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日本工業規格

JIS

 H

0615

-1996

フォトルミネッセンスによる

シリコン結晶中の不純物濃度測定方法

Test method for determination of impurity concentrations

in silicon crystal by photoluminescence spectroscopy

1.

適用範囲  この規格は,フォトルミネッセンスによるシリコン単結晶及び多結晶シリコンの不純物濃

度の測定方法について規定する。

測定可能な不純物元素は,ボロン (B),アルミニウム (Al),りん (P) 及びひ素 (A

s

)

で測定濃度範囲は

1

×10

11

∼5×10

15

atoms/cm

3

 (0.002

∼100ppba)  である。

備考1.  多結晶シリコンの場合は,FZ 法によって単結晶化し,測定試料を作製する。

2.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS H 0602

  シリコン単結晶及びシリコンウェーハの 4 探針法による抵抗率測定方法

JIS K 8161

  ジクロロメタン(試薬)

JIS K 8541

  硝酸(試薬)

JIS K 8819

  ふっ化水素酸(試薬)

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

(1)

フォトルミネッセンス  (photoluminescence : PL)    光照射によって物質中に過剰の電子及び正孔を発

生させた際に,それらの発光性再結合の結果,物質から放出される光。

備考  半導体結晶のフォトルミネッセンスの解析から,結晶のバンド構造及び結晶中の不純物や欠陥

などの評価を行うことができる。

(2)

励起子  (exciton)    半導体結晶中の自由電子と自由正孔がクーロン力によって結合し,一対となった

状態。

備考  励起子には結晶中を自由に動き回る自由励起子 (free exciton : FE) と,不純物の作る電子準位

(不純物準位)に捕えられた束縛励起子  (bound exciton : BE)  がある。強励起条件下では,複数

個の励起子が不純物準位に捕えられた束縛多励起子 (bound multiple exciton complex : BMEC)

が発生する。励起子が  (n+1)  個束縛された BMEC を “b

n

と記述する。

なお,りんの不純物準位の BMEC には,通常の b

n

のほかに

β

シリーズと呼ばれる多励起子シ

リーズがあり,これを “b

n

'”

と表示する。

(3)

フォノン  (phonon)    結晶内の格子振動のエネルギー量子。

備考  シリコンは間接遷移形半導体であるので,その発光過程で,運動量保存のためのフォノン放出

を伴う発光線が観測される。これをフォノンサイドバンドという。フォノンの種類としては,

横形音響  (transverse acoustic : TA)  フォノン,縦形音響  (longitudinal acoustic : LA)  フォノン,横


2

H 0615-1996

形光学  (transverse optical : TO)  フォノン,縦形光学  (longitudinal optical : LO)  フォノンがある。

不純物が関与した発光過程では,不純物との相互作用によって選択則が緩和され,フォノンを

伴わない発光線  (no-phonon : NP)  も観測される。

3.

試料

3.1

単結晶シリコン試料  試料は,次による。

(1)

半導体デバイス作製用の鏡面ウェーハの場合には,ウェーハから 5×10mm 程度のペレットを切り出

し,試料としそのまま PL 測定を行う。

(2)

半導体デバイス作製用の鏡面ウェーハでない場合,面積 5×5mm 程度以上,厚さ 1mm 程度のペレッ

トを切り出し,試料とする。これを純水で洗浄後,JIS K 8541 に規定する硝酸 (HNO

3

)

及び JIS K 8819

に規定するふっ化水素酸 (HF) を容積比 HNO

3

: HF

=5 : 3 で混合した液で 1∼2 分間エッチングして鏡

面状にする。純水で洗浄し,乾燥後に,PL 測定を行う。

3.2

多結晶シリコン試料  試料は,次による。

(1)  FZ

用試料  多結晶ロッドの直径が 60mm 以上の場合は,多結晶ロッドの直胴部の任意の位置から内

径 19±1mm のコアードリルによって,析出心を含む直径方向に FZ 用丸棒を切り出す。切り出された

FZ

用丸棒の先端を種結晶側として,必要に応じてテーパ加工を,他端につり下げ用の溝加工をする[

1 (1)

