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K 0050:2019  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 1 

2 引用規格 1 

3 用語及び定義  3 

4 量及び単位  4 

5 数値の表し方及び丸め方  5 

5.1 数値の表し方  5 

5.2 数値の丸め方  6 

6 化学分析の種類  6 

6.1 一般事項  6 

6.2 定性分析  6 

6.3 定量分析  7 

7 化学分析に用いる水,試薬,器具及び計測器  8 

7.1 水及び試薬  8 

7.2 器具  9 

7.3 計測器  9 

8 分析・保管場所の状態  10 

8.1 分析場所の状態  10 

8.2 試薬及び溶液類の保管場所の状態 10 

9 サンプリング  10 

9.1 試料の採取  10 

9.2 試料の取扱い及び保存  11 

10 試料の前処理  11 

11 定量操作  13 

11.1 定量値の求め方  13 

11.2 検量線の作成方法  13 

11.3 空試験値の求め方  13 

11.4 分析回数及び分析値の決め方  13 

12 化学分析で用いる標準物質  14 

12.1 一般事項  14 

12.2 純物質系標準物質  14 

12.3 組成標準物質  14 

13 記録  14 

14 化学分析の信頼性  15 

15 化学分析の安全及び環境に関する注意事項  15 

附属書A(参考)化学的方法による定性分析  16 


 

K 0050:2019 目次 

(2) 

ページ 

附属書B(参考)沈殿重量分析の一般的操作 18 

附属書C(参考)容量分析の一般的操作  22 

附属書D(規定)化学分析に用いる水  24 

附属書E(規定)特殊用途の水の調製方法及び保存方法  25 

附属書F(参考)主な器具の洗浄方法  27 

附属書G(参考)白金器具使用上の注意  29 

附属書H(規定)はかり(天びん)のひょう量値に対する空気の浮力補正  31 

附属書I(規定)体積計の校正方法  33 

 

 


 

K 0050:2019  

(3) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本

分析化学会(JSAC)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を

改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で

ある。これによって,JIS K 0050:2011は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

 

 


 

 

  

日本工業規格          JIS 

 

K 0050:2019 

 

化学分析方法通則 

General rules for chemical analysis 

 

適用範囲 

この規格は,化学分析方法に関する一般的な事項について規定する。 

なお,この規格における化学分析方法は,物質の化学種の定性及び/又は定量を行うための操作・技術

をいい,化学的方法,物理的方法などがあるが,この規格では,主に化学的方法に基づく定性分析及び定

量分析について規定する。 

 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 1960 室内空気のサンプリング方法通則 

JIS B 7414 ガラス製温度計 

JIS B 7601 上皿天びん 

JIS B 7609 分銅 

JIS B 7611-1 非自動はかり−性能要件及び試験方法−第1部:一般計量器 

JIS B 7611-2 非自動はかり−性能要件及び試験方法−第2部:取引又は証明用 

JIS B 7611-3 非自動はかり−性能要件及び試験方法−第3部:分銅及びおもり−取引又は証明用 

JIS C 1602 熱電対 

JIS C 1604 測温抵抗体 

JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ 

JIS H 6202 化学分析用白金皿 

JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則 

JIS K 0060 産業廃棄物のサンプリング方法 

JIS K 0094 工業用水・工場排水の試料採取方法 

JIS K 0095 排ガス試料採取方法 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0212 分析化学用語(光学部門) 

JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門) 

JIS K 0214 分析化学用語(クロマトグラフィー部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 


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JIS K 0216 分析化学用語(環境部門) 

JIS K 0410-3-4 水質−サンプリング−第4部:天然及び人造湖からのサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-7 水質−サンプリング−第7部:ボイラ施設の水及び蒸気のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-8 水質−サンプリング−第8部:湿性沈着のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-9 水質−サンプリング−第9部:海水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-10 水質−サンプリング−第10部:廃水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-12 水質−サンプリング−第12部:底質のサンプリングの指針 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬) 

JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8223 過塩素酸(試薬) 

JIS K 8230 過酸化水素(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8509 臭化水素酸(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬) 

JIS K 8780 ピロガロール(試薬) 

JIS K 8819 ふっ化水素酸(試薬) 

JIS K 8917 よう化水素酸(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 9005 りん酸(試薬) 

JIS M 8100 粉塊混合物−サンプリング方法通則 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 8000-1 量及び単位−第1部:一般 

JIS Z 8000-3 量及び単位−第3部:空間及び時間 

JIS Z 8000-4 量及び単位−第4部:力学 

JIS Z 8000-5 量及び単位−第5部:熱力学 

JIS Z 8000-6 量及び単位−第6部:電磁気 

JIS Z 8000-7 量及び単位−第7部:光 

JIS Z 8000-8 量及び単位−第8部:音 

JIS Z 8000-9 量及び単位−第9部:物理化学及び分子物理学 

JIS Z 8000-10 量及び単位−第10部:原子物理学及び核物理学 


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JIS Z 8000-11 量及び単位−第11部:特性数 

JIS Z 8000-12 量及び単位−第12部:固体物理学 

JIS Z 8301:2008 規格票の様式及び作成方法 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8402-1 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第1部:一般的な原理及び定義 

JIS Z 8402-2 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第2部:標準測定方法の併行精度及

び再現精度を求めるための基本的方法 

JIS Z 8402-3 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第3部:標準測定方法の中間精度 

JIS Z 8402-4 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第4部:標準測定方法の真度を求め

るための基本的方法 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法 

JIS Z 8705 ガラス製温度計による温度測定方法 

JIS Z 8706 光高温計による温度測定方法 

JIS Z 8707 充満式温度計及びバイメタル式温度計による温度測定方法 

JIS Z 8710 温度測定方法通則 

JIS Z 8802 pH測定方法 

JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極 

JIS Z 8816 粉体試料サンプリング方法通則 

JIS Z 9002 計数規準型一回抜取検査(不良個数の場合)(抜取検査その2) 

JIS Z 9003 計量規準型一回抜取検査(標準偏差既知でロットの平均値を保証する場合及び標準偏差

既知でロットの不良率を保証する場合) 

JIS Z 9004 計量規準型一回抜取検査(標準偏差未知で上限又は下限規格値だけ規定した場合) 

JIS Z 9015-0 計数値検査に対する抜取検査手順−第0部:JIS Z 9015抜取検査システム序論 

JIS Z 9015-1 計数値検査に対する抜取検査手順−第1部:ロットごとの検査に対するAQL指標型抜

取検査方式 

JIS Z 9015-2 計数値検査に対する抜取検査手順−第2部:孤立ロットの検査に対するLQ指標型抜取

検査方式 

JIS Z 9015-3 計数値検査に対する抜取検査手順−第3部:スキップロット抜取検査手順 

ISO 384,Laboratory glass and plastics ware−Principles of design and construction of volumetric instruments 

ISO 1042,Laboratory glassware−One-mark volumetric flasks 

ASTM E288,Standard specification for laboratory glass volumetric flasks 

 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0211,JIS K 0212,JIS K 0213,JIS K 0214,JIS K 0215

及びJIS K 0216によるほか,次による。 

3.1 

化学種(chemical species) 

物質を構成している元素又は化合物の構造的若しくは組織的形態。 


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3.2 

分析種(analyte) 

分析試料又は試料溶液中の被検成分。分析対象成分ともいう。 

3.3 

分析試料(analytical portion) 

分析を行うために,分析用試料からはかりとったもの,又は測定にかけられる状態に調製した試料。測

定試料ともいう。 

3.4 

分析用試料(analytical sample) 

分析を行うために,試験室試料について何らかの予備処理を行った試料。測定用試料ともいう。 

3.5 

定量値(quantitative value) 

化学種の量を明らかにする操作によって得られた値。 

3.6 

分析値(analytical value) 

化学分析の結果として得られた値。 

3.7 

測定値(measured value) 

測定によって得られた値。 

 

量及び単位 

量及び単位の表し方は,JIS Z 8000規格群に規定する国際単位系(SIと併用を認めている単位を含む。)

によるほか,次による。ただし,強制法規がある場合において,やむを得ない場合は,この限りではない。 

a) 質量分率,体積分率又は物質量分率(モル分率)については,質量分率0.05のように,無名数で表す

(例1参照)。数値の後に空白を挿入して,0.01を表す%又は0.001を表す‰(“パーミル”という。)

を用いて表してもよい(例2参照)。また,%又は‰の後にどの分率によるかを表示してもよい(例3

参照)。 

例1 質量分率0.05 

例2 質量分率5 % 

例3 5 %(質量分率) 

注記1 JIS Z 8000-1の6.5.5(単位1)には,“質量分率及び体積分率は,また,μg/g=10−6又は

mL/m3=10−6という形式で表すこともできる。”と規定されていて,質量分率及び体積分率

には,組立単位の使用が認められている。 

注記2 JIS Z 8000-1の6.5.5(単位1)には,“ppm,pphm,ppb,pptなどのような略号は,言語に

よるので,不明瞭であるため,用いてはならない。代わりに,10のべき乗の使用が望まし

い。”と規定されている。ただし,計量法では,単位として“質量百分率(%),質量千分

率(‰),質量百万分率(ppm),質量10億分率(ppb),質量1兆分率(ppt),質量1 000

兆分率(ppq),体積百分率(vol %又は%),体積千分率(vol ‰又は‰),体積百万分率(vol 

ppm又はppm),体積10億分率(vol ppb又はppb),体積1兆分率(vol ppt又はppt),体

積1 000兆分率(vol ppq又はppq)及びピーエッチ(pH)”を使用することとされている


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ので,法定関係での分析においては,“強制法規がある場合において,やむを得ない場合”

に該当して,ppmなどの使用が認められている。 

b) 表内のある行又は列の各欄の全てに%を用いて表した組成を示す場合,見出し欄に質量分率(%),%

(質量分率)などのように,質量分率,体積分率又は物質量分率のいずれかを記載する。この場合,

質量分率(%)などを表の単位記号としてもよい。 

なお,固体の組成で,質量分率の百分率で表すことが明らかな場合には,質量分率と記載せず,単

に%だけとしてもよい。また,この場合,表の単位記号を%としてもよい。 

c) 質量濃度(質量を混合物の体積で除したもの)又は物質量濃度(物質量を混合物の体積で除したもの)

の記載においては,体積の測定条件を明示する。ただし,20 ℃での液体の体積の場合又は101.325 kPa,

0 ℃での気体の体積の場合については明示しなくてもよい。 

d) 水素イオン活量の逆数の常用対数は,“pH”で表す。 

e) 水との混合比で表すことのできる試薬(表1)については,試薬の体積aと水の体積bとを混合した

場合,“試薬名(a+b)”又は“化学式(a+b)”と表示してもよい。 

なお,この表と異なる純度,物質量濃度又は密度の試薬を用いる場合,(a+b)の表示は適用できな

い。 

 

表1−水との混合比で表すことのできる試薬 

試薬の名称 

化学式 

純度又は濃度 

%(質量分率) 

物質量濃度 

(概略値)a) 

mol/L 

密度(20 ℃)a) 
g/cm3(g/mL) 

適用できる試薬
の規格 

塩酸b) 

HCl 

35.0〜37.0 

11.7 

1.18 

JIS K 8180 

硝酸 

HNO3 

60〜61 

13.3 

1.38 

JIS K 8541 

過塩素酸 

HClO4 

60.0〜62.0 

 9.4 

1.54 

JIS K 8223 

ふっ化水素酸 

HF 

46.0〜48.0 

27.0 

1.15 

JIS K 8819 

臭化水素酸 

HBr 

47.0〜49.0 

 8.8 

1.48 

JIS K 8509 

よう化水素酸 

HI 

55.0〜58.0 

 7.5 

1.70 

JIS K 8917 

硫酸 

H2SO4 

95.0以上 

17.8以上 

1.84以上 

JIS K 8951 

りん酸 

H3PO4 

85.0以上 

14.7以上 

1.69以上 

JIS K 9005 

酢酸 

CH3COOH 

99.7以上 

17.4以上 

1.05以上 

JIS K 8355 

アンモニア水 

NH3 

28.0〜30.0 

15.4 

0.90 

JIS K 8085 

過酸化水素 

H2O2 

30.0〜35.5 

− 

1.12 

JIS K 8230 

注a) 純度又は濃度が範囲で表される試薬の物質量濃度及び密度は,その範囲を示す値の平均値を示す。 

b) JIS K 8180に規定する塩酸(試薬)には,特級,ひ素分析用及び微量金属分析用があるが,この表に示

す塩酸は,特級である。ただし,ひ素分析用については,塩酸(ひ素分析用)と記すことによって,箇
条4のe) に規定した(a+b)の表示を適用できる。 

 

