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日本工業規格

JIS

 K

0100

-1990

工業用水腐食性試験方法

Testing method for corrosivity of industrial water

1.

適用範囲  この規格は,工業用水がプラント内において示す腐食性を調べるための試験方法について

規定する。

なお,この試験方法は,工業用水に対する金属材料の耐食性及び腐食抑制剤の効果を調べる目的に用い

ることもできる。

備考1.  熱交換器などの伝熱面は,試験片と異なった腐食性を示すことが多いので,この試験方法の

適用は困難である。

2.

試験方法中の試験条件における,流速の測定は,JIS K 0094 を適用する。

また,温度,電気伝導率,pH,溶存酸素などの試験には,JIS K 0101 を適用する。

3.

内燃機関密閉冷却水系の腐食試験には,JIS K 2234 を適用する。

4.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS G 3101

  一般構造用圧延鋼材

JIS G 3141

  冷間圧延鋼板及び鋼帯

JIS K 0094

  工業用水・工場排水の試料採取方法

JIS K 0101

  工業用水試験方法

JIS K 2234

  不凍液

JIS R 6251

  研摩布

JIS R 6252

  研摩紙

JIS R 6253

  耐水研摩紙

2.

概要  この試験方法は,質量減法又は分極抵抗法を適用する。質量減法は,腐食減量から試験期間中

の平均的な腐食度(腐食速度)を求める。分極抵抗法は,電気化学的な分極抵抗から測定時点の腐食度(腐

食速度)を求める。

工業用水の腐食性を調べる目的には,試験片として標準金属試料を使用し,また金属材料の耐食性を調

べる目的には,その金属を試料とする。

工業用水の腐食性を比較する場合は,水温,流動状態などの試験条件をできるだけそろえる必要がある

が,得られた結果は,対象とした配管又は機器類中のその試験条件における値なので,結果の判定に当た

っては十分な注意を要する。

なお,

参考に工業用水の腐食性の比較や腐食抑制剤の添加効果の比較などの室内試験に用いる回転法を

付けた。


2

K 0100-1990

3.

質量減法  板状試験片を試験片保持器に取り付け,配管又は機器類中に絶縁して固定し,一定の試験

期間後に工業用水による試験片の腐食状態を観察し,試験片の腐食減量を測定して試験期間中における平

均的な腐食度(腐食速度)を算出する。

3.1

試験片保持器  試験片保持器は,試験片を装置内に絶縁して固定するための器具で,付図 及び付

図 は,それぞれ装置の直管部及び曲管部で試験を行う場合の一例を示す。付図 は,タンク類内で試験

を行う場合の試験片保持器の構造の一例を示す。

直管部及び曲管部用の試験片保持器は,支持板の端をフランジに固定し,他端には振れ止めを付け,絶

縁管(

1

)

をはめ込んだ保持棒に絶縁スペーサ(

1

)

を介して試験片を通し,保持板,支持ボルト及びナットによ

って試験片を支持板に固定する。

タンク類用の試験片保持器は,支持棒に絶縁管(

1

)

をはめ,これに試験片と絶縁スペーサ(

1

)

を交互に通し,

両端の端板を二重ナットで固定する。さらに,4 本の保護棒で全体を補強,保護する。

試験片保持器は一組ごとに同種の耐食性金属(

2

)

を使用する。

(

1

)

合成樹脂製のものなどを用いる。

(

2

)

淡水には,オーステナイトステンレス鋼,また海水にはチタンなどを用いる。

3.2

試験片

(1)

形状及び寸法  形状及び寸法は,付図 に一例を示す。

(2)

材質  標準金属試料としては,低炭素鋼の JIS G 3141 の 1 種 (SPCC) を用いる。ただし,必要に応じ,

その他の金属材料を試料としてもよい。

(3)

表面仕上げ及び計測  試験片は,試験片表面の汚れを除いた後記号を付け,全面を研磨布紙(JIS R 

6251JIS R 6252

及び JIS R 6253)の 400 番までを用いて乾式又は湿式で仕上げ研磨する(

3

)(

4

)

。試験片

の寸法を 0.1mm まで測定して,全表面積を算出する(

5

)

。次に水で完全に洗い,メタノール,次いでア

セトンで脱脂し,乾燥後 0.1mg まではかる。この際,外観を記録する(

6

)

。試験片の準備は,試験直前

に行うことが望ましい。

(

3

)

アルミニウム又はアルミニウム合金の場合には,この研磨を行わず,硝酸 (4+1)  に室温で約10

分間浸すか又は二クロム酸カリウム20g 及びりん酸28ml を水1に溶かした溶液を70∼80℃に加

温し,約30秒間浸す。

(

4

)

