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日本工業規格

JIS

 H

1665

-1988

ジルコニウム及びジルコニウム

合金中の酸素定量方法

Methods for Determination of Oxygen in Zirconium and Zirconium Alloys

1.

適用範囲  この規格は,ジルコニウム及びジルコニウム合金中の酸素定量方法について規定する。

引用規格:

JIS H 1650

  ジルコニウム及びジルコニウム合金の分析方法通則

JIS Z 2613

  金属材料の酸素定量方法通則

2.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1650(ジルコニウム及びジルコニウム合金の分析方

法通則)及び JIS Z 2613(金属材料の酸素定量方法通則)による。

3.

方法の区分  酸素の定量方法は,次のいずれかによる。

(1)

真空融解−定容測圧法  この方法は,酸素含有率 0.005wt%以上 0.2wt%未満の試料に適用する。

(2)

不活性ガス融解−ガスクロマトグラフ法  この方法は,酸素含有率 0.005wt%以上 0.2wt%未満の試料

に適用する。

(3)

不活性ガス融解−赤外線吸収法  この方法は,酸素含有率 0.005wt%以上 0.2wt%未満の試料に適用す

る。

4.

試料の調製  試料の調製は,JIS Z 2613 の 4.4.1(1)又は化学研磨による。化学研磨を行う場合には,硝

酸 (1+1) 100ml とふっ化水素酸 5ml の混合溶液に浸した後,超音波洗浄器を用いて,水,エタノール及び

アセトンで 1 分間ずつ順次洗浄し,送風して乾燥する。

5.

真空融解−定容測圧法

5.1

要旨  真空中で,黒鉛るつぼを用いて,試料を浴金属と共に高周波誘導加熱方式によって融解し,

酸素を一酸化炭素として他のガスと共に抽出し,一定体積中に捕集してその圧力を測定する。この捕集ガ

ス中の一酸化炭素及び同時に抽出された水素を加熱した酸化銅 (II) でそれぞれ二酸化炭素及び水とし,水

を五酸化二りんに吸収させた後,圧力を測定する。次に,二酸化炭素を液体窒素で冷却して凝固させた後,

圧力を測定する。

5.2

材料及び試薬  材料及び試薬は,JIS Z 2613 の 6.1.2(3)(7)及び次による。

(1)

浴金属  白金(

1

)

(

1

)

調製は,JIS Z 26135.2(1)による。ただし,洗浄溶媒には,アセトンを用いる。


2

H 1665-1988

5.3

装置  装置は,JIS Z 2613 の 3.2.1(2)(2-1)のガス抽出部と JIS Z 2613 の 3.3.1(2)のガス分析部とを接続

して用いる(JIS Z 2613 

図 13 参照)。

5.4

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,酸素含有率に応じて原則として表による。

表  試料はかり取り量

酸素含有率

wt%

試料はかり取り量

g

0.005

以上 0.05 未満 0.30

0.05

以上 0.2 未満 0.10

5.5

操作

5.5.1

準備操作  JIS Z 2613 の 6.1.3(1)6.1.4(1)の手順に従って操作する。ただし,黒鉛るつぼその他の

脱ガス温度は 2 200∼2 300℃とし,浴金属として試料総質量の 7 倍量以上の白金  [5.2(1)]  を用い,金属浴

の調製は,ガス抽出温度よりやや高めの温度で行う。

5.5.2

定量操作  準備操作に引き続き JIS Z 2613 の 6.1.4(3)の手順に従って操作する。ただし,ガス抽出

温度は 1 950∼2 000℃とする。

5.6

空試験  空試験は,JIS Z 2613 の 6.1.4(2)による。ただし,試料の投入は行わない。

5.7

計算  計算は,JIS Z 2613 の 6.1.4(4)による。ただし,JIS Z 2613 の 6.1.4(5)によって換算係数を算出

しておく。

6.

不活性ガス融解−ガスクロマトグラフ法

6.1

要旨  ヘリウム気流中で,黒鉛るつぼを用いて,試料を浴金属と共にインパルス方式によって加熱

して融解し,酸素を一酸化炭素として他のガスと共に抽出する。加熱した酸化銅 (II) で抽出ガス中の一酸

化炭素を二酸化炭素に酸化し,脱水管及びガス分離管で二酸化炭素を他のガスと分離し,これを熱伝導度

検出器に導き,二酸化炭素による熱伝導度の変化を測定する。

6.2

材料及び試薬  材料及び試薬は,次による。

(1)

浴金属  白金(

2

)

,ニッケル(

3

)

又はすず(

4

)

(2)

ヘリウム  99.99vol%以上のもの。

(3)

