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日本工業規格

JIS

 H

7153

-1991

アモルファス金属磁心の 
高周波磁心損失試験方法

Measuring method for high frequency core loss in

amorphous magnetic cores

1.

適用範囲  この規格は,アモルファス金属磁心を 400Hz∼1MHz の正弦波の交流電源で励磁した場合

の磁心損失を試験する方法について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS H 7004

  アモルファス金属用語

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 7004 による。

3.

試験条件

3.1

試験温度  試験温度は,原則として 23±5℃とする

3.2

試験用電源  試験に用いる電源は,広帯域の電力増幅器で次のような特性を備えたものとする。

(1)

試験時の電源の電圧及び周波数の安定度は,それぞれ±0.2%以内でなければならない。

(2)

電源電圧の波形率は 1.11±0.01 以内とすることが望ましい。

備考  電源電圧を正弦波に保つため,電源内部インピーダンスは励磁コイルのインピーダンスに比べ

できるだけ小さくすること。

なお,磁心の力率が低いときは大きい電源容量が必要になるので,電源の選定には十分に注

意する。

(3)

標準測定における周波数は,1kHz, 10kHz, 100kHz 及び 1MHz とする。

3.3

標準測定における最大磁束密度  標準測定における最大磁束密度は,50mT, 100mT, 200mT, 500mT 及

び 1000mT とする。ただし,飽和磁束密度の 80%以下とする。

4.

試料  試料は,次による。

(1)

磁心の形状はトロイダル形とし,巻線に際して応力を受けないようにケースに納める。

磁心寸法は,原則として

表 による。ただし,受渡当事者間の協定によって別に定める場合は,こ

の限りではない。


2

H 7153-1991

表 1  磁心寸法

単位 mm

番号

外径

内径

高さ

No.1 40

±5 25±5 10

No.2 28

±4 20±4 10

No.3 20

±2 15±2 10

No.4 20

±2 15±2 5

No.5 12

±2 8±2 5

(2)

巻線は磁路に沿って一様に巻くこと。ただし,1MHz 近傍で巻数が極めて少なくなった場合はこの限

りではない。

また,巻数は,原則として

表 に示す値とする。ただし,受渡当事者間の協定によって別に定める

場合は,この限りではない。

表 2  巻数の値

周波数

磁心寸法

最大磁束密度

番号 50mT

100mT

200mT

500mT

1

000mT

  1kHz

No.1

− 30 30 30

 No.2

− 40 40 40

10kHz

No.1 10 10 10 10

 No.2 20 20 20 20

100kHz

No.2

 5

 5

 5

 5

No.3

 5

 5

 5

 5

 No.4 10 10 10 10

 No.5 10 10 10 10

  1MHz

No.3

 2

 2

 2

No.4

 2

 2

 2

No.5

 2

 2

 2

(3)

試料は,測定前に原則として消磁するものとし,消磁周波数は,1kHz とする。ただし,受渡当事者間

の協定によって別に定める場合は,この限りではない。

5.

寸法及び質量の測定  磁心の実効断面積を求めるため,あらかじめ磁心の内径,外径及び質量を測定

する。寸法及び質量の測定器の精度は,それぞれ±1%及び±0.5%以内とする。平均直径 D

m

は,次の式(1)

によって求める。

2

i

o

m

D

D

D

+

=

 (1)

ここで,  D

m

:  トロイダル磁心の平均直径

D

o

:  トロイダル磁心の外径

D

i

:  トロイダル磁心の内径

6.

磁心損失測定装置  磁心損失測定装置は,次の 2 種類の測定法に対し,それぞれ図 又は図 のよう

に結線する。

(1)

高周波電力計を用いた高周波磁心損失測定法  400Hz∼100kHz の周波数範囲で用い,高周波電力計を

使って測定する。

(2)

波形記憶装置を用いた高周波磁心損失測定法  400Hz∼1MHz の周波数範囲で用い,波形記憶装置とコ

ンピュータとを組み合わせて測定する。


3

H 7153-1991

備考1.  図2の同軸ケーブルの長さは,原則として0.5m 以下とする。

2.

