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K 0126

:2009

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

1

4

  装置

4

4.1

  フローインジェクション分析法

4

4.2

  連続流れ分析法

6

5

  操作

8

5.1

  水,試薬,溶媒及び標準液 

8

5.2

  フローインジェクション分析法

8

5.3

  連続流れ分析法

9

6

  定量分析

10

6.1

  定量法

10

6.2

  マニュアルによる測定 

10

6.3

  データ処理装置を用いる測定

13

6.4

  検量線の作成 

13

6.5

  定量値の表し方

13

7

  データの質の管理(精度管理)

13

8

  設置及び注意事項

14

8.1

  流れ分析装置の設置場所 

14

8.2

  安全についての注意事項 

14

9

  分析結果の記載方法

15

10

  個別規格に記載すべき事項 

15

附属書 A(規定)流れ分析装置の使用判定項目

16


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まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本分析

機器工業会(JAIMA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS K 0126:2001 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 K

0126

:2009

流れ分析通則

General rules for flow analysis

適用範囲 

この規格は,流れ分析装置を用いて,無機物及び有機物の定量分析を行う場合の共通事項について規定

する。流れ分析とは主に,フローインジェクション分析,連続流れ分析及びシーケンシャルインジェクシ

ョン分析を示すが,この規格では,フローインジェクション分析及び連続流れ分析に適用する。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0211

  分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0212

  分析化学用語(光学部門)

JIS K 0213

  分析化学用語(電気化学部門)

JIS K 0214

  分析化学用語(クロマトグラフィー部門)

JIS K 0215

  分析化学用語(分析機器部門)

JIS K 0557

  用水・排水の試験に用いる水

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0050JIS K 0211JIS K 0212JIS K 0213JIS K 0214

及び JIS K 0215 によるほか,次による。

なお,括弧内の対応英語は,参考のために示す。

3.1 

流れ分析 (flow analysis)

流れの中で試料と試薬とを反応させた成分を連続的に検出,定量する分析方法。

3.2 

流れ分析装置 (flow analyzer)

流れ分析を利用した定量分析装置。

3.3 

フローインジェクション分析法  (flow injection method)   

細管内の試薬又は試料の流れの中にそれぞれ試料又は試薬を導入し,反応操作などを行った後,下流に

設けた検出部で分析成分を検出して定量する分析方法。


2

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3.4 

フローインジェクション分析(flow injection analysis,FIA と略す。)   

フローインジェクション分析法を利用した定量分析。

3.5 

連続流れ分析法 (continuous flow method)  

細管内の試薬又は試料の流れの中に気体を導入して分節し,それぞれ試料又は試薬を導入することによ

って,反応操作などを行った後,下流に設けた検出部で分析成分を検出して定量する分析方法。

3.6 

連続流れ分析(continuous flow analysis,CFA と略す。)

連続流れ分析法を利用した定量分析。

3.7 

流路系  (flow system, manifold)   

流れ分析装置において,細管で結合された装置内を流れる流体の流れ系。

3.8 

フローインジェクション滴定法  (flow injection titration method)   

試料を試薬の流れに導入し,混合器で十分に分散,反応させた後に得られる応答曲線の幅から濃度を求

める方法。ただし,試薬として各種の緩衝液を用いる場合には,混合器を用いずに中程度以下の分散とし,

応答曲線のピーク高さを定量に用いる。

3.9 

マージングゾーン法 (merging zone method)  

二つのキャリヤーの流れにそれぞれ試料及び/又は試薬を導入し合流する方法。

3.10 

ダブルインジェクション法 (double injection method)  

試料の濃度又は量を変えて流れの中に 2 か所に分けて導入する方法。

3.11 

サンドイッチインジェクション法 (sandwich injection method)  

流路系の同一場所に設けた複数の導入器から試料及び試薬を同時に導入する方法。

3.12 

ストップトフロー法 (stopped flow method)

キャリヤーの流れを一時的に停止させる方法。この方法には,検出器のフローセル内で停止させて反応

の時間変化を観測する方法及び混合器の中で停止させて分散を抑えて反応時間を長くとる方法の二つがあ

る。

3.13 

セグメント (segment)

細管中の流体に気体,試薬,試料,有機溶媒などを導入したときにできる分節(帯)

3.14 

合流点 (merging point)

二つ以上の流路が一つに交わるところ。

3.15 

応答曲線 (response curve)


