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H 8602:2010  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 種類······························································································································· 2 

5 品質······························································································································· 3 

5.1 外観 ···························································································································· 3 

5.2 性能 ···························································································································· 3 

6 試験······························································································································· 4 

6.1 一般事項 ······················································································································ 4 

6.2 試験片 ························································································································· 4 

6.3 外観試験 ······················································································································ 4 

6.4 陽極酸化皮膜厚さ試験 ···································································································· 4 

6.5 キャス試験 ··················································································································· 4 

6.6 塗膜の付着性試験 ·········································································································· 5 

6.7 塗膜の耐溶剤性試験 ······································································································· 5 

6.8 耐アルカリ性試験 ·········································································································· 5 

6.9 複合耐食性試験 ············································································································· 6 

6.10 促進耐候性試験 ············································································································ 6 

7 検査······························································································································· 7 

8 表示······························································································································· 8 

9 報告······························································································································· 8 

附属書A(規定)耐食性試験の評価に用いるレイティングナンバ標準図表 ······································· 9 

附属書B(規定)耐アルカリ性試験の評価に用いるレイティングナンバ標準図表 ····························· 15 

附属書C(参考)種類 ·········································································································· 17 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,軽金属製品協会

(JAPA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,

JIS H 8602:2006は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成22年7月19日までの間は,工業標準化法第20条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS

マーク表示認証において,JIS H 8602:2006によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 8602:2010 

アルミニウム及びアルミニウム合金の 

陽極酸化塗装複合皮膜 

Combined coatings of anodic oxide and organic coatings on aluminium and 

aluminium alloys 

適用範囲 

この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金の展伸材の素地の防食,美観などを目的として施す陽

極酸化塗装複合皮膜(以下,複合皮膜という。)について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7753 サンシャインカーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機 

JIS H 0201 アルミニウム表面処理用語 

JIS H 8680-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法−第1部:顕微鏡断

面測定法 

JIS H 8680-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法−第2部:渦電流式

測定法 

JIS H 8681-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法−第2部:キャ

ス試験 

JIS K 5600-5-4 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法) 

JIS K 5600-5-6 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法) 

JIS K 5600-7-7 塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第7節:促進耐候性及び促進耐光性

(キセノンランプ法) 

JIS K 5600-7-8 塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第8節:促進耐候性(紫外線蛍光ラ

ンプ法) 

JIS K 8271 キシレン(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS Z 1522 セロハン粘着テープ 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8720 測色用標準イルミナント(標準の光)及び標準光源 

JIS Z 8741 鏡面光沢度−測定方法 

JIS Z 9112 蛍光ランプの光源色及び演色性による区分 

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用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS H 0201によるほか,次による。 

3.1 

陽極酸化塗装複合皮膜 

アルミニウム及びアルミニウム合金に平均皮膜厚さ5 μm以上の陽極酸化処理を施した後,塗装を施す

ことによって陽極酸化皮膜の性能に塗膜の性能を付加して,耐食性,耐候性,装飾性などの品質を更に向

上させた皮膜。 

注記 主として塗膜の付着性を向上させるための下地処理として平均皮膜厚さ5 μm未満の薄い陽極

酸化皮膜を施し,その上に塗装を施したものは,複合皮膜には含まれない。 

3.2 

限度見本 

外観の良品又は不良品となる品質の限度を示した見本。 

種類 

複合皮膜の種類は,複合耐食性及び耐候性によって区分し,表1の4種類とする。 

なお,種類は,複合耐食性及び耐候性の両方の性能を満足しなければならない。 

表1−陽極酸化塗装複合皮膜の種類 

種類 

複合耐食性 

耐候性a) 

参考 

複合耐食性試験b) 

キセノンランプ式
促進耐候性試験 

サンシャインカー
ボンアーク灯式促
進耐候性試験 

適用環境 

紫外線蛍光ランプ
式促進耐候性試験 

キャス試験 

試験時間 h 

A1 

240 

120 

4 000 

3 000 

過酷な環境で,かつ,
紫外線露光量の多い
地域の屋外 

A2 

240 

120 

2 000 

1 500 

過酷な環境の屋外 

240 

72 

1 000 

750 

一般的な環境の屋外 

− 

− 

350 

250 

屋内 

注記1 JIS H 8602:1992で規定している種類との比較を附属書Cに示す。 
注記2 適用環境において,“過酷な環境”とは,腐食・劣化の激しい地域で海浜及び沿岸をいい,“一般的な環境”

