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H 2123 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS H 2123 : 1990 は改正され,この規格に置き換えられる。この規格は,

国際規格の整合化を図るため ISO 431 を元に作成した日本工業規格である。

JIS H 2123

には,次に示す附属書がある。

附属書(参考)  銅−水素ぜい化試験


日本工業規格

JIS

 H

2123

: 1999

形銅

Copper billets and cakes

序文  この規格は,1981 年に第 2 版として発行された ISO 431 : 1981, Copper refinery shapes を元に,対応

する部分(品質の外観及び物性,寸法の許容差,表示等)については技術的内容を変更することなく作成

した日本工業規格であるが,試験方法のうち,対応国際規格には規定されていない規定内容(繰返し曲げ

試験)を日本工業規格として追加し,また,適用範囲,種類,等級,品質の化学成分は対応国際規格の内

容を変更した。

  なお,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,展伸材に用いる無酸素形銅,タフピッチ形銅及びりん脱酸形銅(以下,形銅

という。

)について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 431 : 1981 Copper refinery shapes

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS C 3002

  電気用銅線及びアルミニウム線試験方法

JIS H 0301

  非鉄金属地金のサンプリング,試料調製及び分析検査通則

JIS H 1051

  銅及び銅合金中の銅定量方法

JIS H 1058

  銅及び銅合金中のりん定量方法

JIS H 1101

  電気銅地金分析方法

JIS H 1202

  電子管用無酸素銅分析方法

ISO 2626

  Copper-hydrogen embrittlement test


2

H 2123 : 1999

3.

種類及び記号  形銅の種類及び記号は,表 による。

表 1  種類及び記号

種類

名称

合金番号

形状

記号

用途例(参考)

ビレット C 1011 CB

電子管用の棒・線・管など

1

種 C

1011

ケーク

C 1011 CC

電子管用の板・条など

ビレット C 1020 CB

棒,線,管,ブスバーなど

無酸素形銅

2

種 C

1020

ケーク

C 1020 CC

板,条,ブスバーなど

ビレット C 1100 CB

棒,線,管,ブスバーなど

タフピッチ形銅 C

1100

ケーク

C 1100 CC

板,条,ブスバーなど

ビレット C 1201 CB

棒,線,管など

1

種 C

1201

ケーク

C 1201 CC

板,条など

ビレット C 1220 CB

棒,線,管など

りん脱酸形

2

種 C

1220

ケーク

C 1220 CC

板,条など

4.

品質

4.1

外観  形銅は,実用上有害な収縮孔,鋳割れ,鋳巣,異物の巻込みなどがなく品質均一でなければ

ならない。

4.2

化学成分  化学成分は,表 による。

表 2  化学成分

単位  %

化学成分

種類

Cu P  O

その他

1

種 99.99 以上

0.0003

以下 0.001 以下

Pb 0.001

以下

Zn 0.000 1

以下

Bi 0.001

以下

Cd 0.000 1

以下

Hg 0.000 1

以下

 S 0.001 8

以下

Se 0.001

以下

Te 0.001

以下

無酸素形銅

2

種 99.96 以上

− 0.001 以下

タフピッチ形銅 99.90 以上

1

種 99.90 以上

0.004

以上

0.015

未満

り ん 脱 酸 形

2

種 99.90 以上

0.015

以上

0.040

以下

4.3

水素ぜい性  水素ぜい性は,次による。

4.3.1 C

1011

及び C 1020 は,6.2 の水素ぜい化試験において,6.2.1 の繰返し曲げ試験で,繰返し曲げを 4

回行って破断してはならない。又は,6.2.2 の顕微鏡試験を行って結晶粒界に水素ぜい化特有の多数の気泡

又は粒界分離を示す組織があってはならない。

4.3.2 C

1201

は,6.2 の水素ぜい化試験を行った場合,6.2.2 の顕微鏡試験において,結晶粒界に水素ぜい

化特有の多数の気泡又は,粒界分離を示す組織があってはならない。

4.3.3

4.3.1

及び 4.3.2 とは別に ISO 2626 に従い,同様な試験を行ってもよい。

4.4

導電率  導電率は,次による。


3

H 2123 : 1999

4.4.1 C

1011

は,6.3 によって導電率試験を行って,101%以上とする。

4.4.2 C

1020

は,6.3 によって導電率試験を行って,100%以上とする。

4.4.3 C

1100

は,6.3 によって導電率試験を行って,100%以上とする。

なお,ISO 431 に規定される導電率の表記については,

表 に示す。

表 3  導電率換算表

電気特性

規格値

換算値(参考)

