>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

日本工業規格

JIS

 H

1322

-1976

マグネシウム地金の発光分光分析方法

Method for Emission Spectrochemical Analysis of Magnesium Ingot

1.

適用範囲  この規格は,JIS H 2150(マグネシウム地金)に規定された化学成分(アルミニウム,銅,

鉄,マンガン,けい素,ニッケル及び亜鉛)の写真測光法による発光分光分析方法について規定する。

引用規格:

JIS H 1321

  マグネシウム地金分析方法

JIS H 2150

  マグネシウム地金

JIS K 0050

  化学分析通則

JIS Z 2612

  金属材料の写真測光法による発光分光分析方法通則

JIS Z 8401

  数値の丸め方

2.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS K 0050(化学分析通則)及び JIS Z 2612(金属材料の

写真測光法による発光分光分析方法通則)による。

3.

試料の採り方及び取り扱い方  試料の採り方及び取り扱い方は,JIS H 1321(マグネシウム地金分析

方法)による。溶融状態の場合は,マグネシウム内張りの鋳型を用いて鋳造された棒状試料を切断し,ま

た鋳塊の場合は数箇所から表層部を除き,ドリルを用いて切削試料を採取する。

4.

分析値の表し方  分析値は百分率で表し,次によって数値をまとめる。

(1)

不純物については,JIS H 2150 に規定された次の位まで求め,JIS Z 8401(数値の丸め方)によって

規定された位に丸める。ただし本法による不純物百分率の有効数値は 2 けた以内とする。

(2)

マグネシウム分については,JIS H 2150 に規定された不純物の百分率を各々(1)によって算出した後,

その総計を 100 から差し引いた残部とし規定された位以下の数値は切り捨てる。

5.

定量方法

5.1

方法の区分  定量方法は,溶液アーク法による。

5.2

溶液アーク法

5.2.1

要旨  試料を塩酸で分解し,加熱濃縮してほぼ一定容量とする。この溶液中に空焼して加熱した黒

鉛電極の一端を浸してしみ込ませ,乾燥する。この試料電極をアーク法によって発光し,その光を分光写

真器を用いて撮影し,スペクトル線の強度を測定する。

5.2.2

試料の調整方法  試料の調製方法は,次による。

(1)

分析試料  試料 1.0g をはかり取り,ビーカー (100ml) に移し入れ時計ざらで覆い,塩酸(1+1)10ml

を小量ずつ加えて分解し,

更に塩酸 2ml を加えて完全に分解する(

1

)

熱板上でわずかに濃縮して約 10ml


2

H 1322-1976

とする。

(

1

)

銅,ニッケルの含量が多いために,試料が塩酸で完全に溶解しがたい場合には,硝酸を少量加

える。

(2)

標準試料  純金属マグネシウムを塩酸で分解した後,その塩酸溶液を分光分析方法によって不純物元

素が検出されなくなるまで再結晶して精製する。この精製塩化マグネシウム溶液 (1gMg/10ml) の一定

量にミクロビュレット又はメスピペットを用いて 5.2.3 の各種の標準金属溶液を加える。この標準溶液

は,各種段階の純度に相当するものを数個準備する。

また各種段階の純度をもつマグネシウム地金が容易に得られる場合には,この地金の均質部分をと

り,(1)に従って分解して標準試料とすることができる。

5.2.3

不純物元素標準溶液の調製方法  各種不純物元素の塩酸溶液又は硝酸溶液を調製する場合は,その

濃度が溶液 1ml 中に金属元素 10mg を含むようにする。この標準溶液は使用に際して適宜水でうすめる。

アルミニウム,鉄,マンガン及び亜鉛の標準溶液は,99.9%以上の各金属 1.000g を塩酸(1+1)10ml で分解

して水で 100ml とする。銅及びニッケルは,99.9%以上の各金属 1.000g を硝酸(1+1)10ml で分解し,水で

100ml

とする。けい素はけい酸ナトリウムの水溶液を用いてけい素を化学分析し,補正して使用する。

5.2.4

電極の調製方法  電極は径 5∼6mm の発光分光分析用黒鉛電極を用い,黒鉛電極切削機,小形旋盤

又はその他の工具を使用して,

図 に示す形状に調製する。

図 1

5.2.5

装置及び操作条件  装置及び操作条件は,次による。

(1)

