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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0086 : 1998 

排ガス中のフェノール類分析方法 

Methods for determination of phenols in flue gas 

1. 適用範囲 この規格は,排ガス中のフェノール類を分析する方法について規定する。 

備考1. この規格において,排ガスとは,化学反応などに伴って,煙道,煙突,ダクトなどに排出さ

れるガスをいう。 

2. この規格の引用規格を,付表1に示す。 

2. 共通事項 化学分析に共通する事項,排ガス試料採取方法,ガスクロマトグラフ分析方法及び吸光光

度分析方法に共通する事項については,それぞれJIS K 0050,JIS K 0095,JIS K 0114及びJIS K 0115に

よる。 

3. 分析方法の種類及び概要 分析方法の種類及び概要は,表1のとおりとする。 

表1 分析方法の種類及び概要 

分析方法の種類 

分析方法の概要 

適用条件 

要旨 

試料採取 

定量範囲 

volppm 

ガスクロマトグラフ法 試料ガス中のフェノール類を吸収液に吸収

させ,又は捕集バッグ等に採取し,ガスク

ロマトグラフに導入して得られたクロマト

グラムからフェノール類を定量する。 

吸収瓶法 

真空捕集瓶法 

捕集バッグ法 

1〜2 000(1)   

4-アミノアンチピリン

吸光光度法 

試料ガス中のフェノール類を吸収液に吸収

させた後,4-アミノアンチピリン溶液及びフ

ェリシアン化カリウム溶液を加え,生成し

たアンチピリン色素の吸光度 (510nm) を

測定する。 

吸収瓶法 

吸収液:0.4% 

水酸化ナトリウム溶液 

液量:50ml×2 

1〜20(1) 

5.2.1による。 

紫外吸光光度法 

試料ガス中のフェノール類を吸収液に吸収

させた後,この溶液の吸光度 (270nm) を測

定する。 

吸収瓶法 

吸収液:水 

1〜50(1) 

