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H 7203

:2007

(1) 

目  次

ページ

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

1

4

  測定装置

1

4.1

  測定装置の構成

1

4.2

  機器の精度

4

4.3

  水素の純度

4

4.4

  装置の容積の算出

4

5

  測定準備

4

5.1

  圧力−組成等温線図の作成

4

5.2

  試料の準備

5

5.3

  測定装置の準備

6

5.4

  試料の前処理

6

5.5

  測定条件の設定

6

6

  測定

6

6.1

  閉鎖系測定法による測定

6

6.2

  開放系測定法による測定

7

7

  水素吸蔵・放出サイクル特性図の作成

8

7.1

  水素移動量の算出

8

7.2

  水素移動量変化比の算出

9

7.3

  水素移動量の変化による水素吸蔵・放出サイクル特性図の作図

9

7.4

  水素移動量変化比による水素吸蔵・放出サイクル特性図の作図

9

8

  報告書

10

 


H 7203

:2007

(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人大阪科学

技術センター (OSTEC) 及び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改

正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ

る。

これによって,JIS H 7203 : 1995 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。


   

日本工業規格

JIS

 H

7203

:2007

水素吸蔵合金の水素吸蔵・放出

サイクル特性の測定方法

Method for measurement of hydrogen absorption/desorption

cycle characteristic of hydrogen absorbing alloys

1

適用範囲

この規格は,水素と水素吸蔵合金とを繰返し反応させることによって,水素吸蔵合金の水素吸蔵・放出

サイクル特性を測定するための方法について規定する。

なお,この規格を適用する測定対象温度範囲は,173 K∼573 K,測定圧力範囲は,1 kPa∼5 MPa とする。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS H 7003

  水素吸蔵合金用語

JIS H 7201

  水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT 線)の測定方法

JIS K 0512

  水素

JIS Z 8401

  数値の丸め方

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS H 7003 によるほか,次による。

3.1

水素移動量変化比

第 1 回目の水素吸蔵・放出反応における水素移動量に対する,繰返し第 回目の水素吸蔵・放出反応に

おける水素移動量の比。

4

測定装置

4.1

測定装置の構成

4.1.1

閉鎖系測定法の測定装置の構成

閉鎖系測定法の測定装置は,測定系,試料系,ガス供給・排気系及び温度制御用の機器並びに温度測定

用の機器で構成する。ガスと直接接触する機器は,測定中に印可するガスの最高使用圧力に耐えるに十分

な強度があり,水素と反応せず,水素を透過しない材料で構成し,室温及び測定対象温度において,水素

加圧状態及び真空状態での漏れがあってはならない。閉鎖系測定装置の基本構成の例を,

図 に示す。

閉鎖系測定法の測定装置を構成する機器は,次による。

a)

測定系の機器  測定系の機器は,蓄圧容器 (B),圧力計 (P),バルブ (V

1

, V

2

, V

3

)  及び配管で構成する。


2

H 7203

:2007

   

各機器を結ぶ配管はできるだけ短くするとともに,測定系全体が一定で均一な温度に保持できるよう

に設計する。

蓄圧容器 (B) の容積は,繰返し水素吸蔵・放出反応時の放出平衡圧力  [P

d

 (MPa)] と吸蔵平衡圧力

[P

a

 (MPa)]  との差が P

a

の 5 %以下になるように設計する。

b)

試料系の機器  試料系の機器は,試料容器 (D) 及び配管で構成する。試料容器 (D) とバルブ (V

1

)  と

をつなぐ配管は,反応温度可変器 (R) から外に出た部分の容積ができるだけ小さくなるように設計す

る。試料容器 (D) のガス出入口には,圧損の小さい孔径 1 μm 程度のフィルタ (F) を取り付け,配管

への試料の飛散を防ぐ。反応温度可変器 (R) の温度が,測定系に影響しないように,試料系−測定系

間を断熱する。

c)

ガス供給・排気系の機器  ガス供給・排気系の機器は,水素及び不活性ガスの供給装置,真空排気装

置など (A) で構成する。

d)

