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H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文  1 

1 適用範囲 1 

2 引用規格 1 

3 用語及び定義  1 

4 試験方法の概要  2 

5 装置 2 

5.1 測定用マンドレル又は測定用基板の材質 2 

5.2 測定用マンドレルの直径及び測定用基板の長さ  3 

5.3 抵抗R2測定用クライオスタット  3 

6 試料 3 

7 測定及び解析  3 

7.1 室温抵抗(R1)の測定  3 

7.2 超電導転移温度の直上での抵抗(R2又はR2*)の測定  4 

7.3 ニオブ・チタン複合超電導線の曲げひずみに伴うR2*の補正  6 

7.4 残留抵抗比(RRR)  6 

8 試験方法の不確かさ及び安定度  6 

8.1 温度  6 

8.2 電圧測定  6 

8.3 電流  6 

8.4 寸法  6 

9 試験報告書  7 

9.1 残留抵抗比の値  7 

9.2 試料  7 

9.3 試験条件  7 

附属書A(参考)残留抵抗比測定に関する追加参考事項  9 

附属書B(参考)統計に関する定義  15 

附属書C(参考)残留抵抗比試験方法における不確かさの評価 16 

 

 


 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

電線工業会(JCMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を

改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で

ある。これによって,JIS H 7306:2012は改正されこの規格に置き換えられ,また,JIS H 7312:2007は廃

止され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

 

 


 

  

日本工業規格          JIS 

 

H 7306:2018 

 

(IEC 61788-4:2016) 

超電導−残留抵抗比試験方法− 

ニオブ・チタン及びニオブ3すず複合超電導線の 

残留抵抗比 

Superconductivity-Residual resistance ratio measurement- 

Residual resistance ratio of Nb-Ti and Nb3Sn composite superconductors 

 

序文 

この規格は,2016年に第4版として発行されたIEC 61788-4を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

 

適用範囲 

この規格は,Cu(銅),Cu-Ni(銅・ニッケル合金),Cu/Cu-Ni及びAl(アルミニウム)のマトリックス

をもつ,ニオブ・チタン複合超電導線並びにニオブ3すず複合超電導線の残留抵抗比(RRR)を決めるた

めの試験方法について規定する。この規格の試験方法は,長方形又は円断面をもち,残留抵抗比の値(rRRR)

が350未満で,断面積が3 mm2未満のモノリス構造の超電導線に適用できる。ニオブ3すず複合超電導線

の場合には,反応熱処理を行った試料に適用できる。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61788-4:2016,Superconductivity−Part 4: Residual resistance ratio measurement−Residual 

resistance ratio of Nb-Ti and Nb3Sn composite superconductors(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 7005 超電導関連用語 

注記 対応国際規格:IEC 60050-815,International Electrotechnical Vocabulary−Part 815: 

Superconductivity 

 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS H 7005によるほか,次による。 


H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

  

3.1 

残留抵抗比,RRR(residual resistance ratio) 

室温抵抗と超電導転移温度の直上での抵抗との比。 

注記1 この規格において,室温抵抗とは,293 K(20 ℃)における抵抗と定義する。ニオブ・チタ

ン複合超電導線及びニオブ3すず複合超電導線の残留抵抗比は,式(1)によって求められる。 

 

2

1

RRR=RR

r

  (1) 

ここに, 

rRRR: 残留抵抗比 

 

R1: 室温抵抗値 

 

R2: 超電導転移温度の直上での抵抗値であり,ひずみを加え

ないゼロ磁界で測定した値 

 

注記2 低温での抵抗測定中に得られる試料の抵抗と温度との関係を,模式的に図1に示す。直線(a)

と直線(b)とが交差する点Aによって,低温での抵抗R2,及びその温度Tc*が決まる。 

 

 

図1−温度と抵抗との関係 

 

試験方法の概要 

室温抵抗及び低温での抵抗の測定は,4端子法によって実施し,磁界は加えない。 

この方法による相対合成標準不確かさは,包含係数をk=2の拡張不確かさとして5 %以下を目標とする。 

ニオブ・チタン複合超電導線試料の場合,試料を取り付けるときの最大曲げひずみは,2 %以下とする。

ニオブ3すず複合超電導線試料の場合は,ひずみを加えない状態又は熱ひずみの許容条件を満たす状態で

測定を行う。 

 

装置 

5.1 

測定用マンドレル又は測定用基板の材質 

ニオブ・チタン複合超電導線のコイル状試料用の測定用マンドレル又はニオブ・チタン複合超電導線若


H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

 

しくはニオブ3すず複合超電導線の直線状試料用の測定用基板の材質は,銅,アルミニウム,銀,又は液

体ヘリウム温度(4.2 K)において熱伝導率が100 W/(m・K)以上の材料とし,0.1 mm以下の厚さの絶縁

層(ポリエチレンテレフタレート,ポリエステル,ポリ四ふっ化エチレンなどからなるテープ又は層)で

その材料の表面を覆う。 

5.2 

測定用マンドレルの直径及び測定用基板の長さ 

ニオブ・チタン複合超電導線の測定用マンドレルの直径は,試料の曲げひずみを2 %以下にするために

十分な大きさとする。また,基板上のニオブ3すず複合超電導線試料については,ひずみを加えない状態,

又は熱ひずみの許容条件を満たす状態で測定を行う。 

測定用基板は,一方向に30 mm以上の長さとする。 

5.3 

抵抗R2測定用クライオスタット 

抵抗R2測定用のクライオスタットは,試料を支持し,液体ヘリウムが貯液できる構造とする。また,試

料支持具によって,測定用マンドレル又は測定用基板に取り付けた試料を下げて液体ヘリウム浴の中に入

れたり,又は上げて液体ヘリウム浴から出すことができる構造とする。さらに,試料支持具は,試料に電

流を流して,試料に発生する電圧を測定できるものとする。 

 

