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H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

(1) 

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

2

4

  一般事項

3

4.1

  印加磁界の精確さ及び均一性

3

4.2

  振動試料磁力計の校正 

4

4.3

  温度

4

4.4

  試料の長さ 

4

4.5

  試料の向き及び反磁界効果 

5

4.6

  超電導体体積による正規化 

5

4.7

  磁界の繰り返し及び掃引モード

5

5

  振動試料磁力計測定法 

5

5.1

  VSM の測定原理

5

5.2

  VSM 用試料の調整

5

5.3

  測定条件及び校正

6

6

  試験報告

7

6.1

  試験責任者 

7

6.2

  技術的詳細項目

7

附属書 A(参考)超電導量子干渉計によるヒステリシス損失測定法 

9

附属書 JA(参考)参考文献 

11


H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人国際超電導産業技術研究センター

(ISTEC)

及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。


日本工業規格

JIS

 H

7311

:2006

(IEC 61788-13

:2003

)

超電導−交流損失試験方法−

磁力計法によるニオブ−チタン

複合超電導線のヒステリシス損失測定

Superconductivity

AC loss measurements

Magnetometer methods for hysteresis loss in

Cu/Nb-Ti multifilamentary composites

序文 

この規格は,2003 年に第 1 版として発行された IEC 61788-13 を基に,技術的内容及び対応国際規格の

構成を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線及び/または点線の下線を施してある参考事項は,原国際規格にはない事項であ

る。

適用範囲 

この規格は,変動磁界の周波数が 0∼0.06 Hz における磁力計法によるニオブ−チタン複合超電導線にお

けるヒステリシス損失測定方法について規定する。

ニオブ−チタン複合超電導線(以下,

“複合超電導線”という。

)は,丸線とし,測定温度は,4.2 K 又は

4.2 K

近傍とする。

注記  この規格の対応国際規格を,次に示す。

IEC 61788-13:2003

,Superconductivity−Part 13: AC loss measurements−Magnetometer methods for

hysteresis loss in Cu/Nb-Ti multifilamentary composites (IDT)

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,一致していることを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであって,その後の改正版(追補を含む。

には適用しない。

JIS H 7005:2005

  超電導関連用語

注記  対応国際規格:IEC 60050-815:2000,International Electrotechnical Vocabulary(IEV)−Part 815:

Superconductivity

(MOD) 

JIS H 7304:2002

,超電導−超電導体のマトリックス比試験方法−銅安定化ニオブ・チタン複合超電導

導体の銅比

注記  対応国際規格:IEC 61788-5,Superconductivity−Part 5: Matrix to superconductor volume ratio


2

H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

measurement

−Copper to superconductor volume ratio of Cu/Nb-Ti composite superconductors

(IDT)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 7005 によるとともに,次による。

3.1 

交流損失,P (AC lossP) 

時間的に変動する磁界又は電流印加によって,複合超電導線中で消費される電力(JIS H 7005 

815-04-54

を修正。

注記  磁界 1 周期当たりの交流損失を,で表す。すべての磁気的損失は,一般的な認識では,必ず

ヒステリシス現象を示すが,複数の複合超電導線で構成される超電導導体における交流損失は,

複合超電導線の時間的平均ヒステリシス損失,結合損失,渦電流損失及び構造材料の渦電流損

失が含まれる(JIS H 7005 の 815-04-54 の

備考 1.参照。)。

3.2 

ヒステリシス損失,P

h

(hysteresis lossP

h

) 

変動磁界中において超電導体中に発生し,1 周期当たりの値が周波数に依存しない損失(JIS H 7005 

815-04-55

注記 1  ヒステリシス損失は,磁束線のピン止めによる超電導材料の不可逆な磁気的性質に起因する。

注記 2  ヒステリシス損失は,複合超電導線の超電導領域内だけに生じる。したがって,母材がない

場合においても存在する。Q

h

で表す 1 周期当たりのヒステリシス損失は,M-曲線の面積に

関連付けられる。対応する磁化 は,

“永久電流磁化”と呼ばれることがある。

3.3 

渦電流損失,P

e

(eddy current lossP

e

) 

印加変動磁界又は自己変動磁界にさらされたとき,複合超電導線の常電導母材又は構造材で発生する損

失  (JIS H 7005 の 815-04-56 を修正。

注記  1 周期当たりの渦電流損失は,Q

e

で表す。

3.4 

結合損失,P

c

(coupling lossP

c

) 

