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G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

この規格の制定は,JIS の国際整合化 3 か年計画に基づいて,国際規格に一致した日本工業規格にする

ため ISO 11951 (Cold-reduced blackplate in coil form for the production of tinplate or electrolytic

chromium/chromium oxide-coated steel)

を技術的内容を変更することなく翻訳したものである。

この規格に規定する種類の鋼材は,これまでに日本国内での取引はなく,規格運用に関する情報はほと

んどないことを十分考慮し,規格利用者自らの判断において,関係者間で慎重,かつ,十分な吟味を行っ

たうえで利用するのがよい。

JIS G 7123

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)  二回冷間圧延した鋼材に対する耐力の日常的測定のためのスプリングバック試験

附属書 B(参考)  二回冷間圧延ぶりき原板のロックウェル硬さ推奨値


G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  注文者から提示すべき情報

2

4.1

  全般

2

4.2

  選択仕様

3

4.3

  付加情報

3

5.

  表示

3

5.1

  一回冷間圧延ぶりき原板

3

5.2

  二回冷間圧延ぶりき原板

3

6.

  製造の特徴

3

6.1

  製造

3

6.2

  表面仕上げ

4

6.3

  塗油

4

6.4

  欠陥

4

7.

  指定の要求事項

4

8.

  機械的性質

4

8.1

  全般

4

8.2

  一回冷間圧延ぶりき原板

4

8.3

  二回冷間圧延ぶりき原板

5

9.

  寸法及び形状の許容差

5

9.1

  全般

5

9.2

  コイルの幅

5

9.3

  コイルの厚さ

5

9.4

  トリムされたコイル端部の横曲がり(訳注:長ピッチの横曲がり)

6

9.5

  コイルの横曲がり(短いピッチの横曲がり)

6

10.

  コイル内の継ぎ目

6

10.1

  全般

6

10.2

  継ぎ目の数

6

10.3

  継ぎ目の位置

7

10.4

  継ぎ目の寸法

7

11.

  サンプリング

7

11.1

  全般

7

11.2

  供試材シートの選択

7


2

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

(2) 

12.

  試験方法

7

12.1

  厚さ

7

12.2

  引張試験

8

13.

  再試験

8

14.

  発送及び包装

9

附属書 A(規定)  二回冷間圧延した鋼材に対する耐力の  日常的測定のためのスプリングバック試験 ·

10

附属書 B(参考)  二回冷間圧延ぶりき原板のロックウェル硬さ推奨値

11


日本工業規格

JIS

 G

7123

: 2000

 (I

11951

: 1995

)

ぶりき又は電解クロム/

クロム酸化物めっき鋼板製造用

冷間圧延原板コイル(ISO 仕様)

Cold-reduced blackplate in coil form for the production

of tinplate or electrolytic chromium/chromium oxide-coated steel

序文  この規格は,1995 年に第 1 版として発行された,ISO 11951 : 1995, Cold-reduced blackplate in coil form

for the production of tinplate or electrolytic chromium/chromium oxide-coated steel

を翻訳し,技術的内容及び規

格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

1.

適用範囲  この規格は,JIS G 7121 又は JIS G 7122 に従う,ぶりき及び電解クロム/クロム酸化物め

っき鋼板(以下,ECCS と記す。

)の製造を目的とした,コイル状の一回及び二回冷間圧延ぶりき原板の要

求事項について規定する。

一回冷間圧延ぶりき原板は,

0.17mm

以上 0.49mm 以下の厚さで 0.005mm の倍数の呼称厚さで規定する。

二回冷間圧延ぶりき原板は,0.14mm 以上 0.29mm 以下の厚さで 0.005mm の倍数の呼称厚さで規定する。

この規格は,最小呼称幅 500mm のトリムされた,又はトリムされないコイルに適用する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格の規定の一部を構成する。この規格の原規格である ISO 

11951 : 1995

の発行の時点では,それぞれの規格の発行表示は有効であった。規格はすべて改正されるもの

であるので,この規格に基づいて協定した当事者は,各規格の最新版を採用すべきかどうか検討すること

を勧める。

ISO 1024 : 1989

  Metallic materials−Hardness test−Rockwell superficial test (scales 15N, 30N, 45N, 15T,

30T and 45T)