5.3.1による。 

注(1) 試料ガスを20l採取し,吸収液を200mlに薄めて分析用試料溶液とした場合。 

4. 試料ガス採取方法 試料ガス採取方法は,吸収瓶法,真空捕集瓶法及び捕集バッグ法による。分析に

用いる試料ガスの採取位置は,代表的なガスが採取できる点を選び,同一採取位置において近接した時間

内に原則として2回以上試料ガスを採取し,それぞれ分析する。 

4.1 

吸収瓶法 この方法は4-アミノアンチピリン吸光光度法,紫外吸光光度法,ガスクロマトグラフ法

に適用する。 

K 0086 : 1998  

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4.1.1 

試薬及び試薬溶液の調製方法 4-アミノアンチピリン吸光光度法,紫外吸光光度法,ガスクロマト

グラフ法における試薬及び試薬溶液の調製方法は次による。 

(1) 試薬 

(a) 水酸化ナトリウム JIS K 8576に規定するもの。 

(b) 水 JIS K 0557に規定する種別A2のもの。 

(c) 水 JIS K 0557に規定する種別A3のもの。 

(2) 試薬溶液の調製方法 

(a) 吸収液 水酸化ナトリウム4gを水に溶かして1lとしたもの。 

なお,紫外吸光光度法においては吸収液として,次の水を用いる。 

(1) 試薬 

(a) 水(吸収液) JIS K 0557に規定する種別A3のもの。 

4.1.2 

装置及び器具 

(1) 吸収瓶 JIS K 0095の図3(吸収瓶の例)の(a),(d)の容量50〜250mlのもの。 

(2) 試料ガスの採取装置 図1に例示する構成で次の条件を備えていなければならない。 

(a) 採取管は,排ガス中のフェノール類及び共存成分によって腐食されないような材質,例えば,ガラ

ス管,石英ガラス管,ステンレス鋼管,ふっ素樹脂管などを用いる。 

(b) 排ガス中のダストが混入するのを防ぐため,採取管の先端に適当なろ過材,例えば,石英ウールな

どを詰める。 

(c) 試料ガス中の水分が凝縮する場合には,採取管から吸収瓶の間を120℃程度に加熱する。 

なお,この間の接続部分はガラスすり合わせ管,シリコーンゴム管などを用いる。 

4.1.3 

試料ガスの採取 

(1) 試料ガスの採取 次の手順によって行う。ここに示す装置の記号は,図1による。 

(a) 吸収瓶(H1及びH2)に,吸収液50mlずつをそれぞれに入れる。 

(b) 流路切替コック(R1及びR2)をバイパス側に回した後,吸引ポンプ (L) を作動させて配管内(B〜

R1まで)を試料ガスで置換する。 

(c) 吸引ポンプ (L) を停止させた後,流路切替コック(R1及びR2)を吸収瓶(H1及びH2)側に回す。

次にガスメータ (M) の指示を0.01lのけたまで読み取る。 

(d) 吸引ポンプ (L) を作動させ,試料ガスを吸収瓶(H1及びH2)に通す。このとき流量調節コック(P1

及びP2)を操作して,吸引流量1l/min程度とする。試料ガス約20lを採取した後,吸引ポンプ (L) を

停止し,流路切替コック(R1及びR2)を閉じ,ガスメータ (M) の指示を0.01lのけたまで読み取る。

同時に温度計 (N) 及びマノメータ (Q) の指示値を記録し,また大気圧を測定しておく。 

(e) 必要に応じて,試料ガス中の水分をJIS Z 8808の6.(排ガス中の水分量の測定)に準じて測定する。 

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K 0086 : 1998  

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図1 ダクトからの試料ガス採取装置(一例) 

(2) 試料ガスの採取量の算出 JIS K 0095の5.1.7(試料ガス採取量)によって,標準状態 (0℃,101.3kPa) 

の乾きガス量 (VSD),又は湿りガス量 (VSW) を求める。 

4.1.4 

分析用試料溶液の調製 4-アミノアンチピリン吸光光度法,紫外吸光光度法の場合は,4.1.3の操作

を終えた後,第一吸収瓶 (H1) 中の吸収液を全量フラスコ200mlに移し,第一吸収瓶内を第二吸収瓶 (H2) 

