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G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

この規格は,

1992

年に第 2 版として発行された ISO 683-15, Heat-treatable steels, alloy steels and free-cutting

steels

−Part 15 : Valve steels for internal combustion engines を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更す

ることなく作成した日本工業規格である。

JIS G 7603

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  技術補遺


日本工業規格

JIS

 G

7603

 : 2000

 (ISO

683-15

 : 1992

)

内燃機関用バルブ鋼材(ISO 仕様)

Valve steels for internal combustion engines

序文  この規格は,1992 年に第 2 版として発行された ISO 683-15, Heat-treatable steels, alloy steels and

free-cutting steels

−Part 15:Valve steels for internal combustion engines を翻訳し,技術的内容及び規格票の様

式を変更することなく作成した日本工業規格である。

1.

適用範囲

1.1

この規格は,

表 に示す種類の鍛圧高合金材料に適用する。これらのバルブ材料は往復動内燃機関

の吸気バルブ及び排気バルブに使用される。

この規格は棒,線,線材及び鍛造品並びに 6.2 

備考 3.に記載される表面仕上材に適用する。

1.2

この規格は,バルブ座表面の保護に使用される,耐摩耗性及び耐食性の合金には適用しない。

1.3

この規格に加え,ISO 404 の一般技術的出荷要求事項も適用する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD(修

正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 683-15 : 1992, Heat-treatable steels, alloy steels and free-cutting steels

−Part 15:Valve steels for

internal combustion engines (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格はこの規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格は,記載の年の版だけが,この規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・

追補には適用しない。

ISO 286-1 : 1988, ISO system limits and fits

−Part 1:Bases of tolerances, deviation and fits

ISO 377-1 : 1989, Selection and preparation of samples and test pieces of wrought steels

−Part 1:Samples and

test pieces for mechanical test

ISO 377-2 : 1989, Selection and preparation of samples and test pieces of wrought steels

−Part 2:Samples for

the determination of the chemical composition

ISO 404 : 1992, Steel and steel products

−General technical delivery requirements

ISO 643 : 1933, Steels

−Micrographic determination of the ferritic or austenitic grain size

ISO 783 : 1989, Metallic materials

−Tensile testing at elevated temperature

ISO 1035-1 : 1980, Hot-rolled steel bars

−Part 1:Dimensions of round bars

ISO 1035-4 : 1982, Hot-rolled steel bars

−Part 4:Tolerances

ISO 6506 : 1981, Metallic materials

−Hardness test−Brinell test

ISO 6508 : 1986, Metallic materials

−Hardness test−Rockwell test (scales A−B−C−D−E−F−G−H−K).


2

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

ISO 6892 : 1984, Metallic materials

−Tensile testing

ISO 8457-1 : 1989, Steel wire rodr

−Part 1:Dimensions and tolerances

ISO 9443 : 1991, Heat-treatable and alloy steels

−Surface quality classes for hot-rolled round bars and wire

rods

−Technical delivery conditions

ISO/TR 9769 : 1991, Steel and iron

−Review of available methods of analysis

ISO 10474 : 1991, Steel and steel products

−Inspection documents

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

バルブ材料 (valve materials)   次の各項目に対し種々の特性をもつ鋼及び非鉄金属合金。

−  耐熱

−  耐酸化

−  耐焼付き及び摩耗

−  耐熱サイクル

−  耐疲労

−  耐腐食

−  耐衝撃

このため,バルブ材料は往復動内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブの製造に使用される。

4.

種類及び分類

4.1

この規格に規定する材料の分類は,化学成分による(

表 1)。

4.2

バルブ材料は,それらの化学成分によって決まる組織に基づいて,次の二つの分類に分けられる。

−  主に吸気バルブ及び排気バルブステム部分に使用されるマルテンサイト鋼。

−  主に排気バルブに使用されるオーステナイト合金。

5.

