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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1653-1991 

ジルコニウム及びジルコニウム 

合金中の窒素定量方法 

Methods for determination of nitrogen 

 in zirconium and zirconium alloys 

1. 適用範囲 この規格は,ジルコニウム及びジルコニウム合金中の窒素定量方法について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS H 1650 ジルコニウム及びジルコニウム合金の分析方法通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準試薬 

2. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1650による。 

3. 定量方法の区分 窒素の定量方法は,次のいずれかによる。 

(1) アンモニア蒸留分離アミド硫酸滴定法 この方法は,窒素含有率0.001wt%以上0.02wt%以下の試料に

適用する。 

(2) チモール吸光光度法 この方法は,窒素含有率0.001wt%以上0.02wt%以下の試料に適用する。 

(3) 不活性ガス融解−熱伝導度法 この方法は,窒素含有率0.001wt%以上0.02wt%以下の試料に適用する。 

4. 試料の調製 試料の調製は,次のいずれかによる。ただし,塊の場合には,やすり研磨又は化学研磨

を用い,切粉の場合には化学研磨を用いる。 

(1) やすり研磨 

(a) あらかじめジルコニウム又はジルコニウム合金でこすった中目又は細目のやすりで新しい面が出る

まで研磨する(1)。 

(b) やすり研磨した試料の表面をアセトンを浸み込ませたガーゼで強くふいた後,アセトンで洗浄する。

この代わりにやすり研磨した試料をアセトン中で超音波洗浄してもよい。 

(c) 洗浄した試料は,送風乾燥してアセトンを除去した後,ひょう量瓶などに入れてデシケーター中に

保存する。 

注(1) 摩擦熱によって試料の温度が上がり,空気中の窒素を取り込まないようにゆっくりとやすり研

磨する。 

(2) 化学研磨 

(a) 試料を硝酸 (1+1) 100mlとふっ化水素酸5mlとの混酸に,約20℃で切粉の場合には10秒間,塊の

場合には50秒間浸す。 

H 1653-1991 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(b) 化学研磨した試料を,超音波洗浄器を用いて水,エタノール及びアセトン中で1分間ずつ順次洗浄

する。 

(c) (1)(c)に従って試料を保存する。 

5. アンモニア蒸留分離アミド硫酸滴定法 

5.1 

要旨 試料を塩酸及びふっ化水素酸で分解した後,水酸化ナトリウムを加えて水蒸気蒸留を行う。

水蒸気とともに留出したアンモニアをほう酸溶液に吸収させ,アミド硫酸標準溶液で滴定する。 

5.2 

試薬 試薬は,次による。 

(1) 水 JIS K 8001の3.8(二酸化炭素を含まない水)に規定する水を用いる。 

(2) 塩酸 (1+1) 

(3) ふっ化水素酸 

(4) ほう酸溶液 (1g/l) 

(5) 水酸化ナトリウム溶液 (500g/l) 

(6) アミド硫酸標準溶液 (0.693gHOSO2NH2/l)  アミド硫酸 (JIS K 8005) 0.693gを水(1)約100mlに溶解し

た後,1 000mlの全量フラスコに水(1)を用いて移し入れ,水(1)で標線まで薄める。この溶液1mlは,

窒素100μgに相当する。 

(7) メチルレッド・メチレンブルー混合溶液 メチルレッド0.10gとメチレンブルーn水和物0.10gとをエ

タノール(95)に溶解した後,エタノール(95)で200mlとする。 

5.3 

装置 装置は,水蒸気蒸留装置を用いる。水蒸気蒸留装置は,硬質ガラスで作製し,水蒸気発生フ

ラスコ(a),トラップ(b),蒸留フラスコ(c),漏斗(d),球室(f)及び蛇管冷却器(e)からなる。トラップ(b)の底

部の小管には,ピンチコックを付けたゴム管を接続し,トラップ(b)中に挿入した水蒸気導入管の先端(g)