試験片に,番号や記号を印字する場合は,できるだけ試験片の周辺部に行う。

(

5

)

試験片の全表面積は取付け穴がないものとして有効数字 3 けたまで計算し,これを腐食度算出

のための表面積とする。

(

6

)

脱脂後の試験片は,取扱いに注意し,さびを発生させたり指紋を付けたりしてはならない。

また,保存する場合にはデシケーターに入れる。

3.3

試験方法

(1)

試験片の取付け  試験片を付図 1,付図 及び付図 のように試験片保持器に固定し,管用試験の場

合は試験片保持器の上流が管内径の 10 倍以上,下流が 5 倍以上の直管部を保つように取り付ける(

6

)

また,タンク類用試験の場合は,試験片が垂直になるように取り付ける(

6

)

(2)

試験条件  試験条件で腐食に関係する項目,例えば流速,水温,電気伝導率,pH,溶存酸素,酸消費

量,塩化物イオン,全硬度,一般細菌数及びその他必要ある項目は,すべて記録する。

なお,試験期間中は,これらの環境変動の少ないことが望ましい。

(3)

試験期間  最小試験期間は,30 日とする。ただし,環境,材質又はその他の理由によって,期間を短

縮してもよい。


3

K 0100-1990

(4)

試験片の後処理  試験片を試験片保持器から取り外した後(

7

)

,腐食生成物を除去し,メタノール,次

いでアセトンに浸し,乾燥後 0. mg まではかる。腐食生成物を除去するには,流水中で非金属製のブ

ラシ(例えばナイロンブラシ)やガーゼなどを用いて腐食生成物を除く。腐食生成物が強固に付着し

ている場合は,次のいずれかの方法による。その場合には同時に空試験(

8

)

を行い,除去操作による試

験片の減量を補正することが望ましい。

(

7

)

試験片には,指紋などが付かないように注意して取り扱う。

(

8

)

空試験は,試験片と同種,同形の別の試験片を用いて同様の後処理を行い,後処理による試験

片の減量分を求めて補正する。

(a)

電解法  硫酸 (5%) に酸洗浄用腐食抑制剤の適量,例えばチオ尿素 0.05%を添加したものを電解液

とし,試験片を陰極,白金板を陽極として,陰極電流密度 20A/dm

2

,液温約 70℃で約 3 分間電解す

るか,又は水酸化ナトリウム 75g/l,炭酸ナトリウム 75g/l,硫酸ナトリウム 24g/を含む溶液を電解

液とし,試験片を陰極,白金板を陽極として液温約 60℃で,鉄鋼に対しては陰極電流密度 6A/dm

2

非鉄金属に対しては 2.5A/dm

2

で約 3 分間電解する。

これらの方法のうち,前者はマグネシウム及び亜鉛に対して不適当であり,後者はアルミニウム

及び鉛に対して不適当である。

(b)

酸洗浄法  試験片の材質に応じ,次の溶液に浸して非金属製のブラシ(例えばナイロンブラシ)や

ガーゼなどを用いて腐食生成物を除く。

低炭素鋼  酸洗浄用腐食抑制剤を加えた塩酸約 15%に室温で約 15 秒間

ステンレス鋼  硝酸約 30%に室温で約 5 分間

銅及び銅合金  硫酸約 10%に室温で約 5 分間

アルミニウム及びアルミニウム合金  硝酸 (4+1)  に室温で約 10 分間又は二クロム酸カリウム

20g

及びりん酸 28ml を水 1に溶かした溶液を 70∼80℃に加温し約 30 秒間

3.4

結果の表示

(1)

外観観察  試験片は,腐食生成物が付いたままで,腐食生成物の色,形状及び固着状況を観察すると

ともに,3.3(4)の方法によって腐食生成物を除去した試験片の表面における腐食の分布状況を調べ,腐

食が全面的であるか,又は局部的であるかを判定する。

(2)

腐食度及び侵食度  腐食度及び侵食度は,次の式によって算出する。

腐食度は,試験片の表面積 1dm

2

に対する 1 日当たりの腐食減量の mg 数,すなわち mdd で表す。

T

S

M

M

W

×

=

2

1

ここに,

W

:  腐食度 (mdd)

M

1

:  試験片の試験前の質量 (mg)

M

2

:  試験片の試験後の質量 (mg)

S

:  試験片の表面積 (dm

2

)