注文

5.1

注文者は,引合い及び注文時に次の事項を明示しなければならない。

a)

出荷量

b)

製品形状の指示(

“棒”など。1.1 参照)

c)

製品規格の番号,寸法,及びこの規格で規定されない場合には表面処理(6.2

備考 3.参照)及び許容

差(6.6 参照)

d)

“バルブ材料”の記号

e)

この規格の番号

f)

合金の種類(

表 参照)

g)

出荷時熱処理条件(6.2 参照)

h)

使用する加工法(熱間押出又は電気抵抗加熱によるすえ込み)など,その他すべての必要明細

i)

必要書類(7.1 参照)

6.

要求事項

6.1

製造工程

6.1.1

注文時に協定がない場合には,溶解工程の種類(6.1.2 参照)及び製造製品に使用する工程の種類

は製造業者が選択する。

6.1.2

非鉄金属合金 NiCr15Fe7TiAl,NiFe25Cr20NbTi 及び NiCr20TiAl は,通常,再溶解工程によって製

造する。


3

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

6.2

製品の熱処理条件及び表面仕上げ  出荷時における製品の熱処理条件及び表面仕上げは,注文時に

協定しなければならない。

備考1.  後に成形加工するバルブ材料は,通常,表3に示す熱処理条件の一つで注文される。

2.

製品に仕上がったバルブ材料は,化学成分に応じて焼入焼戻し又は析出硬化処理を行った後,

使用される(

表 A.1 及び表 A.2 参照)。

3.

バルブ材料は主に棒形状で供給され,表面仕上げは次のいずれかとする。

−  旋削及びバフ研磨

−  研磨及びバフ研磨

−  旋削及び研磨

−  旋削及び研磨後バフ研磨

−  研磨

−  圧延のまま

6.3

化学成分

6.3.1

溶鋼分析による材料の化学成分は,

表 による。

6.3.2

使用特性への影響が,無視できる範囲の場合には,規定限界値からのわずかな変動を注文者が容認

してよい。

6.3.3

注文時に製品分析の結果を協定してもよい。この場合の許容変動値は,

表 によって,表 に示す

溶鋼分析の限界値を基準として適用する。

6.4

機械的性質  マルテンサイト鋼の焼なまし及び焼入戻し材,オーステナイト材の制御冷却及び焼入

材の,室温での機械的性質の値は,

表 による(表 A.1∼表 A.4 参照)。

6.5

内部品質及び外観

6.5.1

バルブ材料の非金属介在物の限界は,引合い及び注文時に協定しなければならない。

備考4.  この項に規定する鋼種に関して,大気溶解の場合には,合金含有量が高いため,非金属介在

物の割合が高くなり,かつ,その分布が不均一になることが予想されることに留意する必要

がある。

6.5.2

バルブ材料の研磨断面を 100 倍で観察し,内部破損,開放センターラインなどの内部空げきがあっ

てはならない。

6.5.3 NiCr20TiAl

合金の結晶粒径は,ISO 643 によって試験した場合,4 以下とするが,部分的にはこれ

より大きい結晶粒の散在も許容される。

6.5.4

旋削又は研磨仕上棒の場合(6.2

備考 3.参照),表面のきずの深さは ISO 286-1 の許容差分類 h11

を超えてはならない。

6.5.5

その他のいずれの場合についても,表面品質の要求は引合い及び注文時に協定しなければならない。

熱間圧延のままの表面状態で出荷する丸棒及び線材については,適宜,ISO 9443 に基づくことが望まし

い。

6.6

寸法及び許容差  製品の寸法及び許容差は,引合い及び注文時の協定による。協定は,可能な限り

対応する国際規格又は適切な国の規格に基づくものとする。

備考5.  次の国際規格に,この規格に含まれる製品の寸法及び許容差を規定している。

−  圧延のままの棒:ISO 1035-1 及び ISO 1035-4

−  圧延のままの線材:ISO 8457-1


4

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

7.

