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K 0111-1983

日本工業規格

JIS

 K

0111

-1983

ポーラログラフ分析のための通則

General Rules for Polarographic Analysis

1.

適用範囲  この規格は,作用電極の電位を制御し,その電極に流れる電流を測定するポーラログラフ

を用いて,無機物・有機物の定性及び定量分析を行う場合の通則について規定する。

備考  この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,国際単位系 (SI) によるものであ

って,参考として併記したものである。

引用規格:

JIS H 2115

  水銀地金

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0102

  工場排水試験方法

JIS K 0211

  分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0213

  分析化学用語(電気化学部門)

JIS K 1107

  高純度窒素

JIS Z 8805

  pH 測定用ガラス電極

2.

共通事項  共通事項は,JIS K 0050(化学分析方法通則)による。

3.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,JIS K 0211[分析化学用語(基礎部門)]及び JIS K 

0213

[分析化学用語(電気化学部門)

]によるほか,次のとおりとする。

(1)

作用電極  電位を制御して電流を測定するための微小電極。

(2)

参照電極  作用電極の電位の基準となる電極。

(3)

補助電極  作用電極に流れる電流を導くための補助的な電極。

(4)

前電解  電位掃引に先だって電解液中の被検成分を電極に濃縮する電解。

(5)

時定数  応答の速さを特徴づける定数で,時間の次元をもつもの。

(6)

制動  振動の振幅を抑制すること。

(7)

サンプリング  時間的に変動する電流信号のうち,特定の時間の電流信号を取りだすこと。

(8)

振れ係数  測定量の変化の,計測器の指示量の変化に対する比。

(9)

校正  基準試料によって,測定器の既にある目盛の補正を求めること。

(10)

補正  より真に近い値を求めるために,読み取った値又は計算値にある値を加えること。

4.

ポーラログラフ分析方法の種類  ポーラログラフ分析方法の種類は,次のとおりとする。

(1)

滴下水銀電極を用いる直流ポーラログラフ法

(2)

回転円板電極を用いる直流ポーラログラフ法


2

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(3)

ノルマルパルスポーラログラフ法

(4)

微分パルスポーラログラフ法

(5)

電位掃引法

(6)

溶出法

(7)

膜被覆電極法

5.

ポーラログラフ

5.1

構成  ポーラログラフは,電解部,加電圧部及び記録部で構成する。その基本構成を図 に示す。

図 1  ポーラログラフの基本構成(一例)

5.2

電解部

5.2.1

作用電極  作用電極は,次の 6 種類とする。

(1)

滴下水銀電極  滴下水銀電極は,図 に示す毛管を連結管によって水銀だめに連結し,垂直に保持し

た毛管から水銀(

1

)

を電解液中に規則的に滴下する水銀滴の電極とする。

(

1

)  JIS H 2115

(水銀地金)に規定する高純度水銀又は蒸留残さ(渣)が0.0001%以下のもの。


3

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図 2  滴下水銀電極(一例)

(2)

静止水銀滴電極  静止水銀滴電極は,垂直に保持した毛管の先端に形成された一定面積の水銀(

1

)

滴の

電極とする。

(3)

回転円板電極  回転円板電極は,図 に示す,断面が円形であり底面に直角で中心を通る垂直軸の周

りに回転する電極とする。電極円板は,円筒形の絶縁体で緊密に保持され,電極面と絶縁体の切断面

とが同一平面となるように仕上げなければならない。


4

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図 3  回乾円板電極(一例)

(4)

静止固体電極  静止固体電極は,固体を材料とした静止電極とする。

備考  例えば,図 の電極を静止させて用いる。

(5)

フローセル用電極  フローセル用電極は,フローセル中を流れる電解液に接するように装着された電

極とする。

図 4  フローセル用電極(一例)

(6)

膜被覆電極  膜被覆電極は,セルロース誘導体,ポリエチレン又はふっ化エチレン樹脂などの薄膜で

覆われた固体電極とする。支持電解質溶液を内蔵し,電極表面はこの電解質溶液に接しなければなら

ない。

図 5  膜被覆電極(一例)