数値の表し方及び丸め方 

5.1 

数値の表し方 

数値を指定するときの表し方は,JIS Z 8301:2008のI.1.1(数値の表し方)によるほか,次による。 

a) “1”,“1.1”,“1.23”のように数値を表す場合,丸めた結果が示した値になることを意味する。 

b) 許容差として“±”を付けて数値を指定する場合,丸めた結果が指定した範囲にあることを許容する

ことを意味する。 

例1 5.0±0.2とした場合,丸めた結果が4.8〜5.2の範囲にあることを許容することを意味する。 


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c) “10〜15”のように,連続符号“〜”を付けて範囲を指定する場合,丸めた結果が10から15までの

範囲にあることを許容することを意味する。例えば,正確に10以上かつ15以下を示したいときは,

“10.00〜15.00”のように,必要な桁数を明示する。ただし,“10 ℃〜15 ℃”のように温度範囲を指

定する場合は,範囲の最低値は1桁下の数値を切り捨てた温度を,最高値は切り上げた温度を意味す

る。 

d) “約2.0”のように“約”を付けて数値を指定する場合,その数値に近い値を意味する。許容範囲が必

要なときは,その数値の±10 %又はその数値への丸め誤差のいずれか幅広い方とする。 

例2 約2及び約10の許容範囲は,その数値の±10 %にすると,それぞれ1.8〜2.2,及び9〜11で

ある。一方,その数値への丸め誤差とすると,丸めの幅が1の場合,1.5〜2.5及び9.5〜10.5

である。したがって,いずれか幅広い方とするので,約2及び約10の許容範囲は,それぞれ

数値の丸め方に従った範囲1.5〜2.5,及びその数値の±10 %に相当する9〜11となる。 

e) 温度及び温度差を小数点以下の指定がない整数で示す場合,セルシウス度(℃)を用いるときは,指

定した温度の±1 ℃又は±5 %のいずれか大きい方の差を許容することを意味し,ケルビン(K)を用

いるときは,指定した温度の±1 K又は指定した温度から273を差し引いた値の±5 %のいずれか大き

い方の差を許容することを意味する。 

f) 

数値を指定するときの表し方には,“約1 gを0.1 mgの桁まで読み取る。”のように読取りに必要な桁

を示してもよい。 

g) 体積について“正確に10 mL”のように指定するときは,全量フラスコ,全量ピペット,ビュレット

などを用い,その体積計のもつ正確さで液体をはかることを意味する。 

h) 質量について“正確に10.0 g”を指定する場合と,“約10 gを1 mgの桁まで正確にはかる”を指定す

る場合とを明確に区別する。前者は丸めた結果が10.0 gであることを意味し,後者は例えば9.856 g

のようにはかることを意味する。 

5.2 

数値の丸め方 

測定値・計算値を丸める場合の丸め方は,JIS Z 8401による。 

 

化学分析の種類 

6.1 

一般事項 

化学分析は,化学的及び/又は物理的な各種の原理に基づいた多くの種類があり,分析の目的,試料,

分析種の性状などをあらかじめ十分に把握し,適切な分析方法を選択して行う。ここでは,化学分析の種

類を定性分析及び定量分析に分け,定量分析についてはその基本となる測定技術の種類によって分類する。

ただし,この分類では分かりにくく,社会一般によく知られた分析方法名称がある場合はそれらを追加す

る。機器を用いる分析方法に共通する一般事項は,それぞれの日本工業規格(以下,JISという。)による。

化学分析の主な種類は,次による。 

6.2 

定性分析 

6.2.1 

化学的方法による定性分析 

化学的方法による定性分析は,次による。その一般的な方法の概要を,附属書Aに参考として示す。 

a) 陽イオンの定性分析 陽イオンでは,水酸化ナトリウム又はアンモニアによる沈殿生成又は溶解で確

認する方法,塩化物イオン,硫化物イオン,クロム酸イオンなどと反応させて沈殿生成させる方法,

酸化還元反応による分析種の析出又はガス成分として分離する方法などがある。また,乾式による予

備試験として,色,結晶形,密度,硬度などを調べる物理的性質の観察,塩類を無色の炎中に入れて


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強熱し,炎色反応によって元素特有の色を確認する方法などがある。 

b) 陰イオンの定性分析 陰イオンでは,バリウムイオン又は銀イオンによる沈殿生成又は溶解で確認す

る方法,イオン特有の着色による方法,液性,臭気,炭化試験などを用いる方法などがある。 

c) その他 比色分析,ペーパークロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィー,点滴分析,鏡検分析な

どがある。 

6.2.2 

物理的方法による定性分析 

定性分析の原理には,標準物質を用いた光分析におけるスペクトル,X線照射における蛍光X線,電子

線分析における特性X線,電気化学分析における金属元素の析出及び溶出の電位,質量分析における質量

スペクトル及び同位体比,クロマトグラフィーにおける保持時間,熱分析におけるガラス転移点,融点な

どによるものがある。 

6.3 

定量分析 

6.3.1 

重量分析 

重量分析は,定量しようとする成分を一定の組成の純物質として分離し,その質量又は残分の質量から

分析種の量を求める方法であり,用いる分離方法によって主に次の3種類に区分する。 

a) 沈殿重量分析 沈殿重量分析は,試料溶液中の分析種を沈殿として分離し,その沈殿又は沈殿を別の

一定組成の物質に変えたものの質量をはかって定量する方法である。沈殿重量分析の一般的操作方法

を,附属書Bに参考として示す。 

b) ガス重量分析 ガス重量分析は,試料を直接加熱するか又は試料に試薬を反応させ,試料中の分析種

を気体として分離し,分離した気体を吸収剤に吸収させて,その質量の増加をはかり,定量する方法

である。 

c) 電解重量分析 電解重量分析は,試料溶液中の分析種を電解によって電極上に析出分離し,その質量

をはかって定量する方法である。 

6.3.2 

容量分析 

容量分析は,滴定操作によって分析種の全量と定量的に反応する滴定液(滴定用溶液ともいう。)の体積

を求め,その値から分析種を定量する方法である。容量分析の一般的操作方法を,附属書Cに参考として

示す。電位差・電流・電量・カールフィッシャーに関する滴定方法は,JIS K 0113による。 

滴定は,化学反応の種類によって次の4種類に区分する。 

a) 中和滴定(酸塩基滴定) 酸と塩基との中和反応を利用する滴定によって定量する方法 

b) 酸化還元滴定 酸化還元反応を利用する滴定によって定量する方法 

c) 錯滴定 錯体の生成又は分解反応を利用する滴定によって定量する方法 

d) 沈殿滴定 沈殿の生成又は消滅を利用する滴定によって定量する方法 

注記 滴定には,その操作方法によって,次の種類がある。 

1) 直接滴定 試料溶液に滴定液を直接滴加して滴定する方法 

2) 逆滴定 試料溶液に過剰量の標準液を一定量加え,その過剰量を他の種類の滴定液を用

いて滴定し,分析種の量を間接的に求める方法。反応が遅く直接滴定が困難な場合,沈

殿又は副反応を生じる場合,適切な指示薬が得られない場合などに用いる。 

6.3.3 

光分析 

光分析は,光の放射,吸収,散乱などを利用して行う方法である。紫外・可視分光分析,真空紫外分光

分析,赤外分光分析,近赤外分光分析,ラマン分光分析,蛍光光度分析,原子吸光分析,炎光光度分析,

発光分光分析(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析,スパーク放電発光分光分析など),化学発光分析な


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どがある。 

6.3.4 

電磁気分析 

電磁気分析は,X線,電子線,電場,磁場などの電磁気的特性を分析種に作用させて,分子,原子など

に関する情報を得る方法である。蛍光X線分析,電子線マイクロアナリシス,核磁気共鳴分析,電子スピ

ン共鳴分析,質量分析(ガスクロマトグラフィー質量分析,高速液体クロマトグラフィー質量分析,高周

波誘導結合プラズマ質量分析),放射化分析などがある。 

6.3.5 

電気化学分析 

電気化学分析は,物質の電気的又は電気化学的性質を直接的又は間接的に利用して行う方法である。電

位差滴定,電流滴定,電量滴定,イオン電極測定方法,ボルタンメトリー,電気伝導率測定方法などがあ

る。 

6.3.6 

クロマトグラフィー 

クロマトグラフィーは,試料を固定相に接して流れる移動相に導入して,固定相及び移動相に対する成

分の特性の差によって分離する方法である。ガスクロマトグラフィー,高速液体クロマトグラフィー,イ

オンクロマトグラフィー,超臨界流体クロマトグラフィーなどがある。 

6.3.7 

熱分析 

熱分析は,物質の温度を調節したプログラムに従って変化させながら,その物質及び/又はその反応生

成物による物理的性質を温度の関数として測定する一群の技法を用いて行う方法である。示差熱分析,示

差走査熱量測定,熱重量測定,熱機械分析などがある。 

6.3.8 

流れ分析 

流れ分析は,流れの中で分析種と試薬とを反応させた成分を下流に設けた検出部で連続的に検出,定量

する方法である。フローインジェクション分析,連続流れ分析,シーケンシャルインジェクション分析な

どがある。 

6.3.9 

電気泳動分析 

電気泳動分析は,直流電場のもとで液体の媒質中を帯電した粒子がいずれか一方の極へ移動することを

利用して分離する方法である。ゾーン電気泳動法,等速電気泳動法,等電点電気泳動法などがある。 

 

化学分析に用いる水,試薬,器具及び計測器 

7.1 

水及び試薬 

水及び試薬は,次による。 

a) 水 水は,附属書Dによる。ただし,各化学分析方法のJISに規定がある場合は,それによる。また,

附属書Eに,特殊用途の水として,溶存酸素を除いた水及び二酸化炭素を除いた水の調製方法,並び

にそれらの水の保存方法を示す。 

なお,水及び溶液は,用いる温度によって次のように区分する。 

 冷水(15 ℃以下の水) 

 温水及び温溶液(40 ℃以上60 ℃未満の水及び溶液) 

 熱水及び熱溶液(60 ℃以上の水及び溶液)1) 

