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H 8454

:2010

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

1

4

  原理

2

5

  装置

2

5.1

  一般事項 

2

5.2

  荷重負荷・測定装置

2

5.3

  点曲げ負荷ジグ

2

5.4

  ひずみ測定装置

2

6

  試験片

3

7

  試験方法

3

8

  縦弾性係数の計算方法 

5

9

  報告

5

9.1

  記載事項 

5

9.2

  付記事項 

6


H 8454

:2010

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権にかかわる確認について,責任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 H

8454

:2010

遮熱コーティングの縦弾性係数試験方法

Testing method for longitudinal elastic modulus of

thermal barrier coatings

適用範囲 

この規格は,火力発電所などで使用する発電用ガスタービンの燃焼器,動翼,静翼などの高温部品に被

覆する遮熱コーティングの常温における縦弾性係数試験方法について規定する。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0601

  製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ

ータ

JIS B 7502

  マイクロメータ

JIS B 7507

  ノギス

JIS B 7721

  引張試験機・圧縮試験機−力計測系の校正方法及び検証方法

JIS H 8200

  溶射用語

JIS H 8401

  溶射皮膜の厚さ試験方法

JIS H 8451

  遮熱コーティングの耐はく離性試験方法

JIS Z 2300

  非破壊試験用語

JIS Z 8401

  数値の丸め方

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS H 8200JIS H 8451 及び JIS Z 2300 によるほか,次による。

3.1 

遮熱コーティング(thermal barrier coating)

燃焼ガスによる高温部品の温度上昇を抑制するために,高温部品を構成する耐熱性に優れた超合金など

の基材の表面のボンドコートと界面酸化物の上に高融点,かつ,低熱伝導率のセラミックスを物理蒸着,

化学蒸着,溶射などの方法によって被覆した高ふく射率のトップコートからなる多層コーティング(JIS H 

8451

参照)

3.2 

組合せはり(composite beam)

基材,ボンドコート及びトップコートを接合面で滑らないように組み合わせたはり。


2

H 8454

:2010

   

原理 

基材上にコーティングを被覆した試験片(

図 参照)に対して,4 点曲げ法によって試験片の荷重−ひ

ずみ関係を測定し,組合せはり理論によって基材の縦弾性係数を基に,遮熱コーティングの構成要素であ

るボンドコート(以下,BC という。

)及びトップコート(以下,TC という。

)の縦弾性係数を求める方法

を提供する。この方法によって,コーティングを被覆した試験片から,引張及び/又は圧縮負荷状態にお

けるコーティングの縦弾性係数を直接評価できる。

この規格では,組合せはり理論によって,試験片(コーティング側)の長手方向のひずみから長手方向

の縦弾性係数を求める。この規格に基づき測定される値は,界面の微小初期欠陥の影響なども含めたコー

ティング部材におけるコーティングの見かけの縦弾性係数となる。

装置 

5.1 

一般事項 

縦弾性係数試験の試験装置は,荷重負荷・測定装置,4 点曲げ負荷ジグ及びひずみ測定装置で構成し,

次による。縦弾性係数試験装置の基本構成の例を

図 に示す。

a

(荷重ロール間距離) :15∼30 mm

R

(半径)

:2.0∼3.0 mm

図 1−縦弾性係数試験装置の基本構成例(遮熱コーティングに引張負荷が作用する場合) 

5.2 

荷重負荷・測定装置 

荷重負荷・測定装置は,JIS B 7721 に規定する試験機を用いる。

5.3 4

点曲げ負荷ジグ 

4

点曲げ負荷ジグは,荷重台,荷重ロール,支持台及び支持ロールで構成し,次による。

a)

荷重台,荷重ロール,支持台及び支持ロールは,試験中に塑性変形を生じない十分な剛性をもつもの

とする。

b)

各ロールの表面粗さは,JIS B 0601 に規定する 0.4

μmRa 以下のものを用いる。

c)

荷重台,荷重ロール,支持台及び支持ロール幅は,試験片の幅を超えるものとする。

d)

