>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

 

H 1322:2017  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 1 

2 引用規格 1 

3 用語及び定義  2 

4 一般事項 2 

5 要旨 2 

6 装置及び分析条件  2 

6.1 発光分光分析装置  2 

6.2 装置の調整  3 

6.3 装置性能の確認  3 

6.4 分析条件  3 

7 検量線作成用試料,検量線校正用試料及び分析試料  4 

7.1 検量線作成用試料  4 

7.2 検量線校正用試料  4 

7.3 分析試料  5 

8 試料の調製  5 

9 操作 5 

10 検量線  5 

10.1 検量線の作成  5 

10.2 検量線の校正を要する装置変動要因  6 

10.3 検量線の校正方法  6 

11 計算  7 

12 安全衛生  7 

附属書A(規定)スパーク放電発光分光分析装置  8 

 

 


 

H 1322:2017  

(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

マグネシウム協会(JMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業

規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業

規格である。 

これによって,JIS H 1322:1976は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

 

 


 

  

日本工業規格          JIS 

 

H 1322:2017 

 

マグネシウム及びマグネシウム合金− 

スパーク放電発光分光分析方法 

Magnesium and magnesium alloys- 

Method for spark discharge atomic emission spectrometric analysis 

 

適用範囲 

この規格は,マグネシウム及びマグネシウム合金中の表1に規定する10成分の含有率を,スパーク放電

による発光分光分析方法によって定量する方法について規定する。 

 

表1−適用分析成分及び定量範囲 

単位 質量分率(%)

適用分析成分 

定量範囲 

アルミニウム 

 

0.01 以上 12.0 

以下 

亜鉛 

 

0.005 以上 

7.0 

以下 

マンガン 

 

0.006 以上 

1.0 

以下 

鉄 

 

0.003 以上 

0.08 以下 

けい素 

 

0.006 以上 

0.6 

以下 

銅 

 

0.005 以上 

0.5 

以下 

ニッケル 

 

0.001 以上 

0.04 以下 

ジルコニウム 

 

0.05 以上 

0.10 以下 

カルシウム 

 

0.01 以上 

0.10 以下 

ベリリウム 

 

0.001 以上 

0.003 以下 

 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 1332 マグネシウム及びマグネシウム合金中のアルミニウム定量方法 

JIS H 1333 マグネシウム及びマグネシウム合金中の亜鉛定量方法 

JIS H 1334 マグネシウム及びマグネシウム合金中のマンガン定量方法 

JIS H 1335 マグネシウム及びマグネシウム合金中のけい素定量方法 

JIS H 1336 マグネシウム及びマグネシウム合金中の銅定量方法 

JIS H 1337 マグネシウム及びマグネシウム合金中のニッケル定量方法 

JIS H 1338 マグネシウム及びマグネシウム合金中の鉄定量方法 

JIS H 1339 マグネシウム及びマグネシウム合金中のベリリウム定量方法 

JIS H 1340 マグネシウム合金中のジルコニウム定量方法 

JIS H 1341 マグネシウム合金中のカルシウム定量方法 


H 1322:2017  

  

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0212 分析化学用語(光学部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS Q 0032 化学分析における校正及び認証標準物質の使い方 

JIS R 6001-1 研削といし用研削材の粒度−第1部:粗粒 

JIS R 6001-2 研削といし用研削材の粒度−第2部:微粉 

JIS R 6010 研磨布紙用研磨材の粒度 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0211,JIS K 0212及びJIS K 0215によるほか,次による。 

3.1 

発光強度測定値 

発光強度法の場合は,発光分光分析方法で求めた分析対象成分の発光強度。強度比法の場合は,分析対

象元素の発光強度と内標準元素(一般に,マグネシウム)の発光強度との比となる。 

3.2 

定時間積分法 

スペクトル線の発光強度を一定時間積算して定量する方法。 

3.3 

パルス分布測定法(時間分解測光法) 

発光強度測定において,1パルスごとの発光強度を測定し,全パルスの信号値を統計処理した数値(平

均値,中央値など)を用いて定量する方法。 

3.4 

冶金的履歴 

溶湯試料の凝固速度,熱処理・圧延・鋳造などにおける加熱温度などの履歴。分析試料の化学組成が同

一であっても,金属組織及び析出物・介在物の形態によって,発光強度測定値に影響を及ぼすことがある。 

 

一般事項 

分析方法に共通な一般事項は,JIS K 0116による。 

 

