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H 1056

:2003

(1)

まえがき

この規格は,

工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,

日本伸銅協会

(JCBA)

/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS H 

1056:1997

は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,主に旧規格様式の新規格様式への変更並びに JIS H 2202(鋳物用銅合金地金)

JIS H 

5120(

銅及び銅合金鋳物)及び JIS H 5121(銅合金連続鋳造鋳物)の改正に伴う合金記号の見直しを行った。

JIS H 1056

には,次に示す附属書がある。

附属書(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表


H 1056

:2003

(2)

目  次

ページ

序文  

1

1.

  適用範囲  

1

2.

  引用規格  

1

3.

  一般事項  

1

4.

  定量方法の区分  

1

5.

  銅分離ジメチルグリオキシムニッケル重量法  

4

5.1

  要旨  

4

5.2

  試薬  

4

5.3

  器具  

5

5.4

  試料はかり取り量  

6

5.5

  操作  

6

5.6

  空試験  

8

5.7

  計算  

8

6.

  銅分離ジメチルグリオキシム沈殿分離エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム・亜鉛逆滴定法 

8

6.1

  要旨  

8

6.2

  試薬  

8

6.3

  器具  

9

6.4

  試料はかり取り量  

9

6.5

  操作  

9

6.6

  空試験  

10

6.7

  計算  

10

7.

  原子吸光法  

10

7.1

  要旨  

10

7.2

  試薬  

10

7.3

  試料はかり取り量  

11

7.4

  操作  

11

7.5

  空試験  

12

7.6

  検量線の作成  

12

7.7

  計算  

12

8.

  ICP 発光分光法  

13

8.1

  要旨  

13

8.2

  試薬  

13

8.3

  試料はかり取り量  

13

8.4

  操作  

13

8.5

  空試験  

13


H 1056

:2003

(3) 

ページ

8.6

  検量線の作成  

14

8.7

  計算  

14

附属書(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表  

16


日本工業規格

JIS

 H

1056

:2003

銅及び銅合金中のニッケル定量方法

Methods for determination of nickel in copper and copper alloys

序文  この規格は,1984 年に第 1 版として発行された ISO 4742,Copper alloys−Determination of nickel 
content−Gravimetric method)を元に,対応する部分(5.  銅分離ジメチルグリオキシムニッケル重量法)

については対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応

国際規格には規定されていない項目(6.7.及び 8.)を日本工業規格として追加している。

なお,対応国際規格として,1976 年に第 1 版として発行された ISO 1810,Copper alloys−Determination of

nickel (low contents)

−Dimethylglyoxime spectrophotometric method 及び 1984 年に第 1 版として発行された

ISO 4743

,Copper alloys−Determination of nickel content−Titrimetric method  があるが,環境規制物質である

クロロホルムを使用する方法なので,日本工業規格としては規定していない。

  この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格に追加又は原国際規格を変更している

事項である。変更の一覧表をその説明を付けて,

附属書(参考)に示す。

1.

適用範囲  この規格は,銅及び銅合金(伸銅品,鋳物用地金及び鋳物)中のニッケル定量方法につい

て規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 1810 : 1976

,Copper alloys−Determination of nickel (low contents)−Dimethylglyoxime

spectrophotometric method (NEQ)

ISO 4742 : 1984

,Copper alloys−Determination of nickel content− Gravimetric method (MOD)

ISO 4743 : 1984

,Copper alloys−Determination of nickel content−Titrimetric method (NEQ)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS H 1012

  銅及び銅合金の分析方法通則

3.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1012 の規定による。

4.

定量方法の区分  ニッケルの定量方法は,次のいずれかによる。

なお,各定量方法を適用する銅及び銅合金の合金番号又は記号は,

表 による。

a)

銅分離ジメチルグリオキシムニッケル重量法  この方法は,ニッケル含有率 2.0 % (m/m) 以上 50 %

(m/m)

以下の試料に適用する。


2

H 1056

:2003

b)

銅分離ジメチルグリオキシム沈殿分離エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム・亜鉛逆滴定法

この方法は,ニッケル含有率 1.0 % (m/m)  以上 35 % (m/m)  以下の試料に適用する。

c)

原子吸光法  この方法は,ニッケル含有率 0.01 % (m/m)  以上 7.0 % (m/m)  以下の試料に適用する。

d)  ICP

発光分光法  この方法は,ニッケル含有率 0.01 % (m/m)  以上 7.0 % (m/m)  以下の試料に適用する。

  1  定量方法及び適用対象合金番号又は記号

合金番号 
又は記号

対応規格番号

(参考) 

定量方法

銅分離ジメチルグリ

オキシムニッケル重
量法

銅分離ジメチルグリオキシム沈殿分
離エチレンジアミン四酢酸二水素二
ナトリウム・亜鉛逆滴定法

原子吸光法 ICP 発光

分光法

C1401

JIS H 3100 

C1700

JIS H 3130 

C1720

JIS H 3130

JIS H 3270 

C6161

JIS H 3100

JIS H 3250 

○(

)

C6191

JIS H 3250 

○(

)

C6241

JIS H 3250 

○(

)