T

:  試験日数

侵食度は,年当たりの侵食深さの mm 数,すなわち mm/y で表し,腐食度から次の式によって換算

する。

d

W

P

4

10

365

×

×

=

ここに,

P

侵食度

 (mm/y)

W

腐食度

 (mdd)


4

K 0100-1990

d

試験片の密度

 (g/cm

3

)

備考

試験片がステンレス鋼などで食孔が生じた場合,孔食

 (PT)

は,次の

3

項目について表示する

とよい。

食孔数  試験片に発生した全食孔数を数え,単位面積

 (1cm

2

)

当たりの食孔数で示す。この

場合,食孔の形は無視して,すべて

1

個の食孔とみなす。

記号

N

:個/

cm

2

食孔深さ  試験片に発生した全食孔のうちの最大深さを測定して示す。深さの測定には,デ

プスマイクロメータ,ダイヤルゲージ又は焦点目盛付き顕微鏡などを用いる。

記号

D

mm

侵食度 3.4(2)の侵食度の数値を示す。

記号

P

mm/y

表示例 

PT-2.0N, 0.5D, 0.05P

3.5

報告  試験報告には,試験方法及び 3.2(1)(2)3.3(1)(3)及び 3.4(1)(2)に規定した事項も記載す

る。

また,腐食に影響を及ぼすと思われる事項はできるだけ記載する。

4.

分極抵抗法  分極抵抗は,試料極に微少の電流を流し,それによる応答(電位又は電流の変化)を測

定して求める。測定は,試料極,照合極及び対極の

3

本の電極を用いる

3

電極方式(

9

)

と,照合極の作用を

対極に兼ねさせる

2

電極方式のいずれかの方式で行い,用いる電流は,直流又は低周波交流とし,定電流

又は定電位の条件で試験する(

10

)

。海水を除き大部分の工業用水は電気伝導率が小さいため,溶液抵抗を測

定し,分極抵抗の測定値に含まれる溶液抵抗の値を差し引き,分極抵抗の値を補正する。

電極となる試験片は,試験片保持器に固定し,それを装置類に取り付ける。

(

9

)

  3

電極方式の方が溶液抵抗による誤差の影響が小さく,測定精度もよい。

(

10

)

交流を用いる方法は,装置が複雑になるが連続モニタリング性がよい。直流定電流法は,装置

も簡単で測定も容易であるので,実験室での試験に便利である。

4.1

試験片

(1)

形状及び寸法  形状は,棒状を標準とするが,他の形状のものを用いてもよい。試験に供する表面の

面積は,約

5cm

2

以上とし,形状及び寸法の一例を

付図 に示す。

(2)

材質  標準金属試料としては,低炭素鋼の JIS G 3101 に規定する SS 41 棒鋼を用いる。ただし,必要

に応じ,その他の金属材料を試料としてもよい。

(3)

表面仕上げ及び計測  3.2(3)に同じ。ただし,記号は付けない。

4.2

試験片保持器  試験片保持器(

11

)

は,先端に試験片固定用のねじを設けた

2

本又は

3

本の金属棒を合

成樹脂の絶縁物(

12

)

の中に埋め込み,装置類に取り付ける構造のものとする。試験片は,パッキングを挟ん

で金属棒に固定し,外部の測定計器と接続できるようにする。

装置の直管部で試験を行う場合の試験片保持器の構造の一例を

付図 に示す。

タンク類内での試験の場合も,同様の構造のものを用いる。

(

11

)

試験片保持器本体に金属を用いるときの材質は,

(

2

)

による

(

12

)

エポキシ樹脂など高絶縁性のものを用いる。

4.3

試験片の取付け  試験片は,

3

電極方式及び

2

電極方式のそれぞれの場合について,同材質・同形状・

同寸法のものを必要本数用い,それらを試験片保持器に固定する。


5

K 0100-1990

装置類における試験片保持器の取付位置は,管用試験の場合には,3.3(1)と同様とする。ただし,試験片

自体は鉛直で,しかも

2

本の試験片が流れに直角になるように設置する。

3

電極方式の場合には,対極用

の試験片を下流側にする。

タンク類試験の場合は,試験片がなるべく鉛直になるように試験片保持器を取り付ける

4.4

測定装置  分極抵抗の測定装置は,電源装置[定電流装置(

13

)

又は定電位装置(

14

)

,電流計(

15

)

及び高

入力抵抗電圧計(

16

)

を組み合わせたもの,又はそれと同等の機能をもつ機器とする。

付図 

3

電極方式及

2

電極方式の

測定ブロック図を示す。溶液抵抗誤差の補正に用いる溶液抵抗の測定装置(

17

)