注1) 60 ℃以上に加熱すると揮散による濃度変化を起こすような溶液については,加熱温度範囲を

60 ℃〜70 ℃にすることが望ましい。 

b) 試薬 試薬は,JISに規定するもの又はこれと同等以上のものを用い,JISに規定がない場合は,試験

に支障のないものを用いる。また,電気加熱原子吸光分析,高周波誘導結合プラズマ質量分析など,


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極微量成分の試験には,高純度の試薬を用いる。 

表1に示す試薬については,試薬名又は化学式で表示することができる。表1と異なる純度又は濃

度,物質量濃度及び密度の試薬を用いる場合は,その純度又は濃度を試薬名又は化学式の後に記載す

る。 

7.2 

器具 

器具には,ガラス器具,磁器器具,石英ガラス器具,白金器具,合成樹脂製器具,ろ紙などがあり,JIS

に規定するもの[例えば,JIS R 3503:化学分析用ガラス器具,JIS H 6201:化学分析用白金るつぼ,JIS H 

6202:化学分析用白金皿及びJIS P 3801:ろ紙(化学分析用)],又はこれと同等のものを用いる。JISに規

定されていないもの(例えば,合成樹脂製のデシケーターなど)については,その分析に適切なものを用

いる。また,化学分析に用いる器具は,分析の前に洗浄操作を行う。 

なお,けい素,ほう素,ナトリウム,カリウム,ひ素,亜鉛などを分析する場合には,ほうけい酸ガラ

スからのこれらの成分の溶出に十分に注意する。 

注記1 ガラス器具,磁器器具,石英ガラス器具,白金器具(白金るつぼ又は白金皿)及び合成樹脂

製器具の洗浄方法を,附属書Fに参考として示す。 

注記2 白金器具(白金るつぼ又は白金皿)使用上の注意を,附属書Gに参考として示す。 

7.3 

計測器 

計測器は,次による。 

a) 質量の計測器 質量は,化学はかり(化学天びん),精密はかり(精密天びん),上皿はかり(上皿天

びん),電子はかり(電子天びん)などの計測器を用いてはかる。はかり(天びん)は,JIS B 7601に

規定する上皿天びん,JIS B 7611-1〜JIS B 7611-3などに規定する非自動はかりによる。はかり(天び

ん)の設置は,水平を保ち,風,温度変化及び振動の影響を受けない場所を選ばなければならない。

はかり(天びん)は,定期的に点検,校正を行う。はかり(天びん)を用いてひょう量するときの空

気の浮力補正は,附属書Hによる。 

b) 体積の計測器 液体,気体などの体積は,次に示す体積計を用いてはかる。特に正確さを必要とする

場合は,校正済みの体積計を用いる。 

1) 液体 液体の体積をはかる場合は,JIS R 3505に規定するビュレット,メスピペット,全量ピペッ

ト,全量フラスコ,首太全量フラスコ,メスシリンダーのほか,JIS K 0970に規定するピストン式

ピペットを用いる。その他,体積をはかるものとしてマイクロシリンジなどがある。JIS R 3505に

規定する材質以外のものを用いる場合は,個別規格に規定する。樹脂製体積計は,ASTM E288,ISO 

384又はISO 1042などのクラスBで保障されたものを使用することが望ましい。全量ピペット,全

量フラスコ,ビュレットなどの校正は,附属書Iに示すものの中から適切な方法によって行う。 

2) 気体 気体の体積をはかる場合は,ガスビュレット,ガスメーター,注射筒,マイクロシリンジ,

気体計量管などを用いる。 

c) 温度の計測器 温度の計測器は,ガラス製温度計,熱電対温度計,光高温計などを用いる。温度計は,

JIS B 7414,JIS C 1602,JIS C 1604などによる。温度の測定方法は,JIS Z 8704〜JIS Z 8707及びJIS 

Z 8710による。特に正確さを必要とする場合は,JIS Z 8710によってあらかじめ温度計の校正を行う。 

d) その他の計測器 溶液のpHをはかる計測器は,JIS Z 8802に規定するpH計及びJIS Z 8805に規定す

るガラス電極を用いる。pHの測定方法は,JIS Z 8802による。 


10 

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分析・保管場所の状態 

8.1 

分析場所の状態 

分析場所の状態は,次による。 

a) 温度 標準温度は,20 ℃とする。分析場所の温度は,常温(20±5)℃又は室温(20±15)℃のいず

れかとする。冷所とは,2 ℃〜15 ℃の場所とする。 

b) 湿度 標準湿度は,相対湿度65 %とする。分析場所の湿度は,常湿(65±20)%とする。 

c) 気圧 分析場所の気圧は,86 kPa〜106 kPaとする。 

8.2 

試薬及び溶液類の保管場所の状態 

試薬及び溶液類の保管場所の状態は,次による。 

a) 温度 試薬及び溶液類は,個別規格,ラベルの指示などに従って保存する。また,その指示が,温度

で示される場合,2 ℃〜8 ℃は冷蔵し,8 ℃〜15 ℃は冷涼な場所に保存する。ただし,8 ℃〜15 ℃

の保存条件を維持することが難しい場合,冷蔵することもあるが,変質に注意する必要がある。冷蔵

の場合で,液体試薬,溶液類及び標準液については,変質を起こすことがあるため,凍結しないよう

に保存する。 

b) 湿度 乾燥した場所を必要とする場合,個別の規定がない場合,相対湿度40 %以下の状態で保存する。 

c) 遮光 光を遮って保存する必要がある場合,直射日光及び人為的な強い光の当たらない場所に保存す

る。 

 

サンプリング 

9.1 

試料の採取 

分析対象の一部から分析用試料を得るために行うのが試料の採取(サンプリング)である。サンプリン

グは母集団の特性の平均値と分析用試料の特性の平均値とを可能な限り一致させることが重要である。 

サンプリング方法は,対象試料の状態(気体,液体又は固体),分析種の状態(気体試料中の気体,液体

又は固体の成分,液体試料中の気体,液体又は固体の成分,固体試料中の固体の成分など),母集団の大き

さ,分析目的(規格値への合否判定検査の場合,平均組成を求める場合,分布状態を求める場合,時間変

動による瞬間値を求める場合など)などによって異なる。したがって,サンプリング計画の立案に当たっ

ては,用いるサンプリング手法,サンプリング装置・器具・機材などを適切に選択する。 

検査のためのサンプリングについては,計数規準型一回抜取検査に関してはJIS Z 9002,計量規準型一

回抜取検査に関してはJIS Z 9003及びJIS Z 9004があり,計数値検査に対する抜取検査手順に関してはJIS 

Z 9015-0〜JIS Z 9015-3が定められている。そのほか,サンプリングに関しては,室内空気のJIS A 1960,

産業廃棄物のJIS K 0060,工業用水・工場排水のJIS K 0094,排ガス試料のJIS K 0095,水質のJIS K 

0410-3-4,JIS K 0410-3-7〜JIS K 0410-3-10及びJIS K 0410-3-12,粉塊混合物のJIS M 8100及び粉体試料

のJIS Z 8816など,対象試料の状態及び分析種の状態によって個別に定められている。 

粉塊混合物試料のサンプリング方法の例を次に示す。 

a) 層別サンプリング 母集団を層別して各層からランダムサンプリングする方法[図1 a)]。層の大きさ

に比例してサンプリングする方法を層別比例サンプリングという。 

b) 系統サンプリング 母集団から時間・空間的に一定の間隔でサンプリングする方法[図1 b)]。 

c) 二段サンプリング 母集団を幾つかの部分に分け,まず第一段として,その中のある部分をサンプル

(一次サンプル)として取り,第二段として,取った部分から各々幾つかの単位体,又は単位量をサ

ンプル(二次サンプル)として取る方法[図1 c)]。 


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d) ランダムサンプリング 母集団から全くランダムにサンプルを選択する方法[図1 d)]。 

 

 

 

a) 層別サンプリング 

b) 系統サンプリング 

 

 

 

c) 二段サンプリング 

d) ランダムサンプリング 

図1−サンプリング方法の例 

 

9.2 

試料の取扱い及び保存 

試料は,変質,劣化,分析種の汚染及び損失がないように取り扱う。保存が必要な場合は,化学種の性

状に応じて光,温度,酸素,水分(湿度)などの影響に注意し,遮光,保冷,密栓,除湿などの処置を講

ずる。試料の変質,劣化,容器への吸着などを防ぐため,試料に対してpH調節,酸化防止剤の添加など

を行う。 

なお,試料の保管場所の状態は,8.2に準じる。 

 

10 試料の前処理 

試料中の分析種を化学分析方法に適した測定状態にするために,試料の前処理を必要に応じて行う。化

学分析における試料の前処理方法は,対象試料の状態(気体,液体又は固体),性状,分析種の濃度,安定

性,妨害成分の濃度,用いる分析方法などの要因によって異なるので,それぞれの目的に応じて前処理の

操作を組み合わせて行う。重量分析,容量分析,紫外・可視分光分析,蛍光光度分析,原子吸光分析,炎

光光度分析,高周波誘導結合プラズマ発光分光分析,高周波誘導結合プラズマ質量分析,電気化学分析,

流れ分析,電気泳動分析などでは,次に示すように,試料を分解した後,分析に供する。蛍光X線分析,

スパーク放電発光分光分析,熱分析などでは,個別の規格に規定した方法によって,試料を分析に適した

状態に調製する。 

a) 試料の分解 固体試料又は液体試料の場合,分析方法によっては試料を分解する必要がある。試料の

分解方法には,次の方法がある。 

1) 酸による分解 試料及び分析種に応じて,塩酸,硝酸,過塩素酸,ふっ化水素酸,臭化水素酸,硫

酸,りん酸,酢酸,過酸化水素などを加え,試料を分解する。酸を加熱すると有害なガスが発生す

るため,これらの操作は排気設備が整った環境下(ドラフト内など)で行う。また,過塩素酸は,

単独で有機物と接した状態で加熱すると爆発するため,有機物がないことを確認して加熱するか,

硝酸などが含まれる状態で加熱する。室温では分解が困難な場合は,ホットプレートなどで加熱を

行う。これらの操作でも分解しにくい試料又は揮発する成分を分析する場合は,専用の加圧分解容

器を用いて密閉系で加熱分解するか,又はマイクロ波加熱分解を行う。 

2) 酸性塩による融解 試料及び分析種に応じて二硫酸塩(例えば,二硫酸カリウム)又は硫酸水素塩


12 

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(例えば,硫酸水素カリウム)と試料とを混合し,強熱して融解し,融成物を水,酸などに溶解さ

せることによって分解を行う。また,この方法は,1) の酸分解を行った後に,沈殿などの不溶解物

が認められた場合などでも適用できる。この場合,不溶解物をろ紙を用いてろ過を行い,ろ紙を灰

化後,融解操作を行う。 

3) アルカリ塩による分解 試料及び分析種に応じて水酸化物(水酸化ナトリウム,水酸化カリウムな

ど),炭酸塩(炭酸ナトリウム,炭酸カリウムなど)などによって試料を分解する。アルカリ塩を適

切な濃度になるように水に溶解し,これを用いて試料を分解する。室温では分解が困難な場合は,

ホットプレートなどで加熱を行う。この場合,ガラス製の容器はアルカリに侵されるため,白金製,

ニッケル製,ふっ素樹脂製などの容器を用いる。 

4) アルカリ塩による融解 試料及び分析種に応じて,白金製,ニッケル製又はジルコニウム製のるつ

ぼなどに試料を入れ,水酸化物(水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなど),炭酸塩(炭酸ナトリウ

ム,炭酸カリウムなど)又は過酸化アルカリ塩(例えば,過酸化ナトリウム)を加えて混合した後,

強熱して融解し,融成物を水,酸などに溶かすことによって分解を行う。試料の分解を促進させる

ために,必要に応じてアルカリ塩とともにほう酸塩,硝酸塩などを加える。また,この方法は1) の

酸分解を行ったときに,沈殿などの不溶解物が認められた場合などでも適用できる。この場合,不

溶解物をろ紙を用いてろ過を行い,ろ紙を灰化後,融解操作を行う。 

5) 燃焼による分解 試料及び分析種に応じて,磁器製,石英ガラス製,白金製,アルミナ製などの容

器に試料を入れ,加熱する。その場合,強熱すると試料の飛散,爆発などの危険があるため,最初

は低温で加温し,徐々に設定した温度まで昇温する。加熱は,温度設定が可能な電気抵抗加熱炉な

どを用いて行う。また,炭素,硫黄,水銀,ハロゲンなどの分析種を燃焼によって気化して分析,

又は取り出すときは,酸素,加湿,不活性ガスなど,最適な雰囲気中で高周波誘導加熱炉,管状電

気抵抗加熱炉などを用いて試料を燃焼する。 

b) 分析種又は共存する成分の分離 分解した試料に含まれる分析種を定量分析する場合に,共存する成

分が測定を妨害するようなときは,あらかじめ分析種を分離するか,又は逆にマトリックスをはじめ

とする共存する成分を分離する必要がある。分離には,次の方法がある。 

1) 沈殿 分析種又は共存する成分を沈殿させて分離を行う。その場合,分離する成分と反応して難溶

性の化合物を生成する物質を加える,分離する成分と共沈を起こす成分を加える,pHを調整して加

水分解などの反応を起こす,溶液を蒸発させて脱水するなどの方法によって沈殿を生成する。次い

で,生成した沈殿は適切な粗さのろ紙を用いてろ過する。 

2) 抽出 分解した試料と他の相とを混合し,分析種,又は共存する成分を他相に移すこと(抽出)に

よって分離を行う。その方法には,分離を目的とする成分が吸着又はイオン交換をする物質を充塡

したカラムに試料溶液を通して分離を行う固相抽出,分解した溶液と混ざり合わない溶媒とを加え,

分離を目的とする成分をキレート錯体,付加錯体,イオン対などにして溶媒相に分離する液液抽出

などがある。固相抽出,液液抽出などによって分離した成分は,必要に応じて,酸,アルカリ,酸

化剤,還元剤などを加え,再度溶液化して回収する。 

3) 気化及び蒸留 分離を目的とする成分と反応して気化する物質を加えて,必要に応じて加熱して分

離を行う。気化したガスは,吸収管などによって適切な溶液に吸収し,又は冷却を行って取り出す。 

4) その他 遠心分離,透析,クロマトグラフィー,電気泳動などによって分離を行う。 

 