とは,工業地域,都市地域及び田園地域をいう。 

海浜とは,海岸線から300 m以内の地域(飛来する海塩粒子の影響が最も激しい地域)をいう。 
沿岸とは,海岸線から300 mを超えて2 km以内の地域(飛来する海塩粒子の影響が比較的大きい地域。

ただし,南西諸島の島は,海岸線から2 kmを超えても,すべてこの区分に入れる。)をいう。 

工業地域とは,生産活動に伴って,大気汚染物質[硫黄酸化物 (SOx) ,窒素酸化物 (NOx) ,降下ばい

じんなど]を発生する地域をいう。 

都市地域とは,商業及び生活活動に伴って大気汚染物質を発生する地域をいう。 
田園地域とは,大気汚染物質の影響が少ない地域をいう。 
紫外線露光量の多い地域とは,亜熱帯海洋性気候に類似した地域をいう。 

注a) 耐候性は,キセノンランプ式促進耐候性試験又はサンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験のいずれ

かの試験を行う。 

b) 複合耐食性試験は,紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験を行った後,キャス試験を実施する。 

なお,この試験は,種類Cには適用しない。 

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品質 

5.1 

外観 

外観は6.3によって試験を行い,きず,むら,はがれなどの使用する上で問題となる欠点があってはな

らない。 

なお,使用する上で問題となる欠点の判断は,受渡当事者間の協定による。欠点の程度は,限度見本に

よって示すのが望ましい。 

5.2 

性能 

複合皮膜の性能は,箇条6によって試験を行い,表2による。 

表2−陽極酸化塗装複合皮膜の性能 

項目 

性能 

試験方法 

種類 

A1 

A2 

陽極酸化皮膜の厚さ(平均皮膜厚さ)a) μm 

5以上,かつ,各測定点皮膜厚さが,すべて平均
皮膜厚さの80 %以上でなくてはならない。 

6.4 

キャス耐食性 

試験時間 h 

120 

72 

24 

6.5 

レイティングナンバ 
RN 

9.5以上 

塗膜の 
付着性 

碁盤目試験 

25/25 

6.6.1 

沸騰水碁 
盤目試験 

沸騰水 
試験 

試験時間h 

6.6.2 

外観 

塗膜にしわ,割れ,ふくれ及び著しい変色が生じ
てはならない。 

沸騰水試験後の碁盤目 
試験 

25/25 

塗膜の耐溶剤性 

試験前後の塗膜の鉛筆硬度の低下は,JIS K 
5600-5-4の6.2に規定する硬度スケールで1単位
以下でなければならない。 

6.7 

耐アルカリ性 

試験時間 h 

24 

6.8 

レイティングナンバ RN 

9.5以上 

複合耐食
性 

紫外線蛍
光ランプ
式促進耐
候性試験 

試験時間 h 

240 

− 

6.9 

キャス試
験 

試験時間 h 

120 

72 

− 

レイティングナンバ RN 

9以上 

− 

促進耐候
性 

キセノン
ランプ式
促進耐候
性試験 

試験時間 h 

4 000 

2 000 

1 000 

350 

6.10 

外観 

著しい変退色及び著しいチョーキングが生じては
ならない。 

光沢保持率 % 

75以上 

サンシャ
インカー
ボンアー
ク灯式促
進耐候性
試験 

試験時間 h 

3 000 

1 500 

750 

250 

外観 

著しい変退色及び著しいチョーキングが生じては
ならない。 

光沢保持率 % 