試料 

試料は,次によって測定する。 

a) 測定用試料は,継目がなく,30 mm以上の長さとする。電圧端子間距離(L)は,25 mm以上とする。

低温測定用の温度計は,試料の近傍に取り付ける。 

b) 試料は,両端部に電流端子及び中央部に電圧端子を取り付け,任意の機械的な方法によって,測定用

マンドレル又は測定用基板の絶縁層の上に試料を取り付ける。このとき,試料に余計な力がかかって,

曲げひずみ,引張ひずみなどを加えないように,特別な注意を払う。 

c) ニオブ3すず複合超電導線については,できるだけ真っすぐなものが望ましい。そうでない場合は,

試料を熱処理後の形に保ったまま測定するように注意する。 

d) R1及びR2の抵抗測定は,同じ試料,同じ取付け状態で実施する。 

 

測定及び解析 

7.1 

室温抵抗(R1)の測定 

室温抵抗は,273 K〜308 Kの室温[Tm (K)]で測定する。試料電流[I1(A)]は,電流密度が超電導線の

総断面積当たり0.1 A/mm2〜1 A/mm2の範囲で通電し,そのときに発生する電圧[U1 (V)],I1,Tmを記録し,

式(2)によって室温抵抗(Rm)を求める。 

なお,銅マトリックスをもつ超電導線については,式(3)による温度補正を行って,293 K(20 ℃)での

抵抗(R1)を算出する。純銅部材を含まない超電導線については,R1の値はRmと同等とみなして温度補

正は行わない。 

 

1

1

m

I

U

R

  (2) 

)]

293

(

93

003

.0

1[

m

m

1

T

R

R

  (3) 

 


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7.2 

超電導転移温度の直上での抵抗(R2又はR2*)の測定 

7.2.1 

ひずみの影響の補正 

ひずみが加えられたニオブ・チタン複合超電導線試料において,低温で測定された抵抗R2*はR2の正し

い値とはならないため,ひずみの影響に対する補正が必要である。ひずみの影響の補正方法については,

7.3による。 

7.2.2 

低温での抵抗のデータ取得 

低温での抵抗の測定は,次による。 

a) 室温での抵抗測定が終了した試料を,5.3に規定するR2測定用クライオスタット内にそのまま入れる。

A.1に記載するとおり,試料を水平方向に取り付けることを推奨する。試料の温度を変化させるため

の加熱機能を備えたクライオスタットについては,A.2を参照する。試料をゆっくりと液体ヘリウム

浴に浸して,5分間以上の時間をかけて液体ヘリウム温度まで冷却する。 

b) 低温での抵抗R2*の測定中,試料電流I2 (A)を,電流密度が超電導線の総断面積当たり0.1 A/mm2〜10 

A/mm2の範囲で通電し,I2 (A),そのときに発生する電圧U (V),及び試料温度T (K)との関係を記録す

る。SN比を十分に高くするために,超電導転移温度の直上での電圧の絶対値が10 μVを超える条件

で測定を実施する。測定したデータのイラスト及びその解析方法を,図2に示す。 

 

 

 

注記 下付きの+及び−を付けた電圧は,正電流を流した1回目の測定及び負電流を流した2

回目の測定で得られた値にそれぞれ対応し,U20+及びU20−は,電流を流さない状態で得
られた電圧である。明確にするために,U0revはU0−と一致させないで示す。直線(a)は温
度とともに電圧が急激に増加する領域で,直線(b)は電圧がほぼ一定する領域に引かれる。 

図2−温度に対する電圧曲線及び各電圧の定義 

 

c) 超電導状態にある試料に試験電流(I2)を印加し,ほぼ同時に二つの電圧,U0+(正の電流極性での初

期電圧)及びU0rev(電流極性を短時間に反転させたときの電圧)を測定する。正確なR2*の測定には,


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測定の妨げになる過大な電圧が存在しないこと及び試料の初期状態が超電導状態であることが必要に

なるため,次の条件を適用する。 

 

%

1

2

rev

0

0

U

U

U

  (4) 

 

ここで,

2

Uは,試料の低温における常電導状態の平均電圧で,式(5)で定義される。 

d) 完全に常電導状態になるように,試料をゆっくりと昇温する。5.3に規定するR2測定用クライオスタ

ットを用いた場合,試料の位置を液体ヘリウムの液面から適正な位置まで上げることで達成できる。

昇温速度を1分間当たり0.1 K〜10 Kに保って,試料電圧と温度との関係を記録する。温度に対する

電圧曲線は,転移して常電導状態になった後,ニオブ・チタン複合超電導線の場合は15 K近くまで,

ニオブ3すず複合超電導線の場合は25 K近くまで測定する。引き続いて,それぞれ15 K未満又は25 

K未満の温度で試料通電電流をゼロとし,そのときの電圧U20+を記録する。 

e) 試料をゆっくりと液体ヘリウム浴中に下げていき,初期電圧U0+を記録したときと±1 K以内の温度

まで冷却する。この温度で,逆極性(最初に記録したときの逆の極性)で同じ大きさの試料電流I2を

通電し,電圧U0−を記録する。この負電流でd)の手順を繰り返し,温度に対する電圧曲線を記録し,

更に,試料電流I2をゼロにしたときにU20+の電圧を記録したときと±1 K以内の温度において,U20−

の電圧を記録する。 

f) 

各2本の温度に対する電圧曲線において,電圧の絶対値が温度とともに急激に増加する領域で第1の

接線(a)を引き(図2参照),ニオブ・チタン複合超電導線の場合は電圧が温度に対してほぼ一定にな

る領域で,又はニオブ3すず複合超電導線の場合は電圧が緩やかに,かつ,ほぼ線形に増加する領域

で第2の接線(b)を引く。図2のU*2+及びU*2−は,正極性,負極性における各々これら(a)及び(b)2本

の接線の交点での値として決定する。 

g) 補正後の電圧U2+及びU2−は,それぞれU2+=U*2+−U0+及びU2−=U*2−−U0−として算出する。平均

電圧

2

Uは,式(5)によって求める。 

 