13 

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11 定量操作 

11.1 定量値の求め方 

化学分析における定量操作は,箇条10によって得られた分析試料を対象にして,分析種に関わる信号を

獲得して定量値を求めるためである。定量操作は,化学的手法及び/又は物理的手法によって分析種に関

わる信号量を獲得する反応操作,得られた信号から空試験に基づく信号を差し引く補正操作,補正信号量

から分析種の分析値を求める計算操作などからなる。これらの定量操作は,箇条6に示すそれぞれの分析

方法によって異なる。例えば,重量分析は,附属書Bに示すように分析種の質量を測定して定量値を求め,

容量分析は,附属書Cに示すように滴定液の使用量から定量値を求め,光分析など多くの分析方法は,標

準液を用いて作成した検量線などによって定量値を求める。各定量方法の操作は,それぞれの個別規格に

従って行う。 

11.2 検量線の作成方法 

検量線の作成方法は,次による。 

a) 検量線法 この方法は,横軸に分析種の濃度(又は含有率),質量などを目盛り,縦軸に各定量方法に

おける検出器の出力信号などの測定強度を目盛ることによって検量線(校正曲線,校正関数)を作成

する。検量線作成濃度範囲は,分析種濃度が内挿値となるように調整する。 

b) 内標準法 この方法は,分析種(A)を既知量(MA)含む標準物質に,分析種とは異なる成分(B)(こ

れを内標準物質という。)の一定量(MB)を加えて分析し,分析種Aと成分Bとの検出器の出力信号

などの強度比(IA/IB)を縦軸に目盛り,量比(MA/MB)を横軸に目盛ることによって検量線を作成す

る。 

c) 標準添加法 この方法は,a) 又はb) の方法で定量が難しい試料の分析に適用する。分析試料溶液か

ら同じ体積を5,6個分取してそれぞれ別々の体積計に入れる。これに分析種の標準液を液量ゼロから

順次増やして添加していく。添加した分析種の濃度(添加ゼロを含む。)を横軸に,測定強度又は強度

比を縦軸に目盛り,濃度−強度(又は強度比)曲線を得る。濃度−強度(又は強度比)曲線を直線近

似で結び,その直線を横軸のマイナス方向に延長し,横軸と交差した点の値を読み取る。読み取った

値からマイナス記号を取り去った値を定量値とする。 

11.3 空試験値の求め方 

空試験値は,特に規定した場合を除き,試料だけを加えずに,試料を分析する場合と同一の試薬及び同

一又は同種の容器を用い,同一の操作を行って求める。すなわち,分析種と同じ成分が化学分析操作で使

用する試薬,容器,器具,環境などから試料溶液に入って汚染し,それに起因する信号強度を濃度換算又

は含有率換算した値である。この空試験値は,分析試料の主成分の影響による感度の変動は含まないので,

定量値を求める場合には注意を要する。 

11.4 分析回数及び分析値の決め方 

分析回数及び分析値(最終報告値)の決め方は,該当するJIS,分析依頼者の指示,当事者間の協定な

どによる。何もない場合には,JIS Z 8402-6によるのが望ましい。分析回数が1回しかないときには,あ

らかじめ想定されている併行精度によって,分析結果の採択性を直接統計的に検定することは不可能であ

る。その分析結果が正しくないと少しでも疑われる場合は,併行条件によって別の結果を得ることが望ま

しい。 

 


14 

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12 化学分析で用いる標準物質 

12.1 一般事項 

化学分析用標準物質には,検量線の作成に用いるもの,滴定に用いるもの,分析方法の妥当性評価のた

めに用いるものなどがあり,目的に適合したものを使用する。また,分析値の信頼性を確保するために,

可能な限り計量計測トレーサビリティが保証された認証標準物質を用いる。標準物質は,その組成によっ

て純物質系標準物質及び組成標準物質に分類される。 

なお,対応する標準物質が存在しない場合は,最も適した試薬などを用いて目的のものを調製する。 

12.2 純物質系標準物質 

12.2.1 検量線用溶液(標準液)及び校正用ガス(標準ガス) 

検量線の作成に用いる標準液には,純度又は濃度が既知の試薬又は標準液を用い,個別JISの規定に従

って調製したものを用いる。また,ガス分析計を校正するときには,JIS K 0055に規定する方法に従って

行う。標準液の濃度は,μg/mL(μg/cm3),mg/L(mg/dm3),mL/L(cm3/dm3)などで表す。標準ガスの濃

度は,nmol/mol,μmol/mol,mmol/molなどで表す。比率で表す場合には,箇条4で示す表し方を用いるこ

ともできる。 

注記 検量線の作成及びガス分析計の校正には,国家計量標準にトレーサブルな標準液及び標準ガス

を用いることが望ましい。我が国においては,計量法トレーサビリティ制度(JCSS:Japan 

Calibration Service System)に基づいた標準液及び標準ガスが供給されている。 

12.2.2 滴定液(滴定用溶液) 

滴定液の調製及び標定は,個別の規格に規定した方法による。JIS K 8005に規定する容量分析用標準物

質を用いて,JIS K 8001のJA.6(滴定用溶液)に規定する方法によって標定を行うことができるが,特性

値が明らかな認証標準物質を用いてもよい。滴定液の濃度は,mol/L(mol/dm3)などで表す。 

12.3 組成標準物質 

複雑な組成をもつ試料を分析するときには,分析試料とできるだけ組成が類似した組成標準物質を用い

て,分析試料と同じ方法及び同じ環境において分析する。その結果を用いて分析方法の妥当性評価を行う

ことができる。また,組成標準物質を検量線として用い,分析試料の定量を行うこともある。金属(鉄鋼,

非鉄),無機(岩石,セラミックス),化石燃料(石炭,フライアッシュ),高分子(合成高分子,樹脂),

環境(大気,水,土壌),生体・食品,臨床(血清,尿),同位体などの組成標準物質が関係機関から供給

されている。 

 

13 記録 

化学分析の報告書には,次に示す事項のうち必要なものを記録する。 

a) 分析実施日 

b) 試料名 

c) 試料採取場所及びサンプリング方法 

d) 前処理方法 

e) 分析方法(試料採取量,分析の対応する規格又は分析手順,分析条件など) 

f) 

分析結果 

g) 分析実施者 

h) 分析環境(温度,湿度,気圧など) 


15 

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14 化学分析の信頼性 

化学分析結果の信頼性を高めるために,方法の妥当性が確認できている分析方法のJISなどを使用する。

その分析方法を用いる場合には,分析方法に規定した性能基準範囲内で分析できることを確認する。また,

必要に応じて不確かさを小さくするための処置を講ずる。そのためには,分析を行う環境の整備,組織の

支援,分析者の細心の配慮などが必要である。 

化学分析結果の信頼性を確保するためには,可能な限り国際単位系(SI)への計量計測トレーサビリテ

ィが保証された認証標準物質,計量計測トレーサビリティを実証できる校正機関の校正サービスを使用す

る。 

a) 分析方法の妥当性確認 方法の妥当性が確認できていない分析方法を使用しなければならない場合

は,分析者はその分析方法の用途に応じて,次の要因から選択して妥当性確認を行う。 

JIS Z 8402-1に規定する精確さ,真度又は正確さ,精度,併行精度又は繰返し精度及び再現精度。 

他の要因としては,検出下限,定量下限,定量範囲,検量線の直線性,頑健性,マトリックス効果

などがある。 

併行精度又は繰返し精度及び再現精度は,JIS Z 8402-2に規定する方法によって求める。 

精度(precision)は,JIS Z 8402-3に規定する方法によって求める。 

真度(trueness)は,JIS Z 8402-4に規定する方法によって求める。 

精確さ(accuracy)の値の実用的な使い方は,JIS Z 8402-6に規定する方法に従う。 

b) 不確かさ 不確かさの要因となる試料の均質性,試料の前処理(器具,試薬),分析機器の校正(校正

用標準物質,検量線),分析方法(組成系標準物質,マトリックス,試薬)及び計算式(近似式)に基

づく不確かさから合成標準不確かさを求め,真値の存在する範囲を推定する。この合成標準不確かさ

に包含係数を乗じて拡張不確かさを必要に応じて求める。 

 

15 化学分析の安全及び環境に関する注意事項 

化学分析は,安全及び環境に関する次の事項に注意して行う。 

a) 安全衛生 安全衛生に関する注意事項は,次による。 

1) 化学分析は,ガラス器具,高圧ガス,毒物,劇物,危険物,放射性物質,有機溶剤などを取り扱う

ので,具体的な安全衛生に関する作業標準を規定して,安全衛生を確保するとともに,作業が惰性

的にならないように安全教育を行う。 

2) 化学分析は,有害化学物質,紫外線,レーザー,X線,放射線などの長期間の暴露によって各種の

健康障害を起こすことがあるので,突然発生する一時的な災害に対する安全の確保とともに,定期

的な健康診断によって予想される障害を未然に防ぐように注意し,対策を講ずる。 

3) 安全衛生に関連する法規を理解して,施設,教育,作業などに反映させる。 

b) 環境保全 環境保全に関する注意事項は,次による。 

1) 化学分析は,有害な物質を取り扱うことがあるので,具体的な環境保全に関する作業基準を規定し

て,有害物質を含む排気,廃液,廃棄物などによって環境汚染を引き起こさないように注意し,対

策を講ずる。 

2) 環境保全に関連する法規を理解して,施設,教育,作業などに反映させる。 

c) 安全データシート(SDS)の活用 化学物質を取り扱う場合には,関連するSDSを利用し,記載事項

を理解して,安全衛生及び環境保全の確保を図る。 


16 

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附属書A 

(参考) 

化学的方法による定性分析 

 

A.1 概要 

化学的方法による定性分析として,陽イオン及び陰イオンを各属に分類する定性方法,並びに炎色反応

による定性方法を示したものである。 

 

A.2 陽イオン及び陰イオンを各属に分類する定性方法 

イオンの各属別による定性方法は,次による。 

a) 陽イオンの分類 一般的な陽イオンの分類方法は,表A.1による。各種の分属試薬を用いて,陽イオ

ンが沈殿を生じるか否かで各属に属する元素の存在を確認する方法である。 

 

表A.1−陽イオンの分類方法 

分属試薬 

第一属 

第二属 

第三属 

第四属 

第五属 

第六属 

NH4Cl又はHCl 

AgClなど 

沈殿しない 

沈殿しない 

沈殿しない 

沈殿しない 

沈殿しない 

H2S(0.3 mol/L酸性) 

− 

CuS,SnS2など 

沈殿しない 

沈殿しない 

沈殿しない 

沈殿しない 

アルカリ性 

− 

− 

Al(OH)3など 

沈殿しない 

沈殿しない 

沈殿しない 

(NH4)2S 

− 

− 

− 

NiS,MnSなど 

沈殿しない 

沈殿しない 

(NH4)2CO3,C2H5OH 

− 

− 

− 

− 

BaCO3など 

沈殿しない 

所属イオン 

Ag+,Hg22+, 
Pb2+ 

Cu2+,Hg2+, 
Bi3+,Cd2+, 
Sn2+,As3+, 
Sb3+など 

Fe3+,Cr3+, 
Al3+ 

Ni2+,Co2+, 
Mn2+,Zn2+ 

Ba2+,Ca2+, 
Sr2+ 

Na+,K+, 
Mg2+,NH4+ 

 

b) 陰イオンの分類 一般的な陰イオンの分類方法は,表A.2による。各種の分属試薬を用いて,陰イオ

ンが沈殿を生じるか否かで各属に属する元素の存在を確認する方法である。 

 

表A.2−陰イオンの分類方法 

金属反応 

第一属 

第二属 

第三属 

第四属 

第五属 

BaCl2で沈殿を 

生じる 

生じる 

生じる 

生じない 

生じない 

希酸の作用 HCl 
 

HNO3 

 

CH3COOH 

難溶 
難溶 
難溶 

溶解 
溶解 
難溶 

溶解 
溶解 
溶解 

− 
− 
− 

− 
− 
− 

AgNO3で沈殿を 

生じない 

生じる 

(F−を除く) 

生じる 

生じる 

生じない 

希酸の作用 HCl 
 

HNO3 

 

CH3COOH 

− 
− 
− 

溶解 
溶解 
難溶 

溶解 
溶解 
溶解 

難溶 
難溶 
難溶 

− 
− 
− 

所属イオン 

SO42−, 
SiF62− 

SO32−,S2O32−, 
CrO42−,Cr2O72−, 
C2O42−,F− 

CO32−,AsO43−, 
AsO33−,SiO32−, 
PO43−,BO33− 

Cl−,Br−,I−,ClO−, 
CN−,Fe(CN)63−, 
Fe(CN)64−,CNS−, 
S2− 

NO2−,NO3−, 
ClO3−, 
CH3COO− 


17 

K 0050:2019  

 