参照]

。加工後 JIS K 8161 に規定するジクロロメタンによる脱脂洗浄と純水洗浄を行い,最後に

容積比 HNO

3

 : HF

=4 : 1 の液によって 2 分間のエッチングと純水洗浄を 2 回繰り返してから乾燥する。

(2)  FZ

無転位単結晶化  結晶方位 <111> 低効率 1 000

Ω・cm 以上の種結晶を使用し,無転位化操作によっ

て直径 (12∼16)  ±1mm に引き伸ばしながら無転位単結晶を成長させる[

図 1(2)参照]。

(3)

測定準備  単結晶丸棒の側面を長軸方向に幅数 mm を平面研削かサンドブラスト又はラッピングによ

って平たん化し純水で洗浄し,乾燥する。

(4)

測定  平たん加工面上を長軸方向に数箇所,熱起電力によって伝導形を測定し,n 形であることを確

認する。次に JIS H 0602 によって,暗箱内で 4 探針の配列を長軸と平行に配置して,シード側肩部か

ら心線対応位置(

1

)

まで 10mm 間隔で抵抗率を測定し,長さ方向にプロットし抵抗率分布曲線を作る。

元の多結晶断面図を

図 のようにリング状の断面積 S

1

S

2

,

…,S

n

に区分し,心線中心と各リングの半

径に対応する抵抗率

ρ

0

ρ

1

,…,

ρ

n

を抵抗率分布曲線から求める。

(

1

)

単結晶化後の心線の対応位置 は,

1の形状及び寸法から,次の式によって求める。

(

)

(

)

(

)

1

2

1

1

2

2

2

2

1

2

1

1

2

2

2

2

1

1

2

2

3

3

l

d

d

d

d

d

l

D

D

D

D

d

L

L

L

d

D

l

+

+

+

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

+

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

÷÷ø

ö

ççè

æ

=


3

H 0615-1996

図 1  FZ 用試料と単結晶化後の試料の形状及び寸法 

図 2  多結晶断面の各リングの断面積  (S

n

と平均不純物濃度  (C

n

)

(5)

多結晶の平均不純物濃度及び平均抵抗率の算出  抵抗率  (

ρ

)

から n 形不純物濃度  (C) (ppba) への変

換は電子移動度を 1 350cm

2

/V

・s として次の式を使用する。

ρ

93

=

C

ρ

0

ρ

1

,…,

ρ

n

の不純物濃度を C

ρ0

C

ρ1

,…,C

ρn

とし,中心円及び各リングの平均濃度を C

ρ0

と C

ρ1

C

ρ1

と C

ρ2

,…,C

ρn-1

と C

ρn

の相加平均(算術平均)で求めて C

1

C

2

,

…,C

n

とする。

多結晶断面の平均不純物濃度 C

ave

は,次の式によって求める。

n

n

n

ave

S

S

S

S

C

S

C

S

C

C

+

+

+

+

+

+

=

Λ

Λ

2

1

2

2

1

1

平均抵抗率

ρ

ave

を,次の式によって求める。


4

H 0615-1996

ave

ave

C

93

=

ρ

(6)

PL

測定用試料  (4)で測定した

FZ

単結晶の抵抗率分布で,平均抵抗率と同じ値の点の位置からウェー

ハを切り出し

PL

測定用試料とする。試料の形状は

5

×

5mm

角以上で厚さ

1mm

程度とし,純水で洗浄

後,容積比

HNO

3

 : HF

5 : 3

の液で

1

2

分間エッチングして鏡面状にする。エッチング後,純水で洗

浄し,乾燥後に

PL

測定を行う。

4.

