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H 7205:2003  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

この規格には危険性のある材料,方法,装置を含んでいる可能性がある。この規格は安全問題への対応

のすべてを包含しているわけではない。規格適用に際しての適切な安全性と健康管理の確保,及び適用限

界の適否の決定は,この規格の利用者の責任である。 

H 7205:2003 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 許容差 ··························································································································· 1 

5. 試験装置 ························································································································ 2 

6. 試験準備 ························································································································ 3 

7. 試験方法 ························································································································ 4 

7.1 電気化学的活性化処理 ···································································································· 4 

7.2 放電率特性 ··················································································································· 5 

7.3 電気化学的活性化の促進 ································································································· 5 

8. 試験結果の取扱い ············································································································ 5 

8.1 放電容量の計算 ············································································································· 5 

8.2 試料合金の放電容量 ······································································································· 5 

8.3 放電率特性図の表し方 ···································································································· 5 

8.4 電気化学的活性化時の繰り返し充放電特性図の表し方 ··························································· 5 

8.5 放電曲線図の表し方 ······································································································· 5 

9. 報告 ······························································································································ 5 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格             JIS 

H 7205:2003 

二ッケル・水素蓄電池用水素吸蔵合金の 

放電容量試験方法 

Method of measuring discharge capacity of hydrogen absorbing alloys for a 

negative electrode of a rechargable nickel-metal hydride battery 

1. 適用範囲 この規格は,水素吸蔵合金のニッケル・水素蓄電池の負極への適用性を判定し,ニッケル・水素

蓄電池の設計に必要な水素吸蔵合金の放電容量を求めるための試験方法について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7411 

一般用ガラス製棒状温度計(全浸没) 

JIS C 1102-2 直動式指示電気計器 第2部:電流計及び電圧計に対する要求事項 

JIS H 7003 

水素吸蔵合金用語 

JIS H 7201 

水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT線)の測定方法 

JIS Z 8401 

数値の丸め方 

JIS Z 8801-1 試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 7003によるほか,次による。 

a) 放電容量 (Cd) ある試料水素吸蔵合金電極において,一般に式(1)で表される放電反応の終了まで

に通電された水素吸蔵合金単位質量当たりの電気量 (Ah/kg) 

-

2

-

e

O

H

OH

alloy)

H(in 

+

+

 ························································ (1) 

b) 計算容量 (Ccalc) 試料水素吸蔵合金(以下,試料合金という。)の圧力―組成等温線から期待される試

料合金の放電容量 (Ah/kg)。JIS H 7201に基づいて測定された,試料合金の圧力―組成等温線の60 ℃,

0.5 MPaにおける水素の対合金質量百分率をWとしたとき,計算容量(Ccalc)は式(2)によって求める。 

calc

26800100

W

C

=

×

. ····································································· (2) 

ここに, Ccalc:計算容量 (Ah/kg) 
 

W:水素の対合金百分率 (%) 

c) 電気化学的活性化 安定した電気容量が得られるまで充放電を繰り返すこと。 
 

4. 許容差 制御される値又は測定値は,次の許容差の範囲内でなければならない。 

a) 設定電圧 ±1 % 

background image

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b) 設定電流 ±1 % 

c) 電気量 ±1 % 

d) 温度 ±1 ℃ 

e) 時間 ±0.1 % 

f) 

質量 ±1 mg 

これらの許容差は,測定器具,使用される測定技術及び試験の手順におけるすべての誤差の発生源によ

って生じる総合的な精度をいう。 

5. 試験装置 試験装置の基本構造を図1に示す。試験装置は,直流定電流電源,電流計,電圧計からな

る試験セルの充放電のための充放電装置[図1 a)],大気圧に開放された試験セル[図1 b) 又はc)]で構

成される。試験セルは,周囲温度を20〜25 ℃に保持することが可能である室内に設置されていることと

する。 

備考  充放電装置[図1 a)]から試験セル[図1 b)][図1 c)]への接続は,三極式の場合は 

実線で示すように,二極式の場合は破線で示すように行う。 

図 1 電極試験装置 

a) 試験セル 試料合金を含む試験用試料合金電極(以下,試験電極という。),参照電極として酸化水銀

電極,対極として水酸化ニッケル電極,ニッケル板又は白金板のいずれかを用い,試験電極及び参照

電極と対極との間にセパレータを設けた三極式試験セル[図1 b)],又は,試験電極と,その試験電極

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の計算容量の2倍以上の放電容量をもつ水酸化ニッケル電極及びセパレータからなる二極式試験セル 

