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H 1281 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS H 1281 : 1988 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日本

工業規格を基礎にした国際規格の原案の提案を容易にするため,ISO 7530-1 : 1990 Nickel alloys−Flame

atomic absorption spectrometric analysis

−Part 1 : General requirements and sample dissolution  及び ISO 7530-8 :

1992 Nickel alloys

−Flame atomic absorption spectrometric analysis−Part 9 : Determination of vanadium content

を規格の一部とした。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許権,実用新案権,又は出願公開後の実

用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について責任をもたない。


日本工業規格

JIS

 H

1281

: 1998

ニッケル合金中のバナジウム定量方法

Methods for determination of vanadium

in nickel alloys

序文  この規格は,対応国際規格である ISO 7530-1 : 1990, Nickel alloys−Flame atomic absorption

spectrometric analysis

−Part 1 : General requirements and sample dissolution 及び ISO 7530-9 : 1993, Nickel

alloys

−Flame atomic absorption spectrometric analysis−Part 9 : Determination of vanadium content の対応する

部分と技術的内容が一致するように作成した日本工業規格である。

なお,対応国際規格がない一つの定量方法を日本工業規格として規定している。

1.

適用範囲  この規格は,ニッケル合金中のバナジウム定量方法について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 7530-1 : 1990

  Nickel alloys−Flame atomic absorption spectrometric analysis−Part 1 : General

requirements and sample dissolution

ISO 7530-9 : 1993

  Nickel alloys − Flame atomic absorption spectrometric analysis − Part 9 :

Determination of vanadium content

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS H 1270

  ニッケル及びニッケル合金の分析方法通則

3.

一般事項  定量方法に共通な一般事項は,JIS H 1270 の規定による。

4.

定量方法の区分  バナジウムの定量方法は,次のいずれかによることとし,各定量方法の適用試料は,

表 による。

a)

N

−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミン抽出吸光光度法  この方法は,バナジウム含有率

0.1% (m/m)

以上 1.0% (m/m)  以下の試料に適用する。

h)

原子吸光法  この方法は,バナジウム含有率 0.05% (m/m)  以上 1.0% (m/m)  以下の試料に適用する。


2

H 1281 : 1998

表 1  定量方法及び適用試料番号

試料

合金番号

合金記号

N

−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミン

抽出吸光光度法

原子吸光法

NW0001 NiMo30Fe5

NW0276 NiMo16Cr15Fe6W4

NW6022 NiCr21Mo13Fe4W3

ニッケルモリブデン合金鋳物

ニッケルモリブデンクロム合金鋳物

5.

N

−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミン抽出吸光光度法

5.1

要旨  試料を塩酸と硝酸との混酸で分解した後,過マンガン酸カリウムを加えて,バナジウムを酸

化し,N−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミンを加え,生成する N−ベンゾイル−N−フェニル

ヒドロキシルアミンバナジウム錯体をクロロホルムで抽出し,光度計を用いて,有機相の吸光度を測定す

る。

5.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸

b)

塩酸 (2+1)

c)

硝酸

d)

過塩素酸

e)

りん酸

f)

りん酸 (1+1)

g)

ニッケル  99.9% (m/m)  以上でバナジウム含有率が 0.001% (m/m)  以下のもの。

h)

鉄  99.9% (m/m)  以上でバナジウム含有率が 0.001% (m/m)  以下のもの。

i)

クロム  99.9% (m/m)  以上でバナジウム含有率が 0.001% (m/m)  以下のもの。

j)

過酸化水素 (1+9)

k)

銅溶液 (10mgCu/ml)    銅 1g をはかり取り,ビーカー (200ml) に移し入れ,硝酸 (1+1) 10ml を加え,

穏やかに加熱して分解した後,過塩素酸 20ml を加え,更に加熱して過塩素酸の白煙を発生させる。

常温まで冷却した後,水で液量を 100ml とする。

l)

モリブデン酸アンモニウム溶液 (10mgMo/ml)   七モリブデン酸六アンモニウム四水和物 18.4g をは

かり取り,ビーカー (1l)  に移し入れ,温水約 600ml を加えて溶解する。常温まで冷却した後,溶液を

1 000ml

の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。この溶液は,使用の都度調製

する。

m)

過マンガン酸カリウム溶液 (3g/l)

n)  N

−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミン−クロロホルム溶液  N−ベンゾイル−N−フェニ

ルヒドロキシルアミン 0.2g をはかり取り,ビーカー (500ml) に移し入れ,クロロホルム 300ml を加

えて溶解した後,褐色瓶に入れて保存する。

o)

クロロホルム

p)

標準バナジウム溶液 (100

µgV/ml)    バナジン酸アンモニウム 1.148g をはかり取り,ビーカー (500ml)

