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H 8683-3:2013  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 概要······························································································································· 2 

5 装置及び器具 ··················································································································· 2 

6 試験液···························································································································· 2 

7 試験片···························································································································· 2 

8 手順······························································································································· 3 

9 試験結果の表し方 ············································································································· 3 

10 試験報告書 ···················································································································· 4 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 5 

H 8683-3:2013  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人軽金

属製品協会(JAPA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を

改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で

ある。 

これによって,JIS H 8683-3:1999は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS H 8683の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS H 8683-1 第1部:染料吸着試験 

JIS H 8683-2 第2部:りん酸−クロム酸水溶液浸せき試験 

JIS H 8683-3 第3部:アドミッタンス測定試験 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 8683-3:2013 

アルミニウム及びアルミニウム合金の 

陽極酸化皮膜の封孔度試験方法− 

第3部:アドミッタンス測定試験 

Anodizing of aluminium and its alloys- 

Assessment of quality of sealed anodic oxidation coatings- 

Part 3: Measurement of admittance 

序文 

この規格は,2010年に第3版として発行されたISO 2931を基とし,技術的内容を変更して作成した日

本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金の製品(以下,製品という。)に施した厚さ3 μmを超

える陽極酸化皮膜(以下,皮膜という。)のアドミッタンス測定試験による封孔度試験方法について規定す

る。 

注記1 この方法は,工程管理中の検査にも適しており,受渡当事者間の合意によって,受入れ検査

にも適用できる。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 2931:2010,Anodizing of aluminium and its alloys−Assessment of quality of sealed anodic 

oxidation coatings by measurement of admittance(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 0201 アルミニウム表面処理用語 

JIS H 8680-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法−第2部:渦電流式

測定法 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

H 8683-3:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS H 0201によるほか,次による。 

3.1 

アドミッタンス(admittance) 

交流回路における電流の流れやすさ。インピーダンス(電流の流れにくさ)の逆数で表される。 

概要 

この試験は,皮膜の電気的特性であるアドミッタンスを測定し,その値によって封孔度を調べる方法で,

皮膜を破壊しないことを特徴とする。 

アドミッタンスの値は,次に示す要因に依存する。 

a) 素地金属(組成,金属間化合物の大きさ及び分布,表面状態) 

b) 封孔方法(蒸気封孔,沸騰水封孔,常温封孔,ニッケル又はコバルト塩封孔) 

c) 皮膜の厚さ,密度(電解液,電流のタイプ,電流密度,電解温度) 

d) 染料又は顔料で着色された皮膜 

e) 封孔処理から測定までの保管状態及び時間 

装置及び器具 

5.1 

アドミッタンス測定装置 アドミッタンス測定装置は,アドミッタンス値が3 μS〜300 μSのレンジ

をもつものが望ましい。 

装置は,電極を二つもち,一方の電極はアルミニウム素地に結線するものであり,他方の電極は,ペン

シル状で試験液に入れるものである。また,装置は,皮膜のアドミッタンスを周波数1 000 Hz±10 Hzの

下で測定できるものでなければならない。 

5.2 

測定用セル 測定用セルは,合成樹脂,ゴムなど非電導性のものであって,寸法は一般に内径13 mm

(試験面積:133 mm2),高さ約5 mmとする。 

なお,試験片の形状によっては,これより小さいセルを用いてもよい。 

試験液 

6.1 

一般 試薬は,分析用試薬を用い,水は導電率2 μS/cm以下の脱イオン水又は蒸留水を用いる。 

6.2 

硫酸カリウム水溶液(電解液) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム35 gを水に溶かして1 Lとする。 

試験片 

試験片は,次による。 

a) 試験片は,製品の用途に応じて指定された,表面処理を施した皮膜の品質を満たすことが不可欠な有

効面から採取する。 

なお,製品から試験片を採取することができない場合は,製品と同一の材料及び同一の処理条件で

作製した試験片を用いる。製品と同一の材料とは,材料の種類・質別及び処理前の表面状態が,製品

と同じであることをいう。また,同一の処理条件とは,前処理,皮膜の処理が,製品と同一の浴組成

及び同一の処理条件で,製品と同一の性能を得るように行うことをいう。 

b) 試験片の標準寸法は,約50 mm×約100 mmとする。ただし,受渡当事者間の協定によって,他の寸

法の試験片を用いてもよい。 

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H 8683-3:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

手順 

手順は,次による。試験液及びセルは,試験ごとに新しいものとする。また,試験面が傾いている場合

又は垂直の場合については,脱脂綿に試験液を染みこませてセルに詰めて行うか,特別な形状のセルを使

用する。 

a) 試験片は,封孔処理後,室温で冷却する。試験は,封孔処理後1時間から4時間までの間に行うこと

が望ましい。通常,48時間以内に試験を実施する。 

b) 試験片は,汚れに応じて,エタノール,アセトンなどの有機溶剤を浸した柔らかい布などを用いてあ

らかじめ清浄にしておく。試験片が,シリコン及びワックスで封孔処理後に処理されている場合は,

酸化マグネシウムなどで表面が水を弾かなくなるまでこすり,その後,有機溶剤で清浄にする。 

なお,試験片を腐食したり,保護皮膜を作るような有機溶剤を用いてはならない。 

c) 試験片に,試験液が漏れないように測定用セルを完全に密着させる。 

d) 試験液を測定用セルに満たし,30分間以上放置する。 

注記 工程管理などでこの方法を用いる場合は,放置時間は30分未満でもよい。ただし,常に一定

の放置時間を決めて行うのがよい。 

e) 試験片又は試験液の温度(以下,試験温度という。)を,表面温度計又は棒状温度計を用いて測定する。 

f) 

