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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 0515-1992 

チタン管の渦流探傷検査方法 

Eddy current inspection of titanium pipes and tubes 

1. 適用範囲 この規格は,チタン継目無管及び溶接管(以下,管という。)のきずを検出する渦流探傷検

査(以下,検査という。)方法について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS Z 2300 非破壊試験用語 

JIS Z 2315 渦流探傷装置の総合性能の測定方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 2300によるほか,次による。 

(1) きょう(矯)正マーク 円周スパイラル状の微小寸法変化で,管の曲りきょう正ロールで発生したも

の。 

(2) リングマーク 円周状の微小寸法変化で,素材の冷間圧延時のロール停止によって発生したもの。 

(3) はだ(肌)荒れ 管表面の部分的な粗さ変化で,表面仕上跡が残ったもの。 

3. 一般事項 

3.1 

適用寸法範囲 管の適用寸法範囲は,外径10〜150mm,厚さ0.3〜10mmとする。 

3.2 

検査方法の要旨 検査は,貫通コイル(以下,試験コイルという。)を用いて行う。 

3.3 

検査技術者 検査技術者は,検査を行うために必要な知識,技能を有する者とする。 

4. 探傷装置 

4.1 

構成 探傷装置は,探傷器,試験コイル,管送り装置(コイル保持台を含む。以下,同じ。),自動

警報装置又は記録装置で構成する。 

4.2 

探傷器 探傷器は,発振器,電気的信号を処理する電気装置,きずによる信号などの表示装置など

で構成し,次による。 

(1) 形式,試験周波数,指示の表示方式などは試験の目的に合ったものとする。 

(2) 0〜40℃の環境温度及び±15%の電源電圧の変動において長時間安定に作動し,かつ,外部からの電気

雑音に対して保護されていること。 

4.3 

試験コイル 試験コイルは,自己比較方式とする。 

4.4 

管送り装置,自動警報装置又は記録装置 管送り装置,自動警報装置又は記録装置は,探傷作業上

及び結果の判定作業上十分な性能をもつものとする。 

4.5 

探傷装置の総合性能 探傷装置の総合性能の判定は,定期点検時及び必要に応じて,JIS Z 2315に

よって行い,その性能は探傷作業上及び結果の判定作業上十分な性能をもつものとする。 

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H 0515-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 対比試験片 

5.1 

使用目的 対比試験片は,探傷装置の感度の設定及び感度が必要な水準に維持されているかどうか

の点検に用いる。 

5.2 

材料 対比試験片に用いる材料は,検査する管と同等の材質,公称寸法及び表面状態のものとする。 

5.3 

対比試験片に用いる人工きず 

5.3.1 

人工きずの種類及び形状 対比試験片に用いる人工きずの種類は,角溝又はドリル穴とし,その形

状は図1に示すものとする。 

なお,人工きずの種類の記号は,角溝はN,ドリル穴はDとする。 

図1 人工きずの種類及び形状 

5.3.2 

人工きずの寸法及び寸法許容差 対比試験片に用いる人工きずの寸法及び寸法許容差は,表1及び

表2による。 

表1 角溝の寸法及び寸法許容差 

角溝の呼び 

深さ 

深さの許容差 

長さ 

幅 

N-0.10 

0.10mm 

±0.05mm 

10mm以上 
25mm以下 

1.0mm以下 

N-0.20 

0.20mm 

N-0.40 

0.40mm 

±15% 
(最小値 
±0.05mm) 

N-12.5 

厚さの12.5% 

N-15 

厚さの15.0% 

N-20 

厚さの20.0% 

N-25 

厚さの25.0% 

N-30 

厚さの30.0% 

N-40 

厚さの40.0% 

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H 0515-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 ドリル穴の寸法及び寸法許容差 

ドリル穴の呼び 

穴の径 mm 

径の許容差 mm 

D-0.8 

0.8 

±0.05 

D-1.0 

1.0 

D-1.2 

1.2 

D-1.4 

1.4 

D-1.6 

1.6 

D-3.2 

3.2 

±0.1 

5.4 

人工きずの加工 対比試験片に用いる人工きずの加工は,次による。 

(1) 継目無管は,放電加工又は機械加工によって加工する。 

(2) 溶接管は,管の母材部に放電加工又は機械加工によって加工する。 

5.5 

人工きずの数及び間隔 対比試験片に用いる人工きずの数及び間隔は,次による。 

(1) 角溝は,管の外面の軸方向に1個以上とする。 

(2) ドリル穴は,管の軸方向に間隔をおき,かつ,管周方向120°ごとに3個とし,管表面に垂直に貫通

してあける。 

(3) 人工きずのそれぞれの間隔及び試験片の端からの距離は,検査する速度において人工きずの信号が十

分分離して検出できるようにとる。 

6. 探傷方法 

6.1 

試験周波数 試験周波数は,1〜512kHzの範囲内から選択するものとし,対比試験片の人工きずが

十分検出できる周波数を使用する。 

6.2 

試験コイル 試験コイルは,感度設定に用いる対比試験片の人工きずが十分検出できる形状,方式,

寸法のものを使用する。 

6.3 

探傷感度の設定 

6.3.1 

探傷感度設定時期 探傷感度の設定は,検査開始前に行う。 

6.3.2 

探傷感度設定用人工きず 探傷感度の設定に用いる人工きずは,外径38.1mm以下の管には表3を,

外径38.1mmを超える管には表4を適用し,管の用途,製造方法,仕上方法及び厚さに応じて表中に示す

区分を選択し,角溝又はドリル穴のいずれかを使用する。 

表3 探傷感度設定用人工きず(外径38.1mm以下) 

