル間隔である,単位 eV。

パラメータ p及び は,次のように定義される。

å

=

=

3

2

i

i

c

p

(A.2)

å

=

=

3

2

i

i

ic

q

(A.3)

å

=

=

3

2

2

i

i

c

i

r

(A.4)


18

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

ここで,

i

は,ピーク中で絶対的最大強度に対応するチャンネルより低結合エネルギーで最初のデータチャンネル

を原点としたチャンネル番号,

c

i

は,

番目のチャンネルの計測数である。

表 A.1 は,計算の際に用いるとよい。表 A.2 は,この表を Au 4f

7/2

ピークに適用した例を示している。

参考文献[20]では,ポアソン分布に基づくピーク計数の不確かさに起因する E

p

値の不確かさを示す式

が与えられている。ここで定義された条件では,標準的な不確かさは,近似的に 5 meV である。

 A.1  E

p

を計算するための数値記入表

エネルギー  E

計数,C

iC i

2

C

−2

  

−1

  

  0

  

  1

  

  2

  

  3

  

 

 

 

 

E

0

p q r 

÷

÷

÷

ø

ö

ç

ç

ç

è

æ

+

=

p

q

r

p

q

r

g

E

E

3

8

5

8

15

47

2

0

p

 A.2  Au 4f

7/2

の E

p

を計算するための数値記入適用した例

エネルギー  E

計数,C

iC i

2

C

−2 83.76

43

804

−87 608

175 216

−1 83.86

49

259

−49 259

  49 259

  0

83.96

52 958

      0

      0

  1

84.06

53 889

 53 889

 53 889

  2

84.16

51 903

103 806

207 612

  3

84.26

47 812

143 436

430 308

 

 

 

 

E

0

p q r 

83.76

299 625

164 264

916 284

÷

÷

÷

ø

ö

ç

ç

ç

è

æ

+

=

p

q

r

p

q

r

g

E

E

3

8

5

8

15

47

2

0

p

        =83.96 eV+(0.1×0.83)eV

        =84.043 eV


19

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

附属書 B(参考)不確かさの導出

B.1

エネルギー軸の線形性誤差の不確かさの計算法  Au 4f

7/2

及び Cu 2p

3/2

に対する

σ

R1

及び

σ

R2

の繰返

し標準偏差を定義するため,回の測定を行う。この規格では,は 7 とする。エネルギーE

ref 1

及び E

ref 2

での装置のオフセットエネルギー

Δ

1

及び

Δ

4

のもつ不確かさは,95%の信頼性で±

1

ref

c

95

E

U

及び±

4

ref

c

95

E

U

で与えられる。

ここで,

2

1

1

R

1

1

ref

c

95

/

k

t

E

U

k

σ

/

=

(B.1)

2

1

4

R

1

4

ref

c

95

/

k

t

E

U

k

σ

/

=

(B.2)

であり,t

k-1

は自由度 k-1 の両側分布に対するステューデントの検定に基づく係数である。

この附属書ではすべての不確かさは 95%の信頼性を与える。

エネルギー測定値 E

meas

でのオフセットエネルギーの不確かさは,エネルギーE

ref 1

及び E

ref

でのオフセッ

トエネルギー

Δ

1

及び

Δ

4

を通る直線から予測でき,

参考文献[2]から次の式で表される。

2

1

2

R1

2

1

ref

4

ref

meas

4

ref

2

4

R

2

1

ref

4

ref

1

ref

meas

1

meas

c

95

ú

û

ù

ê

ë

é

×

÷ø

ö

çè

æ

+

×

÷ø

ö

çè

æ

=

k

E

E

E

E

k

E

E

E

E

t

E

U

k

σ

σ

)

(

(B.3)

もし,ここで

σ

R

σ

R4

及び

σ

R1

のいずれかの大きいものと一致するようならば,線形性を調べたエネル

ギー値 E

ref 2

又は E

ref 3

での校正の不確かさが

2

ref

c

95

E

U

と同じかそれ以下となる。

なお,この値は,次の式で与えられる。

2

1

2

1

R

2

1

ref

4

ref

2

ref

4

ref

2

1

ref

4

ref

1

ref

2

ref

1

2

ref

c

95

ú

û

ù

ê

ë

é

÷ø

ö

çè

æ

+

÷ø

ö

çè

æ

=

E

E

E

E

E

E

E

E

k

t

E

U

/

k

σ

)

(

(B.4)

2

/

1

1

76

.

