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H 1358 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS H 1358 : 1972 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,規定する二つの定量方法のうち国際規格 ISO 3978 : 1976, Aluminium and aluminium

alloys

−Determination of chromium−Spectrophotometric method using diphenylcarbazide, after extraction(アルミ

ニウム及びアルミニウム合金−クロム定量方法−二クロム酸抽出分離ジフェニルカルバジド吸光光度法)

と対応する方法について整合させた。


日本工業規格

JIS

 H

1358

: 1998

アルミニウム及びアルミニウム

合金中のクロム定量方法

Methods for determination of chromium in aluminium and aluminium alloys

序文  この規格は,1976 年に第 1 版として発行された ISO 3978, Aluminium and aluminium alloys−

Determination of chromium

−Spectrophotometric method using diphenylcarbazide, after extraction を元に,対応す

る部分については技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,対応国際規格がない一つの定量方法を日本工業規格として追加している。

1.

適用範囲  この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金中のクロム定量方法について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 3978 : 1976

  Aluminium and aluminium alloys − Determination of chromium −

Spectrophotometric method using diphenylcarbazide, after extraction

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS H 1351

  アルミニウム及びアルミニウム合金の分析方法通則

JIS K 0115

  吸光光度分析通則

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8005

  容量分析用標準物質

3.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1351JIS K 0115JIS K 8001 及び JIS K 8005 の規

定による。

4.

定量方法の区分  クロムの定量方法は,次のいずれかによる。

a)

ペルオキソ二硫酸アンモニウム酸化硫酸アンモニウム鉄 (II) ・過マンガン酸カリウム逆滴定法  この

方法は,クロム含有率 0.05% (m/m)  以上 0.5% (m/m)  以下の試料に適用する。

b)

二クロム酸抽出分離ジフェニルカルバジド吸光光度法  この方法は,クロム含有率 0.002% (m/m) 以

上 0.6% (m/m)  以下の試料に適用する。


2

H 1358 : 1998

5.

ペルオキソ二硫酸アンモニウム酸化硫酸アンモニウム鉄 (II) ・過マンガン酸カリウム逆滴定法

5.1

要旨  試料を水酸化ナトリウムで分解し,硫酸と硝酸とを加えて酸性とし,加熱して溶解した後,

硝酸銀を触媒として,ペルオキソ二硫酸アンモニウムでクロム (III) を二クロム酸に酸化する二クロム酸

を過剰の硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液で還元した後,過剰の硫酸アンモニウム鉄 (II) を過マンガン

酸カリウム標準溶液で逆滴定する。

5.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸 (1+1)  

b)

硝酸

c)

硫酸 (1+1)  

d)

水酸化ナトリウム溶液  水酸化ナトリウム 20g を水 100ml に溶解し,ポリエチレン瓶に保存し,その

上澄み液を使用する。

e)

硝酸銀溶液 (10g/l)    この溶液は,褐色瓶に保存する。

f)

ペルオキソ二硫酸アンモニウム

g) 0.1mol/l

硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液 [39.21g  Fe (NH

4

)

2

 (SO

4

)

2

・6H

2

O/l]

  調製,標定及び保存

の方法は,JIS K 8001 の 4.5(27)による。

h) 0.02mol/l

過マンガン酸カリウム標準溶液  調製,規定及び保存の方法は,JIS K 8001 の 4.5(7)による。

5.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,試料中のクロム含有率に応じ,表 に従って 1mg のけた

まではかる。

表 1  試料はかり取り量

クロム含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

0.05

以上 0.15 未満

2.00

0.15

以上 0.5 以下

1.00

5.4

操作

5.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取って,ビーカー (500ml) に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,試料 1g について水酸化ナトリウム溶液  [5.2 d)] 15ml を加え,反応が穏やかになった

ら加熱して試料を完全に分解する。時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,室温まで冷却す

る。

c)

試料はかり取り量に応じ,

表 に従って硫酸 (1+1)  を加え,更に硝酸 2ml を加えて加熱溶解した後,

水で液量を約 300ml とする。

表 2  硫酸添加量

試料はかり取り量

g

硫酸 (1+1) 添加量

ml

2.00 29

1.00 25

5.4.2

クロムの酸化  クロムの酸化は,次の手順によって行う。

a)