は,

付図 

例示するようにインピーダンス法によるときは,高周波発振器及び交流用の電流・電圧計を組み合わせた

もの,又はインピーダンスブリッジとする。

(

13

)

種々の一定電流を安定に供給できる装置で,直流,方形波交流又は正弦波交流(いずれも周波

数は

0.1Hz

以下)のいずれか

1

種以上の波形出力をもつものとする。

(

14

)

(

13

)

における

3

種の波形の定電位電解ができる定電位装置。

(

15

)

正負いずれの極性の電流の測定においても,

0.1

µ

A

10mA

程度の測定範囲をもつことが望まし

い。

(

16

)

電圧計は,入力抵抗が

1M

Ω以上で,電流計と共に直流又は低周波交流のピーク・ピーク値(正

の半周期における最大値と負の半周期における最小値との差)の測定できるもの。目盛は,

0.1mV

まで読み取れることが望ましい。

電流計及び電圧計の目盛は,腐食速度に関する量表示でもよい。

(

17

)

海水を除く工業用水の場合は溶液抵抗の測定装置が必要である。測定装置には溶液抵抗を自動

的に補正できる装置もある。

4.5

試験条件

(1)

試験条件  記録する試験条件は,3.3(2)に準じる。

(2)

試験期間  試験期間は,試験目的に応じて設定する。

4.6

試験方法  分極抵抗の測定は,1.(a)(c)のいずれかの方法で測定する。

(1)

見掛けの分極抵抗の測定

(a)

交流定電流法  付図 の装置において,電源装置に交流定電流装置を用い,試料極と対極の間に低

周波交流の微少の一定電流を流し,電圧計及び電流計の指示値の変化を追跡する。電流の極性が変

わるごとにその前の

1

周期の間における電圧のピーク・ピーク値(

18

)

を読む。交流の周期が

1.5

周期

以上(望ましくは

4

周期以上)経過し,電圧(ピーク・ピーク値)が,ほぼ一定になっていること

を確かめて電流を切る。

電圧の最終のピーク・ピーク値を電流のピーク・ピーク値で除して見掛けの分極抵抗の測定値を

求める。ただし,

2

電極方式の場合は,電圧のピーク・ピーク値の

2

1

を用いて計算する。

交流電流の波形は,方形波又は正弦波のいずれかとし,周波数は

0.1Hz

以下(

19

)

とする。印加電流

の大きさは,電圧の最終のピーク・ピーク値が,溶液抵抗に基づく電圧降下分の値を除いて

3

電極

方式では

20mV

程度,

2

電極方式では

40mV

程度を超えないような値とする。

(

18

)

ピーク・ピーク値測定用の電子回路を用いるとよい。

(

19

)

交流は,半周期の間に電圧の変化がほぼ定常になるのに十分な長い周期をもつような周波数を

選ぶことが望ましい。

また,試験期間中は,原則として,この周波数を変更しない。

(b)

交流定電位法  付図 の装置において,電源装置に定電位装置を用い,その設定電圧にピーク・ピ


6

K 0100-1990

ーク値で

3

電極方式では

20mV

2

電極方式では

40mV

に溶液抵抗に基づく電圧降下分を加えた値の

方形波又は正弦波の交流電圧を与え機器を作動させ,試料極と照合極(

2

電極方式のときは試料極

と対極)の間の電圧を設定電圧に従って変化させて,電圧の変化に対応する電流の変化におけるピ

ーク・ピーク値(方形波のときは,連続する各半周期における最終値を用いる。

)の定常値を測定す

る。交流の周波数,周期の繰返し数については,(a)と同様とする。

設定電圧を最終の電流(共にピーク・ピーク値)で除して見掛けの分極抵抗を求める。ただし,

2

電極方式の場合は,設定電圧の

2

1

を用いて計算する。

(c)

直流定電流法  付図 の装置において,電源装置に直流定電流装置を用い,試料極と対極の間に微

少の直流の定電流を流し,電圧計の指示値の変化を追跡する。電圧が,ほぼ定常になったとき(

20

)

その電圧を読み取り,電流を切る。

通電直前の電圧と電流切断直前の電圧との差(分極)を電流値で除して見掛けの分極抵抗を求め

る。ただし,

2

電極方式の場合は,分極値の

2

1

を用いて計算する。

印加電流は,正又は負のいずれかの極性であって,溶液抵抗に基づく電圧降下分を除いた正味の

分極の値が

3

電極方式では約

10mV

2

電極方式では約

20mV

を超えないような大きさとする。

(

20

)