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検出部からの信号を記録して得られる図形。

3.16 

キャリヤー  (carrier) 

細管中の試料及び試薬を搬送する流体。

3.17 

ポンプ  (pump) 

流体を送る装置。

3.18 

細管  (tube)

流体の流路を構成する細い管。

3.19 

導入器  (injector)

試料又は試薬を細管中の流体に導入する器具。

3.20 

除泡器  (debubbler)

細管に導入された気泡を除去する器具。

3.21 

混合器  (mixer)

試料と試薬を混合させる部品又は器具。

3.22 

反応器  (reactor)

試料と試薬を反応させる部品又は器具。

3.23 

抽出器  (extractor)

試料中の特定成分を抽出する部品又は器具。

3.24 

相分離器  (phase separator)

水相と有機相とに分離する器具。

3.25 

気液分離器  (gas separator)

気体セグメントと液体セグメントとの分離又は液体から溶存気体を分離する器具。

3.26 

濃縮器  (concentrator)

試料中の特定成分を分離・濃縮する器具。

3.27 

分割器  (divider)

一つの流路を複数の流路に分割する器具。

3.28 

透析器 (dialyzer)

半透膜などを用い,試料中の特定成分を分離する器具。


4

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3.29 

蒸留器 (distillater) 

試料中の特定成分を蒸留操作によって分離・精製する器具。

3.30 

反応部 (reaction part)

試料の処理又は各種の反応を行う部分。

3.31 

シーケンシャルインジェクション分析法  (sequential injection method)

非連続的な流れの中に試料及び試薬を逐次導入し,反応などを行った後,下流に設けた検出部で分析成

分を検出して定量する分析方法。

3.32 

シーケンシャルインジェクション分析(sequential injection analysis,SIA と略す。)

シーケンシャルインジェクション分析法を利用した定量分析。

装置 

4.1 

フローインジェクション分析法 

4.1.1 

概要 

気体で分節されていない試薬又は試料の細管内の流れの中に,それぞれ試料又は試薬を導入し,反応操

作などを行った後,下流に設けた検出器で分析成分を検出して定量する方法である。

4.1.2 

装置の構成 

フローインジェクション分析装置は,送液部,試料導入部,反応部,検出部,細管,指示・記録部など

で構成する。その基本構成の一例を

図 に示す。試料,試薬及びキャリヤーは,細管の中で連続的な流れ

系を形成する。

図 1−フローインジェクション分析装置(一例)

a)

細管  液体の流路を構成するもので,次の条件を満たすものとする。

1)

耐薬品性に優れているもの。

2)

使用する圧力に耐えるもの。

3)

均一な内径をもつもの。

4) 

温度影響の小さいもの。

注記 1  細管は,通常,内径 0.25∼1.5 mm で外径 0.8∼3.0 mm のふっ素樹脂,ポリエチレン,ポリ

プロピレン,ステンレス鋼管などを用いることが多い。

注記 2  細管の接続には,種々の形式の合成樹脂製などのコネクターを用いることが多い。

送液部

試料導入部

反応部

指示・記録部

検出部

細管

信号


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b)

送液部  送液部は,試料,試薬及び/又はキャリヤーを送液するもので,ポンプ,ダンパーなどで構

成し,次の条件を満たすものとする。

1)

定流量精度が高いもの。

2)

脈流が小さいもの。

3)

接液部の材質が耐薬品性及び耐食性に優れているもの。

c) 

試料導入部  試料を装置に導入するための部分で,次のようなものがある。

1)

導入器,合流式の流路などを用い,細管中の流体に試料を導入し,セグメントを作るもの。

注記  試料又はキャリヤーの流れに試薬を導入し,セグメントを作る場合もある。

2)

複数個の流路を用い試料と試薬とが合流するように配置するもの。

d)

反応部  反応部には分割及び希釈を行う部分と,試薬との反応,抽出,濃縮,気液分離などを行う部

分とがある。細管と次の器具との組合せで試料の処理及び反応を行うことができる。

1)

分割器  流路を分割し,異なる複数の反応器を接続したり,複数の分析システムへ導入するために

用いる。

2)

混合器  キャリヤー又は試薬溶液と試料とを混合するのに使用する。通常,細管をコイル状又は 8

の字状に巻いた混合コイルが使用される。その他,ガラスビーズ,ポリマービーズなどの化学的に

不活性な物質を充てんしたカラム又は小さな混合室(内容積 100∼1 000 µL)を使用することもある。

注記  混合器は反応器を兼ねることもある。

3)