2

2

2

2

U

U

U=

  (5) 

 

h) R2*の正確な測定には,U2+及びU2−の測定中に熱起電力によるシフトが許容限界内にあることが要求

されるため,次の条件を適用する。 

 

%

3

2

U

  (6) 

 

ここで,Δ+及びΔ−は,それぞれΔ+=U20+−U0+及びΔ−=U20−−U0−として定義する。R2*の測定が式

(4)及び式(6)の条件を満たさない場合,条件を満たすように装置及び測定方法の改良を実施する。 

i) 

超電導転移温度の直上での抵抗値R2*は,式(7)によって求める。 

 

2

2

2

I

U

*

R=

  (7) 

 


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7.2.3 

その他の測定法 

ここに規定した試験方法は標準的な方法であり,それ以外のR2*の測定法についてはA.3に示す。 

7.3 

ニオブ・チタン複合超電導線の曲げひずみに伴うR2*の補正 

超電導線の中に純銅部材が含まれない場合,R2*をR2とする。 

純銅部材を含む試料については,曲げひずみεbをεb=100×(h/r) (%)で定義する。ここで,hは試料の厚

さの1/2,rは曲げ半径である。曲げひずみが0.3 %未満の場合,補正の必要はなく,R2*をR2とする。 

純銅部材を含み,かつ,曲げひずみが0.3 %以上の場合には,曲げひずみがない状態における超電導転

移温度の直上での抵抗R2は,式(8)によって求める。 

 

Cu

2

2

S

L

ρ

*

R

R=

  (8) 

 

ここで,Δρは,4.2 Kにおける引張ひずみε(%)に伴う純銅の抵抗率の増加であり,式(9)によって求め

る。SCu及びLは,8.4に規定する。 

 

Δρ (Ωm)=6.24×10−12ε−5.11×10−14ε2  (9) 

ここに, 

ε: 2 %以下 

 

式(9)の計算では,等価引張ひずみεを,平角超電導線では(1/2) εbとし,丸形超電導線では[4/(3π)]εb

とする。純銅の残留抵抗比の曲げひずみ依存性を,A.4に示す。 

7.4 

残留抵抗比(RRR) 

残留抵抗比の値は,式(1)を用いて求める。 

 

試験方法の不確かさ及び安定度 

8.1 

温度 

室温は,試料を測定用マンドレル又は測定用基板に取り付けた状態で測定する。室温の標準不確かさは,

0.6 K以下とする。 

8.2 

電圧測定 

抵抗測定において,測定電圧の相対標準不確かさは,0.3 %以下とする。 

8.3 

電流 

試料にプログラム可能な直流電源装置から直接電流を流す場合,試験電流の相対標準不確かさは,0.3 %

以下とする。試験電流を4端子法によって,標準抵抗器の電圧−電流特性から決定する場合,標準抵抗器

の相対合成標準不確かさは,0.3 %以下とする。直流電源から供給される直流の試料電流のふらつきは,あ

らゆる抵抗測定の間,0.5 %以下とする。 

8.4 

寸法 

試料の長手方向に沿った電圧端子間距離(L)の測定の相対合成標準不確かさは,5 %以下とする。純銅

マトリックスを含む超電導線について曲げひずみの影響を補正するに当たっては,純銅マトリックスの断

面積(SCu)を試料の公称銅比及び公称寸法を用いて決定する。それぞれ超電導線の直径(d)及びマンド

レルの半径(Rd)の測定は,その相対標準不確かさは,それぞれ1 %及び3 %以下とする。 

 


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試験報告書 

9.1 

残留抵抗比の値 

試験によって得られた残留抵抗比の値を,次のように記載する。 

 

n

U

r

 

1

re

RRR

 (10) 

 

ここで,Ureは包含係数がk=2のときの拡張不確かさでUre=2urで与えられ,urは相対合成標準不確か

さ,nは試料数である。 

試料数nは,標準偏差の見積りのための正規分布が想定できるよう,4よりも大きいことが望ましい。n

の値が十分に大きくない場合は,一様分布を仮定する。 

9.2 

試料 

試験報告書には,可能であれば次の項目を含む。 

a) 製造業者名 

b) 等級及び/又は記号 

c) 断面の形状及び面積 

d) 断面寸法 

e) フィラメント又はサブエレメントの数 

注記 サブエレメントは,サブマルチともいう。 

f) 

フィラメント又はサブエレメントの直径 

g) ニオブ・チタン複合超電導線の場合は,次の組合せによる体積比 

− ニオブ・チタンに対する銅の体積比 

− ニオブ・チタンに対する銅・ニッケルの体積比 

− ニオブ・チタンに対する銅及び銅・ニッケルの体積比,又は銅・ニッケル対銅対ニオブ・チタン

の体積比 

− ニオブ・チタンに対するアルミニウム及び銅の体積比,又はアルミニウム対銅対ニオブ・チタン

の体積比 

h) ニオブ3すず複合超電導線の場合は,銅と銅以外の金属との体積比 

i) 

純銅マトリックスの断面積(SCu) 

9.3 

試験条件 

9.3.1 

R1及びR2の測定 

次に示すR1及びR2の測定の試験条件及び試験結果を報告する。 

a) 試料の全長 

b) 電圧測定端子間距離(L) 

c) それぞれの電流端子の接触長さ 

d) 通電電流(I1及びI2) 

e) 電流密度(I1及びI2を線全体の公称断面積で除したもの) 

f) 

電圧(U1,U0+,U0rev,U*2+,U20+,U0−,U*2−,U20−及びU2) 

g) 抵抗(Rm,R1,R2*及びR2) 

h) 抵抗率[ρ1=(R1×SCu)/L及びρ2=(R2×SCu)/L] 

i) 

測定用マンドレル又は測定用基板の材料,形状及び寸法 


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j) 