5

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5.2.2

参照電極  参照電極は,JIS Z 8805(pH 測定用ガラス電極)の表 に規定する比較電極の性能をも

つものとする。参照電極を補助電極に兼用する場合は,参照電極の表面積は作用電極の表面積の 100 倍以

上とし,かつ内部抵抗は 500

Ω以下でなければならない。

5.2.3

補助電極  補助電極は,白金電極,炭素電極など電気分解によって溶解変質しないものとする。

5.2.4

電解液  電解液は,測定に供する溶液で,次の条件を満たすものでなければならない。

(1)

被検成分のモル濃度は,原則として 0.01mol/l {0.01mol/dm

3

}

以下にする。

(2)

支持電解質の濃度は,被検成分の濃度の 50 倍以上とする。

(3)

電解液の温度は,設定温度に対し±0.5℃以内に保持する。

5.2.5

電解セル  電解セルは,図 に示すもので,電解セル容器の材料は,ガラス,アクリル樹脂など電

解液によって溶解変質しない絶縁性のものとする。

図 6  電解セル(一例)

5.3

加電圧部

5.3.1

ポテンシオスタット  ポテンシオスタットは,作用電極の電位を制御して電解を行うための装置で,

次の条件を満足するものでなければならない。

(1)

作用電極と参照電極との端子間の電圧が加電圧信号発生器の出力電圧に±1mV 以内で一致するよう

に制御すること。

(2)

最大出力電流が 1mA 以上であること。

(3)

参照電極を流れる電流が,10nA 以下であること(

2

)

(

2

)

参照電極を補助電極に兼用する場合はこの限りでない。

5.3.2

加電圧信号発生器  加電圧信号発生器は,任意の開始加電圧を設定でき,電位制御方式に応じて時

間的に変化する加電圧を発生できるものでなければならない。

5.4

記録部

5.4.1

信号変換器  信号変換器は,ポーラログラフ分析方法の種類に応じて,作用電極を流れる電流を記

録計又はデータ処理装置に適した信号に変換するもので,ポテンシオスタットの電位制御機能を低下させ

ないものでなければならない。

5.4.2

記録計  記録計は,次の性能をもつものとする。ただし,データ処理装置によって,波高値,半波

点などを記録するとともに,電流−電位曲線を描画する場合に用いる記録計はこの限りでない。

(1)

応答速度  フルスケールの 95%につき 1s 以内(

3

)

(

3

)

信号変換器がメモリー機能をもつ場合はこの限りでない。


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(2)

不感帯  フルスケールの 0.2%以内。

(3)

電位軸感度  作用電極の電位を正確に知る必要のある測定に用いる記録計は,振れ係数 0.05V/cm 以下

でなければならない。

5.5

附属装置  ポーラログラフの附属装置は,次のとおりとする。ただし,場合により省略してもよい。

(1)

水銀滴強制滴下装置

(2)

酸素除去装置

(3)

恒温槽

6.

水,試薬及びガス

6.1

水  ポーラログラフ分析に用いる水は,JIS K 0102(工場排水試験方法)の 2.(8)に規定するものと

する。

6.2

試薬  試薬は,JIS K 0050 に規定するものとする。

6.3

ガス  電解液中の溶存酸素の除去にはアルゴン,窒素又は水素を用いる。窒素は,JIS K 1107(高純

度窒素)に規定する高純度窒素を用いる。

7.

操作方法

7.1

ポーラログラフの設置  ポーラログラフの設置場所は,次の条件を備えた室内とする。

(1)

室温 5∼35℃,相対湿度 85%以下で急激な変化を生じないこと。

(2)

振動がなく,直射日光が当たらないこと。

(3)

腐食性ガスやほこりが少なく,換気がよいこと。

(4)

大形変圧器,高周波加熱炉などからの電磁誘導を受けないこと。

(5)

電源は定格電圧及び定格周波数で,電圧変動は±10%以内とし,周波数の変動がないこと。また,接

地抵抗 100

Ω以下の接地点があること。

7.2

安全についての注意事項  安全のため,次の事項に十分注意しなければならない。

(1)

高圧容器詰めのガスを使用するときは,高圧ガス取締法の諸規定に従わなければならない。

(2)

試料,試薬及び水銀(

4

)