5.4.1c)

で得た溶液に硝酸銀溶液  [5.2 e)] 3ml 及びペルオキソ二硫酸アンモニウム 3g を加え,2∼3 分間

煮沸してクロム (III) をニクロム酸に酸化する(

1

)

b)

過マンガン酸による赤紫色に呈色してから 1∼2 分間煮沸し,塩酸 (1+1) 2ml を 1 滴ずつ加えて過マ

ンガン酸を分解する。


3

H 1358 : 1998

c)

ときどき振り混ぜながら約 10 分間煮沸し,ペルオキソ二硫酸アンモニウムを分解する。

d)

時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,流水中で室温まで冷却した後,時計皿を取り除く。

(

1

)

試料中にマンガンが含まれていない場合には,次の b)の操作は行わない。

5.4.3

滴定  5.4.2 d)で得た溶液に 0.1mol/硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液  [5.2 g)]  を加えて二クロム

酸を還元して黄色を消失させた後,更に過剰に 5ml を加え,その使用量を正確に求める。直ちに 0.02mol/l

過マンガン酸カリウム標準溶液  [5.2 h)]  で滴定し,溶液の赤紫色が約 1 分間残る点を終点とし,0.02mol/l

過マンガン酸カリウム標準溶液の使用量を求める。

5.5

空試験  試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。

5.6

計算  試料中のクロム含有率を,次の式によって算出する。

100

734

001

.

0

)]

(

)

[(

2

4

1

3

2

2

1

1

×

×

×

×

×

×

m

F

V

F

V

F

V

F

V

C

r

ここに,

Cr

:  試料中のクロム含有率 [% (m/m)

V

1

:  5.4.3 で得た硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液の使用量 (ml)

F

1

:  5.2 g)で得た硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液のファクター

V

2

:  5.4.3 で得た過マンガン酸カリウム標準溶液の使用量 (ml)

F

2

:  5.2 h)で得た過マンガン酸カリウム標準溶液のファクター

V

3

:  5.5 で得た硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液の使用量 (ml)

V

4

:  5.5 で得た過マンガン酸カリウム標準溶液の使用量 (ml)

m

:  試料はかり取り量 (g)

6.

二クロム酸抽出分離ジフェニルカルバジド吸光光度法

6.1

要旨  試料を硝酸と硫酸との混酸で分解し,加熱蒸発して硫酸白煙を発生させ,放冷後,水を加え

て塩類を溶解する。硝酸二アンモニウムセリウム (IV) を加えてクロム (III) を二クロム酸に酸化する。二

クロム酸を 4−メチル−2−ペンタノンで有機相に抽出し,水で水相に逆抽出した後,ジフェニルカルバジ

ドを加えて呈色させ,光度計を用いて,その吸光度を測定する。

6.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸 (1+1,1+23)

b)

硝酸

c)

硝酸 (1+1)  

d)

ふっ化水素酸

e)

硫酸 (1+1,2+7)  

f)

混酸  硝酸 40ml に硫酸 (1+1) 60ml を加える。

g)

硝酸二アンモニウムセリウム (IV) 溶液  硝酸二アンモニウムセリウム (IV) 2.19g を少量の水に溶解

し,硫酸 (2+7) 25ml を加えた後,溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線ま

で薄める。

h)

ニッケル溶液 (1mgNi/ml)    ニッケル[99.9% (m/m)  以上]0.1g をはかり取って,ビーカー (300ml) に

移し入れ,硝酸 (1+1) 10ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,溶液を 100ml

の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

i)

アルミニウム溶液 (10mgAl/ml)    アルミニウム[99.99% (m/m)  以上でクロムを含まないもの]10.0g

をはかり取って,ビーカー (1 000ml) に移し入れ,ニッケル溶液  [h)] 20ml を加えた後,混酸  [f)] 300ml

を少量ずつ加え,穏やかに加熱して分解する。加熱を続けて硫酸白煙が発生し始めてから,更に 1∼2


4

H 1358 : 1998

分間加熱する。放冷した後,水を加えて塩類を溶解する。透明な溶液が得られるまで加熱し,常温ま

で冷却する。溶液を 1 000ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

j)