測定装置  測定装置は図 に示すように,レーザ光源,クライオスタット,光学系及び分光計で構成

する。これらの各装置は,次に示す性能のものを用いる。

(1)

レーザ光源  波長

514.5nm

で出力が

500mW

程度以上のアルゴン・イオン・レーザを使用する。

(2)

クライオスタット  温度

4.2K

PL

測定を行うため,試料を液体ヘリウムに浸した状態で,レーザ光

を試料面上に照射し,かつ,試料からの

PL

光を取り出せる窓をもつ構造のものを使用する。クライ

オスタット内の試料台に試料を固定する際,試料の一端をりん青銅のばねで軽く押さえるなど,試料

に過度の応力がかからないようにする。

図 3  PL 測定装置のブロック図 

(3)

光学系  レーザ光源中に含まれる赤外線を除去する赤外カットフィルタ,光路変更用平面鏡,

PL

光を

分光器に導く集光レンズ,レーザ光遮断及び回折格子高次光遮断用の長波長透過フィルタで構成する。

集光レンズは,

PL

光ができるだけ低損失で検出器に導かれるよう,使用する分光器及び光検出器と光

学的整合がとれるものを用いる。

(4)

分光計  分光計は,次による。

(a)

分光計は,分散形分光器,光検出器及び信号処理系から構成される。測定波長領域は,

1.076

µm

(1.152eV, 9 294cm

-1

)

(

2

)

から

1.142

µm (1.086eV, 8 757cm

-1

)

までであり,この領域内で

0.05nm (0.06meV,

0.5cm

-1

)

の波長分解能が必要である。

(

2

)

以下スペクトル位置を表す際に,波長

λ (µm)

,光子エネルギ

E (eV)

及び波数

ν (cm

-1

)

にて表示

する。それぞれの間の関係式は,

λ

85

239

.

1

=

E


5

H 0615-1996

λ

000

1

=

v

で与えられる。

(b)

分散形分光器としては,焦点距離が

1m

程度で,ブレーズ波長

1

µm

,刻線数

600

本・

mm

-1

の回折格

子を使用したものが望ましい。

(c)

光検出器としては,

SI

受光面の光電子増倍管又はゲルマニウム

pin

ダイオードが適切である。

(d)

信号処理系には,微弱光増幅のため位相同期検波(ロックイン)方式が適切である。レーザ光を光

チョッパで断続させ,検出器応答信号をロックインアンプで増幅し,各波長に対する光出力信号を

レコーダに記録させるか又は計算機処理によってプロットアウトする。

備考

分光器としてフーリエ変換形分光器の使用も可能であるが,装置パラメータなどについては,

規定しない。

5.

測定方法

5.1

測定方法の概要  試料をクライオスタット内の試料ホルダに固定し,液体ヘリウムで冷却する。5.2

の測定環境下で,試料に 5.3 に示す強度のレーザ光を照射する。試料からの

PL

光を,5.4 の波長分解能で

5.5

の波長範囲について測定する。

5.2

測定環境  測定装置は,電磁雑音の低い環境の暗室内に設置するのがよい(

3

)

。温度は,

15

25

℃で

測定中の変動は±

1

℃以内,また,相対湿度は

60%

以下が望ましい。

(

3

)

測定中,暗室である必要はないが,光軸調整などのために暗室内に設置するのが望ましい。

5.3

励起光強度  励起レーザ光は,デューティー比

50%

でチョップし試料に照射する。試料面上での強

度を

50mW

,ビーム径を

2.5mm

とする。

5.4

波長分解能  波長分解能は,次による。

(1)

濃度算出のための基準測定では,波長分解能を

0.2nm (0.25meV, 2cm

-1

)

とする。

(2)

アルミニウム,りん及びひ素の不純物のうちの複数種が同時に存在する場合には,それらの発光線を

分離するため,波長分解能を

0.05nm (0.06meV, 0.5cm

-1

)

とする高分解能測定を行う。

備考

信号強度が弱く上記分解能で測定が行えない場合,分解能を

0.1nm (0.12meV, 1cm

-1

)

として測定

を試みる。

5.5

波長範囲  波長範囲は次による。

(1)

基準測定では,次の範囲とする。

TO

領域

1.142

1.125

µm

 (1.086

1.102eV, 8 757

8 889cm

-1

)

NP

領域

1.082

1.076

µm

 (1.146

1.152eV, 9 242

9 294cm

-1

)

(2)

高分解能測定では,次の範囲とする。

主要

NP

領域

1.077 4

1.079 0

µm

 (1.150

7

1.149 0eV, 9 281

9 267cm

-1

)

6.