[図1 c)]を用いる。 

b) 直流定電流電源 任意の電流値に設定可能である安定な直流定電流電源を用いる。 

c) 時間計 時間の測定器具は,4.e) に規定する許容差又はこれと同等以上の精度をもつものとする。 

d) 電圧計 電圧の測定に用いる器具は, JIS C 1102-2に規定する階級0.5級又はこれと同等以上の精度

をもつアナログ式電圧計又はこれと同等以上の精度をもつデジタル式電圧計とする。電圧計の入力抵

抗値は,三極式試験セルにおいて試験電極と参照電極との間の電圧を測定する場合には1 GΩ以上,二

極式試験セルにおいて試験電極と対極との間の電圧を測定する場合には100 kΩ以上とする。 

e) 電流計 電流の測定に用いる器具は,JIS C 1102-2に規定する階級0.5級若しくはこれと同等以上の

精度をもつアナログ式電流計又はこれと同等以上の精度をもつデジタル式電流計とする。 

f) 

温度計 温度の測定に用いる器具は,JIS B 7411に規定する許容差±1 ℃若しくはこれと同等の精度

をもつガラス製棒状温度計(全浸没)又は最小読取値が1 ℃以下のデジタル式温度計とする。デジタ

ル式温度計の絶対精度は,±0.5 ℃とする。 

6. 試験準備 試験準備は,次による。特に,空気中の酸素によって試料合金粉末が著しく酸化される場

合には,以下に掲げる操作を不活性気体雰囲気中で行う。 

a) 試料合金粉末の表面調製 JIS Z 8801-1に規定する目開き149 µmの網ふるいを全通する粒径にあらか

じめ分級された試料合金粉末を乳鉢で約5分間すり合わせる。 

b) 試料合金粉末及び銅粉末のはかりとり及び混合 試料合金粉末及び銅粉末を,式(3)によって求めた

試料合金粉末と銅粉末との質量比xaが (25±1) %となるように1 mgのけたまではかりとり記録した後,

乳鉢にて約5分間混合する。この際に用いる銅粉末は,平均粒径が5 µm以下で,還元減量が0.4 %以

下のものとする。 

100

Cu

a

a

a

×

+

=

M

M

M

x

 ································································ (3) 

ここに, 

xa:試料合金粉末と銅粉末との質量比 (%) 

Ma:混合した試料合金粉末の質量 (kg) 

MCu:混合した銅粉末の質量 (kg) 

c) ペレットの作製 b)で調製した混合粉末 約1 gをはかりとり,直径12〜15 mmの型に充てんして混合

粉末の上面を平らにした後,1 cm2当り50 kN〜100 kNの荷重をかけてペレットを作製する。このペレ

ットの質量を,1 mg のけたまではかる。式(3)及び式(4)によってペレット中の試料合金質量 (ma) 

を100 µgのけたまで求め,JIS Z 8401に従って100 µgのけたを丸めて1 mgのけたまで記録する。ま

た,ペレットの厚みを0.01 mmのけたまで測定し,記録する。 

100

a

a

x

M

m

×

=

 ············································································· (4) 

ここに, ma:ペレット中の試料合金質量 (kg) 
 

xa:b)で求めた試料合金粉末と銅粉末との質量比 (%) 

M:ペレットの質量 (kg) 

d) 試験電極の作製 c)で作製したペレットをそれぞれ適切な目開きのニッケル網に挟み,周囲をスポッ

ト溶接してペレットを固定する。さらに,リード線としてニッケル線又はニッケル板(いずれも断面

積0.5 mm2以上,全長15 cm以下)をペレットを挟んだニッケル網に溶接し,試験電極とする。試験

電極を図2に示す。 

background image

H 7205:2003 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考  Xはスポット溶接の位置 

図 2 試験電極 

e) 試験セルの組立 d)で作製した電極を試験セルに取り付け,電解液として濃度6 mol/dm3の水酸化カリ

ウム水溶液を注入する。完成した試験セルを試験場所に30分以上静置した後,試験を行う。 

7. 試験方法  

7.1 

電気化学的活性化処理  

7.1.1 

充放電サイクル 6. e)で組み立てた試験セルを図1に示すように充放電装置に接続し,次のa)〜c)

条件で充電・充電休止・放電を1サイクルとし,20サイクルを上限として繰り返す。 

a) 充電 試料合金当り100A/kgの電流密度で計算容量(Ccalc)の1.2倍の電気量を通電する。充電中は,電

極電位又は端子電圧の経時変化を記録する。 

充電時間 tc (h)は,式(5)から求める。 

calc

c

1.2

100

C

t =

 ··········································································· (5) 

ここに, 

tc:充電時間 (h) 

