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H1685 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する同法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本

規格協会  (JSA)  から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申し出があり,日本工業標準調

査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS H 1685 : 1976 は改

正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正は,タンタルの製品分析の現状を的確に反映し,その利便化を図るために改正した。


日本工業規格

JIS

 H1685

: 2000

タンタル中の窒素定量方法

Method for determination of nitrogen in tantalum

序文  この規格は,タンタル製品の品質,分析装置及び分析技術の推移に対応するために必要な改正を行

った。

なお,この規格に対応する ISO 規格は,発行されていない。

1.

適用範囲  この規格は,タンタル中の窒素定量方法について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版を適用する。

JIS H 1680

  タンタルの分析方法通則

3.

一般事項  定量方法に共通な一般事項は,JIS H 1680 による。

4.

定量方法  窒素の定量方法は,不活性ガス融解−熱伝導度法による。この方法は,窒素含有率 0.001%

(m/m)

以上 0.02% (m/m)  以下の試料に適用する。

5.

不活性ガス融解−熱伝導度法

5.1

要旨  ヘリウム気流中で黒鉛るつぼを用いて,試料を浴金属とともにインパルス方式によって加熱

して融解し,窒素を他のガスとともに抽出する。加熱した酸化銅 (II) で抽出ガス中の一酸化炭素を二酸化

炭素に,また,水素を水に酸化した後,水を脱水管で除去する。二酸化炭素を二酸化炭素吸収管で除去し

て窒素だけを熱伝導度検出器に導くか,窒素と二酸化炭素を分離管を通して分離して窒素だけを熱伝導度

検出器に導き,窒素による熱伝導度の変化を測定する。

5.2

材料及び試薬  材料及び試薬は,次による。

a)

ニッケル  窒素含有率 0.001% (m/m)  以下の,カプセル,バスケット又ははく状のもの。

b)

ヘリウム  99.99% (v/v)  以上のもの。

c)

黒鉛るつぼ  使用するインパルス炉に適合するもの。その例を付図 に示す。

d)

検量線作成用試料  鉄鋼標準物質を用いる。

5.3

装置(

1

)

  装置は,ヘリウム精製部,ガス抽出部,抽出ガス精製部,ガス測定部などで構成する。装

置の概略を

付図 及び付図 に示す。

(

1

)

装置の構成,構造及び使用条件は,使用する装置によって異なる。

a)

ヘリウム精製部  ヘリウム精製部は,脱酸素管,二酸化炭素吸収管,脱水管などで構成する。


2

H1685 : 2000

1)

脱酸素管  ステンレス鋼管又はガラス管に金属銅(粒状)を詰めたもの。電気抵抗加熱炉で加熱し

て使用する。

2)

二酸化炭素吸収管  ガラス管にソーダ石灰又は水酸化ナトリウムを詰めたもの。

3)

脱水管  ガラス管に過塩素酸マグネシウムを詰めたもの。

b)

ガス抽出部  ガス抽出部は,試料投入器,インパルス炉などで構成する。

1)

試料投入器  ヘリウム雰囲気中で試料をインパルス炉に投入できるもの。

2)

インパルス炉  固定された上部水冷銅電極及び上下に移動できる下部水冷銅電極で構成し,両電極

の間に挟んだ黒鉛るつぼ  [5.2 c)]  を通電によって数秒間で 2 000∼2 500℃に昇温できるもの。

c)

抽出ガス精製部  抽出ガス精製部は,次のいずれかによる。

1)

分離管を用いない場合  収じん管,酸化管,脱水管,二酸化炭素吸収管などで構成する(付図 2)。

1.1)

収じん管  ガラス管にガラスウールを詰めたもの。

1.2) 

酸化管  ステンレス鋼管又はガラス管に酸化銅 (II) を詰めたもの。電気抵抗加熱炉で加熱して使

用する。

1.3)

脱水管  ガラス管に過塩素酸マグネシウムを詰めたもの。

1.4)

二酸化炭素吸収管  ガラス管にソーダ石灰又は水酸化ナトリウムを詰めたもの。

2)

分離管を用いる場合  収じん管,酸化管,脱水管,分離管などで構成する(付図 3)。

2.1)

収じん管  1)の 1.1)による。

2.2)

酸化管  1)の 1.2)による。

2.3)

脱水管  1)の 1.3)による。

2.4)

分離管  ステンレス鋼管又は四ふっ化エチレン樹脂管にシリカゲルを詰めたもの。

d)

ガス測定部  ガス測定部は,熱伝導度検出器,指示計などで構成する。

1)

熱伝導度検出器  特性のそろったサーミスタを挿入した対照セル,試料セルなどで構成する。

2)

指示計  熱伝導度検出器で検出された窒素に基づく信号を読み取ることのできるもの。

5.4

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,表 によって 1mg のけたまではかる。

表 1  試料はかり取り量

窒素含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

0.001

以上 0.005 未満

0.50

0.005

以上 0.010 未満

0.30

0.010

以上 0.020 以下

0.10

5.5

操作(

2

)

(

2

)

操作の細かい手順は,装置によって異なるので,その装置の指定する手順に従う。

5.5.1

準備操作  準備操作は,次の手順によって行う。

a)

装置に冷却水及びヘリウム  [5.2 b)]  を供給した後電源を入れ,装置各部を所定の条件に設定し,装置

の各部を安定させる。

b)

新しい黒鉛るつぼ  [5.2 c)]  を所定の位置に設置し,インパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度

に加熱する(

3

)

c)

b)