通電時間は,

1

分間程度以上が望ましい。試験期間中は,原則として,通電時間及び電流の極性

は変更しない。

(2)

溶液抵抗の測定  溶液抵抗の補正(

21

)

に用いる溶液抵抗の測定は,原則として高周波交流を用いるイン

ピーダンス法で測定する(

22

)

。交流発振器を電源とし,試料極と対極の間に

1kHz

程度の交流電流(方

形波,正弦波など)を流し,電流及び印加電圧の値(共にピーク・ピーク値又は実効値)を測定し,

電圧を電流で除して電極間の交流抵抗を求める。又は,インピーダンスブリッジで直接両極間の交流

抵抗を測定してもよい。これらの方法で測定された値の

2

1

を溶液抵抗とする。

ただし,

3

電極方式のときは,試料極と照合極との間の電圧を測定し,それを電流で除し,その値

を溶液抵抗とするほうが精度のよい補正ができる。

(

21

)

海水などのように電気伝導率の値が大きいときは,この補正を省略することができる。

(

22

)

直流(低周波方形波を含む。

)によるカレントインタラプタ法又はホラー・ブリッジ法などで測

定することもできる。

(3)

分極抵抗の計算  測定された見掛けの分極抵抗は,式

(1)

によって溶液抵抗を補正し,単位面積換算の

分極抵抗を求める。

R

p

  (R

ap

R

s

)

×

 (1)

ここに,

R

p

単位面積換算の分極抵抗

  (

Ω・

cm

2

)

R

ap

見掛けの分極抵抗

  (

)

R

s

溶液抵抗

  (

)

S

試験片の表面積

 (cm

2

)

4.7

結果の表示

(1)

外観観察  3.4(1)による。

(2)

唇食速度の計算  溶液抵抗の値を補正した単位面積換算の分極抵抗の値と腐食電流密度との間には,

次の式

(2)

(

23

)

が成立するので,この式から腐食電流密度と等価の腐食速度を求めることができる。

p

R

K

i

=

corr

 (2)

ここに,

i

corr

腐食電流密度(腐食速度)

 (A/cm

2

)

K

換算係数

 (V)


7

K 0100-1990

R

p

単位面積換算の分極抵抗

  (

Ω・

cm

2

)

換算係数 は,分極抵抗と腐食電流密度とを関連づける係数であって,材料の種類,その表面状態,

測定方法などによって異なる値を用いる。

(

23

)

スターンの式と呼ばれ,自然腐食状態をあまり乱さない条件(自然電位から±

10mV

程度の範

囲)で測定された分極抵抗と腐食速度との関係を表す式で,分極抵抗と腐食減量との比較又は

腐食反応の速度式から計算によって求める。

(a)

相対唇食速度  換算係数 の値を未定とした場合は,溶液抵抗を補正した単位面積換算の分極抵抗

の逆数を相対腐食速度

 (S/cm

2

)

として,同一材料,同一測定条件の範囲内で相対的な比較に用いる

ことができる。

溶液抵抗の値を補正した見掛けの分極抵抗の逆数においても同様の比較をすることができる。

(b)

腐食度及び侵食度  換算係数

K

に特定の値を与えた場合は,式

(3)

又は式

(4)

を用いて分極抵抗を腐

食度又は侵食度に換算することができる。

p

R

n

K

M

W

×

×

×

=

500

89

 (3)

p

R

n

d

K

M

P

×

×

×

×

=

270

3

 (4)

ここに,

W

:  腐食度 (mdd)

M

:  試料の原子量 (g)

K

:  換算係数 (V)

n

:  試料の腐食反応の電子数

R

p

:  単位面積換算の分極抵抗  (

Ω・cm

2

)

P

:  侵食度 (mm/y)

d

:  試料の密度 (g/cm

2

)

K

の値は,試料についての実測値又は文献値を用いる。その値の妥当性の確認方法は,

附属書に

よる。

計算例: 低炭素鋼の換算係数 K の値を実測値から,0.040V(

24

)

とすると,腐食度,侵食度はそれぞ

れ次の式で計算する。

p

R

W

900

99

=

p

R

P

465

=

ただし,換算係数 の値は,適用する測定条件によってこれと異なる値を用いてもよい。

(

24

)

換算係数 の値は,測定条件の中でも,特に通電時間又は使用周波数に大きく影響される。

0.040V

の値は,直流の通電時間が1分の場合の代表的な値であるが,通電時間の変化(試

験範囲:10秒∼5分間)による換算係数 の変動は0.02∼0.06V にも及び,低腐食速度領域

では更に小さい値になることもあるので,それぞれの測定条件における換算係数 の値を

確認しておくことが望ましい。

(3)