分光装置  中形水晶分光器を使用する場合は,分光器スリット幅は 15

µm とし,スリット直前には階

段フィルター又は回転セクターを設置する。

(2)

発光方法  黒鉛電極を電極支持台(

2

)

に保持し,下極を陽極として,直流電流を通じ,20 秒間空焼する。

下極をやや冷やし,その一端に 5.2.2 で調製したほぼ一定量の試料溶液をしみ込ませる。上極,下極を

接触させ,更に短時間電流を通じて下極にしみ込ませた試料を乾燥(

3

)

する。直ちに直流の一定電圧

(100

∼300V),一定電流 (9∼12A)  を与えて上・下の極を開き,直流アークで発光し,20 秒の露光を

行う。このときの分析間げきは約 5mm の一定とする。

この際電極の白熱部分及び両極付近から発する光を分光器に入射させないように中間結像法光学系

のスクリーンなどで調節する。

(

2

)

黒鉛電極を保持するチャック及び電極を取り扱うピンセットは,ステンレス鋼製のものが望ま

しい。

黄銅製のものは銅の汚染のおそれがあるため使用できない。

(

3

)

赤熱状態まで加熱してはならない。

(3)

撮影条件  分析試料と標準試料とは同一条件で撮影する。スペクトルの撮影順序は,標準試料が乾板

の一端だけに偏らないように分析試料の間にそう入して撮影する。


3

H 1322-1976

(4)

乾板処理方法  撮影した乾板は JIS Z 2612 の 8.3 に従い,それぞれ指定の現像操作によって現像,現

像停止,定着,水洗後乾燥を行う。

(5)

光度測定方法  黒度は,安定な電源を有するミクロホトメーターを用い,一定した光源からの光を乾

板上のスペクトル線像にあて,透過した光の強さを測定して求める。

5.2.6

分析線対  分析線対は原則として表 のものを用いる。ただし不純物元素の含有率若しくはその他

の条件によっては他の適当なものを選ぶことができる。

表 1  分析線対

単位 nm

分析線/内標準線

Al I 308.216/Mg

  I  333.668

Cu I 327.396/Mg

  I  333.668

Fe I 348.534/Mg

  I  269.814

Mn II 259.373/Mg

  I  269.814

Si I 251.612/Mg

  I  269.814

Ni I 341.477/Mg

  I  333.665

Zn I 334.502/Mg

  I  333.668

5.2.7

定量値の求め方  JIS Z 2612 の 8.5 に従って試料中の不純物元素(アルミニウム,銅,鉄,マンガ

ン,けい素,ニッケル及び亜鉛)の含有率を求める(

4

)

(

4

)

低濃度の元素を定量する場合には,ザイデル黒度差を使用することが望ましい。

備考1.  この方法は中形分光写真器によるものである。しかし分光写真器及び励起電源装置にはいろ

いろのものがあるので,他の形式の装置を用いる場合にはこの方法を基準とし,これに劣ら

ない正確さ,精密さが得られる条件を慎重に求めた後使用してもよい。

2.

この規格に規定された元素以外のカルシウム,クロム,すず,ストロンチウム,チタン,バナジウム

についてもこの方法で分析できる。この場合には,

表 の分析線対を使用する。

表 2  分析線対

単位 nm

分析線/内標準線

Ca II 393.367/Mg

  I  333.668

Cr I 425.435/Mg

  I  333.668

Sn I 317.502/Mg

  I  333.668

Sr I 460.733/Mg

  I  333.668

Ti II

334.941/Mg

  I  333.668

V I 318.398/Mg

  I  333.668