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H 1289

:2015

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

2

4

  一般事項  

2

5

  要旨 

2

6

  試薬 

2

7

  ICP 発光分光分析装置  

4

7.1

  ICP 発光分光分析装置の基本的性能  

4

7.2

  性能基準  

4

7.3

  短時間安定性  

5

7.4

  性能基準の調査頻度  

5

8

  試料はかりとり量  

5

9

  操作 

5

9.1

  試料溶液の調製  

5

9.2

  発光強度の測定  

6

10

  空試験  

6

11

  共存成分のスペクトル重なり補正係数  

7

12

  検量線の作成  

7

12.1

  検量線の作成方法  

7

12.2

  ニッケル−定量成分二元系の検量線用溶液による検量線の作成  

7

13

  検量線の校正  

8

14

  計算  

8

15

  許容差  

9

16

  安全衛生に関する注意  

9


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まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本伸銅協会(JCBA)及び一

般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 H

1289

:2015

ニッケル及びニッケル合金−

ICP

発光分光分析方法−

ニオブ,タンタル及びジルコニウム定量方法

Nickel and nickel alloys-ICP atomic emission spectrometric method-

Determination of niobium, tantalum and zirconium

適用範囲 

この規格は,ニッケル,ニッケル合金及び超合金中の

表 に規定する 3 成分の含有率を,ICP 発光分光

分析方法によって定量する方法について規定する。この方法は,各成分について

表 に規定する範囲の定

量に適用する。共存成分は,

表 に示す範囲で適用する。

表 1−適用分析成分及び定量範囲 

単位  質量分率(%)

適用分析成分

定量範囲

ニオブ

0.002

以上 6.0 以下

タンタル

0.002

以上 3.5 以下

ジルコニウム

0.001

以上 0.30

以下

表 2−共存成分の許容範囲 

単位  質量分率(%)

共存成分

許容範囲

シリコン

0.01

以上 5.1

以下

マンガン

0.01

以上 5.0

以下

ニッケル

30.0

以上 100  以下

クロム

0.01

以上 30.2

以下

モリブデン   0.01

以上 19.9

以下

0.01

以上 5.1

以下

タングステン

0.10

以上 18.5

以下

バナジウム   0.01

以上 1.2

以下

コバルト

0.01

以上 20.6

以下

チタン

0.01

以上 10.5

以下

アルミニウム

0.01

以上 10.3

以下

0.01

以上 30.6

以下

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの


2

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引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 0203

  鉄鋼用語(製品及び品質)

JIS G 1201

  鉄及び鋼−分析方法通則

JIS H 1270

  ニッケル及びニッケル合金−分析用試料採取方法及び分析方法通則

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0116

  発光分光分析通則

JIS K 0211

  分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0212

  分析化学用語(光学部門)

JIS K 0215

  分析化学用語(分析機器部門)

JIS Z 8402-6

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 6 部:精確さに関する値の実用的

な使い方

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS G 0203JIS G 1201JIS K 0211JIS K 0212 及び JIS K 0215

による。

一般事項 

定量方法に共通な一般事項は,JIS H 1270 及び JIS K 0116 による。

要旨 

試料を硝酸とふっ化水素酸との混酸,又は塩酸,硝酸とふっ化水素酸との混酸で分解した後,この溶液

に内標準元素としてストロンチウム及び界面活性剤を添加し,調製した溶液の一部を噴霧して ICP 発光分

光分析装置のアルゴンプラズマ中に導入し,

定量成分及びストロンチウムの分析線の発光強度を測定して,

定量成分の発光強度のストロンチウムとの発光強度に対する比を算出する。算出した発光強度比をあらか

じめ作成した検量線で読み取り,未補正定量値とした後,必要であれば,共存元素の補正を行い試料中の

含有率とする。

試薬 

試薬は,次による。

標準液については,一般事項として,箇条 の引用に従って,JIS K 0116 の 4.3.2(試薬類)b)  及び c)  の

規定による。

注記  JIS K 0116 の 4.3.2 b)  の計量計測トレーサビリティが確保された標準液としては,JCSS(Japan

Calibration Service System

)又は米国国立標準技術研究所(NIST)のロゴ付き証明書を付した標

準液がある。

6.1 

塩酸 

6.2 

硝酸(質量分率 60 %)