には小穴2個を開ける。 

また,蒸留フラスコ(c)の中に挿入した水蒸気導入管は途中(h)でゴム管接続とし,先端部(i)を交換できる

ようにする。各部はすり合わせ連結を行い,スプリング又はクランプで固定する。受器には硬質ガラス製

三角フフスコ (300ml) を使用する。水蒸気蒸留装置の例を図1に示す。 

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図1 水蒸気蒸留装置の例 

5.4 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,表1による。 

表1 試料はかり取り量 

窒素含有率 

wt% 

試料はかり取り量 

0.001以上 0.002未満 

10 

0.002以上 0.02以下 

5.5 

操作(2) 

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5.5.1 

試料溶液の調製 試料をはかり取って,ポリエチレンビーカー (300ml) に移し入れる。ポリエチ

レン時計皿で覆い,水 [5.2(1)] 約50ml及び塩酸 (1+1) 50mlを加える。ふっ化水素酸10mlを少量ずつ加

えて分解した後,水浴上で加熱して完全に分解する。時計皿の下面を少量の水 [5.2(1)] で洗浄して時計皿

を取り除く。 

注(2) 操作は,大気中に窒素化合物を含まない室内で行う。 

5.5.2 

アンモニアの蒸留 アンモニアの蒸留は,次の手順によって行う。 

(1) 水蒸気蒸留装置 (5.3)(3)(4)の蒸留フラスコ(c)に水酸化ナトリウム溶液75mlを入れる。 

(2) 受器の三角フラスコ (300ml) にほう酸溶液20mlを正しく加えた後,蒸留装置の蛇管冷却器(e)の先端

が受器の三角フラスコのほう酸溶液中に入るようにする。 

(3) 5.5.1で得た溶液を漏斗(d)から静かに蒸留フラスコ(c)に流し入れた後,水 [5.2(1)] でビーカーの内壁

及び漏斗を洗浄し,蒸留フラスコに流し入れ,水 [5.2(1)] で液量を約250mlとし,漏斗(d)のコックを

閉じる。 

(4) 水蒸気発生フラスコ(a)の電源を入れ,トラップ(b)の下部のピンチコックを閉じて水蒸気を送り,水蒸

気蒸留を行う。受器の三角フラスコ中の全液量が約120mlに達したら,三角フフスコを下げて蛇管冷

却器(e)の先端を液面から離し,しばらく蒸留を続けて蛇管冷却器の内部を洗浄する。水蒸気発生フラ

スコ(a)の電源を切って,水蒸気の発生を止め(5),蛇管冷却器(e)の先端の外側を水 [5.2(1)] で洗浄する。 

注(3) 新しい蒸留装置を使用する場合,又は引き続き使用しなかった場合には,あらかじめ蛇管冷却

器(e)に水を通さないで2〜3時間蒸留洗浄を行う。 

(4) 水蒸気発生フラスコ(a)の水は,あらかじめ沸騰させてから用いる。沸騰させるときには,トラ

ップ(b)の下部のピンチコックを開いた状態で,水蒸気発生フラスコの電源を入れて行う。 

(5) 水蒸気発生フラスコ(a)の電源を断つと,トラップ(b)内は直ちに減圧となり,蒸留廃液は蒸留フ

ラスコ(c)からトラップ(b)に逆流するので,これをトラップ(b)の下部のピンチコックを開いて抜

き取り,次の蒸留に備える。 

5.5.3 

滴定 5.5.2(4)で得た三角フラスコの溶液にメチルレッド・メチレンブルー混合溶液 [5.2(7)] 約3

滴を指示薬として加え,アミド硫酸標準溶液 [5.2(6)] で滴定し,溶液が最後の一滴で紫紅色に変わった点

を終点とし,アミド硫酸標準溶液の使用量を求める。 

5.6 

空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を行う(6)。 

注(6) この操作での空試験値は,窒素として0.03mg以下でなければならない。 

5.7 

計算 試料中の窒素含有率を,次の式によって算出する。 

窒素 

100

10

000

.0

)

