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日本工業規格

JIS

 H

7004

-1990

アモルファス金属用語

Glossary of terms used in amorphous metals

1.

適用範囲  この規格は,鉱工業で用いるアモルファス金属に関する用語及び定義について規定する。

2.

分類  用語は,次のとおり分類する。

(1)

材料

(2)

製造方法

(3)

現象,構造及び物性

(4)

試験評価方法

3.

用語及び定義  用語及び定義は,次のとおりとする。

なお,参考のために対応英語を示す。

備考1.  二つ以上の用語を並べてある場合は,その順位に従って使用する。

2.

用語の中及び定義の中で(  )を付けてある場合は,略してもよい。

(1)

材料

番号

用語

定義

対応英語(参考)

1001 

アモルファス金属

結晶化していない金属,すなわち,原子が数原子以上

の広範囲にわたって規則的な配列をしていない金属。
“非晶質金属”ともいう。

amorphous metals

1002 

アモルファス金属薄帯  幅に比較して十分長く,厚さが数百

µm 以下のアモルフ

ァス金属。

amorphous metal ribbon

1003 

アモルファス金属薄膜  気相急冷法などによって基板上に形成させたアモルフ

ァス金属の膜。

amorphous metal film

1004 

アモルファス金属繊維  細くて断面寸法に比べ十分長く,断面寸法が数百

µm 以

下のアモルファス金属。

amorphous metal fiber

1005 

アモルファス金属粉末  最大寸法 1 000

µm 以下のアモルファス金属粒子の集合

体。

amorphous metal powder

(2)

製造方法

番号

用語

定義

対応英語(参考)

2001 

急速凝固法

固相の成長速度が,通常の凝固よりかなり速い凝固法。

参考  液体急冷法及び静的過冷法がある。

rapid solidification

processing

2002 

静的過冷法

液体をゆっくり冷却し,凝固温度以下の過冷却状態に
して凝固させる方法。

static undercooling method

2003 

液体急冷法, 
急冷凝固法

アモルファス金属の代表的な製造方法で,液体の状態

から急冷凝固させる方法。

参考  単ロール法,双ロール法などがある。

liquid quenching method


2

H 7004-1990

番号

用語

定義

対応英語(参考)

2004 

単ロール法

回転する 1 本のロール表面に,ノズルを介して溶融金
属を供給,凝固させ薄帯を得る方法。

single-roll process,

single-roll technique

2005 

双ロール法

回転する二本のロール間に,ノズルを介して溶融金属
を供給,凝固させ薄帯を得る方法。

twin-roll process,

twin-roll technique

2006 

回転液中紡糸法

回転するドラム内壁に遠心力で冷却液層を形成させ,

この中にノズルを介し溶融金属を噴射し,凝固させて
円形断面の金属繊維を得る方法。 
冷却液として水を使用した場合,回転水中紡糸法とい

う。

in-rotating liquid spinning

process

2007 

アトマイゼーション
法, 
噴霧法

溶融金属に高速流体の衝撃力,電磁力などの物理的力

を作用させ,多数の液滴に分割し,凝固させて粉末を
得る方法。

atomization process

2008 

固相反応法

相異なる組成の固相と固相を接触させ原子を拡散,反

応させることによってアモルファス金属を得る方法。

参考  メカニカルアロイング法などがある。

solid reaction method

2009 

メカニカルアロイング

数種の原料粉末を高エネルギーミルで機械的にかくは
ん,混合,粉砕し,固相反応によって,合金状態を実
現する方法。

mechanical alloying process

2010 

溶液反応法

溶液から固相を析出させアモルファス金属を得る方
法。

参考  めっき法などがある。

solution reaction method

2011 

気相急冷法

気相状態から急冷してアモルファス金属を得る方法。

参考  基板上に蒸着やスパッタリングなどで原子

をたい積,急冷させる方法がある。

vapor quenching method

2012 

(アモルファス形成) 
臨界冷却速度

液体急冷法でアモルファス相を形成するのに必要な最
小冷却速度。

この冷却速度は液相線からガラス転移温度までの平均
冷却速度をいう。

critical cooling rate

(for amorphization)

(3)

現象,構造及び物性

番号

用語

定義

対応英語(参考)

3001 

ガラス転移

アモルファス状態の物質を加熱した場合又は過冷却液

体をさらに冷却したときに,比熱や熱膨張率などが急
変し,それぞれ,過冷却液体又はアモルファス固体に
変化する現象。

glass transition

3002 

ガラス転移温度

ガラス転移が生じる温度。

glass transition temperature

3003 

構造緩和

アモルファス金属が熱力学的に,より安定なアモルフ

ァス状態に移行すること。

structure relaxation

3004 

結晶化

アモルファス状態の構成金属原子が数原子以上の広範

囲にわたって規則的に配列すること。

crystallization

3005 

過冷却液体

液体が冷却され熱力学的に平衡な融点に達しても凝固
が開始されず,液相を保っている状態。

undercooled liquid


3

H 7004-1990

(4)

試験評価方法

番号

用語

定義

対応英語(参考)

4001 

示差走査熱量測定 
(DSC)

試料及び基準物質を同一の熱損失条件下におき,調

整された速度で加熱又は冷却しながら,試料及び基
準物質の温度を同一に保つように,両者に加えた単
位時間当たりのエネルギー入力の差を温度の関数と

して測定する方法。 
  DSC と略称する。 
試料及び基準物質に同一のエネルギーを与え,両者

の温度差を温度の関数として求めるものもある。 
前者を入力補償示差走査熱量測定(入力補償 DSC)

後者を熱流束示差走査熱量測定(熱流束 DSC)とい

う。

differential scanning

calorimetry

4002 

示差熱分析   
(DTA)