中の吸収液で洗って全量フラスコに合わせ,更に新しい吸収液を用いてこの洗浄操作を繰り返す。最後に

吸収液を標線まで加え,これを分析用試料溶液とする。 

ガスクロマトグラフ法の場合は,試料ガスを吸引した吸収瓶の内溶液を分液漏斗200mlに移し替え,吸

収瓶を水で洗い,この洗浄液を同じ分液漏斗に入れる。指示薬としてメチルオレンジ溶液(メチルオレン

ジ0.1gをエタノール100mlに溶かしたもの。)3滴を加え,塩酸 (1+1) で中和した後,更に塩酸 (1+1) 5ml

を加える。次に酢酸エチル20mlを加え,1分間激しく振り混ぜた後静置する。酢酸エチル層を試験管など

に分離し,水浴上で5mlになるまで濃縮し,これを分析用試料溶液とする。 

4.2 

真空捕集瓶法 この方法はガスクロマトグラフ法に適用する。 

4.2.1 

装置及び器具 JIS K 0095の図2(c)[真空フラスコ法(真空捕集瓶法)]と同じ。 

4.2.2 

試料ガスの採取 試料ガス採取装置に真空捕集瓶を接続し,配管中の空気を試料ガスで十分に置換

した後,試料ガスを捕集する。捕集後真空捕集瓶を密栓し,これを分析用試料ガスとする。この場合は直

ちに分析を行うものとする。ただし,試料ガス中の水蒸気濃度が高く,採取後すぐに採取容器の器壁に水

滴が凝縮するような場合には適用できない。 

4.3 

捕集バッグ法 この方法はガスクロマトグラフ法に適用する。 

K 0086 : 1998  

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4.3.1 

装置及び器具 JIS K 0095の図2(e)[捕集バック法(間接法)]と同じ。 

4.3.2 

試料ガスの採取 試料ガス採取装置に捕集バッグを接続し,配管中の空気を試料ガスで十分に置換

した後,試料ガスを捕集する。捕集後捕集バッグを密栓し,これを分析用試料ガスとする。この場合は,

直ちに分析を行うものとする。ただし,試料ガス中の水蒸気濃度が高く,採取後すぐに採取容器の器壁に

水滴が凝縮するような場合には適用できない。 

5. 定量方法 

5.1 

ガスクロマトグラフ法 

5.1.1 

試薬及び試薬溶液の調製方法 

(1) 試薬 

(a) フェノール 

(b) o-クレゾール 

(c) m-クレゾール 

(d) p-クレゾール 

(e) エタノール 

(f) プロピルベンゼン 

(g) カプリン酸メチル 

(2) 試薬溶液の調製 

(a) フェノール検量線用溶液 フェノール,o-クレゾール,m-クレゾール及びp-クレゾール各10mgを

それぞれ全量フラスコ100mlにとり,エタノールを標線まで加えたもの。 

(b) プロピルベンゼン内標準液 プロピルベンゼン10mgを全量フラスコ100mlにとり,エタノールを

標線まで加えたもの。 

(c) カプリン酸メチル内標準液 カプリン酸メチル10mgを全量フラスコ100mlにとり,エタノールを

標線まで加えたもの。 

5.1.2 

装置 

(1) ガスクロマトグラフ ガスクロマトグラフは,次のとおりとする。 

(a) 検出器 水素炎イオン化検出器 

(b) カラム 内面をよく洗浄した内径3〜4mm,長さ2〜5mのガラス管又はステンレス鋼管。カラム充

てん剤は塩酸で十分洗浄し,水洗乾燥した白色けいそう土担体(粒径149〜250μm)に固定相液体

を含浸させたもの(2)。 

なお,キャピラリーカラムを用いてもよい。 

注(2) 固定相液体は,分析目的に応じて次の中から選ぶ。 

(1) フェノールとクレゾールが分離でき,クレゾールの異性体の分離を必要としない場合は,グ

リース状高沸点炭化水素を15〜20w/v%の割合で,けいそう土に含浸させる。 

(2) フェノールとクレゾールの異性体のいずれも分離する必要がある場合は,りん酸トリトリル

を8%及びりん酸を3%けいそう土に含浸させる。 

(c) キャリヤーガス 純度99.9%以上の窒素。 

(d) 燃料ガス JIS K 0512に規定する1級又は2級のもの。 

(e) 助燃ガス 清浄空気 

参考 グリース状高沸点炭化水素にはアピエゾンLがある。 

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5.1.3 

操作 操作は,次の手順によって行う。 

(1) 分析条件 ガスクロマトグラフの分析条件は,表2による。 

表2 ガスクロマトグラフの分析条件(一例) 

