>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

H 1353 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS H 1353 : 1994 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,規定する三つの定量方法のうち国際規格 ISO 793,Aluminium and aluminium al1oys−

Determination of iron

−Orthophenanthroline photometric method(アルミニウム及びアルミニウム合金−鉄の定

量−1,10 フェナントロリン吸光光度法)と対応する方法があるが,各国で使われていない方法であるこ

とから,これを採択しなかった。


日本工業規格

JIS

 H

1353

 : 1999

アルミニウム及びアルミニウム

合金中の鉄定量方法

Methods for determination of iron in aluminium and aluminium alloys

序文  この規格は,1973 年に第 1 版として発行された ISO 793,Aluminium and aluminium alloys−

Determination of iron

−Orthophenanthroline photometric method が対応国際規格としてあるが,国際規格が各

国で使われていないことから,これを採用せず,対応国際規格に規定されていない方法を日本工業規格と

して規定した。

1.

適用範囲  この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金中の鉄定量方法について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 793 : 1973

  Aluminium and aluminium alloys−Determination of iron−Orthophenanthroline

photometric method

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS H 1351

  アルミニウム及びアルミニウム合金の分析方法通則

JIS K 8005

  容量分析用標準物質

3.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1351 及び JIS K 8005 の規定による。

4.

定量方法の区分  鉄の定量方法は,次のいずれかによる。

a)

水酸化鉄沈殿分離過マンガン酸カリウム滴定法  この方法は,鉄含有率 0.1% (m/m) 以上 1.8% (m/m)

以下の試料に適用する。

b)

スルホサリチル酸吸光光度法  この方法は,鉄含有率 0.1% (m/m)  以上 1.0% (m/m)  以下の試料に適用

する。

c)

1,10

−フェナントロリン吸光光度法  この方法は,鉄含有率 0.002% (m/m)  以上 2.5% (m/m)  以下の試

料に適用する。

5.

水酸化鉄沈殿分離過マンガン酸カリウム滴定法 5.1  要旨  試料を水酸化ナトリウム又は塩酸と硝酸

との混酸で分解し,過酸化水素を加え,煮沸して鉄を酸化する。沈殿をこし分けた後,硝酸に溶解し,ア

ンモニア水を加えて水酸化鉄 (III) を沈殿させる。沈殿をこし分け,塩酸で溶解した後,塩化すず (II) を

加えて鉄 (III) を鉄 (II) に還元し,過マンガン酸カリウム標準溶液で滴定する。


2

H 1353 : 1999

5.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸 (1+3, 1+100)

b)

硝酸 (1+1, 1+3, 1+100)

c)

ふっ化水素酸

d)

硫酸 (1+1)

e)

混酸(塩酸 1,硝酸 1,水 2)

f)

アンモニア水

g)

水酸化ナトリウム溶液  水酸化ナトリウム 20g を水 100ml に溶解し,ポリエチレン瓶に保存し,その

上澄み液を使用する。

h)

過酸化水素 (1+9)

i)

塩化アンモニウム

j)

塩化アンモニウム溶液 (20g/l)

k)

塩化すず (II) 溶液  塩酸 100ml をビーカー (1 000ml) に取り,

水浴上で加熱しながら塩化すず (II) 二

水和物 50g を少量ずつ加えて溶解する。室温まで放冷した後,水で液量を 1 000ml とする。この溶液

に 1∼2g の粒状すず[99.9% (m/m)  以上]を入れ,褐色の試薬瓶に入れて保存する。

l)

塩化水銀 (II) 飽和溶液  塩化水銀 (II) 約 10g を水 100ml に溶かし,その上澄み液を使用する。

m)

硫酸マンガン溶液  硫酸マンガン四水和物 90g を水 200ml に溶解し,

りん酸 175ml を加え,

混合する。

硫酸 (1+1) 350ml を少量ずつ加え,冷水で冷却した後,水で液量を 1 000ml とし,十分かき混ぜる。

この溶液は,調製してから 3∼4 日後に使用する。

n) 0.004mol/l

過マンガン酸カリウム標準溶液  過マンガン酸カリウム 0.63g を水 1 000ml に溶解し,1∼2

時間穏やかに煮沸した後,約 18 時間暗所に放置する。上澄み液を乾いたブフナー漏斗形ガラスろ過器

(17G4 又は 25G4)を用いてろ過する(

1

)

