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K 0126:2019  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 1 

2 引用規格 1 

3 用語及び定義  1 

4 フローインジェクション分析  3 

4.1 概要  3 

4.2 装置の構成  3 

4.3 装置の設定  6 

4.4 装置の安定性の確認  7 

4.5 分析操作  7 

4.6 定量分析  8 

5 連続流れ分析  12 

5.1 概要  12 

5.2 装置の構成  12 

5.3 装置の設定  14 

5.4 装置の安定性の確認  15 

5.5 分析操作  15 

5.6 定量分析  15 

6 シーケンシャルインジェクション分析  16 

6.1 概要  16 

6.2 装置の構成  16 

6.3 装置の設定  18 

6.4 装置の安定性の確認  18 

6.5 分析操作  18 

6.6 定量分析  19 

7 データの質の管理(精度管理)  19 

8 設置及び注意事項  20 

8.1 流れ分析装置の設置場所  20 

8.2 安全についての注意事項  21 

9 分析結果の記載方法  21 

10 個別規格で流れ分析を分析法として取り入れる際に規定しなければならない事項  21 

附属書A(規定)流れ分析装置の使用判定項目  22 

附属書B(参考)不確かさの求め方  24 

 

 


 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

分析機器工業会(JAIMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業

規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業

規格である。 

これによって,JIS K 0126:2009は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

 

 


 

  

日本工業規格          JIS 

 

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流れ分析通則 

General rules for flow analysis 

 

適用範囲 

この規格は,流れ分析に関する一般的事項について規定する。流れ分析は,流れ中における反応を利用

して無機物及び有機物を定量するための操作・技術をいい,この規格では,試料及び試薬の分析装置への

導入法が相互に異なるフローインジェクション分析,連続流れ分析及びシーケンシャルインジェクション

分析についてそれぞれ規定する。 

 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0212 分析化学用語(光学部門) 

JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門) 

JIS K 0214 分析化学用語(クロマトグラフィー部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0050,JIS K 0211,JIS K 0212,JIS K 0213,JIS K 0214

及びJIS K 0215によるほか,次による。 

3.1 

ダブルインジェクション法(double injection method) 

試料の濃度又は導入量を変えて一つの流れの中に2か所に分けて導入する,又は一つのキャリヤーに相

前後して試料と試薬とを同時に導入する方法。 

3.2 

マージングゾーン法(merging zone method) 

二つのキャリヤーの流れを設け,一方の流れに試料,他方の流れに試薬を同時に導入し,下流で試料と

試薬とを合流させる方法。 

3.3 

サンドイッチインジェクション法(sandwich injection method) 

試料Sと試薬RとをR-S-R又はS-R-Sの順にキャリヤー流路内に直列に導入する方法。 


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3.4 

ストップトフロー法(stopped flow method) 

試料及び試薬の混合流れを一時的に停止させる方法。この方法には,検出器のフローセル内で停止させ

て反応の時間変化を観測する方法,及び混合器の中で停止させて分散を抑えて反応時間を長くとる方法の

二つがある。 

3.5 

フローインジェクション滴定法(flow injection titration method) 

試料を試薬の流れに導入し,かくはん(攪拌)装置付き混合器で十分に分散,反応させた後に得られる

応答曲線の幅から濃度を求める方法。ただし,試薬として各種の緩衝液を用いる場合には,かくはん(攪

拌)装置付き混合器を用いずに分散係数を3〜10とし,応答曲線のピーク高さを定量に用いる。 

注記 濃度C0の成分が細管内の流体に導入され,分散によってその濃度がCになったとき,C0をC

で除した値を分散係数(dispersion coefficient)という。Dで表し,D=C0/Cによって定義される。 

3.6 

セグメント(segment) 

細管中の流体に,その流体と混ざり合わない気体,有機溶媒などを導入したときにできる分節(帯)。 

3.7 

分散(dispersion) 

細管内の流体に導入された試料及び試薬が,細管内の層流による輸送並びに流れの軸方向及び半径方向

への拡散によって流体中に広がる現象。 

3.8 

合流点(merging point) 

試料,試薬,キャリヤー又はこれらの混合物を含む複数の流れが一つに交わるところ。 

3.9 

応答曲線(response curve) 

検出器の応答信号強度を縦軸に,時間を横軸にとって両者の関係を示した曲線又はプロットされたデー

タ群。 

3.10 

キャリヤー(carrier) 

細管中に導入された試料又は試薬を搬送する流体。 

3.11 

細管(tube) 

流体の流路を構成する細い管。 

3.12 

ポンプ(pump) 

流体を送る装置。 

3.13 

導入器(injector) 

試料又は試薬を細管中の流体に導入する器具。 

3.14 

分割器(divider) 


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一つの流路を複数の流路に分割する器具。 

3.15 

混合器(mixer) 

試料と試薬とを混合させる器具。 

3.16 

濃縮器(concentrator) 

試料中の目的成分を分離及び/又は濃縮する器具。 

3.17 

抽出器(extractor) 

試料中の目的成分を抽出する器具。 

3.18 

セグメンター(segmentor) 

セグメントを形成するために用いる器具。 

3.19 

相分離器(phase separator) 

水相と有機相とに分離する器具。 

3.20 

気液分離器(gas separator) 

液体と気体とを分離する器具。 

3.21 

反応器(reactor) 

試料と試薬とを反応させる器具。 

3.22 

透析器(dialyzer) 

半透膜などを用い,試料中の分析対象成分又は不要な共存成分を分離する器具。 

3.23 

蒸留器(distiller) 

試料中の分析対象成分を蒸留操作によって分離・精製する器具。 

 

フローインジェクション分析 

4.1 

概要 

一定流量で細管内を流れている試薬に試料を導入し,細管内での分散・混合によって分析対象成分と試

薬とを反応させ,下流に設けた検出器で反応生成物を検出して定量する方法である。 

なお,試料の流れに試薬を導入する場合もある。 

4.2 

装置の構成 

4.2.1 

一般 

フローインジェクション分析装置は,送液部,試料導入部,反応部及び検出部を細管でつないだ流路系

と表示・記録部とで構成する。フローインジェクション分析の基本概念図の一例を図1に,基本構成図の

一例を図2に示す。 

 


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図1−フローインジェクション分析基本概念図(一例) 

 

 

図2−フローインジェクション分析基本構成図(一例) 

 