に移し入れ,温水 200ml を加えて溶解する。常温まで冷却した後,溶液を 500ml の全量フラスコに水

を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1 000

µgV/ml)  とする。この原液を使用の都度,必要量

だけ水で正確に 10 倍に薄めて標準バナジウム溶液とする。


3

H 1281 : 1998

5.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,0.10g とする。

5.4

操作

5.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,塩酸 30ml 及び硝酸 10ml 加え,穏やかに加熱して分解する。

c)

常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除く。

d)

過塩素酸 25ml 及びりん酸 5ml を加え,加熱して濃縮し,白煙が発生した後,数分間加熱を続ける。

e)

常温まで冷却した後,温水約 30ml を加えて塩類を溶解し,過酸化水素 (1+9)  を滴加して二クロム酸

を環元した後,加熱して 1∼2 分間沸騰させ,過剰の過酸化水素を分解する。

f)

常温まで冷却し,溶液をろ紙(5 種 A)を用いてこし分けた後,ろ紙及び不溶解残さを温水で 3,4 回

洗浄する。

g)

ろ液及び洗液は,100ml の全量フラスコに受け,常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。

5.4.2

呈色  呈色は,次の手順によって行う。

a)

5.4.1g)

で得た溶液 10.0ml を分液ロート (200ml) に分取し,りん酸 (1+1) 7ml 及び銅溶液  [5.2k)] 1ml

を加える。

b)

過マンガン酸カリウム溶液を,溶液がわずかに赤紫色を呈するまで滴加し,更に 1,2 滴加えた後,5

分間静置する。

c)

N

−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミンクロロホルム溶液  [5.2n)] 15.0ml 及び塩酸 (2+1)

10ml

を加え,直ちに 30 秒間激しく振り混ぜた後,静置する。

5.4.3

吸光度の測定  5.4.2c)で得た有機相(下層)を乾いたろ紙(5 種 A)又は脱脂綿を用いてろ過し,

初めのろ液は捨て,その後のろ液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,直ちに,クロロホルムを対

照液として,波長 530nm 付近における吸光度を測定する。

5.5

空試験  5.6 の検量線の作成において得られる標準バナジウム溶液を添加しない溶液の吸光度を,空

試験の吸光度とする。

5.6

検量線の作成  5.4.1a)ではかり取った試料中に含まれる量と同量のニッケル  [5.2g)],鉄  [5.2h)]  及

びクロム  [5.2i)]  を数個はかり取り,数個のビーカー (200ml) に移し入れ,更にモリブデン酸アンモニウ

ム溶液  [5.2l)]  を,モリブデン量が 5.4.1a)ではかり取った試料中のモリブデン量と同じになるように加え

た後,標準バナジウム溶液  [5.2p)] 0∼10.0ml(バナジウムとして 0∼1 000

µg)を段階的に加える。以下,

5.4.1b)

5.4.3 の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度とバナジウム量との関係

線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。

5.7

計算  5.4.3 及び 5.5 で得た吸光度と,5.6 で作成した検量線とからバナジウム量を求め,試料中のバ

ナジウム含有率を,次の式によって算出する。

100

100

10

2

1

×

×

=

m

A

A

V

ここに,

V

:  試料中のバナジウム含有率 [% (m/m)]

A

1

:  分取した試料溶液中のバナジウム検出量 (g)

A

2

:  分取した空試験液中のバナジウム検出量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)


4

H 1281 : 1998

6.

原子吸光法

6.1

要旨  試料を塩酸と硝酸との混酸で分解した後,乾固近くまで加熱濃縮する。塩酸を加え,乾固近

くまで加熱した後,塩化ストロンチウムを加え,溶液を原子吸光光度計の一酸化二窒素・アセチレンフレ

ーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。

6.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸

b)

塩酸 (1+1)

c)

硝酸

d)

硝酸 (1+1)

e)

混酸(塩酸 3,硝酸 1)  この溶液は,使用の都度調製する。

f)

塩化ストロンチウム溶液  塩化ストロンチウム六水和物 113.5g をはかり取り,ビーカー (1l)  に移し

入れ,水 400ml を加え,加熱して溶解する。室温まで放冷した後,溶液を 1 000ml の全量フラスコに

水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

g)

標準バナジウム溶液 (250

µgV/ml)    調製は,次のいずれかによる。

1)

バナジン (V) 酸アンモニウムを用いる場合  バナジン (V) 酸アンモニウム 2.296g をはかり取り,

ビーカー (1l)  に移し入れ,水約 400ml を加え,穏やかに加熱して溶解する。常温まで冷却した後,

溶液を 1 000ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水 400ml,塩酸 50ml 及び硝酸 10ml を加え

た後,常温まで冷却し,水で標線まで薄めて原液 (1.0mgV/ml) とする。この原液を使用の都度,必

要量だけ水で正確に 4 倍に薄めて標準バナジウム溶液とする。

2)

バナジウムを用いる場合  バナジウム[99.9% (m/m)  以上]1.000g をはかり取り,ビーカー (300ml)