C6280

JIS H 3100 

C6301

JIS H 3100 

C6872

JIS H 3250 

C7060

JIS H 3100

JIS H 3300 

C7100

JIS H 3300 

C7150

JIS H 3100

JIS H 3300 

C7164

JIS H 3300 

C7351

JIS H 3110 

C7451

JIS H 3110

JIS H 3270 

C7521

JIS H 3110

JIS H 3130

JIS H 3270 

C7541

JIS H 3110

JIS H 3130

JIS H 3270 

C7701

JIS H 3130

JIS H 3270 

C7941

JIS H 3130

JIS H 3270 

CACIn201

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn202

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn203

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn301

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn302

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn303

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn304

JIS H 2202 

○(

)

○(

)


3

H 1056

:2003

  1  定量方法及び適用対象合金番号又は記号(続き)

合金番号 
又は記号

対応規格番号

(参考) 

定量方法

銅分離ジメチルグリ

オキシムニッケル重
量法

銅分離ジメチルグリオキシム沈殿分

離エチレンジアミン四酢酸二水素二
ナトリウム・亜鉛逆滴定法

原子吸光法 ICP 発光

分光法

CACIn401

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn402

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn403

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn406

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn407

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn502

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn503

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn602

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn603

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn604

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn605

JIS H 2202 

○(

)

○(

)

CACIn701

JIS H 2202 

CACIn702

JIS H 2202 

○(

)

CACIn703

JIS H 2202 

CACIn704

JIS H 2202 

○(

)

CAC201

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC202

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC203

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC301

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC301C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC302

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC302C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC303

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC303C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC304

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC304C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC401

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC401C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC402

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC402C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC403

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC403C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC406

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC406C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC407

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC407C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC502A

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC502B

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

 
 
 


4

H 1056

:2003

  1  定量方法及び適用対象合金番号又は記号(続き)

合金番号 
又は記号

対応規格番号

(参考) 

定量方法

銅分離ジメチルグリ

オキシムニッケル重
量法

銅分離ジメチルグリオキシム沈殿分

離エチレンジアミン四酢酸二水素二
ナトリウム・亜鉛逆滴定法

原子吸光法 ICP 発光

分光法

CAC502C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC503A

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC503B

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC503C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC602

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC603

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC603C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC604

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC604C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC605

JIS H 5120 

○(

)

○(

)

CAC605C

JIS H 5121 

○(

)

○(

)

CAC701

JIS H 5120 

CAC701C

JIS H 5121 

CAC702

JIS H 5120 

○(

)

CAC702C

JIS H 5121 

○(

)

CAC703

JIS H 5120 

CAC703C

JIS H 5121 

CAC704

JIS H 5120 

○(

)

注(

1

)

ニッケル含有率 2.0 % (m/m)  未満の試料には用いない。

(

2

)

ニッケル含有率 1.0 % (m/m)  未満の試料には用いない。

(

3

)

ニッケル含有率 0.01 % (m/m)  未満の試料には用いない。

5.

銅分離ジメチルグリオキシムニッケル重量法

5.1

要旨  試料を硝酸で分解し,アミド硫酸を加えた後又は試料を硝酸と硫酸との混酸で分解した後,

白金電極を用いて電解を行い,銅を陰極に析出させて除去する。溶液にくえん酸を加え,アンモニア水で

アルカリ性とした後,ジメチルグリオキシムを加え,生成するジメチルグリオキシムニッケルの沈殿をこ

し分け,その質量をはかる。

5.2

試薬  試薬は,次による。

a)

硝酸

b)

硝酸(1+11+99

c)

過塩素酸

d)

臭化水素酸

e)

硫酸(1+100

f)

混酸  水 150 ml に硫酸 60 ml を少量ずつかき混ぜながら加える。室温まで冷却した後,硝酸 42 ml を

加え,かき混ぜる。

g)

アンモニア水

h)

アミド硫酸溶液(100 g/l

i)

くえん酸溶液  くえん酸一水和物 27 g を水に溶解し,水で液量を 100 ml とする。

j)

ジメチルグリオキシム溶液  ジメチルグリオキシム 10 g をエタノール(99.5)1 に溶解する。


5

H 1056

:2003

5.3

器具  器具は,次による。

a)

電解ビーカー  通常,図 のものを用いる。

b)

円筒状白金電極  通常,図 のものを用いる。

c)

らせん状白金電極  通常,図 のものを用いる。

d)

半円形時計皿  通常,図 のもの(2 枚一組)を用いる。

e)

ガラスろ過器(1G3

単位  mm

  1  電解ビーカー

単位  mm

単位  mm

  2  円筒状白金電極

  3  らせん状白金電極


6

H 1056

:2003

単位  mm

厚さ  1∼1.2 mm

厚さ  1∼1.2 mm

材質  硬質ガラス又はポリエチレン

材質  硬質ガラス又はポリエチレン

a

b

  4  半円形時計皿

5.4

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,試料中のニッケル含有率に応じて,表 による。

  2  試料はかり取り量及び硝酸(1+1)又は混酸の添加量

試料中のニッケル含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

硝酸 (1+1) 添加量

ml

混酸  [5.2 f) ]  添加量

ml

2.0

以上      4.0  未満

4.0

以上  12  未満

12

以上  25  未満

25

以上  50  以下

2.00

1.00

0.50

0.25

20

20

10

10

30

25

15

10

5.5

操作

5.5.1

予備操作  ガラスろ過器[5.3 e)]を,使用に先立ち,温水約 100 ml をろ過して洗浄した後,145

∼155  ℃の空気浴中で約 1 時間乾燥し,デシケーター中で室温まで放冷して質量をはかる。恒量となるま

で,145∼155  ℃の空気浴中で約 1 時間乾燥し,デシケーター中で室温まで放冷して質量をはかる操作を繰

り返す。

5.5.2

試料の分解  試料の分解は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

硝酸による分解

1)

