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G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

この規格の制定は,JIS の国際整合化 3 か年計画に基づいて,国際規格に一致した日本工業規格にする

ため ISO 5000 (Continuous hot-dip aluminium/silicon-coated cold-reduced carbon steel sheet of commercial and

drawing qualities)

を技術的内容を変更することなく翻訳したものである。

この規格に規定する種類の鋼材は,これまでに日本国内での取引はほとんどなく,規格運用に関する情

報も少ないことを十分考慮し,規格利用者自らの判断において,関係者間で慎重,かつ,十分な吟味を行

ったうえで利用するのがよい。

JIS G 7124

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)  めっき付着量に対する理論的全厚さ

附属書 B(規定)  アルミニウム/シリコンめっき鋼板のめっき付着量試験方法


G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

4.

  記号体系

2

5.

  一般情報

2

5.1

  スキンパス仕上げ

2

5.2

  ひずみ時効

2

5.3

  工場における不動態化処理

3

5.4

  塗油

3

6.

  製造条件

3

6.1

  製鋼

3

6.2

  化学成分

3

6.3

  化学分析

3

6.4

  めっき付着量

3

6.5

  溶接性

4

6.6

  用途

4

6.7

  機械的性質

4

7.

  寸法許容差

5

8.

  サンプリング

5

8.1

  機械試験

5

8.2

  めっき試験

5

9.

  試験方法

5

9.1

  機械試験

5

9.2

  めっき試験

5

10.

  再試験

6

11.

  再処理

6

12.

  仕上げ

6

13.

  検査及び合否判定

6

14.

  コイルの寸法

7

15.

  表示

7

16.

  注文者が提供すべき情報

7

附属書 A(規定)  めっき付着量に対する理論的全厚さ

11

附属書 B(規定)  アルミニウム/シリコンめっき鋼板の  めっき付着量試験方法

12


日本工業規格

JIS

 G

7124

: 2000

 (I

5000

: 1993

)

一般及び絞り用連続溶融アルミニウム/

シリコンめっき冷間圧延炭素鋼鋼板

(ISO 仕様)

Continuous hot-dip aluminium/silicon-coated

cold-reduced carbon steel sheet of commercial and

drawing qualities

序 文   こ の 規 格 は , 1993 年 に 第 2 版 と し て 発 行 さ れ た , ISO 5000 : 1993 , Continuous hot-dip

aluminium/silicon-coated cold-reduced carbon steel sheet of commercial and drawing qualities

を翻訳し,技術的内

容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

1.

適用範囲

1.1

この規格は,連続溶融アルミニウム/シリコン合金めっき法

1)

でめっきされた,一般用及び絞り用冷

間圧延炭素鋼鋼板の特性について規定する。この製品は,主に耐熱用途に用いられるものであるが,耐食

及び耐熱が関係する分野にも使用される。めっき付着量は,

表 2

2)

によって指定することができる。このめ

っき方式では通常,合金層が極めて薄い。めっき両面全付着量は g/m

2

の単位で表す。規定のめっき付着量

は,所要の使用寿命,原板の厚さ及び所要の成形加工の要求事項に適合することが望ましい。

記号体系(4.参照)には,めっき記号,めっき条件,及び種類が含まれている。

1)  この製品は,ときにタイプ1として知られている。

2)

附属書 に示すめっき付着量の理論厚さは,参考までに示すものである。

1.2

アルミニウム/シリコンめっき鋼板は,厚さ 0.40mm 以上 3.0mm 以下,幅 600mm 以上 1 500mm 以

下(7.参照)で,コイル及びシートの形で製造される。幅 600mm 未満のアルミニウム/シリコンめっき鋼

板は,広幅鋼板をスリットしたものでもよく,シートと考えられる。

備考1.  めっき付着量に対する理論厚さを,附属書 に示す。めっき付着量の測定方法を,附属書 B

に示す。

1.3

一般用アルミニウム/シリコンめっき鋼板(種類 01)は,鋼板を平らなままで用いたり,曲げ加工

又は中度の成形加工のような,一般加工用を意図したものである。

1.4

絞り用アルミニウム/シリコンめっき鋼板(種類 02,03 及び 04)は絞り加工又は高度の成形加工用

を意図したものである。これは,この規格の要求事項に従って供給されるか,又は注文時の協定に従って,

特定部品の製作用に供給される。そして後者の場合,

表 の機械的性質を適用しない。種類 04 の鋼板を使

用するとき,ひずみ時効は最小となる。

絞り用の種類は,次のように分類される。


2

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

02

  絞り用

03

  深絞り用

04

  特殊キルド深絞り用

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格の規定の一部を構成する。この規格の原規格 ISO 5000 : 1993

の発行時には,次の各規格の発行表示は有効であった。規格はすべて改正されるものであるので,この規

格に基づいて協定した当事者は,各規格の最新版を採用すべきかどうかを検討することを勧める。

ISO 6892 : 1984

  Metallic materials−Tensile testing

ISO 7438 : 1985

  Metallic materials−Bend test

3.