荷重ロール間距離は,支持ロール間距離の 1/3 とする。

5.4 

ひずみ測定装置 

ひずみ測定装置は,ひずみゲージで計測するひずみを±1 %以内の精度で測定できるものとする。


3

H 8454

:2010

また,ひずみゲージ長さは,通常,5 mm 以下が望ましい。

試験片 

試験片は,次による。

a)

試験片は,基材だけ[

図 2 a)],基材の片面に対して BC だけを被覆したもの[図 2 b)]及び BC と TC

とを被覆したもの[

図 2 c)]の 3 種類とする。試験片の寸法は,表 の条件を満たすものとする。

b)

コーティングの表面は,特に指定のない限り被覆したままの状態とする。

c)

基材の厚さは,JIS B 7502 に規定する測定器によって計測する。

d)

試験片の全長は,JIS B 7507 に規定する測定器によって計測する。

e)

試験片の幅は,JIS B 7502 に規定する測定器によって計測する。

f)

コーティング厚さは,JIS H 8401 によって求める。

a)

  基材だけの試験片 

b)

  BC だけを被覆した試験片 

c)

  BC と TC とを被覆した試験片 

図 2−試験片形状の例 

表 1−試験片の寸法 

単位  mm

全長  l

t

l

+6 以上(ここで は支持ロール間距離)

幅  b

4

以上 (1/6) 以下

基材厚さ  h

s

 1.5

以上 2.5 以下

コーティング厚さの比 BC だけを被覆した試験片:h

b

/

h

s

≧0.15

BC

と TC とを被覆した試験片:h

c

/

(h

b

h

s

)

≧0.2

試験方法 

試験は,

図 に示す 3 種類の試験片について次のとおり実施する。


4

H 8454

:2010

   

a)

ひずみゲージは,

図 に示すように試験片中央部の長手方向と平行にはり付ける。コーティングした

試験片の場合はコーティング表面にはり付ける。

b)

コーティングに引張負荷を加える場合は

図 4 a),圧縮負荷を加える場合は図 4 b)  に示すように試験片

を 4 点曲げ負荷ジグに取り付ける。ただし,コーティングに加える負荷方向は,受渡当事者間の協定

による。

c)

試験速度は,0.5 mm/min 以下とする。

d)

荷重範囲は,基材表面が塑性変形しない十分低い範囲とする。

e)

試験片に荷重ロール及び支持ロールを十分接触させるため,所定の荷重範囲内で,荷重−ひずみ線図

が安定するまで,試験片に繰り返し荷重を数回加える。

f)

同一条件につき 3 個以上の試験片を用い,試験片ごとに荷重−ひずみ線図(

図 5)を求める。

図 3−ひずみゲージのはり付け位置 

a)

  引張負荷 b)  圧縮負荷 

図 4点曲げにおけるコーティングの荷重負荷方向 

ここで,

ε

 i

: ひずみ(添字 は s,b,c)

ε

 s

ε

 b

ε

 c

: 基材,BC 及び TC のひずみ

P

: 荷重

i

P

ε

Δ

Δ

: 荷重とひずみとのこう(勾)配

図 5−荷重−ひずみ線図 


5

H 8454

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縦弾性係数の計算方法 

基材,BC 及び TC の縦弾性係数の計算方法は次による。

a) 

基材の縦弾性係数  基材の縦弾性係数 E

s

は,基材だけの試験片から求めた荷重−ひずみ線図のこう

(勾)配に基づき,式(1)によって算出する。

s

2

s

s

3

ε

Δ

Δ

=

P

bh

a

E

 (1)