要旨 

試料を切断又は切削を行った後,研削又は研磨して平面状に仕上げ,発光分光分析装置の試料支持台に

取り付けて電極とする。対電極にタングステンを用い,両電極間に電圧を印加してスパーク放電を発生さ

せ,気化励起した分析対象元素の発光強度,又は分析対象元素及び内標準元素の発光強度を測定する。 

 

装置及び分析条件 

6.1 

発光分光分析装置 


H 1322:2017  

 

発光分光分析装置は,JIS K 0116及び附属書Aによるほか,次による。 

a) 対電極 直径7 mm以下のタングステン棒で,先端を20〜120°の円すい(錐)状又は直径1 mmの平

面をもたせた円すい台状に電極成形機で成形して用いる。 

b) アルゴン 酸素,炭化水素,窒素及びその他の不純物が少ない体積分率が99.99 %以上のもの。アル

ゴン純度は定量値に影響を与えるため,ボンベで装置に供給する場合には,十分注意しなければなら

ない。 

6.2 

装置の調整 

装置の調整は,A.2による。 

6.3 

装置性能の確認 

装置性能を維持するために,定期的に確認のための測定を次のように実施する。 

a) A.2によって調整した発光分光分析装置は,併行精度及び感度が適切になるように分析条件(分析線,

励起条件,測定条件など)を設定する。 

b) 併行精度は,繰り返し測定におけるばらつきであり,相対標準偏差で評価する。測定値の標準偏差を

JIS Z 8401の規則Aに従って小数点以下2桁まで丸めた上で相対値に変換し,表2に規定する相対標

準偏差上限値と比較する。均質な試料,例えば,機器分析用マグネシウム標準物質を箇条9に従って,

連続して少なくとも5か所以上の試料面の発光強度を測定した上で算出する。箇条11に従って求めた

定量値(元素含有率)の平均値及び標準偏差値より,式(1)によって算出する。 

100

RSD

  (1) 

ここに, 

RSD: 相対標準偏差(%) 

 

 同一試料を繰り返し測定して得られた元素含有率の標準

偏差[質量分率(%)] 

 

x: 同一試料を繰り返し測定して得られた元素含有率の平均

値[質量分率(%)] 

 

表2−相対標準偏差上限値 

適用分析成分 

質量分率(%) 

相対標準偏差上限値 

 

0.001 以上 0.01 未満 

20 

 

0.01 以上 0.1 未満 

20 

 

0.1 以上 1 

未満 

 8 

 

以上 

 5 

 

c) 装置性能の確認は,期間を定めて定期的に行うほか,分析条件を変更した場合,装置の修理,調整な

ど装置の状態が変わる場合は,必ず行う。マグネシウム及びマグネシウム合金に含まれる微量成分で

表2に示す相対標準偏差上限値を満足しない場合は,その原因を十分に検討し,装置の調整,分析条

件の変更などの処置を行う。 

6.4 

分析条件 

分析試料の種類,共存成分,同時分析対象成分の種類及び分析対象成分の含有率に応じ,6.3 b) の表2

を満足する分析条件及び分析線を設定する。分析条件及び分析線の例を表3及び表4に示す。新しく成形

された対電極に交換した直後,及び放電を多数回繰り返した状態での発光強度は不安定となる場合がある

ため,安定した発光強度が得られる分析回数の範囲を事前に調査しておく。 


H 1322:2017  

  

表3−分析条件の例 

項目 

内容 

分光器 

パッシェン・ルンゲ形(焦点距離:500 mm以上) 

分光器の逆線分散 

1 nm/mm以下 

分光器内の圧力 

2.7 Pa以下 

入口スリット幅 

20〜50  洀洀

測光法 

定時間積分法 
パルス分布測定法(時間分解測光法) 

対電極 

タングステン 

分析試料と対電極との間隙 

4.0〜6.0 mm 

発光時のアルゴンガス流量 

4〜18 L/min 

予備放電回数 

1 000パルス(アークライク) 

測定パルス数 

1 000〜2 000パルス 

 

表4−分析線の例 

単位 nm 

適用分析成分 

分析線波長 

アルミニウム 

Al I 256.80,Al I 396.15 

マンガン 

Mn II 259.37,Mn I 293.31 

亜鉛 

Zn I 213.86,Zn I 334.50 

けい素 

Si I 251.61 

銅 

Cu I 324.75 

鉄 

Fe II 259.94,Fe I 302.06 

ニッケル 

Ni II 231.60,Ni I 341.48 

ベリリウム 

Be II 313.04 

ジルコニウム 

Zr II 339.20,Zr II 349.62 

カルシウム 

Ca II 393.37 

マグネシウム(内標準元素) 