0

k

t

R

k

σ

=

(B.5)

係数 0.76 は,非単色化 Mg 特性 X 線に対して計算された値である。非単色化及び単色化 Al 特性X線に

対しては,この係数はより小さく各々0.71 及び 0.74 である。したがって,式(B.5)は 3 種類すべての X

線源に対して有効である。ピークエネルギーの線形性確認の測定における不確かさは,

2

1

R2

1

k

/

t

k

σ

又は

2

1

3

R

1

k

/

t

k

σ

で与えられる。測定された結合エネルギー軸の線形性に関する誤差(

ε

  2

又は

ε

  3

)の不確か

さは,これら 2 項の残る二つの項の 2 乗和で与えられる。その第一項は,式(B.5)の

2

ref

c

95

E

U

であり,

第二項は Au 4f

7/2

及び Cu 2p

3/2

のピークの結合エネルギーに関する線形性の確認で求められる不確かさであ

る。後者の値は 0.026 eV である[2]

。したがって,

σ

R

σ

R1

σ

R2

又は

σ

R3

及び

σ

R4

の最も大きいものと

すれば,次の式が得られる。


20

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

eV

026

0

26

1

2

2

2

1

R

1

2

l

95

)

(

)

(

.

k

t

.

U

/

k

+

÷ø

ö

çè

æ

=

σ

(B.6)

ここで,を 7,t

k-1

を 2.447 として,式(B.6)から

[

]

eV

026

0

2

1

2

1

2

2

R

l

95

/

.

.

U

)

(

)

(

+

σ

(B.7)

5.9.3

で示した式(7)が求められる。

B.2

通常の校正に関する不確かさの計算法  多くの装置の結合エネルギー軸の誤差は,近似的には結合

エネルギーに比例する。

ε

  2

又は

ε

3

l

95

U

よりも小さくエネルギー軸が線形であることが分かっても,

エネルギー値 E

ref 2

又は E

ref 3

での不確かさ

l

95

U

が分かるにすぎない。

σ

R

σ

R1

σ

R2

又は

σ

R3

及び

σ

R4

の最

も大きいものに等しいとして解析すれば,結合エネルギー0 eV から 1 040 eV の領域での全体的な不確かさ

cl

95

U

が求められるが,ここで[2]

2

1

R

6

cl

95

5

1

/

m

t

.

U

σ

(B.8)

であり,は日常的な校正手順での繰返し回数である。

これから,

R

cl

95

6

2

σ

.

U

      (m=2) (B.9)

R

7

3

σ

.

  

      (m=1)  (B.10)

と,5.10.4 で式(12)

,式(13)で示されたものが求められる。もし,|

ε

2

|又は|

ε

3

|が

l

95

U

よりも

大きく

δ

/4

よりも小さければ,校正はまだ有効であることが分かる。

ε

2

又は

ε

3

の値は,校正の不確かさ

に含まれなければならない。もしエネルギー軸の誤差が,についての二次の依存性があるとすれば,結

合エネルギー0 eV から 1 100 eV の領域で非線形的な寄与が 1.15

ε

2

又は 1.15

ε

3

で最大となり,−1.15

ε

2

又は−1.15

ε

3

で最小となる。また,三次のエネルギー軸の誤差は

± 1.2

ε

2

又は

± 1.2

ε

3

の間に入る。エネ

ルギー軸全体の不確かさ,

95

U

は 5.10.4 の式(11)に示した次の式で与えられ,このまま使える。

( )

(

)

[

]

2

1

2

3

2

2

cl

95

95

or

1.2

/

U

U

ε

  

ε

=

(B.11)