6.3 

ふっ化水素酸 

6.4 

混酸 A(硝酸 1,ふっ化水素酸 1 

6.5 

混酸 B(硝酸 1,ふっ化水素酸 1,水 1,塩酸 3

1)

6.6 

混酸 C(硝酸 1,ふっ化水素酸 1,水 1,塩酸 5

1)


3

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6.7 

ストロンチウム溶液(Sr:500 µg/mL)  塩化ストロンチウム六水和物 1.521 g をはかりとってビーカ

ー(200 mL)に移し入れ,水で溶解した後,水で 1 000 mL にうすめる。

6.8 

ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル溶液(20 mL/L)  ポリオキシエチレン(10)オクチ

ルフェニルエーテルを 20 mL 分取し,水で 1 000 mL にうすめる。この溶液は冷暗所に保存する。

6.9 

ニッケル  できる限り純度の高いニッケル(質量分率 99.9 %以上)で,ニオブ,タンタル及びジル

コニウムを含有しないか,又は定量範囲下限値以下で値が特定されているもの。特定された値としては,

妥当性が確認されていれば,認証値でなくてもよい。

6.10 

ニオブ標準液 A(Nb:5 mg/mL)  酸化ニオブ(V)(質量分率 99.9 %以上)0.716 g をはかりとって

ポリテトラフルオロエチレン(以下,PTFE という。

)製ビーカーに移し入れる。ふっ化水素酸 10 mL を加

えた後,硝酸を滴下して分解する。常温まで冷却した後,溶液を JIS K 0050 

附属書 H(体積計の校正方

法)によって校正した 100 mL のポリエチレン製全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうす

めてニオブ標準液 A とする。ポリエチレン製試薬瓶中で保存する。

6.11 

ニオブ標準液 B(Nb:500 µg /mL)  ニオブ標準液 A(6.10)を,使用の都度,過酸化水素(1+100)

で正確に 10 倍にうすめてニオブ標準液 B とする。ポリエチレン製容器を使用する。

6.12 

ニオブ標準液 C(Nb:50 µg /mL)  ニオブ標準液 A(6.10)を,使用の都度,過酸化水素(1+100)

で正確に 100 倍にうすめるか,又はニオブ標準液 B(6.11)を,使用の都度,過酸化水素(1+100)で正

確に 10 倍にうすめてニオブ標準液 C とする。ポリエチレン製容器を使用する。

6.13 

ニオブ標準液 D(Nb:5 µg /mL)  ニオブ標準液 B(6.11)を,使用の都度,過酸化水素(1+100)

で正確に 100 倍にうすめるか,又はニオブ標準液 C(6.12)を,使用の都度,過酸化水素(1+100)で正

確に 10 倍にうすめてニオブ標準液 D とする。ポリエチレン製容器を使用する。

6.14 

ニオブ標準液 E(Nb:0.5 µg/mL)  ニオブ標準液 C(6.12)を,使用の都度,過酸化水素(1+100)