(

%

2

1

×

×

=

m

V

V

wt

ここに, 

V1: 5.5.3で得たアミド硫酸標準溶液使用量 (ml) 

V2: 5.6で得たアミド硫酸標準溶液使用量 (ml) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

6. チモール吸光光度法 

6.1 

要旨 試料を硫酸,塩酸,ふっ化水素酸及びほう酸で分解し,くえん酸ナトリウム,水酸化ナトリ

ウム,ペンタシアノニトロシル鉄 (Ⅲ) 酸ナトリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,次亜塩素

酸ナトリウム及びチモールを加えて呈色させ,光電光度計を用いて,その吸光度を測定する。 

6.2 

試薬(7) 試薬は,次による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 塩酸 

(2) 硫酸 (1+1) 

(3) ふっ化水素酸・ほう酸溶液 ほう酸50gを少量ずつふっ化水素酸100mlに加えて溶解し,ポリエチレ

ン瓶に保存する。この溶液を水で5倍に薄めて使用する。 

(4) 水酸化ナトリウム溶液 (400g/l) 

(5) 過酸化水素 

(6) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素含有率3g/l) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素含有率

100g/l)を水で30倍に薄め,褐色瓶に保存する。冷暗所に保存すれば1か月間は使用しても差し支え

ない。 

(7) 炭酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウム溶液 (pH10)  炭酸ナトリウム7.94gと炭酸水素ナトリウム

5.04gとを水に溶解し,水で液量を1lとする。 

(8) ペンタシアノニトロシル鉄 (III) 酸ナトリウム溶液 ペンタシアノニトロシル鉄 (III) 酸ナトリウム

二水和物2.0gを水に溶解し,水で液量を100mlとする。褐色瓶に保存すれば1か月間は使用しても差

し支えない。 

(9) りん酸水素二ナトリウム溶液 りん酸水素二ナトリウム・12水36gを水に溶解し,水で液量を500ml

とする。 

(10) くえん酸三ナトリウム溶液 くえん酸三ナトリウム二水和物250gを水に溶解し,水で液量を1lとす

る。 

(11) チモール溶液 チモール3gを水酸化ナトリウム溶液 (20g/l) 100mlに溶解する。褐色瓶に保存すれば

少なくとも2週間は使用しても差し支えない。 

(12) 標準窒素溶液 (2μgN/ml)  塩化アンモニウム0.381 9gを水で溶解し,1 000mlの全量フラスコに水を

用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (100μgN/ml) とする。この原液を使用の都度,必要量だけ

水で正しく50倍に薄めて標準窒素溶液とする。 

(13) フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン0.10gをエタノール (95) 90mlに溶解し,水で液量

を100mlとする。 

注(7) 酸,過酸化水素は,できるだけアンモニア態窒素含有率の低いものを用い,開封後は汚染に注

意する。 

6.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,表2による。 

表2 試料はかり取り量 

窒素含有率 

wt% 

試料はかり取り量 

0.001以上0.006未満 

0.8 

0.006以上0.01  未満 

0.5 

0.01 以上0.02  以下 

0.2 

6.4 

操作(8) 

6.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

(1) 試料をはかり取って四ふっ化エチレン樹脂ビーカー (100ml) に移し入れ,ポリエチレン時計皿で覆い,

硫酸 (1+1) 2ml,塩酸3ml及びふっ化水素酸・ほう酸溶液 [6.2(3)] 5mlを加えて分解する(9)。 

(2) 過酸化水素0.5mlを加えた後,少量の水でビーカーの内壁を洗い,時計皿の下面を水で洗って時計皿

を取り除き,引き続き水浴上で加熱してほとんど溶液がなくなるまで蒸発する(10)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(3) くえん酸三ナトリウム溶液 [6.2(10)] 20mlを加え,水浴上で加熱して析出した塩類を溶解する。 