温度制御用及び温度測定用の機器  温度制御用及び温度測定用の機器は,反応温度可変器 (R) 及び温

度計 (T

1

, T

2

)  で構成する。温度計 (T

1

)  は,蓄圧容器 (B) の近傍に取り付け,温度計 (T

2

)  は,反応

温度可変器 (R) の器内に取り付ける。

図 1−閉鎖系測定装置の基本構成の例

4.1.2

開放系測定法の測定装置の構成

測定装置は,吸蔵測定系,試料系,放出測定系,ガス供給・排気系及び温度制御用の機器並びに温度測

定用の機器で構成する。ガスと直接接触する機器は,測定中に印可するガスの最高使用圧力に耐えるに十

分な強度があり,水素と反応せず,水素を透過しない材料で構成し,室温及び測定対象温度において水素

加圧状態及び真空状態での漏れがあってはならない。開放系測定装置の基本構成の例を,

図 に示す。

各系を構成する機器は,次による。

a)

吸蔵測定系の機器  吸蔵測定系の機器は,蓄圧容器 (B),圧力計 (P

1

),バルブ (V

1

, V

2

, V

4

∼V

6

)  及び

配管で構成する。各機器を結ぶ配管はできるだけ短くするとともに,吸蔵測定系全体が一定で均一な


3

H 7203

:2007

温度に保持できるように装置を設計する。蓄圧容器 (B) の容積は,繰返し水素吸蔵・放出反応時にお

ける吸蔵測定系の水素化初圧  [p

d0

(MPa)]  と水素化終圧  [p

da

(MPa)]  との差が p

da

の 5 %以下になるよ

うに設計する。

b)

試料系の機器  試料系の機器は,試料容器 (D),圧力計 (P

2

),バルブ (V

3

)  及び配管で構成する。試

料容器 (D) のガス出入口には,圧損の小さい孔径 1 μm 程度のフィルタ (F) を取り付け,配管への試

料の飛散を防ぐ。恒温槽 (C) の温度が,吸蔵測定系に影響しないように恒温槽−吸蔵測定系,試料系,

放出測定系間を断熱する。

c)

放出測定系の機器  放出測定系の機器は,一次圧調整バルブ (VL),水素流量計 (Q) 及び配管で構成

する。

d)

ガス供給・排気系の機器  ガス供給・排気系の機器は,真空計 (VG),水素供給機器 (H),不活性ガス

供給機器 (I),水素排気機器 (HE) 及び真空排気機器 (VE) で構成し,真空排気機器には真空計 (VG)

を取り付ける。

e)

温度制御用及び温度測定用の機器  温度制御用及び温度測定用の機器は,恒温槽 (C) 及び温度計 (T

1

,

T

2

)  で構成する。温度計 (T

1

)  は,蓄圧容器 (B) の近傍に取り付け,温度計 (T

2

)  は,恒温槽 (C) の

槽内に取り付ける。

図 2−開放系測定装置の基本構成例


4

H 7203

:2007

   

4.2

機器の精度

使用する機器の精度は,次による。

−  恒温槽温度保持精度:±0.5 K

−  温度測定精度      :±0.5 K

−  圧力測定精度      :最高使用圧力で有効数字 4 けた以上あるものを使用する。

4.3

水素の純度

測定に使用する水素の純度は,JIS K 0512 に規定する 3 級又はそれと同等以上の品質とする。

注記  開放系測定法では,不純物ガスを含む水素を用いることによって,水素中の不純物ガスに起因

する水素吸蔵・放出サイクル特性を測定することもできる。不純物ガスを含む水素を使用する

場合,あらかじめ不純物ガスが混合されているボンベガスを用いるときには,そのガスの分析

値を採用し,また,ガス混合機によって混合ガスを供給するときには,分析器によって不純物

ガスの濃度を測定するのがよい。

4.4

装置の容積の算出

装置の容積の算出は,次による。

a)

閉鎖系測定法の測定系及び試料系容積の算出  容積の基準となる容積が既知の容器[容積 v  (cm

3

)]

1)

を,バルブ (V

3

)  を挟んで測定系に接続し,JIS H 7201 の 4.4.2 及び 4.4.3 と同様の手順によってそれ

ぞれ測定系[蓄圧容器 (B),配管,圧力計 (P) など]の容積  [v

d

 (cm

3

)]  及び空の状態の試料系容積  [v

v

(cm

3

)]  を算出する。

b)

開放系測定法の吸蔵測定系及び試料系容積の算出  容積の基準となる容積が既知の容器[容積 

(cm

3

)]

1)

を,バルブ (V

6

)  を挟んで吸蔵測定系に接続し,JIS H 7201 の 4.4.2 及び 4.4.3 と同様の手順

によって,それぞれ吸蔵測定系(蓄圧容器,配管,圧力計など)の容積  [v

d

 (cm

3

)]  及び空の状態の試

料系(配管,圧力計など)の容積  [v

v

 (cm

3

)]  を算出する。

1)