で正確に 100 倍にうすめるか,又はニオブ標準液 D(6.13)を,使用の都度,過酸化水素(1+100)で正

確に 10 倍にうすめてニオブ標準液 E とする。ポリエチレン製容器を使用する。

6.15 

タンタル標準液 A(Ta:5 mg/mL)  タンタル(質量分率 99.9 %以上)0.500 g をはかりとって PTFE

製ビーカーに移し入れる。ふっ化水素酸 10 mL を加えた後,硝酸を滴下して分解する。常温まで冷却した

後,溶液を JIS K 0050 

附属書 によって校正した 100 mL のポリエチレン製全量フラスコに水を用いて

移し入れ,水で標線までうすめてタンタル標準液 A とする。ポリエチレン製試薬瓶中で保存する。

6.16 

タンタル標準液 B(Ta:500 µg/mL)  タンタル標準液 A(6.15)を,使用の都度,水で正確に 10 倍

にうすめてタンタル標準液 B とする。ポリエチレン製容器を使用する。

6.17 

タンタル標準液 C(Ta:50 µg/mL)  タンタル標準液 A(6.15)を,使用の都度,水で正確に 100 倍

にうすめるか,又はタンタル標準液 B(6.16)を,使用の都度,水で正確に 10 倍にうすめてタンタル標準

液 C とする。ポリエチレン製容器を使用する。

6.18 

タンタル標準液 D(Ta:5 µg/mL)  タンタル標準液 B(6.16)を,使用の都度,水で正確に 100 倍

にうすめるか,又はタンタル標準液 C(6.17)を,使用の都度,水で正確に 10 倍にうすめてタンタル標準

液 D とする。ポリエチレン製容器を使用する。

6.19 

タンタル標準液 E(Ta:0.5 µg/mL)  タンタル標準液 C(6.17)を,使用の都度,水で正確に 100

倍にうすめるか,又はタンタル標準液 D(6.18)を,使用の都度,水で正確に 10 倍にうすめてタンタル標

準液 E とする。ポリエチレン製容器を使用する。

6.20 

ジルコニウム標準液 A(Zr:500 µg/mL)  酸化ジルコニウム(IV)(質量分率 99.9 %以上)0.676 g

を PTFE 製ビーカーにはかりとり,過塩素酸 30 mL を加え,ふっ化水素酸を滴下して分解する。引き続き


4

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加熱し,白煙処理をする

2)

。放冷した後,ビーカーの内壁面を洗い流すよう

3)

に水を加える。再び加熱し,

白煙処理をする

2)

。さらに,もう 1 回,冷却した後,水でビーカーの内壁を洗い,再び加熱して白煙処理

を行う

2)

。放冷した後,硝酸(4+1)100 mL 及び過酸化水素 2,3 滴を加えて過塩素酸塩を溶かす。煮沸

して過酸化水素を分解した後,冷却し硝酸(4+1)で 1 000 mL にうすめてジルコニウム標準液 A とする。

6.21 

ジルコニウム標準液 B(Zr:50 µg/mL)  ジルコニウム標準液 A(6.20)を,使用の都度,水で正確

に 10 倍にうすめてジルコニウム標準液 B とする。

6.22 

ジルコニウム標準液 C(Zr:5 µg/mL)  ジルコニウム標準液 A(6.20)を,使用の都度,水で正確

に 100 倍にうすめるか,又はジルコニウム標準液 B(6.21)を,使用の都度,水で正確に 10 倍にうすめて

ジルコニウム標準液 C とする。

6.23 

ジルコニウム標準液 D(Zr:0.5 µg/mL)  ジルコニウム標準液 B(6.21)を,使用の都度,水で正確

に 100 倍にうすめるか,又はジルコニウム標準液 C(6.22)を,使用の都度,水で正確に 10 倍にうすめて

ジルコニウム標準液 D とする。

1)

塩酸及び硝酸を含む混酸は保存中にガスが発生するため,使用の都度,調製するとよい。

2)

操作の注意点として,加熱が強過ぎたり,白煙を長時間発生させ過ぎたりすると塩類が溶解し

なくなることが挙げられる。

3)