定義 (Definitions)   この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

連続溶融アルミニウム/シリコンめっき冷間圧延鋼板 (continuous hot-dip aluminium/silicon-coated 

cold-reduced steel sheet) 

  アルミニウムめっきコイル又はアルミニウムめっき鋼板を製造するための,連

続アルミニウム/シリコン合金めっきラインで,冷間圧延鋼帯を高温浸せきめっきすることによって得ら

れる製品をいう。めっきに使用するアルミニウム/シリコン合金は,付着性及び耐熱性向上のために,通

常 5%∼11%のシリコンが添加されている。

4.

記号体系  表 に示すように,溶融アルミニウムめっきしたままのものを AS (aluminium/silicon)  と呼

称する。AS の次にめっき付着量呼称が続き,このめっき付着量呼称には 3 文字分が割り当てられている。

呼称“80”のように,2 文字分しか要らない場合,

“80”の前に“0”を付してコンピュータ・スペースを

埋め,

“080”と表示する。この製品は通常,スキンパス仕上げされるので,めっきの条件を示すために記

号“S”を付ける。種類記号 01,02,03 及び 04 は他の規格と共通であり,それぞれ一般用,絞り用,深

絞り用及び特殊キルド深絞り用の種類を示す。

めっき付着量,めっき条件,及び種類を含んだ全体の記号の一例は,AS080S01 であり,次の組合せか

ら構成されている。

AS

アルミニウム/シリコンめっき

080

めっき付着量記号(

表 参照)

S

スキンパス仕上げ

01

一般用

5.

一般情報

5.1

スキンパス仕上げ  これは,アルミニウム/シリコンめっきを行った鋼板に,軽度の冷間圧延を行

うものである。この規格の製品は,通常,スキンパス仕上げが行われる。スキンパス仕上げは,次の一つ

又はそれ以上の目的で行われる。

a)

表面の平滑度を高め,外観を改善する(この処理は原板の延性に悪影響を及ぼす可能性がある。

b)

完成部品製作工程において,ストレッチャー・ストレイン(リューダースライン)又はフルーティン

グとして知られている状態の出現を,一時的に最小限度に抑える。

c)

形状を調整する。

5.2

ひずみ時効  アルミニウム/シリコンめっき鋼板は,ひずみ時効の傾向をもち,次の結果となるこ

とがある。


3

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

a)

鋼板の成形加工時の,ストレッチャー・ストレイン(リューダースライン)又はフルーティングに起

因する表面模様の発生

b)

延性の劣化

このような要因があるため,圧延工場での最終処理と加工との期間を最短にすることが重要である。先

入れ先出しによる在庫回転も重要である。この種の鋼材は,長期間在庫を避け,鋼板をその性能の最適状

態で用いるには,在庫期間は 6 週間を超えないことが望ましい。スキンパス仕上げを行った鋼板では,注

文者の工場において,加工を行う直前にローラレベラーをかけることによって,ストレッチャー・ストレ

インを相当減らすことができる。

5.3

工場における不動態化処理  出荷輸送中及び保管中における水ぬれシミ (wet storage stains) の発生

リスクを最小限度に抑えるために,アルミニウム/シリコンめっき鋼板に,化学的処理を行ってもよい。

しかし,この処理の抑制効果には限界があるので,出荷品をぬれた状態で受け取ったときは,その材料を

直ちに使用するか又は乾燥しなければならない。

5.4

塗油  アルミニウム/シリコンめっきのままの鋼板は,取扱い中又は輸送中に起こる軟質表面の損

きずやかききずを防止し,水ぬれシミの発生リスクを最小限度に抑えるために,塗油を行う。板に塗油を

行わない場合,その旨を受渡当事者間で協定しなければならない。不動態化処理を行ったアルミニウム/

シリコンめっき鋼板の場合,塗油を行うことによって,水ぬれシミの害はさらに減少する。

6.