の取扱いは,爆発性,引火性,毒性,有害性などに十分注意して行い,これら

の廃棄については安定化,無害化などの配慮をすること。

(

4

)

水銀電極を用いる場合,電解部は水銀の飛散を防止するような適当な受皿上に設置する。多量

の水銀は局所排気装置のある場所で取り扱うこと。

(3)

ポーラログラフを接地点に接地すること。

7.3

ポーラログラフ分析方法の選定  適用するポーラログラフ分析方法は,個別規格で規定する。

7.4

測定準備

7.4.1

試料の準備  試料の準備について必要な事項は,個別規格で規定する。

7.4.2

作用電極の整備  作用電極の整備は,次のとおりとする。

(1)

滴下水銀電極  電解液又は蒸留水中で滴下時間が一定であることを確認する。

(2)

静止水銀滴電極  電解液又は蒸留水中で所定の大きさの水銀滴が生成保持されることを確認する。

(3)

その他の作用電極  必要な事項については,個別規格で規定する。

7.5

測定条件の設定

7.5.1

電位制御及び電流測定に関する条件  電位制御及び電流測定に関する条件の設定は,次の各項目の

うち必要な事項について,個別規格で規定する。


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(1)

開始加電圧

(2)

掃引加電圧の範囲及び掃引速度

(3)

前電解過程の加電圧,時間及びかくはん(攪拌)方法

(4)

パルス間隔,パルスを印加する時間,パルス幅及びパルス高さ

(5)

信号サンプリング時間

(6)

重畳電圧の波形,周期及び振幅

(7)

信号変換器の感度及び時定数

(8)

記録計の感度,時定数及び記録計の紙送り速度

(9)

波高,半波点などの求め方

7.5.2

電極に関する条件  電極に関する条件の設定は,次の各項目のうち必要な事項について,個別規格

で規定する。

(1)

滴下水銀電極の水銀流出速度及び滴下間隔

(2)

静止水銀滴電極の形式及び滴の大きさ

(3)

回転円板電極の形式,材質,直径及び回転速度

(4)

静止固体電極の形式,材質,形状及び大きさ

(5)

フローセルの形式,電解液の流量並びに電極の形式,材質及び大きさ

(6)

固体電極の前処理法

(7)

膜被覆電極の形式及び材質

(8)

参照電極の種類及び仕様

(9)

補助電極の種類及び仕様

7.5.3

電解液に関する条件  電解液に関する条件の設定は,次の各項目のうち必要な事項について,個別

規格で規定する。

(1)

電解液の調製方法

(2)

溶存酸素の除去方法

(3)

電解液の温度

7.6

ポーラログラムの記録  ポーラログラムの記録に必要な事項は,個別規格で規定する。

7.7

ポーラログラムの整理  ポーラログラムには,次の事項を整理記載する。

(1)

日付及び測定者名

(2)

ポーラログラフの製造者名,形式記号。附属装置を用いた場合は,その名称,形式

(3)

作用電極,参照電極及び補助電極の種類並びに仕様

(4)

電解液の組成[試料名,被検成分名及び基礎液(支持電解質の種類と濃度,緩衝液の種類と pH 値,

溶媒の種類と濃度,極大抑制剤の種類と濃度)

(5)  7.5

で設定した諸条件

(6)

その他必要な事項

8.

各種のポーラログラフ分析方法における条件及び測定方法

8.1

滴下水銀電極を用いる直流ポーラログラフ法

8.1.1

水銀流出速度及び滴下間隔  水銀流出速度は 0.5∼3mg/s,滴下間隔は 0.5∼7s とする。

8.1.2

加電圧掃引速度  加電圧掃引速度は,滴下間隔当たりの電位変化にして 20mV 以下とする。ただし,

半波電位を正確に測定する場合は 5mV 以下とする。


8

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8.1.3

電流測定の方法  電流の測定方法は,次の(1)(3)のいずれかによる。

(1)

水銀滴の成長最大時の電流を測定する場合  電流信号をそのまま入力信号として,応答速度の速い記

録計に与えてポーラログラムを記録し,ポーラログラムの振幅の極大点の記録値を読み取り,これを

電流値とする(

図 7)。

図 7  成長最大時の電流の記録(一例)

(2)