黒鉛るつぼ  インパルス炉に適合するもの。その一例を付図 に示す。

(

2

)

調製は,JIS Z 26135.2(1)による。ただし,厚さ0.01∼0.03mm のはくを用いる。

(

3

)

酸素含有量が 0.005wt%以下で厚さが 0.01∼0.03mm のはくを用いる。約 80℃に加熱した混酸(酢

酸 75,硝酸 25,塩酸 2)

,水,エタノール及びアセトンで順次約 30 秒間ずつ洗浄した後,送風

して乾燥する。

(

4

)

金属浴として白金−すず又はニッケル−すずを用いる場合に使用する。すずの調製は,JIS Z 

2613

の 5.2(2)による。

6.3

装置(

5

)

  装置は,ヘリウム清浄部,ガス抽出部,ガス分離部,ガス測定部などで構成する。装置の

一例を

付図 に示す。

(1)

ヘリウム清浄部  ヘリウム清浄部は,脱酸素管,二酸化炭素吸収管,脱水管,電気抵抗加熱炉などで

構成する。

(a)

脱酸素管  ステンレス鋼管に金属銅(粒状)を詰めたもの。電気抵抗加熱炉で加熱して使用する。

(b)

二酸化炭素吸収管  ガラス管にソーダ石灰,ソーダ石綿又は水酸化ナトリウムを詰めたもの。

(c)

脱水管  ガラス管に過塩素酸マグネシウム又は五酸化二りんを詰めたもの。


3

H 1665-1988

(

5

)

装置の構成,構造及び使用条件は,使用する装置によって異なる。

(2)

ガス抽出部  ガス抽出部は,試料投入器,インパルス炉などで構成する。

(a)

試料投入器  不活性ガス雰囲気中で試料をインパルス炉に投入できるもの。

(b)

インパルス炉  銅製の固定された上部水冷電極及び上下に移動ができる下部水冷電極で構成し,両

電極の間に挟んだ黒鉛るつぼ  [6.2(3)]  を通電によって数秒間で 2 000∼2 500℃に昇温できるもの。

(3)

ガス分離部  ガス分離部は,収じん管,酸化管,脱水管,分離カラムなどで構成する。

(a)

収じん管  ガラス管にガラスウールを詰めたもの。

(b)

酸化管  ガラス管に酸化銅 (II) を詰めたもの。電気抵抗加熱炉で加熱して使用する。

(c)

脱水管  6.3(1)(c)による。

(d)

分離カラム  ステンレス鋼管又は四ふっ化エチレン樹脂管にシリカゲルを詰めたもの。

(4)

ガス測定部  ガス測定部は,熱伝導度検出器,指示計などで構成する。

(a)

熱伝導度検出器  特性のそろったサーミスタを挿入した対照セル,試料セルなどで構成する。

(b)

指示計  熱伝導度検出器で検出された二酸化炭素に基づく信号を読み取ることのできるもの。

6.4

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,0.10g とする。

6.5

操作(

6

)

6.5.1

準備操作  準備操作は,次の手順によって行う。

(1)

装置に冷却水及びヘリウム  [6.2(2)]  を供給した後,電源を入れる。装置各部を所定の条件に設定し,

装置の各部を安定させる。

(2)

新しい黒鉛るつぼ  [6.2(3)]  を所定の位置に設置し,インパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度

に加熱する(

7

)

(3)  (2)

の黒鉛るつぼをガス抽出温度に加熱し(

8

)

,指示計の値を読み取る。安定した指示計の値が得られる

までこの操作を繰り返す(

9

)

(

6

)

操作の細かい手順は,装置によって異なるので,その装置の指定する手順に従う。

(

7

)

黒鉛るつぼ温度のパラメータとして,黒鉛るつぼに流れる電流値を読み,ガス抽出の電流値よ

り高いことを確認する。

(

8

)

あらかじめ酸素含有率が既知のジルコニウム又はジルコニウム合金試料を用いて,最適なガス

抽出の電流値を求めておく。

(

9

)  6.5.1(2)

で脱ガスした黒鉛るつぼを繰り返し用いる。

6.5.2

定量操作  定量操作は,準備操作,空試験及び検量線の作成に引き続き,次の手順によって行う。

(1)

新しい黒鉛るつぼ  [6.2(3)]  を所定の位置に設置する(

10

)

(2)

試料をはかり取り,これを浴金属  [6.2(1)](

11

)

で包んで試料投入器に入れる。

(3)

インパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度に加熱し(

7

)

,黒鉛るつぼの脱ガスを行う。

(4)

浴金属と共に試料を黒鉛るつぼに投入し,インパルス炉に通電して黒鉛るつぼをガス抽出温度に加熱

(

8

)

