>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

H 1280 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS H 1280 : 1988 は改正され,この規格に置き換えられる。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許権,実用新案権,又は出願公開後の実

用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について責任をもたない。


日本工業規格

JIS

 H

1280

 : 1998

ニッケル合金中のモリブデン

定量方法

Method for determination of molybdenum

in nickel alloys

序文  この規格には,対応国際規格がないので,対応国際規格がない一つの定量方法を日本工業規格とし

て規定している。

1.

適用範囲  この規格は,ニッケル合金中のモリブデン定量方法について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版を適用する。

JIS H 1270

  ニッケル及びニッケル合金の分析方法通則

3.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1270 の規定による。

4.

定量方法  モリブデンの定量方法は,イオン交換・ベンゾイン−

α−オキシム沈殿分離酸化モリブデ

ン重量法による。この方法は,モリブデン含有率 5% (m/m 以上 50% (m/m)  以下の試料に適用する。

5.

イオン交換・ベンゾイン−

α−オキシム沈殿分離酸化モリブデン重量法

5.1

要旨  試料を塩酸,硝酸及びふっ化水素酸で分解した後,加熱して濃縮し,シロップ状とする。塩

酸及びふっ化水素酸を加えて塩類を溶解し,陰イオン交換カラムを通してモリブデンを他の成分から分離

する。溶出液に硝酸,過塩素酸及び硫酸を加え,加熱濃縮して硫酸の白煙を発生させた後,ベンゾイン−

α−オキシムを加えてモリブデンを沈殿させる。沈殿を乾燥した後,加熱して酸化モリブデン (VI) とし,
その質量をはかる。

5.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸

b)

硝酸

c)

過塩素酸

d)

ふっ化水素酸

e)

ふっ化水素酸 (1+25)

f)

硫酸 (1+1)

g)

臭素水(飽和,約 35g/l


2

H 1280 : 1998

h)

溶離液 A 塩酸 830ml 及びふっ化水素酸 100ml をポリエチレン瓶 (1 000ml) に入れ,

水で液量を 1 000ml

とする。

i)

溶離液 B 塩酸 250ml 及びふっ化水素酸 115ml をポリエチレン瓶 (1 000ml) に入れ,

水で液量を 1 000ml

とする。

j)

再生液  塩化アンモニウム 214g 及びふっ化アンモニウム 37g を水 500ml に溶解し,溶液をポリエチ

レン瓶 (1 000ml) に水を用いて移し入れ,水で液量を 1 000ml とする。

k)

ベンゾイン−

α−オキシム溶液  ベンゾイン−α−オキシム 10g をメタノール 500ml に溶解する。この

溶液は,使用の都度調整し,10℃以下に冷却して用いる。

l)

ベンゾイン−

α−オキシム洗浄液  ベンゾイン−α−オキシム溶液  [k)] 40ml に硫酸 (1+99)  を加え,

水で液量を 1 000ml とする。この溶液は,使用の都度調製し,10℃以下に冷却して用いる。

5.3

器具  器具は,次による。

陰イオン交換カラム  長さ約 400mm,内径約 10mm の一端を細くしたポリエチレン管又は透明ポリ塩化ビ

ニル管の底部に水でほぐした脱脂綿又はポリエチレンウールを約 5∼10mm の厚さに緩く詰め,水で膨張

させた強塩基性陰イオン交換樹脂(粒径 74∼149

µm,交換容量 1.3 ミリ当量/ml 以上のもの)約 20ml を

スラリー状にして流し入れる。樹脂が沈降した後,その上に水でほぐした脱脂綿又はポリエチレンウール

を約 5mm の厚さに緩く詰める。脱脂綿又はポリエチレンウールの詰め方を調節するなどして流出液の流

量を毎分 1.0∼1.5ml になるようにする。陰イオン交換カラムの例を

付図 に示す。

5.4

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,表 によって,0.1mg のけたまではかる。

表 1  試料はかり取り量

試料中のモリブデン含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

5

以上 10 未満 0.50

10

以上 30 未満 0.20

30

以上 50 以下 0.10

5.5

操作

5.5.1

予備操作  予備操作は,次による。

a)

陰イオン交換カラム(5.3)にふっ化水素酸 (1+25) 50ml を通す。

b)

磁器るつぼ (30ml) を 800℃以上で加熱し,デシケータ中で室温まで放冷した後,その質量をはかる。

この操作を恒量となるまで繰り返す。

5.5.2

試料の分解  試料をはかり取り,四ふっ化エチレン樹脂ビーカー (100ml) に移し入れ,ポリエチ

レン時計皿で覆い,塩酸 20ml,硝酸 5m1 及びふっ化水素酸 5ml を加え,穏やかに加熱して分解する。時

計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,シロップ状になるまで加熱して濃縮する。塩酸 1m1 及びふ

っ化水素酸 1ml を加え,

再びシロップ状になるまで加熱して濃縮する。

ふっ化水素酸 (1+25)50ml を加え,

加熱して塩類を溶解した後,室温まで放冷する。

5.5.3

モリブデンの分離  モリブデンの分離は,次の手順によって行う。

a)

5.5.2

で得た溶液を陰イオン交換カラム  [5.3 a)]  に通した後,ふっ化水素酸 (1+25)  約 40ml を用いて

数回に分けて四ふっ化エチレン樹脂ビーカーを洗い,その都度洗液をカラムを通し,更にふっ化水素

酸 (1+25) 80ml を通す。流出液は捨てる。

b)