ジフェニルカルバジド溶液  ジフェニルカルバジド 0.25g を少量のアセトンに溶解し,25ml の全量フ

ラスコにアセトンを用いて移し入れ,アセトンで標線まで薄める。この溶液は使用の都度,調製する。

k)

  4

−メチル−2−ペンタノン

l)

標準クロム溶液 (5

µgCr/ml)    150℃で乾燥した二クロム酸カリウム  (JIS K 8005) 0.282 9g をはかり取

って,ビーカー (300ml) に移し入れ,水を加えて溶解し,溶液を 1 000ml の全量フラスコに水を用い

て移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (100

µgCr/ml)  とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水

で正しく 20 倍に薄めて標準クロム溶液とする。

6.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,試料中のクロム含有率に応じ,表 に従って 1mg のけた

まではかる。

表 3  試料はかり取り量

クロム含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

0.002

以上 0.03 未満 1.00

0.03

以上 0.1 未満 0.50

0.1

以上 0.6 以下 0.20

6.4

操作

6.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,試料 1g について混酸  [6.2 f)] 30ml を加え(

2

)

,穏やかに加熱して分解する。加熱を続け

て硫酸白煙が発生し始めてから,更に 1∼2 分間穏やかに加熱する。放冷した後,水 50ml を加え,加

熱して可溶性塩類を溶解し,常温まで放冷する。時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時

計皿を取り除く(

3

)

c)

けい素などの不溶解物をろ紙(5 種 B)を用いてこし分け,不溶解物とろ紙を温水で十分に洗い,ろ

液と洗液を合わせて主液として保存する。

d)

不溶解物をろ紙とともに白金るつぼ(30 番)に移し入れ,注意して加熱し,ろ紙を完全に灰化する。

白金るつぼを 700∼800℃の電気炉に入れ,約 10 分間加熱した後,電気炉から取り出し,室温まで放

冷する。

e)

硝酸 (1+1) 5ml を加えた後,ふっ化水素酸 3ml を少量ずつ加えて不溶解物を完全に分解する。硫酸 (1

+1) 2,3 滴を加え,加熱蒸発させて硫酸白煙を発生させた後,放冷する。温水約 10ml を加えて塩類

を溶解し,c)で保存しておいた主液の入ったビーカーに水を用いて移し入れる。

f)

溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。溶液をクロム含有率に応

じ,

表 に従ってトールビーカー (200ml) に分取し,表 に従ってアルミニウム溶液  [6.2 i)]  を加え

る。


5

H 1358 : 1998

表 4  分取量及びアルミニウム溶液添加量

クロム含有率

% (m/m)

分取量

ml

アルミニウム溶液

[6.2 i)]

添加量

ml

0.002

以上 0.03 未満

20.0 0

0.03

以上 0.1  未満

10.0 15.0

0.1

以上 0.6  以下

 5.0

19.0

(

2

)

試料が分解しにくい場合には,混酸を加える前にニッケル溶液  [6.2h)]  約2ml を加える。

(

3

)

けい素などの不溶解物が認められない場合には,次の c)e)の操作は行わない。

6.4.2

クロムの酸化  クロムの酸化は,次の手順によって行う。

a)

6.4.1f)

で得た溶液に硝酸二アンモニウムセリウム (IV) 溶液  [6.2 g)] 2.0ml を加えて振り混ぜ,水を加

えて液量を約 30ml とする。

b)

時計皿で覆い,沸騰水浴中で 25 分間加熱する。流水中で常温まで冷却し,更に氷を入れた水浴中又は

冷蔵庫中で 15℃以下になるまで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を少量の水で洗浄し,

時計皿を取り除く。

6.4.3

二クロム酸の抽出分離  二クロム酸の抽出分離は,次の手順によって行う(

4

)

a)

6.4.2 b)

で得た溶液を分液漏斗 (100ml) に水を用いて移し入れ,水で液量を約 50ml とする。

b)