。約 30 分間水蒸気洗浄した褐色の試薬瓶 (1 000ml) に入れて

暗所に保存する。

この溶液の標定は,次のように行う。

しゅう酸ナトリウム  (JIS K 8005) 0.670g をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,水を加えて

溶解する。溶液を 500ml 全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。この溶液 25.0ml

をビーカー (500ml) に取り,約 80℃の水 200ml 及び硫酸 (1+1) 10ml を加え,溶液の温度を 70∼80℃

に保ちながら過マンガン酸カリウム標準溶液で滴定し,溶液の微紅色が約 30 秒間残る点を終点とし,

過マンガン酸カリウム標準溶液の使用量を求め,過マンガン酸カリウム標準溶液のファクターを,次

の式によって算出する。

V

F

0

.

25

=

ここに,

F

過マンガン酸カリウム標準溶液のファクター

V

過マンガン酸カリウム標準溶液の使用量

 (ml)

(

1

)

ろ過の前後に水洗しないようにする。

5.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,試料中のけい素含有率に応じて表 に従い,

1mg

のけた

まではかる。


3

H 1353 : 1999

表 1  試料はかり取り量

試料中のけい素含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

1.0

未満 2.00

1.0

以上 1.00

5.4

操作

5.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

けい素含有率が 1.0% (m/m)  未満の試料

1)

試料をはかり取って,ビーカー

 (500ml)

に移し入れる。

2)

時計皿で覆い,水酸化ナトリウム溶液

  [

5.2g)

] 50ml

を加え,反応が穏やかになったら加熱して試料

を完全に分解した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗い,温水を加えて液量を約

300ml

とする。

3)

溶液をかき混ぜながら過酸化水素

 (1

9) 5ml

を少量ずつ加え,数分間煮沸する。

4)

しばらく静置して沈殿を沈降させた後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取

り除く。沈殿をろ紙(

5

A

)を用いてこし分け,沈殿とろ紙を温水で洗う。ろ液及び洗液は捨て

る。

5)

ろ紙上の沈殿を,熱硝酸

 (1

3) 5ml

で元のビーカー中に溶かし入れる(

2

)

。ろ紙を硝酸

 (1

100)

洗う。

6)

溶液及び洗液を合わせ,温水約

100ml

及び塩化アンモニウム

5g

を加え,かき混ぜながらアンモニ

ア水を少量ずつ加えて沈殿を生成させ,さらにアンモニア水

5ml

を加え,時計皿で覆い,沸騰する

まで加熱する。

7)

沈殿が沈降するまで静置した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。

沈殿をろ紙(

5

A

)を用いてこし分け,温塩化アンモニウム溶液で十分に洗浄する(

3

)

8)

沈殿を少量の熱塩酸

 (1

3)

で元のビーカーに溶かし入れ,ろ紙は熱塩酸

 (1

100)

で洗い,溶液と

洗液とを合わせる。

(

2

)

溶解しにくいときは,過酸化水素

 (1

9) 3ml

を用いて溶解する。

(

3

)

沈殿が銅イオンの青色を帯びているときは,沈殿を熱塩酸

 (1

3)

に溶解し,ろ紙を熱塩酸

 (1

100)

,次に温水で洗い,以下 6)及び 7)の手順に従って操作する。銅イオンの色が消えるまで

これを繰り返す。

b)

けい素含有率が 1.0% (m/m)  以上の試料

1)

試料をはかり取って,ビーカー

 (500ml)

に移し入れる。

2)

時計皿で覆い,混酸

30ml

を加え,反応が穏やかになったら,加熱して試料を完全に分解した後,

時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗い,時間皿を取り除く。

3)

温水約

30ml

を加え,けい素などの沈殿をろ紙(

5

A

)を用いてこし分け,沈殿とろ紙を温水で十

分に洗浄する。ろ液と洗液を合わせ,主液としてビーカー

 (500ml)

に保存する。

4)