試料中にすずが含まれない場合

1.1)

試料をはかり取ってビーカー(200 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸(1+1)を試料はかり取

り量に応じて,

表 によって加え,穏やかに加熱して試料を分解し,5,6 分間煮沸して窒素酸化

物を十分に追い出す。時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く。

1.2)

溶液に水約 50 ml を加える(

4

)

1.3)

室温まで冷却した後,アミド硫酸溶液[5.2 h)]5 ml を加え,水で液量を 200 ml とする。

2)

試料中にすずが含まれる場合

2.1)  1) 1.1)

の操作を行った後,水約 50 ml を加える(

5

)


7

H 1056

:2003

2.2)

時計皿で覆い,溶液を約 80  ℃で約 1 時間加熱して沈殿を凝集させる。時計皿の下面及びビーカー

の内壁を温水で洗って時計皿を取り除く。沈殿をろ紙パルプを入れたろ紙(5 種B)を用いてこし

分け,ろ液をビーカー(200 ml)に受ける。ろ紙と沈殿を温硝酸(1+99)で数回洗浄し,洗液と

ろ液を合わせ,保存する。

2.3)

沈殿をろ紙とともに元のビーカーに移し入れ,硝酸 20 ml 及び過塩素酸 15 ml を加え,時計皿で覆

い,加熱濃縮して過塩素酸の白煙を発生させ,有機物を完全に分解する(

6

)

。室温まで放冷した後,

時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く。

2.4)

臭化水素酸 15 ml を加え,加熱して過塩素酸の白煙を多量に発生させた後,室温まで放冷する。す

ずの沈殿が完全に揮散するまでこの操作を繰り返す。

2.5)

溶液を加熱してほとんど乾固するまで蒸発させる。室温まで放冷した後,少量の水を加えて塩類

を溶解する(

7

)

。溶液を 2.2)で保存しておいたろ液及び洗液が入っているビーカーに水を用いて

移し入れる。

2.6)

室温まで冷却した後,アミド硫酸溶液[5.2 h)]5 ml を加え,水で液量を 200 ml とする。

b)

混酸による分解(

8

1)

試料をはかり取ってビーカー(200 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,混酸[5.2 f)]を,試料はかり

取り量に応じて,

表 によって加え,穏やかに加熱して試料を分解し,5,6 分間煮沸して窒素酸化

物を追い出す。

2)

室温まで冷却した後,時計皿及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き(

9

)

,  溶液を電解ビ

ーカー[5.3 a)]に水を用いて移し入れ,水で液量を 150 ml とする。

注(

4

)

けい酸の沈殿が生成した場合には,溶液をろ紙(5 種A)を用いてろ過し,ろ紙と沈殿を硝酸

(1+99)で洗浄し,ろ液と洗液を合わせる。沈殿は捨てる。

(

5

)

沈殿の生成や溶液のにごりが認められない場合には,2.2)∼2.5) の操作は行わない。

(

6

)

溶液中に未分解の有機物が残っていると,過塩素酸の白煙発生に際して爆発する恐れがあるの

で,有機物が残っている場合は,過塩素酸の白煙が発生し始めたら,放冷し,硝酸 5 ml を加え,

再び加熱して過塩素酸の白煙を発生させる。

(

7

)

けい酸の沈殿が認められる場合には,溶液をろ紙(5 種A)を用いてろ過し,ろ紙と沈殿を水

で洗浄し,ろ液と洗液を合わせる。沈殿は捨てる。

(

8

)

すずを含む試料には適用しない。

(

9

)

硫酸鉛,けい酸などの沈殿が生成した場合には,溶液をろ紙(5 種B)を用いてろ過し,ろ紙

と沈殿を硫酸(1+100)で洗浄し,ろ液と洗液を合わせる。沈殿は捨てる。

5.5.3

銅の分離  銅の分離は,次の手順によって行う。

a)  5.5.2

の a) 1) 1.3),a) 2) 2.6)又は b) 2)で得た溶液中に円筒状白金電極[5.3 b)]及びらせん状白金電極

5.3 c)]を挿入し,半円形時計皿[5.3 d)](

10

)

で覆う。

b)

円筒状白金電極を陰極,らせん状白金電極を陽極として,陰極の電流密度が約 0.6 A/dm

2

になるように

電流を通じ(

11

)

,液温 15∼30  ℃で,溶液の銅イオンの色がなくなるまで電解する。

c)

半円形時計皿の下面を少量の水で洗って半円形時計皿を取り除き,電流を通じたまま,両極を水で洗

いながら徐々に引き上げ,電極を取り外す。

注(

10

)

試料の分解を 5.5.2 a)で行った場合には

図 の  a),5.5.2 b)で行った場合には図 の  b)の半円形

時計皿を用いる。

(

11

) 0.72 A

の電流を通じれば,電流密度は約 0.6 A/dm

2

となる。


8

H 1056

:2003

5.5.4

沈殿の生成  沈殿の生成は,次の手順によって行う。

a)  5.5.3 c)

で得た溶液をコニカルビーカー(500 ml)に水を用いて移し入れる。

b)

くえん酸溶液[5.2 i)]10 ml を加え,アンモニア水を加えて pH を 9.0∼9.1 に調節した後,水で液量を

約 400 ml とする。

c)