b) BC

の縦弾性係数  BC の縦弾性係数 E

b

は,BC だけを被覆した試験片から求めた荷重−ひずみ線図の

こう(勾)配に基づき,式(2)によって算出する。ここで基材の縦弾性係数 E

s

は a)  で算出したものを

用いる。ただし,受渡当事者間の協定によって,別の試験方法などで求めた基材の縦弾性係数を用い

る場合には,その値を E

s

としてもよい。

⎪⎪

⎪⎪



Δ

Δ

Δ

Δ



Δ

Δ

+

+

+

Δ

Δ

+

=

b

2

s

s

b

s

b

s

4

s

2

s

4

b

2

b

2

b

3

s

b

s

2

s

2

b

s

s

3

b

s

b

2

b

3

s

b

s

2

s

2

b

s

s

3

b

s

4

b

b

3

6

4

3

4

6

4

3

4

6

4

2

1

ε

ε

ε

ε

P

h

aE

P

h

h

aE

h

bE

bh

P

ah

h

h

bE

h

h

bE

h

h

bE

P

ah

h

h

bE

h

h

bE

h

h

bE

bh

E

(2)

c) TC

の縦弾性係数  TC の縦弾性係数 E

c

は,BC と TC とを被覆した試験片から求めた荷重−ひずみ線

図のこう(勾)配に基づき,式(3)によって算出する。ここで基材の縦弾性係数 E

s

は a)  で算出したも

の,BC の縦弾性係数 E

b

は b)  で算出したものを用いる。ただし,受渡当事者間の協定によって,別

の試験方法などで求めた基材の縦弾性係数及び BC の縦弾性係数を用いる場合には,それらの値をそ

れぞれ E

s

及び E

b

としてもよい。

⎪⎪

⎪⎪

Δ

Δ

Δ

Δ

Δ

Δ

Δ

Δ

Δ

Δ

+

+

+

+

⎟⎟

⎜⎜

Δ

Δ

+

+

+

+

+

+

+

+

+

Δ

Δ

+

=

c

2

s

s

c

s

b

s

c

s

c

s

c

2

b

b

c

b

c

b

4

s

2

s

3

s

b

s

b

2

s

2

b

s

b

s

3

b

s

b

4

b

2

b

4

c

2

c

2

c

3

s

c

s

2

s

b

c

s

2

s

2

c

s

s

2

b

c

s

s

b

2

c

s

s

3

c

s

3

b

c

b

2

b

2

c

b

b

3

c

b

c

2

c

3

s

c

s

2

s

b

c

s

2

s

2

c

s

s

2

b

c

s

s

b

2

c

s

s

3

c

s

3

b

c

b

2

b

2

c

b

b

3

c

b

4

c

c

3

6

6

3

6

4

6

4

4

3

4

12

6

12

12

4

4

6

4

3

4

12

6

12

12

4

4

6

4

2

1

ε

ε

ε

ε

ε

ε

ε

P

h

aE

P

h

h

aE

P

h

h

aE

P

h

aE

P

h

h

aE

h

bE

h

h

E

bE

h

h

E

bE

h

h

E

bE

h

bE

bh

P

ah

h

h

bE

h

h

h

bE

h

h

bE

h

h

h

bE

h

h

h

bE

h

h

bE

h

h

bE

h

h

bE

h

h

bE

P

ah

h

h

bE

h

h

h

bE

h

h

bE

h

h

h

bE

h

h

h

bE

h

h

bE

h

h

bE

h

h

bE

h

h

bE

bh

E

 (3)

d) 

数値の丸め方  縦弾性係数は,JIS Z 8401 の規則 A の規定によって,有効数字 3 けたに丸める。

報告 

9.1 

記載事項 

試験結果報告書には,次の項目を記載する。

a)

基材

1)

材料名(製品名,規格番号,種類など)

b)

コーティング材料名及びコーティング方法


6

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1)

材料名(製品名,規格番号,種類など)

2)

コーティング方法

c)

試験片の個数

d)

試験片の形状・寸法,ボンドコート及びトップコートの厚さ

e)

荷重負荷方向

f)

縦弾性係数

9.2 

付記事項 

試験結果報告書には,次の項目についての記録を付記することが望ましい。

a)

基材

1)

試験材料の室温における機械的性質

b)

コーティング材料

1)

コーティング前基材表面仕上げ

2)

試験片の作製及び採取方法

3)

コーティング後の試験片反り量

4)

試験片コーナー部の仕上げ