局部腐食  不通電時の電圧計の読みや交流法での電流又は電圧の正負のピーク値も記録するとよい

(

25

)

(

25

)

同一材料の試料極と照合極(又は対極)との不通電時の電位差(自然電位)の増大は,局部腐

食の激しさとの関連が深い。この電圧変化は,交流法では電流の流れ方が不平衡となり,電流・


8

K 0100-1990

電圧の正負のピーク値の零に対する対称性が悪くなる。局部腐食が激しくなると,分極抵抗か

ら求められる腐食速度は,不正確になりやすい。

4.8

報告  試験報告には,次の項目のほか 3.5 の事項についても記載する。

(1)

試験方法(採用した 4.6 における試験方法及び電極方式)

(2)

試験条件(分極方向,通電時間,使用周波数及び溶液抵抗補正の有無など)

(3)

測定時刻,経過時間

(4)

測定結果(腐食速度,分極抵抗,採用した換算係数 の値など)


9

K 0100-

199

0

付図 1  直管部用試験片保持器の一例


10

K 0100-

199

0

付図 2  曲管部用試験片保持器の一例


11

K 0100-

199

0

付図 3  タンク類用試験片保持器の一例

番号

名称

材質例

1

試験片 SPCC

2

絶縁スペーサ

合成樹脂

3

絶縁管

合成樹脂

4

支持棒 SUS

304

5

保護棒 SUS

304

6

端板 SUS

304

7

つり具 SUS

304


12

K 0100-1990

付図 4  試験片

番号

名称

材質例

1

角形試験片 SPCC

2

円形試験片 SPCC

付図 5  試験片の形状及び寸法の一例


13

K 0100-

199

0

付図 6  試験片保持器の一例


14

K 0100-

199

0

付図 7  分極抵抗測定のブロック図(結線の概念図)

記号

名称

記号

名称

記号

名称

A

電流計 S

スイッチ

端子 1

入出力共通端子

B1

定電流装置 V

高入力抵抗電圧計

端子 2

出力端子

B2

定電位装置

端子 3

照合極電位入力端子


15

K 0100-

199

0

付図 8  溶液抵抗測定装置の一例


16

K 0100-1990

附属書  腐食速度換算係数 値確認方法

1.

適用範囲  この附属書は,各種金属材料について,分極抵抗の腐食速度の計算において採用する換算

係数 の値が,適用する測定条件において,妥当か否かを確認する方法について規定する。

2.

試験方法  採用する測定法及び測定条件の下に,本体 4.14.6 の各項に従って,分極抵抗の経時変化

(

1

)

を測定する。試料極は,試験終了後に腐食減量を測定する。

なお,試験期間中は,流速,温度などの試験条件は,なるべく変動しないようにする。

試験終了後,溶液抵抗を補正した単位面積換算の分極抵抗の逆数と経過時間との関係をグラフに描く。

関係曲線と座標軸で囲まれた面積を計算し,試験時間でこれを除して平均分極抵抗を求め,次の式で 

計算する。

S

T

M

R

W

F

n

K

p

×

×

×

×

×

=

ここに,

K

換算係数 (V)

n

腐食反応の電子数

F

ファラデー定数 (96 500Cmol

1

)

W

腐食減量 (g)

R

p

単位面積換算の分極抵抗  (

Ω・cm

2

)

M

試料の原子量 (g)

T

試験期間 (s)

S

試験片の表面積 (cm

2

)

(

1

)

試験期間は,十分な腐食減量が得られる期間とし,分極抵抗の測定間隔は,十分滑らかな関係

曲線が得られるように設定する。

なお,試験期間が長く,分極抵抗の初期変動が無視できるときは,分極抵抗の定常値を平均

値としてもよい。


17

K 0100-1990

参考 

この参考は,本体及び附属書の規定に関する事項を補足するもので,規格の一部ではない。

1.

回転法  試料水中に試験片を浸せきして,一定速度で回転させ,一定期間後の試験片の腐食状態を観

察し,質量減量を測定して腐食度を算出する。工業用水の腐食性を調べる目的には,試験片として標準金

属試料を使用し,また金属材料の耐食性を調べる目的には,その金属を試料とする。

この方法は,工業用水の腐食性や腐食抑制剤の添加効果の比較など多くの試料水を同じ条件で,しかも

短期間で行う室内試験に用いられる。この試験では,水温,試験片の回転速度などの試験条件をできるだ

けそろえる必要があり,得られた結果は,試験条件における値なので,結果の判定に当たっては,十分な

注意を要する。

2.