導電率

導電率

質量抵抗率

体積抵抗率

%IACS

  最小 MS/m  最小

Ωg/m

2

  最大

Ωmm

2

/m

  最大

100.0

58.00

0.153 28

0.017 24

101.0

58.58

0.151 76

0.017 07

5.

寸法の許容差  寸法の許容差は,表 及び表 による。

表 4  ビレット寸法の許容差

区分

許容量

200mm

以下

±3.0mm

200mm

を超えるもの

当事者間の協定による

長さ

±2%

備考  長さの許容差を  (+)  又は  (−)  だけに指定す

る場合は,上記数値の 2 倍とする。

表 5  ケークの寸法の許容差

区分

寸法

許容量

200mm

以下

±6mm

厚さ及び幅

200mm

を超えるもの

±3%

200mm

以下

±6mm

長さ

200mm

を超えるもの

±3%

6.

試験

6.1

化学分析試験  化学成分の分析試験は,次による。

6.1.1 C

1011

は,JIS H 1202 及び JIS H 0301 による。

6.1.2 C

1020

は,JIS H 1101 による。

6.1.3 C

1100

は,JIS H 1101 による。

6.1.4 C

1201

及び C 1220 は,JIS H 1051 及び JIS H 1058 による。

6.2

水素ぜい化試験  水素ぜい化試験は,次の手順による。

C 1011

,C 1020,及び C 1201 の水素ぜい化試験は,形銅の一部を鍛造又は熱間圧延をした後,径 2.0∼

3.0mm

の線に引き抜いた試料から取った試験片を用い,水素気流中で 850±25℃,30 分間加熱した後,室

温で次の繰返し曲げ試験又は顕微鏡試験を行う。

なお,この方法によらず,ISO 2626 に従い同様な試験を行い,これに代えることもできる。

6.2.1

繰返し曲げ試験  繰返し曲げ試験は,曲げの内側半径を線径の 2.5 倍とし,繰返し曲げ方向は図 1

のとおり交互に反対方向に行い,垂直の位置から 90°曲げた後,もとの位置に戻し,これを 1 回とする。

次に反対方向へ 90°曲げた後,もとの位置に戻し,これを 2 回とし,これを継続する。


4

H 2123 : 1999

図 1  曲げ試験要領

6.2.2

顕微鏡試験  顕微鏡試験は,試験片を研磨しエッチングを行い,倍率を 150∼300 倍にして顕微鏡

で観察する。

6.3

導電率試験  導電率試験は,次による。

導電率試験は,形銅の一部を鍛造又は熱間圧延をした後,径 2.0∼3.0mm の線に引き抜き,約 500℃で

30

分以上無酸化焼なまししたものを JIS C 3002 の 6.導電率によって行う。

7.

検査  検査は,次のとおり行う。

7.1

形銅は,外観及び寸法を検査するとともに 6.によって試験を行い,4.の規定に合格しなければならな

い。ただし,受渡当事者間の協定によって,4.3.2 及び 4.4.3 を省略することができる。

7.2

その他一般事項は,JIS H 0301 による。

8.

表示  製品又は送り状には,次の事項を適切な方法によって表示しなければならない。ただし,受渡

当事者間の協定によって,a)及び b)を省略することができる。

a)

種類又はその記号

b)

製造番号又はそれを表す記号

c)

製造業者名又はその略号


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H 2123 : 1999

附属書(参考)  銅−水素ぜい化試験

序文  この附属書は、引用規格である ISO 2626 : 1973, Copper-hydrogen embrittlement test を翻訳したもので,

規定の一部ではない。

なお,引用規格である ISO/R398 は 1985 年に ISO 7438 へ統廃合されている。

1.