4.2.2 

装置構成器具 

フローインジェクション分析装置を構成する各器具は,a)〜g) による。 

a) 細管 液体の流路を構成するもので,1)〜4) の条件を満たすものとする。 

1) 耐薬品性に優れている。 

2) 使用する圧力に耐える。 

3) 均一な内径をもつ。 

4) 温度の影響が小さい。 

注記1 通常,細管の内径は0.25 mm〜2.0 mmで,材質はふっ素樹脂,ポリエチレン,ポリプロピ

レン,ステンレス鋼,ガラスなどを用いることが多い。 

注記2 細管の接続には,種々の形式の合成樹脂製などのコネクターを用いることが多い。 

b) 送液部 試料,試薬及び/又はキャリヤーを送液するもので,ポンプ,ダンパーなどで構成し,1)〜

3) の条件を満たす。ポンプとしては,プランジャ形,シリンジ形,ペリスタ(ローラ)形,ソレノイ

送液部 

試料導入部 

反応部 

表示・記録部 

検出部 

細管 

信号 


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ド形などが用いられる。 

1) 定流量精度が高い。 

2) 脈流が小さい。 

3) 接液部の材質が耐薬品性及び耐食性に優れている。 

c) 試料導入部 試料を装置に導入するための部分で,導入器及び細管から構成される。導入器には,一

定の容積をもつループを備えた六方バルブなどを用いる。構成される流路の配置には,次のものがあ

る。 

1) 導入器,合流式の流路などを用い,細管中の流体に試料を導入するように配置したもの。 

注記 試料又はキャリヤーの流れに試薬を導入する器具もある。 

2) 導入器及び複数個の流路を用い,試料と試薬とが合流するように配置したもの。 

d) 反応部 細管と次の器具との組合せによって試料の分割,混合,希釈,分解,濃縮,分離,抽出,気

液分離,化学反応などを行う。 

1) 分割器 流路を分割し,異なる複数の反応器を接続したり,複数の分析システムへ導入するために

用いる。Y字形コネクター又はT字形コネクターがよく利用される。 

2) 混合器 キャリヤー又は試薬と試料とを混合するための器具として用いる。通常,細管をコイル状

又は8の字状に巻いた混合コイルが用いられる。その他,ガラスビーズ,ポリマービーズなどの化

学的に不活性な物質を充塡したカラム又は小さな混合室(内容積100 µL〜1 000 µL)が用いられる

こともある。滴定では,スターラーでかくはん(攪拌)する小形混合器が用いられる。 

注記 混合器は,反応器を兼ねることもある。 

3) 希釈器 試料を希釈するために用いる。混合器が用いられる。 

4) 分解器 紫外線照射又は加熱によって試料中の分析対象成分を分解するために用いる。UVランプ

又は発熱体に細管をコイル状に巻いたものが用いられる。 

5) 固相濃縮器 分析対象成分を分離又は濃縮するために用いる。主としてイオン交換樹脂,キレート

樹脂,疎水性樹脂などの固相を充塡したカラムが用いられる。 

6) 溶媒抽出器 主に溶媒間の分配を利用して分析対象成分を分離又は濃縮するために用いる。抽出器

は,次に示すセグメンター,抽出コイル及び相分離器から構成される。 

6.1) セグメンター 水相と有機相とをこの部分で合流させ,各相の規則正しいセグメントを形成させ

るために用いる。T字形コネクターを用い,一方から流れ込む流体にもう一方から互いに混ざり

合わない流体を流すことにより,2種類のセグメントが交互に形成される。 

6.2) 抽出コイル 目的成分を水相から有機相又は有機相から水相へ抽出するために用いる。細管をコ

イル状に巻いたものなどが用いられる。 

6.3) 相分離器 水相と有機相とのセグメントを各相の流れに分割するために用いる。水相及び有機相

のセグメント流れと有機相流れとを分離膜(有機相と親和性のある疎水性のふっ素樹脂製膜など)

で隔てた有機相分離器具が用いられる。 

注記 相分離効率は,分離器の幾何学的配置,両相の流量などに影響される。 

7) 気液分離器 試料中の分析対象成分を気体として分離するために用いる。試料中の分析対象成分が

気化又は反応によって気体となり,ガス透過膜を通して吸収溶液に吸収される。液相と気相とに分

かれている場合には比重差で分離する器具が用いられ,液相に溶け込んでいる気体成分は疎水性の

ふっ素樹脂製透過膜で透過して分離される。 

注記 気液分離器には,主にガス透過膜を二つのブロックの間に挟んだもの又はガス透過性のふ


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っ素樹脂製細管をガラス管の中に通した二重管構造のものが用いられる。 

8) 反応器 試料及び試薬を化学反応させるために用いる。通常,混合器と同じものを用いる。その他,

イオン交換樹脂,還元剤,酵素,触媒などを充塡したカラム及び細管内壁に酵素などを固定したも

のが用いられる。反応器を一定温度に保つために,温度制御機能を備えたものもある。 

e) 検出部 検出部は,分析対象成分の濃度に応じた応答信号を発生するもので,分析目的に応じて次の

検出器などを用いる。 

なお,フローセルなど溶液が通過又は接触する部分は,耐薬品性及び耐食性に優れていることが必

要である。 

1) 吸光光度検出器 

2) 蛍光検出器 

3) 化学発光検出器 

4) 電気化学検出器(電位差検出器,電流検出器など) 

5) 炎光光度計 

6) 原子吸光光度計 

7) 誘導結合プラズマ発光分光分析計 

8) 誘導結合プラズマ質量分析計 

f) 

表示・記録部 表示・記録部は,検出器からの信号を表示し,記録するものとする。 

注記 記録装置には,データ処理機能を附属するものもある。 

g) 附属装置 附属装置には,必要に応じて次のものなどを付加する。 

1) データ処理装置 検出器からの信号を各種のデータ処理方法によって処理する機能をもつもの。 

注記 データ処理装置には,記録装置が附属しているものもある。 

2) 自動試料導入装置(オートサンプラー) 

3) 脱ガス装置 安定したポンプ送液を確保するために,溶媒中の溶存ガスを十分に取り除く機能をも

つもの。 

4) 恒温槽 反応部の細管など反応器を任意の一定温度に保持し,かつ,槽内の温度を均一に保てる機

能をもつもの。 

5) 背圧コイル 送液部,試料導入部,反応部及び細管での気泡発生防止のため,流路内の圧力を高め

るためのもの。通常は,流路系を構成している細管より内径の小さい細管をコイル状に巻いて,こ

れを反応部と検出器との間又は検出器の下流に装着させる。 

6) 圧力計 

4.3 

装置の設定 

装置の設定は,分析項目及び分析方法によって異なるため,それらに適した設定をa)〜l) に留意して行

う。 

a) 流路系の形式 

b) 試料導入部から試薬の合流点までの細管の内径及び長さ 

c) 反応部の各合流点間及び最終合流点から検出部までの細管の内径及び長さ 

d) 加熱・冷却部分がある場合は,その温度,細管の内径,長さなど 

e) 送液部の種類 

f) 

流路系以外の細管の材質及び内径 

g) 試薬の流量又は流速。キャリヤーを用いるときは,その流量又は流速 


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h) 試料導入器の種類及び試料導入量 

i) 

反応部の種類 

j) 

検出器の種類及び感度 

k) 1試料当たりの分析所要時間 

l) 

データ処理部(データ処理装置,記録計など)の条件 

4.4 

装置の安定性の確認 

全ての部品が正しく組み立てられていることを確認し,運転を開始する。 

予備試験として標準液又は試料を導入し,ノイズレベル,ベースラインのドリフトなどが測定に支障の

ないことを確認する。また,ピークの形状及び高さを確認し,1試料当たりの分析所要時間などを確認す

る。 

4.5 

分析操作 

4.5.1 

一般 

フローインジェクション分析には,種々の方法があるが,反応系,導入方法,検出方法などの組合せに

よって,目的に適した分析操作を選択する。詳細を次に示す。 

4.5.2 

試料・試薬の導入 

試料・試薬の導入は,次のいずれかの方法による。 

a) 試薬の流れの中に試料を導入する方法 

b) 試料の流れの中に試薬を導入する方法 

c) ダブルインジェクション法 

d) マージングゾーン法 

e) サンドイッチインジェクション法 

4.5.3 

操作の種類 

目的に応じて次のような操作を適宜組み合わせて行う。 

a) 希釈 

b) 化学反応 発色反応,酸化還元反応,酵素反応,酸化分解など 

c) 分離及び/又は濃縮 

d) 溶媒抽出,固相抽出などの抽出 

e) 気泡分離,気体透過膜分離などの気液分離 

f) 

フローインジェクション滴定 

g) ストップトフロー 

4.5.4 

水,試薬,溶媒及び標準液 

水,試薬,溶媒及び標準液は,a)〜c) による。 

a) 水 JIS K 0557に規定するA2又はA3の水を用いる。 

b) 試薬及び溶媒 JISに規定されているもの又はこれと同等の品質のもので,用いる検出法に影響を及

ぼさないものを用いる。 

c) 標準液 検量線作成用の標準液には,国際単位系(SI)に対する計量計測トレーサビリティが確保さ

れているものを用いる。 

なお,標準液が入手困難な場合には,その標準液をトレーサビリティソースにもつ標準液を用いて

もよい。 

注記 計量計測トレーサビリティが確保されている標準液には,国立研究開発法人産業技術総合研


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究所認証標準物質(NMIJ CRM)又は国家計量標準(計量法第136条又は第144条)の規定