水銀滴の成長開始後一定時の電流を測定する場合  電流信号をサンプリングして,水銀滴の成長開始

後一定時の電流信号を記録計に与えてポーラログラムを記録し,階段状のポーラログラムの各段にお

ける記録値を読み取り,これを各段における,開始加電圧に最も近い電位における電流値とする(

8

図 8  成長開始後一定時の電流の記録(一例)

(3)

平均電流を測定する場合  滴下時間の約

3

1

の時定数を持つ信号変換器を用い,電流信号を適当に制動

した後,入力信号として記録計に与えてポーラログラムを記録し,ポーラログラムの小振幅の中点の

記録値を読み取り,これを電流値とする(

図 9)。

備考  この電流値は,1 滴の水銀滴に流れた電流の平均値にほぼ等しい。


9

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図 9  平均電流の記緑(一例)

8.1.4

電流−電位曲線の作成  電流−電位曲線は,各電位において 8.1.3 によって求めた電流値を縦軸に,

電位を横軸にプロットし,滑らかな曲線で結び作成する。

8.1.5

波高及び半波点の求め方  S 字状の電流−電位曲線の波高及び半波点は.次の(1)(5)のいずれか

の方法によって求める。一連の分析については同一の方法を用いなければならない。

(1)

交点法  図 10 のように,電流−電位曲線の S 字状の部分(これを波と呼ぶ。)の前後の平らな部分の

直線部分を延長して AA',BB'及び CC'を引き,交点をそれぞれ O 及び P とする。O 及び P を通り,

水平軸に平行線 DD'と EE'を引く。DD'及び EE'の垂直距離を波高とし,その

2

1

を通り水平軸に平行線

FF'

を引き,それと CC'との交点 M を半波点とする。

図 10  交点法の作図

(2)

中点法  図 11 のように,交点法と同様にして AA'及び BB'を引き,波の電流上昇部分を延長して CC'

を引く。CC'と AA'及び BB'との交点をそれぞれ O 及び P とする。 OP の中点 M を求め,M を半波点

とする。また,M を通って縦軸に平行線を引き,AA',BB'との交点を J 及び J'とし,JJ' を波高とする。


10

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図 11  中点法の作図

(3)

最大曲率法  図 12 のように,交点法と同様にして AA',BB'及び CC'を引き,交点をそれぞれ O 及び

P

とする。角 AOP 及び角 B'PO の二等分線 DD'及び EE'を引き,電流−電位曲線との交点を,それぞれ

F

及び G とする。F 及び G を通り,水平軸に平行線 FF'及び GG'を引く。FF'と GG'の垂直距離を波高

とし,その

2

1

を通り水平軸に平行な線 HH'を引き,CC'との交点 M を半波点とする。

図 12  最大曲率法の作図

(4)

基底電流差引法  基礎液又はこれに近い組成の電解液について,被検液と同じ条件下でポーラログラ

ムを記録し,基底電流を求める。各電位において,この基底電流を被検液の電流から差し引いた値を

もって電流−電位曲線を描き,この電流−電位曲線について,(1)(3)のいずれかの方法によって波高

及び半波点を求める。

(5)

データ処理装置を用いる方法  データ処理装置に表示された記録又は指示値によって,波高及び半波

点を求める。データ処理装置は,波形に合わせ適切な設定条件を選ばなければならない。


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8.1.6

限界電流及び半波電位の求め方  波高に相当する電流値を求め,これを限界電流値とする。半波点

の電位を求め,これを測定に使用した参照電極に対する半波電位とする。

8.1.7

定性分析  定性分析は,測定した未知成分の半波電位と推定成分の半波電位とを比較して行う(

5

)

半波電位は,電解液を入れ換えて 3 回測定して平均値を求める。その測定値の最大値と最小値との差は,

10mV

以下でなければならない。

(

5

)

異なる成分が同じ電位を示すことがあるので,確実な定性分析を行うには他の定性分析法を併

用すること。

8.1.8

定量分析  定量分析は,得られたポーラログラムから波高を測定し,次の(1)(3)のいずれかの方

法によって電解液中の被検成分の濃度を求めて行う。

(1)

検量線法  被検成分濃度既知の電解液を数種類(

6

)

