>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

H 1337 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS H 1337 : 1976 は改正され,この規格に置き換えられる。


日本工業規格

JIS

 H

1337

: 1999

マグネシウム及びマグネシウム

合金中のニッケル定量方法

Method for determination of nickel in magnesium

and magnesium alloys

序文  この規格は,1977 年に第 1 版として発行された ISO 4058, Magnesium and its alloys−Determination of

nickel

−Photometric method using dimethylglyoxime が対応国際規格としてあるが,有害物質であるクロロホ

ルムを試薬として使用する方法であることから,これを採用せず,対応国際規格に規定されていない方法

を日本工業規格として規定した。

1.

適用範囲  この規格は,マグネシウム及びマグネシウム合金中のニッケル定量方法について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 4058 : 1977

  Magnesium and its alloys−Determination of nickel−Photometric method using

dimethylglyoxime

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS H 1331

  マグネシウム合金分析方法の通則

JIS K 0121

  原子吸光分析通則

3.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1331 及び JIS K 0121 の規定による。

4.

定量方法  ニッケルの定量方法は,ジエチルジチオカルバミン酸・ピロリジンジチオカルバミン酸抽

出原子吸光法による。この方法は,ニッケル含有率 0.000 2% (m/m)  以上 0.04% (m/m)  以下の試料に適用す

る。

5.

ジエチルジチオカルバミン酸・ピロリジンジチオカルバミン酸抽出原子吸光法

5.1

要旨  試料を塩酸と過酸化水素とで分解し,酒石酸を加えた後,アンモニア水で pH を調節する。ジ

エチルジチオカルバミン酸ジエチルアンモニウム(以下,DADDC という。

)及びピロリジンジチオカルバ

ミン酸アンモニウム(以下,APDC という。

)を加え,生成するニッケル錯体を酢酸ブチルで抽出し,有機

相を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。

5.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸 (11, 14)


2

H 1337 : 1999

b)

アンモニア水

c)

過酸化水素

d)

硫酸ナトリウム(無水)

e)

酒石酸溶液 (400g/l)

f)

DADDC

溶液  ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアンモニウム 0.5g を水に溶解し,水で液量を

100ml

とする不溶解物があれば,乾いたろ紙でろ過してろ液を使用する。溶液は,褐色瓶に保存する。

この溶液は,なるべく新しいものを使用する。

g)

APDC

溶液  ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム 0.5g を水に溶解し,水で液量を 100ml とす

る。不溶解物があれば,乾いたろ紙でろ過してろ液を使用する。溶液は,褐色瓶に保存する。この溶

液は,使用の都度調製する。

h)

酢酸ブチル

i)

標準ニッケル溶液 (5

µgNi/ml)    ニッケル[99.95% (m/m) 以上]0.100g をはかり取って,ビーカー

(200ml)

に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 10ml を加え,穏やかに加熱して分解し,更に加熱し

て窒素酸化物を追い出す。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計

皿を取り除く。溶液を 1 000ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液

(100

µgNi/ml)  とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に 20 倍に薄めて標準ニッケル溶

液とする。

j)

ブロモチモールブルー溶液  ブロモチモールブルー0.1g をエタノール (95) 50ml に溶解し,水で液量

を 100ml とする。溶液は褐色瓶に保存する。

5.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,1.00g とし,1mg のけたまではかる。

5.4

操作

5.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

試料中のニッケル含有率が 0.000 2% (m/m)  以上 0.002% (m/m)  未満の場合

1)

試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。

2)

水約 20ml を加え,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 20ml を少量ずつ加えて分解する。反応が穏やかにな

ったら,過酸化水素 1ml を加え,加熱して試料を完全に分解し,加熱を続けて過剰の過酸化水素を

分解する。

3)

常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除く(

1

)

b)

試料中のニッケル含有率が 0.002% (m/m)  以上 0.04% (m/m)  以下の場合

1)

a)

の 1)

3)の手順に従って操作する。

2)

溶液を 200ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

3)

この溶液を,試料中のニッケル含有率に応じて,

表 に従ってビーカー (200ml) に分取する。

(

1

)

不溶解残さがある場合,ろ紙(5種 B)でろ過した後,少量の温水で洗浄し,ろ液と洗液を合わ

せる。不溶解残さは捨てる。

表 1  分取量

試料中のニッケル含有率

% (m/m)

分取量

ml

0.002

以上 0.02 未満 20.0

0.02

以上 0.04 以下 10.0

5.4.2

錯体の抽出  錯体の抽出は,次の手順によって行う。


3

H 1337 : 1999

a)

5.4.1

の a) 3)又は b) 3)で得た溶液に酒石酸溶液 20ml を加え,水で液量を約 80ml とした後,アンモニ

ア水と塩酸 (1+4)  とを用いて溶液の pH を 5.6∼6.0 に調節する(

2

)

b)