常電導母材内に多数本の超電導フィラメントが埋め込まれた構造の複合超電導線(以下,“多心超電導

線”という。)において,結合電流によって発生する損失(JIS H 7005 の 815-04-59 を修正。

注記  1 周期当たりの結合損失は,Q

c

で表す。

3.5 

近接効果結合損失,P

pe

(proximity effect coupling lossP

pe

) 

多心超電導線において,超電導フィラメントに沿って流れる電流及び超電導性を与えられた常電導母材

を横切って循環する電流に由来する損失。

注記  近接結合電流(JIS H 7005 の 815-04-58)は,結合電流と同じ経路をたどることから,競合関係

にある。近接効果の電流経路は,すべて超電導であるので,P

pe

は永久電流の効果であり,近接

効果電流が存在すると,ヒステリシス損失 P

h

を増大させる役目をする。近接効果は,フィラメ

ント領域の構成やスタック数などの構造によって,フィラメント間の間隔が約 1

µm を下回る

複合超電導線に現れる。1 周期当たりの近接効果結合損失は,Q

pe

で表す。


3

H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

3.6 

反磁界  (demagnetization) 

超電導体を等価的な磁性体とみなしたとき,磁化された超電導体が超電導体内につくる磁界のこと。

注記  反磁界は,試料の幾何学的形状,印加磁界の方向及び試料の磁化の強さに依存する。4.2 K で高

磁界にある複合超電導線においては,反磁界は,通常,無視してよい。

3.7 

磁束クリーブ  (flux creep) 

磁束線がピンニング・センタから他のピンニング・センタへと移動する熱的活性化運動(JIS H 7005 

815-03-20

注記  磁束クリープは(一定の印加磁界の強さ及び試料温度で),超電導体の永久電流磁化の減衰の対

数的な時間依存性に関連している。磁束クリープが著しい場合は,ヒステリシス損失に周波数

依存性が生じる。磁束クリープの効果は,複合超電導線において近接効果結合が存在している

場合を除き,無視できる。

3.8 

フラックス・ジャンプ  (flux jump) 

機械的,熱的及び電気的なじょう(擾)乱によって生じる磁気的不安定性に基づく,ピン止めされてい

る磁束線の不連続な集団運動(JIS H 7005 の 815-03-22 を修正。

注記  フラックス・ジャンプは,超電導体の磁化の突発的な減少として観測される。

3.9 

フィラメント体積  (filamentary volume) 

試料の全フィラメント体積。

3.10 

線材体積  (composite volume) 

超電導体と母材とを含む全試料体積。

3.11 

掃引振幅 H

max

(sweep amplitudeH

max

) 

印加磁界の最大値。

3.12 

磁化曲線  (magnetization loop) 

磁界が+H

max

から−H

max

にわたって 1 周期変化するときの,印加磁界強度の関数としての試料磁化の軌

跡。 

注記  試料の磁化の軌跡はヒステリシス・ループを描き,そのループの面積 は,“1 周期当たりのエ

ネルギー損失”

。磁界 1 周期当たりのエネルギー損失 は,ヒステリシス損失 Q

h

,渦電流損失

Q

e

,結合損失 Q

c

及び近接効果損失 Q

pe

の成分をもっている。

一般事項 

この方法の目標精度は,変動係数(標準偏差を平均値で除した値。以下,

“COV”という。

)で示す。COV

は,5  %未満とする。測定結果の精確さに影響を与える重要な変数及び要因を,次に示す。

4.1 

印加磁界の精確さ及び均一性 

磁界発生装置は,

1

%の精確さ及び 0.5  %の精度とで磁界を印加できるものでなければならない。また,


4

H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

印加磁界は,試料全域にわたって 0.1  %の均一性を確保しなければならない。

4.2 

振動試料磁力計の校正 

振動試料磁力計(以下,

“VSM”という。

)の校正は,すべてのクライオスタット(JIS H 7005 の 815-06-50)

及び他の金属部品を(実際の測定時と同じ。

)定位置に設置して行う。校正は,次の手法のいずれかの方法

による。

注記 VSM の校正は,試料の磁気モーメントを 2  %の精確さで測定することを保証するためのもの

である。

a) 

飽和磁化法  VSM は,米国標準技術局[National Institute for Standard and Technology (NIST)]の標準

参照材 772a に登録するニッケル球

1)

