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H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

2

4

  要求事項

2

5

  装置

2

5.1

  測定装置

2

5.2

  R

s

測定ジグ

3

5.3

  誘電体円柱

5

6

  測定方法

5

6.1

  試料の準備

5

6.2

  構成

6

6.3

  基準レベルの測定

6

6.4

  共振器の周波数応答の測定

6

6.5

  超電導体の表面抵抗及び標準サファイア円柱の ε'及び tan δ の決定

8

7

  精度及び精確さ

9

7.1

  表面抵抗

9

7.2

  温度

10

7.3

  試料及びホルダーの支持構造

10

7.4

  試料保護

10

8

  試験報告

11

8.1

  試験試料の識別

11

8.2

  R

s

値の報告

11

8.3

  試験条件の報告

11

附属書 A(参考)箇条 から箇条 までの追加参考事項

12


H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人国際超電

導産業技術研究センター(ISTEC)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工

業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工

業規格である。

これによって,JIS H 7307:2005 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 H

7307

:2010

(IEC 61788-7

:2006

)

超電導−エレクトロニクス特性測定法−

超電導体のマイクロ波表面抵抗

Superconductivity-Part 7:Electronic characteristic measurements-

Surface resistance of superconductors at microwave frequencies

序文

この規格は,2006 年に第 2 版として発行された IEC 61788-7 を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

この規格に規定する方法は,低温超電導体を含めた他のバルク超電導体にも適用できる。

この規格に規定する測定方法は,VAMAS(Versailles Project on Advanced Materials and Standards)の超電

導体薄膜特性標準化準備研究の成果に基づいている。

1

適用範囲

この規格は,標準二共振器法によるマイクロ波帯における超電導体の表面抵抗測定について規定する。

測定の対象は,共振周波数における表面抵抗 R

s

の温度依存性である。

この方法における表面抵抗の可能な測定範囲は,次のとおりである。

−  周波数:8 GHz∼30 GHz

−  測定分解能:10 GHz で 0.01 mΩ

測定した周波数における表面抵抗値及び比較のために周波数 2 乗則を用いて 10 GHz に換算した表面抵

抗値を報告する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61788-7:2006

,Superconductivity−Part 7:Electronic characteristic measurements−Surface

resistance of superconductors at microwave frequencies(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS H 7005

  超電導関連用語

注記  対 応 国 際 規 格 : IEC 60050-815 , International Electrotechnical Vocabulary − Part 815:

Superconductivity(MOD)


2

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

   