測定用マンドレル又は測定用基板への試料の取付方法 

k) 測定用マンドレル又は測定用基板の絶縁材料 

9.3.2 

R1の測定 

次に示すR1の測定の試験条件を報告する。 

a) 温度設定及び試料の保持方法 

b) Tm:Rm測定の温度 

9.3.3 

R2の測定 

次に示すR2の測定の試験条件を報告する。 

a) 昇温速度 

b) 冷却及び昇温の方法 

 

残留抵抗比の測定に関する追加参考事項を附属書Aに記載する。附属書Cに,複合超電導線の残留抵抗

比の参考試験方法における不確かさの評価について記載する。 


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附属書A 

(参考) 

残留抵抗比測定に関する追加参考事項 

 

A.1 試料の取付け方向 

試料が直線状の線の場合,水平方向の取付けは垂直方向の取付けに比べて温度勾配を減らすことができ

るため,線が水平になるように基板に取り付けることが望ましい。ここで,水平方向の取付けとは,線の

方向が液体ヘリウム面に平行であることをいう。 

 

A.2 試料を超電導転移温度を超える温度に昇温させる別の方法 

試料を超電導転移温度を超える温度に昇温させる方法として,次に記載する方法も推奨する。これらの

方法においては,試料全体の昇温速度は,1分間当たり0.1 K〜10 Kにするのがよい。大きな温度勾配を避

けて,ゆっくりと昇温させるためには,ヒータ出力,測定用マンドレル又は測定用基板を含む試料の熱容

量及びヒータと試料との間の距離を注意深く選ぶ。 

a) ヒータ法 試料をクライオスタット内の液体ヘリウム浴から取り出した後,測定用マンドレル又は測

定用基板に組み込まれたヒータによって,超電導転移温度を超える温度に加熱する。 

b) 断熱法 

1) 断熱法 試料,試料ホルダ,ヒータなどを納めたチャンバをクライオスタット内に設置する。チャ

ンバを液体ヘリウム浴に浸す前に,チャンバ内の空気を真空引きし,ヘリウムガスを充塡する。次

に,チャンバを液体ヘリウム浴に浸し,試料を5 K以下に冷却する。その後,ヘリウムガスを真空

引きして,ヒータ加熱によって試料を断熱状態で超電導転移温度を超える温度に昇温させる。 

2) 準断熱法 低温測定の間を通じて,クライオスタット内に試料を液体ヘリウム浴からある距離だけ

離して保持する。測定用マンドレル又は測定用基板に液体ヘリウム浴と通じた熱アンカーを付ける

ことによって,試料を5 K以下の温度に冷却する。試料は,測定用マンドレル又は測定用基板に組

み込まれたヒータによって,準断熱状態のまま超電導転移温度を超える温度に加熱する。 

c) 冷凍機法 冷凍機を用いて,測定用マンドレル又は測定用基板に装着した試料を6 K以下の温度に冷

却する。試料は,ヒータ又は冷凍能力を制御して超電導転移温度を超える温度に加熱する。 

 

A.3 R2又はR2*の代替測定方法 

R2又はR2*の測定には,次のいずれかの方法を用いてもよい。 

a) 標準方法の簡便法 この方法は,ニオブ・チタン複合超電導線に対して適用され,電圧−温度曲線を

1回だけ測定する簡便な方法である。超電導状態にある試料をある方向に電流(I2)を通電して電圧測

定した後,電流方向を逆にして,電圧を測定する。これらの電圧を,図A.1に示すU0+及びU0revとす

る。次に,電流方向を元に戻して通電し,常電導転移した後,転移温度よりも約4 K高い曲線上の平

たん(坦)域で電圧U'2+を測定する。その後,電流をゼロにして,電圧値(U20)を測定し,再び電流

方向を逆にして,電圧(U'2−)を測定する。低温での抵抗は,式(A.1)によって求める。 

 

2

2

2

I

U

*

R=

  (A.1) 


10 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

  

ここで, 

 

2

2

2

2

U

U

U

  (A.2) 

 

式(A.2)は,熱起電力の影響をおおむね補償する。R2*測定において,雑音電圧及び熱起電力の影響

が大きくないということを保証するために,式(A.3)及び式(A.4)の条件を満足することが望ましい。 

 

%

1

2

rev

0

0

U

U

U−

  (A.3) 

%

3

2

2

2

U

  (A.4) 

 

ここで,Δ2+及びΔ2−は,Δ2+=|U'2+−U20|及びΔ2−=|U'2−−U20|で,それぞれ定義する。 

 

 

図A.1−電圧の定義 

 

b) 固定温度法 この方法は,7.2に規定する方法の代わりに,ニオブ・チタン複合超電導線での場合は,

転移温度よりも約4 K高い平たん(坦)な領域において温度を固定して直接R2又はR2*を決定し,ニ

オブ3すず複合超電導線の場合は,20 Kにおいて温度を固定して直接R2を決定する。この方法では,

試料全体が均一,かつ,一定温度であることを確認することが望ましい。ただし,ニオブ3すず複合

超電導線の場合は,20 Kの温度を0.6 Kを超えない合成標準不確かさで決定し,固定温度及び合成標

準不確かさを試験報告書に記載することが望ましい。また,7.2.2に定義する電圧U0+及びU0−を,こ

の方法におけるゼロレベルの電圧として記録することが望ましい。熱起電力の影響を除くため,試験


11 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

 