試験

7.1

試験及び報告書の協定

7.1.1

出荷ごとに,7.6 に規定する報告書のいずれか一つを発行することを,引合い及び注文時に協定で

きる。

7.1.2

引合い及び注文時の協定によって試験報告書を発行する場合には,供給する種類の鋼又は合金につ

いて規定されている,すべての元素について溶解分析結果を記載しなければならない。

7.1.3

引合い及び注文時の協定によって検査証明書又は検査報告書を発行する場合には,7.27.5 の規定

による。

7.2

試験の数

7.2.1

機械試験

7.2.1.1

試験単位は同一溶解,同一種類の製造工程及び同一熱処理バッチの製品で構成する。試験単位の

全製品は,断面形状及び呼称寸法が同一でなければならない。

7.2.1.2

表 に示す機械的性質を確認するには,引合い及び注文時に協定しない限り,7.2.1.1 による試験

単位から 10t 当たり 1 個の供試材を採る。硬さは可能な限り測定する。できない場合には,引張試験を行

う。

7.2.2

その他の試験  7.2.1 の試験に加えて他の試験を行い,検査証明書又は検査報告書で報告する場合

には,試験単位及び試験の数に関する明細も含め,引合い及び注文時に協定しなければならない。

7.3

供試材及び試験片の選択並びに作製

7.3.1

製品分析  製品分析に関する,供試材の選択と作製は,ISO 377-2 の要求によって行う。分光分析

法を使用する場合には,製品の表面上を試験すること。ただし,疑わしい場合には,製品の断面全体につ

いて均等に数回の分析を行い,その結果の平均値を求める必要がある。

7.3.2

引張試験及び硬さ試験

7.3.2.1

引張試験に使用する試験片は,製品の縦方向から採取し(

図 参照),ISO 377-1 及び ISO 6892

によって作製する。

7.3.2.2

硬さ試験は,

図 のように引張試験の試験片が採取される断面について行う。硬さ試験片は ISO 

6506

又は ISO 6508 によって作製する。

7.3.3

結晶粒度  オーステナイト結晶粒度測定用試験片の採取及び作製は,ISO 643 による。

7.3.4

表面試験  係争の際には,表面品質の顕微鏡組織試験に使用する横方向の検鏡試片を ISO 9443 

よって作製する(7.4.5 も参照)

7.4

試験方法

7.4.1

化学分析  ISO/TR 9769 記載の,又は ISO/TR 9769 発行以降に作成された適切な国際規格によって

化学分析を行う。

7.4.2

引張試験  引張試験は ISO 6892 による。

7.4.3

硬さ試験  ロックウェル C 硬さ試験は ISO 6508,ブリネル硬さ試験は ISO 6506 による。

7.4.4

結晶粒度  オーステナイト結晶粒度の測定は,ISO 643 による。受渡当事者間の協定がない限り,

ISO 643

に規定された方法から製造業者が選択する。

7.4.5

表面のきず  係争の際には,横方向の顕微鏡組織試験片を使用して ISO 9443 による金属組織法で

表面のきずの深さを測定する。不可能な場合には,きずが見えなくなるまでやすりをかけ,適切な方法で

きずの深さを測定する。

7.5

再試験  再試験は ISO 404 による。


5

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

7.6

試験の証明  試験の証明は,ISO 10474 によって,次の報告書とする。

−  試験報告書

−  検査証明書

−  検査報告書

8.

表示

8.1

棒の束ごと又は線材のコイルごとに,識別のために次の事項を表示したラベルを,はり付けなけれ

ばならない。

−  製造業者のマーク又は名称

−  溶解番号

−  材料の種類

−  呼称寸法

表面仕上げ及び束またはコイルの質量を示す表示は,協定による。

8.2

ラベル上の表示は,束又はコイルを長時間屋外に放置した場合にも明確に読めなければならない。

8.3

径 30mm 以上の棒又はこれと同じ断面積をもつ棒の場合には,製造業者は 1 束につき 1 本を案内棒

とし,ラベル表示を行う。この表示では前端を白く塗装し,前端に製造業者のマーク,材料の種類及び溶

解番号を彫る(ダイスタンプ)か印刷(ゴムスタンプ)するか粘着テープを使用して表示する必要がある。

直径 30mm 未満の棒又はこれと同じ断面積をもつ棒については,製造業者,材料の種類及び溶解番号に

関する情報を示す,もう 1 枚のラベルをはり付けなければならない。

9.