試料及び基準物質を同一の熱的条件下におき,調整

された速度で,両者の温度を変化させながら,両者
間の温度差を試料の温度の関数として測定する方
法。

  DTA と略称する。

differential thermal analysis

4003 

基準物質

示差走査熱量測定又は示差熱分析において,比較に
用いる物質。

測定温度範囲で相変態がなく,安定な物質で,比熱
及び熱伝導率が試料に近いものを用いる。

reference material

4004 

標準物質

装置の校正又は異なった装置若しくは測定方法の比
較に用いる物質。

参考  示差走査熱量測定及び示差熱分析用の温

度基準試料,融点標準試料などがある。

certified reference material

4005 

示差走査熱量曲線,
DSC

曲線

(1)

示差走査熱量測定で得られる曲線で,入力補償示
差走査熱量測定では試料と基準物質の温度を同

一に保つように,両者に加えた単位時間当たりの
エネルギー入力の差を,温度又は時間に対して記
録した曲線。

(2)

熱流束示差走査熱量測定では,試料と基準物質の
温度差を,温度又は時間に対して記録した曲線。

DSC curve

4006 

示差熱分析曲線,
DTA

曲線

示差熱分析で得られる曲線で,試料と基準物質間の
温度差を,温度又は時間に対して記録した曲線。

DTA curve

4007 

ベースライン

試料に相変態を生じない温度領域での DSC 又は DTA

曲線。

base line

4008 

発熱ピーク DSC 曲線又は DTA 曲線において,曲線がそれまでの

ベースラインから,発熱を意味する方向に離れ,再
びもとのベースラインの延長上に戻るまでの部分。

exothermic peak

4009 

H

コイル法

均一な磁界及び磁化の範囲に置かれた B コイル及び

H

コイルによって,

試料に加えられた磁束密度と磁界

の強さを同時に検出する方法。 
アモルファス金属の鉄損特性や交流磁化特性の測定

に用いられる。

H coil method

4010 

磁化力

試料を磁化しようとする磁界の強さ。

量記号は,で表す。 
単位は,アンペア毎メートル (A/m) で表す。

magnetizing force

4011 

磁束密度

一様に磁化された試料の単位断面積当たりの磁束。

量記号は,で表す。 
単位は,テスラ (T) で表す。

magnetic flux density


4

H 7004-1990

番号

用語

定義

対応英語(参考)

4012 

磁化の強さ

一様に磁化された試料の単位断面積当たりの磁化の
強さ。 
量記号は,で表す。

単位は,テスラ (T) で表す。

magnetization

4013 

鉄損

試料を交流磁化力によって磁化したとき,試料中で

消費される電力。 
量記号は で表す。 
通常,磁束正弦波で磁化した場合の試料 1kg 当たり

の鉄損をいう。 
特に周波数 f (Hz),最大磁束密度 B

m

 (T)

で磁化した

場合の量記号を W

10Bm/f

で表す。

例えば,最大磁束密度 1.4T,周波数 50Hz に対する

1kg

当たりの鉄損を W

14/50

という。

core loss

4014 

磁化特性

磁化曲線上において,ある磁化力 H (A/m) に対応す

る磁束密度を B

00lH

で表した特性。

例えば,磁化力が 1 000A/m における磁束密度を B

10

という。

magnetizing properties

4015 

(高周波)磁心損失

磁心に時間的に変化する磁界を印加したとき,磁心
に吸収されて熱になる電力。

量記号は,Pc で表す。 
単位は,W/m

3

又は W/kg で表す。

(high frequency)

core loss


5

H 7004-1990

アモルファス金属規格委員会  構成表

氏名

所属

(主査)

新  宮  秀  夫

京都大学工学部

(幹事)

若  宮  正  行

松下電器産業株式会社映像音響研究センター

大  中  逸  雄

大阪大学工学部

中  田  高  義

岡山大学工学部

榊          陽

千葉大学工学部

中  島  貞  夫

工業技術院大阪工業技術試験所

山  内  清  隆

日立金属株式会社磁性材料研究所

佐  藤      驤

新日本製鐵株式会社第一技術研究所

猪  俣  浩一郎

株式会社東芝総合研究所

森  戸  延  行

川崎製鉄株式会社技術研究本部

阿  蘇  興  一

ソニー株式会社中央研究所

萩  原  道  明

ユニチカ株式会社中央研究所

富  田  俊  郎

住友金属工業株式会社研究開発本部

安  田  伊佐雄

三洋電機株式会社中央研究所

十代田  哲  夫

株式会社神戸製鋼所技術開発本部

大  村  俊  次

三菱電機株式会社材料研究所

吉  田  友  芳

関西電力株式会社総合技術研究所

洗      暢  茂

シャープ株式会社電化システム事業本部

花  岡  克  己

株式会社ダイヘン電力機器事業部

森  下      強

マツダ株式会社技術研究所

馬屋原      暉

日本板硝子株式会社中央研究所

日  高  謙  介

福田金属箔粉工業株式会社研究所

山  名  幹  也

山陽特殊製鋼株式会社技術研究所

花  井  義  泰

愛知製鋼株式会社研究開発部

伊  丹      哲

住友重械械工業株式会社新居浜研究所

三  井  朋  晋

内橋エステック株式会社技術部

鹿  野  良  孝

株式会社島津製作所産業機械事業部産業機械工場

藤  村      亮

日本非晶質金属株式会社営業部

山  本  孝  明

東英工業株式会社

石  堂  偉  生

関西変成器工業株式会社

池  田      要

工業技術院標準部

(関係者)

近  藤      弘

工業技術院標準部材料規格課

斉  藤  和  則

工業技術院標準部材料規格課

(事務局)

牧  浦  宏  文

財団法人大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンター

○印は用語規格作成ワーキンググループ委員を兼ねる。