ISO 6892 : 1995

  Metallic materials−Tensile testing

ISO 11949 : 1995

  Cold-reduced electrolytic tinplate

ISO 11950 : 1995

  Cold-reduced electrolytic chromium/chromium oxide-coated steel

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

ぶりき原板 (blackplate)   JIS G 7303 又は JIS G 7306 に従うぶりき及び ECCS の製造のための通常

塗油された低炭素軟鋼板。

3.2

一回冷間圧延 (single cold-reduced)   冷間圧延において原板を求める厚さに圧延した後,焼なまし

及び調質圧延された鋼材を表現するのに用いる用語。


2

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

3.3

二回冷間圧延 (double cold-reduced)   原板を焼なまし後,二回目の圧延を行った鋼材を表現するの

に用いる用語。

3.4

バッチ焼なまし,箱型焼なまし  [batch annealed ; box annealed (BA)]    冷間圧延したストリップを

タイトなコイル状にした状態で,保護雰囲気内において一定の時間・温度サイクルで焼なましする方法。

3.5

連続焼なまし [continuously annealed (CA)]   冷間圧延コイルを巻き戻してストリップ状にした状

態で,保護雰囲気内において焼なましする方法。

3.6

表面仕上げ (finish)   圧延の最終段階で用いられるワークロールの調整された仕上げによって決定

されるぶりき原板の表面外観。

3.6.1

ショットブラスト仕上げ  (shot blast finish)    ショットブラストされた調質ワークロールを用いた

表面仕上げ。

3.6.2

スムース仕上げ (smooth finish)   高度に研磨された調質ワークロールを用いた表面仕上げ。この

仕上げはブライト仕上げのぶりきに用いられる。

3.6.3

粗面仕上げ (stone finish)   スムース仕上げ用のワークロールより低度の研磨程度に研磨された最

終仕上げワークロールを用い,方向性のあるパターンによって特徴づけられた,表面仕上げ。

3.7

コイル (coil)   両側面がほぼ平らなコイルになるよう,規則正しく重畳重ねに巻き取った圧延スト

リップ鋼材。

3.8

長手方向反り,ライン反り(訳注:反り)  (longitudinal bow ; line bow)    圧延方向に沿った,ス

トリップ内の残留反り。

3.9

横方向反り,クロス反り(訳注:反り)  (transverse bow ; cross bow)    圧延方向に平行な板両端

の間の距離が,板幅よりも小さい形の板内の反り。

3.10

中のび(中央部位)  (centre buckle ; full centre)    両端部以外のところで発生する,ストリップ内の

縦形の間欠的な変位又は波。

3.11

耳のび (edge wave)   ストリップを平面に置いたとき,ストリップ両端に発生する縦形の間欠的な

変位。この項目はカットエッジで供給される材料にだけ適用される。

3.12

フェザーエッジ(訳注:横方向の厚さのプロフィル)  (feather edge ; transverse thickness profile)    両

端付近の板厚の減少に特徴づけられる,圧延方向に直角な方向での板厚の変動。この項目はカットエッジ

で供給される材料にだけ適用される。

3.13

ばり (burr)   せん断によって,ストリップ表面の平たん(坦)面を超えて変位した金属。

3.14

圧延幅 (rolling width)   圧延方向に直角なストリップの幅。

3.15

コンサインメント (consignment)   同時に出荷することが可能な,同一仕様の鋼材の量。

3.16

パレット(訳注:コイル用) (pallet)   いつでも輸送できるように,コイルを置いておく台木。

3.17

アンビル効果 (anvil effect)   アンビル上に保持された薄鋼板に対して硬さ試験を行うとき,得られ

た硬さに与える硬いアンビルの影響。

4.

注文者から提示すべき情報

4.1

全般  引合及び注文に際して次の情報を提示し,製造業者が正しい鋼材を供給できるようにしなけ

ればならない。

a)

特定の種類の焼なましを求めない限り,焼なましコードを除く 5.の記号

b)

面積又は質量をベースとして表された量

c)

一回冷間圧延ぶりき原板に対しては,必要とする表面仕上げ(6.2.1 参照)


3

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

d)

納入時のコイルの方向,すなわち,縦であるか横であるか(14.参照)

e)

コイルがカットエッジで供給されるか,トリムされないで供給されたか

備考1.  打ち抜き,絞り,折りたたみ,ビード溶接,曲げなどの成形加工,また,継ぎ目形成,溶接

などの組立加工に区分することが適切である。分類を選択する際は,最終用途を考慮するこ

とが望ましい。

4.2

選択仕様  注文者が,この規格に含まれるいずれの付加仕様も採用する意図がなく,かつ,引合及

び発注に際して要求事項を規定しない場合,鋼材は次の基準によって供給されるものとする。

a)

二回圧延ぶりき原板に対しては,粗面仕上げ(6.2.2 参照)

b)

各継ぎ目の位置を剛性のない材料片及び孔開けによって表示する(10.3 参照)

c)

適切な塗油(6.3 参照)

d)

コイル内径は 420mm 又は 508mm のいずれか(14.参照)

4.3

付加情報  注文時に,注文者は次の必要な情報のすべてを,提供しなければならない。

a)

注文されたぶりき原板に注文者の生産設備が適していること

b)

意図する最終用途

5.