75以上 

注a) 陽極酸化皮膜厚さを測定するときに,複合皮膜の厚さも測定しておくとよい。 

なお,測定方法は,6.4による。 

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試験 

6.1 

一般事項 

試験片を採取する製品は,通常,塗装後,24 h以上室内に放置する。ただし,常温乾燥形塗料を用いた

製品は,塗装後,48 h以上放置することが望ましい。 

試験を行う場所は,特に規定がない場合は,常温及び常湿1)とする。 

注1) 常温とは,5〜35 ℃の温度範囲をいい,常湿とは,45〜85 %の相対湿度範囲をいう。 

6.2 

試験片 

6.2.1 

試験片の採取方法 

試験片は,製品の用途に応じて指定された,表面処理の品質が不可欠な有効面から採取する。 

なお,製品から試験片を採取することができない場合は,製品と同一の材料2) 及び同一の複合皮膜の処

理条件3) で作製した試験片を用いる。ただし,陽極酸化皮膜厚さ試験に用いる試験片は,塗装を行う前の

試験片を用いてもよい。 

注2) 製品と同一の材料とは,材料の種類・質別及び処理前の表面状態が,製品と同じであることを

いう。 

3) 同一の複合皮膜の処理とは,前処理,陽極酸化皮膜の処理及び塗装の処理が,製品と同一の浴

及び同一の処理条件で,製品と同一の性能を得るように行うことをいう。 

6.2.2 

試験片の寸法 

試験片の寸法は,長さ150 mm及び幅70 mmとする。ただし,受渡当事者間の協定によって,これ以外

の寸法を用いてもよい。 

6.2.3 

試験片の清浄 

試験片は,水又はエタノールを含ませた柔らかい布などで軽くぬぐい,試験片表面の汚れを除去する。

ただし,エタノールで侵される塗膜には,水を用いる。 

6.3 

外観試験 

有効面の外観試験は,通常,受渡当事者間で協定した観察距離及び角度で,照度が600 lx以上の場所に

おいて目視で行う。ただし,色むらなどの変化の状態を判断することが困難な場合には,拡散昼光4),JIS 

Z 8720の5.3に規定する常用光源D65又はJIS Z 9112に規定する高演色形の蛍光ランプ(演色AAA)の光

の下で目視で行う。背景は無光沢の黒,灰色などの無彩色であることが望ましい。 

注4) 拡散昼光とは,日の出3 h後から,日の入り3 h前までの日光の直射を避けた北窓からの光をい

う。 

6.4 

陽極酸化皮膜厚さ試験 

陽極酸化皮膜厚さ試験は,次のいずれかによる。 

なお,渦電流式測定法による陽極酸化皮膜厚さ試験に用いる試験片は,陽極酸化皮膜に損傷を与えない

方法で複合皮膜の塗膜を除去してもよい。 

a) 顕微鏡断面測定法 JIS H 8680-1による。 製品の3か所以上から採取した試験片の陽極酸化皮膜厚

さを測定し,その平均値をJIS Z 8401によって小数点以下1位に丸めて平均皮膜厚さとする。 

b) 渦電流式測定法 JIS H 8680-2による。 製品の3か所以上から採取した試験片の陽極酸化皮膜厚さ

を測定し,その平均値をJIS Z 8401によって小数点以下1位に丸めて平均皮膜厚さとする。 

6.5 

キャス試験 

キャス試験は,JIS H 8681-2による。ただし,腐食生成物がない場合は,塩酸での洗浄は行わなくても

よい。判定に用いるレイティングナンバの決定は,附属書Aに規定するレイティングナンバ標準図表によ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。また,実測する場合は拡大鏡(10〜15倍,スケール入り)を用いて評価する。 