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS H 7005 によるほか,次による。

3.1

表面インピーダンス

一般に,超電導体を含む導体の表面インピーダンス Z

s

は,導体表面における接線方向の電界 E

t

と接線方

向の磁界 H

t

との比として定義される。

s

s

t

t

s

/

jX

R

H

E

Z

+

=

=

ここに,

R

s

表面抵抗

X

s

表面リアクタンス

4

要求事項

超電導薄膜の表面抵抗 R

s

は,2 枚の超電導薄膜試料の間に誘電体円柱を置いて構成する誘電体共振器に

マイクロ波信号を印加し,各周波数における共振器の共振特性から測定する。周波数は共振周波数を中心

として掃引する。さらに,損失に対応する 値を得るために減衰の周波数特性を記録する。

この方法の目標測定精度は,30 K から 80 K までの測定温度範囲において,20 %以下の変動係数(測定

された表面抵抗の標準偏差を平均値で割った値の 100 倍)である。

注記  値は,振動系の共振の鋭さを表す量。詳細は,JIS H 7002 を参照するとよい。

5

装置

5.1

測定装置

マイクロ波測定に要求される装置の概略を,

図 に示す。装置は,伝送特性測定のためのネットワーク

アナライザーシステム,測定ジグ及び測定温度を計測する温度計から構成されている。

周波数掃引発振器のような適切なマイクロ波源から,測定ジグ中に設置されている誘電体共振器に電力

を印加する。伝送特性はネットワークアナライザーのディスプレイに表示される。

図 1−冷凍機を用いた R

s

の温度依存性測定装置の概略

測定ジグは,温度制御できる冷凍機の中に設置されている。

超電導薄膜 R

s

測定のためには,ベクトル・ネットワークアナライザーが推奨される。ベクトル・ネット

ワークアナライザーは,スカラー・ネットワークアナライザーよりもダイナミックレンジが広いため,高

い測定精度をもっている。


3

H 7307

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5.2

R

s

測定ジグ

平滑表面基板上に形成した超電導薄膜の R

s

測定を行うための典型的な測定ジグ(密閉形の共振器)を,

図 に示す。上部の超電導薄膜はりん青銅でできているばねによって下方に押さえられる。測定精度を向

上するために,板ばねの使用を推奨する。この種のばねは,ばねと他の部品との摩擦を減らすことができ,

そのため誘電体円柱の熱膨張によって生じる超電導薄膜の動きをスムーズにすることができる。測定誤差

を最小限に抑えるために,サファイアが用いられ,サファイア円柱と銅リングを同軸に配置する。

セミリジット同軸線は,外径 1.2 mm を推奨する。このセミリジット同軸線は,共振器の伝送特性を測

定するために,軸対称位置に共振器の両サイドから接続される(

φ

=0°と 180°,ここで

φ

はサファイ

ア円柱の中心軸周りの回転角。

。二つのセミリジット同軸線はそれぞれ端末に,小さなループをもつ。不

要の TM

mn0

モードを抑制するために,そのループの面は,超電導薄膜の面に平行に設置する。度重なる温

度履歴によって生じるかもしれない結合ループの溶接部分のクラックを注意深くチェックする。挿入損失

IA)を調節するために,二つのケーブルは左右に移動可能にする。この調節で,必要とする誘電体共振

モードに不要な共振モードの励振を抑制することができる。これを行わないと,不要な共振モードとの結

合が,TE モード共振の高い 値を小さくする。不要な結合を抑制するために,高 共振器の設計に細心

の注意を払う必要がある。

図 に示す密閉形以外に他の二つの異なるタイプの共振器を使うことができる

A.4 参照)


4

H 7307

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図 2R

s

測定ジグ

セミリジット同軸線で作製された基準同軸線を用いて全透過電力レベル,すなわち基準レベルを測定す

る。この基準同軸線の長さは,測定ジグの 2 本の同軸線の長さの和に等しくする。


5

H 7307

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測定誤差を最小にするために,2 枚の超電導膜はお互いに平行になるように設置する。2 枚の超電導膜が

サファイア円柱の端部に,エアギャップがないように密接に接触することを保証するために,薄膜の表面

及び円柱の端部を注意深く清掃しなければならない。

5.3

誘電体円柱

同じ比誘電率 ε'と誘電損 tan δ をもつ一対の誘電体円柱が必要なので,これらの一対の円柱は一本の誘電

体円柱から切り出すことが望ましい。それらの一対の誘電体円柱は,同じ直径で高さが異なる。一方がも

う一方の 3 倍の高さをもつ。

R

s

測定を正確に行うために,tan δ の小さい誘電体円柱を使用することが望ましい。推奨する誘電体円柱

は,77 K で 10

6

以下の tan δ をもつサファイア円柱である。サファイア円柱の仕上がり仕様を 7.1 に示す。

超電導膜の R

s

測定の誤差を最小限にするためにサファイア円柱の両端面は,平行になるように軸に垂直に

研磨しなければならない。

サファイア円柱の直径と高さとは,TE

011

及び TE

013

モードが他の TM,HE,EH モードと結合しないよ

うに,注意深く設計しなければならない。なぜなら TE モードと他のモードとの結合は,無負荷 値の低

下を引き起こすからである。他のモードとの結合を避けるように注意深く設計された一対のサファイア円

柱を,標準サファイア円柱と定義する。標準サファイア円柱の設計指針は,A.5 に記載されている。

表 1

に共振周波数 12 GHz,18 GHz 及び 22 GHz の標準サファイア円柱の代表的な寸法例を示す。より高い周波

数では無負荷 値はより小さくなる。それは,測定を容易にし,誤差を小さくする。

表 112 GHz18 GHz 及び 22 GHz 用一対の標準サファイア円柱の代表的な寸法

共振周波数

GHz

サファイア円柱

直径(d

mm

高さ(h

mm

短い円柱(TE

011

共振器) 11.4

5.7

12

長い円柱(TE

013

  共振器) 11.4

17.1

短い円柱(TE

011

共振器) 7.6

3.8

18

長い円柱(TE

013

  共振器) 7.6

11.4

短い円柱(TE

011

共振器) 6.2

3.1

22

長い円柱(TE

013

  共振器) 6.2

9.3

6

測定方法

警告  この規格の使用に当たって,事前に適切な安全及び衛生上の対策を調査し構築すること,制限

規定の適用性を決定することは,利用者の責任である。

この種の測定では危険が伴う。超電導体を超電導状態に転移させるのに適切な冷凍機システ

ムを使用することは基本である。この冷凍機の冷却部に直接皮膚を接触させると,こぼした寒

剤に直接触れたときと同じように,すぐに凍傷を引き起こす。また,材料の高周波特性を測定

するために高周波発振器を使用することも基本である。もしその出力が高い場合,人体への直

接接触はすぐにやけど(火傷)を引き起こす。

6.1

試料の準備

誤差に関する考察によれば,膜の直径はサファイア円柱の 3 倍程度大きくとらなければならない。この

条件を満たす場合には,

TE

011

及び TE

013

モード間の異なる放射損による R

s

測定精度の低下は目標精度 20 %

に対して無視できる。膜厚はそれぞれの温度に対してロンドン侵入長の 3 倍程度でなければならない。


6

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もし,膜厚がロンドン侵入長の 3 倍より非常に薄い場合は,測定された R

s

は実効的表面抵抗の意味をも

つ。

表 に 12 GHz,18 GHz 及び 22 GHz の標準サファイア円柱に対し,推奨される超電導膜の寸法を示

す。

表 212 GHz18 GHz 及び 22 GHz 用超電導膜の寸法

標準サファイア円柱

超電導膜

共振周波数

GHz

直径(d

mm

直径(d'