A.3 炎色反応による定性方法 

炎色反応による一般的な定性方法は,表A.3による。Na,K,Ca,Sr,Ba,Cuなどの塩類を無色の炎中

に入れて強熱すると,炎に対しそれぞれ特有の色を与える。これを炎色反応といい,極めて鋭敏な反応で

ある。炎色反応を行うためには,長さ数センチメートルの細い白金線の一端を環状に曲げ,他端をガラス

棒に融着させたものを用いる。あらかじめ白金部分に付着した金属塩を酸につけて溶かした後,白金部分

をバーナーの炎中に入れて炎の色が一定になるまで強熱する。放冷した白金部分を被検液につけて,炎に

入れて色の変化を観察し,同様の操作を2,3回繰り返す。 

なお,炎色を肉眼で観察するのでは不十分なことがある。その場合,分光してそれぞれの元素に特有な

輝線スペクトル帯の位置を調べることで元素の存在を確認することができる。主な元素の炎色反応及びス

ペクトル線を表A.3に示す。 

 

表A.3−主要な炎色及びスペクトル線 

単位 nm 

元素 

炎色 

スペクトル線 

元素 

炎色 

スペクトル線 

Li 

赤 

 610.35 

670.79 

Ba 

緑 

455.40 

493.41 

553.55 

Na 

黄 

 589.00 

589.59 

Tl 

緑 

535.05 

紫 

 766.49 

769.90 

In 

紫青 

451.13 

Rb 

赤 

 420.18 

Cu 

青緑 

青藍から数本のバンド 

Cs 

青 

 455.53 

Mn 

緑 

多数帯のスペクトル 

Ca 

橙 

 422.67 

Au 

緑 

479.26 

583.74 

627.82 

Sr 

赤 

赤から黄にわたり数本
及び青紫(460.73)1本 

Pb 

青 

405.78 

 


18 

K 0050:2019  

  

附属書B 

(参考) 

沈殿重量分析の一般的操作 

 

B.1 

沈殿の生成 

沈殿の生成は,次による。 

a) ビーカー2) 中の試料溶液を,規定の温度に保持する3)。 

注2) 沈殿の生成又は分離のとき,その液量の2〜3倍の容量のビーカーを用いると操作しやすい。 

3) 加熱を行う場合には,熱源としてホットプレート,砂浴,水浴などを用い,突沸しないよう

に注意する。 

b) 溶液をガラス棒で静かにかき混ぜながら,規定した量の沈殿剤溶液4) を滴加し5) ,沈殿を生成させる。

上澄み液に沈殿剤溶液を滴加し,新たに沈殿が生じないことを確認する。もし,沈殿が生じた場合に

は,溶液をガラス棒で静かにかき混ぜながら,沈殿剤溶液の適切な量を滴加する。沈殿が生じなくな

るまでこの操作を繰り返す。このとき,溶液がはねないように注意する。 

注4) あらかじめ,試料溶液と同じ温度に調節しておく場合がある。 

5) 沈殿剤溶液を一度に加える場合がある。 

c) ビーカーの内壁を洗い,規定の温度で規定した時間放置し,沈殿を熟成6) させる。長時間放置する場

合には,ビーカーを時計皿などで覆う。 

注6) 熟成の操作を行わずに直ちにろ過する場合,又は再沈殿を行う場合がある。 

 

B.2 

沈殿のろ過及び洗浄 

沈殿のろ過及び洗浄は,次による。 

a) ろ紙を用いる場合 ろ紙を用いる場合は,次による。 

1) 沈殿の性質及び量によって,ろ紙の種類及び大きさを選び,ろ紙の上縁が,漏斗の上縁から5 mm

〜10 mm下になるような大きさの漏斗を用いる。 

2) ろ紙を半分に折り,更に半分に折って四分円形とした後,円すい形に開いて1) の漏斗に入れる。

手でよく押さえながら水又は洗浄液でろ紙を湿らせ,漏斗の内壁に密着させる7)。 

注7) 水又は洗浄液をろ紙上に注いだとき,漏斗の脚に空気が入らずに,水又は洗浄液で満たさ

れる状態にするのがよい。 

3) 漏斗を漏斗台に置き,その下にビーカーなどの受器を,漏斗の脚部が受器の内壁に接触するように

置く。漏斗の高さは,漏斗の脚部先端がろ液の中に浸らない位置とする。 

4) B.1 c) の沈殿が入っているビーカーの流し口をガラス棒に当て,ビーカーを傾けて上澄み液をガラ

ス棒に伝わらせながらろ紙上に注いでろ過する(図B.1参照)。このとき,ろ紙の下から2/3以上に

流し込まないようにする。沈殿は,できるだけビーカー中に残すようにして,大部分の溶液をろ過

する8)。 

注8) ビーカー中の沈殿を,初めからろ紙上に流し込む方法もある。 

5) 少量の洗浄液で沈殿及びビーカーの内壁を洗い,洗浄液とともに沈殿をろ紙上に流し込む。沈殿の

大部分がろ紙上に移るまで,この操作を繰り返す。 

6) ビーカーの内壁及びガラス棒に付着した沈殿をポリスマン9) でこすって落とした後,ポリスマン及


19 

K 0050:2019  

 

びビーカーの内壁を洗浄液で洗い,沈殿を完全にろ紙上に流し込む。 

注9) ガラス棒の一端に軟らかいゴム管又はゴム製のへらなどをはめ込んだもの。 

7) 洗浄液を,ろ紙の上縁から中心に向かってら旋状に流し込み,沈殿及びろ紙を洗浄する。1回の洗

浄液量は,ろ紙の下から2/3以下までとし,前の洗浄液のろ過が終わってから,次の洗浄液を流し

込み,この操作を繰り返す。ろ液中の分析種の溶存が無視できない場合には,これを別に定量して

補正する。また,流出する洗浄液の一部を取り,発色反応,沈殿反応などによって母液に含まれて

いる共存成分が検出されないことを確認して,洗浄の完了とすることもある。 

 

 

図B.1−ろ過の例 

 

b) ガラスろ過器を用いる場合 ガラスろ過器を用いる場合は,次による。 

ガラスろ過器を用いるろ過の例を,図B.2に示す。 

 

図B.2−吸引ろ過装置の例 

 

1) ガラスろ過器の種類を沈殿の性質及び量によって,適宜,選ぶ。 

2) 選んだガラスろ過器をあらかじめ酸などに浸して付着物を除去し,水で十分に洗浄して空気浴中で

乾燥した後,恒量(例えば,前後の質量差が0.3 mg以下)にしておく。 


20 

K 0050:2019  

  

3) 恒量にしたガラスろ過器を,吸引ろ過装置のアダプターに取り付ける。 

4) アスピレーター又は真空ポンプによって徐々に吸引し,ろ過速度が速くならないように適切に調節

する。 

5) a) 4)〜a) 6) の操作に従って行う。 

6) 吸引瓶の内圧を常圧に戻した後,吸引を止め,ガラスろ過器の上端から底に向かって洗浄液をら旋

状に流し込み,沈殿を洗浄液で浸す。再び減圧にして洗浄液を完全に吸引し,この操作を繰り返す。

ろ液中の分析種の溶存が無視できない場合には,これを別に定量して補正する。また,流出する洗

浄液の一部を取り,発色反応,沈殿反応などによって母液に含まれている共存成分が検出されない

ことを確認して,洗浄の完了とすることもある。 

 

B.3 

沈殿の乾燥,加熱及び放冷 

沈殿の乾燥,ガスバーナーによる加熱及び放冷は,次による。 電気炉で強熱する場合も,ほぼ同様にす

る。 

a) 沈殿のろ過にろ紙を用いる場合 

1) 新しいるつぼは,使用前に蓋とともに塩酸(1+1)に浸して加熱し,水で十分に洗浄する。乾燥し

た後,ガスバーナー又は電気炉で徐々に温度を上げて使用温度以上に加熱し,空焼きしておく。 

2) るつぼ及び蓋を十分に洗浄した後,B.4のb) 及びc) に従って使用温度に加熱し恒量としておく。 

3) B.2 a) 7) の沈殿の入ったろ紙を漏斗から外し,沈殿を軽く包むようにろ紙を折り曲げ,るつぼに入

れて軽く押し込む。るつぼを三角架に垂直に置き,少し隙間をあけて蓋をし,バーナーの小炎によ

って沈殿がはねたりしない程度に弱く加熱して水分を蒸発させる10)。このとき,白金るつぼをガス

バーナーで加熱するときは,必ず酸化炎を用い,還元炎による加熱は行ってはならない。 

注10) バーナーの代わりに(105±5)℃に調節した空気浴を用いてもよい。 

4) 水分が完全に蒸発した後,バーナーの炎を僅かに強めにし,比較的低温で加熱して揮発分が徐々に

放出するようにして,ろ紙を徐々に炭化する。このとき,ろ紙及び分解によって生成した気体に着

火しないように注意する。 

5) ろ紙が完全に炭化した後,るつぼを傾けて三角架に置く。るつぼの蓋をずらしてかぶせ,空気の流

れがるつぼの中に入るようにし,バーナーの炎を少し大きくした酸化炎中でろ紙を灰化する。その

場合に,炎がるつぼの入口近くにこないように注意する。また,時々るつぼを回して位置を変える。

るつぼの蓋にタール状のものが付いている場合には,蓋だけをるつぼばさみ(トングス)で挟み,

蓋の内側を上にして,バーナーの炎で加熱して灰化する。 

6) るつぼを蓋で覆い,バーナーの炎を大きくし,必要があればマッフルなどで覆って規定の温度で15

分〜30分間強熱する。このとき,るつぼの底が還元炎の上5 mm〜10 mmくらいのところの酸化炎

中に位置するようにする。 

7) バーナーの炎を消し,るつぼに赤みがなくなれば,直ちにるつぼ及び蓋を,るつぼばさみを用いて

デシケーター11) 中に入れ,蓋をした状態で,室温になるまで放冷する。 

注11) 乾燥剤として,シリカゲルA形1種などが用いられる。また,目的によっては乾燥剤を入

れないで用いることもある。 

b) 沈殿のろ過にガラスろ過器を用いる場合 

1) B.2 b) 6) の沈殿の入ったガラスろ過器を,吸引ろ過装置から外す。 

2) 時計皿などに載せ,あらかじめ規定した温度に調節した空気浴中に入れ,約1時間加熱する。 


21 

K 0050:2019  

 

3) ガラスろ過器をるつぼばさみを用いて空気浴から取り出し,デシケーター11) 中に入れ,室温になる

まで放冷する。 

 

B.4 

ひょう量 

ひょう量の操作は,次による。 

a) B.3 a) 又はB.3 b) の操作を行った後に,デシケーターの蓋をずらすように静かに開ける。このとき,

るつぼ中のひょう量物質が飛散しないように注意する。るつぼばさみを用いて,るつぼ又はガラスろ

過器を取り出し,その質量をはかる。 

b) るつぼの場合はB.3 a) 6) によって15分〜30分間,ガラスろ過器の場合はB.3 b) 2) によって約1時間

再び加熱し,デシケーター中で室温まで放冷した後,その質量をはかる。 

c) 恒量になるまで,b) の操作を繰り返す12)。 

注12) 恒量とした後,共沈した不純物を他の方法で定量して補正する場合がある。 

 

B.5 

計算 

試料中の分析種含有率は,次の式による。 

100

)

(

0

2

1

m

C

B

m

m

A

 

ここに, 

A: 試料中の分析種の含有率[%(質量分率)] 

 

m1: ひょう量物質の質量(g) 

 

m2: 空試験値(g) 

 

m0: 試料のはかりとり量(g) 

 

B: ひょう量物質中の分析種のモル質量(g/mol) 

 

C: ひょう量物質のモル質量(g/mol) 

 


22 

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附属書C 
(参考) 

容量分析の一般的操作 

 