製造条件

6.1

製鋼  製鋼及びアルミニウム/シリコンめっき鋼板の製造の際に用いられる方法は,製造業者に一

任されている。要求があれば,その製鋼工程を注文者に通知しなければならない。

6.2

化学成分  鋼材の化学成分(溶鋼分析値)は,表 の値を超えないことが望まれる。

表 1  化学成分  %

種類 C

Mn

P

S

記号

名称

最大

最大

最大

最大

01

一般用

0.15 0.60 0.05 0.05

02

絞り用

0.12 0.50 0.04 0.04

03

深絞り用

0.10 0.45 0.03 0.03

04

特殊キルド深絞り用

0.08 0.45 0.03 0.03

6.3

化学分析

6.3.1

溶鋼分析  溶鋼分析は,各溶鋼ごとに,製造業者が実施し,C,Mn,P 及び S のパーセントを測定

する。要求があれば,その分析値を注文者又はその代行者に報告しなければならない。

6.3.2

製品分析  注文者は,製品分析を行い,半製品又は完成品に対して決定された化学組成を確認する

ことができる。ただし,通常程度の不均質性があることを考慮に入れなければならない。リムド鋼又はキ

ャップド鋼のような非キルド鋼は,技術的に製品分析には適さない。キルド鋼の場合の試料採取法及び許

容変動値は,注文時の受渡当事者間の協定による。

6.4

めっき付着量  めっき付着量は,個々のめっき記号に対して規定した表 の要求事項に適合しなけ

ればならない。めっき付着量は,鋼板両面のアルミニウム/シリコン合金の全量であり,鋼板の単位面積

当たりのグラム数 (g/m

2

)

で表す。材料がこの規格に適合していることを確認する方法を 8.2.19.2 及び

属書 に示す。附属書 に示す方法以外については,その使用について受渡当事者間の協定による。


4

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

表 2  めっき付着量(両面合計)

めっき付着量の下限値

めっき付着量の種類

めっき記号

3

点試験の下限値

g/m

2

(鋼板の)

1

点試験の下限値

g/m

2

(鋼板の)

一般用 AS300

AS200

300

200

240

150

一般用及び絞り用 AS150

AS120

AS100

AS080

AS060

AS040

150

120

100

80

60

40

115

90

75

60

45

30

備考  連続アルミニウム/シリコンめっきの特徴として,多数の要因と変化す

る条件のために,めっき付着量が必ずしも両面に均等に配分されるとは
限らず,また,縁から縁に常に均等に分布されるとは限らない。しかし,

通常,両面とも 1 点試験下限値の 40%を下回ることはないと期待できる。

6.5

溶接性  厚めっきに対して特に注意を払い,適切な溶接方法と手段を用いれば,この製品は溶接に

適している。

6.6

用途  アルミニウム/シリコンめっき鋼板は,加工部品名又は用途を明示することによって,加工

方法を特定しなければならない。絞り用の鋼板(02,03 及び 04)は,受渡当事者間で事前に協定した特定

部品の製作用に製造することができる。この場合,加工部品名,加工の詳細及び特別の要求事項(ストレ

ッチャー・ストレイン又はフルーティングがないこと,及びめっきの性能に関する要求事項)を規定する

こととし,

表 の機械的性質は適用しない。

6.7

機械的性質  6.6 による特定部品の製作用として注文された場合を除き,鋼の出荷時点での機械的性

質は,8.1(機械試験)の要求事項による試験片を用いて測定したとき,

表 に適合していなければならな

い。在庫期間が長くなると機械的性質が変化し(硬さの増大及び伸びの低下)

,結果的に絞り性が低下する

ことがある。この影響を最小限に抑えるためには,鋼板の種類 04 を指定するのがよい。

表 3  機械的性質(6.7 参照)

めっき前鋼板の種類

A

min.

 2)

%

記号

名称

R

m

1) 

N/mm

2

L

0

=50mm

L

0

=80mm

すべての厚さに対す

る,180°曲げマンド

レル径

01

一般用

1a

02

絞り用 430

24

23

03

深絞り用 410

26

25

04

特殊キルド深絞り用 410

29

28

適用せず

R

m

=引張強さ

A

=%破断伸び

L

0

=試験片の標点距離

a

=曲げ試験片の厚さ

1N/mm

2

=1MPa

1)

種類02,03及び04の最小引張強さは通常,260N/mm

2

が期待される。引張強さの値は

すべて,10N/mm

2

の単位の値に丸める。

2)

厚さ 0.6mm 以下の材料については,伸び値は表の値から 2 を減じる。厚さ 3.0mm ま

でに対しては,L

0

=50mm 又は L

0

=80mm のいずれかを用いる。


5

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

7.