を用いて校正する。このニッケル球に対する校正において,磁

界及び温度の補正は,次の式によって行う。

m

=3.47[1+0.002 6 ln(H/398)][1−0.000 47(T−298)]    (mA m

2

)

ここに,

H

磁界強さ  (kA/m)

T

温度  (K)

m

磁気モーメント  (mA m

2

)

注記 1

kA/m

=12.56 Oe

1)

この標準参照材は,高純度ニッケル線材から作った直径 2.383 mm のニッケル球である。こ

のニッケル球の磁気モーメント の保証値は,298 K において,398 kA/m(

µ

0

H=0.5 T)

の磁界

中で 3.47±0.01 mA m

2

である。

b) 

磁化率法  磁化率法は,焼鈍した純ニオブを使用し,超電導体の下部臨界磁界以下におけるマイスナ

ー反磁界磁化率

χ

Mei

χ

Mei

=(M/H)

Mei

=−1 であることを用いて校正を行う。この方法は,低磁界にお

いてだけ適用する。精度よく磁界を印加できる測定装置が必要で,試料形状に依存する反磁界の補正

も行わなければならない(参考文献[1]参照)

注記  磁化率法は,パラジウムの常磁性磁化率測定にも用いることが可能である。この場合,印加

磁界の正確な把握を必要とするが,反磁界の補正の必要はない。

4.3 

温度 

測定は,液体ヘリウムの定常沸点 4.2 K 近傍の温度で行うことが望ましい。4.2 K 以外の温度で測定する

場合には,その測定結果を 4.2 K に補正しなければならない。温度は±0.1 K の精度で測定し,その値を報

告しなければならない。

4.4 

試料の長さ 

試料の長さは,磁界 1 周期当たりのヒステリシス損失 Q

h

に及ぼす影響を排除するため,次のように適切

に処理しなければならない。

a) 

試料とする複合超電導線(以下,“複合超電導線試料片”という。)は,長さ/直径の比が 20 以上で

なければならない。

注記  比較的短い試料では,臨界電流密度の長さ方向及び垂直方向の異方性が,測定可能な“端部

効果”として測定され,磁界 1 周期当たりのヒステリシス損失 Q

h

に影響することがある。

b) 

複合超電導線試料片のフィラメント間隔 d

s

が 1

µm より小さい場合は,次による。

1)

d

s

<1

µm でフィラメントがツイストされていない場合は,磁界 1 周期当たりのヒステリシス損失 Q

h

を の関数として測定し,その結果を L=0 まで外挿する。

2)

d

s

<1

µm でフィラメントがツイストされている場合は,試料の長さは,ツイストピッチの長さ L

p

5

倍を超えてはならない。


5

H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

注記  複合超電導線試料片のフィラメント間隔 d

s

が 1

µm より小さい場合は,“近接効果”が現れ,

この条件下で,近接効果の磁化に対する影響は,試料の長さ 及びツイストピッチの長さ

L

p

に依存する。

4.5 

試料の向き及び反磁界効果 

損失測定は,垂直磁界中の複合超電導線試料片について行わなければならない。十分に磁束が侵入した

複合超電導線の細いフィラメント群では,反磁界は無視できる。また,このような複合超電導線を丸,へ

ん平又は四角の断面形状に束ねたものについては,反磁界効果は無視してよい。

4.6 

超電導体体積による正規化 

ヒステリシス損失は,JIS H 7304 によって複合超電導線の銅比を求め,超電導体の体積当たりの値にし

て報告しなければならない。体積は 1  %の精確さで測定しなければならない。

4.7 

磁界の繰り返し及び掃引モード 

印加磁界は,H

max

から−H

max

にいたる 1 周期内で,逐一(point-to-point)変えてよい。

注記  超電導量子干渉計(SQUID)ではこの磁界変化モードに制限されるが,VSM では逐一モードで

も動作する。VSM は半連続的にも動作し,M-曲線はおよそ 200 組の(MH)データから成っ

ている。

振動試料磁力計測定法 

振動試料磁力計測定法の適用に関する詳細は,Collings らの論文(参考文献[2]参照)を参照することが

望ましい。

5.1 VSM

の測定原理 

VSM

の基本原理

2)