電流を反転させて試料の二つの電圧信号(U2+及びU2−)をほぼ同時に測定するのがよい。これによ

って,低温での抵抗R2又はR2*を決定するときに,熱起電力の影響を取り除くことができる。 

c) コンピュータ制御方法 コンピュータを用いて,電流方向及び試料の昇温を制御し,電圧−温度曲線

を測定することができる。周期的に電流を反転する又は電流のオン及びオフを繰り返すことによって,

オフセット電圧を補正することで,試料温度を変化させる1周期の間に全ての測定ができる。ただし,

熱起電力の影響を確認する必要がある。 

d) 定期的な検査でのその他の簡便な方法 十分な経験をもつ測定者が指定した装置を用いて,次に示す

条件を満足する場合は,温度を測定しない簡便な方法を許容してもよい。簡便な方法による測定が定

期的な検定を通して,この規格に規定する標準方法と同じ結果,すなわち,決められた不確かさ以下

の値が得られることを示すことができる場合,この標準方法に代わって実施してもよい。これらの定

期的な確認作業は,次に示す方法のいずれかによって達成できる。 

1) 標準方法を用いた試験機関と簡便な方法を用いた試験機関との比較 

2) 単一試験機関における標準方法と簡便な方法との比較 

3) 残留抵抗比が既知である標準試料を用いた定期的な簡便な方法での確認 

4) 複数の試料を用いた定期的な確認。ただし,試料の一つは標準試料とし,毎回の測定において校正

基準とする。 

 

A.4 ニオブ・チタン複合超電導線の残留抵抗比の曲げひずみ依存性 

一般に,銅のような純金属の抵抗率(ρ)は,極低温において加えるひずみの増加とともに増加し,この

増加率は,低いρをもつ超電導線の方が,高いρをもつ超電導線よりも大きい。室温では,金属の抵抗率

に及ぼすひずみの影響はほとんどない。これは,高いrRRRをもつ材料では,ひずみに伴うrRRRの変化がよ

り顕著であることを意味する。参考文献[1]のラウンドロビン試験の結果によれば,低いrRRRをもつ試料の

曲げひずみの依存性は小さい。曲げひずみは,試料を測定用マンドレル又は測定用基板に取り付けるとき

に加わる。曲げひずみは,曲率半径に反比例するため,測定用マンドレルの直径が小さいほど,試料に加

わる曲げひずみは大きい。 

純銅の4 Kにおける抵抗率の増加分Δρは,参考文献[2]の第8章に示されるように,冷間加工率rCW(%)

の関数で表される。rCWは,引張ひずみεの値にほぼ等しいため,εの小さい場合は,Δρは式(9)で表され

る。曲げひずみによる銅の抵抗率増加の依存性は,曲げひずみを等価的な引張ひずみに置き換えることに

よって得られる。 

図A.2は,1993年及び1994年に実施したラウンドロビン試験の測定値から得られた,純銅マトリック

スをもつニオブ・チタン複合超電導線のrRRRと曲げひずみとの関係を示す。図中に,各試料の,式(9)に従

って計算して得られた線を示す。測定値は,計算値と基本的に一致し,高いrRRRをもつ材料では,曲げひ

ずみに敏感である。図A.3は,ひずみがない場合の50〜350のrRRRをもつ丸銅線の,式(9)によって得られ

た依存性を示す。図A.4には,丸銅線のひずみがない場合の規格化したrRRRのひずみ依存性を示す。平角

銅線の同様の依存性を,図A.5及び図A.6に示す。この規格の上限である350のrRRRをもつ銅では,ひず

みがないときに比べて2 %の曲げひずみでrRRRが10 %低下した。 

高いrRRRをもつ材料の評価に当たっては,加える曲げひずみをできるだけ小さくするため,直線状の基

板を用いるか,又は大きな曲げ径をもったマンドレルを用いて評価することが望ましい。さらに,試料を

取り付けたときにハンドリングによって余計なひずみを加えないように特別に注意を払うのがよい。 


12 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

  

  

 

 

図A.2−純銅マトリックスのニオブ・チタン複合超電導線のrRRRの曲げひずみ依存性 

(計算値と実測値との比較) 

 

図A.3−丸銅線のrRRRの曲げひずみ依存性 

 

 

rRRR (0) 


13 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

 

図A.4−丸銅線の規格化したrRRRの曲げひずみ依存性 

 

図A.5−平角銅線のrRRRの曲げひずみ依存性 

 

rRRR (0) 

rRRR (0) 


14 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

  

図A.6−平角銅線の規格化したrRRRの曲げひずみ依存性 

 

丸形超電導線又は平角超電導線のための測定用マンドレルの最小径を,それぞれ表A.1及び表A.2に示

す。 

 

表A.1−丸形超電導線のための測定用マンドレルの最小径 

線径 d(mm) 

0.50 

0.75 

1.00 

1.25 

1.50 

最小径 Dm(mm) 

10.6 

15.9 

21.2 

26.5 

31.8 

 

表A.2−平角超電導線のための測定用マンドレルの最小径 

厚さ 2t(mm) 

0.25 

0.50 

0.75 

1.00 

最小径 Dm(mm) 

6.3 

12.5 

18.8 

25.0 

 

A.5 ニオブ・チタン複合超電導線の曲げひずみの影響の補正の方法 

この箇条では,7.3に規定する低温における抵抗の曲げひずみの影響の補正方法を示す。 

半径Rdのマンドレルに装着する厚さ2hの試料の曲げひずみεbは,式(A.5)で与えられる。 

 

εb=100×(h/Rd) (%)  (A.5) 

 

ここで,平角超電導線の等価的な引張ひずみは式(A.6)で与えられ,丸形超電導線の等価的な引張ひずみ

は式(A.7)で与えられる。 

 

ε=(1/2) εb  (A.6) 

ε=[4/(3π)] εb  (A.7) 

 

純銅の4.2 Kにおける抵抗の増加は,式(9)にそれぞれのεを代入して算出し,式(8)を用いて低温での抵

抗の補正ができる。 

rRRR (0) 


15 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

 

附属書B 

(参考) 

統計に関する定義 

(対応国際規格の規定を不採用とした。) 

 


16 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

  

附属書C 
(参考) 

残留抵抗比試験方法における不確かさの評価 

 