溶液を約 90  ℃に加熱し,溶液を激しくかき混ぜながら,ジメチルグリオキシム溶液[5.2 j)]を溶液

中のニッケル予想含有量が 40∼85 mg のときには 44 ml,80∼125 mg のときには 60 ml 加え,十分に

かき混ぜた後,室温まで放冷する。

d)

沈殿を 5.5.1 で恒量にしたガラスろ過器を用いてこし分け,温水で 10∼12 回洗浄する。

5.5.5

沈殿のひょう量  沈殿のひょう量は,次の手順によって行う。

a)  5.5.4 d)

で得た沈殿をガラスろ過器とともに 145∼155  ℃の空気浴中で約 1 時間乾燥し,デシケーター

中で室温まで放冷した後,その質量をはかる。恒量となるまで,145∼155  ℃の空気浴中で約 1 時間乾

燥し,デシケーター中で室温まで放冷して質量をはかる操作を繰り返す。

b)  a)

で得た質量から 5.5.1

で得た質量を差し引く。

5.6

空試験  空試験は行わない。

5.7

計算  試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。

100

2032

0

0

1

×

×

=

m

.

m

Ni

ここに,

Ni

試料中のニッケル含有率[%(m/m)]

1

m

5.5.5 b)

で得た質量(g)

0

m

試料はかり取り量(g)

6.

銅分離ジメチルグリオキシム沈殿分離エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム・亜鉛逆滴定法

6.1

要旨  試料を硝酸と硫酸との混酸で分解した後,白金電極を用いて電解を行い,銅を陰極に析出さ

せて除去する。溶液にくえん酸を加え,アンモニア水でアルカリ性とした後,ジメチルグリオキシムを加

え,生成するジメチルグリオキシムニッケルの沈殿をこし分ける。沈殿を塩酸に溶解し,過剰のエチレン

ジアミン四酢酸二水素二ナトリウム(以下,EDTA2Na という。

)を加えた後,pH を調節し,亜鉛標準溶液

で逆滴定する。

6.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸(2+11+50

b)

混酸  5.2 f)による。

c)

アンモニア水

d)

アンモニア水(1+1

e)

過酸化水素(1+5

f)

くえん酸溶液  5.2 i)による。

g)

ジメチルグリオキシム溶液  5.2 j)による。

h)  EDTA2Na

溶液  エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物 7.45 g をはかり取り,ビーカ

ー (200 ml) に移し入れ,水を加えて溶解した後,溶液を 1 000 ml の全量フラスコに水を用いて移し

入れ,水で標線まで薄める。溶液は,ポリエチレン容器に保存する。

i)

0.02 mol/l

亜鉛標準溶液  亜鉛[99.99 % (m/m)  以上]1.308 g をはかり取り,ビーカー(200 ml)に移

し入れ,時計皿で覆い,塩酸(1+1)10 ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,


9

H 1056

:2003

時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 1 000 ml の全量フラスコに

水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

j)

エリオクロムブラックT溶液  エリオクロムブラックT0.5gをエタノール(99.5)100 ml に溶解し,

溶液をろ過した後,塩化ヒドロキシルアンモニウム 4.5 g を加えて溶かし,よくかき混ぜる。

6.3

器具  器具は,次による。

a)

電解ビーカー  5.3 a)による。

b)

円筒状白金電極  5.3 b)による。

c)

らせん状白金電極  5.3 c)による。

d)

半円形時計皿  通常,図 の(2)のもの(2 枚一組)を用いる。

6.4

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,試料中のニッケル含有率に応じて,表 による。

  3  試料はかり取り量及び混酸の添加量

試料中のニッケル含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

混酸  [6.2 b)]  添加量

ml

1.0

以上    3.0  未満

4.00 40

3.0

以上    7.0  未満

2.00 30

7.0

以上    35  以下

1.00 25

6.5

操作

6.5.1

試料の分解  試料の分解は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取ってビーカー(200 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,混酸[6.2 b)]を,試料はかり取

り量に応じて,

表 によって加え,穏やかに加熱して試料を分解し,5,6 分間煮沸して窒素酸化物を

追い出す。

b)

室温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き(

9

)

,溶液を電

解ビーカー[6.3 a)]に水を用いて移し入れ,水で液量を 150 ml とする。

6.5.2

銅の分離  銅の分離は,次の手順によって行う。

a)  6.5.1 b)

で得た溶液中に円筒状白金電極[6.3 b)]及びらせん状白金電極[6.3 c)]を挿入し,半円形時

計皿[6.3 d)]で覆う。

b)  5.5.3

の b)及び c)の手順に従って操作する(

12

)

注(

12

)  5.5.3 c)

の操作終了後の溶液中にマンガン酸化物の沈殿が生成している場合には,溶液をかき混

ぜながら過酸化水素(1+5)を二酸化マンガンの沈殿が溶解するまで滴加し,溶液をコニカルビ

ーカー(500 ml)に水を用いて移し入れ,時計皿で覆い,15∼20 分間煮沸して過酸化水素を分

解し,常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除く。

6.5.3

ニッケルの沈殿分離  ニッケルの沈殿分離は,次の手順によって行う。

a)  6.5.2 b)

で得た溶液を 200 ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

b)

この溶液をニッケル量が 15∼35 mg になるようにコニカルビーカー(500 ml)に分取し,水を加えて

液量を約 200 ml とする。

c)

くえん酸溶液[6.2 f)]10 ml を加え,アンモニア水を加えて pH を 9.0∼9.1 に調節した後,水で液量を

約 300 ml とする。

d)