苦情処理  苦情処理に関する事項は,ISO 404 による。

図 1  引張試験片の採取位置


6

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

表 1  バルブ材料の種類及び化学成分(溶鋼分析に適用)

化学成分 [% (m/m)]

記号

1976

年版

ISO 

683-15

鋼種タイプ

C

Si

Mn

P

S

Cr Mo Ni

その他

マルテンサイト鋼

X50CrSi8 2

− 0.45∼0.55 1.0∼2.0 0.60 以下

0.030

以下 0.030 以下 7.5∼9.5

0.60

以下

X45CrSi9 3

1

0.40

∼0.50 2.7∼3.3 0.80 以下

0.040

以下 0.030 以下 8.0∼10.0  0.60 以下

X85CrMoV18 2

3

0.80

∼0.90 1.0 以下 1.5 以下 0.040 以下 0.030 以下 16.5∼18.5 2.0∼

2.5

 0.30

∼0.60V

オーステナイト材

X55CrMnNiN20 8

− 0.50∼0.60 0.25 以下

7.0

∼10.0

0.050

以下 0.030 以下 19.5∼21.5  1.5∼2.75 0.20∼0.40N

X53CrMnNiN21 9

8

,9 0.48∼0.58 0.25 以下

8.0

∼10.0

0.050

以下 0.030 以下 20.0∼22.0  3.25∼4.5 0.35∼0.50N

X50CrMnNiNbN21 9

− 0.45∼0.55 0.45 以下

8.0

∼10.0

0.050

以下 0.030 以下 20.0∼22.0   3.5∼5.5 0.80∼1.50W

1.80

∼2.50,Nb

  +Ta

0.40

∼0.60N

X53CrMnNiNbN21 9

− 0.48∼0.58 0.45 以下

8.0

∼10.0

0.050

以下 0.030 以下 20.0∼22.0  3.25∼4.5 0.38∼0.50N

C

+N>0.90

2.00

∼3.00Nb

  +Ta

X33CrNiMnN23 8

− 0.28∼0.38 0.50∼1.00 1.5∼3.5 0.050 以下 0.030 以下 22.0∼24.0 0.50

以下

7.0

∼9.0 0.50W 以下

0.25

∼0.35N

NiCr15Fe7TiAl

− 0.03∼0.10 0.50 以下

0.50

以下

0.015

以下 0.015 以下 14.0∼17.0 0.50

以下

残 1.10∼1.35Al

5.0

∼9.0Fe

0.70

∼1.20,Nb

  +Ta

2.0

∼2.6Ti

NiFe25Cr20NbTi

− 0.10 以下 1.0 以下 1.0 以下 0.030 以下 0.015 以下 18.0∼21.0

残 0.30∼1.00Al

23.0

∼28.0Fe

1.0

∼2.0,Nb

  +Ta

1.0

∼2.0Ti

0.008B

以下

NiCr20TiAl 11

0.04

∼0.10 1.0 以下 1.0 以下 0.020 以下 0.015 以下 18.0∼21.0   65 以上 3.0Fe 以下

0.2Cu

以下

2.0Co

以下

0.008B

以下

1.0

∼1.8Al

1.8

∼2.7Ti


7

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

表 2  製品分析−規定された溶鋼分析値からの許容変動値(表 参照)

元素

溶鋼分析

% (m/m)

規定成分からの許容変動値

1)2)

% (m/m)

C

<0.20

±0.01

≧0.20

<0.60

±0.02

≧0.60

≦0.90

±0.03

Si

≦1.0

±0.05

>1.0

≦3.3

±0.10

Mn

<1.0

±0.03

≧1.0

≦2.0

±0.04

>2.0

≦10.0

±0.06

P

≦0.040

+0.005

>0.040

≦0.045

+0.010

S

≦0.030

+0.005

N

≦0.60

±0.02

Cr

≧7.5

≦10.0

±0.10

>10.0

≦15.0

±0.15

>15.0

≦20.0

±0.20

>20.0

≦24.0

±0.25

Mo

<1.75

±0.05

≧1.75

≦2.5

±0.10

Ni

<5.0

+0.07

≧5.0

≦9.0

±0.10

Nb (

+Ta)

