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日本工業規格

JIS

 H

7006

-1991

金属基複合材料用語

Glossery of terms used in metal matrix composites

1.

適用範囲  この規格は,主として繊維を複合した金属基複合材料に関する主な用語及びその定義につ

いて規定する。

2.

分類  用語の分類は,次による。

(1)

複合材料

(2)

素材

(3)

成形法

(4)

物性・評価

3.

用語及び定義  用語及び定義は,次による。

なお,参考のために対応英語を示す。

備考1.  用語の中で  (  )  を付けてあるものについては,同義又は略号を示す。

2.

用語の定義の中に太文字で示した用語は,この規格に収録されているものである。

(1)

複合材料

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1001 

金属基複合材料, 
(金属系複合材料), 
 (MMC)

金属を

マトリックス(2001 参照)とする複合材料。 metal

matrix

composite

1002 

繊維強化金属, 
 (FRM)

長繊維(2003 参照)や短繊維(2004 参照)で強化した金属基
複合材料(1001 参照)。

fiber reinforced metal

1003 

一方向繊維強化金属

一方向に配列されている繊維で強化した

金属基複合材料(1001

参照)

unidirectionally fiber

reinforced metal

1004 

ウイスカ強化金属

セラミックスなどの高強度・高弾性率の

ウイスカ(2013 参照)

によって強化した

金属基複合材料(1001 参照)。

whisker reinforced metal

1005 

粒子強化金属, 
(粒子分散強化金属)

粒子状の

強化材(2002 参照)によって,力学的特性などを向

上させた

金属基複合材料(1001 参照)。金属材料又はセラミッ

クス材料として取り上げられている析出強化合金,サーメッ

ト,酸化物粒子分散強化合金  (ODS)  などは含まない。

particle reinforced metal

(2)

素材

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2001 

マトリックス, 
(母材), 
(基材)

複合材料における素地材料。 matrix


2

H 7006-1991

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2002 

強化材

マトリックス(2001 参照)の強化を目的として複合材料に用
いる材料。

参考  連続又は不連続の繊維状,粒子状,りん片状などの

形態がある。

reinforcement

2003 

長繊維, 
(連続繊維)

連続した繊維。

参考  強化材として使用した場合,複合材料の中で連続し

た状態で存在する。

continuous fiber,

filament

2004 

短繊維

繊維長が短いか又は短く切断した繊維。 
ウイスカ(2013 参照)を含む。

参考  強化材として使用した場合,複合材料の中で不連続

な状態で存在する。

short fiber,

discontinuous fiber,

chopped fiber

2005  CVD

系繊維

タングステン,炭素などをしん(芯)線としてほう素(ボロン)

炭化けい素などを化学蒸着 (CVD) 法によって析出させた繊

維。

chemical vapor deposited

fiber

2006 

前駆体系繊維

繊維状の高分子材料,金属アルコキシドなどから焼成した繊
維。

参考  炭素繊維,炭化けい素繊維,アルミナ繊維などがあ

る。

fiber form precursor

2007 

金属繊維

金属を繊維状にしたもの。

参考  タングステン,モリブデンなどの高融点金属,ステ

ンレス鋼やピアノ線などの高強度金属,ベリリウム

などの高比弾性率金属の繊維などがある。

metal fiber

2008 

無機繊維, 
(セラミック繊維)

無機質を主成分とする繊維。 
金属繊維(2007 参照)は含まない。

inorganic fiber,

ceramic fiber

2009 

ボロン繊維

タングステン,炭素などをしん線として,ほう素(ボロン)を
化学蒸着 (CVD) 法によって析出させた繊維。

参考  通常,直径は 0.1∼0.2mm である。表面改質のため

に炭化けい素,炭化ほう素などの被覆を行ったもの
もある。

boron fiber

2010 

炭素繊維, 
(カーボン繊維)

ポリアクリロニトリル,レーヨン,ピッチなどの有機繊維を加
熱分解して得られた,実質的に炭素元素だけからなる繊維状の
炭素材料。

carbon fiber,

graphite fiber

2011 

炭化けい素繊維

炭化けい素を主成分とする繊維。

参考  前駆体系繊維を焼成したものと,しん線上に化学蒸

着 (CVD) 法によって炭化けい素を析出させたもの
との二種類がある。

silicon carbide fiber

2012 

アルミナ繊維

アルミナを主成分とする繊維。

参考  製造方法の相異によって,種々の結晶構造をとり得

る。単結晶質のものと,多結晶質のものとがあり,
それぞれに短繊維と長繊維とがある。

alumina fiber

2013 

ウイスカ

転位などの内部欠陥の非常に少ない針状の金属や無機物の結
晶。

参考  通常,直径数

µm 以下,長さ数十∼数百µm 程度。炭

化けい素ウイスカ,

窒化けい素ウイスカなどがある。

whisker

2014 

プリフォーム

金属基複合材料(1001 参照)をつくるための仮成形体。

参考  あらかじめ強化材だけを仮成形したものや,強化材

とマトリックスとを複合化してワイヤ状やシート状
にしたものなどがある。

preform


3

H 7006-1991

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2015 

ワイヤプリフォーム

強化繊維の束に金属を浸透させたワイヤ状の

プリフォーム

2014 参照)

composite wire,

precursor wire,

wire preform

2016 

グリーンテープ

マトリックス金属の溶射や有機系接着剤で強化繊維を固定し
たテープ状又はシート状プリフォーム。

参考  マトリックス金属はく(箔)上に形成したものもあ

る。

green tape

2017 

モノレーヤテープ

繊維が一層に並んだテープ状プリフォーム。 mono-layer

tape

(3)

成形法

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3001 

溶融金属浸透法, 
(溶浸法)