溶液を約 90  ℃に加熱し,溶液を激しくかき混ぜながら,ジメチルグリオキシム溶液[6.2 g)]30 ml

を加え,十分にかき混ぜた後,室温まで放冷する。


10

H 1056

:2003

e)

沈殿をろ紙(5 種A)を用いてこし分け,温水で十分に洗浄した後,温水及び熱塩酸(2+1)10 ml を

注いで元のビーカーに洗い落して溶解し,ろ紙は温水及び温塩酸(1+50)で数回ずつ洗浄し,洗液は

沈殿を溶かした溶液に合わせる。

6.5.4

滴定  6.5.3 e)で得た溶液に EDTA2Na 溶液[6.2 h)]を正確に 40 ml 加え,2,3 回振り混ぜた後,

アンモニア水(1+1)を滴加し,pH を 8.0∼8.5 に調節する。エリオクロムブラックT溶液[6.2 j)]0.1 ml

を指示薬として加え,0.02 mol/亜鉛標準溶液[6.2 i)]で滴定し,溶液の色が赤紫になった点を終点とし,

0.02 mol/l

亜鉛標準溶液の使用量を求める。

6.6

空試験  200 ml の全量フラスコに混酸[6.2 b)]を試料はかり取り量 4.0 g の場合は 40 ml,2.0 g の場

合には 30 ml,1.0 g の場合には 25 ml 取り,水で標線まで薄める。以下,6.5.3 b)∼6.5.4 の手順に従って試

料と同じ操作を試料と並行して行う(

13

)

注(

13

)  6.5.3 b)

における空試験液の分取量は,試料溶液の分取量と同量とする。

6.7

計算  試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。

100

200

174

001

0

2

1

×

×

×

B

m

.

A

A

i

N

)

(

ここに,

Ni

試料中のニッケル含有率[%(m/m)]

1

A

空試験液での 0.02 mol/亜鉛標準溶液使用量(ml)

2

A

試料溶液での 0.02 mol/亜鉛標準溶液使用量(ml)

m

試料はかり取り量(g)

B

6.5.3 b)

で分取した試料溶液及び空試験液の量(ml)

7.

原子吸光法

7.1

要旨  試料を塩酸と硝酸との混酸で分解した後,溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレー

ム中に噴霧し,その吸光度を測定する。

7.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸(1+9

b)

混酸(塩酸 1,硝酸 1,水 2)    使用の都度調製する。

c)

銅溶液(20 mgCu/ml)    銅[99.96 % (m/m)  以上]10.0 g をはかり取ってビーカー(300 ml)に移し入

れ,時計皿で覆い,混酸[  b)]200 ml を数個に分けて加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷

却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 500 ml の全量フ

ラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

d)

亜鉛溶液(20 mgZn/ml)    亜鉛[99.9 % (m/m)  以上]10.0 g をはかり取ってビーカー(300 ml)に移

し入れ,時計皿で覆い,混酸[  b

]200 ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した

後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 500 ml の全量フラスコ

に水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

e)

鉛溶液(20 mgPb/ml)    鉛[99.9 % (m/m)  以上]10.0 g をはかり取ってビーカー(500 ml)に移し入

れ,時計皿で覆い,硝酸(1+4)250 ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,

時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 500 ml の全量フラスコに水

を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。


11

H 1056

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f)

すず溶液(20 mgSn/ml)    すず[99.9 % (m/m)  以上]10.0 g をはかり取ってビーカー(500 ml)に移

し入れ,時計皿で覆い,塩酸 225 ml 及び硝酸 75 ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷

却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 500 ml の全量フ

ラスコに塩酸(1+1)を用いて移し入れ,塩酸(1+1)で標線まで薄める。

g)

アルミニウム溶液(20 mgAl/ml)    アルミニウム[99.9 % (m/m)  以上]10.0 g をはかり取ってビーカ

ー(500 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸(1+1)200 ml 及び銅溶液[  c)]1 ml を加え,穏やか

に加熱して分解する。硝酸(1+1)2 ml を加え,穏やかに加熱して完全に分解する。常温まで冷却し

た後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 500 ml の全量フラス

コに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

h)

マンガン溶液(20 mgMn/ml)    マンガン[99.9 % (m/m)  以上]10.0 g をはかり取ってビーカー(500 ml)

に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸(1+1)300 ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却

した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 500 ml の全量フラ

スコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

i)

鉄溶液(20 mgFe/ml)  鉄[99.9 % (m/m)  以上]10.0 g をはかり取ってビーカー(300 ml)に移し入

れ,時計皿で覆い,混酸[  b)]200 ml を加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下

面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 500 ml の全量フラスコに水を用いて移

し入れ,水で標線まで薄める。

j)

標準ニッケル溶液 A1 000

μgNi/ml)    ニッケル[99.9 % (m/m)  以上]1.000  gをはかり取ってビー

カー(300 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸(1+1)30 ml を加え,穏やかに加熱して分解する。

常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 1 000

ml

の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて標準ニッケル溶液 A とする。

k)

標準ニッケル溶液 B100 

μgNi/ml)    標準ニッケル溶液 A[  j)]を使用の都度,必要量だけ水で正確

に 10 倍に薄めて標準ニッケル溶液 B とする。

7.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,1.00 g とする。

7.4

操作

7.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取って,ビーカー(200 ml)に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,混酸[7.2 b)]20 ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計

皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く(

7

)

c)

溶液を 100 ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(

14

)

d)