≧1.8

≦3.0

±0.05

V

≧0.30

≦0.60

±0.03

W

≦1.50

±0.05

1) NiCr20TiAl,NiFe25Cr20NbTi 及び NiCr15Fe7TiAl 合金の許容変

動値は,必要に応じて注文時に協定しなければならない。

2)

±の意味は,1 溶鋼及び複数の製品分析値において,

表 に規

定した上又は下限値を超えてもよい変動範囲を示す。ただし,

上又は下限値を同時に超えてはならない。


8

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

表 3  出荷時熱処理条件における室温の機械的性質

記号

出荷時熱処理条件

硬さ

1)

HB

引張強さ

1)

N/mm

2 2)

マルテンサイト鋼

X50CrSi8 2

軟化焼なまし (TA)

300

以下

焼入焼戻し (TQ+T)

表 A.1 参照

X45CrSi9 3

軟化焼なまし (TA)

300

以下

焼入焼戻し (TQ+T)

表 A.1 参照

X85CrMoV18 2

軟化焼なまし (TA)

300

以下

オーステナイト材

X55CrMnNiN20 8

調製冷却

3)

約 385

約 1 300

 1

000

℃∼1 100℃焼入れ

4)

385

以下 1

300

以下

X53CrMnNiN21 9

調製冷却

3)

約 385

約 1 300

 1

000

℃∼1 100℃焼入れ

4)

385

以下 1

300

以下

X50CrMnNiNbN21 9

調製冷却

3)

約 385

約 1 300

 1

000

℃∼1 100℃焼入れ

4)

385

以下 1

300

以下

X53CrMnNiNbN21 9

調製冷却

3)

約 385

約 1 300

 1

000

℃∼1 100℃焼入れ

4)

385

以下 1

300

以下

X33CrNiMnN23 8

調製冷却

3)

約 385

約 1 250

 1

000

℃∼1 100℃焼入れ

4)

385

以下 1

250

以下

NiCr15Fe7TiAl 930

℃∼1 030℃焼入れ 325 以下 1

100

以下

NiFe25Cr20NbTi 930

℃∼1 030℃焼入れ 295 以下 1

000

以下

NiCr20TiAl 930

℃∼1 030℃焼入れ 325 以下 1

100

以下

1)  オーステナイト材で係争が生じた場合には,引張強さの値を決定要因とする。

2) 1N/mm

2

=1MPa

3)

この熱処理条件は,熱間押出加工に適する。

4)

この熱処理条件は,電気抵抗加熱による据込み加工に適する。


9

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

附属書 A(参考)  技術補遺

序文  この附属書(参考)は,1992 年に第 2 版として発行された ISO 683-15, Heat-treatable steels, alloy steels

and free-cutting steels

−Part1 5 : Valve steels for internal combustion engines の Annex A (Informative), Technical