に基づくJCSS(Japan Calibration Service System,計量法トレーサビリティ制度)マーク付き

証明書が添付されているものなどがある。 

4.5.5 

試料の調製 

試料中に懸濁物があり,分析に影響を及ぼす可能性がある場合は,前処理操作としてろ過などを行う。 

4.5.6 

試料の導入 

試料の導入量に応じた適切な容量の計量器具(シリンジなど)を用いて,試料導入部から試料を流路に

導入する。自動試料導入装置を用いる場合は,適切な条件を設定する。 

4.5.7 

記録 

記録計を用いる場合,分析対象成分のピークが記録紙上を振り切れることなく,できるだけ大きなピー

クを描くように分析対象成分の濃度に応じて減衰器を調節する。 

なお,データ処理装置を用いる場合,過大入力を防止し,出力の飽和に注意を払う。 

4.6 

定量分析 

4.6.1 

定量法 

4.5.5で調製した試料を4.5.6に従って装置に導入し,得られた分析対象成分に相当する応答曲線のピー

ク高さ,ピーク面積などを4.6.2に従って求め,4.6.3の絶対検量線法又は4.6.4の標準添加法によって分析

対象成分を定量する。 

一般には,これらの測定は,次のいずれかによって行う。 

a) システムに附属したデータ処理ソフト 

b) システムに後から組み込んだデータ処理ソフト 

c) 専用のデータ処理装置によって記録された応答曲線又はデータ 

ただし,データ処理を行うには,ピークの形状に応じて装置を適切な条件に設定しなければならない。

ストップトフロー法では,分析対象成分を反応コイル内に一定時間留め置いた後に測定したピーク高さ又

はピーク面積を定量に用いることができるが,応答曲線の勾配を用いて定量することもできる。反応混合

槽を用いるフローインジェクション滴定法では応答曲線の幅を用いて定量する。 

4.6.2 

ピークの測定 

ピークの測定は,次のいずれかによって行う。 

4.6.2.1 

ピーク高さの測定 

ピークの頂点から時間軸に下ろした垂線がベースラインと交わる点までの距離をピーク高さとする。た

だし,ベースラインは,次のように決定する。 

a) ピークの前又は後に負のピークが現れる場合 図3に示すように,試料成分によるピークの前又は後

に負のピークが現れることがある。このような場合には,図3に示すようにピーク高さを求める。 

 

 

 


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図3−負のピークが現れる場合のピーク高さの測定(例) 

 

b) ベースラインが傾斜している場合 図4に示すようにピーク高さを求める。 

 

 

図4−ベースラインが傾斜している場合のピーク高さの測定(例) 

 

4.6.2.2 

ピーク面積の測定 

ピーク面積の測定は,a)〜c) に示す方法によって行う。 

a) 積分法 データ処理ソフトを用いてピーク面積を算出する。ただし,データ処理ソフトは正しい結果

を与えることを検証した上で適用する。 

b) 半値幅法 図5に示すようにピーク高さ(H, mm)の中点から時間軸に平行線を描き,ピークによっ

て切られる線分を半値幅(W, mm)とし,ピーク面積(A, mm2)は,A=H×Wとして算出する。ただ

し,この方法は,著しいベースラインの変動又はテーリングが認められるピークには適用しない。 

 

 

図5−半値幅法によるピーク面積の測定(例) 


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c) 三角形近似法 図6のようにピーク高さ(H, mm)とピーク斜面に沿って引かれた接線とがベースラ

インと交わる点によって決められる底辺の幅(B, mm)を求め,ピーク面積(A, mm2)はA=1/2×B

×Hによって求める。 

 

 

図6−三角形近似法によるピーク面積の測定(例) 

 

4.6.2.3 

勾配の測定 

ストップトフロー法で応答曲線の勾配によって定量を行う場合は,分析対象成分が検出部に達したとき

に流れを停止し,図7に示すように,停止時間(ΔT)において得られる信号の変化量(ΔH)を測定する。

勾配(S)は,S=ΔH/ΔTによって求める。 

 

 

図7−勾配の求め方(例) 

 

4.6.2.4 

応答曲線の幅の測定 

フローインジェクション滴定法による定量では,得られた応答曲線の当量点を通る直線を時間軸に平行

に引き,その応答曲線との交点と当量点間の距離(幅,Δt)を測定し,試料中の分析対象成分の濃度を求

める。幅を測定をする位置は,あらかじめ標準液を用いて当量点の電位,吸光度などから決定する。図8

に一例を示す。 

 


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図8−応答曲線幅の測定の例 

 

4.6.3 

絶対検量線法 

4.5.4 c) を用いて調製した濃度の異なる検量線作成用の標準液4種類以上を4.5.6に従って導入し,応答

曲線を記録して,4.6.2に従ってピーク高さ又はピーク面積を測定する。この測定値を縦軸に,分析対象成

分の濃度を横軸にとり,検量線を作成する。図9に検量線の例及び試料中の分析対象成分の濃度の求め方

を示す。 

 

 

図9−検量線の例(絶対検量線法) 

 

注記1 検量線作成用の標準液の濃度の範囲は,試料中の分析対象成分の濃度を含むように定めるこ

とが望ましい。 

注記2 一つの試料について,通常,複数回測定し,平均値を求めることが望ましい。 

4.6.4 

標準添加法 

同一試料溶液から等体積の4個以上の溶液を採取し,1個を除き,他のものには分析対象成分の濃度が

既知である4.5.4 c) を用いて調製した標準液を段階的に加える。分析対象成分を添加しないものを含めて,

それぞれ一定量として検量線作成用溶液とする。この検量線作成用溶液を4.5.6に従って導入し,応答曲


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線を記録して,4.6.2に従ってピーク高さ又はピーク面積を測定する。この測定値を縦軸に,検量線作成用

溶液の添加濃度を横軸にとり,検量線を作成する。図10に例を示すように,横軸の切片から試料溶液中

の分析対象成分の濃度を求める。 

注記 検量線作成用溶液の添加量は,分析対象成分の濃度と近似していることが望ましい。 

 

 

図10−検量線の例(標準添加法) 

 

4.6.5 

定量値の表し方 

定量値は,液体試料に対しては体積に対する質量比(μg/L,mg/L,g/Lなど)又は質量に対する質量比

(μg/kg,mg/kg,g/kgなど)で,固体試料に対しては質量に対する質量比(μg/kg,mg/kg,g/kgなど)で

適切と考えられる単位を用いて表す。 

 

連続流れ分析 

5.1 

概要 

一定流量で細管内を流れている試薬などを気体で分節し,分節で生じたセグメントに試料を導入する。

セグメント内での混合によって分析対象成分と試薬との反応を促進し,下流に設けた検出器で反応生成物

を検出して定量する方法である。 

なお,試料の流れに試薬を導入する場合もある。 

5.2 

装置の構成 

5.2.1 

一般 

連続流れ分析装置は,送液部(試料・試薬導入部),送気部,反応部及び検出部を細管でつないだ流路系

と表示・記録部とで構成する。連続流れ分析の基本概念図の一例を図11に,基本構成図の一例を図12に

示す。 

試料,試薬及び気体は,細管の中で連続的な流れ系を形成する。 

 

 


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図11−連続流れ分析基本概念図(一例) 

 

 

図12−連続流れ分析基本構成図(一例) 

 

5.2.2 

装置構成器具 

連続流れ分析装置を構成する各器具は,a)〜g) による。 

a) 細管 4.2.2 a) による。 

b) 送液部 送液部は,試料又は試薬を送液するもので,ポンプで構成し,次の条件を満たす。ポンプに

は,通常,ペリスタ形が用いられる。 

1) 定流量精度が高い。 

2) 脈流が小さい。 

3) 接液部の材質が耐薬品性及び耐食性に優れている。 

c) 送気部 液体を分節するための気体を送気するもので,脈流を抑制し送気を一定化するためにはピン

チバルブ,エアーバーなどを用いて気体注入のタイミングを調整する。 

d) 反応部 反応部には,分割,混合,希釈,分解,濃縮,分離,抽出,蒸留,気液分離,透析及び化学

反応を行う部分があり,それらは,次の器具と細管とを適宜組み合わせることによって構成すること

細管 

信号 

 

反応部 

 

検出部 

 

表示・記録部 

 
 
 
 
 

送液部 

(試料・試薬導入部) 

 

送気部 


14 

K 0126:2019  

  