反応器  試料及び試薬を化学反応させるのに使用する。通常,混合器と同じものを用いる。その他,

イオン交換樹脂,還元剤,酵素,触媒などを充てんしたカラム及び細管内壁に酵素などを固定した

ものも用いる。反応器を一定温度に保つために,温度制御機能を備えたものもある。

4)

抽出器  主として分配作用を利用して,目的成分だけを抽出するのに用いられる。抽出器はセグメ

ンター,抽出コイル及び相分離器から構成される。

4.1) 

セグメンターは,水相と有機相をこの部分で合流させ,各相の規則正しいセグメントを形成させ

る。

4.2) 

抽出コイルは,目的成分が水相から有機相又は有機相から水相へ抽出するのに使用する。

4.3) 

相分離器は,水相と有機相とのセグメントを各相の流れに分割するものである。

注記  抽出効率は,分離器の幾何学的配置,両相の流量などに影響される。

5)

濃縮器  目的成分の濃縮に使用される。主としてイオン交換樹脂,キレート樹脂,疎水性樹脂など

を充てんしたカラムを用いる。

6)

気液分離器  流れの中から気体成分を分離するのに使用する。試料中の分析成分は気化又は反応に

よって気体となり,ガス透過膜(管壁)を通して吸収溶液に吸収される。

注記  気液分離器には,主としてガス透過膜を二つのブロックの間に挟んだもの及びガス透過性

のふっ素樹脂製細管をガラス管の中に通した二重管構造のものを使用する。

e)

検出部  検出部は,目的成分の濃度に応じた応答信号を発生するもので,分析目的に応じて次の検出

器などが使用できる。

なお,フローセルなど溶液が通過又は接触する部分は耐薬品性及び耐食性に優れていることが必要

である。

1)

分光光度検出器

2)

蛍光検出器

3) 

化学発光検出器


6

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4)

電気化学検出器(電位差検出器,電流検出器など)

5)

原子吸光分析計

6)

誘導結合プラズマ発光分光分析計

7) 

誘導結合プラズマ質量分析計

f)

指示・記録部  指示・記録部は,検出器からの信号を指示し,記録するものである。

注記  記録装置には,データ処理装置の機能をもつものもある。

g)

附属装置  附属装置は,必要に応じて次のものなどが付加できる。

1)

データ処理装置  検出器からの信号を各種のデータ処理方法によって処理できるものとする。

注記  データ処理装置には,記録装置として使用できるものもある。

2)

自動試料導入装置

3)

脱ガス装置  安定したポンプ送液を確保するために,溶媒中の溶存ガスを十分に取り除くことがで

きるもの。

4)

反応恒温槽  反応部の細管など反応器を任意の一定温度に保持し,かつ,温度分布を均一に保てる

機能をもつもの。

4.1.3 

分析方法 

フローインジェクション分析には,種々の方法があるが,反応系,導入方法,測定方法などの組合せに

よって目的に適した分析方法を選択する。

a)

試料・試薬の導入  試料・試薬の導入には,次の方法がある。

1)

試薬の流れの中に試料を導入する方法。

2)

試料の流れの中に試薬を導入する方法。

3)

ダブルインジェクション法

4)

マージングゾーン法

5)

サンドイッチインジェクション法

b)

操作の種類  次のような操作を流れの中で行うことができる。

1)

希釈

2)

化学反応  発色反応,酸化還元反応,酵素反応など

3)

分離・濃縮

4)

抽出

5)

気液分離

6)

フローインジェクション滴定

7)

ストップトフロー

4.2 

連続流れ分析法 

4.2.1 

概要 

試薬又は試料が気体によって分割された,細管内の連続的な流れの中に,それぞれ試料又は試薬を導入

し,反応操作などを行った後,気泡を除去し,下流に設けた検出器で分析成分を検出して定量する方法で

ある。

4.2.2 

装置の構成 

連続流れ分析装置は,送液部,送気部,反応部,検出部,指示・記録部などで構成する。その基本構成

の一例を

図 に示す。試料,試薬及び気体は,細管の中で連続的な流れ系を形成する。


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図 2−連続流れ分析装置(一例)

a) 