  容積の基準となる容器の容積 の測定法は,JIS H 7201 の 4.4.1 を参照するのがよい。

5

測定準備

5.1

圧力−組成等温線図の作成

5.2 a) 

で調整した試料を用い,JIS H 7201 によって,任意の測定対象温度における吸蔵線及び放出線を

測定し,圧力−組成等温線を作成する。測定対象温度は,少なくとも 3 水準とし,圧力−組成等温線図(以

下,

“PCT 線図”という。

)を作成する。PCT 線図の作図例を

図 に示す。

ただし,第三者(合金製造業者など)から PCT 線図の提供を受けた場合は,この測定を省略することが

できる。


5

H 7203

:2007

図 3PCT 線図の作図例

5.2

試料の準備

測定する水素吸蔵合金の試料の準備は,次による。

a)

試料の調整  粉砕可能な試料は,活性化処理を容易にし,かつ,表面からの劣化を最小限に抑えるた

め,試料容器への充てん直前に粉砕する。ただし,粉砕困難な試料については,数 mm 程度の大きさ

に機械的な方法で切断する。

b)

試料の量  測定に用いる試料の量  [X  (g)]  は,体積充てん率が試料容器の容積の 5∼20 %になるよう

な量で,かつ,5.1 で作成した PCT 線図から第 1 回目の測定系における水素移動量を予測して,閉鎖

系測定では第 1 回目の測定時に測定系に導入する圧力 P'

d0

2)

と吸蔵平衡圧力 P

a

との差が P

a

の 5 %以下

になるような量,また,開放系測定では,水素化初圧 p

d0

と水素化終圧 p

da

との差が p

da

の 5 %以下にな

るような量とし,その質量を有効数字 3 けた以上ではかる。


6

H 7203

:2007

   

2)

  P'

d0

は,6.1 a) 2)  で算出する。

c)

試料の試料容器への充てん  試料容器の加熱・冷却によって試料の水素吸蔵・放出反応を速やかに生

じさせるため,試料は試料容器内にできる限り一様に分布するようにする。このとき,水素吸蔵・放

出反応によって合金試料の体積が試料容器内で十分変化できるように,試料を詰め込みすぎないよう

に注意する。

5.3

測定装置の準備

測定装置の準備は,次による。

a)

漏れ試験  試料を充てんした試料容器を測定装置に接続し,放出測定系内又は吸蔵測定系内及び試料

系内を真空脱気した後,測定時の水素の最高使用圧力まで不活性ガスを導入し,装置に漏れがないこ

とを確認する。

b)

試料充てん時の試料系容積の算出  試料充てん時の試料系の容積  [v

r

 (cm

3

)]  を JIS H 7201 の 5.2 b) 1) 

によって測定する。ただし,水素吸蔵合金の試料の密度が既知の場合は,試料充てん時の試料系の容

積 v

r

を JIS H 7201 の 5.2 b) 2)  によって計算で求めてもよい。

5.4

試料の前処理

試料は,JIS H 7201 の 5.3 によって活性化処理及び安定化処理を行い,水素吸蔵・放出特性を安定化さ

せる。

5.5

測定条件の設定

測定条件の設定は,次による。

a)

閉鎖系測定法の場合  繰返し水素吸蔵・放出反応を生じさせるための反応温度可変器 (R) の放出温度

[T

H

 (K)]  及び最低温度  [T

L

 (K)],放出平衡圧力  [P

d

 (MPa)]  及び吸蔵平衡圧力  [P

a

 (MPa)]  を,5.1 で得

られた試料の PCT 線から,試料の最大水素吸蔵量の 80 %以上の水素を吸蔵・放出するように設定す

る。

b)

開放系測定法の場合  繰返し水素吸蔵・放出反応を生じさせるための試料温度  [T

r

 (K)],水素化終圧

[p

da

 (MPa)],並びに放出平衡圧力  [p

d

 (MPa)] を,5.1 で得られた試料の PCT 線図から,試料の最大水

素吸蔵量の 80 %以上の水素を吸蔵・放出するように設定する。

6

測定

6.1

閉鎖系測定法による測定

閉鎖系測定法による測定は,次の手順によって行う。

a)

初期状態の設定

1)

真空脱気  5.4 で前処理した試料を,放出温度  [T

H

(K)]  又はそれ以上の温度に加熱し,図 のバル

ブ (V

1

)  及びバルブ (V

2

)  を開き,バルブ (V

2

)  に接続した真空ポンプによって真空脱気し,試料か

ら水素を放出させた後,すべてのバルブを閉じる。

2)