21

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

附属書 C(参考)測定した結合エネルギーの不確かさの引用

C.1

概略  この規格は X 線光電子分光装置の結合エネルギー軸目盛の校正の不確かさの決定法について

規定する。分析者は測定した多くの(例えば,新しい)ピークエネルギー値の不確かさを引用しようとす

るであろう。この規格の目的では,これを分析不確かさとよぶ。次に示すように,考えるべき三つの共通

の場合がある。これら三つはすべて,新しいピークの繰返し標準偏差

σ

Rnew

を含んでいる。

C.2

試料分析中は表面電位が一定のとき一つのスペクトルにおいて,測定した二つの化学状態の光電子

ピーク間のエネルギー差  分光器の目盛の誤差が 0.1%以上になることはまれであり,更に化学状態間のエ

ネルギー差は 10 eV より小さいので,ここで行った校正の不確かさは無視できよう。5.7 の繰返し測定では

試料位置の効果は重要であるが,この条件は測定するすべてのピークについても共通なので,やはり無視

できる。もし,ピーク形状が重ならず,かつ,ピークが 40 000 カウント以上の強度があれば,分離の不確

かさは 0.02 eV に近いだろう。もっと強度の弱いピークでは,この誤差はもっと悪化する[20]

。ピークが

重なるときは,スペクトルの最大強度のエネルギー位置はそれぞれの成分の本来のピークエネルギー位置

とは一致しない。通常はそれぞれの成分のピークの結合エネルギーを求められるピーク合成を行うソフト

を利用する。しっかりしたソフトにおける分析の不確かさは,この校正法で議論したものよりはむしろピ

ークフィットからくる統計誤差に支配され[21,22]

,通常は 0.1 eV を超える。

C.3

続けて測定した二つの試料の一つの化学状態の光電子ピークのエネルギー差  C.2 のように,ほとん

どの校正の不確かさは無視でき,分析の不確かさは二つのピークの繰返し標準偏差の大きさに依存する。

もし測定しているピークの繰返し標準偏差

σ

Rnew

が校正時の決定した

σ

R

に等しいとき,エネルギー差の分

析の不確かさは,95%の信頼性で導体試料では,次の式で与えられる。

Analytical uncertainty=

R

k

t

σ

2

/

1

1

2

(C.1)

もし,k=7 であれば,

Analytical uncertainty=3.5

σ

R

(C.2)

絶縁物では,チャージ補償からくる不確かさを含めることが必要である。この不確かさは他の項目をり

ょうが(凌駕)することがある。吸着炭素を基準にとり,そのピークの繰返し標準偏差の大きさが

σ

R

で与

えられるとき,分析の不確かさは式(C.1)及び式(C.2)で求められる値の 2

1/2

倍よりは小さくならない

だろう。

興味あるたくさんのピークでは,

σ

Rnew

σ

R

よりも大きいことは特筆すべきである。その理由は通常,

そのエネルギーに近い金属のピークよりもそれらのピークはたいてい幅が広く強度も弱いからで,更に,

ピークフィットの結果からピーク位置が求められるためでもある[21]

。これらの場合の

σ

Rnew

の導出は参

考文献にみいだすことができる[22]

C.4

校正の直後に測定した単一ピークのエネルギー  装置のドリフトが無視できるように装置を校正し

た直後にピークエネルギーの測定が行われた場合は(5.13 参照)

,不確かさは,式(B.11)で与えられる。

ただし,新しいピークに対する不確さも含まれる。したがって,結合エネルギーの範囲 0 から 1 100 eV に

対して,


22

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

Analytical uncertainty =

( )

[

]

(

)

(

)

{

}

2

1

2

Rnew

1

2

3

2

2

c1

95

or

2

1

/

j

t

.

E

U

σ

+

+

ε

ε

(C.3)

これは新しいピークに対して 回の測定の分散から

σ

Rnew

は求められるということを仮定している。実際

にはもちろん,一般的には

σ

Rnew

は測定されることはない。もし,

σ

Rnew

σ

R1

σ

R2

がすべて

σ

R

に等し

いか,又はそれより小さければ,式(C.3)は計算できる。通常の校正において,Cu 2p

3/2

の 2 回の測定,

Au 4f

7/2

の 1 回測定と新しいピークの 1 回のスペクトル測定では,

Analytical uncertainty

(

) (

)

[

]

2

1

2

3

2

2

R

or

2

1

6

3

/

.