注(8) 操作は,大気中にアンモニア態窒素を含まない室内で行う。 

(9) 分解の速さは試料の厚さによって異なり,必要がある場合は水浴上で加熱して分解する。 

(10) 乾固すると溶けなくなるので注意を要する。塩が析出して溶液がなくなるかシロップ状になっ

たところで加熱をやめる。 

6.4.2 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

(1) 6.4.1(3)で得た溶液を常温まで冷却した後,水で液量を70mlとし,フェノールフタレイン溶液 [6.2(13)] 

1滴を加え,溶液が微桃色を呈するまで水酸化ナトリウム溶液を滴加する。 

(2) ペンタシアノニトロシル鉄 (III) 酸ナトリウム溶液 [6.2(8)] 2mlを加えた後,炭酸ナトリウム・炭酸水

素ナトリウム溶液 [6.2(7)] 4mlを加える。 

(3) 次亜塩素酸ナトリウム溶液 [6.2(6)] 0.5mlを加えた後,直ちにチモール溶液 [6.2(11)] 2mlを加え(11),

水酸化ナトリウム溶液を3ml加える。 

(4) りん酸水素二ナトリウム溶液 [6.2(9)] 3mlを加えた後,100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,

水で標線まで薄める。 

注(11) 次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えた後チモール溶液を加えるまでの時間に比例して吸光度は減

少するが,1分以内なら減少率は2%以下なので,できるだけ速やかに操作することが望ましい。 

6.4.3 

吸光度の測定 6.4.2(4)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として

波長690nm付近の吸光度を測定する。 

6.5 

空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

6.6 

検量線の作成 数個の100mlの全量フラスコに標準窒素溶液 [6.2(12)] 0〜30.0ml(窒素として0〜

60g)の各種液量を段階的に取り,水で液量を70mlとした後,炭酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウム溶液 

[6.2(7)] 2ml及びペンタシアノニトロシル鉄 (III) 酸ナトリウム溶液 [6.2(8)] 2mlを加える。以下,6.4.2(3)

〜6.4.3の手順に従って操作し,得た吸光度と窒素量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように

平行移動して検量線とする。 

6.7 

計算 6.4.3で得た吸光度から6.5で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,6.6で作成した検量

線とから窒素量を求め,試料中の窒素含有率を次の式によって算出する。 

窒素 

100

%

×

=mA

wt

ここに, A: 試料溶液中の窒素検出量 (g) 
 

m: 試料はかり取り量 (g) 

7. 不活性ガス融解−熱伝導度法 

7.1 

要旨 黒鉛るつぼを用い,ヘリウム気流中で試料を白金と共にインパルス方式によって加熱融解し,

窒素を窒素ガスとして他のガスと共に抽出する。加熱した酸化銅 (II) で抽出ガス中の一酸化炭素を二酸化

炭素に,また水素を水に酸化した後,水を脱水管で除去する。二酸化炭素を二酸化炭素吸収管で除去して

窒素だけを熱伝導度検出器に導くか,二酸化炭素と窒素とを分離管を通して分離して窒素だけを熱伝導度

検出器に導き,窒素による熱伝導度の変化を測定する。 

7.2 

材料及び試薬 材料及び試薬は,次による。 

(1) 白金 窒素含有率0.000 5wt%以下で,直径約3mmの線又は厚さ0.01〜0.03mmのはく(箔)を使用す

る。線を用いる場合には長さ約5mmに,また,はくを用いる場合には試料を包みやすい大きさに,

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あらかじめエチルエーチル,アセトンなどで清浄にした金切りはさみ,ペンチなどを用いて切断した

後,表面をアセトンで洗浄し,乾燥してデシケーター中に保存する。 

(2) ヘリウム 99.99vol%以上のもの。 

(3) 黒鉛るつぼ 使用するインパルス炉に適合するもの。その一例を図2に示す。 

図2 黒鉛るつぼの一例 

7.3 

装置 

7.3.1 

装置の構成 装置は,ヘリウム清浄部,ガス抽出部,抽出ガス精製部,ガス測定部などで構成する。

装置の概略を図3及び図4に示す。 

図3 不活性ガス融解−熱伝導度法 分離管を使用しない装置の概略 

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図4 不活性ガス融解−熱熟伝導度法 分離管を用いる装置の概略 