調製し,ポーラログラムを記録して波高を測る電解

液中の被検成分の濃度を横軸に,波高を縦軸にとって

図 13 に示す検量線を作成する。被検試料を含む

電解液について同一条件のもとでポーラログラムを記録し,その波高から検量線によって電解液中の

被検成分の濃度を求める。

(

6

)

被検成分濃度は,被検電解液中の推定濃度とほぼ同じ及びその上下の3種類以上とする。検量線

が原点を通る直線であることが確かめられている場合は,既知濃度の被検成分を含む電解液の

一つだけについて波高を測定して検量線を作成してもよい。

備考  検量線作成用電解液の基礎液の組成は,被検電解液の基礎液の組成と同じ又は近いものでなけ

ればならない。

図 13  検量線(一例)

(2)

標準添加法  被検試料に既知量の被検成分を添加した試料を,被検試料と同じ前処理を行って電解液

を調製し,ポーラログラムを記録して波高を測る。添加した被検成分の電解液中の濃度を横軸に,波

高を縦軸にとって

図 14 に示す検量線(

7

)

を作成する。検量線の延長線の横軸の切片 を試料電解液中の

被検成分の濃度とする。また,被検試料の電解液の一定体積に,既知濃度の被検成分を含む溶液の一

定量を添加した電解液について,検量線(

7

)(

8

)

を作成してもよい。


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図 14  標準添加法の検量線(一例)

(

7

)

添加しないものを含めて4種類以上の電解液を用い,検量線が直線であることを確認する。

(

8

)

添加した被検成分の電解液中の濃度は式(1)で算出する。

なお,添加による体積変化に対する波高補正が必要なときは式(2)による。

添加した被検成分の電解液中の濃度=

v

V

v

C

+

0

 (1)

波高=

v

H

v

H

H

+

+

0

0

 (2)

ここに,

C

:  被検成分の添加液中の濃度

v

:  添加した溶液の体積

V

O

:  被検試料の電解液の体積

H

:  添加後の電解液の示す波高

H

O

:  被検試料電解液の示す波高

備考  この方法は,波高が濃度に比例し,かつ添加による被検成分濃度以外の電解液組成の変化に伴

う影響が無視できる場合に適用できる。

(3)

定電位電流測定法  限界電流を与える一定の電位に電極電位を保持して,測定される電流値を用いて

検量線を作成し,(1)又は(2)の方法に準じて電解液中の被検成分の濃度を求める。

備考  この方法は,電流−電位曲線の性状が明らかで,明りょうな限界電流を与える場合に適用でき

る。

8.2

回転円板電極を用いる直流ポーラログラフ法

8.2.1

電極の直径  電極円板の直径は,0.5∼5mm とする。

8.2.2

電極回転速度  電極回転速度は,回転数として 100∼5 000 回毎分とする。一つのポーラログラム

の測定中の回転速度は,一定でなければならない。

8.2.3

加電圧掃引速度  加電圧掃引速度は,20mV/s 以下とする。

8.2.4

電解液の量  電解液の量は,電解による被検成分の濃度変化が無視できる量とする。

8.2.5

電流−電位曲線の作成  電流−電位曲線は,各電位における電流値を縦軸に,電位を横軸にプロッ

トし,滑らかな曲線で結び作成する。

8.2.6

波高及び半波点の求め方  8.1.5 に同じ。

8.2.7

限界電流及び半波電位の求め方  8.1.6 に同じ。

8.2.8

定性分析  8.1.7 に同じ。

8.2.9

定量分析  8.1.8 に同じ。

8.3

ノルマルパルスポーラログラフ法


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K 0111-1983

8.3.1

作用電極  作用電極の種類は,個別規格で規定する。ただし,滴下水銀電極を用いる場合は,水銀

流出速度及び滴下間隔は 8.1.1 に同じ。

8.3.2

電位制御に関する条件  電位制御に関する条件は,次のとおりとする。

(1)

開始加電圧  開始加電圧  (

V

i

)

は,個別規格で規定する。

(2)

パルス印加時間  パルスは,図 15 に示す一定周期  (

t

d

)

で印加する。

パルスは周期内の一定時間  (

t

p

)