ができる。 

1) 分割器 4.2.2 d) 1) による。 

2) 混合器 気体で分節された試薬と試料とを均一に混合するために用いる。通常は,コイル状細管が

用いられる。 

3) 希釈器 試料を希釈するために用いる。 

4) 分解器 紫外線照射又は加熱によって試料中の分析対象成分を分解するために用いる。コイル状細

管をUVランプ照射槽,加熱槽などに入れて用いられる。 

5) 固相濃縮器 4.2.2 d) 5) による。 

6) 溶媒抽出器 主に溶媒間の分配を利用して分析対象成分を分離又は濃縮するために用いる。抽出器

は,次に示す抽出コイル及び相分離器から構成される。 

6.1) 抽出コイル 4.2.2 d) 6.2) による。 

6.2) 相分離器 水相と有機相とのセグメントを各相の流れに分割するために用いる。有機相と親和性

があり疎水性のふっ素樹脂製管を挿入したガラス管,シリコンなどでコーティングされたガラス

管などが用いられる。水相と有機相との比重差,及びふっ素樹脂,シリコンなどのコーティング

による疎水性作用によって分離される。 

7) 蒸留器 蒸留によって,分析対象成分を分離するために用いる。コイル状の細管が入った加熱槽,

気液分離管及び水冷式冷却管から構成される。 

8) 気液分離器 試料中の分析対象成分を気体として分離するために用いる。試料中の分析対象成分が

気化又は反応によって気体となり,ガス透過膜を通して吸収溶液に吸収される。 

9) 透析器 半透膜を用いてコロイド及び/又は高分子物質と共存している低分子物質を分離するため

に用いる。流路に透析膜を内蔵したものが用いられる。 

注記 透析効率は,それぞれの気体分節液流の流量,流路の長さ及び半透膜の厚さに依存する。 

10) 反応器 気体で分節された試薬・試料を化学反応させるために用いる。通常,混合器を兼ねる。そ

の他,イオン交換樹脂,還元剤,酵素,触媒などを充塡したカラム及び細管内壁に酵素などを固定

したものも用いられる。反応器を一定温度に保つために,温度制御機能を備えたものもある。 

e) 検出部 4.2.2 e) による。ただし,7) 及び8) は除く。 

f) 

表示・記録部 4.2.2 f) による。 

g) 附属装置 附属装置には,必要に応じて次のものなどを付加する。 

1) データ処理装置 4.2.2 g) 1) による。 

2) 自動試料導入装置(オートサンプラー) 

5.3 

装置の設定 

装置の設定は,分析項目及び分析方法によって異なるため,それらに適した設定をa)〜l) に留意して行

う。 

a) 流路系の形式 

b) 試料導入部から試薬の合流点までの細管の内径及び長さ 

c) 反応部の各合流点間及び最終合流点から検出部までの細管の内径及び長さ 

d) 加熱・冷却部分がある場合は,その温度,細管の内径,長さなど 

e) 送液部及び送気部の種類 

f) 

流路系以外の細管の材質及び内径 

g) 試薬の流量又は流速 


15 

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h) 試料導入器の種類及び試料導入量 

i) 

反応部の種類 

j) 

検出器の種類及び感度 

k) 1試料当たりの分析所要時間 

l) 

データ処理部(データ処理装置,記録計など)の条件 

5.4 

装置の安定性の確認 

全ての部品が正しく組み立てられていることを確認し,運転を開始する。 

予備試験として標準液又は試料と水とを交互に流路系に導入し,ノイズレベル,ベースラインのドリフ

トなどが測定に支障のないことを確認する。また,ピークの形状及び高さを確認し,1試料当たりの分析

所要時間などを確認する。 

5.5 

分析操作 

5.5.1 

一般 

連続流れ分析には,種々の方法があるが,反応系,導入方法,測定方法などの組合せによって目的に適

した分析操作を選定する。 

なお,反応後に流れを分節していた気体を除去し,検出器で信号を観測する。データ処理装置などを用

いることによって信号処理をして,検出における気体の影響を除くことができる場合は,気体の除去をし

ない場合もある。 

5.5.2 

操作の種類 

一般に,4.5.3のa)〜e) の操作を用いる。 

5.5.3 

水,試薬,溶媒及び標準液 

水,試薬,溶媒及び標準液は,4.5.4による。 

5.5.4 

試料の調製 

試料の調製は,4.5.5による。 

5.5.5 

試料・試薬の導入 

試料及び水をポンプで吸引して一定量ごとに交互に,気体で分節された試薬の流れに導入する。また,

自動試料導入装置などを用いる場合は,適切な条件を設定する。 

注記1 気体で分節された試料の流れに試薬を導入する場合もある。 

注記2 自動試料導入装置は,試料を吸引していないときは,ブランク溶液(水だけの場合を含む。)

を吸引する機構をもつものとする。 

5.5.6 

記録 

記録は,4.5.7による。 

5.6 

定量分析 

5.6.1 

定量法 

5.5.4で調製した試料を5.5.5に従って装置に導入し,得られた分析対象成分に相当する応答曲線のピー

ク高さを5.6.2に従って求め,5.6.3の絶対検量線法又は5.6.4の標準添加法によって分析対象成分を定量す

る。一般には,システムに附属したデータ処理ソフトによって記録された応答曲線又はデータを用いて定

量することが多い。 

5.6.2 

ピークの高さの測定 

ピークの頂点から時間軸に下ろした垂線がベースラインと交わる点までの距離をピーク高さとする。ベ

ースラインは,ピークの始点とピークの終点とを結んで決定する。図13にその一例を示す。ベースライ


16 

K 0126:2019  

  

ンについては,次の事項を考慮する。 

a) ピークの前又は後に負のピークが現れる場合 4.6.2.1 a) による。 

b) ベースラインが傾斜している場合 4.6.2.1 b) による。 

 

 

時間→ 

図13−ピーク高さの測定(例) 

 

5.6.3 

絶対検量線法 

5.5.3を用いて調製した濃度の異なる検量線作成用の標準液4種類以上を5.5.5に従って導入し,応答曲

線を記録して,5.6.2に従ってピーク高さを測定する。この測定値を縦軸に,分析対象成分の濃度を横軸に

とり,検量線を作成する。検量線の例及び試料中の分析対象成分の濃度の求め方を図9に示す。 

5.6.4 

標準添加法 

同一試料溶液から等体積の4個以上の溶液を採取し,1個を除き,他のものには分析対象成分の濃度が

既知である5.5.3を用いて調製した標準液を段階的に加える。分析対象成分を添加しないものを含めて,

それぞれ一定量として検量線作成用溶液とする。この検量線作成用溶液を5.5.5に従って導入し,応答曲

線を記録して,5.6.2に従ってピーク高さを測定する。この測定値を縦軸に,検量線作成用溶液の添加濃度

を横軸にとり,検量線を作成する。図10に例を示すように,横軸の切片から試料溶液中の分析対象成分

の濃度を求める。 

注記 検量線作成用溶液の添加量は,分析対象成分の濃度と近似していることが望ましい。 

5.6.5 

定量値の表し方 

定量値の表し方は,4.6.5による。 

 

シーケンシャルインジェクション分析 

6.1 

概要 

細管内に必要量の試料及び試薬を逐次吸引した後,それらを逆方向に送液して混合して反応させ,下流

に設けた検出器で分析対象成分を検出して定量する方法である。 

6.2 

装置の構成 

6.2.1 

一般 

シーケンシャルインジェクション分析装置は,吸引・送液部,試料・試薬導入部,反応部及び検出部を

細管でつないだ流路系並びに表示・記録部及び制御部で構成する。シーケンシャルインジェクション分析

の基本概念図の一例を図14に,基本構成図の一例を図15に示す。 

 


17 

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図14−シーケンシャルインジェクション分析基本概念図(一例) 

 

 

図15−シーケンシャルインジェクション分析基本構成図(一例) 

 