試料の 2 次コイル及び電流検出抵抗から同軸ケーブルまでの配線は,極力短くする。

図 1  高周波電力計を用いた高周波磁心損失測定回路


4

H 7153-1991

図 2  波形記憶装置を用いた高周波磁心損失測定回路

7.

測定方法

7.1

測定原理  励磁電源から 1 次コイルに流入する励磁電流 i

0

(瞬時値)と 2 次コイルに発生する誘起

電圧 e

2

(瞬時値)によって,単位体積当たりの磁心損失 P

c

を次の式(2)で,単位質量当たりの磁心損失 P

c

を次の式(2')で求める。

ò

=

0

0

0

2

0

2

1

0

1

1

T

c

dt

i

e

T

N

N

V

P

 (2)

d

m

V

=

0

 (3)

ò

=

0

0

0

2

0

2

1

1

1

T

c

dt

i

e

T

N

N

m

P

(2')

ここに,

P

c

:  単位体積当たりの磁心損失 (W/m

3

)

P

c

'

:  単位質量当たりの磁心損失 (W/kg)

V

0

:  磁心体積 (m

3

)

m

:  磁心の質量(kg)

d

:  磁心の密度 (kg/m

3

)

T

0

:  電源の周期 (s)

N

1

:  1 次コイルの巻数

N

2

:  2 次コイルの巻数

e

2

:  2 次誘起電圧の瞬時値 (V)

i

0

:  励磁電流の瞬時値 (A)


5

H 7153-1991

7.2

高周波電力計を用いた高周波磁心損失測定法  試料を励磁し,平均値指示形電圧計の読み

E

B

があら

かじめ設定した最大磁束密度

B

m

に基づく計算値になるように,電源電圧を調整する。周波数は所定の値

に保つ。平均値指示形電圧計の読み

E

B

は,次の式(4)によって求める。

m

s

B

B

A

fN

E

2

4

=

 (4)

m

s

D

d

m

A

π

=

 (5)

ここで,

E

B

:  平均値指示形電圧計の読み (V)

f

:  測定周波数 (Hz)

N

2

:  2 次コイルの巻数

A

s

:  磁心の実効断面積 (m

2

)

B

m

:  最大磁束密度 (T)

m

:  磁心の質量 (kg)

d

:  磁心の密度 (kg/m

3

)

D

m

:  磁心の平均直径 (m)

次に,励磁コイルに直列に挿入された電流検出抵抗

R

s

の端子電圧

e

s

(

1

)

と 2 次コイルの誘起電圧

e

2

を高周

波電力計のそれぞれの測定端子に入力する。このとき,電力計の指示値

Q

は磁心損失に比例し,次の式に

よって単位体積当たりの磁心損失

P

c

又は単位質量当たりの磁心損失

P

c

'

を求める。

Q

N

R

V

N

P

s

c

2

0

1

=

 (6)

Q

m

N

R

N

P

s

c

2

1

'

=

(6')

ここに,

P

c

単位体積当たりの磁心損失 (W/m

3

)

P

c

'

単位質量当たりの磁心損失 (W/kg)

V

0

磁心体積 (m

3

)

R

s

電流検出抵抗値  (

Ω)

m

磁心の質量 (kg)

N

1

1

次コイルの巻数

N

2

2

次コイルの巻数

Q

電力計の指示値(二つの入力電圧の瞬時値の積の平均値を示
す。

備考  電流検出抵抗の精度は±0.1%とする。

(

1

)

電流検出抵抗

R

s

の端子電圧

e

s

は,次の式で求める。

e

s

e

s

×

i

0

 (7)

7.3

波形記憶装置を用いた高周波磁心損失測定法  試料を励磁し所定の最大磁束密度

B

m

に設定した後,

2

次誘起電圧

e

2

と電流検出抵抗の電圧降下

e

s

とを検出し,A/D 変換して波形記憶装置に取り込む。これら

の信号をコンピュータに転送し,式(2)に従って磁心損失を計算する。ここで,磁束密度の波高値

B

m

を,

次によって求める。

(1)

磁束密度の時間変化を,次の式に従って求める。

( )