この溶液を,

表 の分取量に従って 100 ml の全量フラスコに分取し,塩酸(1+9)で標線まで薄める。

注(

14

)

試料中のニッケル含有率が 0.01 %(m/m)以上 0.1 %(m/m)未満の場合には,d)の操作は行わない。

  4  分取量

試料中のニッケル含有率

%(m/m)

分取量

ml

0.1

以上        1.0 未満 20.0

1.0

以上        7.0 以下 10.0

7.4.2

吸光度の測定  7.4.1 の c)又は d)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度

計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長 232.0 nm 又は 341.5 nm における吸光度を測定する。


12

H 1056

:2003

7.5

空試験  試薬だけを用いて,7.4.1 及び 7.4.2 の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う(

15

)

注(

15

)  7.4.1 d)

で試料溶液を分取する場合には,空試験液も試料溶液と同量分取する。

7.6

検量線の作成  検量線の作成は,次の手順によって行う。

a)

試料用検量線の作成

1)

銅溶液[7.2 c)]

,亜鉛溶液[7.2 d)]

,鉛溶液[7.2 e)]

,すず溶液[7.2 f)]

,アルミニウム溶液[7.2 g)]

マンガン溶液[7.2 h)]及び鉄溶液[7.2 i)]を,その銅,亜鉛,鉛,すず,アルミニウム,マンガン

及び鉄の量が 7.4.1 a)ではかり取った試料中の銅,亜鉛,鉛,すず,アルミニウム,マンガン及び鉄

の量と 10 mg のけたまで等しくなるように数個の 100 ml の全量フラスコに取る。

2)

水で標線まで薄めた後,各溶液を,7.4.1 d)で分取した試料溶液と同量ずつ分取し,それぞれ 100 ml

の全量フラスコに移し入れる(

16

)

3)

標準ニッケル溶液 A[7.2 j)]及び/又は標準ニッケル溶液 B[7.2 k)]の各種液量(ニッケルとして

0

∼7 000

μg)を段階的に加え,塩酸(1+9)(

17

)

で標線まで薄める。

4)

各溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴

霧し,波長 232.0 nm 又は 341.5 nm における吸光度を試料溶液と並行して測定し,得た吸光度とニ

ッケル量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。

注(

16

)

注(

14

)

を適用した場合には,この 2)の操作は行わない。

(

17

)

注(

14

)

を適用した場合には,塩酸(1+9)の代わりに水を用いる。

b)

空試験用検量線の作成  数個の 100 ml の全量フラスコに混酸[7.2 b)]20 ml を取る。以下,a)の 2)∼

4)

の手順に従って操作する。

7.7

計算  計算は,次のいずれかによる。

a)  7.4.1 d)

の操作を行わなかった場合  7.4.2 及び 7.5 で得た吸光度と 7.6 の a)及び b)で作成した検量線と

からそれぞれニッケル量を求め,試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。

100

2

1

×

=

m

A

A

Ni

ここに,

Ni

試料中のニッケル含有率[% (m/m)]

1

A

試料溶液中のニッケル検出量(g)

2

A

空試験液中のニッケル検出量(g)

m

試料はかり取り量(g)

b)  7.4.1 d)

の操作を行った場合  7.4.2 及び 7.5 で得た吸光度と 7.6 の a)及び b)で作成した検量線とからそ

れぞれニッケル量を求め,試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。

100

100

2

1

×

×

=

B

m

A

A

Ni

ここに,

Ni

試料中のニッケル含有率[%(m/m)]

1

A

分取した試料溶液中のニッケル検出量(g)

2

A

分取した空試験液中のニッケル検出量(g)

m

試料はかり取り量(g)

B

7.4.1 d)

で分取した試料溶液及び空試験液の量(ml)


13

H 1056

:2003

8.

ICP

発光分光法

8.1

要旨  試料を塩酸と硝酸との混酸で分解し,溶液を ICP 発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧

し,その発光強度を測定する。

8.2

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸(1+9

b)

混酸(塩酸 2,硝酸 1,水 2)  使用の都度調製する。

c)

銅  99.96 % (m/m)  以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。

d)

亜鉛  99.9 % (m/m)  以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。

e)

すず  99.9 % (m/m)  以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。

f)

鉛  99.9 % (m/m)  以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。

g)

アルミニウム  99.9 % (m/m)  以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のも

の。

h)

鉄  99.9 % (m/m)  以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。

i)

マンガン  99.9 % (m/m)  以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。

j)

標準ニッケル溶液(500 

μgNi/ml)  ニッケル[99.9 % (m/m)  以上]0.500 g をはかり取り,ビーカー

(200 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸(1+1)30 ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温

まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 1 000 ml

の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

8.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,0.50 g とする。

8.4

操作

8.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取って,ビーカー(200 ml)に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,混酸[8.2 b)]30 ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計

皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って,時計皿を取り除く(

7

)

c)

溶液を 100 ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(

18

)

d)

この溶液を

表 の分取量に従って 100 ml の全量フラスコに分取し,塩酸(1+9)で標線まで薄める。

注(

18

)

試料中のニッケル含有率が 0.01 % (m/m)  以上 0.5 % (m/m)  未満の場合には,次の d)の操作を行

わない。

  5  分取量

試料中のニッケル含有率

% (m/m)

分取量

ml

0.5

以上    2.5 未満

2.5

以上    7.0 以下

20.0

10.0

8.4.2

発光強度を測定  8.4.1 の c)又は d)で得た溶液の一部を,ICP 発光分光装置のアルゴンプラズマ中

に噴霧し,波長 221.647 nm,231.604 nm 又は 232.003 nm の発光強度を測定する(

19

)