沈殿をろ紙とともに白金るつぼ(

30

番)に移し入れ,注意して加熱し,ろ紙を完全に灰化する。白

金るつぼを

750

800

℃の電気炉に入れ,約

10

分間加熱した後,電気炉から取り出し,室温まで冷

却する。

5)

硝酸

 (1

1) 5ml

を加え,ふっ化水素酸約

3ml

を少量ずつ加えて沈殿を完全に分解する。硫酸

 (1

1) 2

3

滴を加え,加熱して硫酸の白煙を発生させた後,放冷する。温水約

10ml

を加えて塩類を溶


4

H 1353 : 1999

解し,3)で保存しておいた主液の入ったビーカーに水を用いて移し入れ,温水を加えて液量を約

100ml

とする。

6)

溶液をかき混ぜながら水酸化ナトリウム溶液

  [

5.2g)

]

を少量ずつ加えて中和し,生成した水酸化ア

ルミニウムの沈殿が溶解し終わるまで過剰に加える。温水を加えて液量を,約

300ml

とする。

7)

a)

の 3)8)の手順に従って操作する。

5.4.2

鉄の還元  鉄の還元は,次の手順で行う。

a)

5.4.1

の a)8)又は b)7)で得た溶液を加熱して液量が約

5ml

以下になるまで濃縮し,少量の温水でビーカ

ーの内壁を洗う。

b)

溶液が熱いうちに,振り混ぜながら塩化すず

 (II)

溶液

  [

5.2k)

]

を滴加し,溶液の塩化鉄

 (III)

による

着色がなくなってから,さらに過剰に

1

2

滴を加え,冷水で十分に冷却する。

5.4.3

鉄の滴定  鉄の滴定は,次の手順によって行う。

a)

5.4.2b)

で得た溶液に塩化水銀

 (II)

飽和溶液

  [

5.2l)

] 5ml

を加え,

1

2

分間静置した後,

水で液量を

150ml

とする。

b)

硫酸マンガン溶液

  [

5.2m)

] 30ml

を加え,振り混ぜながら

0.004mol/l

過マンガン酸カリウム標準溶液

[

5.2n)

]

で滴定し,溶液の微紅色が約

30

秒間残る点を終点とし,過マンガン酸カリウム標準溶液の使

用量を求める。

5.5

空試験  試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。

5.6

計算  試料中の鉄含有率を,次の式によって算出する。

100

117

001

.

0

)

(

2

1

×

×

×

m

F

V

V

Fe

ここに,  Fe:  試料中の鉄含有率 [% (m/m)] 

V

1

:  5.4.3 で得た過マンガン酸カリウム標準溶液の使用量 (ml)

V

2

:  5.5 で得た過マンガン酸カリウム標準溶液の使用量 (ml)

F

:  5.2n)で得た過マンガン酸カリウム標準溶液のファクター

m

:  試料はかり取り量 (g)

6.

スルホサリチル酸吸光光度法

6.1

要旨  試料を塩酸と硝酸との混酸で分解した後,アンモニア水と硫酸で pH を調節し,スルホサリチ

ル酸を加えて呈色させ,光度計を用いてその吸光度を測定する。

6.2

試薬  試薬は,次による。

a)

硝酸 (1+1)

b)

ふっ化水素酸

c)

硫酸 (1+1, 1+3)

d)

混酸(塩酸 3,硝酸 2,水 8)

e)

アンモニア水 (1+3)

f)

アルミニウム  99.99%以上で鉄含有率が低いもの。

g)

酢酸ナトリウム溶液  酢酸ナトリウム三水和物 10g を水に溶解し,水で液量を 100ml とする。

h)

スルホサリチル酸溶液  スルホサリチル酸二水和物 10g を水に溶解し,水で液量を 70∼80ml とした

後,アンモニア水 (1+3)  を用いて pH を 2.0∼2.5 に調節し,水で液量を 100ml とする。

i)

標準鉄溶液 (100

µgFe/ml)  鉄[99.5% (m/m)  以上]0.100g をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入

れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+3) 15ml を加え,加熱して分解する。時計皿の下面及びビーカーの内壁