mm

厚さ

μ

m

12 11.4

>35

∼0.5

18 7.6

>25

∼0.5

22 6.2

>20

∼0.5

密閉形共振器を使う場合,超電導膜の寸法は,2 枚の超電導膜の間におかれる銅リングの寸法を考慮に

入れて設計する。銅リングの設計指針を A.6 に示す。

6.2

構成

測定機器を

図 のように構成する。高湿度は 値の低下をもたらす可能性があるため,すべての測定用

機器,標準サファイア円柱及び超電導膜は,清浄かつ乾燥した環境で保管する。試料及び測定ジグは,温

度制御可能な冷凍機に取り付ける。試料室は,通常,真空に排気する。超電導膜及び標準サファイア円柱

の温度は,測温用ダイオード又は熱電対で測定する。上下の超電導膜及び標準サファイア円柱の温度は,

可能な限り等しくすることが必要である。このために共振器の部分をアルミホイルで覆うか,又はヘリウ

ムガスを試料室に封入することが効果的である。

6.3

基準レベルの測定

はじめに全透過電力レベル(基準レベル)の測定を行う。測定精度は信号強度に依存するため,周波数

掃引発振器の出力を 10 mW 以下に設定する。セミリジッド同軸線で作製された基準同軸線を入・出力コネ

クターに接続する。次に,測定を行う温度及び周波数領域における透過電力レベルを測定する。基準レベ

ルは,室温から最低測定温度までの冷却過程で数 dB 変化する可能性があるため,温度特性を考慮した基

準レベルの測定が不可欠である。

図 3T K における挿入損失 IA,共振周波数 f

0

及び電力半値幅 Δf

6.4

共振器の周波数応答の測定

表面抵抗 R

s

の温度依存性は,共振周波数 f

0

並びに TE

011

及び TE

013

共振器の無負荷 値(Q

u

)の測定を


7

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通して行われる。これらの測定は,次による。

a)

測定ジグと入・出力コネクターの間を連結する(

図 1)。下側の超電導膜の中心付近に高さの小さい方

(TE

011

モード)の標準サファイア円柱を置き,標準サファイア円柱との間の距離を固定する。透過形

共振器が入出力ループと等しく疎結合するように,サファイア円柱とセミリジッド同軸線先端の各ル

ープとの間隔を等距離に調節する。標準サファイア円柱の上部端面に上部超電導膜を注意深く置く。

圧力をかけ過ぎて超電導膜の表面にきずを付けないように注意する。

b)

設計値 f

0

とほぼ同じ周波数のところに,

この共振器の共振周波数 TE

011

モードがあることを確認する。

c)

ディスプレイ上に TE

011

モードの共振ピークだけが現れるように周波数領域を狭める(

図 3)。標準サ

ファイア円柱とセミリジット同軸線との距離を変化させて共振ピークの挿入損失 IA を基準レベルか

ら 20 dB 程度になるように調節する。共振周波数 f

0

を測定する。

d)  f

0

の温度依存性及び半値幅 Δを測定する。TE

011

共振器の負荷時の 値,Q

L

は式(1)で与えられる。

f

f

Q

Δ

=

0

L

 (1)

e)

無負荷 値,Q

u

は,次に示すいずれかの方法によって Q

L

から導き出される。無負荷 値を導き出す

一つ目の方法は,測定された挿入損失 IA から式(2)のように求められる。

t

L

u

A

Q

Q

=

 (2)

ここに,

20

/

]

dB

[

t

10

IA

A

=

上記の無負荷

Q

値を測定するための技術は,共振器の入出力の結合度が等しいことを前提にしてい

る。

しかし,結合ループは作製が難しく,ループ面を水平に制御することも困難である。さらに,測定

中に標準サファイア円柱が移動する可能性もある。このような共振器の不完全な設置に起因する効果

は,温度によっても変化する。もし結合が強ければ(

IA

が約

10 dB

未満)

,このような結合における

非対称性(共振器の設置上の問題によって共振器の入力ループの結合が互いに等しくない状態)は,

結合係数を計算する上で大きな誤差を生む可能性がある。結合が十分弱い場合(

IA

20 dB

以上)に

は,結合における非対称性の影響は無視できる。

無負荷

Q

を得るもう一つの方法では,共振器の入出力側で,共振周波数における反射係数を測定す

る。この場合,無負荷

Q

値,

Q

u

は,式

(3)

∼式

(5)

で計算される。

)

1

(

2

1

L

u

β

β +

+

Q

Q

 (3)

22

11

11

1

1

S

S

S

+

=

β

 (4)

22

11

22

2

1

S

S

S

+

=

β

 (5)

上記の式で

S

11

及び

S

22

図 に示すように

S

パラメータであり,デシベル単位ではなく,線形単位

で測定される。

β

1

及び

β

2

は結合係数である。

この

S

パラメータを使う方法は二つの利点をもっている。まず,基準レベルの校正を行う必要はな

い。さらに共振器の入出力側の結合係数を測定しているので,結合の非対称性に起因した誤差を含ま

ない。しかし,この方法は二つの欠点をもっている。すなわち,一つは狭帯域の共振にしか適用でき

ないことである(ただし,超電導では狭帯域であるので適用できる。

。二つ目は,反射係数測定にお

けるネットワークアナライザーのダイナミックレンジによる制限を受けることである。


8

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

   