C.1 直接滴定の操作手順 

直接滴定による一般的操作は,次による。 

a) 濃度既知の滴定液を入れた,呼び容量25 mL〜50 mLの活栓付きビュレットをスタンドに取り付け,

正しく垂直に保持する。約30秒〜60秒間後,滴定液をビュレットのゼロ目盛に正しく合わせる。ビ

ュレットの内壁に付着した滴定液が流下し終わるのに通常30秒〜60秒かかるので,目盛の読みが最

小目盛の十分の一まで安定するのを待ってから読み取る。 

b) 滴定容器(三角フラスコ,コニカルビーカーなど)の中の試料溶液に,指示薬13)を加える。 

なお,逆滴定の場合,a) でビュレットに入れた濃度既知の滴定液とは別の標準液を,分析種の全量

と定量的に反応するのに必要な量よりも過剰に加える。過剰量は3 mL〜5 mLとなるようにし,この

溶液の使用量を1 mLの単位で小数点以下2桁まで読み取る。 

注13) 指示薬を用いない場合又は指示薬を終点近くで加える場合がある。 

c) 例えば,右手に滴定容器を持ち,溶液を振り混ぜながら14),左手でビュレットのコックを開き,滴定

液を滴加する(図C.1)。終点となるまでこの操作を続ける15)。滴定液の滴加は,一般に初めは2 mL

〜3 mLずつ加え,終点の近くでは2,3滴ずつ,最後は1滴〜半滴ずつ滴加する。1滴未満を加える

場合には,ビュレットのコックを僅かに開いて液滴が落下しない程度に少し出し,これをガラス棒の

先端で受けて試料溶液中に浸すか,又は滴定容器の内壁に付けて試料溶液に混ぜる。 

注14) 片手で溶液を振り混ぜる代わりに,ガラス棒,マグネチックスターラーなどを用いてかき混

ぜてもよい。 

15) 終点近くになったら,洗瓶を用いて少量の水(又は洗浄液)などで滴定容器の内壁を洗うか,

又は滴定容器を傾けて試料溶液で滴定容器の内壁を洗ってもよい。 

 

 

図C.1−ビュレットのコックの操作例 

 

d) 終点は,ビュレットの内壁に付着した滴定液が流下し終わるのに通常30秒〜60秒かかるので,目盛

の読みが最小目盛の十分の一まで安定するのを待ってから読み取る。 

e) 終点に達したとき16),約30秒経過後,ビュレットの目盛を1 mL単位で小数点以下2桁まで読み取り,


23 

K 0050:2019  

 

滴定液の使用量を求める。 

注16) 終点の判別は,指示薬などの変色点を目視によって判断する代わりに,試料溶液のpH,電気

伝導率,電位差の変化などによって行うことができる。この場合の一般事項は,JIS Z 8802

又はJIS K 0113を参照する。 

f) 

必要に応じて,附属書Iで求めたビュレット目盛の校正値を用いて,d) で求めた滴定液の使用量を補

正する。 

 

C.2 計算 

直接滴定による試料中の分析種含有率は,次の式による。 

100

)

(

2

1

m

f

V

V

A

 

ここに, 

A: 試料中の分析種の含有率[%(質量分率)] 

 

V1: 滴定液の使用量(mL) 

 

V2: 空試験液の滴定に要した滴定液の使用量(mL) 

 

f: 滴定液1 mLに相当する分析種の量(g/mL) 

 

m: 試料のはかりとり量(g) 

 


24 

K 0050:2019  

  

附属書D 
(規定) 

化学分析に用いる水 

 

D.1 水の種別及び質 

化学分析に用いる水の種別及び質は,JIS K 0557の4.(種別及び質)による。JIS K 0557の4. の表1

を表D.1に示す。 

 

表D.1−水の種別及び質 

項目a) 

種別及び質 

 

A1 

A2 

A3 

A4 

電気伝導率mS/m(25 ℃) 

0.5以下 

0.1 b),c) 以下 

0.1 b) 以下 

0.1 b) 以下 

有機体炭素(TOC)mg/L 

1以下 

0.5以下 

0.2以下 

0.05以下 

亜鉛μg/L 

0.5以下 

0.5以下 

0.1以下 

0.1以下 

シリカμg/L 

− 

50以下 

5.0以下 

2.5以下 

塩化物イオンμg/L 

10以下 

2以下 

1以下 

1以下 

硫酸イオンμg/L 

10以下 

2以下 

1以下 

1以下 

注a) 化学分析に用いる試験方法によっては,項目を選択してもよい。また,その試験

方法で使用する水を規定している場合は,それによる。 

b) 水精製装置の出口水を,電気伝導率計の検出部に直接導入して測定したときの値。 

c) 最終工程のイオン交換装置の出口に精密ろ過器などのろ過器を直接接続し,出口

水を電気伝導率計の検出部に直接導入した場合には,0.01 mS/m(25 ℃)以下と
する。 

 

注記 JIS K 0557において,種別ごとに,A1の水は,“器具類の洗浄及びA2又はA3の水の原料に用

いる。”,A2の水は,“一般的な試験及びA3又はA4の水の原料などに用いる。”,A3の水は,

“試薬類の調製,微量成分の試験などに用いる。”及びA4の水は,“微量成分の試験などに用

いる。”としており,更にそれぞれの水の製造方法を備考で記載している。 

 

D.2 試験方法 

化学分析に用いる水の試験方法は,JIS K 0557の5.(試験方法)による。 

 


25 

K 0050:2019  

 

附属書E 

(規定) 

特殊用途の水の調製方法及び保存方法 

 

E.1 

溶存酸素を除いた水の場合 

溶存酸素を除いた水の調製方法は,次のa)〜e) のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたもの

を用い,使用時に調製する。保存する場合は,図E.1のように,アルカリ性ピロガロール溶液を入れたガ

ス洗浄瓶を連結し,空気中の酸素を遮断して保存する。 

なお,アルカリ性ピロガロール溶液の調製は,次による。 

JIS K 8780に規定するピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)6 gを水50 mLに溶かし,着色瓶に保

存する。別に,JIS K 8574に規定する水酸化カリウム30 gを水50 mLに溶かす。使用時に両液を混合する。

この溶液1 mLは,酸素約12 mL(約17 mg)を吸収する。 

a) 表D.1の種別A2又はA3の水をフラスコに入れ,約5分間煮沸して溶存酸素を除去した後,アルカリ

性ピロガロール溶液を入れたガス洗浄瓶を連結して,空気中の酸素を遮断して放冷する[JIS K 0557

の4.(種別及び質)備考3. 参照]。 

b) 表D.1の種別A2又はA3の水をフラスコに入れ,窒素2級を約15分間通気して溶存酸素を除去する

[JIS K 0557の4.(種別及び質)備考3. 参照]。 

c) 表D.1の種別A2又はA3の水を,酸素分離膜を用いたガス分離管に通水し,溶存酸素を除去する。 

d) 表D.1の種別A2又はA3の水を,超音波振動装置で十分脱気を行い,溶存酸素を除去する。 

e) 表D.1の種別A2又はA3の精製直後の水を,窒素2級を通じた三角フラスコに泡立てないように採取

したもの。 

 

 

 
A :平底フラスコ 1 000 mL 
B :ガス洗浄瓶 250 mL 
C :ゴム栓 
D :ゴム管 
E :アルカリ性ピロガロール溶液 

図E.1−溶存酸素を除いた水の冷却,保存の例 

 

E.2 

二酸化炭素を除いた水の場合 

二酸化炭素を除いた水の調製方法は,次のa)〜d) のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたも

のを用い,使用時に調製する。保存する場合は,図E.1と同様な装置を用い,ガス洗浄瓶に水酸化カリウ

ム溶液(250 g/L)(水酸化カリウム250 gを,表D.1の種別A2又はA3の水に溶かして1 Lにしたもの)

又はJIS K 8603に規定するソーダ石灰の二酸化炭素吸収用1号を入れ,空気中の二酸化炭素を遮断して保

存する。 

a) 表D.1の種別A2又はA3の水をフラスコに入れ,約5分間煮沸して溶存気体及び二酸化炭素を除去し


26 

K 0050:2019  

  

た後,ガス洗浄瓶に水酸化カリウム溶液(250 g/L)又はソーダ石灰の二酸化炭素吸収用1号を入れ,

空気中の二酸化炭素を遮断して放冷する[JIS K 0557の4.(種別及び質)備考4. 参照]。 

b) E.1 b) と同じ操作を行い,二酸化炭素を除去する。 

c) 表D.1の種別A2又はA3の水を,二酸化炭素分離膜を用いたガス分離管に通水し,二酸化炭素を除去

する。 

d) E.1 d) と同じ操作を行い,二酸化炭素を除去する。 

 


27 

K 0050:2019  

 

附属書F 

(参考) 

主な器具の洗浄方法 

 

F.1 

概要 

ガラス器具,磁器器具,石英ガラス器具,白金器具及び合成樹脂製器具の洗浄方法の例を,次に示す。 

 

F.2 

ガラス器具,磁器器具及び石英ガラス器具の洗浄方法 

ガラス器具,磁器器具及び石英ガラス器具の洗浄は,次による。 

a) 金属元素の分析に用いる場合は,表D.1の種別A2の水で洗浄した後,硝酸(1+10)又は塩酸(1+

10)に24時間以上浸し,再び種別A2の水で洗浄した後,種別A3又はA4の水で洗浄する。 

b) 金属元素以外の試験に用いる場合は,表D.1の種別A2の水で洗浄した後,種別A3又はA4の水で洗

浄する。 

 

F.3 

白金器具の洗浄方法 

一般的な融解に用いる白金器具(白金るつぼ又は白金皿)の洗浄は,次による。 

a) 白金器具の表面が曇った状態になったときは,炭酸水素ナトリウムを水で湿らせ,指に付けて磨き,

表D.1の種別A1の水で十分に洗い流し,種別A2の水で洗浄した後,種別A3又はA4の水で洗浄す

る。 

b) 白金器具内にこびり付いた汚れの場合は,次のいずれかの洗浄による。 

1) 白金器具に炭酸ナトリウム約5 g又は炭酸ナトリウム及びほう酸を適量入れてバーナーなどを用い

て約5分間強熱で融解する。内容物が冷却するまで放置する。引き続き,内容物を温水で溶かし出

した後,表D.1の種別A2の水で十分に洗い流し,硝酸(1+20)又は塩酸(1+20)に約1分間浸

し,再び表D.1の種別A1の水で十分に洗い流し,種別A2の水で洗浄した後,種別A3又はA4の

水で洗浄する。 

この洗浄操作を行っても,白金器具に曇りがある場合には,a) の操作を行う。 

2) 白金器具に二硫酸カリウム約5 gを入れて,バーナーなどを用いて約5分間弱火で加熱融解する。

引き続き,1) の操作を行う。 

3) 海砂などを水で湿らせ,指に付けて磨く。ただし,こすりすぎると白金の摩耗があるため注意する。 

 

F.4 

合成樹脂製器具の洗浄方法 

合成樹脂製器具の洗浄は,次による。 

a) プラスチック器具17) の洗浄方法 弱アルカリ性洗浄剤又は中性洗浄剤を表D.1の種別A1又はA2の

水で,洗浄剤が約2 %〜10 %の濃度に調製し,この溶液に合成樹脂製器具を約5時間から1昼夜浸す。

これを取り出し,表D.1の種別A1の水で十分に洗い流す。器具の用途などに応じて,硝酸(1+3)

に浸せき(漬)(必要に応じて加温する。)する操作を加える。種別A2の水で洗浄した後,種別A3

又はA4の水で洗浄する。ただし,ふっ素樹脂製器具の場合,洗浄に用いる水は,全て種別A3又は

A4の水を用いることが望ましい。 

注17) プラスチック器具は,洗浄後,乾燥状態で保存している間に静電気でほこりが付く場合が多


28 

K 0050:2019  

  

い。これを防ぐため,洗浄後の器具を硝酸(1+10)などにつけ置きして保存するとよい。ま

た,使用時に表D.1の種別A1の水で十分に洗い流し,種別A2の水で洗浄した後,種別A3

又はA4の水で洗浄するとよい。 

b) 共栓付きポリプロピレン瓶の洗浄方法 JIS K 0094の3.2(洗浄方法)(1) による。 


29 

K 0050:2019  

 

附属書G 
(参考) 

白金器具使用上の注意 

 