5

H 1353 : 1999

を水で洗浄し,時計皿を取り除く。硫酸 (1+3) 3ml を加え,硫酸の白煙が発生するまで加熱する。放

冷した後,水を加え,加熱して塩類を溶解する。常温まで冷却した後,溶液を 1 000ml の全量フラス

コに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

6.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,1.00g とし,1mg のけたまではかる。

6.4

操作

6.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,混酸 50ml を加えて分解し(

4

)

,反応が穏やかになったら加熱して試料を完全に分解し,

数分間煮沸した後,常温まで冷却する。時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取

り除く(

5

)

c)

溶液をろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,沈殿とろ紙を温水で洗浄し,ろ液と洗液を合わせて主液とし

てビーカー (300ml) に保存する。沈殿はろ紙とともに白金るつぼ(30 番)に移し入れ,注意して加熱

し,ろ紙を完全に灰化する。白金るつぼを 750∼800℃の電気炉に入れ,約 10 分間加熱した後,電気

炉から取り出し,放冷する。硝酸 (1+1) 5ml を加え,ふっ化水素酸約 3ml を少量ずつ加えて沈殿を完

全に分解する。硫酸 (1+1) 2,3 滴を加え,加熱して硫酸の白煙を発生させた後,放冷する。温水約

10ml

を加えて塩類を溶解し,溶液を主液の入ったビーカーに水を用いて移し入れる。

d)

溶液を 250ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

(

4

)

銅の含有量が多くて完全に分解しない場合には,硝酸 (1+1)  を少量添加し,加熱して完全に分

解する。

(

5

)

けい素などの沈殿が認められない場合には,次の c)の操作は行わない。

6.4.2

呈色  呈色は,次の手順によって行う。

a)

6.4.1d)

で得た溶液を 50.0ml ずつ 2 個のビーカー (200ml) に分取する。

b)

それぞれに酢酸ナトリウム溶液  [6.2g)] 10ml を加えた後,一方のビーカーにだけ,スルホサリチル酸

溶液  [6.2h)] 5.0ml を加える。

アンモニア水 (1+3)  と硫酸 (1+3)  とを用いて pH2.0∼2.5 に調節する。

c)

溶液を 2 個の 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

6.4.3

吸光度の測定  6.4.2c)で得た溶液の一部をそれぞれ光度計の吸収セル (10mm) に取り,スルホサリ

チル酸を加えない溶液を対照液として,波長 500nm 付近の吸光度を測定する。

6.5

空試験  試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。

6.6

検量線の作成  アルミニウム  [6.2f)] 1.0g をはかり取り,6.4.1 の b)d)の手順に従って操作し,得た

溶液を 50ml ずつ分取して数個のビーカー (200ml) に移し入れる。標準鉄溶液  [6.2i)] 0∼20.0ml(鉄として

0

∼2000

µg)を段階的に加えた後,スルホサリチル酸溶液  [6.2g)] 5.0ml を加える。アンモニア水 (1+3)  と

硫酸 (1+3)  とを用いて pH2.0∼2.5 に調節する。溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水

で標線まで薄める。溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として波長 500nm 付近の

吸光度を測定し,得た吸光度と鉄量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検

量線とする。

6.7

計算  6.4.3 で得られた吸光度から,6.5 で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,6.6 で作成し

た検量線とから鉄量を求め,試料中の鉄含有率を,次の式によって算出する。

100

250

50

×

×

m

A

Fe


6

H 1353 : 1999

ここに,  Fe:  試料中の鉄含有率 [% (m/m)] 

A

:  分取した試料溶液中の鉄検出量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)

7.

1,10

−フェナントロリン吸光光度法

7.1

要旨

  試料を塩酸と過酸化水素とで分解し,塩化ヒドロキシルアンモニウムを加えて鉄 (III) を鉄

(II)

に還元した後,酢酸ナトリウムを用いて pH を調節し,1,10−フェナントロリンを加えて呈色させ,

光度計を用いてその吸光度を測定する。

7.2

試薬

  試薬は,次による。

a)

塩酸 (1+1)

b)

硝酸 (1+1)

c)

ふっ化水素酸

d)

硫酸 (1+1)

e)

混酸(塩酸 1,硝酸 1,水 2)

f)

過酸化水素

g)

塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (10g/l)

h)