細管  流路を構成するもので,次の条件を満たすものとする。

1)

耐薬品性に優れているもの。

2)

使用する圧力に耐えるもの。

3) 

均一な内径をもつもの。

4) 

温度影響の小さいもの

注記 1  細管は,通常,内径 0.25∼2.75 mm のポリマー樹脂,ガラス,ふっ素樹脂,ポリエチレン,

ポリプロピレン,ステンレス鋼管などを用いることが多い。

注記 2  細管の接続には,種々の形式の合成樹脂製などのコネクターを用いることが多い。

b) 

送液部  送液部は,試料又は試薬を送液するもので,ポンプで構成され,次の条件を満たすものとす

る。

1) 

定流量精度が高いもの。

2) 

脈流が小さいもの。

3) 

接液部の材質が耐薬品性及び耐食性に優れているもの。

c)

送気部  液体を分節するための気体を送気するもので,ポンプから構成する。

注記  ポンプの脈流を抑制するためにピンチバルブなどを用い,気体注入のタイミングを調節する

ことが望ましい。

d) 

反応部  反応部とは,混合,希釈,蒸留,透析分離などを行う試料の処理部と,試薬との反応,抽出

などを行う反応部とがある。細管と次の器具との組合せで試料の処理及び反応を行うことができる。

1) 

混合器  気体で分節された試薬と試料とを均一に混合するのに使用する。通常は,コイル状細管を

用いる。

2)

反応器  気体で分節された試薬及び試料を化学反応させるのに使用する。通常,混合器と同じもの

を用いる。その他,イオン交換樹脂,還元剤,酵素,触媒などを充てんしたカラム及び細管内壁に

酵素などを固定したものも用いる。反応器を一定温度に保つために,温度制御機能を備えたものも

ある。

3)

透析器  目的成分の透析に使用する。透析器内の半透膜などを介して二流路の分節液流を形成する。

注記  透析はそれぞれの分節液流の流量と流路の長さ及び半透膜などの厚さに依存する。

4)

蒸留器  蒸留によって,目的成分を分離するために使用する。 

5)

抽出器  主として分配作用を利用して,目的成分だけを抽出するのに用いられる。

6) 

除泡器  気体によって分節された流れから,気体を除去するために使用する。

細管

信号

反応部

検出部

指示・記録部

 
 
 
 

送液部

(試料・試薬導入部)

送気部


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e) 

検出部  検出部は,目的成分の濃度に応じた応答信号を発生するもので,分析目的に応じて次の検出

器などが使用できる。

1) 

分光光度検出器

2) 

炎光光度検出器

3) 

蛍光検出器

4) 

電気化学検出器(電位差検出器,電流検出器など)

5) 

原子吸光分析計

6) 

化学発光検出器

f) 

指示・記録部  指示・記録部は,検出器からの信号を指示し,記録するものである。 

注記  記録装置には,データ処理装置の機能をもつものもある。

g) 

附属装置  附属装置は,必要に応じて次のものなどが付加できる。

1) 

データ処理装置  検出器からの信号を各種のデータ処理方法によって処理できるもの。

注記  データ処理装置には記録装置として使用できるものもある。

2) 

自動試料導入装置

3) 

反応恒温槽  反応部の細管など反応器を任意の一定温度に保持し,かつ,温度分布を均一に保てる

機能をもつもの。

4) 

蒸留器  反応部の細管など任意の蒸留設定温度において,その温度を保てる機能をもつもの。

4.2.3 

分析方法 

連続流れ分析法は,反応系,導入方法,測定方法などの組合せによって目的に適した分析方法を選定す

る。

注記 1  試料・試薬・気体の導入では,通常は連続する試薬の流れに気体を導入し形成された分節に

試料を導入するが,試料の流れに気体を導入した後に試薬を導入することもある。目的成分

に応じて必要な試薬が順次導入される。

注記 2  反応後に気泡を除去し,検出器で信号を観測する。データ処理装置などを用いることによっ

て信号処理をして,検出における気泡の影響を除くことができる場合は,気泡の除去をしな

い場合もある。 

操作 

5.1 

水,試薬,溶媒及び標準液 

水,試薬,溶媒及び標準液は,次による。

a) 

水  水は,JIS K 0557 に規定する A2 又は A3 の水を用いる。

b) 