6.2.2 

装置構成器具 

シーケンシャルインジェクション分析装置を構成する各器具は,a)〜i) による。 

a) 細管 4.2.2 a) による。 

b) シリンジポンプ シリンダー内でピストンを往復させて,所定量の各種溶液及び/又は気体の吸引及

び吐出を行うもので,次の条件を満たすものとする。 

1) 任意に制御できるプログラムを組み込んだコンピュータで精密に制御できる。 

2) 接液部の材質が耐薬品性及び耐食性に優れている。 

c) 保持コイル 試料及び試薬を逐次導入する部分で,a) で構成する。 

d) マルチポジションバルブ 試料及び試薬の流路を任意に切り替えるためのもので,次の条件を満たす。 

1) 任意に制御できるプログラムを組み込んだコンピュータで精密に制御できるもので,ポジションの

切替えが任意に設定できる。 

2) 接液部の材質が耐薬品性及び耐食性に優れている。 


18 

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e) 反応部 4.2.2 d) による。 

f) 

検出部 4.2.2 e) による。 

g) 表示・記録部 4.2.2 f) による。 

h) 制御部 シリンジポンプ及びマルチポジションバルブを任意に制御できるプログラムを組み込んだコ

ンピュータで,このプログラムによって吸引,吐出及び/又は流路の切替えを任意に行う。 

i) 

附属装置 附属装置には,必要に応じて次のものなどを付加する。 

1) データ処理装置 4.2.2 g) 1) による。 

2) 自動試料導入装置(オートサンプラー) 

3) 恒温槽 4.2.2 g) 4) による。 

6.3 

装置の設定 

装置の設定は,分析項目及び分析方法によって異なるため,それらに適した設定をa)〜m) に留意して

行う。 

a) 流路系の形式 

b) 細管で構成する保持コイルの長さ 

c) 反応部から検出部までの細管の長さ 

d) 加熱・冷却部分がある場合は,その温度,細管の内径,長さなど 

e) シリンジポンプの体積 

f) 

マルチポジションバルブのポジション数 

g) 細管の材質及び内径 

h) 試薬の組成及び導入の量,順序及び回数 

i) 

試料導入の量,順序及び回数 

j) 

反応部の種類 

k) 検出器の種類及び感度 

l) 

1試料当たりの分析所要時間 

m) データ処理部(データ処理装置,記録計など)の条件 

6.4 

装置の安定性の確認 

全ての部品が正しく組み立てられていることを確認し,運転を開始する。 

予備試験として標準液又は試料を導入し,ノイズレベル,ベースラインのドリフトなどが測定に支障の

ないことを確認する。また,ピークの形状及び高さを確認し,1試料当たりの分析所要時間などを確認す

る。 

6.5 

分析操作 

6.5.1 

一般 

シーケンシャルインジェクション分析には,種々の方法があるが,反応系,導入方法,測定方法などの

組合せによって目的に適した分析操作を選択する。 

6.5.2 

試料・試薬の導入 

コンピュータ制御されるシリンジポンプ及びマルチポジションバルブによって,任意の量の試料及び試

薬を保持コイルに導入する。 

6.5.3 

操作の種類 

一般に4.5.3 a),4.5.3 b) 又は4.5.3 e) を用いる。 

6.5.4 

水,試薬,溶媒及び標準液 


19 

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水,試薬,溶媒及び標準液は,4.5.4による。 

6.5.5 

試料の調製 

試料の調製は,4.5.5による。 

6.5.6 

試料の導入 

所定量の試料及び試薬をシリンジポンプ及びマルチポジションバルブを用いて,保持コイルに導入する。 

6.5.7 

記録 

記録は,4.5.7による。 

6.6 

定量分析 

6.6.1 

定量法 

6.5.5で調製した試料を6.5.6に従って装置に導入し,得られた分析対象成分に相当する応答曲線のピー

ク高さ又はピーク面積を6.6.2に従って求め,6.6.3の絶対検量線法又は6.6.4の標準添加法によって分析対

象成分を定量する。 

6.6.2 

ピークの測定 

ピークの測定は,次のいずれかによって行う。 

6.6.2.1 

ピーク高さの測定 

ピーク高さの測定は,4.6.2.1による。 

6.6.2.2 

ピーク面積の測定 

ピーク面積の測定は,4.6.2.2による。 

6.6.3 

絶対検量線法 

6.5.4を用いて調製した濃度の異なる検量線作成用の標準液4種類以上を6.5.6に従って導入し,応答曲

線を記録して,6.6.2に従ってピーク高さ又はピーク面積を測定する。この測定値を縦軸に,分析対象成分

の濃度を横軸にとり,検量線を作成する。検量線の例及び試料中の分析対象成分の濃度の求め方を図9に

示す。 

6.6.4 

標準添加法 

同一試料溶液から等体積の4個以上の溶液を採取し,1個を除き,他のものには分析対象成分の濃度が

既知である6.5.4を用いて調製した標準液を段階的に加える。分析対象成分を添加しないものを含めて,

それぞれ一定量として検量線作成用溶液とする。この検量線作成用溶液を6.5.6に従って導入し,応答曲

線を記録して,6.6.2に従ってピーク高さ又はピーク面積を測定する。この測定値を縦軸に,検量線作成用

溶液の添加濃度を横軸にとり,検量線を作成する。図10に例を示すように,横軸の切片から試料溶液中

の分析対象成分の濃度を求める。 

6.6.5 

定量値の表し方 

定量値の表し方は,4.6.5による。 

 

データの質の管理(精度管理) 

データの質の管理のための定期的な装置性能の点検,測定の有効性,繰返し性の確認,ブランク値の確

認,検出下限の確認などは,a)〜f) 及び附属書Aによる。判定基準は,この規格を引用する個々の規格で

具体的数値を規定する。 

a) 定期的な装置性能の点検 分析対象成分に対し,4.3〜4.5,5.3〜5.5又は6.3〜6.5で定められた一定条

件で作動させたとき,ベースラインの安定性,ノイズレベルなどを分析目的に応じてあらかじめ定め

られた一定期間ごとに確認する。 


20 

K 0126:2019  

  

1) ベースラインの安定性 あらかじめ定められた条件下において,所定時間内のベースラインのドリ

フトが所定の値以下で安定していることを確認する。安定性(VSTB)は,次の式で表される。 

VSTB=ΔB/Δt 

ここに, 

ΔB: ベースラインシグナルの最大変動幅 

 

Δt: 測定時間(分) 

 

注記 測定時間は,通常,5分間以上であることが望ましい。 

2) ノイズレベルの確認 装置の検出下限が確認できるベースラインで,ノイズの変動幅が一定の幅の

中で安定していることを確認する。 

3) 検出性能の確認 定期的に既知濃度の検量線作成用の標準液を用いて,所定の応答曲線が得られる

ことを確認する。 

b) 測定の有効性の確認 測定の有効性が保たれているかを調べるために,濃度の異なる二つの検量線作

成用の標準液を試料として用い,それぞれの測定を行う。それぞれの応答が該当する検量線作成用の

標準液濃度の応答と一定の範囲内で一致することを確認する。 

c) 繰返し性の確認 同一試料を連続で6回以上注入し,そのときの相対標準偏差値が分析目的に応じて

定めた基準値以下であることを確認する。 

d) ブランク値の確認 測定中における誤差要因などを推定するために,試料測定と併行して試料の代わ

りに水を装置に導入してブランク値の確認を行う。 

e) 検出下限及び定量下限の確認 4.3〜4.5,5.3〜5.5又は6.3〜6.5で定めた一定条件で作動させたときに,

その装置での検出下限[装置検出下限(ILOD)]及びその方法の定量下限[方法定量下限(MLOQ)]

を定期的に確認する。この装置検出下限及び方法定量下限は,用いる装置の状態によっても変動する

ため,ある一定周期で確認し,常に所定の値が得られるように管理する。また,用いる装置又は測定

条件を変更した場合は,必ず確認をする(附属書Aによる。)。 

注記 検出下限又は定量下限の確認で用いる方法は,この規定に記載する方法以外にも,一般的に

ほかの方法も用いる場合があるため,規格と異なる方法で算出した場合は,用いた方法を明

記するのが望ましい。 

f) 

分析値の信頼性の確保 分析値が真値を含み普遍性をもつようにするには,計量計測トレーサビリテ

ィを確保し,測定の手順を明確にして不確かさの要因を示し,不確かさを見積もって分析値の信頼性

を確保することが必要である。計量計測トレーサビリティが確保されている標準物質を用いて,検量

線を作成して濃度未知の物質を定量する場合,標準物質の不確かさ,検量線作成時の調製及び測定の

不確かさ並びに未知試料測定時の測定不確かさから分析値の測定不確かさを求める。分析値の不確か

さの表記は,拡張不確かさ(U)を用いることが適切である。その際,包含係数kの値を明記する。

化学分析においては,Uの信頼の水準が約95 %に相当するk=2を用いることが一般的である。不確

かさの求め方の例を附属書Bに示す。 

 