注(

19

)

精度及び真度を確認してあれば高次のスペクトル線を用いてもよく,バックグランド補正機構

が付いている装置では,バックグランド補正機構を用いてもよい。

8.5

空試験  空試験は,次のいずれかによる。

a)  8.4.1 d)

の操作を行わない場合  8.6 a)の検量線作成操作において得られる標準ニッケル溶液を添加し

ない溶液の発光強度を,空試験の発光強度とする。


14

H 1056

:2003

b)  8.4.1 d)

の操作を行う場合  8.6 b)の検量線作成操作において得られる標準ニッケル溶液を添加しない

溶液の発光強度を,空試験の発光強度とする。

8.6

検量線の作成  検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。

a)  8.4.1 d)

の操作を行わない場合

1)

銅[8.2 c)]

,亜鉛[8.2 d)]

,すず[8.2 e)]

,鉛[8.2 f)]

,アルミニウム[8.2 g)]

,鉄[8.2 h)]及びマ

ンガン[8.2 i)]を 0.50 g の試料中に含まれる量と 10 mg のけたまで等しくなるように(

20

)

数個はかり

取り,数個のビーカー(200 ml)にそれぞれ移し入れる。

2)  8.4.1 b)

の操作を行った後,標準ニッケル溶液[8.2 j)]0∼5.0 ml(ニッケルとして 0∼2 500

μg)を

段階的に加える。溶液を 100 ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

3)

溶液の一部を ICP 発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長 221.647 nm,231.604 nm 又は

232.003 nm

の発光強度を試料溶液と並行して測定し(

19

)

,得た発光強度とニッケル量との関係線を作

成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。

注(

20

) 221.647 nm

の波長で発光強度を測定する場合には,共存する銅が影響するので,銅[8.2 c)]は

1 mg

のけたまで同じになるようにはかり取る。

b)  8.4.1 d)

の操作を行う場合

1)

銅[8.2 c)]

,亜鉛[8.2 d)]

,すず[8.2 e)]

,鉛[8.2 f)]

,アルミニウム[8.2 g)]

,鉄[8.2 h)]及びマ

ンガン

8.2 i)]

を 0.50 g の試料中に含まれる量と 10 mg のけたまで等しくなるように(

20

)

はかり取り,

ビーカー(200 ml)に移し入れる。

2)  8.4.1

の b)及び c)の手順に従って操作した後,8.4.1 d)で分取した試料溶液の量と同量ずつ数個の 100

ml

の全量フラスコに分取し,標準ニッケル溶液[8.2 j)]0∼7.0 ml(ニッケルとして 0∼3 500

μg)

を段階的に加え,塩酸(1+9)で標線まで薄める。

3)

溶液の一部を ICP 発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長 221.647 nm,231.604 nm 又は

232.003 nm

の発光強度を試料溶液と並行して測定し(

19

)

,得た発光強度とニッケル量との関係線を作

成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。

8.7

計算  計算は,次のいずれかによる。

a)  8.4.1 d)

の操作を行わない場合  8.4.2 及び 8.5 a)で得た発光強度と 8.6 a)で作成した検量線とからニッ

ケル量を求め,試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。

100

3

2

1

×

=

m

A

A

A

Ni

)

(

ここに,

Ni

試料中のニッケル含有率[%(m/m)]

1

A

試料溶液中のニッケル検出量(g)

2

A

空試験液中のニッケル検出量(g)

3

A

8.6 a) 1)

ではかり取った銅[8.2 c)]

,亜鉛  [8.2 d)],す

ず[8.2 e)]

,鉛[8.2 f)]

,アルミニウム[8.2 g)]

,鉄

8.2 h)]及びマンガン[8.2 i)]中に含まれるニッケ
ルの合量(g)

m

試料はかり取り量(g)

b)  8.4.1 d)

の操作を行った場合  8.4.2 及び 8.5 b)で得た発光強度と 8.6 b)で作成した検量線とからニッケ

ル量を求め,試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。


15

H 1056

:2003

100

100

100

3

2

1

×

×

×

=

B

m

B

A

A

A

Ni

)

(

ここに,

Ni

試料中のニッケル含有率[%(m/m)]

1

A

分取した試料溶液中のニッケル検出量(g)

2

A

分取した空試験液中のニッケル検出量(g)

3

A

8.6 b) 1)

ではかり取った銅[8.2 c)]

,亜鉛  [8.2 d)],す

ず[8.2 e)]

,鉛[8.2 f)]

,アルミニウム[8.2 g)]

,鉄

8.2 h)]及びマンガン[8.2 i)]中に含まれるニッケ
ルの合量(g)

B

8.4.1 d)

で分取した試料溶液及び空試験液の量(ml)

m

試料はかり取り量(g)


16

H 1056

:2003

附属書(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表

JIS H 1056 : 2002

  銅及び銅合金中のニッケル定量方法

ISO 1810 : 1976

  銅合金−ニッケルのジメチル・グリオキシム吸光光度法

ISO 4742 : 1984

  銅合金−ニッケルの重量法

ISO 4743 : 1984

  銅合金−ニッケルの滴定法

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅱ)  国際

規格番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の

項目ごとの評価及びその内容 
表示箇所:本体 
表示方法:点線の下線又は実線の側線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的差異の理

由及び今後の対策

項目 
番号

内容

項目
番号

内容

項目ごとの
評価

技術的差異の内容

1.