は,測定試料を磁化されるように一様な磁界中に置き,一組のピックアップコイル

近傍で機械的に振動させる。磁気モーメントの振動によって磁界の振動を引き起こし,ピックアップコイ

ルに誘起した交流電圧を電気回路により検出し,

磁気モーメントに変換する。磁力計は比較測定器であり,

その出力信号は,標準試料(ニッケル球及び焼鈍したニッケル)に対して校正を必要とする。

注記  注文品(特注品)の VSM は存在するが,次第に市販されるようになっている。一般に,市販

品は,次の機能をもっている。試料を設置するための,長さ方向に(鉛直方向に)約 1 mm の

振幅で適切な低周波振動する垂直ロッドをもっている。磁界印加装置には,水平に置いた鉄心

入り電磁石(EM)

,又は鉛直に置いた超電導ソレノイド(SCS)があり,試料を,各々の磁界

方向に対し垂直,又は平行に,振動させることできる。ピックアップコイルは,あらゆる外部

磁界振動(磁気ノイズ)をキャンセルでき,試料が発生する磁界振動だけが検知されるように,

適正に配置されペアで構成している。試料の設置場所は,

“スイートスポット”

,すなわち,試

料が鉛直又は水平に移動しても信号がわずかしか変化しないピックアップコイル内の狭い領

域となっている。電磁石タイプ(EM-VSM)及び超電導ソレノイドタイプ(SCS-VSM)は,い

ずれも,試料がスイートスポットを鉛直方向に(z 方向に)動くときに,信号は最大値をとる。

試料の水平平面内の動きに対し,スイートスポットは,EM-VSM では“サドルポイント”状(磁

界方向では最小,鉛直方向に最大)に存在し,SCS-VSM では“すり鉢”状に存在する(例え

ば,半径方向の試料のどんな動きに対しても,信号はソレノイドの軸上で最小である。

2)

参考文献[3]参照

5.2 VSM

用試料の調整 

VSM

のスイートスポットの寸法によって,試料体積は,約 30 mm

3

以下にすることが望ましい。試料形


6

H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

状は,次のいずれでもよい。

a) 

直線状短尺試料  約 1 cm の長さの複合超電導線,1 本又は複数本で構成する(試料束の本数は,必要

な信号の強さによって決めてよい。

。複合超電導線試料片の端部は,滑らかに平たんに研磨する。

b) 

多ターンコイル  長尺の細線については,多ターンコイルの形状にしてもよい。

注記  例えば,EM-VSM では,コイルは,だ(楕)円形状で,長軸は,振動軸に平行に設置してい

る。コイル面は,磁界に垂直にする。SCS-VSM では,コイルは,円形状でコイル面を振動軸

に垂直にすることが望ましい。

c) 

らせん状コイル  らせん状コイルは,直線状短尺試料と多ターンコイルとの中間に相当する試料形状

である。

注記  らせん状コイルは,参考文献[5]で Goldfarb らが推奨している,ねじ状の溝に沿って単独の 1

本の複合超電導線が巻かれた形状の試料である。らせん状コイルの軸は磁界方向に平行であ

る。らせんのピッチ角が 8 度以下であれば,磁界方向は,試料軸に横方向とみなすことがで

きる。らせん状コイルであれば,比較的長く適度に太い複合超電導線であっても,測定用試

料として収納できる。

5.3 

測定条件及び校正 

5.3.1 

磁界振幅 

磁界振幅は,当事者間の協定による。

5.3.2 

磁界の印加方向 

磁界は,直線状短尺試料では長手方向の軸に垂直に,多ターンコイルではコイル面に垂直に,らせん状

コイルではコイル軸に平行に印加する。

5.3.3 

印加磁界の変化率(掃引速度) 

5.3.3.1 

結合の効果 

印加磁界の掃引速度は,結合損失 P

c

が無視できるように,十分遅くするのが望ましい。ただし,逐一モ

ードでの測定も含めて非常に遅い掃引速度において,強い結合による効果が渦電流減衰(指数関数型クリ

ープ)の形で再び現れる場合には,結合損失を考慮する必要がある。VSM の掃引速度で行う測定において,

結合の影響が検出される場合は,事前の測定によって が dH/dt に比例することを確かめた上で,磁界 1

周期当たりのヒステリシス損失 Q

h

を,磁界 1 周期当たりの交流損失 の dH/dt=0 への外挿値として決定

しなければならない。強い結合による効果がある場合は,その旨を掃引速度とともに試験報告することが

望ましい。

5.3.3.2 

近接効果 

極細フィラメントの複合超電導線での損失測定は,近接効果の寄与の可能性があることに注意しなけれ

ばならない。

注記  対数関数型クリープは,近接効果と関連する。それ故,近接効果は,渦電流損失が dH/dt に依

存することから,渦電流による結合とは区別できる。

5.3.4 

印加磁界の波形 

印加磁界は,磁界の最小値−H

max

と最大値+H

max

との間で往復掃引しなければならない。

5.3.5 

試料の寸法及び形状の補正 

VSM

の校正は 4.2 による。試料は,VSM のスイートスポットの中央に取り付け,試料が校正試料より

大きい場合は,次に示す補正のいずれかを行う。

なお,校正用試料よりも小さい試料については,寸法の補正は行わなくてよい。


7

H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

a)