引き続きカラムに溶離液 A [5.2 h)] 150ml を 10ml,10ml 及び 130ml と分けて通し,溶出液は捨てる。

c)

引き続きカラムに溶離液 B [5.2 i)] 180ml を 10ml,10m1 及び 160ml と分けて通し,溶出液は四ふっ化


3

H 1280 : 1998

エチレン樹脂ビーカー (300ml) に受ける(

1

)

(

1

)

カラムを再使用する場合には,カラムに再生液  [5.2 j)]  を10ml ずつ2回,更に130ml 通し,次に

水を10ml ずつ2回通した後,更に150ml 通しておく。

5.5.4

沈殿の生成  沈殿の生成は,次の手順によって行う。

a)

5.5.3 c)

で得た溶出液に硝酸 2ml,過塩素酸 2ml 及び硫酸 (1+1) 10ml を加え,加熱濃縮して白煙を発

生させる。

b)

放冷した後,ビーカーの内壁を水で洗浄し,加熱濃縮して硫酸の白煙を発生させる。

c)

放冷した後,温水 100ml を加えて塩類を溶解し,溶液をビーカー (300ml) に水を用いて移し入れる。

d)

溶液を 10℃以下に冷却した後,ベンゾイン−

α−オキシム溶液  [5.2 k)] 10ml を加えてかき混ぜ,更に

溶液中のモリブデン 10mg につき 5ml 過剰に加える。次に臭素水(飽和)を溶液が黄色を呈するまで

滴加し,更に少量のベンゾイン−

α−オキシム溶液  [5.2 k)]  を加える。溶液を 10℃以下に保持しなが

らときどきかき混ぜ,10 分間放置した後,沈殿を少量のろ紙パルプを入れたろ紙(5 種 A)を用いて

こし分ける。ろ紙及び沈殿をベンゾイン−

α−オキシム洗浄液  [5.2 l)]  で十分に洗浄する。

5.5.5

灰化及びひょう量  灰化及びひょう量は,次の手順によって行う。

a)

5.5.4 d)

で得た沈殿をろ紙とともに,5.5.1 b)で質量をはかった磁器るつぼ (30ml) に移し入れ,加熱し

て乾燥した後,低温でろ紙を灰化する。

b) 500

∼550℃で加熱し,デシケータ中で室温まで放冷した後,その質量をはかる。この操作を恒量とな

るまで繰り返す。

c)

b)

で得た質量から,5.5.1 b)で得た質量を差し引く。

5.6

空試験  試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。

5.7

計算  試料中のモリブデン含有率を,次の式によって算出する。

100

6

666

.

0

)

(

0

2

1

×

×

=

m

m

m

Mo

ここに,  Mo

試料中のモリブデン含有率 [% (m/m)]

m

1

5.5.5 c)

で得た質量 (g)

m

2

5.6

で得た質量 (g)

m

0

試料はかり取り量 (g)


4

H 1280 : 1998

付図 1  陰イオン交換カラムの例


5

H 1280 : 1998

ニッケル及びニッケル合金分析方法工業標準原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

神  尾  彰  彦

東京工業大学工学部

後  藤  敬  一

通商産業省基礎産業局非鉄金属課

天  野      徹

工業技術院標準部材料規格課

村  田  祐  滋

東京都立工業技術センター金属部

竹  内  孝  夫

科学技術庁金属材料技術研究所

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

太  田  裕  二

社団法人日本銅センター技術部

大  屋  武  夫

ステンレス協会

佐  藤  秀  樹

社団法人日本電子材料工業会技術部

稲  垣  勝  彦

日本鉱業協会技術部

赤  峰  淳  一

社団法人日本電機工業会技術部

篠  原      脩

社団法人日本ガス石油機器工業会技術部

山  添  哲  郎

通信機械工業会技術部

村  岡  良  三

社団法人日本自動車部品工業会技術部

山  下  満  男

富士電機株式会社生産技術研究所

安  井      毅

株式会社東芝材料部品事業部開発技術部

田  中  尚  生

三菱マテリアル株式会社桶川製作所

恒  原  正  明

古河電気工業株式会社金属事業本部

菅  沼  輝  夫

日鉱金属株式会社倉見工場技術部

大  関  哲  雄

大木伸銅工業株式会社技術部

中  島  安  啓

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部技術部

田部井  和  彦

三菱マテリアル株式会社桶川製作所技術管理室

岡  村  明  人

三菱伸銅株式会社若松製作所品質保証部

町  田  克  巳

住友金属鉱山株式会社中央研究所

山  下      努

株式会社東芝材料部品事業部品質保証部

山  本  寿  美

古河電気工業株式会社横浜研究所

中  村      靖

株式会社ジャパンエナジー分析センター

豊  嶋  雅  康

住友軽金属工業株式会社研究開発センター

(事務局)

藤  沢      裕

日本伸銅協会技術部

(関係者)

久留須  一  彦

古河電気工業株式会社横浜研究所

天  川  義  勝

株式会社ジャパンエナジー分析センター

和  田  隆  光

財団法人日本規格協会

相  馬  南海雄

日本伸銅協会総務部

備考 1.  ◎印を付けてある委員は,分科会委員を兼ねる。

2. 

○印を付けてある委員は,分科会委員だけである。