設置及び注意事項 

8.1 

流れ分析装置の設置場所 

装置設置場所は,次の条件を備えた室内が望ましい。 

a) 室内の温度5 ℃〜35 ℃,相対湿度30 %〜85 %で急激な変化がなく,結露しない。 

b) 振動が少なく,直射日光が当たらない。 


21 

K 0126:2019  

 

c) 腐食性ガス及びほこりが少なく,十分に換気が行われている。 

d) 大形変圧器,高周波加熱炉などからの電磁誘導の影響がない。 

e) 供給電源は装置の仕様に指定された電圧,電気容量及び周波数を満たすものである。 

f) 

接地抵抗100 Ω以下の接地点がある。 

8.2 

安全についての注意事項 

安全確保のため,次の事項に注意しなければならない。 

a) 試料及び分析に用いる化学薬品の取扱いは,爆発性,引火性,毒性,有害性などに十分留意し,必要

に応じて,保護めがね,手袋,マスクなどの保護具を用いる。それらの廃棄についても,安全化,無

害化などの処置を行い,関連する法令,条例などに表示された方法に従って廃棄する。特に,毒物,

劇物の取扱いには,関連する法令,条例などの諸規定に従う。 

b) 装置の運転に先立ち,細管の接続部,流路などから液漏れがないか否かを十分に点検する。また,運

転中も液漏れに留意する。 

c) 流れ分析装置及び周辺機器を接地点に接地する。 

d) 高圧容器詰めのガスを用いるときは,関連する法令,条例などの諸規定に従う。 

e) 装置の点検及び修理は,通常,電源を切って行う。 

 

分析結果の記載方法 

分析結果には,定量値のほかに必要に応じて,次の事項を記載する。 

a) 分析年月日及び分析者 

b) 試料名 

c) 分析対象成分及び分析方法 

d) 装置の製造業者及び形式 

e) 流路の構成 

f) 

送液部の種類 

g) 細管の材質及び内径 

h) 試薬の組成及び流量又は流速 

i) 

試料導入器の種類及び試料導入量 

j) 

検出器の種類 

k) 応答曲線の記録 

 

10 

個別規格で流れ分析を分析法として取り入れる際に規定しなければならない事項 

個別規格で流れ分析法を取り入れるに当たっては,少なくとも次の事項を規定しなければならない。 

a) 分析対象成分及びその濃度範囲 

b) 試料の前処理及び保存方法 

c) 分析方法及び測定条件 

d) 定量方法 

e) 分析結果の表示 

f) 

データの質の管理 


22 

K 0126:2019  

  

附属書A 

(規定) 

流れ分析装置の使用判定項目 

 

A.1 一般 

この附属書は,流れ分析装置の使用判定項目について規定する。 

 

A.2 使用判定項目 

流れ分析装置を用いるとき,装置検出下限,方法定量下限,短時間安定性,長時間安定性及び検量線の

妥当性について,装置の使用判定の基準となる値をあらかじめ実験によって求めておくことが望ましい。 

 

A.3 使用判定項目の求め方 

A.3.1 装置検出下限(ILOD) 

装置検出下限(ILOD)は,a)〜c) による。 

a) 準備 次の試験液を調製する。 

1) 分析対象成分の検量線用ブランク液 

2) 分析対象成分の検量線作成用の標準液の濃度範囲で中間程度の濃度の標準液 

b) 測定 次による。 

1) 装置製造業者から提示された方法を参考にして装置の最適化を行う。 

2) 検量線作成用のブランク液[a) 1)]を6回以上連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピーク

勾配,ピーク幅)の平均値(Xb)及び標準偏差(Sb)を算出する。 

3) a) 2) の検量線作成用の標準液を6回以上連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピーク勾配,

ピーク幅)の平均値(X1)を算出する。 

c) 計算 次の式によって算出する。 

ILOD=3×Sb/k1 

ここに, 

k1: 検量線の傾き[(X1−Xb)/C1] 

 

C1: a) 2) の標準液の濃度 

 

なお,ILODの単位は,C1の濃度単位と同じとする。 

A.3.2 方法定量下限(MLOQ) 

方法定量下限(MLOQ)は,a)〜c) による。 

a) 準備 次の試験液を調製する。 

1) 操作ブランク液1) 

2) 分析対象成分の検量線作成用の標準液の濃度範囲で中間程度の濃度の標準液 

注1) 分析対象成分又は干渉物質の,分析室環境並びに試薬及び器具からの汚染の有無を調べる

ため,分析操作中に用いる器具類及び装置との接触並びに溶媒及び試薬の添加を含めて,

試料と全く同様に処理された水又は分析対象成分を含まないマトリックス液。 

b) 測定 次による。 

1) 装置製造業者から提示された方法を参考にして装置の最適化を行う。 

2) 操作ブランク液[a) 1)]を6回以上連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピーク勾配,ピー


23 

K 0126:2019  

 

ク幅)の平均値(Xd)及び標準偏差(Sd)を算出する。 

3) a) 2) の検量線作成用の標準液を6回以上連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピーク勾配,

ピーク幅)の平均値(X2)を算出する 

c) 計算 次の式によって算出する。 

MLOQ=10×Sd/k2 

ここに, 

k2: 検量線の傾き[(X2−Xd)/C2] 

 

C2: a) 2) の標準液の濃度 

 

なお,MLOQの単位は,C2の濃度単位と同じとする。 

A.3.3 短時間安定性 

短時間に繰返し測定を行って得られる結果の一致の程度を推定するために,次の方法によって相対標準

偏差を求めて判定の指標とする。 

a) 準備 分析対象成分の検量線作成用の標準液の濃度範囲で中間程度の濃度の標準液を準備する。 

b) 測定 次による。 

1) 装置製造業者から提示された方法を参考にして装置の最適化を行う。 

2) a) の検量線作成用の標準液を6回連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピーク勾配,ピーク

幅)の平均値(Xi)及び標準偏差(Si)を算出する。 

c) 計算 相対標準偏差(RSD)は,次の式によって算出する。 

RSD (%)=(Si/Xi)×100 

A.3.4 長時間安定性 

長時間安定性は,機器の設置環境及び測定条件によって影響される。この試験で求めた相対標準偏差か

ら機器の校正及び標準化の頻度を決定する。試験方法の一例を次に示す。 

a) 準備 分析対象成分の検量線作成用の標準液の濃度範囲で中間程度の濃度の標準液を準備する。 

b) 測定 次による。 

1) 装置製造業者から提示された方法を参考にして装置の最適化を行う。 

2) 標準化などの校正を行わずに,3回の繰返し測定を30分間隔で3時間以上にわたり行う。 

c) 計算 繰返し測定の平均値から相対標準偏差を算出する。 

A.3.5 検量線の妥当性 

検量線の妥当性は,分析対象成分の濃度が異なる4種類以上の検量線作成用の標準液のピーク高さ,ピ

ーク面積,ピーク勾配又はピーク幅のいずれかを測定し,作成した検量線の直線性から判断する。 


24 

K 0126:2019  

  

附属書B 

(参考) 

不確かさの求め方 

 

B.1 

一般 

分析値がもつ曖昧さは,不確かさという指標を用いて定量的に表現することができる。不確かさを求め,

それを分析値と共に示すことで初めて分析値の信頼性が確保される。この附属書は,検量線によって定量

を行った場合の不確かさの求め方の例を参考として示すものである。 

 