上記に規定する

2

種類の技術を組み合わせることは,優れたダブルチェックとなるため,推奨され

る。

f

)

短いほうの円柱を使って測定される

f

0

及び

Q

u

を,

f

01

及び

Q

u1

とする。冷凍機の温度をゆっくりと変化

させて

f

01

及び

Q

u1

の温度依存性を測定する。

g

)  f

01

Q

u1

との温度特性測定の後,測定装置は室温まで加熱されなければならない。

h

)

次に,室温で測定装置の中の

TE

011

共振器を

TE

013

共振器と入れ替え,超電導臨界温度以下まで装置の

温度を下げる。その後,

TE

011

共振器の場合と同じようにして,

TE

013

共振モードの

f

0

及び

Q

u

の温度依

存性,すなわち,

f

03

Q

u3

とを測定する。

TE

013

共振器の標準サファイア円柱の高さが

TE

011

共振器の

高さの正確に

3

倍であれば,

TE

013

共振器の

f

03

TE

011

共振器の

f

01

に一致する。もし注意深く設計す

れば,

f

01

f

03

との差は,一般的に非常に小さい(約

0.25

%未満)

6.5 の計算において,

f

0

 = f

01

 = f

03

として扱ってよい。

図 4−反射 パラメータ(S

11

又は S

22

6.5

超電導体の表面抵抗及び標準サファイア円柱の

ε

'

及び tan 

δ

の決定

(6)

,式

(7)

及び式

(8)

から

f

01

Q

u1

f

03

及び

Q

u3

の温度依存性を用いて超電導膜の表面抵抗

R

s

及び標準サ

ファイア円柱の比誘電率

ε'

,誘電体損

tan δ

の温度依存性を算出する。

⎟⎟

⎜⎜

+

+

⎟⎟

⎜⎜

×

=

3

u

1

u

3

0

0

2

s

1

1

1

2

)

1

3

(

3

π

30

Q

Q

W

W

ε'

λ

h

R

 (6)

(

)

1

π

2

2

2

0

+

+

=

v

u

d

λ

ε'

 (7)

⎟⎟

⎜⎜

+

=

1

u

3

u

1

3

)

1

3

(

1

tan

Q

Q

ε'

W

δ

 (8)

ここに,

0

0

f

c

λ

=

 (9)

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

2

0

2

1

2

1

2

0

2

1

2

1

u

J

u

J

u

J

v

K

v

K

v

K

v

K

u

J

W

×

=

 (10)


9

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)



⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

=

1

2

π

2

0

0

2

0

2

h

λ

λ

d

v

(11)

)

(

)

(

)

(

)

(

1

0

1

0

v

K

v

K

v

u

J

u

J

u

=

 (12)

これらの式で,

λ

0

は自由空間における共振波長,

c

は真空における光の速度(

c

2.997 9

×

10

8

 m/s

h

0

は短いほうの標準サファイア円柱の高さである。

u

2

の値は,

v

2

の関数として超越方程式

(12)

から与えられ

る。

ここで,

J

n

(u)

は第

1

種ベッセル関数で,

K

n

(v)

は第

2

種変形ベッセル関数である。式の導出を A.3 に記載

する。

一般的に誘電体円柱の寸法は温度変化するので熱膨張係数を考慮する必要がある。しかし,サファイア

円柱の熱膨張効果は

R

s

の目標精度(

20 %

)に対して無視できる。

侵入長の温度依存性が膜厚より十分大きくない場合,測定された

R

s

は実効的表面抵抗を意味しているこ

とを注意しておく。

7

精度及び精確さ

7.1

表面抵抗

表面抵抗は,誘電体共振器法を用いて測定された

Q

値から決定される。

表 に示すベクトル・ネットワークアナライザーを減衰の周波数依存性の測定に用いる。

Q

値の測定結

果の相対不確かさは,

1 %

以下でなければならない。

表 3−ベクトル・ネットワークアナライザーの仕様

S

21

のダイナミックレンジ 60

dB 以上

周波数分解能 1

Hz 以下

減衰の不確かさ 0.1

dB 以下

最大入力 10

dBm 以下

誘電体共振器は,

77 K

において

1

×

10

6

以下の

tan δ

と超電導体試料半径の

1/3

以下の半径をもつ

2

個の

誘電体円柱で構成されなければならない。誘電体円柱に最も望ましいのは

表 に示す仕上がり仕様をもつ

サファイア円柱である。

表 における用語の定義は図 に示す。

表 4−サファイア円柱の仕上がり仕様

直径

±0.05 mm 以下

高さ

±0.05 mm 以下

平たん性 0.005

mm 以下

表面粗さ

上,底表面:10 nm rms 以下 
円筒部表面:0.001 mm rms 以下

垂直性 0.1°以内

円柱軸方向

c 軸に対して 0.3°以内で平行


10

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

   

図 5−表 における用語の定義

ここに記載した測定方法は,等しい

tan δ

をもつ高さ比

1

3

の一対の標準サファイア円柱が作製できる

ことを仮定している。しかしながら,同じ原料結晶から切り出し,同じ手法で研磨した,同一とみなしう

る円柱においても,

tan δ

のばらつきは

2

けた程度に及ぶことがある。今日,同一の一連の製造工程で作製

したサファイア円柱における最も少ない

tan  δ

のばらつきは

4

倍程度

 [9]