ニッケル製の試料レプリカを第 2 標準として用意する。

b) VSM

のスイートスポット

3)

から試料がはみ出していることが,測定結果に認められる場合は,試料

の寸法及び形状の補正を行う。

3)

スイートスポットは,VSM における適切な試験磁界領域である。

5.3.6 

追加損失成分の補正(バックグラウンド損失の除去) 

測定では,試料ホルダ,関連の部品(例えば,温度センサ)などが,損失測定結果に影響を与える可能

性に注意しなければならない。その影響が認められる場合には,必ず補正を行わなければならない。バッ

クグラウンド損失の補正は,試料だけを除いた全く同一の手順によって得られる損失によって行う。

5.3.7 

測定点密度 

M-H

曲線を構成する測定点において,逐一モードでの測定の場合,測定点は 100 以上とする。磁化曲線

に微細構造(例えば,近接効果が様々な形態で磁化曲線に影響する。

)がある場合,必要に応じて測定点数

を増やして測定することが望ましい。

なお,コンピュータ制御の VSM 測定では,M-曲線を構成する測定点は 100 を下回らないものとする。

試験報告 

ヒステリシス損失測定試験報告書には,次の事項を記載しなければならない。

6.1 

試験責任者 

a)

試験を実施した機関名

b)

試験を実施した組織名又は実施者名

c)

その他,試験の支援に関する詳細

6.2 

技術的詳細項目 

a)

複合超電導素線(入手可能な詳細)

1)

製造業者及び複合超電導線ロット番号

2)

複合超電導線の組成

3)

複合超電導線構成,例えば,スタック数

4)

フィラメント領域当たり及び複合超電導線当たりの銅比

5)

母材残留抵抗比

6)

ツイストピッチ

7)

フィラメント本数

8)

フィラメント径

b) 

測定試料

1)

複合超電導線試料片の形状(束かコイルかを明記。束の場合は,束の長さ,断面寸法及び複合超電

導線の本数)

2)

コイルの寸法

3)

複合超電導線試料片の総長

4)

複合超電導線試料片の配置状況(印加磁界となす角度)

c) 

試験設備−装置及び使用条件 

1) VSM

の校正手順及び関連事項の詳細

2)

磁界校正の正確度及び校正手順

3)

温度測定の正確度及びその手順


8

H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

4)

磁界の印加手順(逐一モードでの測定か連続掃引測定かの明示。連続掃引測定の場合は,掃引速度)

5)

M-H

曲線(1 周期当たりの測定点数)

d) 

試験結果(最終報告及び解析結果) 

1)

複合超電導線単位体積当たりのヒステリシス損失 Q

h

の測定値(必要であれば 4.2 K 換算値)

2)

磁界の掃引振幅

3)

測定温度

4)

代表的な M-曲線ループ

5)

近接効果の有無

6)

フラックス・ジャンプの有無

7)

損失に dH/dt 依存性があれば,静的な Q

h

を dH/dt=0 への外挿から求める手順及び結果

8)

必要であれば,低掃引率における損失に対するクリープの影響及び補正の報告


9

H 7311

:2006 (IEC 61788-13:2003)

附属書 A

(参考)

超電導量子干渉計によるヒステリシス損失測定法

序文 

この附属書は,超電導量子干渉計によるヒステリシス損失測定法について記載するものであって,規定

の一部ではない。

A.1 

超電導量子干渉計の測定原理 

超電導量子干渉計(以下,

“SQUID”

4)