測定系への水素の導入  測定用の水素を,バルブ (V

3

)  に接続する。バルブ (V

3

)  を開け,測定系内

に式 (1) によって算出される水素吸蔵開始時の圧力  [P'

d0

 (MPa)]  で水素を導入した後,バルブ (V

3

)

を閉じ,測定系内の圧力を安定させる。

なお,式 (1) の W (0)  は,5.1 で得られた PCT 線から設定した第 1 回目の測定時の温度及び圧力

から推定される水素移動量の値であり,各項にある圧縮率因子 z

1

z

3

は,それぞれ測定系及び試料

系の各温度及び各圧力での水素の圧縮率因子で,JIS H 7201 の式 (4) によって求める。また,算出

に当たっては,測定系の温度  [T

d

 (K)]  をあらかじめ測定しておく。


7

H 7203

:2007





+

+

+

=

L

r

H

L

3

r

a

d

2

d

a

d

d

1

d0

1

.

0

200

(0)

T

A

RX

W

T

z

P

T

z

P

T

z

P'

v

v

v

v

  (1)

ここに,  A

H

:  水素の原子量=1.007 94

R:  気体定数=8.314 472 (J・mol

1

・K

1

)

b)

第 回目の水素移動量の測定

1)

水素吸蔵  a) 2)  の操作終了後,バルブ (V

1

)  を開き,測定系の水素を試料系に供給し,試料容器 (D)

を,反応温度可変器 (R) によって 5.5 a)で設定した吸蔵温度  [T

L

 (K)]  まで冷却し,試料に水素を吸

蔵させる。水素吸蔵反応が進行し,温度計 (T

2

)  及び圧力計 (P) の指示値が安定して平衡状態にな

ったことを確認した後,圧力計 (P) で吸蔵平衡圧力  [P

a

(MPa)]  を測定する。このとき,水素吸蔵反

応に要した時間を水素吸蔵時間の設定値(以下,

“冷却時間”という。

)[t

a

 (s)]  とする。

なお,平衡状態の判定は,受渡当事者間の協定によって,取り決めてもよい。

2)

水素放出  試料容器 (D) を,反応温度可変器 (R) によって 5.5 a)  で設定した放出温度  [T

H

 (K)]  ま

で昇温し,試料から水素を放出させる。水素放出が進行し,温度計 (T

2

)  及び圧力計 (P) の指示値

が安定して平衡状態になったことを確認した後,圧力計 (P) で放出平衡圧力  [P

d

 (MPa)] を測定す

る。このとき,水素放出反応に要した時間を水素放出時間の設定値(以下,

“加熱時間”という。

)  [t

d

(s)]  とする。

c)

繰返し水素吸蔵・放出の測定  b)  の 1)  及び 2)  で定めた冷却時間 t

a

及び加熱時間 t

d

で,b)  の 1)  

び 2)  の操作を繰り返し,各測定サイクルごとの吸蔵平衡圧力  [P

a

 (MPa)] 及び放出平衡圧力  [P

d

(MPa)]  を測定する。ただし,バルブ (V

1

),バルブ (V

2

)  及びバルブ (V

3

)  の操作は,繰返し測定が終

了するまで行わない。また,繰返し吸蔵・放出回数が増え,平衡になるまでの時間が不十分と認めら

れる場合は,冷却時間 t

a

及び加熱時間 t

d

を延長してもよい。

6.2

開放系測定法による測定

開放系測定法による測定は,次の手順によって行う。

なお,測定中は測定系内に空気などが混入しないように十分な注意を払う。

a)

初期状態の設定

1)

真空脱気  5.4 で前処理した試料を,測定対象温度又はそれ以上の適切な温度に加熱し,図 のバル

ブ (V

2

)  及びバルブ (V

5

)  を開き,バルブ (V

5

)  から真空脱気して水素を放出させた後,測定対象温

度においてすべてのバルブを閉じる。

2)

放出圧力の設定  バルブ (V

1

)  及びバルブ (V

2

)  を開き,吸蔵測定系及び試料系に水素化初圧 p

d0

1.5 倍程度の圧力の水素を供給した後,バルブ (V

1

)  及び (V

2

)  を閉じる。試料系の圧力が安定した

後,バルブ (V

3

)  を開き,圧力計 (P

2

)  で試料系の水素圧力を計測しながら一次圧調整バルブ (VL)