ふっ化水素酸はビーカー内壁面に残りやすい。

7 ICP

発光分光分析装置 

7.1 ICP

発光分光分析装置の基本的性能 

高次スペクトル線が使用可能な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよく,また,バックグラウン

ド補正機能が付いている装置では,バックグラウンド補正機能を用いてもよい。

プラズマの軸方向から測光する装置は,プラズマ内部に付着物が生成することによって測光が異常にな

ることがあり,使用できない。

一般に,ICP 発光分光分析の測定条件を選定する際には,短時間安定性について,あらかじめ JIS K 0116

の方法によって求めた使用判定の基準となる値を満足しなければならない。

7.2 

性能基準 

この規格で用いる ICP 発光分光分析装置は,7.3 に規定する短時間安定性を満足するように,分析線,

励起条件,測光条件などを選定しなければならない。性能基準の確認は,定量成分ごとに行い,性能基準

を満たさない濃度範囲については,その成分の定量はできない。

なお,発光強度を測定する分析線については,規定された装置基準を満たせば,どの波長を用いてもよ

い。

表 に分析線の例を示す。

表 3−分析線の例 

単位  nm

適用分析成分

分析線

ニオブ 309.42  313.08  319.50

タンタル 240.06  263.64

ジルコニウム 339.20  343.82  357.25

ストロンチウム 407.77


5

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7.3 

短時間安定性 

12.2

の a)c)  で調製した検量線用溶液の各液について,9.2 の操作を連続 10 回行って定量成分の発光強

度比を 10 個求め,各濃度の 10 個の平均発光強度比と添加した定量成分量との関係線を作成して検量線と

する。この検量線を用いて 10 個の個々の発光強度比を成分量に換算し,成分量を試料 0.5 g 中の含有率[質

量分率(%)

]に換算する。短時間安定性として,濃度ごとに得られた 10 個の含有率[質量分率(%)

]換

算値の標準偏差は,

表 に規定する成分含有率[質量分率(%)]と評価基準値との関係を両対数グラフ上

に直線で図示した関係線において,含有率に含有率[質量分率(%)

]換算値の平均値を代入して求めた評

価基準値以下でなければならない。

表 4−短時間安定性の評価基準値 

単位  質量分率(%)

成分含有率 0.001

0

0.010

0.10

1.0 6.0

評価基準値

0.000 16

0.000 76

0.003 6

0.016

0.05

7.4 

性能基準の調査頻度 

性能基準の調査は,期間を定めて定期的に行う。分析条件の変更,オーバーホールなど,装置の状態が

変わる可能性がある場合には,必ず行わなければならない。

試料はかりとり量 

試料はかりとり量は,0.50 g とし

4)

,1 mg の桁まではかる。

4)

微粉末試料の場合,試料筆に付着のおそれがあるため,移し替え時には試料筆を使用せず,水

で時計皿から洗い落とす。

操作 

9.1 

試料溶液の調製 

9.1.1 

共通事項 

試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。ただし,溶解が不十分な場合は,該当の酸の濃

度及び量を変更して分解してもよいが,検量線用溶液中の酸量は,溶解に用いた酸量と同一に変更する。

内標準元素の添加は,併行に処理する内標準元素添加対象溶液の全てについて,同一容器から同一量はか

りとって行う。

9.1.2 

ニッケル含有率(質量分率)90 %以上で混酸 を用いる分解法 

混酸 A を用いる分解法は,次による。

a)

試料をはかりとり,粉末漏斗を用いて PTFE 製三角フラスコ(100 mL)に移し入れる。

b)

水 10 mL を加え,続いて混酸 A(6.4)を少量ずつ滴下して 10 mL 加え,ふっ素樹脂フィルムで蓋をし

た後,加温

5)

分解する。

c)

しばらく放冷した後,ふっ素樹脂フィルムを外して塩酸 25 mL を加え,再びふっ素樹脂フィルムで蓋

をして加熱する。

d)  JIS K 0050

附属書 によって校正した 100 mL のポリエチレン製全量フラスコに,ストロンチウム

溶液(6.7)を 10 mL 正確に添加する。

e)

c)

で得た溶液を常温まで冷却した後,ふっ素樹脂フィルムを外し,フラスコ内面を水で洗い,この溶


6

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液を d)  の 100 mL のポリエチレン製全量フラスコに,水を用いて移し入れる。

f)

ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル溶液(6.8)2 mL を穏やかに加えた後,水で標線ま

でうすめる。

5)

煮沸によって濃縮過剰にならないように注意する。この濃縮過剰の目安は,混酸添加前に加

えた水又は分解に要した混酸中の水の分量が揮散した量である。

9.1.3 

ニッケル合金で混酸 を用いる分解法[ニッケル含有率(質量分率)90 %未満の試料,及びクロ

ム含有率(質量分率)15 %未満かつモリブデン含有率(質量分率)7 %未満の場合] 