寸法許容差  アルミニウム/シリコンめっき鋼板に適用される寸法許容差は,表 512 による。

8.

サンプリング

8.1

機械試験

8.1.1

引張試験  機械的性質を規定して注文された場合,出荷する鋼板のロットごとに,表 に要求され

ている引張試験用の代表試料を 1 個採取しなければならない。1 ロットは,同一厚さ及び同一状態に圧延

した同一種類の鋼板 50t 又はそれ以下で構成される。

8.1.2

曲げ試験(指定された場合)  出荷する鋼板のロットごとに,曲げ試験(種類 01)のための代表

試料を 1 個採取しなければならない。1 ロットは,同一厚さ及び同一状態に圧延した同一種類の鋼板の全

量とする。

8.2

めっき試験

8.2.1

めっき付着量  製造業者は,その製造した材料が表 の値に適合することを確認するために,必要

と考えられる試験及び測定を行わなければならない。注文者は次のサンプリング方法を用いて,めっき付

着量を検証することができる。

幅の中央部から 1 個,幅の両側両縁から 25mm 以上離れたところから各 1 個,合計 3 個の試験片を切り

出す。試験片の面積は最低 2 000mm

2

とする。

8.2.2

曲げ試験(指定された場合)  出荷する鋼板のロットごとに,代表試料 1 個を採取しなければなら

ない。めっきの曲げ試験用試験片は,側面縁から 25mm 以上離れたところから採取しなければならない。

試験片の幅は,50mm 以上とする。

9.

試験方法

9.1

機械試験

9.1.1

引張試験(原板)  引張試験は,ISO 6892 による。横方向の試験片は,圧延ままの鋼板の中心と

側縁との中央から採取しなければならない。引張試験は,原板の性質を測定するためのものであるので,

原板の厚さを測定して断面積を計算するために,試験片は両端のめっきを除去しなければならない。

9.1.2

曲げ試験(原板)(指定された場合)  めっきを除去した横方向曲げ試験片(種類 01)は,表 

示す内径で,

図 に示す方向に 180°曲げたとき,曲げ部分の外側にき裂を生じてはならない。曲げ試験

は,常温において ISO 7438 による。試験片両縁の小さなき裂及び拡大しなければ見えないようなき裂は無

視するものとする。

図 1  横方向曲げ試験片(曲げた後)

9.2

めっき試験


6

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

9.2.1

3

点試験  3 点試験の結果は,8.2.1 に従って採取した試験片 3 個を測定したときのめっき付着量の

平均値である。この試験は通常,鋼板を既知の面積だけ打ち抜き,アルミニウムめっきを除去した後の質

量減から,めっき付着量の計算を行うものである(

附属書 参照)。附属書 以外の方法の適用について,

受渡当事者間で協定してもよい。

9.2.2

1

点試験  1 点試験の結果は,3 点試験で測定した 3 個の試験片のめっき付着量の最小値を採らな

ければならない。広幅のコイルからスリットした材料に対しては,1 点試験だけを行う。

9.2.3

曲げ試験(めっき)  めっきを行った後(次工程の前)に採取した曲げ試験片を,いずれの方向に

180

°曲げたときも,曲げ部分の外側にめっきのはく離を生じてはならない。曲げの半径は

表 に示す同一

厚さの試験片枚数(又は同等のマンドレル)による。試験片の縁から 7mm 以内に生じためっきのはく離

は,不合格の理由としない。

表 4  めっき曲げ試験の要求事項

180

°曲げマンドレル直径

厚さ 1.25mm 未満

厚さ 1.25mm 以上

めっき記号

一般用

絞り用

一般用

絞り用

AS300 2a

3a

AS200 2a

3a

AS150 2a

2a

3a

3a

AS120 1a

1a

2a

2a

AS100 1a

1a

2a

2a

AS080 1a

1a

2a

2a

AS060 1a

1a

2a

2a

AS040 1a

1a

2a

2a

a

=曲げ試験片の厚さ (mm)

10.