データ解析

6.1

スペクトル線の同定  5.に従って測定した

PL

スペクトルには,

図 及び図 の例に示すような発光

線が現れる。各発光線の位置からその起源が同定される。


6

H 0615-1996

備考1.

以下,スペクトル中の発光線を

X

TO

 (BE)

のように表示する。先頭の記号

X

は不純物の種類

を表し,ボロン:

B

,りん:

P

,アルミニウム:

Al

及びひ素:

As

が対象となる。添字は,関

与するフォノンの種類を表す。括弧内は励起子遷移の種類を表す。ただし,記号

X

に記号

I

を使用したときは,シリコンに固有

 (intrinsic)

の発光を示す。

2.

この規格に従い,不純物濃度を算出する際に着目する不純物束縛励起子

 (BE)

発光の

NP

TO

 [X

NP

 (BE), X

TO

 (BE)]

及び自由励起子

 (FE)

発光の

TO

 [I

To

 (FE)]

の位置を,

表 1

に示す。

6.2

ピーク強度算定  濃度算出に必要な

I

TO

 (FE)

線,

X

TO

 (BE)

線のピーク強度を求める際には,ベース

ラインを引く必要がある。次に,

図 に示すボロン添加試料を例にとり,ベースラインの引き方を示す。

また,りん添加試料に対するベースラインの引き方も同様であり,例を

図 に示す。

備考1.

X

NP

 (BE)

線では,ベースラインは信号レベルが零の水平線である。

2.

次の方法で引いたベースラインを用いて求められたピーク強度は,斜字体の

X

NP

  (BE)

X

TO

(BE)

I

TO

 (FE)

で表す。

図 4  ボロン添加シリコン結晶の 4.2K での PL スペクトル

備考  ベースラインの引き方が示されている。光電子増倍管使用,波

長感度未補正(ボロン濃度:9.9×10

13

atoms/cm

3

,りん濃度:8.0

×10

12

atoms/cm

3

 


7

H 0615-1996

図 5  りん添加シリコン結晶の 4.2K での PL スペクトル

備考  光検出器として光電子増倍管を使用し,波長感度未補正。NP 領域の PL 強

度は 0.5 倍に縮小表示(りん濃度:7.7×10

13

atoms/cm

3

,ボロン濃度:2.8×

10

12

atoms/cm

3

 

表 1  不純物束縛励起子 (BE) 及び自由励起子 (FE) のスペクトル位置 

 TO

線 NP 線

不純物

E (eV)

λ

 (

µm)

ν

 (cm

-1

)

E (eV)

λ

 (

µm)

ν

 (cm

-1

)

ボロン

1.092 6

1.134 7

8 812.6

1.150 7

1.077 4

9 281.3

りん

1.091 9

1.135 5

8 806.8

1.150 0

1.078 1

9 275.4

アルミニウム

1.091 5

1.135 9

8 803.4

1.149 6

1.078 5

9 271.8

ひ素

1.091 2

1.136 2

8 801.0

1.149 3

1.078 8

9 269.4

自由励起子

 (FE)

1.097 1.130 8

847

(1)

  I

TO

 (FE)

線については,

1.101eV

のスペクトル強度

a

I

TO

 (FE)

線と

B

LO

 (BE)

線の間の谷

b

を結ぶ直

ab

とする。

(2)

  B

TO

 (BE)

線については,

b

B

TO

 (b

1

)

線と

B

TO

 (b

2

)

線の間の谷

e

を結ぶ直線

be

とする。

(3)

不純物濃度が(2)の場合から低くなり,直線

be

B

TO

 (BE)

線と

B

TO

 (b

1

)

線の谷

d

から上にきた場合に

は,直線

bd

とする。

(4)

不純物濃度が(3)の場合から低くなり,

B

LO

 (BE)

線が

I

TO

 (FE)