固定相液体 

分析条件 

グリース状高沸点炭化水素 りん酸トリトリル+りん酸 

カラム寸法 

内径3mm,長さ2〜4m 

内径3mm,長さ3〜5m 

カラム槽温度 

150℃ 

120℃ 

試料導入部及び検出器温度 

180℃ 

180℃ 

キャリヤーガス流量 

40〜60ml/min 

40〜60ml/min 

内標準 

プロピルベンゼン 

カプリン酸メチル 

(2) 定量 絶対検量線法又は内標準法を用いる。 

なお,注射筒を用いた場合は,絶対検量線法を用いる。 

(a) 絶対検量線法 4.1.4で調製した分析用試料溶液又は分析用試料ガスの一定量を,それぞれマイクロ

シリンジ又は気体用シリンジ (1〜5ml) にとり,ガスクロマトグラフに導入してクロマトグラムを

得る。このクロマトグラムからフェノール類に相当するピーク面積又はピーク高さを測定し,あら

かじめ作成した検量線からフェノール類の量を求める。 

(b) 内標準法 4.1.4で調製した分析用試料溶液1mlを全量フラスコ5mlに分取し,内標準液1mlを加え,

エタノールを標線まで加えて,よく振り混ぜる。この混合液から5〜20μlをマイクロシリンジにと

り,ガスクロマトグラフに導入する。得られたクロマトグラムからフェノール類と内標準物質との

ピーク面積比を求め,あらかじめ作成した関係線から,フェノール類の量を求める。 

5.1.4 

検量線及び関係線の作成 検量線及び関係線の作成は,次のとおりとする。 

(1) 絶対検量線法 5.1.1(2)(a)で調製したフェノール検量線用溶液1μl,2μl及び4μlをマイクロシリンジに

とり,ガスクロマトグラフに導入する。得られたクロマトグラムからフェノール類に相当するピーク

面積を求め,フェノール類の量 (μg) とピーク面積との関係線を作成する。 

(2) 内標準法 5.1.1(2)(a)で調製したフェノール検量線用溶液1ml,2ml及び3mlを全量フラスコ5mlに分

取する。次に,それぞれに5.1.1(2)(b)又は5.1.1(2)(c)の内標準液1mlを加え,エタノールを標線まで加

えてよく振り混ぜた後,それぞれから5〜20μlの一定量をマイクロシリンジにとり,ガスクロマトグ

ラフに導入する。得られたクロマトグラムからフェノール類の各成分と内標準物質とのピーク面積比

又はピーク高さ比を求め,これと各成分内標準物質の混合比との関係線を作成する。 

5.1.5 

計算 試料ガス中のフェノール類の濃度を次の式によって算出し,有効数字2けたに丸める。 

(1) 吸収瓶の場合 

000

 1

4.

22

×

×

×

×

=

S

LV

S

M

V

a

C

ここに, 

C: 試料ガス中のフェノール類の濃度 (volppm) 

a: 検量線から求めた定量に供した分析試料用液中のフェノー

ル類の質量 (μg) 

M: フェノール類の分子量(フェノール94.1,クレゾール108.2) 

SL: 定量に供した分析用試料溶液の体積 (μl) 

V1: 分析用試料溶液の調製量 (ml) 

V2: JIS K 0095の5.1.7で求めた試料ガス採取量 (ml) 

K 0086 : 1998  

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(2) 真空捕集瓶法又は捕集バッグ法 

000

 1

4.

22

×

×

×

=

G

S

M

a

C

ここに, 

C: 試料ガス中のフェノール類の濃度 (volppm)  

a: 検量線から求めた試料ガス中のフェノール類の質量 (μg) 

M: フェノール類の分子量(フェノール94.1,クレゾール108.2) 

SG: ガスクロマトグラフヘの試料ガスの導入量 (ml) [0℃,

101.32kPa]  

5.2 

4-アミノアンチピリン吸光光度法 

5.2.1 

適用条件 この方法は,試料ガス中に塩素,臭素などの酸化性ガス及び二酸化硫黄などの還元性ガ

スが共存すると負の影響を受けるので,その影響を無視又は除去できるときに適用する。 

5.2.2 

試薬及び試薬溶液の調製方法 

(1) 試薬 

(a) 4-アミノアンチピリン JIS K 8048に規定するもの。 

(b) ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム JIS K 8801に規定するもの。 

(c) 塩化アンモニウム JIS K 8116に規定するもの。 

(d) アンモニア水 JIS K 8085に規定するもの。 

(e) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。 

(f) フェノール JIS K 8798に規定するもの。 

(g) 臭素酸カリウム JIS K 8530に規定するもの。 

(h) よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの。 

(i) でんぷん JIS K 8659に規定するもの。 

(2) 試薬溶液の調製方法 

(a) 4-アミノアンチピリン溶液 (0.2w/v%)   4-アミノアンチピリン0.2gを水に溶かして100mlとしたも

の。 

(b) フェリシアン化カリウム溶液 (0.4w/v%)  フェリシアン化カリウム0.4gを水に溶かして100mlとし

たもの。不溶分があればろ過する。調製後1週間以上経過したもの及び暗赤色に変化したものは使

用してはならない。 

(c) 塩化アンモニウム−アンモニア緩衝液 (pH10.0)  塩化アンモニウム50gを水に溶かして1lとし,

アンモニア水 (6mol/l) 約300mlを用いてpHを10.0±0.2に調製したもの。 

(d) フェノール検量線用原液 フェノール1gを水に溶かして1lとしたもの。標定は次による。 

[標定]共栓付三角フラスコ500mlに水約100mlをとり,これにフェノール検量線用原液50ml

を加える。これに臭素酸カリウム−臭化カリウム溶液 (0.1mol/l) (臭素酸カリウム2.78g及び臭化

カリウム10gを水に溶かして1lとする。)50mlを加え,更に塩酸5mlを加える。密栓して静かに振

り混ぜ,褐色の臭素が遊離した後,10分間放置する。 

次に,よう化カリウム1gを加え,遊離したよう素を0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液[調製及び