Ccalc:計算容量 (Ah/kg) 

b) 充電休止 30分間 

c) 放電 試料合金当り100 A/kgの電流密度で,三極式試験セルの場合には試験電極の電位が酸化水銀電

極に対して−0.65 Vになるまで,二極式試験セルの場合には端子電圧が0.8 Vになるまで放電を行い,

電極電位又は端子電圧の経時変化及び放電持続時間td (h)を記録する。 

上記の充放電の際に試験電極に流れる電流 I (A) は,式(6)から求める。 

I=ma

i ················································································ (6) 

i:電流密度 (A/kg) 

ma:試験電極に含まれる試料合金の質量 (kg) 

7.1.2 

電気化学的活性化の判断 試料合金の放電容量が2サイクル前及び1サイクル前の値に対して 

0.5 % 以下の増加であるとき,試験電極が電気化学的に活性化されたと判断し,電気化学的活性化処理を

終了する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.2 放電率特性 電気化学的に活性化された試験電極に対して試料合金当たりの放電電流密度を40 A/kg,

次のサイクルには400 A/kg と設定し,電極電位又は端子電圧の経時変化及び放電持続時間を記録する。 

7.3 

電気化学的活性化の促進 7.1.1において,20サイクルのうちに試験電極が電気化学的に活性化しな

いときは,次の手順で電気化学的活性化の促進を試みる。 

a) 新たに試験電極を作製し,7.1.1における放電電流密度を40 A/kgに設定して電気化学的活性化を行う。

この際,充放電条件は7.1.1の場合と同じに設定し,20サイクルを上限として充放電を繰り返す。20

サイクルの時点において電気化学的に活性化されない場合はb) に移る。ただし,a) での試料合金の

サイクルごとの放電容量の増加が2 %以下であるときはc) に移る。 

b) 新たに試験電極を作製し,あらかじめアルカリ水溶液又は酸による表面処理を行った試験電極に対し

て3.3 a)と同じ条件による電気化学的活性化処理を行う。20サイクルの時点において電気化学的に活

性化されない場合はc) に移る。 

c) 同じ電極に対して,引き続きa) と同じ条件による充放電を20サイクルを限度として繰り返し,電気

化学的活性化が達成されたかどうかを7.1.2によって判断する。 

d) c) によっても電気化学的に活性化されない場合には,電気化学的活性化不能と記録し,放電率特性の

測定は行わない。 

8. 試験結果の取扱い  

8.1 

放電容量の計算 放電容量Cd (Ah/kg) は,式(7)によって計算し,JIS Z 8401に従って有効数字3

けたに丸める。 

a

d

d

d

m

I

t

i

t

C

=

=

 ··································································· (7) 

ここに, Cd:放電容量 (Ah/kg) 
 

td:放電持続時間 (h) 

i:電流密度 (A/kg) 

I:電流 (A) 

ma:試験電極に含まれる合金の質量 (kg) 

8.2 

試料合金の放電容量 試料合金当りの放電電流密度100 A/kgのときの放電容量を,試料合金の放電

容量とする。 

8.3 

放電率特性図の表し方 横軸に電流密度 (A/kg),縦軸に放電容量 (Ah/kg) をとり,放電率特性 (7.2)

における各電流密度に対する試料合金の放電容量をプロットする。 

8.4 

電気化学的活性化時の繰り返し充放電特性図の表し方 横軸にサイクル数,縦軸に放電容量 (Ah/kg) 

をとり,電気化学的活性化処理における各サイクルでの試料合金の放電容量をプロットする。 

8.5 

放電曲線図の表し方 横軸に放電電気量 (Ah/kg),縦軸に電圧 (V) をとり,放電率特性 (7.2) にお

ける放電過程の電極電位又は端子電圧をプロットする。各曲線には,電流密度を明示する。 

9. 報告 試験結果報告書には,次の事項を記載する。 

a) 試料合金の名称又は組成及び製造方法,並びに銅粉末の名称又は性状 

b) 試料合金の60 ℃における圧力―組成等温線(JIS H 7201に規定のPCT線)及び計算容量 

c) 試験電極作製条件(ペレット直径,ペレット厚さ,ペレットの質量,ペレット成形時の荷重,試験電

極の略図など) 

H 7205:2003 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 試験電極中に含まれる試料合金の質量 

e) 試験セルの形式・構造(略図) 

f) 

試験温度 

g) 活性化促進処理の有無と処理方法・処理条件 

h) 充放電条件(充電時間,放電電流密度,放電終止電位若しくは端子電圧) 

i) 

電気化学的活性化時の繰り返し充放電特性図 

j) 

放電容量(電気化学的活性化不能の場合は不要) 

k) 放電率特性図(電気化学的活性化不能の場合は不要) 

l) 

放電曲線図(電気化学的活性化不能の場合は不要) 

m) 試験年月日