線のすそに埋もれてしまった場合,

I

TO

(FE)

線と

B

TO

 (BE)

線の間の谷

c

と谷

d

を結ぶ直線

cd

とする。

6.3

濃度算出  各不純物の強度比

)

(

)

(

FE

I

BE

X

TO

TO

から,強度比と不純物濃度の間に成立する関係(

図 及び図 7

を検量線として不純物濃度を算出する。


8

H 0615-1996

図 6  シリコン結晶中のボロン及びりん不純物に対する検量線

備考 PL 強度比

)

(

)

(

FE

I

BE

B

TO

TO

:○,

)

(

)

(

FE

I

BE

P

TO

TO

:●が,それぞれボロ

ン及びりん濃度に対してプロットされている。 

図 7  シリコン結晶中のアルミニウム及びひ素不純物に対する検量線

備考 PL 強度比

)

(

)

(

FE

I

BE

Al

TO

TO

:○,

)

(

)

(

FE

I

BE

As

TO

TO

:●が,それぞれアル

ミニウム及びひ素濃度に対してプロットされている。 


9

H 0615-1996

参考

ボロン,りん,アルミニウム及びひ素濃度を

N

B

N

P

N

Al

及び

N

AS

(単位:

atoms/cm

3

)とした

ときの

図 及び図 に示す検量線の近似直線式は,次のとおりである。

6.4

NP

線/TO 線換算

X

NP

 (BE)

線を利用して濃度を求める方法を,次に示す。

(1)

あらかじめ残留不純物の影響が無視できる試料で

X

NP

 (BE)

線と

X

TO

 (BE)

線の強度比

γ (X)

を求めて

おく。

( )

( )

( )

BE

X

BE

X

X

NP

TO

=

γ

 (5)

(2)

測定対象試料の,

X

NP

 (BE)

の測定から,

X

TO

 (BE)

X

NP

 (BE)

×

γ (X)  (6)

に従って

X

TO

 (BE)

を求める。

X

TO

 (BE)

が求まれば,6.3 から濃度を算出する。

備考1.

X

TO

 (BE)

線と

X

NP

 (BE)

線の位置は離れているので,測定系の波長感度の差の影響は無視で

きず,

γ (X)

は各測定系に固有の値となる。したがって,測定者は各自の測定装置に対する

γ 

(X)

を求めておかなければならない。

2.

6.3

の検量線の強度比として

)

(

)

(

FE

I

BE

X

TO

TO

を採用した理由は,

X

TO

 (BE)

線と

I

TO

 (FE)

線の位置が近く,測定

系の波長感度の差による影響が小さいことである。しかし,実際の測定では,ボロン添加試料中の残留り

ん,アルミニウム及びひ素濃度測定などのように,

X

TO

 (BE)

線の測定は困難であるが,

X

NP

 (BE)

線の測

定は容易である場合がある。さらに,

X

NP

 (BE)

線の測定には,

X

TO

 (BE)

線の測定に比較して,半値幅が

狭いこと,ベースラインが平たんであることという利点がある。

6.5

重畳補正

6.5.1

りん及びボロンの重畳補正

B

TO

 (BE)

線は

P

TO

 (b

1

')

線と重なり合い,

位置の差は

0.01meV (0.01nm,

0.1cm

-1

)

程度であるので,高分解能条件でも分離は不可能である

P

TO

 (b

1

')

線の強度は

P

TO

 (BE)

線強度の約

1

割であるので,見掛の

B

TO

 (BE)

線強度から

P

TO

 (BE)

線強度の

1

割の値を差し引くことによって,真の

B

TO

 (BE)

線強度を求める。

備考

この補正は,

P

TO

 (b

1

')

線の強度が無視できなくなる。りん添加試料中の残留ボロンの濃度測定

時に,特に重要である。

6.5.2

りん,アルミニウム及びひ素の重畳補正  りん,アルミニウム及びひ素の

BE

発光線は,

表 に示

すように近接しており,これらを分離するには 5.3 に述べた高分解能測定を行う。ただし,検量線は,基

準分解能で測定された強度比について得られた関係であるから,高分解能測定結果から基準分解能での強

度比を求める必要がある。


10

H 0615-1996

次にその方法を示す。

(1)