.

ε

ε

+

σ

    (m=2) (C.4)

また,

Analytical uncertainty

(

) (

)

[

]

2

1

2

3

2

2

R

or

2

1

4

4

/

.

.

ε

ε

+

σ

    (m=1)(C.5)

C.3

で述べたように,一般にたくさんの新しいピークに対しては

σ

Rnew

σ

R

よりも大きいので,このと

きは式(C.3)を用いる。

C.5

校正間の単一ピークのエネルギー  校正間における測定した新しいピークは,

Analytical uncertainty

Rnew

1

σ

+

j

t

δ

(C.6)

ここで,C.4 のように,新しいピークの繰返し標準偏差

σ

Rnew

回の測定で定義される。もし,先に述

べたように,繰返し標準偏差

σ

Rnew

が前に実行した新しいピークの 7 回測定による校正で決定した

σ

R

より

小さいか,又は等しいときは,新しいピークの 1 回測定は,

Analytical uncertainty

R

5

.

2

σ

δ

+

(C.7)

C.3

で述べたように,一般にたくさんの新しいピークに対して,

σ

Rnew

σ

R

よりも大きい。


23

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

附属書 D(参考)単色化したアルミニウム X 線源を装備した X 線光電子

分光装置使用時の修正オージェパラメータ測定法

D.1

符号

E

corr 3

表 のピーク 3 に対応する結合エネルギーの補正結果,単位 eV

α

     

オージェパラメータ,光電子ピークの最大強度の結合エネルギーから同じ元素の鋭いオージェ電

子ピークを結合エネルギーで測った値を引いた値,単位 eV

α

′    修正オージェパラメータ,使用した X 線源の実際の結合エネルギーとオージェパラメータの合計

h

ν

Al

単色化しないアルミニウム X 線源の実際のエネルギー

h

ν

Mg

単色化しないマグネシウム X 線源の実際のエネルギー

Δ

(h

ν

) 

単色化したアルミニウム X 線源の実際のエネルギー

D.2

一般  単色化したアルミニウム X 線源を装備した装置において,試料に入射する平均的な X 線源の

エネルギーは,最適値 1 486.69 eV[23]の周りに通常 1 486.5∼1 486.8 eV の範囲の値を取る。装置の平均

的な X 線源のエネルギーはモノクロメータの精密な調整に依存し,装置変動の重要な部分に当たる温度の

測定時間中の変動に依存する。安定したシステムに対して,この規格で規定された手法により結合エネル

ギー軸の校正法が提供される。しかしながら,この校正されたエネルギー軸でのオージェ電子ピークの位

置は単色化していない X 線源で測定した位置から 0.3 eV[3]まで変わってしまう。これは計測された光

電子とオージェ電子のピークが単色化したアルミニウム X 線源としないものとの間で異なることにより起

こる。この附属書では 0.3 eV 以下の不確かさを求められたときこの誤差を修正オージェパラメータから変

更する方法を規定している。

オージェパラメータ

α

は光電子ピークの最大強度の結合エネルギーから同じスペクトル中の同じ元素の

鋭いオージェ電子ピークを結合エネルギーで測った値を引いた値で規定される[24]

。このパラメータはし

ばしば負の値やとてつもない値を示すことがあり,修正オージェパラメータα′が通常使われる[25]