7.3.2 

ヘリウム清浄部 ヘリウム清浄部は,脱酸素管,二酸化炭素吸収管,脱水管,電気抵抗加熱炉など

で構成する。 

(1) 脱酸素管 ステンレス鋼管に還元銅を詰めたもの。電気抵抗加熱炉で加熱して使用する。 

(2) 二酸化炭素吸収管 ガラス管にソーダ石灰又は水酸化ナトリウムを詰めたもの。 

(3) 脱水管 ガラス管に過塩素酸マグネシウムを詰めたもの。 

7.3.3 

ガス抽出部 ガス抽出部は,試料投入器,インパルス炉などで構成する。 

(1) 試料投入器 ヘリウム雰囲気中で試料をインパルス炉に投入できるもの。 

(2) インパルス炉 固定された上部水冷銅電極及び上下に移動ができる下部水冷銅電極で構成し,両電極

の間に挟んだ黒鉛るつぼ [7.2(3)] を通電によって数秒間で2 000〜2 500℃に昇温できるもの。 

7.3.4 

抽出ガス精製部 抽出ガス精製部は,分離管を用いない場合と分離管を用いる場合とで構成が異な

る。 

(1) 分離管を用いない場合(図3参照) 収じん管,酸化管,脱水管,二酸化炭素吸収管などで構成する。 

(a) 収じん管 ガラス管にガラスウールを詰めたもの。 

(b) 酸化管 ステンレス鋼管又はガラス管に酸化銅 (II) を詰めたもの。電気抵抗加熱炉によって加熱し

て使用する。 

(c) 脱水管 ガラス管に過塩素酸マグネシウムを詰めたもの。 

(d) 二酸化炭素吸収管 ガラス管にソーダ石灰又は水酸化ナトリウムを詰めたもの。 

(2) 分離管を用いる場合(図4参照) 収じん管,酸化管,脱水管,分離管などで構成する。 

(a) 収じん管 7.3.4(1)(a)と同じもの。 

(b) 酸化管 7.3.4(1)(b)と同じもの。 

(c) 脱水管 7.3.4(1)(c)と同じもの。 

(d) 分離管 ステンレス鋼管又は四ふっ化エチレン樹脂管にシリカゲルを詰めたもの。 

7.3.5 

ガス測定部 ガス測定部は,熱伝導度検出器,指示計などで構成する。 

(1) 熱伝導度検出器 特性の合ったサーミスタを挿入した対照セル,試料セルなどで構成する。 

(2) 指示計 熱伝導度検出器で検出された窒素に基づく信号を読み取ることのできるもの。 

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7.4 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.1〜0.3gとする。 

7.5 

操作(12) 

7.5.1 

準備操作 準備操作は,次の手順によって行う。 

(1) 装置に冷却水及びヘリウム [7.2(2)] を供給した後,電源を入れる。装置各部を所定の条件に設定し,

装置の各部を安定させる。 

(2) 新しい黒鉛るつぼ [7.2(3)] を所定の位置に設置し,インパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度