Mg I 291.55,Mg I 517.27 

注記 表中のIは原子線,IIはイオン線を表す。 

 

検量線作成用試料,検量線校正用試料及び分析試料 

7.1 

検量線作成用試料 

検量線作成用試料は,分析試料と冶金的履歴及び化学組成が近似し,分析試料中の分析対象元素の含有

率を内挿する範囲で,分析対象元素の含有率が適切な間隔をもつように最低3個の試料を用意して一系列

として用いる。 

検量線作成用試料中の分析対象元素の含有率は,JIS H 1332,JIS H 1333,JIS H 1334,JIS H 1335,JIS 

H 1336,JIS H 1337,JIS H 1338,JIS H 1339,JIS H 1340及びJIS H 1341に定められた化学分析方法又は

その分析所にて技術的に確認され文書化された化学分析方法を用いて決定する。その場合,十分に均質で

一つ以上の成分に認証の付いた化学分析用の認証標準物質又はJIS Q 0032で規定した所内標準物質を含む

実用標準物質を併行分析し,その定量結果が認証標準物質又はJIS Q 0032で規定した所内標準物質を含む

実用標準物質の不確かさの範囲内であることを確認する。 

7.2 

検量線校正用試料 

検量線校正用試料は,検量線作成用試料の系列の中から適切なものを選んで用いてもよいが,均質で測

定値の再現性がよいものであれば,検量線作成用試料でなく,冶金的履歴及び化学組成が近似しなくても


H 1322:2017  

 

よい。2点で検量線を校正する場合には,検量線の上限及び下限付近のものを選び,1点で校正する場合に

は,検量線の上限付近のものを選ぶ。 

7.3 

分析試料 

分析試料は,十分な厚さのある材料でできている製品の横断面に対応する試料部位から,切断,せん断

又は打ち抜きにより切り出した後,箇条8に従って,放電可能な分析面の直径を,通常,20 mm以上の平

面に成形できる塊状又は板状のものとなるように加工する。これらの試料の分析面に,測定値に影響を及

ぼすような表面欠陥がないようにする。 

 

試料の調製 

試料の調製は,切断機械又は切削機械を用いて分析面の直径が20 mm以上,厚さ3 mm以上の形状に加

工する。分析面の加工は,放電面が平らに,また,その粗さが一定に仕上がるように管理された研削機械

又は研磨機械で平面状に調製する。研磨による試料の温度上昇は,発光条件によっては,定量値に影響を

及ぼす場合があるため,常に一定温度となるような調製条件にする必要がある。 

研磨に研磨ベルトを用いる場合の研磨材は,JIS R 6010に規定する粒度P36〜P240を用いる。グライン

ダを用いる場合の研磨材は,JIS R 6001-1に規定する粒度F36〜F220,又はJIS R 6001-2に規定する粒度

F230〜F240を用いる。 

と(砥)粒の材質によっては分析面を汚染し,定量値に影響を与える場合があるため,目的に合わせた

材質の選択を行う。 

 

操作 

操作は,次のいずれかによる。 

a) 発光強度法 発光強度法は,次による。 

1) 6.2に従って調整された試料支持台に,箇条8で調製した分析試料,及び対電極[6.1 a)]を設置す

る。 

2) 6.4に従って決定した分析条件で発光させ,発光強度を測定する。併行精度のよい測定条件をあらか

じめ選定しておく必要がある。 

3) 2) で得た発光強度を発光強度測定値とする。 

b) 強度比法 強度比法は,次による。 

1) a) の1) 及び2) の手順に従って操作する。内標準元素の分析線は,共存元素の影響を考慮して選定

する。 

2) a) の2) で得た分析対象元素の発光強度と内標準元素の発光強度との比を求め,発光強度測定値と

する。 

 

10 

検量線 

10.1 

検量線の作成 

分析試料と冶金的履歴及び化学組成が近似した検量線作成用試料(7.1)を,箇条9の手順に従って試料

と同じ操作を試料と併行して行い,分析対象元素の発光強度測定値と検量線作成用試料中の分析対象元素

の含有率とから式(2)又は式(3)のいずれかの関係線を作成して検量線とする。検量線は,適切な含有率範囲

で分割して作成してもよい。ただし,検量線作成用試料(7.1)が3個の場合は,一次回帰式である式(2)

に限定する。 


H 1322:2017  

  