,指示計の値を読み取る。

(

10

)

金属浴として白金−すず又はニッケル−すずを使用する場合には,あらかじめ黒鉛るつぼにす

ず  [6.2.(1)]  を入れておく。この場合,酸素含有率既知のジルコニウム又はジルコニウム合金試

料を用いて,その装置に適した白金又はニッケルとすずとの比率及び金属浴の量を求めておく。

(

11

)

浴金属の使用量は,使用する装置によって異なるので,あらかじめ酸素含有率既知のジルコニ

ウム又はジルコニウム合金試料を用いて,その装置に適した量を求めておく。

6.6

空試験  空試験は準備操作に引き続き,次の手順(

6

)

によって行う。


4

H 1665-1988

(1)

新しい黒鉛るつぼ  [6

2(3)]  を所定の位置に設置し(

10

)

6.5.2(2)で用いる浴金属と同量の沿金属を試料

投入器に入れる。6.5.2(3)と同じ条件でインパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度に加熱し,脱

ガスを行う。

(2)

浴金属を黒鉛るつぼに投入し,6.5.2(4)と同じ条件でインパルス炉に通電して黒鉛るつぼをガス抽出温

度に加熱し,指示計の値を読み取る。

(3)  (1)

及び(2)の操作を数回繰り返し,読み取った値の平均値を求める。

6.7

検量線の作成  検量線の作成は,準備操作及び空試験に引き続き,次の手順(

6

)

によって行う。

(1)

新しい黒鉛るつぼ  [6.2(3)]  を所定の位置に設置する(

10

)

。酸素含有率が既知のジルコニウム又はジルコ

ニウム合金試料をはかり取り,これを 6.5.2(2)で用いる浴金属と同量の浴金属で包んで試料投入器に入

れる。6.5.2(3)と同じ条件でインパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度に加熱する。

(2)

浴金属と共に試料を黒鉛るつぼに投入し,6.5.2(4)と同じ条件でインパルス炉に通電して黒鉛るつぼを

ガス抽出温度に加熱する。指示計の値を読み取り,6.6(3)で得た平均値を差し引く。

(3)  (1)

ではかり取った試料の質量に対して(2)で得た値を,質量 0.1g に対する値に換算する(

12

)

(4)  (1)

(3)の操作を数回繰り返し,得られた値の平均値を求める。

(5)

試料の質量 0.1g から算出した酸素の質量(

13

)

に対して(4)で得た平均値をプロットする。プロットした

点と原点とを結ぶ直線を作成し,検量線とする。

(

12

)

質量0.1g に対する値への換算は,次の式による。

A

G

g

×

1

.

0

1

.

0

に対する値=

試料の質量

ここに,

G

(1)

ではかり取った試料の質量 (g)

A

(2)

で得た値

(

13

)

酸素の質量は,次の式によって算出する。

100

1

.

0

)

(

P

g

×

= 

酸素の質量 

ここに,

P

:  酸素含有率既知のジルコニウム又は

ジルコニウム合金試料の酸素含有率 (wt%)

6.8

計算

  計算は,

5.7

による。

7.

不活性ガス融解−赤外線吸収法

7.1

要旨

  不活性ガス気流中で,黒鉛るつぼを用いて,試料を浴金属と共にインパルス方式によって加

熱して融解し,酸素を一酸化炭素として他のガスと共に抽出する。抽出ガス中の一酸化炭素をそのまま赤

外線検出器に導くか,加熱した酸化銅 (II) で一酸化炭素を二酸化炭素に酸化した後赤外線検出器に導き,

抽出ガス中の一酸化炭素又は二酸化炭素による赤外線吸収の変化を測定する。

7.2

材料及び試薬

  材料及び試薬は,次による。

(1)

浴金属

6.2(1)

による。

(2)

アルゴン,ヘリウム又は窒素

  99.99vol%以上のもの。

(3)

黒鉛るつぼ

6.2(3)

による。

7.3

装置(

5

)

  装置は,不活性ガス清浄部,ガス抽出部,抽出ガス変換部又は抽出ガス精製部,ガス測定

部などで構成する。ガス抽出部以外の各部の構成は,装置に用いられている赤外線検出器及び使用する不

活性ガスの種類によって異なる。装置の例を

付図 3

5

に示す。


5

H 1665-1988

7.3.1

ヘリウムと二酸化炭素用赤外線検出器とを使用する装置(付図 3

(1)

不活性ガス清浄部は,二酸化炭素吸収管,脱水管などで構成する。

(a)

二酸化炭素吸収管

6.3(1)(b)

による。

(b)