白金るつぼ及び白金皿の使用上の注意事項を次に示す。 

a) 白金器具は軟らかく,簡単に変形するので,衝撃を与える取扱いはしない。また,融成物の流動性及

び分解状態の確認のためにも,白金器具の形は整えておくとよい。白金器具の歪み及び凹凸は,滑ら

かな面をもつ適切な形状の樹脂製の棒,乳鉢の棒,コルクなどを用いて注意して押し直すとよい。 

b) 白金は高純度であるが,操作によっては,白金の添加元素に含まれる微量のパラジウム,ロジウム,

ルテニウム,イリジウム,金,銀,銅,鉄などが溶出する。また,白金器具の研磨に用いる研磨材か

らけい素,アルミニウムなどが溶出する場合があるので,あらかじめF.3による洗浄を行い,空試験

を行う。これらの微量成分の定量には注意が必要である。 

c) 王水などの塩酸と硝酸との混酸,塩酸と過酸化水素水との混酸,塩酸と酸化剤との混合物などから生

成する塩化ニトロシル(NOCl),塩素などによって白金は浸食され,溶け出す。同様に,塩素以外の

ハロゲン元素(臭素及びよう素)が発生する溶液についても使用は避けたほうがよい。 

注記 白金は,ふっ化水素酸によって浸食されない。また,ふっ化水素酸と塩酸,硝酸又は硫酸と

の混酸にも安定である。 

d) 白金は,水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリの水溶液と反応して溶解する。特に,溶液を加熱し

たときに溶解が顕著になる。 

e) 酸性融剤である硫酸水素ナトリウム,二硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩による融解に使用でき

る。この場合,極微量の白金が浸食され,溶け出す。 

f) 

弱アルカリ性融剤である炭酸ナトリウムなどのアリカリ金属炭酸塩,四ほう酸ナトリウム,炭酸ナト

リウム及び炭酸カリウムの3種類の混合融剤,炭酸ナトリウムとほう酸との混合融剤などによる融解

に使用できる。 

g) 水酸化アルカリ,過酸化ナトリウムなどの強アルカリ性融剤,及び硝酸ナトリウム,塩素酸カリウム

などの強酸化性融剤は,白金を浸食するので融解に使用してはならない。過酸化ナトリウムで融解が

必要な場合は,ジルコニウムるつぼ,ニッケルるつぼなどを用いる。 

h) 炭素の存在下で加熱されたときに容易に金属にまで還元される重金属塩(鉛,すず,ビスマス,金,

銀,銅,ひ素,アンチモンなどの塩)をろ紙でろ過後,ろ紙とともに白金器具中で灰化してはならな

い。塩がろ紙から生じた炭素によって金属にまで還元され,白金と合金を作って白金器具をもろくし,

薬品に侵されたり破損したりする場合がある。 

i) 

同様に重金属とともに加熱すると,反応して合金を作る場合があるので,これらを白金器具中で加熱

しないようにする。 

j) 

りん,ひ素,硫黄,ほう素などの単体,又は加熱によって単体を生じるりん化物,ひ化物,硫化物な

どの塩は,白金器具中で加熱してはならない。これら単体は,白金と容易に化合物を作り,その部分

を弱くするために白金器具を破損する。 

k) 白金器具をバーナーで加熱するときに用いる三角架は,良質な磁器又は石英ガラス製のもので,かつ,

清浄なものを使用する。白金器具の底部が三角架から汚染されると恒量とならない場合があるため注

意を要する。バーナーで加熱した白金るつぼは,±0.1 mgの範囲で恒量になることから,重量分析用


30 

K 0050:2019  

  

の風袋として用いられる。 

l) 

白金器具をバーナーで加熱する場合,白金器具とバーナーの還元炎との間隔を1 cm以上あけ,酸化炎

で加熱する(図G.1)。 

注記 還元炎で加熱すると,白金は炭化物を生じてもろくなる。 

m) 赤熱状態になっている白金器具を取り扱うときは,白金付きのトングス又はピンセットを用いる。白

金部は清浄に保つようにする。白金覆いのないもの及び先端がさびているものは,白金器具を傷める。 

 

 

図G.1−ガスバーナーの炎 

 

 

外炎(酸化炎) 

内炎(還元炎) 


31 

K 0050:2019  

 

附属書H 
(規定) 

はかり(天びん)のひょう量値に対する空気の浮力補正 

 

H.1 概要 

この附属書は,7.3 a) のはかり(天びん)の空気の浮力補正について規定するもので,ひょう量するも

のの密度と用いた分銅の密度との差から生じる浮力の差による誤差が無視できないほど正確な質量を必要

とするときに行う。分銅を使用しない電子天びんの場合でも,電子天びんを校正した分銅の密度とひょう

量するものの密度とを対応させ,補正する。用いる分銅は,JIS B 7609による。 

 

H.2 浮力補正の手順 

浮力補正の手順は,次による。 

a) ひょう量する室内の温度,気圧及び湿度を測定する。 

b) 用いる分銅の密度(d')及びひょう量するものの密度(d)を求めておく。 

c) はかりを用いて空気中におけるひょう量値(W)を求める。 

 

H.3 浮力補正の式 

ひょう量値に対する空気の浮力補正は,次の式による18),19)。 

 

d

d

W

W

1

1

1

0

 

ここに, 

W0: 空気の浮力補正後の質量(g) 

 

W: 空気中におけるひょう量値(g) 

 

ρ: ひょう量時の空気の密度(g/cm3) 

 

d: ひょう量するものの密度(g/cm3) 

 

d': 分銅の密度(g/cm3) 

 

注18) 空気の密度(ρ)が0.001 2 g/cm3の場合,上記の式において,ρ(1/d−1/d') の値は,表H.1に示

す浮力補正の値で表される。分銅の密度は8.0 g/cm3として質量調整されている。試料密度が8.0 

g/cm3の場合には,補正は不要である。 

19) 空気の密度(ρ)は,室内の条件によって異なる。その例を表H.2に示し,この値を補正式に入

れて求めてもよい。 

 


32 

K 0050:2019  

  

表H.1−浮力補正[ρ(1/d−1/d')]の値 

ひょう量
するもの

の密度 

分銅の種類及びその密度 

ひょう量
するもの

の密度 

分銅の種類及びその密度 

アルミニウム

製分銅 

ステンレス鋼
及び真ちゅう

製分銅 

白金製分銅 

アルミニウム

製分銅 

ステンレス鋼
及び真ちゅう

製分銅 

白金製分銅 

(d) 

d'=2.7 

d'=8.0 

d'=21.5 

(d) 

d'=2.7 

d'=8.0 

d'=21.5 

0.50 

 0.001 960 

0.002 255 

0.002 350 

4.00 

−0.000 144 

 0.001 50 

 0.000 244 

0.55 

 0.001 741 

0.002 036 

0.002 131 

4.50 

−0.000 178 

 0.001 17 

 0.000 211 

0.60 

 0.001 559 

0.001 854 

0.001 948 

5.00 

−0.000 204 

 0.000 90 

 0.000 184 

0.65 

 0.001 403 

0.001 699 

0.001 794 

5.50 

−0.000 226 

 0.000 68 

 0.000 162 

0.70 

 0.001 272 

0.001 567 

0.001 661 

6.00 

−0.000 244 

 0.000 50 

 0.000 144 

0.75 

 0.001 157 

0.001 452 

0.001 547  

6.50 

−0.000 260 

 0.000 35 

 0.000 129 

0.80 

 0.001 057 

0.001 352 

0.001 446 

7.00 

−0.000 273 

 0.000 21 

 0.000 116 

0.85 

 0.000 969 

0.001 264 

0.001 358 

7.50 

−0.000 284 

 0.000 10 

 0.000 104 

0.90 

 0.000 890 

0.001 185 

0.001 279 

8.00 

−0.000 294 

 0.000 00 

 0.000 094 

0.95 

 0.000 820 

0.001 115 

0.001 209 

9.00 

−0.000 311 

−0.000 17 

 0.000 078 

1.00 

 0.000 756 

0.001 051 

0.001 146 

10.00 

−0.000 324 

−0.000 30 

 0.000 064 

1.10 

 0.000 647 

0.000 942 

0.001 036 

11.00 

−0.000 335 

−0.000 41 

 0.000 053 

1.20 

 0.000 556 

0.000 851 

0.000 945 

12.00 

−0.000 344 

−0.000 51 

 0.000 044 

1.30 

 0.000 479 

0.000 774 

0.000 868 

13.00 

−0.000 352 

−0.000 58 

 0.000 037 

1.40 

 0.000 413 

0.000 708 

0.000 802 

14.00 

−0.000 359 

−0.000 64 

 0.000 030 

1.50 

 0.000 356 

0.000 651 

0.000 745 

15.00 

−0.000 364 

−0.000 71 

 0.000 024 

1.60 

 0.000 306 

0.000 600 

0.000 685 

16.00 

−0.000 369 

−0.000 75 

 0.000 019 

1.70 

 0.000 262 

0.000 556 

0.000 651 

17.00 

−0.000 374 

−0.000 79 

 0.000 015 

1.80 

 0.000 222 

0.000 517 

0.000 611 

18.00 

−0.000 378 

−0.000 83 

 0.000 011 

1.90 

 0.000 187 

0.000 481 

0.000 576 

19.00 

−0.000 381 

−0.000 87 

 0.000 007 

2.00 

 0.000 156 

0.000 450 

0.000 545 

20.00 

−0.000 384 

−0.000 91 

 0.000 004 

2.50 

 0.000 036 

0.000 330 

0.000 424 

21.00 

−0.000 387 

−0.000 93 

 0.000 001 

3.00 

−0.000 044 

0.000 250 

0.000 344 

22.00 

−0.000 390 

−0.000 95 

−0.000 001 

3.50 

−0.000 102 

0.000 193 

0.000 287 

 

 

 

 

注記 この表は,空気の密度(ρ)が0.001 2 g/cm3の場合の浮力補正の値を示す。 

 

表H.2−空気の密度(ρ)の値 

気温 ℃ 

気圧 kPa 

相対湿度 % 

空気の密度 g/cm3 

10 

101.325 

0.001 247 

10 

101.325 

100 

0.001 242 

20 

101.325 

0.001 205 

20 

101.325 

50 

0.001 200 

20 

101.325 

65 

0.001 198 

20 

101.325 

100 

0.001 194 

 


33 

K 0050:2019  

 

附属書I 

(規定) 

体積計の校正方法 

 

I.1 

概要 

この附属書は,全量ピペット,全量フラスコ,ビュレット,ピストン式ピペット,注射筒及びマイクロ

シリンジ(以下,体積計という。)の校正方法を規定する。 

 

I.2 

校正のための計測器類及び水 

体積計を校正するために必要な計測器類及び水は,次による。 

なお,はかり及び温度計は,校正された計測器を使用する。 

a) はかり 校正する体積計及び最低限必要とするはかりの精度は,適切なものを選択する。体積計の容

量に対する必要なはかりの精度の例を表I.1に示す。 

 

表I.1−体積計の容量に対するはかりの精度の例 

体積計の容量 

はかりに必要とされる精度 mg 

 

1 μLを超え 

10 μL以下 

0.001 

 

10 μLを超え 

100 μL以下 

0.01 

 

100 μLを超え 

1 000 μL以下 

0.1 

 

1 mLを超え 

10 mL以下 

0.1 

 

10 mLを超え 

200 mL以下 

 

200 mLを超え 1 000 mL以下 

10 

 

b) その他の計測器類 その他,用いる計測器類は,次による。 

1) 温度計 5 ℃から40 ℃まで計測可能で,目盛が0.1 ℃のもの 

2) 気圧計 950 hPaから1 050 hPaまで計測可能で,目盛が1 hPaのもの 

3) 時計 15分間まで計測可能で,目盛が1秒のもの 

4) 湿度計 20 %から80 %まで計測可能で,目盛が5 %のもの 

5) 測容器 全量ピペット,ビュレット,ピストン式ピペット,注射筒及びマイクロシリンジから排出

する水を入れる容器20)(必要な場合に用いる。) 

注20) 校正する体積計の容量が1 mLを超え1 000 mL以下の場合は,JIS R 3503に規定する共通

すり合わせ三角フラスコ,市販されている共栓付き三角フラスコなどがある。これ以外の

容器を用いる場合には,体積計の容量及びはかりの精度を勘案して,適切な測容器を選択

するとよい。 

c) 校正に用いる水 表D.1の種別A2又はA3の水を用いる。 

 

I.3 

校正を行う場所 

室内の温度変化は質量のひょう量に大きな影響を与えるため,温度変化を起こさないように注意する。

また,ごみと同様に空気の流れ,衝撃及び片側だけの温度ふく(輻)射もまたひょう量に影響を及ぼし,

物理的な断熱を施せば,窓からの太陽のふく(輻)射による温度変化を避けることができる。さらに,適


34 

K 0050:2019  

  