試験は,試験温度10 ℃〜35 ℃の範囲で行う。 

g) 装置の一方の電極をアルミニウム素地に接続し,他方の電極を試験液中に浸し,アドミッタンスを測

定する。 

h) 試験片を水洗後乾燥し,測定部の皮膜厚さをJIS H 8680-2によって測定する。 

なお,皮膜厚さの測定は,試験前に行ってもよい。 

i) 

試験箇所を変えて,b)〜h)の手順を2回以上繰り返す。 

試験結果の表し方 

測定値を,次の式(1)によって,試験温度25 ℃における皮膜厚さ20 μmで試験面積133 mm2に換算した

アドミッタンス値として算出し,2回以上の平均値で表す。平均値は,JIS Z 8401の規則Aによって,有

効数字2桁に丸める。 

注記 アドミッタンス値の小さいものほど封孔度が進んでいることを示す。 

A

tf

Y

Y

20

133

m

20=

 ··········································································· (1) 

ここに, 

Y20: アドミッタンス値(μS) 

Ym: 測定値(μS) 

A: 試験面積(mm2) 

t: 皮膜厚さ(μm) 

f: 温度係数(表1による) 

表1−温度係数a) 

試験温度 

℃ 

10 

12.5 

15 

17.5 

20 

22.5 

25 

27.5 

30 

32.5 

35 

温度係数 

1.30 

1.25 

1.20 

1.15 

1.10 

1.05 

1.00 

0.95 

0.90 

0.85 

0.80 

注a) 試験温度がここに示した温度の中間にある場合の温度係数は,1 ℃当たり0.02として補間する。 

H 8683-3:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

10 試験報告書 

試験報告書には,次の事項を含めなければならない。 

a) この規格の番号:JIS H 8683-3 

b) 試験年月日 

c) 試験した製品の名称 

d) 試験面積 

e) 試験温度 

f) 

試験中に認められた特記事項 

g) 測定回数及び試験結果 

参考文献 JIS H 8683-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔度試験方法−第2

部:りん酸−クロム酸水溶液浸せき試験 

注記 対応国際規格:ISO 3210:2010,Anodizing of aluminium and its alloys−Assessment of 

quality of sealed anodic oxidation coatings by measurement of the loss of mass after 

immersion in phosphoric acid/chromic acid solution(MOD) 

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附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS H 8683-3:2013 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の
封孔度試験方法−第3部:アドミッタンス測定試験 

ISO 2931:2010 Anodizing of aluminium and its alloys−Assessment of quality of sealed anodic 
oxidation coatings by measurement of admittance 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及びそ
の内容 

(V)JISと国際規格との技
術的差異の理由及び今後
の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 

一致 

JISでは,ISO規格の内容を整理して記載した。 

− 

2 引用規格 

− 

3 用語及び定義 


3.1 

追加 
変更 

JISでは,JIS H 0201を追加するとともに,ISO
規格のアドミッタンスの定義を分かりやすい表
現に変更した。 
実質的な差異はない。 

− 

4 概要 

追加 

JISでは,ISO規格の規定に補足事項を追加した。 
実質的な差異はない。 

− 

5 装置及び器具 

5.1 アドミッタン
ス測定装置 

5.1 

変更 

JISでは,題名を“装置及び器具”に変更し,装
置の測定レンジの“3 μS〜300 μS”を“望ましい”
に変更した。 
実質的な差異はない。 

ISO規格の見直しの際に
提案する。 

5.2 測定用セル 

5.2 

追加 

JISでは,セルの大きさについて,標準よりも小
さいセルを用いてもよいことを追加した。 
実質的な差異はない。 

− 

6 試験液 

6.1 一般 
6.2 硫酸カリウム
水溶液(電解液) 

5.3 

変更 

JISでは,ISO規格の5.3を“6試験液”として“6.1
一般”を設け,脱イオン水の導電率の規定を追加
するとともに,JIS K 8962を引用した。 

ISOに,使用する水の導電
率の追加提案を検討する。 

7 試験片 

変更 

JISでは,試験片採取方法を細別として記載した。 
実質的な差異はない。 

− 

2

H

 8

6

8

3

-3

2

0

1

3

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及びそ
の内容 

(V)JISと国際規格との技
術的差異の理由及び今後
の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

8 手順 

変更 

JISでは,試験片採取方法を細別として記載した。 
また,ISO規格では,試験液注入後の放置時間を
2分間以上と規定しているが,JISでは,従来ど
おり30分間以上とした。 

ISOに,放置時間の見直し
の提案を検討する。 

追加 

JISでは,試験片の清浄に用いる有機溶剤につい
て“なお書き”で注意事項を追加した。 
また,測定の繰り返しを追加した。 
実質的な差異はない。 

9 試験結果の表
し方 

変更 

JISでは,ISO規格の式を一つにまとめて記載し
た。 
実質的な差異はない。 

− 

10 試験報告書 

追加 

測定回数を追加した。 

ISO規格の見直しの際に
提案する。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 2931:2010,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 
 

− 一致 ················ 技術的差異がない。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 
 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

H

 8

6

8

3

-3

2

0

1

3

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