脱水管

6.3(1)(c)

による。

(2)

ガス抽出部

6.3(2)

による。

(3)

抽出ガス変換部は,収じん管,酸化管などで構成する。

(a)

収じん管

6.3(3)(a)

による。

(b)

酸化管

6.3(3)(b)

による。

(4)

ガス測定部

  赤外線検出器,指示計などで構成する。

(a)

赤外線検出器

  固体センサーの形の二酸化炭素用赤外線検出器で,二酸化炭素による赤外線吸収の

変化を測定できるもの。

(b)

指示計

  赤外線検出器で検出された二酸化炭素に基づく信号を読み取ることのできるもの。

7.3.2

窒素と一酸化炭素用赤外線検出器とを使用する装置(付図 4

(1)

不活性ガス清浄部

7.3.1(1)

による。

(2)

ガス抽出部

6.3(2)

による。

(3)

抽出ガス精製部

  抽出ガス精製部は,収じん管,シアン吸収管などで構成する。

(a)

収じん管

6.3(3)(a)

による。

(b)

シアン吸収管

  ガラス管にソーダ石綿を詰めたもの。

(4)

ガス測定部

  赤外線検出器,指示計などで構成する。

(a)

赤外線検出器

  固体センサー形の一酸化炭素用赤外線検出器で,一酸化炭素による赤外線吸収の差

を測定できるもの。

(b)

指示計

  赤外線検出器で検出された一酸化炭素に基づく信号を読み取ることのできるもの。

7.3.3

アルゴンと一酸化炭素用赤外線検出器とを使用する装置(付図 5

(1)

不活性ガス清浄部は,還元管,二酸化炭素吸収管,脱水管などで構成する。

(a)

還元管

  ステンレス鋼管に粒状金属銅(粒状)又は活性炭を詰めたもの。電気抵抗加熱炉で加熱し

て使用する。

(b)

二酸化炭素吸収管

6.3(1)(b)

による。

(c)

脱水管

6.3(1)(c)

による。

(2)

ガス抽出部

6.3(2)

による。

(3)

抽出ガス精製部

  抽出ガス精製部は,収じん管,脱水管などで構成する。

(a)

収じん管

6.3(3)(a)

による。

(b)

脱水管

6.3(1)(c)

による。

(4)

ガス測定部

  赤外線検出器,指示計などで構成する。

(a)

赤外線検出器

  内部に一酸化炭素を封入した静電容量形の一酸化炭素用赤外線検出器で,一酸化炭

素による赤外線吸収の差を測定できるもの。

(b)

指示計

7.3.2(4)(b)

による。

7.4

試料はかり取り量

  試料はかり取り量は,0.10g とする。

7.5

操作(

6

)

7.5.1

準備操作

  準備操作は,

6.5.1

による。ただし,

6.5.1(1)

の操作でアルゴン,ヘリウム又は窒素

[7.2(2)]

を供給する。


6

H 1665-1988

7.5.2

定量操作

  定量操作は,

6.5.2

による。

7.6

空試験

  空試験は,

6.6

による。

7.7

検量線の作成

  検量線の作成は,

6.7

による。

7.8

計算

  計算は,

6.8

による。

付図 1  黒鉛るつぼの一例


7

H 1665-1988

付図 2  不活性ガス融解−ガスクロマトグラフ法装置の概略

付図 3  不活性ガス融解−赤外線吸収法  ヘリウムと二酸化炭素用赤外線検出器とを使用する装置の概略


8

H 1665-1988

付図 4  不活性ガス融解−赤外線吸収法  窒素と一酸化炭素用赤外線検出器とを使用する装置の概略

付図 5  不活性ガス融解−赤外線吸収法  アルゴンと一酸化炭素用赤外線検出器とを使用する装置の概略


9

H 1665-1988

ジルコニウム及びジルコニウム合金中の酸素定量方法改正

JIS

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

多  田  格  三

日本原子力研究所

橋  谷      博

島根大学

吉  森  孝  良

東京理科大学

名  井      肇

通商産業省基礎産業局

安  部      恵

工業技術院標準部

大河内  春  乃

科学技術庁金属材料技術研究所

澤  口  健  治

社団法人新金属協会

谷  口  政  行

株式会社神戸製鋼所

中  村      靖

日本鉱業株式会社

仲  山      剛

住友金属工業株式会社

野  村  紘  一

三菱金属株式会社

秋  山  孝  夫

動力炉・核燃料開発事業団

岡  下      弘

日本原子力研究所

小  川  欣  也

日本ニュクリア・フュエル株式会社

束  原      巌

古河電気工業株式会社

(事務局)

今  井  康  弘

社団法人新金属協会