混酸 B を用いる分解法は,次による。

a)

試料をはかりとり,粉末漏斗を用いて PTFE 製三角フラスコ(100 mL)に移し入れる。

b)

混酸 B(6.5)を 30 mL 加え,ふっ素樹脂フィルムで蓋をした後,加温

5)

分解する。

c)

しばらく放冷した後,ふっ素樹脂フィルムを外して,塩酸を 10 mL 加えた後,再びふっ素樹脂フィル

ムで蓋をして加熱する。

d)  JIS K 0050

附属書 によって校正した 100 mL のポリエチレン製全量フラスコに,ストロンチウム

溶液(6.7)を 10 mL 正確に添加する。

e)

c)

で得た溶液を常温まで冷却した後,ふっ素樹脂フィルムを外し,フラスコ内面を水で洗い,この溶

液を d)  の 100 mL のポリエチレン製全量フラスコに,水を用いて移し入れる。

f)

ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル溶液(6.8)2 mL を穏やかに加えた後,水で標線ま

でうすめる。

9.1.4 

ニッケル合金で混酸 を用いる分解法[ニッケル含有率(質量分率)90 %未満の試料,及びクロ

ム含有率(質量分率)15 %以上又はモリブデン含有率(質量分率)7 %以上の場合] 

混酸 C を用いる分解法は,次による。

a)

試料をはかりとり,粉末漏斗を用いて PTFE 製三角フラスコ(100 mL)に移し入れる。

b)

混酸 C(6.6)を 40 mL 加え,ふっ素樹脂フィルムで蓋をした後,加温

5)

分解する。

c)

JIS K 0050

附属書 によって校正した 100 mL のポリエチレン製全量フラスコに,ストロンチウム

溶液(6.7)を 10 mL 正確に添加する。

d)  b)

で得た溶液を常温まで冷却した後,ふっ素樹脂フィルムを外し,フラスコ内面を水で洗い,この溶

液を c)  の 100 mL のポリエチレン製全量フラスコに,水を用いて移し入れる。

e)

ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル溶液(6.8)2 mL を穏やかに加えた後,水で標線ま

でうすめる。

9.2 

発光強度の測定 

9.1.2 f)

9.1.3 f)  又は 9.1.4 e)  で得た溶液の一部を噴霧して ICP 発光分光分析装置(箇条 7)のアルゴン

プラズマ中に導入し,各定量成分の発光強度及び同時に測定

6)

した内標準元素としてストロンチウムの発

光強度を測定する。得た定量成分発光強度のストロンチウム発光強度に対する比を求める。

6)

シーケンシャル形分光器を用いている ICP 発光分光分析装置においては,各定量成分と内標準

元素の分析線とが同時に測定できる附属装置を装備していない装置があるので注意する。

10 

空試験 

ニッケル(6.9)0.50 g をはかりとって PTFE 製三角フラスコ(100 mL)に移し入れ,時計皿で覆う。ニ

ッケルの量は 1 mg の桁まではかる。以下,9.1.2 の b)f)9.1.3 の b)f)  又は 9.1.4 の b)e),及び 9.2 

手順に従って,試料と同じ操作を試料と併行して行い,空試験溶液中の定量成分の発光強度比を求める。


7

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11 

共存成分のスペクトル重なり補正係数 

あらかじめ各共存成分 j の発光スペクトルの各定量成分 i の分析線への重なりについて調べ,スペクト

ルの重なりがある場合には,スペクトル重なり補正係数 L

ij

を,次の手順によって求める。

注記  共存成分のスペクトル重なり係数については,JIS G 1258-0 の 5.4(共存成分のスペクトル重な

り係数)に記載されている。

a)  12.2

の手順に従って,ニオブ,タンタル及びジルコニウムの定量成分量 150 µg 以下の検量線を作成す

る。

b)

表 の共存成分の許容範囲の全領域から共存成分 j の量を段階的に 3 又は 4 水準選択して,ニッケル

と共存成分 j との二元系溶液を 12.2 の a)c)  に従って調製した後,9.2 の操作を行う。

c)

b)