溶融金属を繊維間に浸透させて,複合材料を製造する方法。  liquid metal infiltration

3002 

高圧鋳造法, 
(溶湯鍛造法)

金型内に溶湯を注入し,高い圧力を付加しながら凝固させる鋳
造法。

参考  金属基複合材料を製造する場合には金型内に強化材

をあらかじめ装入しておく。

squeeze casting

3003 

コンポキャスティング 固液共存状態の金属をかくはんしつつ,粒子,ウイスカ(2013

参照)などを投入して均一に混合,分散させ,複合化する方法。

compocasting

3004 

拡散接合法

固相域で温度,圧力を高め,原子の拡散によって材料を結合す
る方法。

diffusion bonding

3005 

ホットプレス法

真空又は不活性ガス雰囲気中で,マトリックス金属の融点又は
固相線以下の温度に加熱,一軸加圧し,複合化する方法。

参考  固液共存領域で複合化する場合もある。

hot pressing

3006 

熱間静水圧プレス法,
 (HIP)

ち密な

金属基複合材料(1001 参照)を得るために,アルゴン

ガスなどの気体を圧力媒体として,高温,高圧力下であらゆる

方向から均等に加圧する方法。

hot isostatic pressing

3007 

ロール成形法

ロール圧下力によって,マトリックス金属の塑性流動及び拡散
接合を利用して複合化する方法。

roll diffusion bonding

3008 

シートインサート法

主体となるマトリックス金属より低い溶融温度の金属シート
をシート状プリフォーム間に挿入,積層し,成形する方法。

sheet insert bonding

3009 

粉末や(冶)金法

マトリックス金属の粉末と

強化材(2002 参照)とを混合,加

圧,焼結して一体化する方法。

powder metallurgy

3010 

プラズマ溶射法

配列した強化繊維に,プラズマトーチでマトリックス金属を溶
射したり,基板上に

短繊維(2004 参照),ウイスカ(2013 参照),

粒子とともにマトリックス金属を溶射する方法。

plasma spraying

3011 

イオンプレーティング 蒸発させた原子をイオン化し,さらに電界によって加速して繊

維に付着させる方法。

参考  繊維にマトリックス金属を被覆したり,繊維表面を

改質するために用いる。

ion plating

3012 

表面改質

強化材(2002 参照)とマトリックス(2001 参照)とのぬれ性
4008 参照)の向上や,化学反応の抑制のために,

強化材の

表面に処理を施すこと。

参考  ぬれ性の向上のためには金属を被覆し,反応の抑制

のためにはセラミックスを被覆することが多い。

surface modification


4

H 7006-1991

(4)

物性・評価

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

4001 

複合則

複合材料の弾性率,強度,その他の物性値を,主として

繊維体

積含有率(4002 参照)の関数として表す関係式。

参考  通常,下記のような線形関係式を指す。

X

V

X

+ (1−V

X

ただし,X

c

,  X

f

及び X

m

はそれぞれ複合材料,繊維

及びマトリックスの物性値,V

は繊維体積含有率で

ある。

rule of mixtures

4002 

繊維体積含有率

複合材料の見かけの体積に対する繊維の体積割合。

volume fraction of fiber

4003 

空孔率, 
(気孔率), 
(ボイド率)

複合材料の見かけの体積に対する空孔の体積割合。 void

content

4004 

繊維配向角

基準方向と繊維とのなす角度。

fiber orientation angle

4005 

アスペクト比

強化繊維の長さと,長さ方向に垂直な断面の直径との比。 aspect

ratio

4006 

界面

強化材(2002 参照)とマトリックス(2001 参照)との境界面。 interface

4007 

適合性

強化材(2002 参照)とマトリックス(2001 参照)との相性。

参考  その良否は界面における反応性,ぬれ性,接着性な

どに起因し,複合材料の着目される特性から判断さ
れる。

compatibility

4008 

ぬれ性

液体が固体表面の上に広がる性質。

参考  ぬれの程度は,通常接触角の測定によって示され,

固体/気体,液体/気体,液体/固体間の界面張力

によって定まる。

wettability

4009 

プルアウト

破断時に繊維がマトリックス金属から引き抜かれること。 pull-out


5

H 7006-1991

金属基複合材料用語 JIS 原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

若  島  健  司

東京工業大学精密工学研究所

(幹事)

北  村      厚

東レ株式会社

平  野  一  美

工業技術院機械技術研究所

塩  田  一  路

科学技術庁金属材料技術研究所

澤  田  吉  裕

工業技術院大阪工業技術試験所

小  松  幹  也

日産自動車株式会社

宇都宮      真

三菱電機株式会社

坂  本      昭

三菱重工業株式会社

伊  藤  好  二

川崎重工業株式会社

榊  原  俊  夫

富士重工業株式会社

西  出  重  人

石川島播磨重工業株式会社

伊  丹      哲

住友重機械工業株式会社

溝  口  孝  遠

株式会社神戸製鋼所

外  山  和  男

住友金属工業株式会社

志  賀  千  晃

川崎製鉄株式会社

今  井  義  一

日本カーボン株式会社

西          正

宇部興産株式会社

小  屋  美  廣

三菱化成株式会社

溝  渕      直

三菱アルミニウム株式会社

東      和  臣

大阪チタニウム製造株式会社

安  部  康  明

住友化学工業株式会社

山  田  銑  一

株式会社豊田中央研究所

木  村  章  三

株式会社島津製作所

津  金  秀  幸

工業技術院標準部

(事務局)

後  藤  康  夫

財団法人大阪科学技術センター付属 
ニューマテリアルセンター

脇  坂  啓  司

財団法人大阪科学技術センター付属 
ニューマテリアルセンター

なお,○印は,用語規格作成 WG 委員を示す。