溶液を分液漏斗 (200ml) に水を用いて移し入れ,水で液量を 100ml とし,DADDC 溶液  [5.2 f)] 5ml

及び APDC 溶液  [5.2 g)] 5ml を加えて振り混ぜる。

c)

酢酸ブチル 20.0ml を加え,3 分間激しく振り混ぜる。静置して二層に分離した後,水相(下層)を捨

て,有機相(上層)を硫酸ナトリウム(無水)1g を入れた共栓付き三角フラスコ (20∼30ml)  に移し

入れ,振り混ぜる(

3

)

(

2

)

アンモニア水をゆっくり加えると,生成する酒石酸塩の沈殿が溶けにくくなるので,ブロモチ

モールブルー溶液  [5.2 j)]  数滴を指示薬として加え,溶液が青(pH 約8)になるまでアンモニ

ア水を手早く加えた後,常温まで冷却し,pH 計を用いて塩酸 (1+4)  で pH を5.6∼6.0に調節す

るとよい。

(

3

)

有機相を硫酸ナトリウム(無水)と振り混ぜて脱水する代わりに,分液漏斗の脚部に乾いたろ

紙又は脱脂綿を詰め,それを通すことによって脱水してもよい。

5.4.3

吸光度の測定  5.4.2 c)で得た有機相を,酢酸ブチルを用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空

気・アセチレンフレーム中に噴霧し,324.7nm における吸光度を測定する。

5.5

空試験  空試験は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

5.4.1 a)

によって試料溶液を調製する場合

1)

塩酸 (1+1) 20ml 及び過酸化水素 1ml をビーカー (200ml) に取り,時計皿で覆い,溶液の

液量が約 5ml になるまで加熱して濃縮する。

2)

5.4.1 a)3)

5.4.2 及び 5.4.3 の手順に従って,試料と同じ操作を試料と並行して行う。

b)  5.4.1b)

によって試料溶液を調製する場合

1)

a)1)

の操作を行う。

2)

常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,時計皿を取り除く。

3)

5.4.1 b)2)

5.4.3 の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。

5.6

検量線の作成  数個のビーカー (300ml) に標準ニッケル溶液  [5.2 i)] 0∼4.0ml(ニッケルとして 0∼

40

µg)を段階的に取り,酒石酸溶液 20ml を加え,水で液量を 80ml とした後,アンモニア水と塩酸 (1+

4)

とを用いて溶液の pH を 5.6∼6.0 に調節する(

2

)

。以下,5.4.2 b)

5.4.3 の手順に従って試料と同じ操作を

試料と並行して行い,得た吸光度とニッケル量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行

移動して検量線とする。

5.7

計算  計算は,次のいずれかによる。

a)

5.4.1 a)

によって試料溶液を調製した場合

5.4.3

及び 5.5 で得た吸光度と,5.6 で作成した検量線とから,ニッケル量を求め,試料中のニッケル

含有率を,次の式によって算出する。

100

2

1

×


m

A

A

N

i

ここに,

Ni

試料中のニッケル含有率 [% (m/m)]

A

1

試料溶液中のニッケル検出量 (g)

A

2

空試験液中のニッケル検出量 (g)

m

試料はかり取り量 (g)


4

H 1337 : 1999

b)

  5.4.1 b)

によって試料溶液を調製した場合

5.4.3

及び 5.5 で得た吸光度と,5.6 で作成した検量線とから,ニッケル量を求め,試料中のニッケル

含有率を,次の式によって算出する。

100

200

2

1

×

×

B

m

A

A

N

i

ここに,

Ni

試料中のニッケル含有率 [% (m/m)]

A

1

分取した試料溶液中のニッケル検出量 (g)

A

2

分取した空試験液中のニッケル検出量 (g)

m

試料はかり取り量 (g)

B

5.4.1 b)3)

で分取した試料溶液及び空試験液の量 (ml)

JIS

改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

藤  沼      弘

東洋大学工学部

村  上  徹  朗

工学院大学

大河内  春  乃

東京理科大学

俣  野  宣  久

川崎製線株式会社

村  山  拓  己

通商産業省基礎産業局非鉄金属課

大  嶋  清  治

工業技術院標準部

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

井  川  洋  志

昭和電工株式会社千葉事業所

久留須  一  彦

古河電気工業株式会社横浜研究所分析技術センター

水  砂  博  文

住友電気工業株式会社研究開発部特性評価センター

坂  本  敏  正

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部

冨  田  百合男

宇部興産株式会社建設資材事業本部

鈴  木      通

中央工産株式会社野田工場

(事務局)

井  波  隆  夫

社団法人軽金属協会技術開発部