塩酸 (1+1) 4.5ml を加えて振り混ぜ,4−メチル−2−ペンタノン 25ml を加え,1 分間激しく振り混ぜ

る。しばらく静置して 2 層に分離した後,水相(下層)を別の分液漏斗 (100ml) に移し入れる有機相

はそのまま保存する。

c)

水相に 4−メチル−2−ペンタノン 25ml を加え,1 分間激しく振り混ぜる。静置して 2 層に分離した

後,水相を捨てる。保存しておいた有機相が入っている分液漏斗に移し入れる。

d)

有機相に塩酸 (1+23) 25ml を加え,5 秒間激しく振り混ぜ,静置して 2 層に分離した後,水相を捨て

る。

(

4

)

  6.4.3

及び6.4.5で使用する水及び試薬は,すべて氷を入れた水浴中又は冷蔵庫中で15℃以下に冷

却して使用する。

6.4.4

二クロム酸の逆抽出  6.4.3 d)で得た有機相に水 25ml を加え,30 秒間激しく振り混ぜ,静置して 2

層に分離した後,水相を 100ml の全量フラスコに移す。更に,この操作を 2 回続けて行い,水相を合わせ

る。

6.4.5

呈色  6.4.4 で得た水相に硫酸 (2+7) 2.5ml を加えて振り混ぜ,ジフェニルカルバジド溶液  [6.2 j)]

2ml

を加え,水で標線まで薄め,10 分間放置する。

6.4.6

吸光度の測定  6.4.5 で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm)(

5

)

に取り,水を対照液として,

波長 545nm 付近の吸光度を測定する(

6

)

(

5

)

クロム含有率が0.005% (m/m)  未満の試料の場合には吸収セル (20mm) を使用する。

(

6

)

  6.4.5

で 10 分間放置した後,60 分以内に吸光度を測定する。

6.5

空試験  試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。

6.6

検量線の作成  アルミニウム溶液  [6.2 i)]  を 20ml ずつ数個のトールビーカー (200ml) に取り,標準

クロム溶液  [6.2 l)] 0∼16.0ml(クロムとして 0∼80

µg)を段階的に加える。以下,6.4.2 b)6.4.6 の手順に

従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,

得た吸光度とクロム量との関係線を作成し,

検量線とする。

6.7

計算  6.4.5 で得られた吸光度から,6.5 で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と 6.6 で作成した

検量線とからクロム量を求め,試料中のクロム含有率を,次の式によって算出する。


6

H 1358 : 1998

100

100

1 ×

×

B

m

A

C

r

ここに,  Cr:  試料中のクロム含有率 [% (m/m)] 

A

:  試料溶液中のクロム検出量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)

B

6.4.1 f)

で分取した試料溶液の量 (ml)

JIS

アルミニウム分析改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

畦  上      尚

株式会社日軽分析センター機器分析室

藤  沼      弘

東洋大学工学部

村  上  徹  朗

工学院大学

俣  野  宣  久

川崎製線株式会社

大河内  春  乃

科学技術庁金属材料技術研究所

廣  瀬  浩  二

工業技術院標準部

山  村  修  蔵

財団法人日本規格協会技術部

荻  嶋      淳

三菱アルミニウム株式会社富士製作所

川  口      修

スカイアルミニウム株式会社技術研究所

北  村  照  夫

昭和アルミニウム株式会社技術研究所

泉          巌

日本軽金属株式会社蒲原製造所分析センター

中  田      滋

古河電気工業株式会社福井事業所

坂  巻      博

日本軽金属株式会社船橋工場

豊  嶋  雅  康

住友軽金属工業株式会社研究開発センター

山  田  哲  夫

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部

佐  藤      豊

東洋アルミニウム株式会社研究開発本部研究所

井  川  洋  志

昭和電工株式会社千葉事業所

久留須  一  彦

古河電気工業株式会社横浜研究所分析技術センター

水  砂  博  文

住友電気工業株式会社研究開発部特性評価センター

船  渡  好  人

株式会社島津製作所第一分析事業部

松  原  道  夫

セイコー電子工業株式会社科学機器営業部

(事務局)

井  波  隆  夫

社団法人軽金属協会技術開発部