印加し,

d

p

t

t

2

1

≥ とする。作用電極として滴下水銀電極を用いる場合は,水銀滴 1 滴ごとに 1 個のパル

スを印加する。

t

p

は水銀滴の成長開始後の一定時間とし,

t

d

は滴下間隔に等しい。

(3)

パルス幅  パルス幅  (

t

w

)

は,

t

w

t

d

t

p

とする。

(4)

パルスの立上り時間  パルスの立上り時間は,100k

の抵抗負荷において 0.1ms 以下とする。

(5)

パルス高さ  パルス高さ  (

V

p

)

は,周期  (

t

d

)

ごとに順次変化させ,その変化速度は 1 パルスごとに

20mV

以下とする。

8.3.3

電流の測定方法  電流の測定は,図 15 に示すパルス印加後の一定時間  (

t

s

)

から一定のサンプリン

グ時間幅  (

t

g

)

内に行い,

t

g

間の電流の平均値又は瞬時値を電流値とする。

t

s

は 5∼200ms,

t

g

は 50ms 以下

とし,

t

g

t

w

t

s

とする。

図 15  ノルマルパルスポーラログラフ法のタイミングチャートの模式図(一例)


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K 0111-1983

8.3.4

電流−電位曲線の作成  電流−電位曲線は,電流値  (

l

)

を縦軸に,パルス加電圧時の電極電位[

E

(対参照電極)=

V

p

V

i

]

を横軸にプロットし,滑らかな曲線で結び作成する(

図 8)。

8.3.5

波高及び半波点の求め方  8.1.5 に同じ。

8.3.6

限界電流及び半波電位の求め方  8.1.6 に同じ。

8.3.7

定性分析  8.1.7 に同じ。

8.3.8

定量分析  8.1.8 に同じ。

8.4

微分パルスポーラログラフ法

8.4.1

作用電極  8.3.1 に同じ。

8.4.2

電位制御に関する条件  電位制御に関する条件は,次のとおりとする。

(1)

開始加電圧  8.3.2(1)に同じ。

(2)

加電圧掃引速度  加電圧掃引速度は,個別規格で規定する。ただし,作用電極として滴下水銀電極を

用いる場合は,8.1.2 に同じ。

(3)

パルス印加時間  8.3.2(2)に同じ。

(4)

パルス幅  8.3.2(3)に同じ。

(5)

パルス立上り時間  8.3.2(4)に同じ。

(6)

パルス高さ  掃引加電圧に重畳するパルスの高さ(⊿

V

)は,正又は負の方向に一定とし,5∼500mV

とする。ただし,ピーク電位を正確に測定する場合は,5∼20mV とする。

8.4.3

電流の測定方法  電流の測定方法を図 16 に示す。パルス印加直前の一定時間  (

t

s

)

からパルス印加

時間までの一定サンプリング時間幅  (

t

g

'

)

内の電流の平均値又は瞬時値を

I'

とし,パルス印加後の一定時間

(

t

s

")  から一定サンプリング時間幅  (

t

g

")  内の電流の平均値又は瞬時値を

I

"とする。⊿

I

I

"−

I'

を電流値と

する。この場合

t

s

"は 5∼200ms,

t

g

'

及び

t

g

"は等しく,かつ 50ms 以下とし,

"

"

s

w

g

t

t

t

とする。


15

K 0111-1983

図 16  微分パルスポーラログラフ法のタイミングチャートの模式図(一例)

8.4.4

電流−電位曲線の作成  電流−電位曲線は,電流値(⊿

I

)を縦軸に,掃引加電圧に対応する電極

電位を横軸にプロットし,滑らかな曲線で結び作成する(

図 17)。


16

K 0111-1983

図 17  微分パルスポーラログラム(一例)

8.4.5

波高及び頂点の求め方  波高及び頂点は,次の(1)(3)のいずれかの方法によって求める。一連の

分析については,同一の方法を用いなければならない。

(1)

共通接線法  山形の電流−電位曲線において電流が極大値を示す点

P

を頂点とする。

図 18 のように,

頂点の左右のすその共通接線

T

T'

と,

P

を通り縦軸に平行な線との交点を

Q

とし,PQ を波高とする。

図 18  共通接線法の作図(一例)

(2)