試薬及び溶媒  試薬及び溶媒は,JIS に規定されているもの又はこれと同等の品質のもので,用いる

検出法に影響を及ぼさないものを用いる。

c) 

標準液  検量線作成用の標準液には,国家標準にトレーサブルな標準液[計量標準供給制度に基づき

供給されている JCSS (Japan Calibration Service System)  のロゴ付き証明書を付した標準液]

,又はこの

ような標準液がない場合には,一般的な市販の標準液を用いる。

5.2 

フローインジェクション分析法 

5.2.1 

分析方法の設定 

個別規格で定める条件に従い,

次の項目について必要事項を考慮して設定する。

装置の設定については,

その方法及び項目が装置の種類によって異なるため,各装置の取扱説明書を参照して行う。


9

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a)

流路系の構成

1)

流路系の形式

2)

試料導入部から試薬の合流点までの細管の長さ

3)

反応部の各合流点間及び最終合流点から検出部までの細管の長さ

4)

加熱・冷却部分がある場合には,その温度,細管の内径,長さなど

b)

送液部の種類

c)

細管の材質及び内径

d)

試薬の組成及び流量又は流速。キャリヤーを用いるときは,その組成及び流量又は流速

e)

試料導入器の種類及び試料導入量

f)

反応部(又は操作部)の種類

g)

検出器の種類及び感度

h)  1

試料当たりの分析所要時間又は 1 時間当たりの処理能力

i)

データ処理部(データ処理装置,記録計など)の条件

5.2.2 

装置の安定性の確認 

予備試験として標準液又は試料を導入し,ノイズレベル,ベースラインのドリフトなどが測定に支障の

ないことを確認する。また,ピークの分散を確認し,5.2.1 h)を満足しているか否かを確認する。また,運

転開始時,すべての部品が正しく組み立てられていることを確認する。

5.2.3 

試料の調製 

個別規格で定める条件に従って試料の調製を行う。試料中に懸濁物があり,分析に影響を及ぼす可能性

がある場合は,前処理操作としてろ過を行う。

5.2.4 

試料の導入 

個別規格で定める試料の導入量に応じて,適切な容量の計量器具(シリンジなど)を用いて,試料導入

部から流路に導入する。自動注入装置を使用する場合は,適切な条件を設定する。

5.2.5 

記録 

試料成分の応答曲線が適切なレンジに入るように調節する。

なお,データ処理装置を用いる場合,サンプリング周期,データ取込み時間などを所定の数値に設定す

る。

5.3 

連続流れ分析法 

5.3.1 

分析方法の設定 

個別規格で定める条件に従い,

次の項目について必要事項を考慮して設定する。

装置の設定については,

その方法及び項目が装置の種類によって異なるため,各装置の取扱説明書を参照して行う。

a) 

流路系の構成

1)

流路系の形式

2)

反応部の各合流点間及び最終合流点から検出部までの細管の長さ

3)

加熱及び冷却部がある場合は,その温度,細管の内径,長さなど

b) 

送液部及び送気部の種類

c) 

細管の材質及び内径

d) 

試薬の組成及び流量並びに試料の流量

e) 

反応部(又は操作部)の種類

f) 

検出器の種類及び感度


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g)  1

試料当たりの分析所要時間又は 1 時間当たりの処理能力

5.3.2 

装置の安定性の確認 

予備試験として標準液又は試料を流路系に導入し,ノイズレベル,ベースラインのドリフトなどが測定

に支障のないことを確認する。

5.3.3 

試料の調製 

個別規格で定める条件に従って試料の調製を行う。

5.3.4 

試料の導入 

ポンプで吸引された試料を,気体で分節された試薬の流れに導入する。また,自動試料導入装置などを

用いる場合は,適切な条件を設定する。

注記  気体で分節された試料の流れに試薬を導入する場合もある。

5.3.5 

記録 

試料成分の応答曲線が適切なレンジに入るように調節する。また,データ処理装置を用いる場合,サン

プリング周期,データ取込み時間などを所定の数値に設定する。

定量分析 

6.1 

定量法 

定量分析を行うに当たっては,あらかじめ,5.2.2 又は 5.3.2 に従って装置が安定に作動していることを

確認する。得られた応答曲線から検量線によって定量を行う。

6.1.1 

フローインジェクション分析 

ピーク高さ又はピーク面積のいずれかを測定し,検量線によって定量を行う。また,応答曲線のこう配,

その時間的変化又は応答曲線の幅を測定して定量を行うこともできる。

6.1.2 

連続流れ分析 

ピーク高さを測定し,検量線によって定量を行う。

6.2 

マニュアルによる測定 

6.2.1 

フローインジェクション分析 

a)