supplement

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した,日本工業規格 JIS G 7603

附属書(参考)である。

この

附属書(参考)は,規定の一部ではない。

A.1

一般  JIS G 7603 に含まれる特性値は出荷時要求値である。この附属書に示す特性値は出荷後の加工

の結果であることから,出荷要求値ではない[ただし,

表 A.1,注 3)を除く。]。この附属書のデータは,

JIS G 7603

に規定する各材料の特性の相対的評価に関する指針として示す。

この附属書の値は,品目の購買,設計,開発,製造又は使用の際に利用することを意図したものではな

い。使用者は実際に得られる性質を確認する必要がある。

A.2

機械的性質

A.2.1

参考熱処理条件(

表 A.5)について,室温における機械的性質の参考値を表 A.1 に示す。

A.2.2

参考熱処理条件(

表 A.5)について,高温における引張強さ及び 0.2%耐力の参考値をそれぞれ表 A.2

及び

表 A.3 に示す。

A.2.3 1 000

時間後のクリープ強さの参考値を

表 A.4 に示す。

備考  金属材料のクリープ破断試験に関する国際規格の準備が行われている。クリープ試験の結果は

試験条件に大きく依存することから,この規格が発行され次第適用することが望ましい。

A.2.4

表 A.1∼表 A.3 に示す機械的性質を確認する場合には,機械的特性を試験する前に表 A.5 に示す適切

な基準熱処理を行うことが望ましい。さらに,室温試験の場合には,8.3.28.4.2 及び 8.4.3 の規定を適用

する。高温試験の場合には,

図 及び ISO 783 の仕様を適用することが望ましい。

A.3

物理的性質  表 A.6 に JIS G 7603 に規定された材料の物理的性質に関する基準値を示す。

A.4

二次加工及び熱処理

A.4.1

成形及び熱処理  JIS G 7603 に規定するすべての材料は,熱間成形に適している。一般に,合金含

有量が増加するに従い,可塑性が低下するために熱間成形が困難になる。したがって,一回の加工工程に

おける減面率を大きくすることは避けるようにする。

鍛造前に加熱のパラメータを決める場合には,オーステナイト合金の熱伝導性が低いことに留意するこ

とが望ましい。バルブ合金に温度こう配があると,鍛造中及び加工中に内部応力が極めて大きくなり,内

部破断及び表面き裂が生じるおそれがある。

熱間成形及び熱処理の温度の指針を

表 A.4 に示す。

A.4.2

切削  オースラナイト系の材料は強度,じん性及び加工硬化性が高いため,切削はできるが切削性

はよくない。研磨中に割れが生じるのを防ぐために,適切な研磨条件を選択することが望ましい。


10

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

表 A.1  室温における機械的性質の参考値(径 40mm 以下) 

(表 A.5 の参考熱処理条件に対応)

硬さ

記号

参考熱処

理条件

1)

HB

HRC

2)

0.2%

耐力

2)

N/mm

2 3)

引張強さ

N/mm

2 3)

伸び

(L

0

=5D

0

)

2)

%

紋り

%

マルテンサイト系

X50CrSi8 2

TQ

+T

4)

 266

∼325

 685

900

∼1 100

14

40

X45CrSi9 3

TQ

+T

4)

 266

∼325

 700

900

∼1 100

14

40

X85CrMoV18 2

TQ

+T 296∼355

 800

1

000

∼1 200

  7

12

オーステナイト系

X55CrMnNiN20 8

ST

+P

28

5)

 550

900

∼1 150

  8

10

X53CrMnNiN21 9

ST

+P

30

5)

 580

950

∼1 200

  8

10

X50CrMnNiNbN21 9

ST

+P

30

5)

 580

950

∼1 150

12

15

X53CrMnNiNbN21 9

ST

+P

30

5)

 580

950

∼1 150

  8

10

X33CrNiMnN23 8

ST

+P

25

5)

 550

850

∼1 100

20

30

NiCr15Fe7TiAl ST

+P

− 32  750

1

100

∼1 300

12

20

NiFe25Cr20NbTi ST

+P

− 28  500

900

∼1 100

25

30

NiCr20TiAl ST

+P

− 32  725

1

100

∼1 400

15

25

1) TQ=焼入れ,T=焼戻し,ST=固溶化熱処理,P=析出硬化

2)

ここで示す値は,分散範囲の下限近くに対応する。

3) 1N/mm

2

=1MPa

4)

これらの値が真の要求として適用される場合には,出荷条件としても可能。

5) X55CrMnNiN20

8

から X33CrNiMnN23 8 までのオーステナイト系の硬さは,試験室で通常使用され

ている標準換算表では引張強さに換算できない場合がある。したがって,係争の際には,引張強さ
の値だけを有効とみなす。

表 A.2  高温における引張強さの参考値

各温度の引張強さ

2)

500

℃ 550℃ 600℃ 650℃ 700℃ 750℃ 800℃

記号

参考熱処

理条件

1)

N/mm

2 3)