表示

5.1

一回冷間圧延ぶりき原板  この規格の目的として,一回冷間圧延ぶりき原板は,表 のロックウェ

ル HR30Tm 硬さに基づき,調質度分類で表示される。

この規格で規定される一回冷間圧延材は,次の特性を順序どおりに表示しなければならない。

a)

鋼材の記述(すなわち,ぶりき原板のコイル)

b)

この規格の番号

c)

表 の調質度表示

d)

製造業者が採用する焼なまし方法(8.1 参照)

e)

表面仕上げの種類(3.6 参照)

f) mm

表示の厚さ及び幅

g)

ミルエッジ又はトリムエッジの区分

例 Blackplate

JIS G 7123-TH61-CA-stone-0.22

×800 trimmed

5.2

二回冷間圧延ぶりき原板  この規格の目的として,この規格による二回圧延ぶりき原板は,表 

示した 0.2%耐力に基づく機械的性質の分類で表示される。

この規格で規定される二回圧延の材料は,次の特性を与えられた順序で表示しなければならない。

a)

鋼材の記述(すなわち,ぶりき原板のコイル)

b)

この規格の番号

c)

機械的性質の表示(

表 参照)

d)

製造業者の採用する焼なまし方法(8.1 参照)

e) mm

表示の厚さ及び幅

f)

ミルエッジ又はトリムエッジの区分

例 Blackplate

JIS G 7123-T620-CA-0.18

×750 mill edge

6.

製造の特徴

6.1

製造  ぶりき原板の製造方法は製造業者が決める項目であり,この規格には規定しない。


4

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

ぶりき原板の製造方法を変更することで,めっき工程やぶりき原板の特性に,影響を与えるような変更

を行う場合,製造業者は注文者にその旨を通知しなければならない。

備考2.  製造業者は注文者に対し,ぶりき原板の効果的な用い方に参考となるような,製造工程の詳

細を提供することが推奨される。

6.2

表面仕上げ

6.2.1

一回冷間圧延ぶりき原板  一回冷間圧延ぶりき原板は,スムース,粗面又はショットブラストのい

ずれかの表面仕上げで供給することができ,必要とする表面仕上げを注文の時点で規定しなければならな

い[4.1 c)参照]

6.2.2

二回圧延ぶりき原板  二回冷間圧延ぶりき原板は,通常は粗面仕上げで供給される(3.6.3 参照)。

6.3

塗油  腐食を防止するため,ぶりき原板は通常十分な層の適切な非鉱物系の保護油が塗布されて供

給される。この油は,引き続いて行われるめっきの前に,適切なインラインのクリーニング工程において

除去しなければならない。

塗油なしのぶりき原板が要求される場合は,このことを発注時に示さなければならない[4.2 c)参照]

備考3.  塗油しないぶりき原板が供給される場合,表面腐食の危険が増大する。

6.4

欠陥  製造業者は,製造業者の通常の品質管理及びライン検査によって製造されたぶりき原板が,

この規格の要求事項に合致しているか否かの確認を行うものとする。しかし,連続ストリップミル操業に

おけるぶりき原板コイル生産工程では,この規格の要求事項を満足していないぶりき原板すべてを,取り

除く機会がない。

ぶりき原板コイルを処理するに際し,注文者(又は代理人)が最終用途[4.3 b)参照]に,受け入れられ

ないほどの繰り返し発生欠陥がある場合,注文者は,実行可能であれば,コイルの処理作業を止め,供給

者にその旨を通知することが重要である。

注文者は,適切なハンドリング,ローラ矯正及びシアリング設備並びに検査機器を備え,これらの稼働

中は妥当な保全を行っていることが望まれる。

7.

指定の要求事項  標準グレードのぶりき原板は,8.10.の各要求事項に従うものとする。

検査を実施して,8.

9.の要求事項を満足しているか否かを検証する際,供試材シートは 11.によるコン

サインメントから選択する。

コイルは 14.に従い発送する。

8.