を調整して 5.5 b)  で定めた放出平衡圧力  [p

d

 (MPa)]  の値になるように設定し,水素流量計 (Q) の

指示値がゼロを示したとき,バルブ (V

3

)  を閉じ,試料温度  [T

r

 (K)],放出平衡圧力  [p

d

(MPa)]  及び

吸蔵測定系の温度  [T

d

 (K)]  を測定する。

b)

第 回目の水素吸蔵・放出の測定

1)

吸蔵測定系の圧力の設定  a) 2)  の操作終了後,バルブ (V

1

)  を開き,吸蔵測定系の圧力を,式 (2) に

よって算出される水素吸蔵開始時の圧力(水素化初圧)p'

d0

になるように調節した後,バルブ (V

1

)  を

閉じる。圧力が安定した後,水素化初圧  [p

d0

(MPa)]  を測定する。また,算出に当たっては,吸蔵

測定系の温度  [T

d

 (K)]  をあらかじめ測定しておく。


8

H 7203

:2007

   





+

+

=

r

4

r

d

H

r

3

r

da

d

2

d

da

d

d

1

d0

200

)

(

T

z

p

A

RX

n

W

T

z

p

T

z

p

T

z

p'

v

v

v

v

  (2)

なお,式 (2) の各項の分母にある圧縮率因子 z

1

z

4

はそれぞれ吸蔵測定系及び試料系の各温度,

及び各圧力での水素の圧縮率因子で,JIS H 7201 の式 (4) によって求める。算出値は,有効数字 4

けたまで求め,JIS Z 8401 に規定する規則 A によって有効数字 3 けたに丸める。

注記  式 (2) の W (n)  は,5.1 で得られた PCT 線から設定した第 1 回目の測定時の温度及び圧

力から推定される水素移動量の値である。

2)

水素吸蔵  バルブ (V

2

)  を開き,試料に水素を吸蔵させる。6.1 b)  1)  で定めた冷却時間 t

a

経過後,

バルブ (V

2

)  を閉じる。吸蔵測定系及び試料系の圧力が安定した後,圧力計 (P

1

)  で水素化終圧 p

da

を測定する。

なお,バルブ (V

2

)  を閉じた後,試料系の圧力計 (P

2

)  の読みに低下が認められるときは,まだ水

素吸蔵反応が終了していないので,再びバルブ (V

2

)  を開き,冷却時間 t

a

を延長して試料に水素を

吸蔵させた後,バルブ (V

2

)  を閉じる。以後の繰返し測定では延長した冷却時間 t

a

を用いる。

3)

水素放出  バルブ (V

3

)  を開き,試料から水素を放出させる。6.1 b) 2)  で定めた加熱時間 t

d

経過後,

バルブ (V

3

)  を閉じる。試料系の圧力が安定した後,圧力計 (P

2

)  で,第 1 回目の放出平衡圧力 p

d

を測定する。

なお,加熱時間 t

d

経過後も圧力計 (P

2

)  の指示値の上昇が認められるときには,まだ水素放出が

終了していないため,再びバルブ (V

3

)  を開き,加熱時間 t

d

を延長して試料から水素を放出させた

後,バルブ (V

3

)  を閉じる。以後の繰返し測定では延長した加熱時間 t

d

を用いる。

c)

繰返し水素吸蔵・放出の測定  b)  の 1)∼3)  の操作を繰り返し,第 回目における,吸蔵測定系の水

素化初圧 p

d0

及び水素化終圧 p

da

並びに放出平衡圧力 p

d

を測定する。

7

水素吸蔵・放出サイクル特性図の作成

7.1

水素移動量の算出

水素移動量の算出は,次のいずれかによる。

a)

閉鎖系測定法の場合  6.1 によって得られた測定データを式 (3) に代入して,繰返し第 回目での対

合金質量分率で表した水素移動量 (n)  を算出する。

%

100

2

)

(

L

4

r

a

d

3

d

a

H

2

r

d

d

1

d

d

H

×





+





+

=

T

z

P

T

z

P

T

z

P

T

z

P

RX

A

n

W

v

v

v

v

  (3)

各項の分母にある圧縮率因子

z

1

z

4

は,それぞれ測定系及び試料系の各温度及び各圧力での水素の

圧縮率因子で,JIS H 7201 の式

 (4)

によって求める。

また,試料の組成式が既知の場合には,合金の平均原子量

A

M

を算出し,繰返し第

n

回目での水素

対金属の原子数比

  (H/M) (n)

を,式

 (4)

によって算出する。

(

)

H

M

%

100

)