酢酸ナトリウム溶液  酢酸ナトリウム三水和物 50g を 100ml の水に溶解する。

i)

1

,10−フェナントロリン溶液  1,10−フェナントロリン−水和物 0.2g をはかり取ってビーカー

(200ml)

に移し入れ,エタノール (95) 10ml を加えて溶解し,水を加えて液量を 100ml とする。

j)

標準鉄溶液(20

µgFe/ml)  鉄[99.5% (m/m)  以上]0.200g をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入

れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 20ml を加え,穏やかに加熱して分解する。過酸化水素 1ml を注意し

て滴加し,煮沸して鉄を酸化する。さらに,煮沸を続けて過剰の過酸化水素を分解した後,常温まで

冷却する。時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄して時計皿を取り除き,溶液を 1000ml の全

量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (200

µgFe/ml)  とする。

この原液を使用の都度,水で正確に 10 倍に薄めて標準鉄溶液とする。

備考

次の方法によって,標準鉄溶液 (20

µgFe/ml)  を調製してもよい。

600

℃で焼いた酸化鉄 0.286 0g をはかり取ってビーカー (100ml) に移し入れ,

時計皿で覆い,

塩酸 (1+1) 30ml を加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,溶液を 1 000ml の全量フラ

スコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて (200

µgFe/ml)  原液とする。この原液を使用

の都度,水で正確に 10 倍に薄めて標準鉄溶液とする。

7.3

試料はかり取り量

  試料はかり取り量は,鉄含有率に応じて

表 2

に従い,1mg のけたまではかる。

表 2  試料はかり取り量

試料中の鉄含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

0.002

以上 0.5 未満 1.00

0.5

以上 2.5 以下 0.40

7.4

操作

7.4.1

試料溶液の調製

  試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

塩酸と過酸化水素とで容易に分解できる試料

1)

試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。

2)

時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 25ml を加え,穏やかに加熱して分解する。過酸化水素 5ml を加え,加


7

H 1353 : 1999

熱して試料を完全に分解した後,穏やかに煮沸して過剰の過酸化水素を分解する。常温まで冷却し

た後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除く

(

6

)

3)

溶液をろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,温水で洗浄し,ろ液と洗液を合わせ,主液としてビーカー

(300ml)

に保存する。沈殿はろ紙とともに白金るつぼ(30 番)に移し入れ,注意して加熱し,ろ紙

を完全に灰化する。白金るつぼを 750∼800℃の電気炉に入れ,約 10 分間加熱した後,電気炉から

取り出し,放冷する。硝酸 (1+1) 5ml を加え,ふっ化水素酸約 3ml を少量ずつ加えて沈殿を完全に

分解する。硫酸 (1+1) 2,3 滴を加え,加熱して硫酸の白煙を発生させた後,放冷する。温水約 10ml

を加えて塩類を溶解し,溶液を主液の入ったビーカーに水を用いて移し入れる

(

7

)

4)

溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。この溶液を試料中の鉄

含有率に応じて

表 3

に従ってビーカー (200ml) に分取する

(

8

)

(

6

)

けい素などの沈殿が認められない場合には,

3)

の操作は行わない。

(

7

)

液量が 50ml 以上の場合には,液量を 50ml 以下になるまで加熱して濃縮する。

(

8

)

鉄含有率が 0.05% (m/m)  未満の試料の場合には,この

4)

の操作は行わない。

表 3  分取量

試料中の鉄含有率

% (m/m)

分取量

ml

0.05

以上 0.5 未満 10.0

0.5

以上 2.5 以下 5.0

b)

塩酸と過酸化水素とで分解しにくい試料

1)

試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。

2)

時計皿で覆い,混酸 30ml を加え,穏やかに加熱して分解する。さらに加熱を続け塩類が析出する

まで濃縮する。放冷した後,温水約 20ml を加えて塩類を溶解する。常温まで冷却した後,時計皿

の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除く

(

6

)

3)

a)3)

の操作を行う。

4)

a)4)

の操作を行う。

7.4.2

呈色

  呈色は,次の手順によって行う。

a)

7.4.1a)

2)

3)

若しくは

4)

又は

7.4.1b)

2)

3)

若しくは

4)

で得た溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニ

ウム溶液 2ml を加えて振り混ぜる。

b)