機械的性質

8.1

全般  この規格では,一回冷間圧延ぶりき原板は,ロックウェル硬さ HR30Tm に基づく,調質グレ

ードに分類し,二回冷間圧延ぶりき原板は 0.2%耐力に基づいて分類する。その他の機械的性質は,加工時

のぶりき原板の性能に大きく影響を与え,目的とするその後の最終用途は,適用した鋼種及び鋳造方法,

焼なまし並びに調質圧延に依存して変化する。

備考4.  協定によって,ぶりき原板の焼なましの種類,すなわち,BA 又は CA(3.4又は3.5参照)を

注文時に指定してもよい。

8.2

一回冷間圧延ぶりき原板  一回圧延ぶりき原板の硬さは,附属書 の B.3 によって試験された場合,

表 による。


5

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

表 1  一回冷間圧延ぶりき原板の硬さ  (HR30Tm)

厚さ 0.21mm 以下

厚さ 0.21mm を超え

0.28mm

以下

厚さ 0.28mm を超えるもの

鋼材の種類 
(旧記号)

硬さ

試料平均に対す
る呼称硬さから

の許容範囲

硬さ

試料平均に対す
る呼称硬さから

の許容範囲

硬さ

試料平均に対す
る呼称硬さから

の許容範囲

TH50 (T50)

53

以下

52

以下

 51

以下

TH52 (T52)

53

以下

±4 52 以下

±4 51 以下

±4

TH55 (T55)

56

以下

±4 55 以下

±4 54 以下

±4

TH57 (T57)

58

以下

±4 57 以下

±4 56 以下

±4

TH61 (T61)

62

以下

±4 61 以下

±4 60 以下

±4

TH65 (T65)

65

以下

±4 65 以下

±4 64 以下

±4

1 HR30Tm は,試験片の裏面上のくぼみが許容される(ISO 1024参照)ということを意味している

ことから,HR30Tm と HR30T とを区別することが重要である。

8.3

二回冷間圧延ぶりき原板  12.2 によって試験した場合,耐力は表 による。

備考5.  日常試験のため,耐力は附属書 に示されたスプリングバック・テストによって決定してよ

い。しかし,疑義のある場合,12.2の方法を用いる。

表 2  二回冷間圧延ぶりき原板の耐力

平均の 0.2%耐力

鋼材の種類

(旧記号)

呼称

N/mm

2

許容範囲

N/mm

2

T550 (DR550)

550

480

∼620

T580 (DR580)

580

510

∼650

T620 (DR620)

620

550

∼690

T660 (DR660)

660

590

∼730

T690 (DR690)

690

620

∼760

9.

寸法及び形状の許容差

9.1

全般  寸法(すなわち,厚さ及び直線長さ)並びに形状(すなわち,端部の横曲がり及び横曲がり)

の許容差は,適切な測定方法とともに 9.2 及び 9.5 に規定する。

9.2

コイルの幅  コイルの幅は,11.によって選択された各供試材シートの幅を,0.5mm 単位で測定する。

幅は,供試材シートをある平たん面の上に置き,シート中央部で圧延方向に対して直角に測定する。測定

された幅は,注文幅より小さくなく,また注文幅より 3mm を超えてはならない。

9.3

コイルの厚さ

9.3.1

全般  横方向の厚さプロフィルは,12.1.2 のマイクロメータ法によって測定する。その他の厚さは

すべて,質量測定(12.1.1 参照)によって決定するか,又はマイクロメータ法を用いた直接測定による。

しかし,疑義のある場合及び再試験すべてに対しては,横方向厚さプロフィルの場合を除き,質量測定を

使用するものとする。

9.3.2

厚さの変動  供試材シートの厚さは,コイルの呼称厚さから±8.5%以上の偏差があってはならない。

9.3.3

一つのコンサインメントの平均厚さ  12.2 によって選択された供試材シートにつき,12.1.1 の質量

測定によって決定された,一つのコンサインメントの平均厚さは,注文の呼称厚さから次に示す以上の偏

差があってはならない。


6

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

a) 15

000m

を超えて構成されるコンサインメントに対しては,±2.5%

b) 15

000m

以下で構成されるコンサインメントに対しては,±4%

9.3.4

幅方向の厚さの変動  12.1.1 によって決められた二つの個々の試験片の各厚さは,全供試材シート

の実際の平均厚さから 4%以上の偏差があってはならない。

備考6.  この規定は,カットエッジで供給されたぶりき原板にだけ適用される。

9.3.5

フェザーエッジ(横方向の厚さのプロフィル)  12.1.2 のマイクロメータ法によって測定された最

小厚さは,供試材シートの実際の中央部厚さから 8%以上異なっていてはならない。

備考7.  この規定は,カットエッジで供給されるぶりき原板にだけ適用される。

9.4

トリムされたコイル端部の横曲がり(訳注:長ピッチの横曲がり)  端部の横曲がりは,弦を形成

する直線から弦の脚に至る(シートの平たん面内の)一端の最大偏差である(

図 参照)。

弦の長さに対する百分率として表す端部の横曲がりは,次の式によって算出する。

100

(6m)