である。このサファイア円柱の

tan δ

のばらつきがここに記載した

R

s

測定法において少なくとも

10 %

の付加的な不確かさをもたらしてい

る。これによって,この測定法の目標精度が

20 %

にとどまっている。もし,サファイア円柱の製造工程の

ばらつきが改善されるか,又は多くのサファイア円柱の中から特性のそろった一対のサファイア円柱を選

び出す手法が確立されれば,この誘電体共振器法による

R

s

測定の目標精度を改善することができる。

7.2

温度

測定時に測定ジグは測定温度まで冷却されるが,どのような冷却手段を用いてもよい。最も簡便な方法

は液体冷媒に測定ジグを浸せき(漬)することであろう。この手法は手早く,簡単であり,既知の安定し

た温度が得られる。しかし残念なことに,ほとんどの高温超電導材料は試料を冷媒から取り出すときに生

じる結露によって損傷される。さらに,共振器内に気体,液体混合物が存在することの影響による誤差及

び温度依存性を測定することの困難さがあるため,他の冷却手法を採用することが望ましい。これらの問

題は,真空容器ごと液体冷媒に浸せき(漬)することによって解決できる。真空容器に気体を再充てん(填)

すれば素早く冷却でき,かつ,均一な温度が得られる。ジグにヒータが備え付けられていれば,高温超電

導材料の温度依存性の測定が可能である。その他の有効な手法は,冷凍機の使用である。この場合,共振

器は真空下に置かれ,金属容器を通した伝熱によって冷却される。この場合,ジグ内に温度こう配が生じ

ないよう注意しなければならない。

クライオスタットは

R

s

測定に必要な環境を備えたものを準備し,試料は測定の間安定で,かつ,等温状

態に保持されなければならない。試料の温度は測定ジグの温度と同一であるとみなされる。ジグの温度は

適切な温度センサを用いて±

0.5 K

の精度で測定し,記録しなければならない。

良好な熱伝導体で作られた遮へい(蔽)で覆うことによって,試料温度とジグ温度との差を最小に抑え

なければならない。

7.3

試料及びホルダーの支持構造

支持構造は,

試料に適したものとしなければならない。

測定を通して

2

枚の超電導膜は平行に配置され,

機械的に安定である(特に,冷凍機中で広い温度範囲にわたって)ことが必す(須)である。

7.4

試料保護

膜表面に水蒸気が結露したり,引っかいたりしてしまうと,超電導特性を損なうことになる。試料を保

護するためには幾つかの方策がある。ポリテトラフルオロエチレン(

PTFE

)又はポリメチルメタクリレー


11

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

ト(

PMMA

)を塗布することは測定に影響を与えないため,保護のためにそれらを用いることが可能であ

る。塗布する材料は少なくとも数

μm

以下の厚さにしなければならない。

8

試験報告

8.1

試験試料の識別

a

)

試料製造業者名

b

)

等級及び/又は記号

c

)

ロット番号

d

)

薄膜及びその形成に用いられた基板の化学組成

e

)

薄膜の厚さ及び表面粗さ

f

)

製造方法

8.2

R

s

値の報告

R

s

値は,関連した

f

01

f

03

Q

u1

Q

u3

IA

β

1

β

2

ε'

tan δ

及びそれらの温度依存性とともに報告され

なければならない。

8.3

試験条件の報告

次の試験条件を,報告しなければならない。

a

)

測定周波数及び周波数分解能

b

)

全透過電力レベル(基準レベル)

c

)

測定温度及びその精度,

2

枚の超電導膜間の温度差

d

)

試料の温度履歴


12

H 7307

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附属書 A

参考)

箇条 1 から箇条 8 までの追加参考事項

A.1

適用範囲

高温超電導膜(以下,

HTS

膜という。

)は

10 GHz

において,およそ

0.1 mΩ

という極めて低い表面抵抗

R

s

の値をもつ。この品質評価のために標準測定法の確立が求められている。マイクロ波・ミリ波領域にお

ける表面抵抗を測定する目的で,これまでに

図 A.1 に示すような幾つかの共振器法が提案されてきた。これ

らの共振器構造は,次の

6

種類に分類される。

A.1.1

円筒空洞共振器法 [1]

1)

図 A.1 a

)

は,銅の円筒と

2

枚の

HTS

膜で構成された

TE

011

モードを用いた空洞を示したものである。

30 GHz

以下のマイクロ波領域では,この方法による

R

s

測定の精度は十分ではない。これは銅円筒の

R

s

値が

HTS

膜の

R

s

よりもおよそ

100

倍大きいためである。一方,

R

s

の値は

HTS

膜の場合

f

 2

に比例し,銅の

場合には

f

 1/2

に比例して増加するため,この方法はミリ波領域での測定に適する。

1)

文献番号は,A.9 を参照。

A.1.2

平行平板共振器法 [2]

図 A.1 b

)