適用

範囲

銅及び銅合金(伸銅品,鋳物用地金
及び鋳物)中のニッケルの定量

ISO 1810

1.

銅合金中のニッケルの定量

NEQ

試薬が不適当。

ISO 1810

及び ISO 4743 は試薬として

環境規制物質(オゾン層保護対策物
質)であるクロロホルムを使用する方
法なので JIS として採用できない。

ISO 4742

1.

銅 合 金 中 の ニ ッ ケ ル の
定量

MOD

/追加

ISO

を包含し,すべて

の伸銅品,地金及び鋳
物を対象としている

ISO 4743

1.

銅合金中のニッケルの定量

NEQ

試薬が不適当。

2.

引用

規格

JIS H 1012

(銅及び銅合金の分析方

法通則)を引用

ISO

には規定されていな

い。

MOD

/追加

3.

一般

事項

分析の一般事項は JIS H 1012 によ
ることを規定。

ISO

には規定されていな

い。

MOD

/追加

4.

定量

方法の
区分

a)

銅分離ジメチルグリオキシムニ

ッケル重量法

2.0%

≦Ni≦50%

ISO 4742

1.

重量法

2.0%

≦Ni≦50%

IDT

ISO

には規定してい

な い定量 方法を 追加
した。

定量方法は,濃度範囲や対応設備の有
無などから適切な方法が選択されるべ
きであるので一つに限定することは好
ましくない。したがって,従来から規
定されていた JIS の定量方法及び最新
の機器による定量方法を追加した。 
ISO

を包含した四つの定量方法を規定

しており,状況に応じていずれかを選
択して使用ができる。したがって,国
際的にも,なんら問題ないので JIS 
けに規定された定量方法を ISO へ提案
することは当面行わない。

b)

銅分離ジメチルグリオキシム沈

殿分離エチレンジアミン四酢酸二
水素二ナトリウム・亜鉛逆滴定法

1.0%

≦Ni≦35%

ISO

には規定されていな

い。

MOD

/追加

c)

原子吸光法

0.01%

≦Ni≦7.0%

ISO

には規定されていな

い。

MOD

/追加

d) ICP

発光分光法

0.01%

≦Ni≦7%

ISO

には規定されていな

い。

MOD

/追加

5.

銅分

離ジメ
チルグ
リオキ
シムニ
ッケル
重量法

試料を硝酸で分解し,アミド硫酸を
加えた後又は試料を硝酸と硫酸との
混酸で分解した後,白金電極を用い
て電解を行い,銅を陰極に析出させ
て除去する。溶液にくえん酸を加え,
アンモニア水でアルカリ性とした
後,ジメチルグリオキシムを加え,
生成するジメチルグリオキシムニッ
ケルの沈殿をこし分け,その質量を
はかる。

ISO 4742

6.

JIS

に同じ

IDT

技 術的に は一致 して
いる。

16

H

 1056


2003


17

H 1056

:2003

(

JIS

の規定

(

Ⅱ)  国際

規格番号
項目 
番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の

項目ごとの評価及びその内容 
表示箇所:本体 
表示方法:点線の下線又は実線の側線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的差異の理

由及び今後の対策

項目 
番号

内容

内容

項目ごとの
評価

技術的差異の内容

6.

銅分

離ジメ
チルグ
リオキ
シム沈
殿分離
エチレ
ンジア
ミン四
酢酸二
水素二
ナトリ
ウム・亜
鉛逆滴
定法

試料を硝酸と硫酸との混酸で分解
した後,白金電極を用いて電解を行
い,銅を陰極に析出させて除去す
る。溶液にくえん酸を加え,アンモ
ニア水でアルカリ性とした後,ジメ
チルグリオキシムを加え,生成する
ジメチルグリオキシムニッケルの
沈殿をこし分ける。沈殿を塩酸に溶
解し,過剰のエチレンジアミン四酢
酸 二 水 素 二 ナ ト リ ウ ム ( 以 下 ,
EDTA2Na

という。

)を加えた後,pH

を調節し,亜鉛標準溶液で逆滴定す
る。

MOD

/追加

ISO

には規定してい

な い定量 方法を 追加
した。

ISO

に規定がなくても,なんら問題は

ないので,当面 ISO に提案すること
は見送る。

7.

原 子

吸光法

試料を塩酸と硝酸との混酸で分解
した後,溶液を原子吸光光度計の空
気・アセチレンフレーム中に噴霧
し,その吸光度を測定する。

MOD

/追加

ISO

には規定してい

な い定量 方法を 追加
した。

ISO

に規定がなくても,なんら問題は

ないので,当面 ISO に提案すること
は見送る。

8. ICP
発光分
光法

試料を塩酸と硝酸との混酸で分解
し,溶液を ICP 発光分光装置のア
ルゴンプラズマ中に噴霧し,その発
光強度を測定する。

MOD

/追加

ISO

には規定してい

な い定量 方法を 追加
した。

ISO

で採用の動きあり動向を見守る。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:NEQ(ISO 1810:NEQ,ISO 4742:MOD,ISO 4743:NEQ)

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

― IDT

技術的差異がない。

― MOD/追加

国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

― NEQ

技術的差異があり,かつ,それがはっきりと識別され説明されていない。

2.  JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

― MOD

国際規格を修正している。

― NEQ

技術的内容及び構成において,国際規格と同等でない。

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H

 1056


2003