切な空調機を用いることが望ましい。望ましい場所の状態の例を,表I.2に示す。 

はかりを調整した後,校正を行う場所の温度,気圧及び湿度を校正中に測定する。 

 

表I.2−校正する場所の状態の例 

場所の状態 

許容範囲 

空気の温度 

℃ 

15〜25 

1時間当たり室温の変化の最大値 ℃ 

±1 

空気の相対湿度 

35〜65 

 

I.4 

校正の準備 

体積計を校正するための準備は,次による。 

a) 体積計及び測容器の洗浄並びに乾燥 

1) 体積計及び測容器の洗浄方法 一般の市販の洗浄剤によって洗浄したもの,又は洗浄剤を入れた器

具を超音波洗浄装置を用いて洗浄したものを,水道水で十分に洗浄後,表D.1の種別A2又はA3

の水で洗浄する。 

2) 体積計及び測容器の乾燥 体積計及び測容器の乾燥は,次による。 

2.1) 全量ピペット及びビュレット 1) で十分に洗浄したものを倒立して自然乾燥する。 

2.2) 全量フラスコ 1) で十分に洗浄した全量フラスコを倒立して自然乾燥するか,又は表D.1の種別

A2又はA3の水,JIS K 8101に規定するエタノール(99.5)及びJIS K 8103に規定するジエチル

エーテルを用いてこの順に洗浄し,空気を通じて乾燥する。 

2.3) ピストン式ピペット 1) で十分に洗浄したピストン式ピペット専用チップを倒立して自然乾燥

するか,又は表D.1の種別A2又はA3の水,エタノール(99.5)及びジエチルエーテルを用いて

この順に洗浄し,空気を通じて乾燥する。必要があれば,アスピレーターなどを用いて減圧乾燥

する。 

2.4) 注射筒及びマイクロシリンジ 1) で十分に洗浄した注射筒を倒立して自然乾燥するか,又は注射

筒及びマイクロシリンジを表D.1の種別A2又はA3の水,エタノール(99.5)及びジエチルエー

テルを用いてこの順に洗浄し,空気を通じて乾燥する。必要があれば,アスピレーターなどを用

いて減圧乾燥する。 

2.5) 測容器 十分に洗浄した測容器を自然乾燥する(必要な場合に行う。)。 

b) 体積計のメニスカスの調節 液体のメニスカス21) は,視差なく,その下端とリングの上端とが1平面

になるように調節する。 

注21) 容器の表面との相互作用によって形成される液面の屈曲のことで,凹型メニスカスでは下面

を読み,凸型メニスカスでは上面を読む。 

c) 体積計及び校正用水の温度調節 用いる体積計,測容器及び水は,校正する場所の温度にするために,

少なくとも1時間前から校正する場所に置いておく。水は,蒸発を避けるために密閉容器に入れてお

く。 

d) 蒸発の影響 水の質量による体積の決定に対する重要な不確かさに寄与するものは,その蒸発による

とされている。蒸発が起こると,水の質量を実際のものよりも少なくはかることになる。さらに,水

及びはかりの温度並びに空気の相対湿度にも影響を与える可能性がある。このため,蒸発からの影響

を最小にするためには,適切な計測22) を行わなければならない。 


35 

K 0050:2019  

 

注22) 質量をはかるはかりは蒸発防止装置付き,水は密閉容器を用いてはかり,はかりは密閉フー

ド付きで,短時間に計測するなど。 

e) 校正中に生じる誤差 誤差原因として,次の7項目が挙げられる。これらの操作及び取扱いに注意し

て校正を行う。 

1) 校正する体積計の汚れ 

2) 校正する体積計のはかる部分以外のぬれ 

3) 校正する体積計中の気泡 

4) 校正する場所にある排出設備からの空気 

5) 校正するときの体積計からの液体の排出時間の延長 

6) 校正するときに,体積計の排出待ち時間を守らない。 

7) 体積計校正のときに,メニスカスを正しく調節していない。 

 

I.5 

校正の実施 

体積計の校正は,次による。 

a) 校正の手順 校正の手順は,次による。 

なお,校正する場所の状態の変化及び蒸発による損失を少なくするために,可能な限り短時間で質

量をはかる。また,手の汗及び熱を避けるために,測容器はその端を持つか,必要ならば手袋を用い

る。 

1) 全量ピペット 

1.1) 水を入れる適切な測容器20)を用意し,その質量をはかる(W1 g)。 

1.2) 校正する全量ピペットの標線まで水をとる。 

1.3) 全ての水を測容器に流出させ,測容器に栓をして,その質量をはかる(W2 g)。流出後の全量ピペ

ット中の残液処理の方法は,実際に使用するときと同様に行う。 

1.4) 校正を行う場所の温度(tL),気圧(pL)及び湿度(φ),並びに水の温度(tw)を測定する。 

2) 全量フラスコ 

2.1) 全量フラスコの質量をはかる(W1 g)。 

2.2) 室温の水を全量フラスコの標線まで入れたものの質量をはかる(W2 g)。 

2.3) 校正を行う場所の温度(tL),気圧(pL)及び湿度(φ),並びに水の温度(tw)を測定する。 

3) ビュレット 

3.1) 水を入れる適切な測容器20)を用意し,その質量をはかる(W1 g)。 

3.2) 校正するビュレットの0 mLの標線23)まで水をとる。 

注23) 呼び容量50 mLビュレットを例とすると,0 mLの標線まで水を入れる。 

3.3) 水を5 mLの目盛まで測容器に実際の使用時と同様な流速で流出させ,約2分後に目盛を正しく読

み取る。測容器に栓をして,その質量をはかる(W2 g)。 

3.4) 3.1)〜3.3) の操作を0 mLから10 mL,0 mLから15 mL,…,0 mLから50 mLのように繰り返す。 

3.5) 校正を行う場所の温度(tL),気圧(pL)及び湿度(φ),並びに水の温度(tw)を測定する。 

4) ピストン式ピペット 

4.1) 水を入れる適切な測容器20)を用意し,その質量をはかる(W1 g)。また,試験開始時の試験液の温

度並びに校正を行う場所の大気圧,相対湿度及び室温を記録する。 

4.2) 試験液の吸引・排出(リンス)を5回行い,ピペット内の空気層を試験液の蒸気で満たすことに


36 

K 0050:2019  

  

よって湿度を平衡状態にする。 

4.3) 新しいチップに交換し,プッシュボタンを 1段目の停止位置まで押し下げ,チップ先端を試験液

の容器の液面から2 mm〜3 mm程度沈める。 

4.4) ゆっくりプッシュボタンを戻し,そのまま1秒〜2秒待ってチップに完全に試験液を満たす。 

4.5) ピペットを垂直に引き上げて水面から取り出す。 

4.6) 試験液の容器の内面壁にチップ先端を付けて,チップの外側に付着している水滴を拭い取る。 

4.7) チップの先端をひょう量容器の内面壁に約30°〜45°の角度で付けた状態でプッシュボタンを1

段目の停止位置まで押し下げて,チップ内の試験液を排出する。 

4.8) 排出が止まったら,プッシュボタンを2段目の停止位置まで一気に押し込んで,チップ内に残っ

ている試験液を全て排出する。 

4.9) プッシュボタンを押し下げたままチップ先端をひょう量容器の内面壁に沿って引き上げて,チッ

プ先端又はその周りに付着している水滴を拭い取る。 

4.10) 安定するのを待ってから,はかりの指示値を読み取り,記録する(W2 g)。 

4.11) 各試験容量について,10回の測定が完了するまで上記4.1)〜4.10) の試験を繰り返す。ただし,4.3)

のチップの交換については,2回目以降においては任意とする。 

4.12) 10回目の測定が完了後,試験液の容器に残っている試験液の温度を測定し,4.1) で記録した試験

開始時の試験液の温度との平均温度を計算して記録する。 

4.13) 試験液の蒸発による質量損失を計算する必要がある場合は,10回の測定が完了するまでに要した

時間を記録し,それと同じ時間経過後にひょう量容器内の試験液の質量を測定,記録する。 

5) 注射筒及びマイクロシリンジ 

5.1) 水を入れる適切な測容器20)を用意し,その質量をはかる(W1 g)。 

5.2) 校正する注射筒又はマイクロシリンジの最大目盛の標線24)まで水をとる。 

注24) 呼び容量20 mL注射筒を例とすると,20 mLの標線まで水を入れる。 

5.3) 全ての水を測容器に実際の使用時と同様な流速で流出させ,約2分後に目盛を正しく読み取る。

測容器に栓をして,その質量をはかる(W2 g)。 

5.4) 5.1)〜5.3) の操作を15 mL,10 mL及び5 mLの目盛から流出させ,測定を繰り返す。 

5.5) 校正を行う場所の温度(tL),気圧(pL)及び湿度(φ),並びに水の温度(tw)を測定する。 

b) 補正値 補正値は,次による。 

1) 算出方法 測定値から計算した値と,全量ピペット若しくは全量フラスコの呼び容量,又はビュレ

ットの目盛の容量との差を,次の式によって算出し,補正値とする。 

 

t

t

α

ρ

ρ

ρ

ρ

W

W

V

)

(

1

1

1

b

a

C

G

L

L

W

1

2

C

 

ここに, 

VC: 体積計の呼び容量又は体積計の目盛の容量の補正値(mL) 

 

V: 体積計の呼び容量(mL)又は体積計の目盛の容量(mL) 

 

W2: 水を入れた測容器のひょう量値(g) 

 

W1: 測容器のひょう量値(g) 

 

ρL: 空気の密度(g/cm3) 

 

ρG: 分銅の密度(ステンレス鋼製分銅の場合:7.950 g/cm3)25) 

 

ρW: 水の密度(g/cm3) 

 

αC: 体膨張係数(1/K) 

 

ta: 体積計又は測容器の温度(=水の温度,tw)(℃) 


37 

K 0050:2019  

 

 

tb: 標準温度(=20 ℃) 

 

注25) 一般的に用いられているステンレス鋼製分銅の密度は,7.950 g/cm3であ

る。その他の材質の分銅の密度は,JIS B 7609の表B.9(測定法F2−分

銅に用いられる材料の密度)を参照する。 

2) 水の密度 空気を含まない水の密度は,次の式によって計算する。 

 

3

w

5

0

w

W

10

1

)

(

t

b

t

a

ρ

i

i

i

 

ここに, 

ρW: 水の密度(g/cm3) 

 

a0: 係数(=999.839 52 kg/m3) 

 

a1: 係数[=16.952 577 (kg/m3)・℃−1] 

 

a2: 係数[=−7.990 512 7×10−3 (kg/m3)・℃−2] 

 

a3: 係数[=−4.624 175 7×10−5 (kg/m3)・℃−3] 

 

a4: 係数[=1.058 460 1×10−7 (kg/m3)・℃−4] 

 

a5: 係数[=−2.810 300 6×10−10 (kg/m3)・℃−5] 

 

b: 係数(=0.016 887 2) 

 

tw: 水の温度(℃) 

 

3) 空気の密度 空気の密度は,次の式によって計算する。 

 

3

L

3

L

2

L

1

L

10

15

.

273

)

(

)

10

(

t

k

t

k

p

k

 

ここに, 

ρL: 空気の密度(g/cm3) 

 

pL: 気圧(=分析場所の気圧)(kPa) 

 

φ: 空気の相対湿度(%)/100[=分析場所の相対湿度(%)/100] 

 

tL: 空気の温度(=分析場所の温度)(℃) 

 

k1: 係数[=0.348 44 (kg/m3)・℃/hPa] 

 

k2: 係数(=−0.002 52 kg/m3) 

 

k3: 係数[=0.020 582 (kg/m3)・℃] 

 

4) 体膨張係数 体積計に用いる材質の体膨張係数の例を,表I.3に示す。 

 

表I.3−体積計に用いる材質の体膨張係数の例 

単位 1/K 

材質 

体膨張係数αc 

石英ガラス 

5.6×10−7 

硬質ガラスa) 

1.0×10−5 

軟質ガラス 

2.70×10−5 

プラスチックb) 

3.00×10−4〜6.00×10−4 

注a) 硬質ガラスとして,Duran,Pyrex,Rasothermなど,測容器となる一

般的な化学分析用ガラス器具がある。 

b) プラスチックの体膨張係数は,使用されている樹脂の体膨張係数を

用いる。