に移し入れ,塩酸 60ml 及び硝酸 20ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,

溶液を 1 000ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1 000

µgV/ml)  と

する。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に 4 倍に薄めて標準バナジウム溶液とする。

6.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,1.0g とする。

6.4

操作

6.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取ってビーカー (500ml) に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,混酸  [6.2e)] 20ml を加え,穏やかに加熱して完全に分解し(

1

)

,約 50℃まで放冷した後,

時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除く。

c)

塩酸 25ml を加え,乾固近くまで加熱する(

2

)

。この操作をもう一度繰り返す。

d)

約 50℃まで冷却した後,塩酸 3ml,硝酸 1ml 及び水 20ml を加え,加熱して塩類を溶解する。

e)

常温まで冷却した後,溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,

表 に従って塩化ストロ

ンチウム溶液  [6.2f)],塩酸及び硝酸を加えた後,水で標線まで薄める(

3

)

表 2  塩化ストロンチウム溶液,塩酸及び硝酸の添加量

試料中のバナジウム含有率

% (m/m)

塩化ストロンチウム添加量

ml

塩酸添加量

ml

硝酸添加量

ml

0.05

以上 0.35 未満 5 0

0

0.35

以上 1.0  未満 3 2

1

(

1

)

完全に分解しないときは,塩酸1ml を追加する。

(

2

)

乾固しないように注意する。


5

H 1281 : 1998

(

3

)

加水分解生成物が認められた場合は,乾いたろ紙を用いてろ過するか,又は遠心分離によって

除去する。

6.4.2

吸光度の測定  6.4.1e)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の一酸化

二窒素・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長 318.4nm における吸光度を測定する。

6.5

空試験  試薬だけを用いて,6.4.1 及び 6.4.2 の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。

6.6

検量線の作成  数個の 100ml の全量フラスコに標準バナジウム溶液  [6.2g)] 0∼16.0ml(バナジウム

として 0∼4 000

µg)を段階的に取り,塩化ストロンチウム溶液  [6.2f)] 5ml,塩酸 3ml 及び硝酸 1ml を加え,

水で標線まで薄める。各溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の一酸化二窒素・ア

セチレンフレーム中に噴霧し,波長 318.4nm における吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度とバナ

ジウム量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。

6.7

計算  6.4.2 及び 6.5 で得た吸光度と,6.6 で作成した検量線とからバナジウム量を求め,試料中のバ

ナジウム含有率を,次の式によって算出する。

100

2

1

×

=

m

A

A

V

ここに,

V

:  試料中のバナジウム含有率 [% (m/m)]

A

1

:  試料溶液中のバナジウム検出量 (g)

A

2

:  空試験液中のバナジウム検出量 (g)

m

:  試料はかり取り量 (g)


6

H 1281 : 1998

ニッケル及びニッケル合金分析方法工業標準原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

神  尾  彰  彦

東京工業大学工学部

後  藤  敬  一

通商産業省基礎産業局非鉄金属課

天  野      徹

工業技術院標準部材料規格課

村  田  祐  滋

東京都立工業技術センター金属部

竹  内  孝  夫

科学技術庁金属材料技術研究所

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

太  田  裕  二

社団法人日本銅センター技術部

大  屋  武  夫

ステンレス協会

佐  藤  秀  樹

社団法人日本電子材料工業会技術部

稲  垣  勝  彦

日本鉱業協会技術部

赤  峰  淳  一

社団法人日本電機工業会技術部

篠  原      脩

社団法人日本ガス石油機器工業会技術部

山  添  哲  郎

通信機械工業会技術部

村  岡  良  三

社団法人日本自動車部品工業会技術部

山  下  満  男

富士電機株式会社生産技術研究所

安  井      毅

株式会社東芝材料部品事業部開発技術部

田  中  尚  生

三菱マテリアル株式会社桶川製作所

恒  原  正  明

古河電気工業株式会社金属事業本部

菅  沼  輝  夫

日鉱金属株式会社倉見工場技術部

大  関  哲  雄

大木伸銅工業株式会社技術部

中  島  安  啓

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部技術部

田部井  和  彦

三菱マテリアル株式会社桶川製作所技術管理室

岡  村  明  人

三菱伸銅株式会社若松製作所品質保証部

町  田  克  巳

住友金属鉱山株式会社中央研究所

山  下      務

株式会社東芝材料部品事業部品質保証部

山  本  寿  美

古河電気工業株式会社横浜研究所

中  村      靖

株式会社ジャパンエナジー分析センター

豊  嶋  雅  康

住友軽金属工業株式会社研究開発センター

(事務局)

藤  沢      裕

日本伸銅協会技術部

(関係者)

久留須  一  彦

古河電気工業株式会社横浜研究所

天  川  義  勝

株式会社ジャパンエナジー分析センター

和  田  隆  光

財団法人日本規格協会

相  馬  南海雄

日本伸銅協会総務部

備考 1.◎印を付けてある委員は分科会委員を兼ねる。

2.

○印を付けてある委員は分科会委員だけである。