マルテンサイト系

X50CrSi8 2

TQ

+T

  500

  360

  230

160

105

X45CrSi9 3

TQ

+T

  500

  360

  250

170

110

X85CrMoV18 2

TQ

+T

  550

  400

  300

230

180

140

オーステナイト材系

X55CrMnNiN20 8

ST

+P

  640

  590

  540

490

440

360

290

X53CrMnNiN21 9

ST

+P

  650

  600

  550

500

450

370

300

X50CrMnNiNb21 9

ST

+P

  680

  650

  610

550

480

410

340

X53CrMnNiNbN21 9

ST

+P

  680

  650

  600

510

450

380

320

X33CrNiMnN23 8

ST

+P

  600

  570

  530

470

400

340

280

NiCr15Fe7TiAl ST

+P

  1 000

  980

  930

850

770

650

510

NiFe25Cr20NbTi ST

+P

  800

  800

  790

740

640

500

340

NiCr20TiAl ST

+P

  1 050

  1 030

  1 000

930

820

680

500

1) TQ=焼入れ,T=焼戻し,ST=固溶化熱処理,P=析出硬化

2)

ここで示す値は,ばらつきの下限付近に対応する。

3) 1N/mm

2

=1MPa


11

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

表 A.3  高温における 0.2%耐力の参考値

各温度の 0.2%耐力

2)

500

℃ 550℃ 600℃ 650℃ 700℃ 750℃ 800℃

記号

参考熱処

理条件

1)

N/mm

2 3)

マルテンサイト系

X50CrSi8 2

TQ

+T

400 300 220 110

75

X45CrSi9 3

TQ

+T

400 300 240 120

80

X85CrMoV18 2

TQ

+T

500 370 280 170 120

80

オーステナイト系

X55CrMnNiN20 8

ST

+P

300 280 250 230 220 200 170

X53CrMnNiN21 9

ST

+P

350 330 300 270 250 230 200

X50CrMnNiNbN21 9

ST

+P

350 330 310 285 260 240 220

X53CrMnNiNbN21 9

ST

+P

340 320 310 280 260 235 220

X33CrNiMnN23 8

ST

+P

270 250 220 210 190 180 170

NiCr15Fe7TiAl ST

+P

725 710 690 660 650 560 425

NiFe25Cr20NbTi ST

+P

450 450 450 450 430 380 250

NiCr20TiAl ST

+P

700 650 650 600 600 500 450

1) TQ=焼入れ,T=焼戻し,ST=固溶化熱処理,P=析出硬化

2)

ここで示す値は,ばらつきの下限付近に対応する。

3) 1N/mm

2

=1MPa

表 A.4  1 000 時間後のクリープ破断強さの参考値 

(表 A.5 による参考熱処理条件に適用)

各温度の 1 000h クリープ破断強さ

1)

500

℃ 650℃ 725℃ 800℃

記号

N/mm

2 2)