再試験  規定の試験結果が得られない場合,同じロットから更に 2 個の試験片をランダムに採取する。

二つの再試験結果は,この規格の要求事項に適合しなければならない。それ以外の場合,そのロットは不

合格とする。

11.

再処理

11.1

製造業者は以前の検査において,特性に関する要求事項が不満足のため一度不合格になった製品に

ついて,製品の選別,熱処理など適切な処理を行った後に,これが合否判定されるよう,再検査してもよ

い。

なお,注文者の要求がある場合には,その処理の内容を報告する。この場合試験は,新しいバッチを試

験するのと同様にして実施しなければならない。

11.2

製造業者は,不合格となった製品を,別の等級の要求に合格するかどうか検査に供する権利をもつ。

12.

仕上げ  切板のアルミニウム/シリコンめっき鋼板は,後続の適切な加工工程にとって有害なラミネ

ーション,表面きず,その他の欠点があってはならない。切板と異なりコイルの場合,その出荷の準備工

程の性格上,製造業者がきずを簡単に検知したり,又はそのきずを除去する適当な機会がない。

13.

検査及び合否判定


7

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

13.1

この規格の製品に通常は要求されないが,工場から出荷前に注文者が合否判定のための検査及び試

験に立ち会うことを指定した場合には,製造業者は鋼材がこの規格に従って,製造されているということ

を確認するために,あらゆる適切な便宜を注文者の検査員に提供しなければならない。

13.2

使用者側の工場に入荷した後に“欠陥あり”と報告された鋼材は,適切かつ正確に識別し,適切な

保存処置のもとに別置きしておかなければならない。供給者は適切に調査ができるように,通知を受けら

れるものとする。

14.

コイルの寸法  アルミニウム/シリコンめっき鋼板がコイルで注文される場合,コイル内径 (I. D. )

の最小値又は内径の許容範囲を規定しなければならない。さらに,外径  (O. D. )  の最大値及びコイル質量

の許容最大値も規定しなければならない。

15.

表示  別途の規定がない限り,鋼板の識別のために,次の最小必要事項を各々の荷の頂部に明りょう

にステンシルするか,又は各コイル若しくは出荷単位に取り付けた荷札上に表示する。

a)

製造業者名又は識別商標

b)

この規格の番号

c)

記号(めっき,めっき付着量,めっき条件及び原板の種類)

d)

注文番号

e)

製品寸法

f)

ロット番号

g)

質量

16.

注文者が提供すべき情報  この規格のもとで要求事項を適切に規定するために,引合及び注文時に次

の情報を明示しなければならない。

a)

この規格の番号

b)

材料の名称及び記号

アルミニウム/シリコンめっき鋼板,一般用,AS120S01(1.3 及び 4.参照)

c)

製品の寸法(厚さはめっきを含む。

)及び要求数量

d)

可能であれば用途(部品の名称)

6.6 参照)

e)

絞り用(種類 02,03 及び 04)の場合,機械的性質(6.7 参照)での注文か,又は特定部品(6.6 参照)

製作用の注文かの明示

f)

必要であれば,圧延ミルでの不動態化処理の指定(5.3 参照)

g)

必要であれば,塗油なし指定(5.4 参照)

h)

コイル寸法の要求事項(14.参照)

i)

必要であれば,溶鋼分析値の報告書(6.3.1 参照)

j)

製作加工の詳細,又は特別の要求事項(フルーティング又はめっき性能)

6.6 参照)

k)

必要であれば,工場出荷前の製造業者の合否判定検査及び試験への立会い(13.1 参照)

備考2.  代表的な注文記述を,次に示す。

JIS G 7124

  アルミニウム/シリコンめっき鋼板,絞り用,

表示記号  AS120S02,1.0×1 200mm×コイル,20 000kg,排気管チューブ,#6201


8

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

表 5  コイル及びシートに対する厚さ許容差

単位 mm

規定厚さに対する厚さの許容差

1) 2)

,規定値に対する±値

0.4 0.6

0.8

1.0

1.2

1.6

2.0

を 2.5 を

以上

超え

超え

超え

超え

超え

超え

超え

0.6 0.8 1.0 1.2 1.6 2.0 2.5 3.0

規定幅

以下

以下

以下

以下

以下

以下

以下

以下

600

以上 1

200

以下

0.06 0.08 0.09 0.10 0.12 0.14 0.16 0.19

1 200

を超え 1 500 以下

0.07 0.09 0.10 0.11 0.13 0.15 0.17 0.20

1)