(

)

(

A

A

n

W

n

M

H

×

=

  (4)

ここに,

A

M

試料の平均原子量

A

H

水素の原子量=

1.007 94

算出値は,有効数字

4

けたまで求め,JIS Z 8401 の規定する規則

A

によって有効数字

3

けたに丸め

る。


9

H 7203

:2007

b

)

開放系測定試験の場合  6.2 によって得られた測定データを式

 (5)

に代入して,繰返し第

n

回目での

対合金質量分率で表した水素移動量

(n)

を算出する。

%

100

2

)

(

r

4

r

da

d

3

d

da

r

2

r

d

d

1

d

d0

H

×





+





+

=

T

z

p

T

z

p

T

z

p

T

z

p

RX

A

n

W

v

v

v

v

  (5)

各項の分母にある圧縮率因子

z

1

z

4

は,それぞれ吸蔵測定系及び試料系の各温度,及び各圧力での

水素の圧縮率因子で,JIS H 7201 の式

 (4)

によって求める。

また,試料の組成式が既知の場合には,合金の平均原子量

A

M

を算出し,繰返し第

n

回目での水素

対金属の原子数比

  (H/M) (n)

を,式

 (4)

によって算出する。

7.2

水素移動量変化比の算出

水素移動量変化比

n

λ

を,式

 (6)

によって算出する。

)

1

(

)

(

W

n

W

λ

n

=

  (6)

7.3

水素移動量の変化による水素吸蔵・放出サイクル特性図の作図

水素移動量の変化による水素吸蔵・放出サイクル特性図は,繰返し水素吸蔵・放出回数を横軸にとり,

水素移動量を縦軸にとって,繰返し第 回目に対応する水素移動量 (n)  をプロットする。水素移動量の

変化による水素吸蔵・放出サイクル特性図の作図例を

図 に示す。

図 4−水素移動量の変化による水素吸蔵・放出サイクル特性図の作図例

7.4

水素移動量変化比による水素吸蔵・放出サイクル特性図の作図

水素移動量変化比による水素吸蔵・放出サイクル特性図は,繰返し水素吸蔵・放出回数を横軸にとり,

水素移動量変化比を縦軸にとって,繰返し第 回目に対応する水素移動量変化比

n

λ をプロットする。水素

移動量変化比による水素吸蔵・放出サイクル特性図の作図例を

図 に示す。


10

H 7203

:2007

   

図 5−水素移動量変化比による水素吸蔵・放出サイクル特性図の作図例

8

報告書

報告書には,次の事項を記載する。ただし,記載する事項は,受渡当事者間の協定によって,次の事項

の中から選択することができる。

a)

試料

1)

試料名又は組成式(試料名で組成が不明の場合は,成分などを含めた試料識別名とする。

2)

試料履歴(入手元又は製造元,製造方法,熱処理温度,熱処理時間など。

3)

試料の量

4)

試料の粒径又は形状,及びその測定法

5)

試料の量の決定及び測定条件の設定のために,作成した又は提供を受けた PCT 線図

b)

前処理の条件

1)

活性化処理の条件(真空脱気温度,到達真空度,脱気時間など。

2)

安定化処理の条件(水素吸蔵・放出の条件,回数など。

c)

水素の仕様  繰返し吸蔵・放出測定に使用した水素の組成又は純度

d)

測定方法及び測定条件  閉鎖系測定又は開放系測定の区別,及びその測定における測定条件。

例 1  閉鎖系測定における測定条件:第 1 回目の測定時に測定系に供給した水素圧力 P'

d0

,繰返し

測定における反応温度[反応温度可変器 (R) の放出温度 T

H

及び吸蔵温度 T

L

,水素吸蔵時間

の設定値 t

a

,水素放出時間の設定値 t

d

,繰返し回数 など。

例 2  開放系測定における測定条件:恒温槽設定温度,水素吸蔵開始直前の測定系の水素化初圧 p

d0

放出平衡圧力 p

d

,水素吸蔵時間の設定値 t

a

,水素放出時間の設定値 t

d

,繰返し回数 など。

e)

水素吸蔵・放出サイクル特性  水素移動量の変化による水素吸蔵・放出サイクル特性図及び水素移動

量変化比による水素吸蔵・放出サイクル特性図並びに次の値。

1)

第 1 回目の水素移動量


11

H 7203

:2007

2)

繰返し第 回目の水素移動量

f)

圧縮率因子  水素の圧縮率因子の値又はその出典

g)

測定年月日又は測定期間