基底電流差引法  基礎液又はこれに近い組成の電解液について,被検液と同じ条件下でポーラログラ

ムを記録し,基底電流を求める。各電位において,この基底電流を被検液の電流から差し引いた値を

もって電流−電位曲線を描き,この電流−電位曲線について(1)の方法によって波高及び頂点を求める。

(3)

データ処理装置を用いる方法  8.1.5(5)に準じて波高及び頂点を求める。

8.4.6

頂点電流及び頂点電位の求め方  波高に相当する電流値を求め,これを頂点電流値とする。頂点の

電位を求め,これを用いた測定条件における,使用した参照電極に対する頂点電位とする。


17

K 0111-1983

8.4.7

定性分析  定性分析は,測定した未知成分の頂点電位と推定成分の頂点電位とを比較して行う

(

9

)(

10

)

。頂点電位は,電解液を入れ換えて 3 回測定して平均値を求める。その測定値の最大値と最小値との

差は 10mV 以下でなければならない。

(

9

)

頂点電位の比較は,同じパルス高さを用いて行う。

(

10

)

異なる成分が同じ頂点電位を示すことがあるので,確実な定性分析を行うには他の定性分析法

を併用する。

8.4.8

定量分析  定量分析は,得られたポーラログラムから波高を測定し,次の(1)又は(2)のいずれかの

方法によって電解液中の被検成分の濃度を求めて行う。

(1)

検量線法  8.1.8(1)に同じ。

(2)

標準添加法  8.1.8(2)に同じ。

8.5

電位掃引法

8.5.1

作用電極  作用電極の種類は,個別規格で規定する。

8.5.2

電位制御に関する条件  電位制御に関する条件は,次のとおりとする。

(1)

開始加電圧  8.3.2(1)に同じ。

(2)

加電圧の掃引  加電圧は,時間に対して直線的に変化させ,その掃引速度は 20mV/s 以上とする。滴

下水銀電極を用いる場合は,水銀滴の成長開始後の一定時間に加電圧の掃引を開始する。

8.5.3

電流−電位曲線の作成  8.2.5 に同じ。

8.5.4

波高,ピーク点及び半ピーク点の求め方  波高,ピーク点及び半ピーク点は,次の(1)(3)のいず

れかの方法によって求める。一連の分析については,同一の方法を用いなければならない。

(1)

前平たん(坦)部延長法  図 19 のように,ポーラログラムの開始加電圧側の直線部分を延長して AA'

を引く。波のピーク点 P を通って縦軸に平行線を引き,AA'との交点を Q とし,PQ を波高とする。PQ

の中点 M を通り AA'に平行な直線 MM'を引き,波との交点 N を半ピーク点とする。

図 19  前平たん(坦)部延長法の作図(一例)

(2)

基底電流差引法  基礎液又はこれに近い組成の電解液について,被検液と同じ条件下でポーラログラ

ムを記録し,基底電流を求める。各電位において,この基底電流を被検液の電流から差し引いた値を

もって,電流−電位曲線を描き,この電流−電位曲線について(1)の方法によって,波高,ピーク点及

び半ピーク点を求める。

(3)

データ処理装置を用いる方法  8.1.5(5)に準じて,波高,ピーク点及び半ピーク点を求める。


18

K 0111-1983

8.5.5

ピーク電流,ピーク電位及び半ピーク電位の求め方  波高に相当する電流値を求め,これをピーク

電流値とする。ピーク点及び半ピーク点の電位を求め,これを用いた測定条件における,使用した参照電

極に対するピーク電位及び半ピーク電位とする。

8.5.6

定性分析  定性分析は,測定した未知成分のピーク電位若しくは半ピーク電位又は両者(以下,ピ

ーク電位等という。

)と推定成分のピーク電位等とを比較して行う(

11

)(

12

)

。ピーク電位等は,電解液を入れ

換えて 3 回測定して平均値を求める。その測定値の最大値と最小値との差は 10mV 以下でなければならな

い。

(

11

)

ピーク電位等の比較は,同じ掃引速度を用いて行う。

(

12

)