許容差は全厚さに対して適用する。

2)

厚さは,鋼板の側面縁から 25mm 以上離れためっき板面上の任意の点で測定

する。

表 6  再切断なしのコイル及びシートに対する幅許容差

単位 mm

規定幅

許容差

1 500

以下

+7

0

表 7  再切断なしのシートに対する長さ許容差

規定長さ

許容差

3 000

以下

+20

0mm

3 000

を超え 6 000 以下

+30

0mm

6 000

を超えるもの

+0.5

0%

表 8  コイル及びシートに対する横曲がり許容差(図 参照)

形状

横曲がり許容差

コイル

任意の長さ 5 000mm につき 20mm

シート 0.4%×長さ

表 9  再切断のシートに対する直角度のずれ許容差(図 参照)

寸法

直角度のずれ許容差

すべての厚さ及び寸法 1.0%×幅

)  横曲がりは,直定規を用いて凹側を測定したときの,側面縁の直線

に対する変位の最大値である。

図 2  横曲がりの測定


9

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

)  直角度のずれは,図示のごとく測定するように,鋼板の一角に接し

側面縁と直角をなす直線からの鋼板端の変位の最大値である。直角
度のずれは,また,シートの二つの対角線の長さの差の半分として

測定してもよい。

図 3  直角度のずれの測定

表 10  再切断した鋼板の直角度のずれ許容差(図 参照)

単位 mm

規定長さ

規定幅

直角度のずれ許容差

3 000

以下

1 200

以下

+2

  0

1 200

を超えるもの

+3 
  0

3 000

を超えるもの

すべての幅

+3 
  0

)  再切断に対する許容差で注文されている材料を測定するとき

は,温度の極端な変動について十分注意する必要がある。

表 11  切板に対する標準平たん度許容差

単位 mm

規定厚さ

規定幅

平たん度許容差

1)

0.7

以下 1

200

以下

1 200

を超え 1 500 以下

15

18

0.7

を超え 1.2 以下 1

200

以下

1 200

を超え 1500 以下

12

15

1.2

を超えるもの 1

200

以下

1 200

を超え 1 500 以下

10

12

備考  これらの許容差は,厚さが 3.0mm 以下,長さが 5 000mm 以下

の鋼板に対してだけ適用する。この表は,顧客がコイルから
カットした板に対して,適切な平たん化処理を行った場合に
も適用する。長さが 5 000mm を超える鋼板の許容差は,協定

による。

1)

平たんな水平面からの変位の最大値。板を自重下で平たん面

に置いたとき,鋼板の下面と平たん水平面との間の最大距離
が平たん面からの最大偏差である(

4参照)。 


10

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

表 12  ロール矯正を行ったシートに対する特殊平たん度許容差

単位 mm

規定厚さ

規定幅

規定長さ

平たん度許容差

1)

2

以下 1

200

以下

1 200

を超えるもの

2 500

以下

2 500

を超えるもの

9

15

2

を超え 3.0 以下 1

200

以下

1 200

を超えるもの

2 500

以下

2 500

を超えるもの

8

13

1)

平たんな水平面からの変位の最大値。板を自重下で平たん面に置いたとき,鋼板の下

面と平たん水平面との間の最大距離が平たん面からの最大偏差である(

4参照)。 

備考  長さが 5 000mm を超える鋼板に対する許容差は,協定による。

図 4  平たん度の測定


11

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

附属書 A(規定)  めっき付着量に対する理論的全厚さ

めっき付着量限界値とその等価厚さ

1)

1

点法

めっき記号

g/m

2

 mm

2)

AS300 240

0.089

AS200 150

0.056

AS150 115

0.043

AS120 90  0.033

AS100 75  0.028

AS080 60  0.022

AS060 45  0.017

AS040 30  0.011

1)

上表の等価厚さ値は参考までに示すものである。

2)

