サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

工業用純チタンについては,1964年に板,棒など製品別にJISが制定され,電力・化学工業等関連する

工業の発展に大きく貢献してきた。近年は工業用だけでなく,民生用としても幅広く,身近なはん用材料

として用いられてきている。 

このような状況を背景として,チタン鋳物については1975年TIS 7505(社団法人日本チタン協会規格)

として制定された。 

今回は,チタン鋳物のJIS化の要望によって,TIS 7427,TIS 7428,TIS 7505を基本として,工業用純

チタン及びチタン合金についてJIS規格を作成し,制定した。 

background image

H 5801 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 5801 : 2000 

チタン及びチタン合金鋳物 

Titanium and titanium alloy castings 

1. 適用範囲 この規格は,チタン及びチタン合金鋳物(以下,鋳物という。)について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS H 0321 非鉄金属材料の検査通則 

JIS H 1612 チタン及びチタン合金中の窒素定量方法 

JIS H 1614 チタン及びチタン合金中の鉄定量方法 

JIS H 1617 チタン及びチタン合金中の炭素定量方法 

JIS H 1619 チタン及びチタン合金中の水素定量方法 

JIS H 1620 チタン及びチタン合金中の酸素定量方法 

JIS H 1621 チタン合金中のパラジウム定量方法 

JIS H 1622 チタン合金−アルミニウム定量方法 

JIS H 1624 チタン合金中のバナジウム定量方法 

JIS H 1630 チタンの発光分光分析方法 

JIS Z 2201 金属材料引張試験片 

JIS Z 2241 金属材料引張試験方法 

JIS Z 2243 ブリネル硬さ試験−試験方法 

JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法 

3. 種類及び記号 種類及び記号は,表1による。 

表1 種類及び記号 

種類 

記号 

特色及び用途例(参考) 

2種 

TC340 

耐食性,特に耐海水性がよい。化学装置,石油精製装置,パル

プ製紙工業装置など。 

3種 

TC480 

 12種 

TC340Pd 耐食性,特に耐すきま腐食性がよい。 

化学装置,石油精製装置,パルプ製紙工業装置など。 

 13種 

TC480Pd 

 60種 

TAC6400 高強度で耐食性がよい。化学工業,機械工業,輸送機器などの

構造部材。例えば,高圧反応槽装置,高圧輸送装置,レジャー

用品など。 

background image

H 5801 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 品質 

4.1 

外観 鋳物は,品質均一・鋳はだ良好で,使用上有害なきず,割れ,鋳巣などの欠陥があってはな

らない。 

4.2 

化学成分 化学成分は,表2による。 

表2 化学成分 

単位% 

種類 

化学成分 

Fe 

Pd 

Al 

Ti 

その他(1) 

個々  合計 

2種 

0.015以下  0.30以下 

0.05以下 

0.25以下 

0.10以下 

− 

− 

− 

残部 

0.1 

以下 

0.4 

以下 

3種 

0.40以下 

0.07以下 

0.30以下 

− 

− 

− 

12種 

0.30以下 

0.05以下 

0.25以下 

0.12〜0.25 

− 

− 

13種 

0.40以下 

0.07以下 

0.30以下 

0.12〜0.25 

− 

− 

60種 

0.25以下 

0.05以下 

0.40以下 

− 

5.50〜6.75 

3.50〜4.50 

注(1) その他の成分は,受渡当事者間の協定による。 

4.3 

機械的性質 機械的性質は,表3による。 

表3 機械的性質 

種類 

引張試験 

硬さ試験(3) 

引張強さ 

N/mm2 

耐力(2) 