ピーク高さの測定  ピークの頂点から時間軸に下ろした垂線がベースラインと交わる点までの距離を

ピーク高さとする。ベースラインは,次の事項を考慮する。

1)

ピークの前又は後に負のピークが現れる場合  図 に示すように,試料成分によるピークの前又は

後に負のピークが現れることがある。このような場合には,

図 のようにベースラインとする。

図 3−負のピークが現れる場合のピーク高さの測定(例)


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2)

ベースラインが傾斜している場合  図 に示すようにピークの始点と終点とを結んだ線をベースラ

インとする。

図 4−ベースラインが傾斜している場合のピーク高さの測定(例)

b)

ピーク面積の測定  ピーク面積の測定は,次に示す方法によって行う。

1)

半値幅法  図 に示すようにピーク高さ  (H)  の中点から時間軸に平行線を描き,ピークによって切

られる線分を半値幅  (W)  とし,ピーク面積  (A)  は,AH×として算出する。ただし,この方法

は,著しいベースラインの変動又はテーリングが認められるピークには適用しない。

図 5−半値幅法によるピーク面積の測定(例) 

2)

三角形近似法  図 のようにピーク高さ  (H)  とピーク斜面に沿って引かれた接線とがベースライ

ンと交わる点によって決められる底辺の幅  (B)  を求め,ピーク面積  (A)  は A=1/2×B×によって

求める。

図 6−三角形近似法によるピーク面積の測定(例) 


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c)

こう配の測定  ストップトフロー法による反応化学種の定量を行う場合は,試料が検出部に達したと

きに流れを停止し,

図 に示すように,停止時間  (ΔT)  において得られる信号の変化量  (ΔH)  を測定

する。こう配  (S)  は SΔH/ΔT によって求める。

図 7−こう配の求め方(例)

d)

応答曲線の幅の測定  フローインジェクション滴定法による定量では,得られた応答曲線の幅を測定

し,試料中の測定対象成分の濃度を求める。測定をする幅の位置は,あらかじめ求められている当量

点の電位,吸光度などから求める。

図 に一例を示す。

図 8−幅の測定の一例

6.2.2 

連続流れ分析 

a)

ピーク高さの測定  ピークの頂点から時間軸に下ろした垂線がベースラインと交わる点までの距離を

ピーク高さとする。ベースラインは,ピークの始点とピークの終点とを結んで決定する。

図 にその

一例を示す。


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図 9−ピーク高さの測定(例)

6.3 

データ処理装置を用いる測定 

応答曲線のピーク高さ,ピーク面積などの測定は,データ処理装置を用いて行うことができる。ただし,

データ処理装置の設定条件は,応答曲線の形状に合わせ,適切に選ばなければならない。

6.4 

検量線の作成 

濃度の異なる検量線作成用の標準液を 4 種類以上導入し,応答曲線を記録して,ピーク高さ又はピーク

面積を測定する。この測定値を縦軸に,測定対象成分の濃度を横軸にとり,検量線を作成する。

図 10 

その一例を示す。

図 10−検量線(例)

注記 1  検量線作成用の標準液の濃度の範囲は,試料の中の濃度を含むように定めることが望ましい。

注記 2  一つの試料について通常複数回測定し,平均値を求めることが望ましい。

6.5 

定量値の表し方 

定量値は,液体試料に対しては体積に対する質量比(μg/L,mg/L,g/L など)又は質量に対する質量比

(μg/kg,mg/kg,g/kg など)で,固体試料に対しては質量に対する質量比(μg/kg,mg/kg,g/kg など)で

適切と考えられる単位を用いて濃度を表示する。

データの質の管理(精度管理) 

データの質の管理のために定期的な装置性能の点検,ノイズレベルの安定性の点検,測定の有効性,ブ

ランク値の確認,検出下限の確認などは次による。

a)

定期的な装置性能の点検  分析目的成分に対し,箇条 で定められた一定条件で作動させたとき,ベ

ースラインの安定性,ノイズレベルなどを分析目的に応じてあらかじめ定められた一定期間ごとに確

認する。


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1)