の黒鉛るつぼをガス抽出温度に加熱し(

4

)

,指示計の値を読み取る。

d)

安定した値が得られるまで c)の操作を繰り返す(

5

)

(

3

)

脱ガス温度のパラメータとして,黒鉛るつぼに流れる電流又は電力の値を読み,ガス抽出温度


3

H1685 : 2000

に対応する電流又は電力の値より高いことを確認する。

(

4

)

ガス抽出温度のパラメータとして,試料を用いて電流又は電力の値を変えて抽出量が最高とな

る電流又は電力の値を求めておく。

(

5

)  b)

で脱ガスした黒鉛るつぼを繰り返して用いる。

5.5.2

定量操作  定量操作は,準備操作,空試験及び検量線作成に引き続き次の手順(

2

)

によって行う。

a)

新しい黒鉛るつぼ  [5.2 c)]  を所定の位置に設置する。

b)

試料及びニッケル  [5.2 a)]  をはかり取る(

6

)

c)

はかり取った試料をニッケルで包んで(

7

)

試料投入器に入れる。

d)

インパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度に加熱し(

3

)

,黒鉛るつぼの脱ガスを行う。

e)

c)

のニッケルで包んだ試料を黒鉛るつぼに投入し,インパルス炉に通電して黒鉛るつぼをガス抽出温

度に加熱し(

4

)

,指示計の値を読み取る。

(

6

)

ニッケルの使用量は,試料はかり取り量と等量以上とし,使用する装置によって異なるので,

あらかじめ試料を用いて,抽出量が最高となる量を求め,その装置に適した使用量を求めてお

く。

(

7

)

試料とニッケルとは,できるだけ密着させる。

5.6

空試験  空試験は,次の手順(

2

)

によって行う。

a)

新しい黒鉛るつぼ  [5.2 c)]  を所定の位置に設置し,5.5.2 の b)で用いるのと同じ量のニッケルを試料投

入器に入れる。

b)  5.5.2

の d)と同じ条件でインパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度に加熱し(

3

)

,黒鉛るつぼの脱

ガスを行う。

c)

a)

のニッケルを黒鉛るつぼに投入し,5.5.2 の e)と同じ条件でインパルス炉に通電して黒鉛るつぼをガ

ス抽出温度に加熱し(

4

)

,指示計の値を読み取る。

d)  a)

c)の操作を数回繰り返し,読み取った値の平均値を求める。

5.7

検量線の作成  検量線の作成は,次の手順(

2

)

によって行う。

a)

新しい黒鉛るつぼ  [5.2 c)]  を所定の位置に設置する。

b)

検量線作成用試料  [5.2 d)] 1.0g を 1mg のけたまではかり取る。

c)

はかり取った検量線作成用試料を試料投入器に入れる。

d)  5.5.2

の d)と同じ条件でインパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度に加熱し(

3

)

,黒鉛るつぼの脱

ガスを行う。

e)

検量線作成用試料を黒鉛るつぼに投入し,インパルス炉に通電して黒鉛るつぼをガス抽出温度に加熱

(

4

)

,指示計の値を読み取る。

f)

検量線作成用試料の窒素含有率とはかり取った量から窒素量(

8

)

を求め,窒素量と e)で得た指示計の値

との関係をプロットする。プロットした点と原点とを通る直線を作成し,その直線(窒素量と指示計

の値との関係線)を検量線とする。

(

8

)

窒素量は,次の式によって算出する。

100

P

G

M

×

=

ここに,

M

はかり取った検量線作成用試料中の窒素量

 (g)

G

はかり取った検量線作成用試料の量

 (g)

P

検量線作成用試料中の窒素含有率

 [% (m/m)]


4

H1685 : 2000

5.8

計算  計算は,5.5.2 の e)で読み取った値及び 5.6 d)で得た平均値と 5.7 で作成した検量線とから窒素

量を求め,試料中の窒素含有率を,次の式によって算出する。

(

)

100

2

1

×

=

m

A

A

N

ここに,

N

試料中の窒素含有率

 [% (m/m)]

A

1

5.5.2

の e)で読み取った値から求めた窒素量

 (g)

A

2

5.6 d)

の平均値から求めた窒素量

 (g)

m

試料はかり取り量

 (g)

付図 1  黒鉛るつぼの例

付図 2  分離管を使用しない装置の概略


5

H1685 : 2000

付図 3  分離管を使用する装置の概略 

JIS H 1685

改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

水  池      敦

東京理科大学

村  山  拓  己

通商産業省基礎産業局

八  田      勲

工業技術院標準部

橋  本      進

財団法人日本規格協会技術部

吉  岡  孝  之

科学技術庁金属材料技術研究所物性解析研究部

稲  本      勇

社団法人日本チタン協会(株式会社日鐵テクノリサーチ)

前  田  繁  則

株式会社ジャパンエナジー分析センター

塚  原  涼  一

住友金属鉱山株式会社技術本部

徳  岳  文  夫

東芝セラミックス株式会社開発研究所評価技術部

河  本  光  喜

株式会社オハラ品質管理部

山  内  良  夫

株式会社高純度物質研究所

西      武  志

松下電子部品株式会社コンデンサ事業部

水  口  紀  元

昭和キャボットスーパーメタル株式会社開発技術部

磯  田  伸  二

真空冶金株式会社

井  出  光  良

三井金属鉱業株式会社総合研究所上尾分析センター

(事務局)

豊  田  宣  俊

社団法人新金属協会

今  井  康  弘

社団法人新金属協会