6.6 

塗膜の付着性試験 

6.6.1 

碁盤目試験 

碁盤目試験は,塗膜にクロスカットを入れて,塗膜の付着性を調べる試験をいい,JIS K 5600-5-6によ

る。ただし,使用するセロハン粘着テープはJIS Z 1522に規定する幅12 mm以上とする。クロスカットの

試験片への切り込みは,陽極酸化皮膜に達することとする。塗膜の付着性は,塗膜のはがれで評価し,塗

膜のいずれの升目もはがれが認められないものを25/25(はがれなかった升目の数/全升目の数)とする。 

6.6.2 

沸騰水碁盤目試験 

沸騰水碁盤目試験は,試験片を沸騰水に浸せきした後,塗膜にクロスカットを入れて,塗膜の付着性を

調べる試験をいい,その手順は,次による。 

a) 深さ150 mm以上の容器に脱イオン水を深さ約80 mm以上入れ,脱イオン水を加熱して水温を95 ℃

以上になるように保ち,この中に試験片を入れ,試験片が水中に60 mm以上浸るようにする。 

b) 5 h浸せきした後,試験片を取り出し,直ちに試験片表面の水分を取り除き,5 min以内に塗膜の外観

を評価する。続いて,6.6.1によって付着性を評価する。 

なお,試験片の周辺部及び水面から深さ10 mmまでの部分の塗膜は,外観評価の対象としない。 

6.7 

塗膜の耐溶剤性試験 

塗膜の耐溶剤性試験は,キシレンを浸した脱脂綿などで塗膜面をこす(擦)り,試験前後の塗膜の表面

硬さの低下によって,塗膜の耐溶剤性を調べる試験をいい,その手順は,次による。 

a) JIS K 5600-5-4によって塗膜の鉛筆硬さを試験する。ただし,同じ硬度の鉛筆で5回試験し,4回以上

破れなかった場合の鉛筆の硬度をその塗膜の鉛筆硬度とする。 

b) JIS K 8271に規定するキシレンを浸した脱脂綿などでa)の試験を行うのに十分な範囲の面積を約1秒

間に1回の速度で,30回往復して軽くこす(擦)る。 

c) 30 min間放置した後,こす(擦)った部分の塗膜の表面硬さをa)によって試験し,試験前後の塗膜の

表面硬さの変化によって耐溶剤性を評価する。 

注記 本試験の実施に当たっては,室内の換気を十分に行う。 

6.8 

耐アルカリ性試験 

耐アルカリ性試験は,水酸化ナトリウム水溶液を複合皮膜表面に接触させて,複合皮膜の耐アルカリ性

を調べる試験をいい,次による。 

a) 器具 水酸化ナトリウムに侵されない材質で,約30 mLの容積をもつリング。内径32 mm,高さ30 mm

のものが望ましい。 

b) 試験液 水酸化ナトリウム(JIS K 8576)を蒸留水又は脱イオン水に溶解し,その濃度を5 g/Lとする。 

c) 手順 手順は,次による。 

1) リングを,ワセリン,パラフィンなどで試験片の有効面上に密着させ,更に外周をシールする。 

2) 20±2 ℃の試験液をリングの高さの約1/2まで注入し,ガラス板又は合成樹脂板で覆い,20±2 ℃

に保持する。 

3) 表2に規定する試験時間保持した後,試験液及びリングを取り除いて試験片を水洗し,室内に1 h

放置する。 

4) リングと同心円になるように直径30 mmの円を試験片上に描き,円の内側に発生した孔食及び/又

はふくれの発生程度を,附属書Bに規定するレイティングナンバ標準図表と対比して評価する。た

だし,実測する場合は拡大鏡(倍率10〜15倍,スケール入り)を用いて評価する。 

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6.9 

複合耐食性試験 

複合耐食性試験は,紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験を行った後,キャス試験を行い,外観及び腐食

の発生程度を附属書Aに規定するレイティングナンバ標準図表によって評価する。ただし,実測する場合

は拡大鏡(倍率10〜15倍,スケール入り)を用いて評価する。それぞれの試験条件は,次による。 

なお,この試験は,種類Cには,適用しない。 

a) 紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験は,JIS K 5600-7-8によって,表3に規定する条件で行い,その

試験時間は,表2による。この場合, 紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験は,紫外線蛍光ランプの交

換などのとき以外は試験を中断しないことが望ましい。交換,清掃などを行う場合は,できるだけ短

時間で行う。 

b) キャス試験は,6.5によって行い,その試験時間は,表2による。 

表3−紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験の試験条件 

項目 

条件 

ランプ 

JIS K 5600-7-8 タイプ1 [UVB (313)] 