ベースラインの安定性  あらかじめ定められた条件下において,所定時間内のベースラインのドリ

フトが所定の範囲内で安定していることを確認する。安定性(V

STB

)は,次の式で表される。

V

STB

ΔB/Δt

ここに,

ΔB: ベースラインシグナルの最大変動幅

Δt: 測定時間(分)

注記  測定時間は通常 5 分以上であることが望ましい。

2)

ノイズレベルの確認  装置の検出下限が確認できるベースラインで,ノイズの変動幅が一定の幅の

中で安定していることを確認する。

3)

検出性能の確認  定期的に既知濃度の検量線作成用の標準液を用いて,所定の応答曲線が得られる

ことを確認する。

b) 

測定の有効性の確認  測定の有効性が保たれているかを調べるために,濃度の異なる二つの検量線作

成用の標準液を試料として用い,それぞれの測定を行う。それぞれの応答が該当する検量線作成用の

標準液濃度の応答と一定の範囲内で一致することを確認する。

c)

繰返し性の確認  同一試料を連続で 6 回以上注入し,そのときの相対標準偏差値が分析目的に応じて

定めた基準値以下であることを確認する。

d) 

ブランク値の確認  測定中における誤差要因などを推定するために,試料測定と併行してブランク値

の確認を行う。

e) 

検出下限及び定量下限の確認  箇条 で定めた一定条件で作動させたときに,その装置での検出下限

[装置検出下限 (ILOD)]及びその方法の定量下限[方法定量下限 (MLOQ)]を定期的に確認する。

この装置検出下限及び方法定量下限は,使用する装置の状態によっても変動するため,ある一定周期

で確認し,常に所定の値が得られるように管理する。また,使用する装置又は測定条件を変更した場

合は,必ず確認をする(

附属書 による。)。

注記  検出下限又は定量下限の確認で用いる方法は,この規定に記載する方法以外にも,一般的に

ほかの方法も用いる場合があるため,規格と異なる方法で算出した場合には,用いた方法を

明記するのが望ましい。

設置及び注意事項 

8.1 

流れ分析装置の設置場所 

装置設置場所は,次の条件を備えた室内が望ましい。

a)

室内の温度 5∼35  ℃,相対湿度 30∼85  %で急激な変化がなく,結露しない。

b)

振動が少なく,直射日光が当たらない。

c)

腐食性ガス及びほこりが少なく,十分に換気が行われている。

d)

大形変圧器,高周波加熱炉などからの電磁誘導の影響がない。

e)

供給電源は装置の仕様に指定された電圧,電気容量及び周波数である。

f)

接地抵抗 100

Ω以下の接地点がある。

8.2 

安全についての注意事項 

安全確保のため,次の事項に注意しなければならない。

a)

試料及び分析に使用する化学薬品の取扱いは,爆発性,引火性,毒性,有害性などに十分留意し,必

要に応じて,保護めがね,手袋,マスクなどの保護具を使用する。それらの廃棄についても,安全化,

無害化などの処置を行い,関連する法令,条例などに指示された方法に従って廃棄する。特に,毒物,


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劇物の取扱いには,関連する法令,条例などの諸規定に従うものとする。

b)

装置の運転に先立ち,細管の接続部,流路などから液漏れがないか否かを十分に点検する。また,運

転中も液漏れに留意する。

c)

流れ分析装置及び周辺機器を接地点に接地する。

d)

高圧容器詰めのガスを使用するときは,関連する法令,条例などの諸規定に従う。

e)

装置の点検及び修理は,通常,電源を切って行う。

分析結果の記載方法 

分析結果には,定量値のほかに必要に応じて,次の事項を記載する。

a)

分析年月日及び分析者

b)

試料名

c)

分析成分及び分析方法

d)

装置の製造業者及び形式

e)

流路の構成

f)

送液部の種類

g)

細管の材質及び内径

h)

試薬の組成及び流量又は流速

i)

試料導入器の種類及び試料導入量

j)

検出器の種類

k)

応答曲線の記録

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個別規格に記載すべき事項 

流れ分析方法を規定するに当たっては,少なくとも次の事項を規定しなければならない。

a)

分析成分及びその濃度範囲

b)

試料の前処理及び保存方法

c)

分析方法及び測定条件

d)

定量方法

e)

分析結果の表示

f)

  データの質の管理


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附属書 A

(規定)