標定方法はJIS K 8001の4.4(22.2)による。]で滴定し,液の黄色が薄くなったら,指示薬としてで

んぷん(溶性)1gを熱水100mlに溶かした後煮沸したもの3mlを加え,引き続き滴定して青紫色が

消えたときを終点とする。 

これに要した0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の量を求める。別に水100mlに,臭素酸カリウム

−臭化カリウム溶液 (0.1mol/l) 25mlを加えた溶液について,同様の操作を行い,0.1mol/lチオ硫酸

K 0086 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ナトリウム溶液の量を求める。 

次の式によって,フェノール検量線用原液中のフェノールの濃度を算出する。 

f

a

b

CP

×

×

=

)

2(

37

.

31

ここに, Cp: フェノールの濃度 (mg/l) 
 

a: 滴定に要した0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の量 (ml) 

b: 水の滴定に要した0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の量 (ml) 

f: 0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

(e) フェノール検量線用溶液 (8.4μgC6H5OH/ml)  フェノール8.4mgに相当する体積のフェノール検量

線用原液をビーカー1lにとり,吸収液400mlと,塩化アンモニウム−アンモニア緩衝液50mlを加

え,塩酸 (1+1) でpH10.0±0.2に調節した後,全量フラスコllに移し,塩化アンモニウム−アンモ

ニア緩衝液を標線まで加えたもの。使用時に調製する。 

このフェノール検量線用溶液1ml中には,気体状態で2μl (0℃,101.329kPa) のフェノールを含む。 

5.2.3 

装置 分光光度計 

5.2.4 

操作 操作は,次の手順によって行う。 

(1) 4.1.4で調製した分析用試料溶液10mlを共栓付試験管50mlにとる。 

(2) これに4-アミノアンチピリン溶液2mlを加えて混合する。 

(3) 室温で,20分間放置した後,吸収セルにとり,波長510nm付近の吸光度を測定する。 

また,吸収液10mlを(2)と同様に操作して調製した空試験溶液を対象として,同様に吸光度を測定

する。 

5.2.5 

計算 次の式によって,試料ガス中のフェノール類の濃度を算出する。 

S

V

V

a

C

1

×

=

ここに, 

C: 試料ガス中のフェノール類の濃度 (volppm) 

a: 検量線から求めた分析用試料溶液中のフェノール類の濃度 

(μl/ml) 

VS: JIS K 0095の5.1.7で求めた試料ガス採取量 (l) 

V1: 分析用試料溶液の量 (ml) 

5.3 

紫外吸光光度法 

5.3.1 

適用条件 この方法は,試料ガス中に芳香族炭化水素類が共存すると正の影響を受けるので,その

影響を無視又は除去できるときに適用する。 

5.3.2 

試薬及び試薬溶液の調製方法 

(1) 試薬溶液 

(a) フェノール検量線用溶液 (50μgC6H5OH/ml)  5.2.2(2)(d)のフェノール検量線用原液5mlを全量フ

ラスコ100mlにとり,水を標線まで加えたもの。 

5.3.3 

装置 分光光度計 

5.3.4 

操作 操作は,次の手順によって行う。 

(1) 4.1.4で調製した分析用試料溶液を吸収セルにとる。 

(2) 分光光度計によって波長220〜340nmの範囲における紫外吸収スペクトルを記録する。その例を図2

に示す。 

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K 0086 : 1998  

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図2 紫外吸収スペクトル(一例) 

(3) 図2において,極小吸光度を示すA点(236nm付近)とB点(310nm付近)とを結び,これを基線と

する。 

(4) 極大吸光度を示すP点(270nm付近)から垂線を下ろし,基線ABとの交点をCとし,吸光度PCを

求める。 

(5) あらかじめ作成した検量線からフェノール濃度を求める。 

5.3.5 

計算 次の式によって,試料ガス中のフェノール類の濃度を算出する。 

S

V

V

a

C

×

×

×

=

1.