。修

正オージェパラメータは用いた X 線源の実際のエネルギーとオージェパラメータの合計値として規定され

る。修正オージェパラメータは X 線源のエネルギーや分析対象試料の帯電度合いにほとんど関係しない。

修正オージェパラメータは計測されたそれ自身の結合エネルギー値が不十分な場合の化学結合状態同定の

手助けとなる。修正オージェパラメータのデータはハンドブック[6,8,26]からみつけることができる。

それらの値のほとんどが単色化されていない線源を使って決められていることに注意すべきである。単色

化していない線源は 1 486 eV より大きい結合エネルギーをもつ内核準位をもイオン化する制動放射を発生

するが,このような制動放射は必要なオージェ電子を発生するのに求められる。単色化したアルミニウム

X

線は Al∼Cl,Br∼Mo 及び Yb∼Bi を含む 3 種類の元素群を分析する際に通常適用される修正オージェパ

ラメータの計測に必要とされるオージェ電子の生成に十分なエネルギーをもっていない。


24

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

D.3

線源エネルギーの参照値  Mg 及び Al の Kα

1

と Kα

2

X

線のエネルギーの新しい参照値が最近報告

されている[23]

。Mg 及び Al からの特性 X 線のラインシェイプと強度の詳細は Klauber[27]によって評

価された。それらのデータを用いたときの運動エネルギー軸基準の Cu,Ag 及び Au ピークのシフトの計

算値から単色化されていない X 線源の実効エネルギーh

ν

Al

及び h

ν

Mg

のエネルギーが求められて,

単色化していないアルミニウム X 線源のエネルギーとして,

h

ν

Al

=1 486.61 eV

(D.1)

単色化していないマグネシウム X 線源のエネルギーとして,

h

ν

Mg

=1 253.60 eV

(D.2)

が示されている。X 線源の実効的なエネルギー値はスペクトル中のどんなピークに対しても結合エネルギ

ーとフェルミ準位基準の運動エネルギーの合算値である。単色化していない X 線源の実効的なエネルギー

値はこの規格で与えられる分光器の分解能特性による効果や分解能力内での相対的ピークシフトを与える

ピーク形状の違いに由来する影響は小さいためおおよそ一定値となる。実効的なエネルギー値は,エネル

ギー分解能の範囲 0.2∼0.4 eV の分光器では±0.02 eV 位変わるが,エネルギー分解能 1.5 eV の分光器では

Al

では+0.02 eV から−0.06 eV に,Mg では+0.02 eV から−0.03 eV に増加する。加えて,Schweppe らの

類似の報告[23]は 0.01 eV の標準的な不確かさをもっている。

備考1.  単色化した X 線源の実効的なエネルギー値はラインシェイプが対称性のよい場合,そのライ

ンシェイプの中点で与えられる。単色化していない Mg 及び Al の X 線では実効的なエネル

ギー値はラインシェイプの中点の値と Kα

1

エネルギーの値との中間に位置し,これに基づい

て基準点が設定され,

表 で与えられたエネルギーでの結合エネルギー軸のピーク位置が参

照値として与えられる。

2.

単色化していない Mg 及び Al の X 線の実効的なエネルギー値は Schweppe らにより報告

[23]

された単色化された Al Kα

1

エネルギーでの運動エネルギー位置と単色化しない Mg 及び Al

の X 線を使用した際の運動エネルギー位置を用いて計算されたシフト値[2]から得られる。

表 にある結合エネルギーの参照値に基づいたそれらのシフト値はそれぞれ 1 486.60 eV と

1 253.61 eV

の実効的な X 線エネルギーによって与えられる。XPS における単色化されていな

い Mg 及び Al の X 線を使用して計測されたデータは得られたこれらの値よりも 0.04 eV 高く

[2,28]表示される。式(D.1)と式(D.2)に与えられた値は二つの導出方法によって算出

した参照データの平均である。

D.4

単色化されたアルミニウム 線源から試料に照射された 線の実効的エネルギーの決定方法

D.4.1

5.10.2

にある通常の校正を行ったとき,二つの校正ピークに加えて,Cu2p

3/2

ピークに続いて Cu

L

3

VV

ピークの測定も行い,これを加える。もし,校正時期がきたならば,適当なときにこの測定を繰り

返す。

D.4.2

5.8.1

に記載された Cu L

3

VV

ピークの結合エネルギー値は,

もし 2 回の測定が行われているならば,

その平均値 E

meas 3

を計算して決定する。

D.4.3

補正された Cu L

3

VV

ピークの結合エネルギー値 E

corr 3

は,この校正で得られた値と式から 5.10.3 

基づいて計算された a

b

の値を使って計算する。

E

corr 3

=

(1+aE

meas 3

b

(D.3)