検量線をあらかじめ作成してある場合には,2個の検量線校正用試料(7.2)を検量線作成用試料(7.1)

の代わりに用いて,箇条9の手順に従って発光強度測定値を求め,得た発光強度測定値を用いて,あらか

じめ作成してある検量線の時間変動を校正した検量線を作成し,それを使用してもよい。 

1

i

1

i

b

I

a

W

  (2) 

2

i

2

2

i

2

i

c

I

b

I

a

W

  (3) 

ここに, 

Wi: 検量線作成用試料の分析対象成分iの標準値[質量分率

(%)] 

 

Ii: 検量線作成用試料の分析対象成分iの発光強度測定値 

 

a1,b1: 定数項 

 

a2,b2,c2: 定数項 

 

10.2 

検量線の校正を要する装置変動要因 

次のa)〜i) に示すような装置変動要因が発生した場合に,検量線の校正を行う。 

a) 電源電圧の急激な変化があった場合 

b) 分光器内の真空度が劣化した場合 

c) 集光レンズ又は保護石英ガラス板を清掃した場合 

d) アルゴンガスボンベのロットを変更した場合 

e) 試料調製研磨材を取り替えた場合 

f) 

対電極を取り替えた場合 

g) 分光器入射光に対する入口スリットの相対位置を調整した場合 

h) 装置の修理調整を行った場合 

i) 

長時間分析を休止した場合 

10.3 

検量線の校正方法 

検量線作成時からの発光強度測定の変化を,検量線含有率範囲の上限及び下限付近の2個の検量線校正

用試料を用いて式(4)によって補正する。この校正結果が妥当かどうかは,認証標準物質又は実用標準物質

を定量し,あらかじめ実験的に求めた室内再現許容差内であることを確認する。 

ci

ci

I

I

  (4) 

ここに, 

Ici: 分析試料中の分析対象成分iの補正後強度測定値 

 

 

iL

iH

iL

iH

I

I

I

I

 

 

 

iH

iH

I

I

 

 

I'ci: 分析試料中の分析対象成分iの未補正強度測定値 

 

IiH: 高濃度側検量線校正試料中の分析対象成分iの検量線作

成時の発光強度測定値 

 

IiL: 低濃度側検量線校正試料中の分析対象成分iの検量線作

成時の発光強度測定値 

 

I'iH: 高濃度側検量線校正試料中の分析対象成分iの定量時の

発光強度測定値 

 

I'iL: 低濃度側検量線校正試料中の分析対象成分iの定量時の

発光強度測定値 

 

市販の装置にはこれらの補正を自動的に行う機構が備えられている場合がある。 


H 1322:2017  

 

11 

計算 

箇条9 a) 又は箇条9 b) で得た発光強度測定値と10.1で作成して10.3で校正した検量線とからCiを求め,

JIS Z 8401の規則Aに従って数字を丸め,試料中の定量成分iの定量値とする。 

1

i

1

i

b

I

a

C

  (5) 

2

i

2

2

i

2

i

c

I

b

I

a

C

 (6) 

ここに, 

Ci: 試料の分析対象成分iの定量値[質量分率(%)] 

 

Ii: 試料の分析対象成分iの発光強度測定値 

 

a1,b1: 検量線作成時に決定した定数項 

 

a2,b2,c2: 検量線作成時に決定した定数項 

 

なお,測定は複数回行い,JIS Z 8402-6に示す併行許容差を満足する回数実施して得た測定結果を元に,

JIS Z 8402-6に従って最終的な定量値を算出する。 

 

12 

安全衛生 

スパーク放電発光分光分析を行う場合の安全衛生については,次の事項に注意する。 

a) 電気配線は全て規格に適合するものを使用し,装置の絶縁及び接地は,十分に行わなければならない。 

b) 全部の電気回路を切断できる1個の主開閉器を備えなければならない。装置の点検・修理は,やむを

得ない場合を除き,主開閉器を切ってから行う。通電中の点検は,2名以上で行い,感電時の応急措

置法を明確に決めておくことが望ましい。 

c) 装置を設置する室内は,試料発光時に発生する有毒ガス及びほこり,雰囲気調整のために供給するガ

スなどの室内充満を避ける処置をする。 

d) 発光源から放射される,紫外光を含むせん(閃)光を直接見ないように注意する。必要があれば,紫

外線防止の保護具を使用する。 

e) 騒音を発生する装置を使用する場合には,できるだけ吸音構造にすることが望ましい。 

f) 