という。

)は,基本的には一つの超電導リングであって,リング

の一部に超電導性の著しく劣る“弱結合”部があり,弱結合部が 1 か所のものを r.f. SQUID,2 か所のもの

を d.c. SQUID という。これらの SQUID 素子は,リング内の磁束と強く関係し,巨視的に観察できる量子

干渉効果を示す。このうち r.f. SQUID は,適切な電子回路と組み合わせることによって,リング内磁束を

極めて正確な測定に用いることができる。測定試料からの全磁束は,複雑な形をした超電導ピックアップ

コイルによって検出され,超電導磁束トランスによって,SQUID リングに導かれる(

図 A.1A 参照)。SQUID

センサの基礎となる物理,電子回路及び一般的な誤差要因については,参考文献[6]に詳しく述べられてい

る。

4)

  Superconducting Quantum Interference Device

の略。 

注記  図中の×部分が“弱結合”すなわち,ジョセフソン接合部である。また,リングと接合

を含めて SQUID 素子と呼ぶことがある。さらに,検出コイルなど周辺回路を加えて

SQUID

センサと呼ぶことがある。 

図 A.1A−r.f. SQUID の概略図 

SQUID

磁力計では,試料の磁気モーメントは,試料がピックアップコイル内に作る磁束を,SQUID セ

ンサによって正確に測定することができる。測定結果の良否は,VSM による測定と同様に,計器の校正が

適切かどうかに依存している。校正は,一般に,測定する磁束が 1 個の双極子モーメントから生じるとの

解釈に基づいている。ピックアップコイルは,磁界のノイズ及び外部磁界による大きな磁束を抑制するた

めに,

1

次微分型又は 2 次微分型のグラジオメータの形をしたコイルシステムとなっている

図 A.2A 参照)。

試料の磁気モーメントは,試料をコイルシステム内で動かし,SQUID センサの出力電圧をコイル内での試


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料位置の関数として測定して求めることができる。試料を周期的に動かすのは,検出回路のドリフト効果

を回避するためで,長時間にわたる磁気モーメントの変化をモニタするのに有効である。

            図 A.2a次微分型グラジオメータ        図 A.2b次微分型グラジオメータ 

図 A.2A−ピックアップコイルの形状

市販されている SQUID 装置は,ピックアップコイルの直径が数 cm,ピックアップコイルの間隔も数 cm

程であることが多い。また,最大の信号強度を得るために,試料の移動距離も同様に数 cm であるが,最

近の幾つかの機種では,それよりかなり小さいものもある。試料を磁化するのに必要な磁界の発生には超

電導マグネットを用い,磁界の方向は試料の移動方向と平行とする。

A.2 

試料の準備 

試料の標準的な寸法及び形状は,5.2 による。ピックアップコイルの軸に対して垂直方向の試料寸法が概

して 5 mm よりも大きい場合,

(測定装置のピックアップコイルのデザインによるが)試料の寸法及び形状

5.3.5 参照)の補正のために測定器の再校正(4.2 参照)が必要である。

A.3 SQUID

特有の測定条件及び校正 

測定条件及び校正は,5.3 の規定と同様である。ただし, SQUID 磁力計では,逐一モードで測定するが,

測定に要する時間が長くなるため,測定点の数を十分に減らす必要がある。一つの全磁化ループを描くの

に必要な測定点の数は,SQUID 磁力計のデータ取り込み速度が遅いことを考慮して,50 以上とする。磁

化曲線に微細構造がある場合の測定点の数は,50 よりはるかに多くするのがよい。

A.4 

試験結果の報告 

試験結果の報告は,箇条 による。


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附属書 JA

(参考) 
参考文献

序文 

この附属書は,参考文献について記載するものであって,規定の一部ではない。

[1]  CHEN,D.X.,BRUG,J.A. and GOLDFARB,R.B. IEEE Trans. Magn. 27,1991,p. 3601.

[2]  COLLINGS,E.W.,SUMPTION,M.D.,ITOH,K.,WADA,H. and TACHIKAWA,K. Cryogenics 37,

1997

,p. 49-60.

[3]  FONER,S.,Rev. Sci. Instrum. 30,1959,p. 548.

[4]  SUMPTION,M.D. and COLLINGS,E.W. Adv. Cryo. Eng. (Materials) 38 (1992) p. 783-790  (see also

SUMPTION

,M.D.,PYON,D.S. and COLLINGS,E.W. IEEE Trans. Appl. Supercond. 3,1993,p. 859-862.)

[5]  GOLDFARB,R.B. and ITOH,K.,J. Appl. Phys. 75,1994,p. 2115.

[6]  GALLOP,J.C. SQUIDs,the Josephson Effects and Superconducting Electronics. IOP Publishing Ltd.,1991.