マルテンサイト系

X50CrSi8 2

190

X45CrSi9 3

190

  40

X85CrMoV18 2

260

 52

 18

オーステナイト系

X55CrMnNiN20 8

− 160

85

45

X53CrMnNiN21 9

− 200 110

50

X50CrMnNiNbN21 9

− 220 120

55

X53CrMnNiNbN21 9

− 215 115

50

X33CrNiMnN23 8

− 235 130

60

NiCr15Fe7TiAl

− 475 260 125

NiFe25Cr20NbTi

− 400 180

60

NiCr20TiAl

− 500 290 150

1)  現在までに測定されたばらつきの範囲の平均値

2) 1N/mm

2

=1MPa


12

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

表 A.5  熱間加工及び熱処理の参考データ

記号

熱間加工

軟化焼なまし

焼入れ又は

固溶化熱処理

冷却剤

焼戻し又は

時効

マルテンサイト系

X50CrSi8 2

1 100

∼  900  780∼820 空冷又は水冷

1 000

∼1 050

油 720∼820 空冷又は水冷

X45CrSi9 3

1 100

∼  900  780∼820 空冷又は水冷

1 000

∼1 050

油 780∼820 空冷又は水冷

X85CrMoV18 2

1 100

∼  900  820∼860 徐冷 1

050

∼1 080

油 720∼820 空冷

オーステナイト系

X55CrMnNiN20 8

1 100

∼  950

1 140

∼1 180

水 760∼815/4h∼8h 空冷

X53CrMnNiN21 9

1 150

∼  950

1 140

∼1 180

水 760∼815/4h∼8h 空冷

X50CrMnNiNbN21 9

1 150

∼  950

1 160

∼1 200

水 760∼815/4h∼8h 空冷

X53CrMnNiNbN21 9

1 150

∼  980

1 160

∼1 200

水 760∼850/6h 空冷

X33CrNiMnN23 8

1 150

∼  980

1 150

∼1 170

水 800∼830/8h 空冷

NiCr15Fe7TiAl 1

150

∼  940

1 100

∼1 150

空気 840

24h

+700/2h 空冷

NiFe25Cr20NbTi 1

150

∼1 050

1 000

∼1 080

空気又は水

690

∼710/16h 空冷

NiCr20TiAl 1

150

∼1 050

1 000

∼1 080

空気又は水

690

∼710/16h 空冷

表 A.6  物理的性質の参考データ 

(表 A.5 による参考熱処理条件に適用)

密度

弾性係数

熱膨張係数 (20℃∼)

熱伝導率

比熱

(20

℃) (20℃) 100℃

300

500

700

(20

℃) (20℃)

記号

kg/dm

3

 kN/mm

2 1)

 10

-6

K

-1

 W/

(m

・K) J/kg・K

磁性

マルテンサイト系

X50CrSi8 2

7.7

210

10.9

11.2

11.5

11.8

21

500

あり

X45CrSi9 3

7.7

210

10.9

11.2

11.5

11.8

21

500

あり

X85CrMoV18 2

7.7

210

10.9

11.2

11.5

11.8

21

500

あり

オーステナイト系

X55CrMnNiN20

8

7.8

205

15.5 17.5 18.5 18.8

14.5

500

なし

X53CrMnNiN21

9

7.8

205

15.5 17.5 18.5 18.8

14.5

500

なし

X50CrMnNiNbN21

9

7.8

205

15.5 17.5 18.5 18.8

14.5

500

なし

X53CrMnNiFbN21

9

7.8

205

15.5 17.5 18.5 18.8

14.5

500

なし

X33CrNiMnN23

8

7.8

205

16.5 17.1 17.3 17.4

14.5

500

なし

NiCr15FeTiAl

8.3

215

13.0 14.0 14.5 15.5

13

460

なし

NiFe25Cr20NbTi

8.1

215

14.1 15.5 15.9 16.8

13

460

なし

NiCr20TiAl

8.3

215

11.9 13.1 13.7 14.5

13

460

なし

1) 1N/mm

2

=1MPa

2)

オーステナイト系は,時効条件によってわずかに磁性を帯びる場合がある。磁性は冷間加工の程度に
よって増大することがある。


13

G 7603 : 2000 (ISO 683-15 : 1992)

ステンレス協会規格専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会)

中  野  恒  男

住友金属工業株式会社ステンレス・チタン技術部

(委員)

増  田  正  純

工業技術院標準部

三  宮  好  史

社団法人日本鉄鋼連盟標準部

伊  藤      修

川崎製鉄株式会社千葉製鉄所

吉  田  秀  雄

日本冶金工業株式会社技術部

橋  本  政  哲

新日本製鉄株式会社ステンレス商品技術室

小  林  芳  夫

日新製鋼株式会社商品技術部

大  谷  俊  司

日本金属工業株式会社衣浦製造所品質保証部

成  田      基

愛知製鋼株式会社品質保証部

武  藤  伸  久

株式会社神戸製鋼所生産技術部

重  住  忠  義

山陽特殊製鋼株式会社技術企画部

白  谷  勝  典

大同特殊鋼株式会社技術企画部

山  崎  博  昭

日本金属株式会社技術本部技術部

柴  田  正  宣

日本鋼管株式会社鉄鋼技術総括部

吉  野  正  実

日本精線株式会社枚方工場品質保証部

喜代永      明

日新製鋼株式会社商品技術部

(事務局)

池  原  康  允

ステンレス協会