水を加えて液量を 40∼50ml とし,

酢酸ナトリウム溶液  [

7.2h)

]

を用いて pH を 3.4∼4.1 に調節する

(

9

)

c)

溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,1,10−フェナントロリン溶液  [

7.2i)

] 5ml

(

10

)

加えた後,水で標線まで薄め,15∼30 分間放置する

(

11

)

(

9

)

7.4.1

a)4)

又は

b)4)

の操作を行わない場合の酢酸ナトリウム溶液  [

7.2h)

]

の必要量は,約30ml

である。

(

10

)

銅,ニッケル,亜鉛のいずれかが又はそれらの合量が 1mg 以上存在する場合には,1,10−フ

ェナントロリン溶液  [

7.2i)

]

の添加量を 25ml とする。

(

11

)

  1

,10−フェナントロリン鉄錯体の呈色は,15∼30 分間放置した後,約 2 時間は安定である。

7.4.3

吸光度の測定

7.4.2c)

で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm)

(

12

)

に取り,水を対照液として,

波長 510nm 付近の吸光度を測定する。

(

12

)

鉄含有率が0.01% (m/m)  未満の試料の場合には,20mm の吸収セルを用いる。

7.5

空試験

  試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。


8

H 1353 : 1999

7.6

検量線の作成

  100ml の全量フラスコに塩酸 (1+1) 25ml を取り,水で標線まで薄めた後,数個のビ

ーカー (300ml) に 10.0ml ずつ取り,

標準鉄溶液  [

7.2j)

] 0

∼25.0ml

(鉄として 0∼500

µg)を段階的に加える。

塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 2ml を加えて振り混ぜる。

以下,

7.4.2b)

7.4.3

の手順に従って操作し,

得た吸光度と鉄量の関係線を作成し,この関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。

7.7

計算

  計算は,次のいずれかによる。

a)

7.4.1

の a)4)又は b)4)の操作を行わなかった場合

7.4.3

で得た吸光度から

7.5

で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,

7.6

で作成した検量線とか

ら鉄量を求め,試料中の鉄含有率を,次の式によって算出する。

100

×

m

A

Fe

ここに,  Fe:  試料中の鉄含有率 [% (m/m)] 

A

:  試料溶液中の鉄検出量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)

b)

7.4.1

の a)4)又は b)4)の操作を行った場合

7.4.3

で得た吸光度から

7.5

で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,

7.6

で作成した検量線とか

ら鉄量を求め,試料中の鉄含有率を,次の式によって算出する。

100

100

×

×

B

m

A

Fe

ここに,  Fe:  試料中の鉄含有率  [% (m/m) ] 

A

:  分取した試料溶液中の鉄検出量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)

B

7.4.1

a)4)

又は

b)4)

で分取した試料溶液及び空試験液の量

(ml)


9

H 1353 : 1999

JIS

改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

畦  上      尚

株式会社日軽分析センター

藤  沼      弘

東洋大学工学部

村  上  徹  朗

工学院大学

大河内  春  乃

東京理科大学

俣  野  宣  久

川崎製線株式会社

村  山  拓  己

通商産業省基礎産業局

大  嶋  清  治

工業技術院標準部

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

井  川  洋  志

昭和電工株式会社千葉事業所

泉          巌

日本軽金属株式会社蒲原製造所

坂  巻      博

新日軽株式会社管理部

勝間田  一  宏

三菱アルミニウム株式会社富士製作所

川  口      修

スカイアルミニウム株式会社技術研究所

北  村  照  夫

昭和アルミニウム株式会社研究開発部

豊  嶋  雅  康

住友軽金属工業株式会社研究開発センター

中  田      滋

古河電気工業株式会社福井事業所

坂  本  敏  正

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部

安  部  正  明

東洋アルミニウム株式会社研究開発本部

久留須  一  彦

古河電気工業株式会社横浜研究所分析技術センター

水  砂  博  文

住友電気工業株式会社研究開発部

船  渡  好  人

株式会社島津製作所分析機器事業部

本  多  和  人

株式会社パーキンエルマージャパン応用技術部

(事務局)

井  波  隆  夫

社団法人軽金属協会