異なる成分が同じピーク電位等を示すことがあるので,確実な定性分析を行うには他の定性分

析法を併用する。

8.5.7

定量分析  8.4.8 に同じ。

8.6

溶出法

8.6.1

作用電極  作用電極の種類は,個別規格で規定する。

8.6.2

前電解過程に関する条件  前電解過程の加電圧,時間及びかくはん(攪拌)方法は,個別規格で規

定する。

8.6.3

溶出過程に関する条件  溶出過程の電位制御方式及び電流測定方法は,個別規格で規定する。

8.6.4

定性分析  定性分析は,個別規格で規定する。

8.6.5

定量分析  定量分析は,個別規格で規定する。

8.7

膜被覆電極法

8.7.1

電極  電極は,試料の性状及び被検成分の種類・濃度に適した膜被覆電極とする。次の各項目につ

いては,個別規格で規定する。

(1)

薄膜材料の種類

(2)

固体電極材料の種類

(3)

支持電解質溶液の組成

(4)

参照電極の種類

8.7.2

被検試料のかくはん(攪拌)方法  被検試料のかくはん(攪拌)方法は,個別規格で規定する。

8.7.3

測定器の校正方法  測定器の校正方法は,個別規格で規定する。

8.7.4

定量分析  8.1.8(3)に同じ。検量線作成用の溶液又はガス,校正用の溶液又はガスについては,個

別規格で規定する。

9.

定量値の表し方  定量値は,mg/

l

,g/m

3

などで表す。

10.

ポーラログラフ分析方法を用いる個別規格に記載すべき事項  ポーラログラフ分析方法を規定する

に当たっては,少なくとも次の各項目を規定しなければならない。

(1)

測定対象成分及び濃度範囲

(2)

試料の採取方法及び保存方法

(3)

試料の前処理及び電解液の調製方法

(4)

ポーラログラフ分析方法の種類

(5)

測定条件  測定条件は,次のとおりとする。

(a)

電位制御及び電流測定に関する条件


19

K 0111-1983

(b)

電極に関する条件

(c)

電解液に関する条件

(6)

測定すべきポーラログラムの部分(半波電位,頂点電位,ピーク電位などで示す。

(7)

定量方法の種類及び分析回数

(8)

分析結果の表示


20

K 0111-1983

ポーラログラフ分析方法通則

JIS

改正原案作成委員会委員名簿

○印  小委員会委員を兼ねる

氏名

所属

(委員会長)

千  田      貢

京都大学

佐  藤      弦

上智大学

徳  田  耕  一

東京工業大学

川  瀬      晃

工業技術院化学技術研究所

森  本      修

通商産業省機械情報産業局

吉  枝  正  明

工業技術院標準部

辰  濃      隆

厚生省国立衛生試験所

高  村      勉

電子材料工業会

高  橋  勝  緒

理化学研究所

中  村      靖

日本鉱業協会

宮  崎      寛

大阪医薬品協会

岩  野  治  彦

日本化学工業協会

坂  田      衞

株式会社島津製作所

勝  野  泰  光

三菱化成株式会社

玉  手  徳太郎

株式会社横河電機製作所

安  盛  善  一

株式会社柳本製作所

木  村      弘

社団法人日本分析機器工業会

(関係者)

池  田  篤  治

京都大学

山  西      桂

株式会社柳本製作所

化学分析部会  化学分析方法通則専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

武  藤  義  一

埼玉工業大学

村  田  照  夫

工業技術院標準部

森  本      修

通商産業省機械情報産業局

佐  伯  慎之助

工業技術院化学技術研究所

斎      加実彦

東洋大学

吉  森  孝  良

東京理科大学

神  森  大  彦

社団法人化学情報協会

梶  川  正  雄

社団法人日本分析化学会

打  木  英  夫

株式会社日立製作所

大志万  継  影

株式会社堀場製作所

奥  村  陽  一

日本化学工業協会

小  野  主  嘉

大阪チタニウム製造株式会社

坂  田      衞

株式会社島津製作所

高  橋      昭

電気化学計器株式会社

針間矢  宣  一

川崎製鐵株式会社

松  前  鼎  一

東亜電波工業株式会社

吉  山  鍈  一

日本重化学工業株式会社

(事務局)

小  沢  祥  浩

工業技術院標準部繊維化学規格課

恒  吉      洋

工業技術院標準部繊維化学規格課