流れ分析装置の使用判定項目

A.1 

適用範囲 

この附属書は,流れ分析装置の使用判定項目について規定する。

A.2 

使用判定項目 

流れ分析装置を使用するとき,装置検出下限,方法定量下限,短時間安定性,長時間安定性及び検量線

の妥当性について,

装置の使用判定の基準となる値をあらかじめ実験によって求めておくことが望ましい。

A.3 

使用判定項目の求め方 

A.3.1 

装置検出下限 (ILOD) 

装置検出下限 (ILOD)は,次による。

a) 

準備  次の試験液を調製する。

1) 

分析種の検量線用ブランク液

2) 

分析種の検量線作成用の標準液のうち,中間程度の濃度の標準液

b) 

測定 

1) 

装置製造業者から提示された方法を参考にして装置の最適化を行う。

2) 

検量線作成用のブランク液[a)1)]を 6 回以上連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピーク

こう配,ピーク幅)の平均値(X

b

)及び標準偏差(S

b

)を算出する。

3) a)2)

の検量線作成用の標準液を 6 回以上連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピークこう配,

ピーク幅)の平均値(X

1

)を算出する。

c) 

計算  次の式によって算出する。

ILOD=3×S

b

k

1

ここに,

k

1

検量線の傾き[(X

1

X

b

) / C

1

]

C

1

a)2)

の標準液の濃度

なお,ILOD の単位は C

1

の濃度単位と同じものとする。

A.3.2 

方法定量下限(MLOQ)の算出 

方法定量下限(MLOQ)の算出は,次による。

a) 

次の試験液を調製する。

1) 

操作ブランク液

1)

2) 

分析種の検量線作成用の標準液のうち,中間程度の濃度の標準液

1)

  分析種又は干渉物質の,分析室環境,試薬及び器具からの汚染の有無を調べるため,分析

操作中に使用する器具類及び装置との接触,並びに溶媒,試薬の添加を含めて,試料と全

く同様に処理された水又は分析種を含まないマトリックス液。

b) 

測定 

1) 

装置製造業者から提示された方法を参考にして装置の最適化を行う。


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2) 

操作ブランク液[a)1)]を 6 回以上連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピークこう配,ピ

ーク幅)の平均値(X

d

)  及び標準偏差(S

d

)を算出する。

3) a)2)

の検量線作成用の標準液を 6 回以上連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピークこう配,

ピーク幅)の平均値(X

2

)を算出する

c) 

計算  次の式によって算出する。

MLOQ=10×S

d

k

2

 

ここに,

k

2

検量線の傾き [(X

2

X

d

) / C

2

]

C

2

a)2)

の標準液の濃度

なお,MLOQ の単位は C

2

の濃度単位と同じものとする。

A.3.3 

短時間安定性 

短時間に繰返し測定を行って得られる結果の一致の程度を推定するために,次の方法によって相対標準

偏差を求めて判定の指標とする。

a) 

分析種の検量線作成用の標準液のうち,中間程度の濃度の標準液を準備する。

b) 

測定   

1) 

装置製造業者から提示された方法を参考にして装置の最適化を行う。

2) a)

の検量線作成用の標準液を 6 回連続測定し,ピーク高さ(又はピーク面積,ピークこう配,ピー

ク幅)の平均値(X

i

)及び標準偏差(S

i

)を算出する。

c) 

計算  相対標準偏差(RSD)は,次の式によって算出する。

RSD (%)=(S

i

X

i

)×100 

A.3.4 

長時間安定性 

長時間安定性は,機器の設置環境及び測定条件によって影響される。この試験で求めた相対標準偏差か

ら機器の校正及び標準化の頻度を決定する。試験方法の一例を次に示す。

a) 

準備  分析種の検量線作成用の標準液のうち,中間程度の濃度の標準液を準備する。

b)

測定

1) 

装置製造業者から提示された方法を参考にして装置の最適化を行う。

2) 

標準化などの校正を行わずに,3 回の繰返し測定を 30 分間隔で 3 時間以上にわたり行う。

c) 

計算  繰返し測定の平均値から相対標準偏差を算出する。

A.3.5 

検量線の妥当性 

検量線の妥当性は,分析種の濃度が異なる 4 種類以上の検量線作成用の標準液のピーク高さ,ピーク面

積,ピークこう配又はピーク幅のいずれかを測定し,作成した検量線の直線性から判断する。