は,薄い低誘電損誘電体板を

2

枚の四角形の

HTS

膜で挟んだ平行平板共振器の構造を示したも

のであり,測定には

TM

nm0

モードが用いられる。この方法を用いれば,極めて小さい

R

s

を測定できる可能

性がある。しかし,

R

s

の絶対的評価という観点からは,誘電体板の厚さと

tan δ

の測定精度,放射損及び誘

電体板と超電導膜間の空げき(隙)効果の不確かさ,共振モードの励振の困難さなど,幾つかの問題があ

る。

A.1.3

マイクロストリップライン共振器法 [1][3]

図 A.1 c

)

は,実際のマイクロ波デバイスと同様にパターニングが施されたマイクロストリップライン共

振器の構造を示したものである。この共振器では

TEM

n

モードが用いられる。しかし,この方法はパターン

形成時の形状・特性変化の影響を排除できないため,

HTS

膜それ自体の特性評価には適さない。

A.1.4

誘電体共振器法 [4][5][7] 

図 A.1 d

)

TE

011

モードを用いた誘電体共振器の構成を示した。この共振器は,誘電損失の小さいサファ

イア円柱を平行な

2

枚の

HTS

膜構造をもつ。

TE

0mp

モードに対しては

HTS

膜に直交する電界成分が存在し

ないため,空げき(隙)の影響は無視できる。この方法における

HTS

膜の

R

s

の導出は,単結晶サファイ

アのもつ

tan δ

1

×

10

8

より小さく無視できるという仮定に基づいている。しかし,

50 K

付近で

10 GHz

におけるサファイアの

tan δ

の測定値は格子欠陥の数に依存し

10

6

から

10

8

の値をとることが知られてい

る。したがって,この方法を用いる場合には,

tan  δ

1

×

10

8

を満たす極めて損失の低いサファイアを準

備することが不可欠である。

A.1.5

イメージタイプ誘電体共振器法 [8]

図 A.1 e

)

TE

01δ

モードを使ったイメージタイプ誘電体共振器の構造を示す。この構造においては

HTS

1

枚で測定が可能である。しかしながら,

R

s

測定において

tan δ

の影響を無視することになるため,この

方法においても非常に低損失なサファイア円柱が必要となる。

加えて,測定した共振周波数,無負荷

Q

値から

R

s

値を決定するため,複雑で面倒な数値計算が必要と

なる。


13

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

図 A.1−表面抵抗測定法の模式図

A.1.6

二共振器法[9][10]

この方法では,同じ

tan δ

をもつ二つのサファイア円柱共振器を用いる。

図 A.1 f

)

に示したように,一方

TE

011

モード共振器で,もう一方は

TE

013

モード共振器である。誘電体共振器法と同様に,この方法にお

いては空げき(隙)の影響は除去することができる。これら共振器によって測定された共振周波数,無負

Q

値から,サファイア円柱の

tan  δ

HTS

膜の

R

s

値はそれぞれ別個に決定できる。その方法はモードマ

ッチング法に基づいた厳密な解析によって導かれる簡単な数式を用いるものである。したがって,この方

法は

R

s

測定に影響する

tan  δ

の不正確さを除去することができる。実際,

12 GHz

において

R

s

0.1 mΩ

6

個のイットリウム系

HTS

膜の

R

s

測定結果は,この方法によって

10 %

の測定精度が実現できることを実

証した

 [10]

。しかしながら,もし二つのサファイア円柱の

tan  δ

に違いがあれば(

Δtan  δ

という)

Δtan  δ


14

H 7307

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による

R

s

の誤差を考慮に入れなければならない。この効果は,この手法を用いた同じ

HTS

膜のラウンド

ロビンテストの結果から見積もることができる。

上記の六つの手法を比較すると,次に示す二つの利点から二共振器法を

HTS

膜の標準的な

R

s

測定方法

として推奨する。

  R

s

の絶対値測定が可能である。

数値処理が単純で簡単である。

A.2

要求事項

f

 2

則によって周波数とともに超電導膜の

R

s

も増加するため,低い

R

s

を高精度に決定するためには測定周

波数を上げることが望ましい。また,より高い測定周波数を使うことによって,共振器の大きさも小さく

することができる。しかしながら測定周波数が高くなるとマイクロ波測定システムのセットアップは難し

くなる。

30 K

以下,又は

80 K

以上の温度においても,冷却方法を考慮する必要はあるが,この測定方法は十分

に適用可能である。

A.3

原理

図 A.2 

TE

0mp

モード共振器の構成を示す。

TE

0mp

モードは誘電体と超電導試料間とに生じるすき(隙)

間の影響を小さくできる。図で直径

d

,高さ

h

の円柱形誘電体の上下両端はそれぞれ測定対象の超電導薄

膜で短絡する。

R

s

値は共振周波数

f

0

TE

0mp

共振モードの無負荷

Q

u

の測定値から計算される。

なお,測定される

2

枚の超電導薄膜は同じ

R

s

値をもつことが要求される。これらが異なる

R

s

値をもつ

場合,測定される値は,二つの薄膜の

R

s

値の平均になる。

図 A.2−誘電体円柱と 枚の超電導膜の構成

R

s

値は,式

(A.1)

で与えられる。

⎟⎟

⎜⎜

=

δ

tan

1

u

s

Q

A

B

R

(A.1)