ò

=

t

s

dt

e

A

N

t

B

0

2

2

1

 (8)

ここに,

B

 (

t

)

磁束密度の瞬時値 (T)

N

2

2

次コイルの巻数

As

磁心の実効断面積 (m

2

)


6

H 7153-1991

e

2

2

次誘起電圧の瞬時値 (V)

(2)

  1

周期内における

B

 (

t

)

の最大値と最小値からそれらの差

B

を求め,次の式によって最大磁束密度

B

m

を算出する。

2

B

B

m

=

 (9)

ここに,

B

m

最大磁束密度 (T)

B

磁束密度の最大値と最小値の差 (T)

8.

磁心損失測定装置の校正  磁心損失測定装置の校正は,次による。

(1)

発振器の出力電圧を測定装置の二つの入力端子に接続した場合,測定装置の指示が発振器電圧の二乗

平均値に対し,

表 の誤差以内でなければならない。ただし,発振器の電圧測定用電圧計の精度は,

100kHz

未満では±0.5%以内,100kHz 以上では±2%以内とする。

表 3  磁心損失測定装置の許容誤差

周波数

許容誤差

400Hz

以上  100kHz 未満

±2%

100kHz

以上

±5%

(2)

発振器出力電圧及びそれと同じ振幅で 90°(誤差±0.3°以下)位相の遅れた電圧(振幅は(1)の場合と同

じ)を測定装置のそれぞれ入力端子に接続した場合,測定装置の指示が(1)の場合の 1%以下でなけれ

ばならない。

(3)

以上の校正を周波数 1kHz, 10kHz, 100kHz 及び 1MHz(1MHz は波形記憶装置を用いた場合)において

行う。

備考  (2)の校正を行うには,位相誤差の保証された二相発振器を用いるとよい。


7

H 7153-1991

ニューマテリアルセンターアモルファス金属規格委員会  構成表

氏名

所属

(主査)

新  宮  秀  夫

京都大学工学部

(幹事)

若  宮  正  行

松下電器産業株式会社映像音響研究センター

(委員)

大  中  逸  雄

大阪大学工学部

榊          陽

千葉大学工学部

中  田  高  義

岡山大学工学部

池  田      要

工業技術院標準部

中  島  貞  夫

工業技術院大阪工業技術試験所

阿  蘇  興  一

ソニー株式会社中央研究所

洗      暢  茂

シャープ株式会社電化システム事業本部

石  堂  偉  生

関西変成器株式会社

伊  丹      哲

住友重機械工業株式会社機械事業本部

猪  俣  浩一郎

株式会社東芝総合研究所

馬屋原      暉

日本板硝子株式会社中央研究所

大  村  俊  次

三菱電機株式会社材料研究所

鹿  野  良  孝

株式会社島津製作所産業機械事業部

佐  藤      駿

新日本製鐵株式会社第一技術研究所

十代田  哲  夫

株式会社神戸製鋼所技術開発本部

富  田  俊  郎

住友金属工業株式会社研究開発本部

萩  原  道  明

ユニチカ株式会社中央研究所

花  井  義  泰

愛知製鋼株式会社研究開発部

花  岡  克  巳

株式会社ダイヘン電力機器事業部

日  高  謙  介

福田金属箔粉工業株式会社研究所金属粉研究部

広  重  嘉  捷

三井石油化学工業株式会社機能材研究所

藤  村      亮

日本非晶質金属株式会社営業部

森  下      勉

マツダ株式会社技術研究所

三  井      正 TDK 株式会社フェライト事業部

三  井  朋  晋

内橋エステック株式会社技術部

森  戸  延  行

川崎製鉄株式会社技術研究本部

安  田  伊佐雄

三洋電機株式会社中央研究所

山  内  清  隆

日立金属株式会社磁性材料研究所

山  名  幹  也

山陽特殊製鋼株式会社技術研究所

山  本  孝  明

東英工業株式会社

吉  田  友  芳

関西電力株式会社総合技術研究所

(事務局)

牧  浦  宏  文

財団法人大阪科学技術センター付属ニューマテリアル

センター

(○印は,規格作成ワーキンググループ委員を兼ねる。)