放射照度 

30 W/m2 (270〜700 nm) 

照射(乾燥)時間 

4 h 

暗黒(水凝縮)時間 

4 h 

照射(乾燥)中のブラックパネル温度 

60±3 ℃ 

暗黒(水凝縮)中の槽内温度 

50±3 ℃ 

6.10 促進耐候性試験 

促進耐候性試験は,次のいずれかによる。 

a) キセノンランプ式促進耐候性試験 キセノンランプ式促進耐候性試験は,次による。 

1) 試験は,JIS K 5600-7-7によって行い,その試験時間は,表2による。ただし,放射光源及びフィ

ルタシステム,サイクル,放射照度,ブラックスタンダード温度(乾燥時)又はブラックパネル温

度(乾燥時),並びに乾燥期間中の相対湿度の試験条件は,表4による。 

2) キセノンアークランプの交換,フィルタの交換,清掃のときなどを除き,試験を中断しないことが

望ましい。交換,清掃などを行う場合は,できるだけ短時間で行う。 

3) 噴霧に使用する水5) は,試験片に付着物が生じない水で,電気伝導率が2 μS/cm以下の蒸留水又は

脱イオン水とする。 

4) 試験が終了した後,試験片の外観を評価する。次に,試験片表面を軽く脱イオン水で水洗し,室内

に1 h以上放置し,乾いた後,鏡面光沢度を測定する。また,素材の影響によって光の反射に方向

性があるときは,同じ測定箇所について互いに直角の方向から鏡面光沢度を測定し,それらの値を

平均して,その測定箇所の鏡面光沢度とする。 

5) 試験結果の表し方は,JIS Z 8741に規定する方法3(60度鏡面光沢測定方法)によって,試験前及

び試験後の鏡面光沢度を測定し,次の式によって,光沢保持率を算出する。 

100

)

60

(

)

60

(

s1

2s

×

°

°

=G

G

G

ここに, 

G: 光沢保持率(%) 

Gs1 (60°): 試験前の60度鏡面光沢度 

Gs2 (60°): 試験後の60度鏡面光沢度 

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注5) この試験では,噴霧に使用する水の純度を適切に管理することが非常に重要である。噴霧水中

の不純物,特にけい酸を適切な方法で除去しない場合には,自然界での暴露で発生しないはん

点又は汚れが試験片上に発生する。 

表4−キセノンランプ式促進耐候性試験の試験条件 

項目 

条件 

放射光源及びフィルタシステム 

JIS K 5600-7-7の方法1 

サイクル 

102 min放射 

18 min放射及び水の噴霧 

放射照度 

60 W/m2 (300〜400 nm) 

ブラックスタンダード温度(乾燥時) 

65±2 ℃[ブラックパネル温度(乾燥時)の場合は,
63±2 ℃] 

乾燥期間中の相対湿度 

40〜60 % 

b) サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験 サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験

は,次による。 

1) 試験は,JIS B 7753に規定するサンシャインカーボンアーク灯式の耐候性試験機を用いて,表5に

規定する条件で行い,その試験時間は,表2による。 

2) カーボンの交換,フィルタの交換,清掃のときなどを除き,試験を中断しないことが望ましい。交

換,清掃などを行う場合は,できるだけ短時間で行う。 

3) a) 3) による。 

4) a) 4) による。 

5) a) 5) による。 

表5−サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験の試験条件 

項目 

条件 

放電電圧 

範囲 

48〜52 V 

中心値 

50±1 V 

放電電流 

範囲 

58〜62 A 

中心値 

60±1.2 A 

フィルタ 

フィルタは,JIS B 7753に規定するガラス製フィルタの種類A
のものを使用し,2 000 hで交換する。 

ブラックパネル温度計の示す温度 

63±3 ℃ 

水の噴霧時間 

48 min放射後に,12 min放射及び水の噴霧 

噴霧圧 

0.08〜0.12 MPa 

検査 

検査は,次による。 

a) 形式検査6) 項目 

1) 外観 5.1の規定に適合しなければならない。 

2) 陽極酸化皮膜厚さ 5.2の規定に適合しなければならない。 

3) キャス耐食性 5.2の規定に適合しなければならない。 

4) 塗膜の付着性 5.2の規定に適合しなければならない。 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5) 塗膜の耐溶剤性 5.2の規定に適合しなければならない。 