ここで,各記号の定義式を式(A.2)∼式(A.7)に示す。

ε'

W

A

+

= 1

(A.2)


15

H 7307

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,

,

2

,

1

,

π

30

1

2

2

3

0

2

⋅⋅

=

+

=

p

ε'

W

h

λ

p

B

(A.3)

0

0

f

c

λ

=

(A.4)

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

2

0

2

1

2

1

2

0

2

1

2

1

u

J

u

J

u

J

v

K

v

K

v

K

v

K

u

J

W

×

=

(A.5)



⎟⎟

⎜⎜

1

2

π

=

0

2

0

2

2

h

 

 

λ

d

 

v

(A.6)

)

(

)

(

=

)

(

)

(

1

0

1

0

v

K

v

K

v

u

J

u

J

u

(A.7)

式(A.1)及び式(A.2)中の ε'及び tan  δ は,誘電体円柱の比誘電率及び誘電体損である。式(A.3)及び式(A.4)

中の λ

0

は自由空間における共振モードの波長であり,は真空中の光の速度(c=2.997 9×10

8

 m/s)である。

関数 W/ε'は誘電体円柱内に蓄えられるエネルギーと外側に残るエネルギーとの比である。もし,すべての

電場が誘電体円柱中に集中するならば は 0 となる。

u

 2

は v

 2

の値を使って超越方程式(A.7)から導かれる。

式(A.7)で J

n

(u)は第 1 種ベッセル関数で,K

n

(v)は第 2 種変形ベッセル関数である。の任意の値に対し,m

番目の の解は u

0m

と u

1m

の間に存在する。ただし,u

0m

と u

1m

は,J

0

(u

0m

)=0 と J

1

(u

1m

)=0 を満たす。モー

ド同定が簡単な第 1 解(m=1)を

図 A.3 中に曲線(1)で示す。また,m=1 の TE

0mp

共振モードに対する W-v

関係の計算結果は

図 A.3 中に曲線(2)で示す。

図 A.3−計算によって求められた TE

01p

モードに対する u-と W-との関係

ε'は v

 2

と u

 2

との値を用いて,式(A.8)で与えられる。

(

)

1

+

π

=

2

2

0

2

v

+

u

d

 

λ

ε

(A.8)

二共振器法では,対となる二つの誘電体円柱が使われ,今後,これらを“標準誘電体円柱”と定義する。

これらの誘電体円柱は同じ直径をもつが,高さは異なり,一方は他方の 倍になっている。


16

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

   

なお,は 3 が通常選ばれる。

図 A.4 にその構成を示す。ここで,同じ 2 枚の超電導膜を用いる。混乱

を避けるため,短い標準誘電体円柱の高さを h

0

と表す。それぞれの誘電体円柱を用いた共振器は“TE

011

共振器”と“TE

013

共振器”と呼ばれる。TE

011

モードに対する f

0

と Q

u

とは TE

011

共振器を用いて測定され,

TE

01p

モードに対しては TE

01p

共振器が用いられる。それぞれの共振器の f

0

と Q

u

とは 1 と との添え字を用

いて区別する。すなわち TE

011

共振器では f

01

Q

u1

と,TE

01p

共振器では f

0p

Q

up

と表す。

図 A.4−二共振器法における R

s

及び tanδ 測定用標準誘電体円柱共振器の構成

tan  δ の値は Q

u

の測定値から求められる。TE

01p

共振器の高さが正確に TE

011

共振器の高さの 倍であれ

ば,f

0p

は f

01

と一致する。一方,値に関しては,二つの誘電体円柱に蓄えられる電場エネルギーの大きさ

が異なるため,Q

up

は Q

u1

より大きくなる。同じ超電導薄膜を用いて二つの誘電体円柱が短絡されているこ

とから,式(A.1)により,式(A.9)が導かれる。



u1

up

1

1)

(

=

tan

Q

Q

p

p

A

     

δ

(A.9)

さらに,式(A.9)を式(A.1)の tan  δ に代入することで,超電導膜の R

s

を直接求めるための式(A.10)が導か

れる。

(

)



+

+

⎟⎟

⎜⎜

=

up

u1

3

0

0

2

s

1

1

1

2

1

π

30

Q

Q

W

W

ε'

λ

h

p

p

R

(A.10)

A.4

測定ジグ(共振器)

不要モードへの結合は TE モード共振器の高 値を低下させる。この不要な結合を抑制するため,高 Q

値をもつ測定ジグの設計には特別な注意が必要である。

提案されている 3 種類の測定ジグを

図 A.5 に示す。

図 A.5−三種類の誘電体測定ジグ(共振器)


17

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

a)

開放形測定ジグ  2 枚の平行な超電導膜の間に低損失誘電体円柱を配置する。rf 入出力部における磁

界結合のため,2 本のセミリジット同軸線を測定ジグの両側に取り付ける。ここで,励振同軸線の垂

直方向の位置は,同軸線に沿って伝搬する放射損を避けるために細心の注意をもって決定されるべき

である。この放射損は共振モードの 値を減少させるので,R

s

の測定誤差の増加の原因となる。これ

を避けるには,同軸線をできるだけ下部超電導膜に近づけて配置することは有効である。

b)