装置及び器具

(1)

試験装置  試験片を取り付けた試験片保持器を一定の回転速度 (150∼160rpm)  (

1

)

で回転される装置

と,ビーカー1を固定できる架台を含む恒温水槽(室温∼60℃,温度調節精度±0.5℃)(

2

)

を組み合わ

せた装置(

3

)(

4

)

。装置の一例を

参考付図 に示す。

(2)

給水装置  試料水を連続的に供給できる給水ポンプ(流量 1∼5l/日,流量精度±3%程度)(

5

)(

6

)

と試

料水槽(ポリエチレン製)を組み合わせたもので,試料水を連続的に供給する場合に使用する。試料

水供給の一例を

参考付図 に示す。

(3)

試験片保持器  試験片を固定する器具で,支持棒の端に十字形固定板を取り付け,他端を回転軸に取

り付けられるもの。十字形固定板には試験片 2 枚又は 4 枚取り付けて固定する。試験片保持器の一例

参考付図 に示す。

(

1

)

回転速度は,工業用水の使用流速に合わせて選定する。通常150∼160rpm の一定回転速度を用

いる。

(

2

)

水温は,通常室温から 40℃程度の条件で試験する。40∼60℃の条件では,試料水の蒸発が著し

くなるので注意する。

(

3

)

恒温水槽内の水の循環をよくするために,ビーカー架台は多孔板にするとよい。

(

4

)

試験装置は,同一条件での比較試験が好ましいことから,同一条件で平行して試験ができる多

連式の装置が望ましい。

(

5

)

チューブローラーポンプを使用する場合は,ローラー回転でチューブが疲労するので,適宜に

交換する。

(

6

)

試料水の供給量は,試験条件と腐食の発生状況で異なる工業用水の使用条件や試験目的に応じ

て設定する。

3.

試験片

(1)

形状及び寸法  形状及び寸法は,参考付図 による。

(2)

材質  規格本体 3.2(2)と同じ。

(3)

表面仕上げ及び計測  規格本体 3.2(3)と同じ。


18

K 0100-1990

4.

試験方法

4.1

準備操作

(1)

恒温水槽の水温を所定温度(通常 40±0.5  ℃)(

7

)

に設定し,所定の温度に保持する。

(2)

試料水を連続供給する場合は,試料水をビーカー1の上面まで満水にする。間欠的に試料水を交換す

る場合は,試料水 1を入れる(

8

)

。ビーカーを恒温水槽内のビーカー架台に固定し,所定の温度になる

まで静置する(約 2 時間を要す。

(3)

試料水を連続供給する場合は,別に供給用の試料水を用意し(

9

)

,あらかじめ供給する試料水の流量に

合わせて,給水ポンプの流量を調節する(

10

)

(

7

)

工業用水の使用温度や試験条件によって選定する。通常は40℃で行う。

(

8

)

試料水を間欠的に交換する場合は,あらかじめ同形のビーカーに試料水を入れ,恒温水槽で所

定の温度にしておき,試料水の水質があまり変化しない程度の頻度で,ビーカーごと手早く入

れ替える。

(

9

)

試料水の供給水量は,1 回当たりの試験数と試験期間,腐食の発生状況などで異なる。試験目

的に応じて必要な試料水量を用意する。

(

10

)

試料水の供給流量は,工業用水の使用条件や,水質の変化,試験目的などを考慮して設定する。

一般には,ビーカー中の試料水の水質が変化しない程度に連続的に供給し,ビーカー中の試料

水(約 1.2l)が 1 日当たり 1 回入れ替わる程度に供給する。

4.2

試験操作

(1)

試験片(

11

)

を試験片保持器(

12

)

参考付図 のように垂直に取り付け,固定する。

(2)

試料水の温度が,所定の温度に達したら試験片を試料水に浸せきする。試料水を連続的に供給する場

合は,試料水の供給パイプをビーカーに取り付け,ビーカーにふたをする。

(3)

試験片保持器を回転軸に取り付け,所定の回転速度(通常は 150∼160rpm の一定速度)(

1

)(

13

)

に調節す

る。

(4)

試料水を連続供給する場合,試料水供給用の給水ポンプによって,所定の流量(

10

)(

14

)(

15

)

で試料水を供

給する(試料水の供給で,ビーカー中の試料水は恒温水槽中に流出する。

。試料水を間欠的に交換す

る場合は,適当な頻度(

8

)