N/mm2 

伸び 

HBW10/3 000 

又はHV30 

2種  340以上 215以上 15以上 

110〜210 

3種  480以上 345以上 12以上 

150〜235 

12種 340以上 215以上 15以上 

110〜210 

13種 480以上 345以上 12以上 

150〜235 

60種 895以上 825以上 

6以上 

365以下 

注(2) 耐力は,特に注文者の要求のあるものに限

り適用する。 

(3) 硬さ試験は,ブリネル硬さ又はビッカース

硬さのいずれかを測定する。 

5. 形状,寸法及び質量 形状,寸法及び質量は,模型,又は図面によるものとし,その許容差は受渡当

事者間の協定による。 

6. 試験 

6.1 

化学分析試験 化学分析試験は,次による。 

JIS H 1612  JIS H 1614  JIS H 1617  JIS H 1619  JIS H 1620 

JIS H 1621  JIS H 1622  JIS H 1624  JIS H 1630 

参考 “JIS H 1610 チタン及びチタン合金のサンプリング方法,JIS H 1611 チタン及びチタン合金

の分析方法通則”を参考にしてもよい。 

6.2 

引張試験 

a) 引張試験は,JIS Z 2241による。 

b) この場合の試験片は,7.c)の供試材を用い,JIS Z 2201の4号試験片とする。 

ただし,4号試験片が取れない場合は,平行部の径と標点距離は次の式により定めてもよい。 

H 5801 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

D

A

L

54

.3

4

=

=

ここに, L: 標点距離 (mm) 
 

A: 試験片の平行部の断面積 (mm2) 

D: 試験片の平行部の直径 (mm) 

c) 耐力を測定する場合は,標点距離のひずみ増加率を0.3〜0.7%/minとし,耐力を超えて引張強さの測

定を行う場合には,標点距離のひずみ増加率を約10%/minとする。 

6.3 

硬さ試験 硬さ試験は,JIS Z 2243又はJIS Z 2244による。 

6.4 

非破壊試験 非破壊試験の方法,合否判定基準は,受渡当事者間の協定による。 

7. 検査 検査は,JIS H 0321によるほか,次のとおり行う。 

a) 鋳物は,外観,形状,寸法及び質量を検査するとともに6.によって試験を行い,4.及び5.の規定に適

合したものを合格とする。 

ただし,6.2,6.3及び6.4の実施は,受渡当事者間の協定による。 

b) 鋳物は,検査の前に検査の妨げになるいかなる処理も施してはならない。 

c) 引張試験片の製作に必要な供試材の取り方は,次による。 

1) 供試材は,鋳物を鋳造するときに同時に鋳造する。 

2) 供試材は,特に指定のない限り1溶解ごとに1個以上を取る。 

3) 供試材の形状,寸法及び試験片の採取位置は,受渡当事者間の協定による。 

d) 分析試料の採取方法は,受渡当事者間の協定による。 

8. 表示 検査に合格した鋳物又はこん包には,適切な方法によって,次の事項を表示しなければならな

い。ただし,受渡当事者間の協定によってその一部を省略することができる。 

a) 種類又はその記号 

b) 製造番号 

c) 製造業者名又はその略号 

H 5801 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS H 5801チタン鋳物新規原案調査作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

鈴 木 敏 之 

工学院大学 

(小委員長) 

○ 小野寺 幹 男 

真空冶金株式会社営業本部 

(委員) 

朝 倉 健太郎 

東京大学 

○ 石 井 満 男 

新日本製鐵株式会社チタン技術グループ 

斧   隆 夫 

ナショナル自転車株式会社商品開発部 

阿 部 義 邦 

千葉工業大学 

○ 北 岡 一 泰 

社団法人日本チタン協会 

佐 藤   敬 

東北大学金属材料研究所 

笹 野 久 興 

金属材料技術研究所 

杉 浦 幸 彦 

三菱重工業株式会社名古屋航空宇宙システム製作所研究部 

鈴 木   宏 

千代田プロテック株式会社製造部 

寺 西 幸 弘 

ミズノ株式会社研究開発部 

○ 長 島 啓 介 

住友金属工業株式会社チタン技術部 

○ 畑   浩 巳 

大同特殊鋼株式会社チタン民生品部 

○ 藤 田 陽 一 

株式会社神戸製鋼所チタン技術部 

別 当 有 光 

高崎義肢製作所株式会社 

村 山 拓 己 

通商産業省基礎産業局非鉄金属課 

八 田   勲 

通商産業省工業技術院材料機械規格課 

山 村 修 蔵 

日本規格協会技術部 

吉 村 不二雄 

ヨシムラジャパン株式会社 

(事務局) 

伊 藤   均 

社団法人日本チタン協会 

備考 ○印が付してある者は,小委員会委員も兼ねる。