空洞形測定ジグ  a)に示す開放形測定ジグを導体(銅)空洞中に配置する。

c)

密閉形測定ジグ  超電導膜の間に導体(銅)円筒を置く。この構造では,同軸線に沿った放射損を銅

円筒により避けることができる。同軸線の垂直方向の位置は,磁場の z 軸成分が最大となる zh/2 に

配置することを推奨する。

冷凍機内に置かれた測定ジグは,機械的及び熱的じょう乱から保護されるべきである。また,開放形測

定ジグの場合,アンテナのループ位置を調整するための三軸マニピュレーターを取り付けることが望まし

い。

アンテナのループ長は,測定感度を上げるため 1/4 波長以内にする。

A.5

標準サファイア円柱の寸法

図 A.6 と図 A.7 は,TE

011

共振器及び TE

013

共振器の設計に用いるサファイア円柱の比誘電率の一軸異方

正を考慮したモードチャート [11] を示す。ただし,ε

Z

は c 軸方向におけるサファイア円柱の比誘電率,ε

r

は c 軸に垂直な面内におけるサファイア円柱の比誘電率,はサファイア円柱直径,は円柱の高さ,λ

0

は自由空間の共振波長である。

図 A.6 と図 A.7 とから明らかなように,TE

013

共振モードは TE

011

共振モー

ドに比べて,TM 及び HE モードの影響を受けやすい。TE モードと他のモードの結合は無負荷 の劣化を

引き起こすことから,サファイア円柱の(d/h)は不要な結合を避けるように選ばなければならない。

図 A.7 に示されるように TE

013

モード共振器の(d/h)

2

は,他のモードの影響を避けるために 0.24∼0.46

に選ばれる。これに相当する TE

011

共振器の高さは 1/3 であるから,TE

011

共振器の(d/h)

2

=2.2∼4.1 が導

かれ,

図 A.6 から,この範囲では TE

011

モードも他のモードと結合しないことが分かる。

TE モードの共振周波数は誘電体円柱の比誘電率と寸法の関数なので,その直径及び高さは目的の f

0

が得

られるように決定される。

図 A.6 における TE

011

モードの曲線から,各(d/h)

2

の値に対して ε

r

d/λ

0

)

2

の値を決定することができる。

例えば(d/h)

2

=4.0 の場合,ε

r

d/λ

0

)

2

=1.92 である。

d/h)

2

=4.0 のサファイア円柱に対する TE

011

モードの

共振周波数は,サファイア円柱の と ε

r

とを指定することによって,式(A.11)から計算される。

 

=

c

/

f

d

ε

=

d

ε

92

.

1

)

(

)

/

(

2

0

r

2

0

r

×

λ

(A.11)

A.6

密閉形測定ジグの寸法設計

密閉形測定ジグでは,銅円筒が超電導膜の間に置かれ,サファイア円柱は銅円筒の中央に置かれる[

A.5 c)

。TM モードの共振周波数は,銅円筒内径 の影響で変化する。したがって は,他のモードとの

結合を避けるように決定されるべきである。

図 A.8 と図 A.9 とは,密閉形 TE

011

共振器[(d/h)

2

=4]と TE

013

共振器[(d/h)

2

=0.44]との設計に用いるモードチャートを示す。ただし,横軸は SD/を示す [11]。TE

011

及び TE

013

モードを同時に他の共振モードから避けることのできる の範囲は,S=1.8∼2.8,3.8∼4.1,4.8

∼5.2 である。ここでは,SD/d=4 の値が,取扱いの容易さから推奨される。

注記 TE モードの共振周波数は,D/の影響を受けないので,d/は開放形測定ジグの寸法設計[図

A.5 a)

]が適用できる。


18

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

   

A.7

試験方法の精度及び精確さ

この測定法の誤差評価 [4],[10],感度,精確さ及び再現性は,R

s

に関する誤差解析とラウンドロビン試

験によって評価できる。

A.8

サファイア円柱の選択

サファイア円柱の tan δ を正確に測定することは難しい問題である。そこで,二つの標準円柱の選択を含

む二共振器法を基にした手法が薦められる。最初に高温超電導膜の組を固定し,一共振器法によって多数

の TE

011

サファイア円柱について共振特性を測定し円柱間で比較する。一番高い 値をもつ TE

011

サファイ

ア円柱を仮の標準と選択する。同じ作業を,高さが 3 倍の TE

013

サファイア円柱に対しても繰り返す。こ

れによって選択された二つの仮の標準サファイア円柱を用いて,前述した二共振器法によって tan δ を求め

る。他の円柱の誘電特性(ε'及び tan  δ)はこの仮の標準試料との直接の比較から校正できる。この校正に

よって tan δ が求められた TE

011

サファイア円柱だけを用いて,測定対象の超電導膜の R

s

を求めることがで

きる。

図 A.6−開放形 TE

011

共振器設計用モードチャート[11]


19

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

図 A.7−開放形 TE

013

共振器設計用モードチャート[11]


20

H 7307

:2010 (IEC 61788-7:2006)

   

図 A.8−密閉形 TE

011

共振器設計用モードチャート


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図 A.9−密閉形 TE

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A.9

出典

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