で得た各発光強度比から,a)  で作成した検量線を用いて各溶液中の定量成分 i の見掛けの検出量を

求め,見掛けの含有率[質量分率(%)

]換算値を算出する。

d)

各溶液において,共存成分添加量の含有率[質量分率(%)

]換算値を X,その液での成分 i の見掛け

の含有率[質量分率(%)

]換算値を として,共存成分 j を添加した液全体(添加量ゼロを含む。

のデータによって両者の一次回帰式(YaXb)の係数 及び の値を求める。

e)

d)

で求めた一次回帰式の勾配 を,定量成分 i に対する共存成分 j のスペクトル重なり補正係数 L

ij

とする。

12 

検量線の作成 

12.1 

検量線の作成方法 

検量線は,ニッケル−定量成分二元系の検量線用溶液によって作成する。検量線用溶液は,試料と同じ

手順で調製するが,試料と併行には調製しなくてもよい。また,発光強度の測定も,検量線の校正を行う

場合には,試料と併行に測定しなくてもよい。

12.2 

ニッケル−定量成分二元系の検量線用溶液による検量線の作成 

ニッケル−定量成分二元系の検量線用溶液による検量線の作成は,次による。

a)

表 に規定する定量成分ごとに 7∼15 個のビーカー(200 mL)を準備し,それぞれにニッケル(6.9

をはかりとって移し入れる。ニッケル(6.9)のはかりとり量は,

{0.500−[0.500×標準液添加量の質

量分率(%)換算値/100]

}g とする。

b)

定量成分ごとに

表 の標準液添加量の例に従って標準液を正確に加える。

c)

9.1.2

の b)e)  及び 9.2 の手順に従って,操作を行う。調製した溶液は検量線用溶液となる。

d)

定量成分ごとに各検量線用溶液の発光強度比と,添加した定量成分量との関係線を作成して検量線と

する。


8

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:2015

   

表 5−検量線用溶液への標準液添加量(ニッケル−定量成分二元系)の例 

適用分析成分

定量範囲

質量分率(%)

使用する標準液

標準液添加量

a)

mL

ニオブ 0.002 以上 1.0 未満

ニオブ標準液 E(6.14

0

(0)

b)

,10(0.001)

ニオブ標準液 D(6.13

3

(0.003)

,5(0.005)

,10(0.01)

ニオブ標準液 C(6.12

3

(0.03)

,5(0.05)

,10(0.1)

ニオブ標準液 B(6.11

3

(0.3)

,5(0.5)

,10(1)

1.0

以上 6.0 以下

ニオブ標準液 B(6.11) 10(1)

ニオブ標準液 A(6.10

3

(3)

,6(6)

タンタル 0.002 以上 1.0 未満

タンタル標準液 E(6.19

0

(0)

b)

,10(0.001)

タンタル標準液 D(6.18

3

(0.003)

,5(0.005)

,10(0.01)

タンタル標準液 C(6.17

3

(0.03)

,5(0.05)

,10(0.1)

タンタル標準液 B(6.16

3

(0.3)

,5(0.5)

,10(1)

1.0

以上∼3.5 以下

タンタル標準液 B(6.16) 10(1)

タンタル標準液 A(6.15

2

(2)

,4(4)

ジルコニウム 0.001 以上 0.05 未満

ジルコニウム標準液 D(6.23

0

(0)

b)

,10(0.001)

ジルコニウム標準液 C(6.22

3

(0.003)

,5(0.005)

,10(0.01)

ジルコニウム標準液 B(6.21

3

(0.03)

,5(0.05)

0.05

以上 0.3 以下

ジルコニウム標準液 B(6.21

5

(0.05)

,10(0.1)

ジルコニウム標準液 A(6.20

3

(0.3)

a)

括弧内の値は,添加量のニッケル 0.5 g 中含有率[質量分率(%)

]換算値を示す。

b)

ゼロメンバー

13 

検量線の校正 

試料溶液の発光強度比測定時に,作成した検量線に経時変化があるときは,定量成分の濃度が異なる 2

個の検量線用溶液

7)