C.0A 不確かさについて 

不確かさに関する参考情報を,次に示す。 

a) 不確かさの起因 不確かさの起因としては,測定対象,測定機器,測定方法,測定環境など様々であ

る。これらの中で,不確かさには,観測結果の統計解析によって評価されるAタイプのものと,統計

解析以外の方法によって評価されるBタイプのものとがある。例えば,残留抵抗比の電圧を測定する

場合に計測器による不確かさがあるが,これは通常,その製造業者が保証する計測器の不確かさ(仕

様)によって評価され,Bタイプの不確かさである。 

b) 不確かさに関する用語 不確かさに関する用語は,JIS Z 8103(計測用語)及びGUM(参考文献[3],

[4])を参照するとよいが,主な用語は,次のとおりである。 

1) 標準不確かさ 標準偏差として表された測定結果の不確かさ。 

2) 合成標準不確かさ 測定結果が多数の他の量から得られる場合の標準不確かさ。他の量について重

み付けをした(それらの変化が測定結果の変化に及ぼす影響を反映した)分散又は共分散の和の平

方根の正に等しい。 

3) 相対標準不確かさ u(x)が測定結果xに関する標準不確かさであるとき,u(x)/|x|(ただし,x≠0)。 

4) 相対合成標準不確かさ u(y)が測定結果yに関する合成標準不確かさであるとき,u(y)/|y|(ただし,

y≠0)。 

5) 拡張不確かさ 分布する正当な測定値の大部分が含まれると期待される範囲を定める量。標準不確

かさをσ,包含係数をkとすると,kσで与えられる。この規格では,k=2とし,正規分布の場合,

測定値の95 %がその範囲に含まれる。 

なお,測定値が含まれる割合は,k=1の場合は68 %,k=3の場合は99 %である。 

c) 工業計測における不確かさ 製品を市場に出荷するに当たっては,その製品の品質を保証するための

計測が必要である。しかしながら,その計測に十分な時間をかければよいとは限らない。それは製品

の価格に跳ね返るため,そうした工業計測は十分な品質の保証ができる場合,できるだけ簡便な方法

を採用することが望まれる。この規格では,幾つかの簡便な方法が示されている。また,品質の保証

を与えるという点からすれば,性能を示す値についての不確かさについては,最悪の場合を想定し,

それでも品質を保証するというものが求められる。 

 

C.1 不確かさの評価 

残留抵抗比の不確かさは,室温で測定した抵抗の標準不確かさ(ur1)と低温で測定した抵抗の標準不確

かさ(ur2)との合成である。ここでは簡単にするために,包含係数kを1と仮定する。 

超電導線の残留抵抗比は,293 K(20 ℃)における電気抵抗値をR1,超電導転移温度の直上での電気抵

抗値をR2として,rRRR=R1/R2で与えられ,R1及びR2の統計平均からの偏差をそれぞれΔR1及びΔR2とし

たとき,残留抵抗比rRRRの偏差ΔrRRRは,式(C.1)で与えられる。 

 

2

2

1

1

RRR

RRR

R

R

R

R

r

r

 (C.1) 


17 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

 

したがって,rRRRの相対標準不確かさは,式(C.2)となる。 

 

2

1

2

2

2

2

1

1

R

u

R

u

u

R

R

r

  (C.2) 

 

ここで,uR1及びuR2は,それぞれ室温及び低温における抵抗の標準不確かさである。温度Tmにおいて電

気抵抗の測定が行われたとして,与えた電流がI1,測定された電圧がU1であった場合,式(3)を用いて,

室温(293 K)における抵抗は,式(C.3)で与えられる。 

 

)

(

)]

293

(

93

003

.0

1[

1

m

1

1

I

T

U

R

  (C.3) 

 

U1,Tm及びI1には,それぞれ一定の不確かさが付随しているはずである。したがって,R1の偏差は,式

(C.4)となる。 

 

)

(

93

003

.0

93

003

.0

)

293

(

93

003

.0

1

1

1

2

1

1

m

1

1

1

1

2

1

1

m

1

1

1

m

1

1

1

m

m

1

1

1

1

1

I

I

U

T

R

I

U

I

I

U

T

R

I

U

T

I

I

R

T

T

R

U

U

R

R

  (C.4) 

ここに, 

ΔU1(V): 電圧の偏差 

 

ΔTm(℃): 温度の偏差 

 

ΔI1(A): 加えた電流の偏差 

 

なお,式(C.4)の最後の近似は,温度の293 Kからの外れが感度係数に及ぼす影響が小さいということか

ら導かれている。 

この影響は,最終的な不確かさに換算して0.2 %以下に収まることが知られている。室温の偏差ΔTmは,

式(C.5)のように分割することができる。 

 

ΔTm=ΔTm1+ΔTm2  (℃)  (C.5) 

ここに, 

ΔTm1(℃): 測定室温と試料温度との差 

 

ΔTm2(℃): 温度計による偏差 

 

したがって,室温における抵抗の標準不確かさは,式(C.6)となる。 

 

)

(

)

93

003

.0(

2

1

2

1

2

2

1

1

2

2

m

2

1

2

1

m

2

1

1

1

I

T

RT

U

R

u

I

U

u

R

u

I

u

u

  (C.6) 

ここに, 

uU1(V): 室温における電圧のBタイプの標準不確かさ

3

/

005

.0

/

1

1

U

uU

) 

 

uI1(A): 室温における電流のBタイプの標準不確かさ

3

/

005

.0

/1

1

I

uI

) 

 

uTm2(K): 温度計を用いて測定する室温のBタイプの標準不確か


18 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

  

さ(

3

/1

2

m=

T

u

) 