に加熱する(13)。 

(3) (2)の黒鉛るつぼをガス抽出温度に加熱し(14),指示計の値を読み取る。安定した指示計の値が得られる

までこの操作を繰り返す(15)。 

注(12) 操作の細かい手順は,装置によって異なるので,その装置に指定された手順に従う。 

(13) 黒鉛るつぼ温度のパラメータとして,黒鉛るつぼに流れる電流又は電力の値を読み,ガス抽出

の電流又は電力の値より高いことを確認する。 

(14) あらかじめ窒素含有率が既知のジルコニウム又はジルコニウム合金試料を用いてガス抽出温度

のパラメータとして最適な電流又は電力の値を求めておく。 

(15) (2)で脱ガスした黒鉛るつぼを繰り返し用いる。 

7.5.2 

定量操作 定量操作は,準備操作,空試験及び検量線の作成に引き続き,次の手順によって行う。 

(1) 新しい黒鉛るつぼ [7.2(3)] を所定の位置に設置する。 

(2) 試料及び白金 [7.2(1)] をはかり取る(16)。 

(3) はかり取った試料を白金と共に試料投入器に入れる(17)。 

(4) インパルス炉に通電して黒鉛るつぼを脱ガス温度に加熱し(13),黒鉛るつぼの脱ガスを行う。 

(5) 白金と共に分析試料を黒鉛るつぼに投入する(18)。インパルス炉に通電して黒鉛るつぼをガス抽出温度

に加熱し,指示計の値を読み取る。 

注(16) 白金の使用量は,使用する装置によって異なるので,あらかじめ窒素含有率既知のジルコニウ

ム又はジルコニウム合金試料を用いて,その装置に適した使用量を求めておく。通常は,試料

はかり取り量の10倍量を用いることが多い。 

(17) 白金はくを用いる場合には,はかり取った試料をはくで包んで試料投入器に入れる。白金線を

用いる場合には,(3)の操作は行わない。 

(18) 白金線を用いる場合には,(4)で脱ガスした黒鉛るつぼの中に(2)ではかり取った白金を敷き,そ

の上に(2)の試料を黒鉛るつぼに触れないように置く。 

7.6 

空試験 準備操作に引き続き,試料を用いないで,7.5.2の(1)〜(5)の手順に従って試料と同じ操作を

数回繰り返す(19)。 

注(19) 通常は,5〜6回繰り返す。連続して分析する場合,試料が変わっても黒鉛るつぼのロットが同

じであれば,再度空試験を行わなくてもよい。 

7.7 

検量線の作成 検量線の作成は,次による。 

(1) 窒素含有率既知のジルコニウム又はジルコニウム合金試料を用いて,空試験に引き続き,7.5.2の(1)

〜(5)の手順に従って試料と同じ操作を数回繰り返す(20)。 

注(20) 通常は,5〜6回繰り返す。連続して分析する場合,試料が変わっても,再度検量線を作成しな

くてもよい。 

(2) (1)で用いた試料中の平均窒素質量に対して,読取り値の平均から空試験の平均値を差し引いた値をプ

ロットする。プロットした点と原点とを直線で結び検量線とする。 

10 

H 1653-1991 

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7.8 

計算 7.5.2(5)で読み取った値から7.6で読み取った値の平均値を差し引いた値と,7.7で作成した検

量線とから窒素量を求め,試料中の窒素含有率を次の式によって算出する。 

窒素 

100

%

×

=mA

wt

ここに, A: 窒素検出量 (g) 
 

m: 試料はかり取り量 (g) 

関連規格 JIS H 4751 ジルコニウム合金管 

ASTM E 146 Zirconium and Zirconium Alloys 

ジルコニウム及びジルコニウム合金中の窒素定量方法 

改正JIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

多 田 格 三 

日本原子力研究所 

橋 谷   博 

島根大学 

光 川   寛 

通商産業省基礎産業局 

池 田   要 

工業技術院標準部 

大河内 春 乃 

科学技術庁金属材料技術研究所 

澤 口 健 治 

社団法人新金属協会 

谷 口 政 行 

株式会社コベルコ科研 

中 村   靖 

日本鉱業株式会社 

原 田   誠 

住友金属工業株式会社 

佐 山 恭 正 

三菱金属株式会社 

岡 本 文 敏 

動力炉・核燃料開発事業団 

星 野   昭 

日本原子力研究所 

澤 村 真 一 

日本ニユクリア・フユエル株式会社 

(関係者) 

津 金 秀 幸 

工業技術院標準部材料規格課 

高 島 教一郎 

日本原子力研究所 

今 北   毅 

株式会社コベルコ科研 

岡   圭 男 

住友金属工業株式会社 

(事務局) 

今 井 康 弘 

社団法人新金属協会