6) 耐アルカリ性 5.2の規定に適合しなければならない。 

7) 複合耐食性 5.2の規定に適合しなければならない。 

8) 促進耐候性 5.2の規定に適合しなければならない。 

なお,形式検査の抜取検査方式は,製造条件などの生産にかかわる基本的な条件を考慮し,受渡当

事者間の協定による。 

b) 受渡検査7) 項目 

1) 外観 5.1の規定に適合しなければならない。 

2) 陽極酸化皮膜厚さ 5.2の規定に適合しなければならない。 

3) キャス耐食性 5.2の規定に適合しなければならない。 

4) 塗膜の付着性 5.2の規定に適合しなければならない。 

5) 塗膜の耐溶剤性 5.2の規定に適合しなければならない。 

6) 耐アルカリ性 5.2の規定に適合しなければならない。 

なお,受渡検査の抜取検査方式は,生産設備の規模,製品の種類・大きさ・数量などを考慮し,受

渡当事者間の協定による。 

注6) 形式検査とは,設計で示したすべての性能を満足するかどうかを判定するための検査をいう。 

7) 受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しをする場

合,必要と認める性能が満足するものであるかを判定するための検査をいう。 

表示 

複合皮膜の製品には,包装,送り状などに,次の事項を表示する。 

a) 規格番号 

b) 複合皮膜の種類 

c) 製造番号又はロット番号 

d) 加工業者名又はその略号 

報告 

注文者の要求がある場合,製造業者は,規定又は指定した試験の成績書,選択した試験方法などを記載

した報告書を提出する。 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

耐食性試験の評価に用いるレイティングナンバ標準図表 

A.1 耐食性試験の評価に用いるレイティングナンバ標準図表 

レイティングナンバ9.8標準図表は,図A.1による。 

レイティングナンバ9.5標準図表は,図A.2による。 

レイティングナンバ9.3標準図表は,図A.3による。 

レイティングナンバ9標準図表は,図A.4による。 

レイティングナンバ8標準図表は,図A.5による。 

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10 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

      a) 9.8-1             b) 9.8-2              c) 9.8-3 

      d) 9.8-4             e) 9.8-5              f) 9.8-6 

図A.1−レイティングナンバ9.8標準図表(腐食面積率0.02 %) 

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11 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

      a) 9.5-1              b) 9.5-2             c) 9.5-3 

      d) 9.5-4              e) 9.5-5             f) 9.5-6 

図A.2−レイティングナンバ9.5標準図表(腐食面積率0.05 %) 

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12 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

      a) 9.3-1              b) 9.3-2             c) 9.3-3 

      d) 9.3-4              e) 9.3-5             f) 9.3-6 

図A.3−レイティングナンバ9.3標準図表(腐食面積率0.07 %) 

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13 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

      a) 9-1                b) 9-2              c) 9-3 

        d) 9-4               e) 9-5             f) 9-6 

図A.4−レイティングナンバ9標準図表(腐食面積率0.10 %) 

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14 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

       a) 8-1               b) 8-2              c) 8-3 

       d) 8-4               e) 8-5               f) 8-6 

図A.5−レイティングナンバ8標準図表(腐食面積率0.25 %) 

15 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

耐アルカリ性試験の評価に用いるレイティングナンバ標準図表 

B.1 

耐アルカリ性試験の評価に用いるレイティングナンバ標準図表 

レイティングナンバ標準図表は,図B.1による。 

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16 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.1−レイティングナンバ標準図表 

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17 

H 8602:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

種類 

序文 

この附属書は,本体に規定する種類とJIS H 8602:1992に規定する種類との対比を示すもので,規定の一

部ではない。 

C.1 種類 

種類の対比を,表C.1に示す。 

表C.1−種類の対比 

種類 

(この規格) 

種類 

(JIS H 8602:1992) 

A1 

− 

A2 

A,B 

B,P