 

uRTm1 (Ω)は,測定した室温と試料温度との違いによるBタイプの標準不確かさであり,形式的にuRTm1

=−0.003 93 R1uTm1と示すことができる。ただし,uRTm1は数学的モデルから求めるのではなく,ニオブ・

チタン複合超電導線の残留抵抗比のラウンドロビン試験における室温の抵抗値と残留抵抗比との相関から,

R1の±0.017(±1.7 %)と直接,見積もられている(参考文献[5]参照)。同様な状況を仮定し,

3

/

017

.0

/

1

1

m

R

uRT

と仮定できる。 

低温での抵抗の測定においては,試料の電圧を電流の方向を変えて2回測定する。転移における電圧の

値は,二つの直線を引いてその交点から決定することから,こうした作業によってある不確かさが生じる

ことに注意する。この標準不確かさをbとすると,低温における抵抗の標準不確かさは,式(C.7)となる。 

 

)

(

2

2

2

1

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

I

U

R

u

I

U

b

I

u

u

  (C.7) 

ここに, 

uU2 (V): 電圧計によるBタイプの標準不確かさ

3

/

005

.0

/

2

2

U

uU

) 

 

uI2 (A): 電流源におけるBタイプの標準不確かさ

3

/

005

.0

/

2

2

I

uI

) 

 

式(C.7)において第1項及び第2項が2倍されているのは,同様な測定を2回行っているからである。し

たがって,試料を曲げずに測定した場合の相対合成標準不確かさは,式(C.8)のようになる。 

 

2

/1

2

2

4

r

2

10

43

.1

R

b

u

 (C.8) 

 

なお,電圧計及び標準抵抗器を用いて電流を求める場合,電圧及び抵抗値の不確かさが影響する。この

ときの電圧の値及びその不確かさをそれぞれU及びuUとし,標準抵抗器の抵抗の値及びその不確かさを

それぞれR及びuRとした場合,式(C.6)の

2

1

2

2

1

1

)

/

(

I

u

I

U

及び式(C.7)の

2

2

2

2

2

2

)

/

(

I

u

I

U

を,それぞれ次のように置

き換えることが望ましい。 

 

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

1

1

    

R

u

U

u

I

U

R

u

U

u

I

U

R

U

R

U

  (C.9) 

 

試料を曲げた状態で定温における抵抗を測定する場合,与えられた式に測定に使った電圧タップ間距離

(L),試料の直径(d),銅比(c)及びマンドレルの半径(Rd)を代入して抵抗値を補正することが必要で

ある。半径Rdのマンドレルに直径dの丸線を巻いた場合を考える。式(8)及び式(9)から,巻きひずみの影

響を補正した低温における抵抗値は,式(C.10)となる。 

 

)

(

10

69

.1

π

3

8

10

24

.6

d

Cu

12

*

2

d

Cu

2

12

*

2

2

R

dr

L

R

R

dr

L

R

R

  (C.10) 


19 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

 

ここでは,ε=(4/3π)(d/2Rd)及びSCu=π(d/2)2rCuを用いて,小さな修正しか与えない式(9)の第2項を無視し

た。また,rCuは,銅占積率(線材断面積に占める銅断面積の割合)であり,銅比cを用いてrCu=c/(1+c)

で与えられる。したがって,式(C.10)の第2項をδR2とすると,L,d,rCu及びRdの標準不確かさによって

生じるuR2の合成標準不確かさは,式(C.11)となる。 

 

)

(

2

1

2

d

d

2

Cu

Cu

2

2

2

*

2

R

u

r

u

d

u

L

u

R

u

R

r

d

L

R

  (C.11) 

ここに, 

uL (m): 電圧タップ間距離のBタイプの標準不確かさ 

 

ud (m): 試料直径のBタイプの標準不確かさ 

 

urCu: 銅占積率のBタイプの標準不確かさ 

 

uRd (m): マンドレル径のBタイプの標準不確かさ 

 

Lは

3

/

05

.0

/=

L

uL

以内の標準不確かさで測定することが求められており(8.4参照),dの相対標準不

確かさは,

3

/

02

.0

/=

d

ud

と仮定されている。また,rCu及びRdの相対標準不確かさは,

3

/

05

.0

未満が求

められている。最大の補正は,この試験法で取り扱う範囲内では,残留抵抗比が350の試料で曲げひずみ

が2 %のときで,δR2/R2は約0.10となる。したがって,曲げひずみの補正による低温での抵抗の相対合成

標準不確かさの最大値は,式(C.12)と見積もることができる。 

 

2

2

*

2

10

513

.0

R

uR

  (C.12) 

 

これらの解析の結果,残留抵抗比の相対合成標準不確かさは,式(C.13)となる。 

 

2

1

2

2

4

2

1

2

2

*

2

2

2

2

2

1

1

2

1

2

10

69

.1

/

R

b

R

u

R

u

R

u

R

R

u

u

R

R

R

r

= 

··· (C.13) 

 

C.2に示すニオブ・チタン複合超電導線のラウンドロビン試験の結果,urは2.44×10−2となった。これ

を採用した場合,b/R2は,式(C.14)と見積もることができる。 

 

2

2

10

46

.1

R

b

  (C.14) 

 

各測定における不確かさのタイプ及び目標値を,表C.1に示す。 

 


20 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

  

表C.1−各測定における不確かさ 

相対標準不確かさ 

タイプ 

値 

参考 

uU1/U1(室温の電圧) 

3

/

005

.0

 

|ΔU1|/ U1<0.005 

uI1/I1(室温の電流) 

3

/

005

.0

 

|ΔI1|/ I1<0.005 

uTm2(部屋の温度)a) 

3

/1

 ℃ 

|ΔTm|<1 ℃ 

uU2/U2(低温の電圧) 

3

/

005

.0

 

|ΔU2|/ U2<0.005 

uI2/I2(低温の電流) 

3

/

005

.0

 

|ΔI2|/ I2<0.005 

uL/L(電圧端子間距離) 

3

/

05

.0

 

|ΔL|/ L<0.05 

ud/d(線材の直径) 

3

/

02

.0

 

|Δd|/ d<0.02 

urCu/rCu(銅占積率) 

3

/

05

.0

 

|ΔrCu|/ rCu<0.05 

uRd/Rd(マンドレルの半径) 