区分 

適用 

使用する人工きずの種類 

用途 

製造方法 

仕上方法 

厚さ mm 

角溝の呼び ドリル穴の呼び 

EA 熱交換器用 溶接管 

溶接のまま及
び冷間引抜き 

0.3以上0.8未満  N-0.10 

D-0.8 

0.8以上3未満 

N-12.5 

EB 

継目無管 冷間引抜き 

1以上1.3未満 

N-0.20 

D-1.0 

1.3以上5未満 

N-15 

EC 配管用 

溶接管 

溶接のまま及
び冷間引抜き 

1以上10以下 

N-20 

D-1.2 

ED 

継目無管 冷間引抜き 

1以上10以下 

N-25 

D-1.4 

EE 

熱間押出し 

3以上10以下 

N-30 

D-1.6 

熱交換器用
及び配管用 

冷間圧延 

1以上1.3未満 

N-0.40 

1.3以上10以下 

N-30 

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H 0515-1992  

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表4 探傷感度設定用人工きず(外径38.1mmを超え) 

区分 

適用 

使用する人工きずの種類 

用途 

製造方法 

仕上方法 

厚さ mm 

角溝の呼び ドリル穴の呼び 

EF 熱交換器用 溶接管 

溶接のまま及
び冷間引抜き 

0.3以上1.3未満  N-0.20 

D-1.0 

1.3以上3未満 

N-15 

EG 

継目無管 冷間引抜き 

1以上5未満 

N-20 

D-1.2 

EH 配管用 

溶接管 

溶接のまま及
び冷間引抜き 

1以上10以下 

N-25 

D-1.4 

EI 

継目無管 冷間引抜き 

1以上10以下 

N-30 

D-1.6 

EJ 

熱間押出し 

3以上10以下 

N-40 

D-3.2 

熱交換器用
及び配管用 

冷間圧延 

1以上10以下 

6.3.3 

探傷器の調整 

(1) 探傷器の感度,位相などの調整は,表3又は表4から選択した区分の対比試験片によって行う。 

(2) 探傷器の感度は,対比試験片の人工きずによる指示が記録計,指示計などの目盛範囲のほぼ50%にな

るように調整する。 

(3) 探傷器の表示装置,自動警報装置又は記録計は,対比試験片走行状態において,人工きずによる指示

が正常な動作範囲に入るように調整する。 

6.3.4 

管送り装置の調整 管送り装置は,角溝の場合は,対比試験片の人工きずを90°ずつ位置を変え

て,また,ドリル穴の場合は,対比試験片の管周120°ごとに加工した人工きずによって,検査する速度

で試験コイルを通過させたとき,人工きずの信号のばらつきが±15%の範囲で検出されるよう調整する。 

6.4 

探傷器の感度の確認 探傷器の感度は,検査作業終了時,検査中断時及び連続的に検査を行う場合

は,少なくとも4時間ごとに適正に維持されていることを確認する。検査中に装置の異常を発見した場合

には,再調整を行うとともに異常期間中に検査した管はすべて再検査を行う。 

7. 結果の判定 対比試験片の人工きずからの信号と同等以上の信号が検出されない管は,合格とする。

対比試験片の人工きずからの信号と同等以上の信号であっても,次に掲げるきずによるものは受渡当事者

間の協定によって合否を決めてよい。 

(1) きょう正マーク 

(2) リングマーク 

(3) はだ荒れ 

8. 記録 検査結果の記録には,次の事項を記載する。 

(1) 検査年月日 

(2) 検査技術者名 

(3) 管の種類記号 

(4) 管の寸法 

(5) 探傷装置名 

(6) 対比試験片 

(7) 試験コイル 

(8) 試験周波数 

(9) 探傷方法,探傷条件(探傷速度,探傷感度,位相など) 

H 0515-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(10) 検査結果 

関連規格 JIS H 4630 配管用チタン管 

JIS H 4631 熱交換器用チタン管 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

高 木 幹 雄 

東京大学生産技術研究所 

江 川 幸 一 

科学技術庁航空宇宙技術研究所 

松 山   格 

東京都立工業技術センター 

古 賀 英 宣 

通商産業省基礎産業局非鉄金属課 

服 部 幹 雄 

工業技術院標準部材料規格課 

恩 地 健 雄 

財団法人電力中央研究所狛江研究所 

後 藤 藤太郎 

財団法人造水促進センター 

林   資 之 

三菱重工業株式会社高砂製作所 

板 橋 幸 彦 

東芝株式会社京浜事業所 

佐 藤 和 夫 

株式会社日立製作所日立工場 

長 崎 幸 治 

三井造船株式会社玉野事業所 

加 藤   薫 

株式会社笹倉機械製作所 

(小委員長) 

○ 山 口 久 雄 

住友金属工業株式会社制御技術センタ 

○ 伊 藤 篤 志 

株式会社神戸製鋼所高砂製作所 

○ 入 江 暢 泰 

新日本製鐵株式会社光製鐵所 

○ 中 村 徳 英 

古河電気工業株式会社 

○ 中 森 邦 夫 

住友軽金属工業株式会社伸銅所 

○ 早乙女   昭 

日本鉱業株式会社 

○ 北 岡 一 泰 

社団法人チタニウム協会 

(原案作成協力者) 

佐々木 武 志 

日鉄テクノス株式会社光サブセンター 

伊 藤   均 

社団法人チタニウム協会 

備考 ○印が付けてある者は,小委員会委員も兼ねる。 
    なお,規格原案作成においては,社団法人チタニウム協会技術委員会非破壊検査

分科会の協力を得たことを付記する。