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H 1359 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS H 1359 : 1972 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,規定する二つの定量方法のうち国際規格 ISO 6827 : 1981, Aluminium and aluminium

alloys

−Determination of titanium content−Diantipyrylmethane photometric method(アルミニウム及びアルミニ

ウム合金−チタン定量方法−ジアンチピリルメタン吸光光度法)と対応する方法について整合させた。


日本工業規格

JIS

 H

1359

: 1998

アルミニウム及びアルミニウム

合金中のチタン定量方法

Methods for determination of titanium in aluminium and aluminium alloys

序文  この規格は,1981 年に第 1 版として発行された ISO 6827, Aluminium and aluminium alloys−

Determination of titanium content

−Diantipyrylmethane photometric method を元に,対応する部分については,

技術的に差異のないことを確認して作成した日本工業規格である。

なお,対応国際規格がない一つの定量方法を日本工業規格として追加している。

1.

適用範囲  この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金中のチタン定量方法について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 6827 : 1981

  Aluminium and aluminium alloys − Determination of titanium content −

Diantipyrylmethane photometric method

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS H 1351

  アルミニウム及びアルミニウム合金の分析方法通則

JIS H 2151

  スポンジチタン

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0115

  吸光光度分析通則

3.

一般事項  この方法に共通な一般事項は,JIS H 1351JIS K 0050 及び JIS K 0115 の規定による。

4.

定量方法の区分  チタンの定量方法は,次のいずれかによる。

a)

過酸化水素吸光光度法  この方法は,チタン含有率 0.001% (m/m)  以上 0.3% (m/m)  以下の試料に適用

する。ただし,けい素含有率の高い試料及びバナジウム又はクロムを含む試料には適用しない。

b)

ジアンチピリルメタン吸光光度法  この方法は,チタン含有率 0.001% (m/m)  以上 0.3% (m/m)  以下の

試料に適用する。

5.

過酸化水素吸光光度法

5.1

要旨  試料を水酸化ナトリウムで分解した後,硫酸及び硝酸を加えて酸性とし,これにりん酸と過

酸化水素を加えて呈色させ,光度計を用いて,その吸光度を測定する。

5.2

試薬  試薬は,次による。


2

H 1359 : 1998

a)

混酸  水 500ml 中に硫酸(1+1)160ml 及び硝酸 340ml を加える

b)

りん酸

c)

水酸化ナトリウム溶液  水酸化ナトリウム 40g を水 100ml に溶解して,ポリエチレン瓶に保存し,そ

の上澄み液を使用する。

d)

過酸化水素(1+9)

e)

炭酸ナトリウム

f)

標準チタン溶液 (0.1mgTi/ml)    金属チタン[99.6% (m/m)  以上,JIS H 2151 の 1 種相当品]0.100g を

はかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,硫酸(1+1)50ml 及び塩酸(1+1)10ml を加え,加熱して分

解した後,更に硝酸(1+1)1ml を加え,加熱蒸発して硫酸の白煙を発生させる。放冷した後,注意しな

がら水約 10ml を少量ずつ加え,可溶性塩類を溶解する。常温まで冷却した後,溶液を 1 000ml の全量

フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

5.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,試料中のチタン含有率に応じ,表 に従って 1mg のけた

まではかる。

表 1  試料はかり取り量

チタン含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

                        0.005

未満

5.0

  0.005

以上 0.02

未満

3.0

  0.02

以上 0.1

未満

1.0

  0.1

以上 0.3

以下

 0.50

5.4

操作

5.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

試料中のチタン含有率が 0.02% (m/m)  以上 0.3% (m/m)  以下の場合

1)

試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。

2)

時計皿で覆い,試料はかり取り量に応じて,水酸化ナトリウム溶液  [5.2 c)]  を

表 に従って少量ず

つ加え,激しい反応が終わった後,穏やかに加熱して完全に分解する。

3)

放冷した後,溶液を振り混ぜながら混酸  [5.2 a)] 50ml を加えて酸性とし,加熱して可溶性塩類を溶

解し,更に煮沸して酸化窒素などを追い出し,常温まで冷却する。

4)

時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除く。

5)

溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れる。

b)

試料中のチタン含有率が 0.02% (m/m)  未満の場合

1)

試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。

2)

時計皿で覆い,試料はかり取り量に応じて,水酸化ナトリウム溶液  [5.2 c)]  を

表 に従って,少量

ずつ加え,激しい反応が終わった後,穏やかに加熱して完全に分解する。

3)

放冷した後,炭酸ナトリウム約 2g 及び温水約 200ml を加え,沈殿をこし分け,温水で沈殿及びろ

紙を十分に洗浄する。ろ液及び洗液は捨てる。沈殿を温水を用いて元のビーカーに洗い移し,ろ紙

上から混酸  [5.2 a)] 50ml を注いで沈殿を移し入れたビーカーに受け,ろ紙に付着した沈殿及びビー

カー中の沈殿を溶解する。溶液を煮沸して酸化窒素などを追い出した後,常温まで冷却する。

4)