E

corr 3

の値は

表 で与えられる 567.93 eV に近いはずである。

D.4.4

モノクロメータから得られたエネルギー値と式(D.1)から得られた値の差

Δ

h

ν

)は,


25

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

Δ

(h

ν

)= E

corr 3

−567.93 eV (D.4)

を使って計算する。

備考1.  実験室間における調査[3]では,この規格のピーク位置決定方法と異なった方法を用いても,

Δ

(h

ν

)

の値は 0.0∼0.3 eV の範囲に入る。

2.

もし

Δ

(h

ν

)

の値が 0.0∼0.2 eV の範囲に入らない場合には,装置製造業者に相談するのがよ

い。分光結晶の調整や X 線源の調整が必要となるだろう。イメージング用の XPS 装置では

この範囲外の値があるイメージ領域では起こるかもしれない。

D.4.5

単色化したアルミニウムの X 線源を使用した際の修正オージェパラメータの値

α

′は測定したオ

ージェパラメータαと次の式から計算できる。

α

′=

α

h

ν

Al

+

Δ

(h

ν

)

(D.5)

D.4.6

単色化した X 線源の実効的なエネルギー値は h

ν

Al

Δ

(h

ν

)

の合計値によって与えられる。

D.4.7

新しいピークが

表 のピーク 3 に当たる Cu L

3

VV

ピークである場合,

Δ

(h

ν

)

の決定時の

Δ

(h

ν

)

不確かさは式(C.4)又は式(C.5)により与えられる。したがって,このように

σ

Rnew

は式(C.3)中の

σ

R3

に入れ替えられる。

σ

R3

σ

R

と同じかそれより小さいと仮定しているので,5.7.3 や 5.8 で記載されて

いるように

σ

R3

を分離して決定するのもよい。通常,

σ

R3

σ

R

よりも大きくなると予想する理由はない。

備考  表 に与えられた例では,95%の信頼性における

Δ

(h

ν

)

の不確かさは,Cu L

3

VV

ピークエネル

ギーの測定において = 2(2 回)で 0.09 eV,= 1(1 回)で 0.10 eV である。修正オージェパ

ラメータのデータは

参考文献[8]や単色化したアルミニウムの X 線源を用いた仕事にあるよ

うに,同じ試料を異なった研究者によって測定したデータ間には 0.5 eV 以上の平均的な不一致

がみられた。

D.4.8

校正周期の間での

Δ

(h

ν

)

の不確かさは,理想状態の装置では D.4.7 で計算した値に止まるか又は特

にモノクロメータでは温度による変化が装置によってドリフトとして影響するかもしれない。ドリフト挙

動の確立のため 5.13 の手順にあるピーク 3 に当たる Cu L

3

VV

ピークを含むようにする。

Δ

(h

ν

)

のための

管理図を準備する。D.4.7 での不確かさと校正周期の間での 5.13.2 で選択された校正周期の間での初期値か

らの

Δ

(h

ν

)

の最大のずれの合計を決定する。校正間の

Δ

(h

ν

)

の不確かさは,通常この合計値で得られる。


26

K 0145

:2002 (ISO 15472:2001)

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日本工業標準調査会標準部会  基本技術専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

今  井  秀  孝

独立行政法人産業技術総合研究所

(委員)

大  井  みさほ

東京学芸大学

尾  島  善  一

東京理科大学理工学部

加  藤  久  明

日本デザイン学会

小松原      仁

財団法人日本色彩研究所

橘      秀  樹

東京大学生産技術研究所第 5 部

田  森  行  男

財団法人日本品質保証機構

徳  岡  直  静

慶應義塾大学理工学部機械工学科

藤  咲  浩  二

社団法人日本産業機械工業会

前  原  郷  治

社団法人日本鉄鋼連盟標準化センター

村  上  陽  一

社団法人日本電機工業会

山  村  修  蔵

財団法人日本規格協会