試料調製用機械は,操作方法を十分に習得して操作する。高速度切断機,ベルトサンダ,グラインダ

などには,安全カバー,湿式の集じん装置などを備える。切断用の旋盤,ボール盤などの操作には手

袋を使用してはならない。目に切りくずの入るおそれのある場合には,保護具を用いる。切削研磨く

ずの処理を十分に行う。 


H 1322:2017  

  

附属書A 

(規定) 

スパーク放電発光分光分析装置 

 

A.1 装置の概要 

スパーク放電発光分光分析装置は,励起電源部,発光部,集光部,分光部,受光部及び検出器からなる。

励起電源部では,試料の励起源を発光部に供給して発光させる。集光部では,この光を集光して分光部に

導く。分光部では,入射した光を各元素のスペクトル線に分光して受光部で受ける。受光部に入射した各

元素のスペクトル線強度を検出器で測定して,測定された発光強度を元素含有率に換算して分析値を算出

する。 

a) 励起電源部 試料を放電によって蒸発気化して励起発光させるための電力を発光部に供給するもの

で,次のいずれかを用いる。 

1) 直流高圧スパーク(DC HVS)電源装置 高圧変圧器で電圧を約10 kV以上に上げ,整流管又は整

流器で整流してコンデンサに充電し,これを同期回転遮断器で順次放電することが可能な装置。 

2) 低圧コンデンサ放電電源装置 大容量のコンデンサを最高1 kV程度に充電した後,高圧スパーク放

電によって点火することが可能な装置。 

b) 発光部 試料を放電によって発光部とするために,試料電極・対電極の支持,特定ガスを用いる発光

雰囲気の調節,電極支持部分の水冷などが可能な装置。その例として図A.1に示す平面試料用電極支

持台は,通常,径20 mm以上の平面試料が保持可能で,発光雰囲気にアルゴンなどを使用して,その

流量を流量計及び自動弁によって調節できるようになっている。 

 

 

  

1 集光レンズ 

3 アルゴンガス流入口 

5 試料 

 

2 保護石英ガラス板 

4 対電極 

6 アルゴンガス流出口 

 

図A.1−平面試料用電極支持台の例 

 

c) 集光部 集光レンズを用いて光源からの光を集光して,分光系に入射させる装置。通常はコリメータ

結像法を用い,これは1個の集光レンズを入口スリットの前に置き,光源からの光を集光して入口ス

リットを均一に照射し,コリメータ上に結像する。 

d) 分光器 入口スリット系,分光系及び出口スリット系によって構成し,入口スリット系から入射した

光を,分光系で分光し,出口スリット系によって各元素のスペクトル線に選別できるもの。通常,器


H 1322:2017  

 

内を真空下で使用する真空形又は常圧下で使用する常圧形を用いる。 

1) 入口スリット系 入口スリット及びその位置調整機構によって構成し,スリット幅が固定のもの又

は可変なものがある。通常,固定形を用いる。 

2) 分光系 回折格子又はプリズムを用いたものがある。通常,回折格子による分光系を用いる。回折

格子による分光系には,凹面回折格子又は平面回折格子を備えたものがあり,凹面回折格子には,

パッシェン・ルンゲ形,イーグル形など,平面回折格子には,エバート形があるが,通常,パッシ

ェン・ルンゲ形分光系を用いる。パッシェン・ルンゲ形分光系を図A.2に示す。 

 

 

1 入口スリット 
2 凹面回折格子 
3 出口スリット 
4 焦点面 
5 ローランド円 

図A.2−パッシェン・ルンゲ形分光系 

 

3) 出口スリット系 出口スリットを通ったスペクトル線を光電子増倍管の光電陰極面上に結像させる

ための凹面反射鏡,出口スリットにスペクトル線を入射させる石英ガラス屈折板などで構成する。

出口スリットは,通常,スリット幅が固定である。ただし,適用する分析材質によって,分析線に

対する妨害スペクトル線の影響の程度が異なるため,装置導入時に装置製造業者にて適正なスリッ

ト幅を選択し,設置する。 

e) 検出器 光電子増倍管又は半導体検出器で構成し,出口スリットからの光を検出して電流値に変え,

各スペクトル線の発光強度を測定できるもの。 

1) 光電子増倍管 使用する分析線の波長に対して適切な波長感度領域のもので,その特性は,SN比

が大で感度が高く,疲労回復の早い特性をもち,その光電子増倍管の印加電圧を,スペクトル線強

度に応じて調節できるもの。 

2) 半導体検出器 光電変換素子を二次元に並べた面状の半導体検出器で,電荷結合素子(CCD),電

荷注入素子(CID),セグメント化電荷結合素子(SCD)などによる。各スペクトル線を検出して発

光強度を同時に測定する必要があり,そのための十分な素子数及び電気特性を要する。 

f) 