時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除く。

5)

溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れる。


3

H 1359 : 1998

表 2  水酸化ナトリウム溶液使用量

試料はかり取り量

g

水酸化ナトリウム溶液使用量

ml

5.0 40

3.0 20

1.0 10

 0.50

10

5.4.2

呈色  5.4.1 の a)5)又は b)5)で得た溶液にりん酸 5ml 及び過酸化水素(1+9)5ml を加え,水で標線ま

で薄める。

5.4.3

対照液の調製  対照液の調製は,次の手順によって行う。

a)

5.4.1

の a)1)又は b)1)ではかり取った試料と同量の試料を別にはかり取って,ビーカー (300ml) に移し

入れる。以下,5.4.1 a)の 2)5)又は 5.4.1 b)の 2)5)の手順に従って,5.4.1 の a)1)又は b)1)ではかり取

った試料と並行して操作する。

b)

りん酸 5ml を加え,水で標線まで薄める。

5.4.4

吸光度の測定  5.4.2 で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,5.4.3 b)で得た溶液を

対照液として,波長 400nm 付近の吸光度を測定する。

5.5

空試験  空試験は,行わない。

5.6

検量線の作成  検量線の作成は,次の手順によって行う。

a)

数個の 100ml の全量フラスコに標準チタン溶液  [5.2 f)] 0∼20.0ml(チタンとして 0∼2mg)を段階的に

取り,これを第一系列とする。

b)  a)

と同じ数の 100ml の全量フラスコに,標準チタン溶液  [5.2 f)]  を a)と同量ずつ段階的に取り,これ

を第二系列とする。

c)

各全量フラスコに水酸化ナトリウム溶液  [5.2 c)] 10ml,混酸  [5.2 a)] 50ml 及びりん酸 5ml を加える。

d)

第一系列の全量フラスコに過酸化水素(1+9)5ml を加えた後,水で標線まで薄め,第二系列の全量フラ

スコに水を加えて標線まで薄める。

e)

溶液の一部を光度計の吸収セルに取り,第一系列の溶液の波長 400nm 付近の吸光度を,チタン量が同

じ第二系列の溶液を対照液として,それぞれ測定し,得た吸光度とチタン量との関係線を作成して検

量線とする。

5.7

計算  5.4.4 で得た吸光度と 5.6 で作成した検量線とからチタン量を求め,試料中のチタン含有率を,

次の式によって算出する。

100

×

m

A

Ti

ここに,

Ti

:  試料中のチタン含有率 [% (m/m)]

A

:  試料溶液中のチタン検出量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)

6.

ジアンチピリルメタン吸光光度法

6.1

要旨

  試料を塩酸と過酸化水素とで分解した後,溶液の一部を分取し,アスコルビン酸とジアンチ

ピリルメタンとを加えてチタンを呈色させ,光度計を用いて,その吸光度を測定する。

6.2

試薬

  試薬は,次による。

a)

塩酸(1+1,1+19)


4

H 1359 : 1998

b)

硝酸(1+1)

c)

ふっ化水素酸

d)

硫酸(1+1)

e)

過酸化水素

f)

 L

(

+)  ‐アスコルビン酸溶液  L (+)  ‐アスコルビン酸 10g を 100ml の水に溶解する。この溶液は使

用の都度,必要量を調製する。

g)

ジアンチピリルメタン溶液  ジアンチピリルメタン一水和物 4g を塩酸(1+19)100ml に溶解する。この

溶液は使用の都度,必要量を調製する。

h)

標準チタン溶液 (10

µ

gTi/ml)

  標準チタン溶液 (0.1mg/ml) [

5.2 e)

]

を塩酸(1+19)で正しく 10 倍に薄

めて,標準チタン溶液とする。

6.3

試料はかり取り量

  試料はかり取り量は,1.00g とし,1mg のけたまではかる。

6.4

操作

6.4.1

試料溶液の調製

  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,塩酸(1+1)30ml を加え,加熱して分解する。激しい反応が終わった後,過酸化水素 1ml

を加え,穏やかに加熱して完全に分解し,更に加熱を続け,過剰の過酸化水素を分解する。常温まで

冷却した後,時計皿の下面とビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除く

(

1

)

c)

溶液をろ紙(5 種 B)を用いてろ過し,ろ紙及び不溶解物を水で洗浄し,洗液はろ液と合わせて主液

としてビーカー (300ml) に保存する。不溶解物はろ紙とともに白金るつぼ(20 番)に移し入れ,加熱

してろ紙を灰化する。放冷した後,硝酸(1+1)5ml を加え,ふっ化水素酸 3ml を少量ずつ加えて不溶

解物を完全に分解する。硫酸(1+1)を,3,4 滴加え,加熱蒸発して硫酸の白煙を発生させる。放冷し

た後,少量の温水を加えて塩類を溶解する。溶液を主液の入ったビーカーに水を用いて移し入れ,液

量が約 80ml になるまで加熱して濃縮した後,常温まで冷却する。

d)

溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

(

1

)

溶液中に不溶解物が認められない場合には,次の

c)

の操作は行わない。

6.4.2

呈色

  呈色は,次の手順によって行う。

a)

6.4.1 d)

で得た溶液を,チタン含有率に応じて

表 3

に従って,2 個の 50ml 全量フラスコに分取する

(

2

)

表 3  分取量

チタン含有率

% (m/m)

分取量

ml

 0.001

以上 0.05 未満

20

 0.05

以上 0.10 未満

10

 0.10

以上

0.3

以下

4

b)

 L

(

+)  ‐アスコルビン酸溶液  [

6.2 f)

] 2ml

を加えて振り混ぜ,2∼3 分間放置した後,全量フラスコの 1

個にジアンチピリルメタン溶液  [

6.2 g)

] 10ml

を加え,水で標線まで薄め,残りの 1 個には,ジアンチ

ピリルメタン溶液を加えないで,水で標線まで薄め,15 分間放置する。

(

2

)

銅含有率が2.5% (m/m)  以上で分取量が20ml の場合には,塩酸(1+1)10ml を加える。

6.4.3

吸光度の測定

6.4.2 b)

で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,ジアンチピリルメ

タン溶液を加えない溶液を対照液として,ジアンチピリルメタン溶液を加えた溶液の波長 390nm 付近の吸

光度を測定する

(

3

)


5

H 1359 : 1998

(

3

)

試料中のチタン含有率が0.005% (m/m)  以下の試料では,50mm の吸収セルを用いるのが望まし

い。

6.5

空試験

  試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。

なお,空試験液の吸光度の測定は,水を対照液とする。

6.6

検量線の作成

  検量線の作成は,次の手順によって行う。

a)

数個の 50ml の全量フラスコに標準チタン溶液  [

6.2 h)

] 0

∼12.0ml(チタンとして 0∼120

µ

g

)を段階的

に取り,これを第一系列とする。

b)

a)

と同じ数の 50ml の全量フラスコに,標準チタン溶液  [

6.2 h)

]

a)

と同量ずつ段階的に取り,これ

を第二系列とする。

c)

各全量フラスコに塩酸(1+1)10ml を加えた後,L (+) -アスコルビン酸溶液  [

6.2 f)

] 2ml

を加えて振り混

ぜ,2∼3 分間放置する。

d)

第一系列の全量フラスコにジアンチピリルメタン溶液  [

6.2 g)

] 10ml

を加え,水で標線まで薄め,第二

系列の全量フラスコに水を加えて標線まで薄める。

e)

溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,第一系列の溶液の波長 390nm 付近の吸光度を,チタ

ン量が同じ第二系列の溶液を対照液としてそれぞれ測定し,得た吸光度とチタン量との関係線を作成

して検量線とする。

6.7

計算

6.4.3

で得た吸光度から,

6.5

で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,

6.6

で作成した検

量線とからチタン量を求め,試料中のチタン含有率を,次の式によって算出する。

100

100

1 ×

×

B

m

A

Ti

ここに,  Ti:  試料中のチタン含有率 [% (m/m)] 

A

:  分取した試料溶液中のチタン検出量 (g)

B

:  分取した試料溶液の量 (ml)

m

:  試料はかり取り量 (g)


6

H 1359 : 1998

JIS

アルミニウム分析改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

畦  上      尚

株式会社日軽分析センター機器分析室

藤  沼      弘

東洋大学工学部

村  上  徹  朗

工学院大学

俣  野  宣  久

川崎製線株式会社

大河内  春  乃

科学技術庁金属材料技術研究所

廣  瀬  浩  二

工業技術院標準部

山  村  修  蔵

財団法人日本規格協会技術部

荻  嶋      淳

三菱アルミニウム株式会社富士製作所

川  口      修

スカイアルミニウム株式会社技術研究所

北  村  照  夫

昭和アルミニウム株式会社技術研究所

泉          巌

日本軽金属株式会社蒲原製造所分析センター

中  田      滋

古河電気工業株式会社福井事業所

坂  巻      博

日本軽金属株式会社船橋工場

豊  嶋  雅  康

住友軽金属工業株式会社研究開発センター

山  田  哲  夫

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部

佐  藤      豊

東洋アルミニウム株式会社研究開発本部研究所

井  川  洋  志

昭和電工株式会社千葉事業所

久留須  一  彦

古河電気工業株式会社横浜研究所分析技術センター

水  砂  博  文

住友電気工業株式会社研究開発部特性評価センター

船  渡  好  人

株式会社島津製作所第一分析事業部

松  原  道  夫

セイコー電子工業株式会社科学機器営業部

(事務局)

井  波  隆  夫

社団法人軽金属協会技術開発部