3

/

05

.0

 

|ΔRd|/ Rd<0.05 

注a) uTm2だけ標準不確かさを示す。 

 

C.2 ニオブ・チタン複合超電導線の残留抵抗比のラウンドロビン試験の要約 

次に示す供試用超電導線を用いて,ニオブ・チタン複合超電導線の残留抵抗比のラウンドロビン試験を

実施した。 

a) 直径:0.8 mm(裸線径)及び0.86 mm(含絶縁被覆) 

b) 銅/ニオブ・チタン比:6.5 

c) 平均フィラメント径:約70 μm 

d) フィラメント数:16 

e) ツイストピッチ:30 mm 

f) 

臨界電流:185 A 超(3 T,4.2 K) 

g) rRRR:150 超 

試料は,直線に近い状態で参加した機関に提供された。ただし,受け取ったままの状態で測定された試

料もあれば,マンドレルに巻かれてひずみが加えられた状態で測定された試料もある。ラウンドロビン試

験には,5か国13機関が参加し,得られたデータ数は77個であった。R2は,7.2,7.3及びA.3に規定す

る方法で測定した。測定の詳細は,参考文献[5]に記載されている。ひずみの影響は,式(8)及び式(9)を用い

て補正した。測定されたrRRRの分布を,図C.1に示す。3データを除き,ほとんどのデータは,かなり明

瞭に収れん(斂)した。平均値は178.5,標準偏差は4.4,及び変動係数(COV値)は2.44 %であった。大

きく外れた3データを除いた場合,平均値は178.2,標準偏差は3.1,及びCOV値は1.73 %であった。本

ラウンドロビン試験によるCOV値は2.5 %未満であり,この結果は本試験法の目標とするk=2とした拡

張不確かさを5 %とすることの妥当性を示している。 

注記 変動係数(COV値)は,実験標準偏差を平均値で除した値の100倍である。 

 


21 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

 

 

図C.1−ニオブ・チタン複合超電導線のrRRRの測定値の分布 

 

C.3 ニオブ3すず複合超電導線のラウンドロビン試験のCOV値 

ニオブ3すず複合超電導線のラウンドロビン試験では,COV値は,6.07 %であった(参考文献[6])。こ

の値は,ひずみの影響による付加的な不確かさがないにもかかわらず,2.44 %であったニオブ・チタン複

合超電導線の結果に比べて非常に大きい。この理由を確かめるために,更に二つの研究機関の間で三つの

ニオブ3すず複合超電導線試料について残留抵抗比の比較試験を行った。そのうち二つは熱処理時の同じ

バッチから取り,もう一つは別のバッチのものである。三つの試料について,この規格の試験法を用いて

得られたそれぞれのrRRRは,表C.2に示すように両研究機関の間で1 %以内であったが,その一方で,rRRR

は,同じバッチから取った試料であっても異なっていた。このことは,以前のラウンドロビン試験のCOV

値が大きかった理由が試料の不均一さによるものである一方,試験法そのものは問題がなかったことを示

唆するものである。この不均一さは,熱処理条件に対して非常に敏感である場合又は拡散バリアの欠陥に

よる銅の汚染が原因になる場合がある。一般的に,rRRRは最低保証値よりも高いことが要求されるので,

不均一さの存在は,1本の支給線材から数本の測定サンプルを抽出してrRRRを測定し,それらを報告する

ことが望ましい。 

 

表C.2−三つのニオブ3すず複合超電導線試料について得られたR1,R2及びrRRR 

試料 

研究機関1 

研究機関2 

R1(293 K)[Ω] 

R2(Tc*)[Ω] 

rRRR 

R1(293 K)[Ω] 

R2(Tc*)[Ω] 

rRRR 

1.593×10-3 

1.49×10-5 

107 

1.61×10-3 

1.49×10-5 

108 

1.719×10-3 

1.66×10-5 

104 

1.74×10-3 

1.66×10-5 

105 

1.619×10-3 

1.61×10-5 

100 

1.65×10-3 

1.62×10-5 

101 

 

こうした理由から,この規格の試験法を用いて得られるニオブ3すず複合超電導線のrRRRの不確かさは,

ニオブ・チタン複合超電導線の場合と同様であると考えられる。したがって,ニオブ・チタン複合超電導

線の残留抵抗比のラウンドロビン試験の結果から評価された,b/R2=1.46×10-2の値を式(C.8)に代入して,

 


22 

H 7306:2018 (IEC 61788-4:2016) 

  

ニオブ3すず複合超電導線のrRRRの不確かさも評価することができる。また,表C.2の結果から,二つの

研究機関での試験結果の違いは,主としてR1の値からきていることが明白である。すなわち,室温の不確

かさが大きな理由である。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献  

[1] MURASE S., SAITOH T., MATSUSHITA T. and OSAMURA K. Standardization of the method for the 

determination of the residual resistance ratio (RRR) of Cu/Nb-Ti composite superconductors. Proc. of 

ICEC16/ICMC, Kitakyushu, May 1996, p.1795 

[2] SIMON N.J., DREXLER E.S., REED R.P. Properties of Copper and Copper Alloys at Cryogenic Temperatures. 

NIST Monograph, 177 (1992) 

[3] ISO/IEC Guide 98-3:2008,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in 

measurement (GUM:1995) 

[4] International Organization for Standardization (Geneva, Switzerland), “Guide to the Expression of Uncertainty 

in Measurement” (初版1993,修正版1995),飯塚 幸三 監修:ISO国際文章“計測における不確かさ

の表現のガイド”財団法人日本規格協会(1996) 

[5] MATSUSHITA T., OTABE E.S., MURASE S., OSAMURA K. and HUA CY. Adv. In Supercond. XI, Tokyo, 

Springer, 1507 (1999) 

[6] MURASE S., SAITOH T., MORIAI H., MATSUSHITA T and OSAMURA K., Advances in Superconductivity. 

XI, Tokyo, Springer, 1511 (1999)