アルミニウム密度を 2.70g/cm

3

とした計算値。


12

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

附属書 B(規定)  アルミニウム/シリコンめっき鋼板の 

めっき付着量試験方法

B.1

適用範囲  この方法はアルミニウム/シリコンめっき鋼板から採取した試験片の,めっき付着量の測

定法について規定する。

B.2

原理  アルミニウム/シリコンめっき除去の前後で試験片の質量をはかる。

B.3

装置

B.3.1

分析用天びん

B.4

試薬

B.4.1

塩酸,

ρ1.19g/ml

B.4.2

水酸化ナトリウム,20% (m/m)  溶液  水酸化ナトリウム 20g を 80ml の水に溶解する。

B.5

手順

B.5.1 50mm

×100mm の試験片を供試材から切り取るか,又は打ち抜く。

B.5.2

試験片の質量をはかり,次にその試験片を温めた水酸化ナトリウム溶液  (B.4.2)  の中で反応が終了

するまで浸せきする。

試験片を取り出して水でこすり洗いをした後,

タオルを用いて水を十分に吸い取り,

その試験片を冷えた塩酸  (B.4.1)  の中に 2 秒ないし 3 秒間浸す。再び試験片を取り出し,水でこすり洗い

をし,もう一度,水酸化ナトリウム溶液の中で反応が終了するまで浸せきする。水酸化ナトリウムに浸し

たときに目に見える反応を示さなくなるまで,この手順を繰り返す。試験片を取り出し,水でこすり洗い

をし,乾燥させ,再び試験片の質量をはかる。

B.6

結果の表現

B.6.1

両面合計のめっき付着量 m

c

(鋼板 1m

2

当たりのグラム数)は,次の式によって算出する。

(

)

A

m

m

m

c

000

000

1

1

0

×

=

ここに,

  m

0

めっき除去前の試験片の質量

 (g)

m

1

めっき除去後の試験片の質量

 (g)

A

用いた試験片の面積

 (mm

2

)

B.6.2

 50mm

×

100mm

の試験片の場合は,式は次のようになる。

200 (m

0

m

1

)


13

G 7124 : 2000 (ISO 5000 : 1993)

社団法人日本鉄鋼連盟鋼材標準専門委員会 JP3 分科会  構成表

氏名

所属

(主査)

森  下      昇

日本鋼管株式会社鉄鋼技術総括部

(副主査)

中  島  正  博

日本鋼管株式会社鉄鋼技術総括部

黒  田      均

東洋鋼鈑株式会社技術部

(委員)

松  田  邦  男

川崎製鉄株式会社技術総括部

橋  本  俊  一

株式会社神戸製鋼所鉄鋼事業本部

八  木  隆  義

新日本製鐵株式会社技術総括部

猪  野  信  吾

住友金属工業株式会社薄板事業部

小  林  芳  夫

日新製鋼株式会社商品技術部

山  崎  博  昭

日本金属株式会社技術本部

熊  川  正  之

株式会社淀川製鋼所市川工場

釜  土  祐  一

通商産業省工業技術院標準部

(事務局)

細  田  卓  夫

社団法人日本鉄鋼連盟標準部

社団法人日本鉄鋼連盟標準化センター鋼材規格三者委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

佐久間  健  人

東京大学工学部

(委員)

林      明  夫

通商産業省基礎産業局

大  嶋  清  治

通商産業省工業技術院標準部

馬  木  秀  雄

社団法人火力原子力発電技術協会

(石川島播磨重工業株式会社豊洲総合事務所電力事業部)

金  沢      孝

社団法人自動車工業会(いすゞ自動車株式会社材料開発

部)

井  上  一  朗

社団法人日本建築学会(大阪大学工学部)

北  田  博  重

財団法人日本海事協会材料艤装部

三  宮  好  史

川崎製鉄株式会社技術総括部

渡  邊  和  彦

社団法人高圧ガス保安協会機器検査事業部

石  田  安  正

株式会社神戸製鋼所鉄鋼事業本部生産技術部

小  峰  武  夫

日本工具工業会(コベルコツールエンジニアリング株式会

社営業技術部)

桃  木  明  和

新日本製鐵株式会社技術総括部

島  田  瑛  司

鈴木金属工業株式会社生産本部

中  村      剛

住友金属工業株式会社技術部

白  谷  勝  典

大同特殊鋼株式会社技術企画部

上津原  政  則

トーア・スチール株式会社技術部

山  田  健太郎

社団法人土木学会(名古屋大学工学部)

三  浦  恒  幸

財団法人エンジニアリング振興協会(日揮株式会社プロジ

ェクトシステム本部)

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会技術部

森  下      昇

日本鋼管株式会社鉄鋼技術総括部

本  野  光  彦

社団法人日本水道協会工務部

川  原  雄  三

社団法人日本機械工業連合会(三菱重工業株式会社横浜研

究所)

(幹事)

金  子  康  宏

社団法人日本鉄鋼連盟標準部