基準分解能での

NP

線スペクトル強度のピーク強度

I

M

を測定する。

(2)

高分解能で測定されたりん,アルミニウム及びひ素の

BE

線の強度比

P

NP

 (BE) : Al

NP

 (BE) : As

NP

 (BE)

a : b : c

を求め,

a

b

c

のうちの最大値を

m

とする。

(3)

次の式に従い,基準分解能での各発光線の強度を求める。

( )

M

NP

I

m

a

BE

P

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

 (7)

( )

M

NP

I

m

b

BE

Al

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

 (8)

( )

M

NP

I

m

c

BE

As

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

 (9)

7.

校正

PL

の測定条件は 5.で規定されているが,測定装置の違いなどのため,条件を完全に同一にする

ことはできない。そこで,各不純物に対し,

4

水準以上の濃度が確定している標準試料を用いて,検量線

を各測定装置の各測定条件に合わせて校正する。次に,標準試料を用いた検量線の校正方法を説明する。

(1)

各標準試料の

PL

スペクトルを,5.の測定条件に従って測定する。

(2)

6.

に規定した方法に従って,強度比を算出する。

(3)

検量線図(

図 及び図 7)上に,標準試料の測定データをプロットする。

(4)

検量線を平行移動し,標準試料の測定データとの差が最も小さくなるようにする。この際に,ボロン

及びりん不純物については,各検量線が傾きの異なる

2

直線から構成されているので,平行移動は上

下方向とする。

(5)

(4)

の平行移動に対応して,式

(1)

(4)

の係数を変更する。

8.

精度  この規格に規定の測定方法による測定値誤差は,試料中の最高濃度の不純物(主不純物)に対

しては,±

30%

である。濃度水準が

2

番目以降の不純物(副不純物)に対しては,それらの濃度が主不純

物と同程度であれば,上記と同程度の誤差であるが,主不純物との濃度差が大きくなるに従って,誤差は

大きくなる。

一般に主不純物の濃度の

100

1

程度以上の濃度領域の副不純物に対しては,濃度算出が可能である。


11

H 0615-1996

JIS H 0615

  原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

有  村  誠  一

住友シチックス株式会社

(幹事)

田  島  道  夫

宇宙科学研究所

徳  丸  洋  三

中央大学

中  島  一  郎

通商産業省機械情報産業局電子機器課

倉  重  有  幸

工業技術院標準部電気規格課

加  山  英  男

財団法人日本規格協会

水  間  基一郎

元三菱マテリアルシリコン株式会社

宮  崎  守  正

住友シチックス株式会社

北  浦  喜一郎

住友シチックス株式会社

河  合  健  一

三菱マテリアルシリコン株式会社

岩  城  英  彦

昭和電工シリコン株式会社

京  島  良  幸

ニッテツ電子株式会社

河  野  光  雄

コマツ電子金属株式会社

三  木  克  彦

信越半導体株式会社

桝  井      積

信越半導体株式会社

桐  野  好  生

東芝セラミックス株式会社

鹿  島  一日児

東芝セラミックス株式会社

佐々木  健  太

ヒュルスジャパン株式会社

安  楽  一  宏

沖電気工業株式会社

大  石  博  司

松下電子工業株式会社

金  田      寛

富士通株式会社

鈴  木  範  夫

株式会社日立製作所

粉  川  佳  子

三菱電機株式会社

新  井  謙  一

日本電気株式会社

平  塚  八  郎

株式会社東芝

二  神  元  信

ソニー株式会社

松  本  行  雄

日本バイオラッドラボラトリーズ株式会社

高  須  新一郎

SEMI

高  田  利  幸

株式会社トクヤマ

中  野      守

高純度シリコン株式会社

(事務局)

伊  藤  拡  史

社団法人日本電子工業振興協会

備考  ○印は分科会委員

(文責  田島道夫  宇宙科学研究所)