B.2 

測定手順の明確化 

不確かさの見積りでは,まず,操作手順を明確にし,各手順における不確かさ要因を挙げ,評価する必

要がある。ここでは,検量線によって定量を行った場合を例に,次の手順によって不確かさを評価する。 

a) 基準となる1 000 mg/Lの標準液10 mLを全量ピペットを用いて分取し,全量フラスコを用いて100 mL

に希釈して,100 mg/Lの標準液を調製する。 

b) a) で調製した100 mg/Lの標準液10 mLを全量ピペットを用いて分取し,全量フラスコを用いて100 

mLに希釈して,10 mg/Lの標準液を調製する。 

c) b) で調製した10 mg/Lの標準液の2 mL,5 mL,10 mL,15 mL及び20 mLをそれぞれ全量ピペットを

用いて分取し,全量フラスコを用いてそれぞれ100 mLに希釈して,0.2 mg/L〜2 mg/Lの検量線作成用

の標準液を調製する。 

d) c) で調製した検量線作成用の標準液及び試料溶液を測定し,作成した検量線から試料溶液中の目的成

分濃度を算出する。 

なお,試料溶液の前処理及び希釈等の操作が行われる場合には,それらに伴う不確かさも評価する必要

があるが,ここでは省略する。 

 

B.3 

不確かさの要因の摘出 

B.2のa)〜c) の手順では,検量線作成用の標準液を調製するために希釈を行っている。このとき,考慮

するのがよい主要な不確かさとしては,次の要因が挙げられる。 

a) 基準となる1 000 mg/Lの標準液の濃度の不確かさ 

b) 全量ピペットによる標準液の分取量の不確かさ 

c) 全量フラスコによる希釈後の体積の不確かさ 

a) について,基準となる1 000 mg/Lの標準液として,計量標準供給制度に基づき供給されているJCSS

のマーク付き証明書を添付した標準液を用いた場合には,附属する証明書に濃度の不確かさが記載されて

いる。また,証明書に記載されている濃度は,20 ℃における値であるが,作業環境の温度が20 ℃と異な

る場合には,その温度差による体積の変化によって濃度(mg/L)も変化するため,その影響も不確かさと

して考慮する必要がある。 

b) 及びc) について,まず,用いた全量ピペット,全量フラスコなどの目盛線までの容量がどの程度正

確であるかは,不確かさとして評価することが望ましい。次に,その目盛線に対して分析者がどの程度正

確に合わせることができるかも不確かさとして評価する必要がある。また,これらガラス製体積計は20 ℃

において校正されているため,作業環境の温度が20 ℃からずれている場合には,厳密には体積も変わるが,


25 

K 0126:2019  

 

温度によるガラスの体積変化は小さく,室温付近であれば他の要因の不確かさに比較して無視できる。 

ほかにも,分析対象成分が希釈に用いる溶媒に不純物として含まれている場合及び分析対象成分の作業

環境からの汚染も,調製した標準液の濃度の不確かさとなり得る。特に,極低濃度域で標準液を調製する

場合及び作業環境から混入しやすい化学種を取り扱う場合は,適切にブランクの評価を行い,必要に応じ

て不確かさとして加える必要があるが,この例では無視する。 

B.2 d) について,考慮するのがよい主要な不確かさとしては,次の要因が挙げられる。 

a) 標準液の測定ばらつきに由来する検量線の不確かさ 

b) 試料溶液の測定ばらつき 

また,これら以外にも,標準液と試料溶液とでマトリックスの違いによる感度差などがあれば,事前に

評価し,適切に補正するか不確かさとして考慮する必要がある。また,測定において装置感度の時間変動

などによって,試料の測定順によって測定結果が影響を受ける場合があるが,適切に補正するか,又は標

準液及び試料溶液の測定順をランダムにするなどして,時間変動の影響を測定結果のばらつきに反映させ,

不確かさとして評価できるようにするなどの対策が必要な場合もある。 

 

B.4 

各要因の標準不確かさの算出 

B.4.1 基準となる1 000 mg/Lの標準液の濃度の不確かさ 

計量標準供給制度に基づき供給されているJCSSのマーク付き証明書を添付した標準液を用いた場合を

例に計算例を示す。証明書に値付け結果1 000 mg/L,拡張不確かさ(k=2)0.6 %と記載されている場合,

標準液濃度の標準不確かさの相対値は,拡張不確かさをその包含係数で除して,次のように0.3 %と算出

される。 

003

.0

2

100

6.0

k

U

 

次に,この標準液濃度に対する作業環境の温度の影響について考える。前述のとおり,JCSSの標準液の

値付け結果は20 ℃における値であるが,例えば,作業環境の温度が20 ℃±5 ℃の範囲内の場合,その範

囲に対してく(矩)形分布を仮定して標準不確かさを見積もることができる。溶媒の体積膨張率を純水(2.1

×10−4 ℃−1)と同じと仮定すると,標準液の体積の標準不確かさ(相対値)は,次のように0.061 %と算

出される。 

61

000

.0

3

10

1.2

5

4

 

標準液の体積と濃度(mg/mL)とは反比例の関係にあるため,上記の体積の標準不確かさの相対値は,

濃度の標準不確かさの相対値と等しい。以上から得られた二つの要因の不確かさが互いに独立であると仮

定し,不確かさ(相対値)をそれぞれ二乗して加算し,正の平方根とすることで,20 ℃±5 ℃の条件下で

用いた1 000 mg/Lの標準液の濃度の標準不確かさ(相対値)が次のように0.31 %と算出される。 

1

003

.0

61

000

.0

003

.0

2

2

 

B.4.2 全量ピペットによる標準液の分取量の不確かさ 

全量ピペットの呼び容量については,JIS R 3505(ガラス製体積計)にその体積の許容誤差が示されて

いる。その許容誤差の範囲にく(矩)形分布を仮定して,全量ピペットの呼び容量の標準不確かさを見積

もることができる(表B.1)。 


26 

K 0126:2019  

  

表B.1−全量ピペットの目盛線の正確さに由来する標準不確かさ 

呼び容量 

mL 

体積の許容誤差 

mL 

標準不確かさa) 

mL 

標準不確かさ 

(相対値)% 

±0.01 

0.005 8 

0.29 

±0.015 

0.008 7 

0.17 

10 

±0.02 

0.012 

0.12 

15 

±0.03 

0.017 

0.12 

20 

±0.03 

0.017 

0.087 

注a) 体積の許容誤差の値を3で除して算出する。 

 

次に,ピペット分取における分析者の技能に由来する不確かさについては,例えば,全量ピペットで分

取した純水を天びんでひょう量する操作を繰り返し,そのひょう量値の実験標準偏差から見積もることが

できる。ただし,分析者の癖等による分取量の偏りがあった場合には,適切に補正することを前提とする。 

最終的に,全量ピペットの目盛線の正確さに由来する標準不確かさ(相対値)と分析者の技能に由来す

る不確かさ(相対値)とを,それぞれ二乗して加算し,正の平方根とすることで全量ピペットによる分取

量の標準不確かさ(相対値)が算出できる(表B.2)。 

 

表B.2−全量ピペットによる分取量の標準不確かさ算出例 

呼び容量 

mL 

目盛線の正確さに由来

する標準不確かさ 

(相対値)% 

分取操作の繰返し実験

における 

相対標準偏差 % 

合成標準不確かさ 

(相対値)% 

0.29 

0.16 

0.33 

0.17 

0.12 

0.21 

10 

0.12 

0.10 

0.15 

15 

0.12 

0.08 

0.14 

20 

0.087 

0.06 

0.11 

 

B.4.3 全量フラスコによる希釈後の体積の不確かさ 

全量ピペットの呼び容量と同様に,JIS R 3505に示されている全量フラスコの体積の許容誤差を用いて,

全量フラスコの呼び容量の標準不確かさを見積もることができる。例えば,呼び容量100 mLの全量フラ

スコでは,体積の許容誤差は±0.1 mLであり,その範囲のく(矩)形分布を仮定して標準不確かさの相対

値を算出すると0.058 %となる。 

次に,全量フラスコの定容操作における分析者の技能に由来する不確かさについても,全量ピペットと

同様に,純水でメスアップした全量フラスコを天びんでひょう量する操作を繰り返し,そのひょう量値の

実験標準偏差から見積もることができる。例えば,繰返し実験における相対標準偏差が0.05 %であった場

合,100 mLの全量フラスコによる希釈後の体積の標準不確かさ(相対値)は,全量ピペットと同様に次の

ように0.076 %と算出される。 

76

000

.0

5

000

.0

58

000

.0

2

2

 