適用範囲  この附属書は,脱酸銅及び無酸素銅の水素ぜい化試験について,記述する。

2.

引用規格

ISO/R398

  Bend test for copper and copper alloys

ISO 2625

  Copper and copper alloys−Reverse bend

ISO 7438 : 1985

  Metallic materials−Bend test

3.

要旨  試験片を準備し,水素気流中で加熱する。金属の中に酸素があれば,反応が起き,ぜい化が発

生する。空気と試験片が接触しないように冷却する。この後ぜい化は,密着曲げか繰返し曲げによって,

また顕微鏡観察で判定する。

4.

試験片

4.1

密着曲げ試験片  都合のよい長さで,厚さ又は直径が 12mm 以下では原寸大とする。すべての角は,

丸めて滑らかにする。原寸大でない試験片は,材料の原表面がある程度含まれているものとする。

4.2

繰返し曲げ試験片  適切な長さで,厚さ又は直径が 2.5mm 以下のものとする。すべての角は,丸め

て滑らかにする。原寸大でない試験片は,材料の原表面がある程度含まれているものとする。

4.3

顕微鏡観察の試験片  都合のよい大きさで,少なくとも一つの面は,材料表面が含まれるものとす

る。

5.

手順

5.1

水素中暴露  上記で準備した試験片を,10%以上水素を含む雰囲気炉で加熱する。825∼875℃で 30

分間保持し,炉内雰囲気の中で冷却するか水冷する。

5.2

ぜい化検査

5.2.1

密着曲げ試験  常温で密着曲げ試験を行う。長手方向に直角に一様な力を加えて,試験片の図 AB

を曲げ,A 端が C の位置になるようにする。材料の原表面が,曲げの外側になるようにすべきである。

属書図 参照)

附属書図 1  密着曲げ試験


6

H 2123 : 1999

曲げは,通常 2 段階で行う。第 1 段階は,V 形に試験片を曲げるために ISO 7438 に規定しているいずれ

かの方法による。試験方法の選択で,試験片の最小長さが決まる。

第 2 段階は,V 形に開いている端を例えばバイスで締めるように,試験片の 2 本の足を一様な力で接触

するようにする。曲げの後,割れの有無について材料の原表面を目視検査する。

5.2.2

繰返し曲げ試験  ISO 2625 に従って繰返し曲げ試験を行う。

試験片を 10 回繰返し曲げする。材料の原表面に最大応力が掛かるようにする。曲げの後,割れの有無に

ついて,拡大鏡なしで目視によって,原表面を検査する。

5.2.3

顕微鏡検査  試験片の外面と直角に切断する。断面を研磨し,必要に応じてエッチングする。倍率

200

倍の顕微鏡で,ガス反応の形跡,又はぜい化による結晶の粒界分離を検査する。

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

後  藤  佐  吉

東京大学名誉教授

(主査)

菅  沼      惇

三菱マテリアル株式会社

(委員)

小  川      修

東京大学元教授

長谷川  良  祐

科学技術庁金属材料技術研究所

後  藤  敬  一

資源エネルギー庁鉱業課

大  嶋  清  治

工業技術院標準部

長谷部  守  邦

社団法人日本電線工業会

藤  沢      裕

日本伸銅協会

恒  原  正  明

古河電気工業株式会社

波多野  和  浩

日本鋳銅株式会社

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

北  村      修

住友金属鉱山株式会社

井  上  和  義

東邦亜鉛株式会社

渡  辺  堅  治

同和鉱業株式会社

佐  藤  啓  一

日鉱金属株式会社

中  尾      靖

古河機械金属株式会社

栗  栖  一  之

日本冶金工業株式会社

藤  川  充  由

三井金属株式会社

神  尾      悟

三菱マテリアル株式会社

(関係者)

榎  本  正  敏

工業技術院標準部

和  田  隆  光

財団法人日本規格協会

柿  本  明  廣

三菱マテリアル株式会社

(事務局)

渡  辺  昌  弘

日本鉱業協会

稲  垣  勝  彦

日本鉱業協会

工  藤  大  和

日本鉱業協会