を用意して,9.2 によって発光強度比を測定し,得た発光強度比の検出量換算値が検

量線作成時におけるそれら溶液の検出量換算値と一致するように,検量線を校正する。

7)

例えば,検量線用溶液の上限及び下限の 2 個を用いる。

14 

計算 

計算は,次の手順によって行う。

a)

発光強度の測定(9.2)及び空試験(箇条 10)で得た発光強度比を,箇条 12 で作成した検量線又は箇

条 13 で校正した検量線を用いて定量成分量に換算し,試料中の定量成分 i の未補正含有率を,式(1)

によって算出する。

100

3

i

2

i

1

i

i

×

+

=

m

m

m

m

'

X

  (1)

ここに,

X

i

'

試料中の定量成分 i の未補正含有率[質量分率(%)

m

i1

試料溶液中の定量成分 i の検出量(g)

m

i2

空試験液中の定量成分 i の検出量(g)

m

i3

空試験ではかりとったニッケル(6.9)中の定量成分 i の
量(g)

m

試料はかりとり量(g)

b)  a)

で得た未補正含有率(X

i

'

,箇条 11 e)  で求めたスペクトル重なり補正係数(L

ij

)及び他の方法又は

ICP

発光分光分析方法で得た共存成分の含有率(W

j

)から,試料中の定量成分 i の含有率を式(2)によ

って算出する。


9

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(

)

×

=

j

j

W

L

'

X

X

i

i

i

  (2)

ここに,

X

i

試料中の定量成分 i の含有率[質量分率(%)

X

i

'

a)

で得た定量成分 i の未補正含有率[質量分率(%)

L

ij

箇条 11 e)  で得た定量成分 i に対する共存成分 j のスペク
トル重なり補正係数

W

j

試料中の共存成分 j の含有率[質量分率(%)

15 

許容差 

許容差は,

表 による。

表 6−許容差 

単位  質量分率(%)

適用分析成分

定量値の平均値

併行許容差

室内再現許容差

室間再現許容差

ニオブ

0.001

以上

 5.3

以下

f (n)

×

[0.007 52

×(Nb)

0.696 5

]

f (n)

×

[0.008 87

×(Nb)

0.643 3

]

f (n)

×

[0.015 60

×(Nb)

0.604 6

]

タンタル

0.001

以上

 3.1

以下

f (n)

×

[0.009 35

×(Ta)

0.649 0

]

f (n)

×

[0.014 36

×(Ta)

0.671 2

]

f (n)

×

[0.032 16

×(Ta)

0.702 1

]

ジルコニウム

0.001

以上

 0.31

以下

f (n)

×

[0.010 33

×(Zr)

0.824 2

]

f (n)

×

[0.020 85

×(Zr)

0.823 8

]

f (n)

×

[0.035 52

×(Zr)

0.811 3

]

許容差計算式中の f (n)  の値は,JIS Z 8402-6 

表 1(許容範囲の係数)による。の値は,併行許容差の場合は併

行分析回数,室内再現許容差の場合は同一分析室内における分析回数,室間再現許容差の場合は分析に関与した分

析室数である。また,

Nb)などは,許容差を求める各成分定量値の平均値[質量分率(%)

]である。

注記  この許容差は,ニオブ含有率(質量分率)0.001 %以上 5.31 %以下,タンタル含有率(質量分率)0.001 %以上

3.11 %

以下及びジルコニウム含有率(質量分率)0.001 %以上 0.31 %以下の試料を用いて共同実験を行った結

果から求めたものである。

16 

安全衛生に関する注意 

安全衛生に関する注意は,次による。

a)

試料分解時の残さ確認時に,三角フラスコを下からのぞき込んではならない。

b) ICP

発光分光分析における高圧ガスの取扱い,危険薬品(硝酸,塩酸,ふっ化水素酸など)の使用

・廃棄処理などには十分注意し,災害の防止及び環境の保全に努めなければならない。

参考文献  JIS G 1258-0  鉄及び鋼−ICP 発光分光分析方法−第 0 部:一般事項