で試料水を交換する。

(

11

)

試料片は,指紋などが付かないように注意して,試料片保持器に取り付ける。

(

12

)

試料片保持器が汚れている場合は,塩酸 (1∼2%)  で洗い,水でよく洗浄する。

(

13

)

試験期間中は一定の回転速度に保持し,変更しない。

(

14

)

試験期間中は試料水の液量が変動しないように注意する。試料片の表面積 (cm

2

)

に対する試料

水量 (ml) の変動(液比)は,±5%以内にする。

(

15

)

試料水の温度が約 40  ℃以上の場合は,試料水の蒸発量が多くなり,ビーカー中の液量が少な

くなるので,液量の変動が±5%以内になるように試料水を供給し,更に試料水の温度低下にも

注意する。

4.3

試験条件

(1)

試験期間中は,温度,回転速度,試料水の供給水量又は試料水の交換頻度などは一定に保持して試験

する。

(2)

試料水の pH 及び電気伝導率は,少なくとも 1∼3 日間に 1 回は測定して記録する。

(3)

試験条件で腐食に関係する項目,例えば試料水の pH,電気伝導率,酸消費量,全硬度,塩化物イオン,

硫酸イオンなどの必要な項目はすべて記録する。


19

K 0100-1990

4.4

試験期間  一般的には 5∼14 日間程度行うが,試料水の腐食性などの状況や試験目的に応じて設定

する。

4.5

試料片の後処理  規格本体の 3.3(4)と同じ。

5.

結果の表示

5.1

外観観察  規格本体の 3.4(1)と同じ。

5.2

腐食度及び侵食度  規格本体の 3.4(2)と同じ。

6.

報告  試験報告には,試験方法及び 3.(1)(2)4.3(1)(3)4.44.5 に規定した事項も記載する。

また,腐食に影響を及ぼすと思われる事項はできるだけ記載する。


20

K 0100-

199

0

参考付図 1  試験装置の一例

番号

名称

材質例

番号

名称

材質例

1

回転軸 SUS

10

試験片 SPCC

2

チェーン

11

ビーカー架台(多孔板)

SUS

3

歯車

12

ビーカー1l

4 V

ベルト

13

オーバーフロー管

5

試験片保持器回転用電動機

 14

ビーカーのふた

透明塩化ビニル

6

温度計  15

試験片保持器

塩化ビニル

7

温度調節器

16

ビーカー止め具 SUS

8

恒温水槽用循環ポンプ

17

恒温水槽

9

ヒーター


21

K 0100-

199

0

参考付図 2  試料水供給の一例

番号

名称

材質例

1

試料水槽

ポリエチレン

2

給水ポンプ(ローラーポンプ)

3

給水ポンプ用チューブ

塩化ビニル

4

供給 L 字管

ガラス

5

ビーカー (1l)

6

ビーカー架台(多孔板) SUS

7

試験片保持器

塩化ビニル


22

K 0100-

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0

参考付図 3  試験片保持器の一例

番号

名称

材質例

1

試験片 SPCC

2

支持棒

塩化ビニル

3

十字形固定板

塩化ビニル

4

ビス

アクリル

5

回転軸取付部

6

支持ボルト部(回転と逆ねじ)

塩化ビニル

7

スペーサ

四フッ化樹脂

8

十字形固定板取付部

9

支持ボルト用ナット(逆ねじ)

アクリル


23

K 0100-1990

参考付図 4  試験片の一例


24

K 0100-1990

JIS K 0100

  改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

米  倉  茂  男

東京都鍍金工業組合

(委員)

細  川  幹  夫

工業技術院標準部

飯  塚  和  憲

通商産業省立地公害局

佐々木  英  次

工業技術院化学技術研究所

藤  井  哲  雄

科学技術庁金属材料研究所

森  田  亮  吉

川崎市水道局

黒  沢  辰  夫

財団法人電力中央研究所

梅  崎  芳  美

社団法人産業公害防止協会

和  気  敏  治

オルガノ株式会社

渡  辺      孝

栗田工業株式会社

小  林  豊  治

日本防蝕工業株式会社

中  内  博  二

中川防蝕工業株式会社

(標準部担当官)

吉  村  大  輔

工業技術院標準部

(事務局)

佐  宗  正  雄

社団法人日本工業用水協会

飛  渡  祥  弘

社団法人日本工業用水協会

本  郷  秀  昭

社団法人日本工業用水協会

備考  ◎印は小委員会委員長,○印は小委員会委員