データ処理部 発光強度を測定値として記録し,検量線を用いて元素含有率に換算できる機能をもつ

もの。通常は装置に内蔵されたコンピューターによる。また,装置の各部分に対する作動指令を自動

的に制御するために,装置に内蔵されたコンピューターに制御ソフトが導入される。 

 

A.2 装置の調整 

装置の調整は,次による。装置は,常に正常な運転ができるように十分に整備しておかなければならな

い。 


10 

H 1322:2017  

  

a) 発光装置の調整 発光装置の調整は,次による。 

励起電源装置の回路の諸元,光源装置の雰囲気ガス流量などは,試料の種類,分析対象成分,その

定量範囲などによって適切な条件をあらかじめ決定しておく。 

1) 予備放電 励起電源装置の電気的作動が安定するまで,あらかじめ適切な時間通電しておく。必要

があれば,励起電源装置の高圧変圧器の一次電圧を電圧調整器によって,所定の電圧に設定する。 

2) 励起電源装置の制御間隙の調整 高圧回路の出力に分析間隙と直列に設けた空間間隙のある装置で

は,その電極の放電面を定期的に成形し,スペーサを用い所定の間隙にし,常に規定の放電電圧に

なるように調整する。 

3) 雰囲気ガス流量の調整 雰囲気ガスの流量は,試料の発光に影響するため,発光中及び休止中の流

量が所定の値となるように,流量計を調整する。 

b) 光学系の調整 集光装置及び分光器の光学系の調整は,次による。点検及び調整は,あらかじめ実施

しておかなければならない。 

1) 集光レンズ及びその保護石英ガラス板の点検 汚染されているときは清浄にする。汚染の有無は,

通常,積分時間の増加又は感度の低下によって点検する。 

2) 分光器内圧力の調整 真空形分光系の器内圧力は,装置に応じた真空度を保持する。 

3) 分光器入射光の位置の調整 分光器入射光の位置の調整を行い,スペクトル線波長の位置を出口ス

リットに正確に合わせる。自動調整機構をもつ装置では,その作動状況を確かめる。 

c) 測光装置の調整 測定装置の点検及び調整は,次による。 

1) 予備放電 光電子増倍管を含む測定回路が安定に作動するようになるまで,あらかじめ測光装置に

適切な時間通電しておく。 

2) 予備放電時間及びパルス数の決定 予備放電時間及びパルス数は,分析試料,分析対象元素の種類,

発光条件,内標準法を用いる場合の分析対象元素の発光線と内標準線との組合せなどによって異な

るため,あらかじめ実験的に確かめて決める。 

3) 積分時間及びパルス数の調整 積分時間及びパルス数の設定は,分析精度,所要時間,分析線の強

度などを基準にして,あらかじめ実験的に定める。 

4) 測定強度範囲の規制 分析対象元素の濃度範囲及びスペクトル線の特性に応じて,各光電子増倍管

の印加電圧を調整しておく。 

 

A.3 装置の設置 

装置の設置に当たっては,機種に応じた設置条件を満たさなければならない。通常,次の事項に留意す

る。 

a) 装置は,ほこりが少なく,腐食性ガスが入らない室内に設置することが望ましい。 

b) 装置を設置する分析室内は,通常,温度を22〜25 ℃とし,その変動を±1 ℃の範囲で,相対湿度を

60 %以下に保持する。ただし,分光器が恒温機構を内蔵し,装置の電気回路の絶縁抵抗が湿度に対し

て十分に大きい場合には,この限りではない。 

c) 分光器は,できるだけ振動の少ない場所に設置し,必要ならば,防振床,防振ゴムなどを用いて振動

の影響を受けないようにする。 

d) 装置の電源は,電圧変動を±1 %以内に保持するために定電圧装置を介して供給し,できるだけ周波

数の変動の少ないものであることが望ましい。 

e) 装置を安定に作動させ,他の機器への妨害雑音を軽減するために,接地抵抗20 Ω以下の専用の接地設


11 

H 1322:2017  

 

備を設けなければならない。 

f) 

光源部にガスを供給する装置の場合には,ガスの配管は内面を清浄にしたステンレス鋼鋼管,銅管な

どを用い,接合部分ができるだけ短いことが望ましい。