94

4.

22

ここに, 

C: 試料ガス中のフェノール類の濃度 (volppm) 

a: 検量線から求めた分析用試料溶液中のフェノール類の濃度 

(μg/ml) 

94.1: フェノールの分子量 

VS: JIS K 0095の5.1.7で求めた試料ガス採取量 (l) 

V2: 分析用試料溶液の調製量 (ml) 

6. 分析結果の記録 

6.1 

記録項目 分析結果として記録する項目は,次のとおりとする。 

(1) 分析値 

(2) 分析方法の種類 

(3) 試料ガスの採取日時 

(4) その他必要と認められる事項 

6.2 

排ガス分析値の求め方 定量は,試料採取ごとに同一分析試料溶液について2回行い,それらの平

均値を求め,有効数字2けたに丸める。 

付表1 引用規格 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0095 排ガス試料採取方法 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0512 水素 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

K 0086 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8048 4-アミノアンチピリン(試薬) 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8530 臭素酸カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬) 

JIS K 8798 フェノール(試薬) 

JIS K 8801 ヘキサシアノ鉄 (III) 酸カリウム(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS Z 8808 排ガス中のダスト濃度の測定方法 

10 

K 0086 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

排ガス中のフェノール類分析方法改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

◎ 荒 木   峻 

東京都立大学名誉教授 

倉   剛 進 

工業技術院標準部 

柳 下 正 治 

環境庁大気保全局 

小野川 和 延 

環境庁大気保全局 

浦 嶋 将 年 

通商産業省環境立地局 

田 坂 勝 芳 

通商産業省通商産業検査所 

○ 田 中 敏 之 

資源環境技術総合研究所 

飯 田 芳 男 

成蹊大学 

○ 堀   雅 宏 

横浜国立大学工学部 

○ 岩 崎 好 陽 

東京都環境科学研究所 

金 子 幹 宏 

神奈川県環境科学センター 

野々村   誠 

東京都立工業技術センター 

星 野   充 

千葉県環境研究所 

○ 大 木 正 巳 

財団法人化学品検査協会東京事業所 

八 木 孝 夫 

株式会社島津製作所 

○ 秋 山 重 之 

社団法人日本分析機器工業会(株式会社堀場製作所) 

木 村   康 

社団法人日本鉄鋼連盟 

勝 部 博 光 

電気事業連合会 

今 田 誠 二 

石油連盟(株式会社日鉱共石製油部) 

石 岡   修 

財団法人機械電子検査検定協会 

鈴 木 弘 七 

新日本気象海洋株式会社 

○ 西 海   里 

株式会社環境管理センター 

世 良   昇 

社団法人日本環境測定分析協会 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

(事務局) 

計 良 敏 雄 

社団法人日本環境測定分析協会 

◎分科会長を兼ねる 

○分科会委員を兼ねる 

環境・リサイクル部会 大気企画専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

飯 田 芳 男 

成蹊大学名誉教授 

飯 島   孝 

環境庁大気保全局 

岩 崎 好 陽 

東京都環境科学研究所 

大 木 正 巳 

財団法人化学品検査協会 

金 子 幹 宏 

神奈川県横須賀・三浦地区行政センター 

興 嶺 清 志 

財団法人日本環境衛生センター 

世 良   昇 

社団法人日本環境測定分析協会 

田 中 敏 之 

工業技術院資源環境技術総合研究所 

土 屋 悦 輝 

東京都立衛生研究所環境保健部 

西 出 徹 雄 

工業技術院標準部 

藤 冨 正 晴 

通商産業省環境立地局 

保 母 敏 行 

東京都立大学 

(事務局) 

岡 本 康 男 

工業技術院標準部消費生活規格課 

橋 田 安 弘 

工業技術院標準部消費生活規格課