B.4.4 測定ばらつきに由来する不確かさ 

最小二乗法によって検量線を決定し,その検量線で求めた試料濃度の標準不確かさ

)

0x

は,次の式で

与えられる。 


27 

K 0126:2019  

 

1

2

2

0

0

ˆ

1

1

ˆ

ˆ

)

x

x

y

y

n

l

x

i

n
i

e

 

2

ˆ

ˆ

ˆ

2

1

n

x

y

i

i

n
i

e

 

ここに, 

)

0x

: 測定された試料濃度の標準不確かさ(mg/L) 

 

: 検量線のy切片 

 

: 検量線の傾き(L/mg) 

 

l: 試料測定の繰返し数 

 

n: 検量線作成用の標準液の数 

 

y0: 試料溶液の測定値(平均値) 

 

yi: 検量線作成用の標準液の各測定値 

 

y: 検量線作成用の標準液の各測定値の平均値 

 

xi: 検量線作成用の標準液の各濃度(mg/L) 

 

x: 検量線作成用の標準液の各濃度の平均値(mg/L) 

 

模擬データとして,表B.3の測定データを用いて計算例を示す。 

 

表B.3−模擬データ 

検量線作成用 
標準液の濃度 

mg/L 

測定装置からの

シグナル 

吸光度 

 

試料測定における

測定装置からの 

シグナル 

0.2 

0.028 5 

 

0.160 5 

0.5 

0.080 3 

 

0.159 8 

1.0 

0.149 5 

 

0.161 1 

1.5 

0.223 2 

 

 

2.0 

0.302 0 

 

 

 

y = 0.1498x + 0.0009

R² = 0.9993

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0.35

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

濃度/(mg/L)

 

 

040

.1

5

0.2

5.1

0.1

5.0

2.0

x

 

7

156

.0

5

0

302

.0

2

223

.0

5

149

.0

3

080

.0

5

028

.0

y

 

8

149

.0

ˆ

2

1

1

x

x

y

y

x

x

i

n
i

i

i

n
i

 

939

000

.0

ˆ

ˆ

x

y

 

429

003

.0

2

5

8

149

.0

939

000

.0

2

ˆ

ˆ

ˆ

2

1

2

1

i

i

n
i

i

i

n
i

e

x

y

n

x

y

 


28 

K 0126:2019  

  

5

160

.0

3

1

161

.0

8

159

.0

5

160

.0

0

y

 

72

016

.0

040

.1

8

149

.0

7

156

.0

5

160

.0

5

1

3

1

8

149

.0

429

003

.0

ˆ

1

1

ˆ

ˆ

ˆ

2

1

2

2

2

1

2

2

0

0

i

n
i

i

n
i

e

x

x

x

y

y

n

l

x

 

試料濃度x0は,検量線から次のように算出されるので, 

065

.1

8

149

.0

939

000

.0

5

160

.0

ˆ

ˆ

0

0

y

x

 

測定ばらつきに由来する検量線から求めた試料濃度の標準不確かさ(相対値)は,次のように1.57 %と

算出される。 

7

015

.0

065

.1

72

016

.0

ˆ

0

0

x

x

 

この不確かさの算出は,測定データのy軸方向のばらつきだけに基づいており,測定データのx軸方向

の不確かさ(検量線作成用標準液の濃度の不確かさ)は無視しているため,最終的な定量結果の不確かさ

を得るためには,検量線作成用標準液の濃度の不確かさを適切に合成する必要がある。 

 

B.5 

不確かさの合成 

B.5.0 各要因の標準不確かさ 

B.4において,各要因について見積もった標準不確かさを表B.4に示す。これらの標準不確かさを合成

する手順を次に示す。 

 

表B.4−各要因の標準不確かさ 

要因 

標準不確かさ(相対値)% 

基準となる標準液の濃度(20 ℃±5 ℃) 

0.31 

全量ピペットによる分取量 mL 

呼び容量2 

0.33 

呼び容量5 

0.21 

呼び容量10 

0.15 

呼び容量15 

0.14 

呼び容量20 

0.11 

全量フラスコによる希釈後の体積 

呼び容量100 

0.076 

標準液及び試料溶液の測定ばらつきに由来する不確かさ 

1.57 

 

B.5.1 100 mg/Lの標準液濃度の不確かさ 

測定手順B.2のa) では,基準となる1 000 mg/Lの標準液10 mLを全量ピペットを用いて分取し,全量

フラスコを用いて100 mLに希釈して,100 mg/Lの標準液を調製した。このとき,調製した標準液の濃度

Cstd1は,基準となる標準液の濃度Cstd0,全量ピペットによる分取量vp及び全量フラスコによる希釈後の体

積vfを用いて次のように算出される。 

100

100

10

000

1

1

1

0

1

f

p

std

std

v

v

C

C

 

ここで,u(X) をXの標準不確かさとすると,測定手順B.2のa) で調製した標準液の濃度の標準不確か

さ(相対値)は次のように0.35 %と算出される。 


29 

K 0126:2019  

 

5

003

.0

76

000

.0

5

001

.0

1

003

.0

2

2

2

2

1

1

2

1

1

2

0

0

1

1

f

f

p

p

std

std

std

std

v

v

u

v

v

u

C

C

u

C

C

u

 

B.5.2 10 mg/Lの標準液濃度の不確かさ 

測定手順B.2のb) では,測定手順B.2のa) で調製した100 mg/Lの標準液10 mLを全量ピペットを用

いて分取し,全量フラスコを用いて100 mLに希釈して,10 mg/Lの標準液を調製した。このとき,調製し

た標準液の濃度Cstd2及びその標準不確かさ(相対値)は,B.5.1と同様に次のように算出される。 

10

100

10

100

2

2

1

2

f

p

std

std

v

v

C

C

 

9

003

.0

76

000

.0

5

001

.0

5

003

.0

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

1

1

2

2

f

f

p

p

std

std

std

std

v

v

u

v

v

u

C

C

u

C

C

u

 

 

B.5.3 検量線作成用標準液の濃度の不確かさ 

測定手順B.2のc) では,測定手順B.2のb) で調製した10 mg/Lの標準液の2 mL,5 mL,10 mL,15 mL,

20 mLをそれぞれ全量ピペットを用いて分取し,全量フラスコを用いてそれぞれ100 mLに希釈して,0.2 

mg/L〜2 mg/Lの検量線作成用の標準液を調製した。算出方法はB.5.1及びB.5.2と同様であるため,結果

だけを表B.5に示す。 

 

表B.5−各要因の標準不確かさ 

検量線作成用の標準液の種類 

mg/L 

濃度の標準不確かさ(相対値) 

0.2 

0.52 

0.5 

0.45 

1.0 

0.43 

1.5 

0.42 

2.0 

0.41 

 

B.5.4 測定手順B.2 d) で算出した試料溶液中の目的成分濃度の不確かさ 

前述のとおり,B.4.4における測定ばらつきに由来する不確かさは,それぞれの検量線作成用の標準液の

濃度の不確かさを無視して算出している。実際は,それぞれの検量線作成用の標準液について表B.5に示

す不確かさがあるが,これらを個別に反映させて検量線の不確かさを算出しようとすると複雑になるので,

若干の過剰評価になるが,検量線作成用の標準液の不確かさ(相対値)の中で最も大きな値u(Cstd3)max/Cstd3

(0.2 mg/Lの標準液に対する0.52 %)を,全ての検量線作成用の標準液に共通して適用することで計算を

簡略化する。最終的に,測定ばらつきに由来する標準不確かさ(相対値)と検量線作成用の標準液の濃度

の不確かさ(相対値)とを,それぞれ二乗して加算し,正の平方根とすることで試料溶液中の目的成分濃

度の標準不確かさ(相対値)を算出できる。算出例は,次のとおり1.7 %となる。 

017

.0

2

005

.0

7

015

.0

ˆ

2

2

2

3

3

2

0

0

std

max

std

C

C

u

x

x

 

 


30 

K 0126:2019  

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献 分析・測定データの統計処理−分析化学データの扱い方− 田中秀幸,高津章子著 朝倉書店

(2014)