)

(

(%)

×

=

弦の長さ

偏差

横まがり

D

6m

の距離(弦の長さ)にわたり測定された端部の横曲がりは,0.1%(すなわち,6mm)を超えてはな

らない。

図 1  コイル端部の横曲がり

9.5

コイルの横曲がり(短いピッチの横曲がり)  コイルの横曲がりは,同平たん面上にあり比較的短

い距離にわたってある弦を形成するような直線からの,圧延カットエッジの偏差である。

1m

の弦長さにわたり測定されたコイルの側面の横曲がりは,せん断前に測定された場合,1.0mm を超

えてはならない。

備考8.  コイルにスクロールせん断を適用した場合,許容値は受渡当事者間の協定による。

10.

コイル内の継ぎ目

10.1

全般  冷間圧延後,必要に応じて電気溶接による接合部が形成されるので,製造業者は,注文され

た質量の範囲内で,コイルの連続性を確認しなければならない。コイル内に許容される継ぎ目の数,位置

及び寸法についての要求事項は,10.2

10.4 による。

10.2

継ぎ目の数  コイル内の継ぎ目の数は,10 000m の長さ内に 3 か所を超えてはならない。


7

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

10.3

継ぎ目の位置  コイル内の各継ぎ目の位置は,明確に示さなければならない。

備考9.  コイル内の各継ぎ目の位置は,例えば,軟らかい材料片を挿入し,孔を開けて表示すること

ができる。引合及び注文に際し,代替方法について受渡当事者間で協定してもよい。

10.4

継ぎ目の寸法

10.4.1

厚さ  いずれの継ぎ目もその全厚さは,接合を形成する鋼材の呼称厚さの 3 倍を超えてはならない。

10.4.2

重ね合わせ部  いかなる重ね継ぎ目でも,重ね合わせた部分の全長は,10mm を超えてはならない。

フリーオーバラップ部(

図 参照)は,5mm を超えてはならない。

図 2  重ね合わせ部

11.

サンプリング

11.1

全般  表面外観(6.2 参照),寸法及び形状の許容差(9.参照)並びに機械的性質(8.参照)に関する

要求事項が満たされているか否かを調べるため試験を行う場合,ぶりき原板の供試材シートは,11.2 によ

って選択する。試験を行う前に,油は除去しなければならない。

11.2

供試材シートの選択  供試材は,各コイルから,コイル終端から 5m を超える位置で採取しなければ

ならない。

a)

付着量及び機械的性質の検証用:シート 2 枚

b)

寸法及び形状の検証用:シート 5 枚

12.

試験方法

12.1

厚さ

12.1.1

厚さ決定のための質量測定

12.1.1.1

各供試材シートの厚さは,次のようにして決定する。

a)

シートの質量を 2g 単位ではかる。

b)

シートの長さ及び幅を 0.5mm 単位で測定し,面積を算出する。

c)

シートの厚さを次の式によって,0.001mm 単位で算出する。

)

mm

0.00785(g/

)

(mm

(g)

(mm)

3

2

×

=

面積

質量

厚さ

12.1.1.2

あるコンサインメントに対する平均厚さを決定するため,コンサインメントを代表する供試材シ

ートすべての計算厚さの算術平均を算出する。


8

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

12.1.1.3

各試料シート内の厚さの変動を測定するため,シートから試験片 Y(

図 参照)を 2 個採取する。

各試験片を 0.01g 単位でひょう量し,各試験片の長さ及び幅を 0.1mm 単位で測定して,12.1.1.1 c)の式を用

いて各試験片の厚さを 0.001mm 単位で算出する。

図 3  試験片の採取位置

12.1.2

トリムされたコイルの厚さ測定用のマイクロメータ法  手動操作のばね付きマイクロメータを用

いて,厚さを 0.001mm 単位で測定する。

a)

横方向の厚さプロフィルに対しては,圧延トリム端から 6mm

b)

その他の厚さすべてに対しては,圧延トリム端から 10mm 以上

備考10.  ボール端シャンク・アンビル及び曲面アンビルを備えたマイクロメータを推奨する。

12.2

引張試験

12.2.1

試験片  11.によって選択した各シートに対して,圧延方向が試験片の長さ方向と平行した,約

200mm

×25mm の 2 枚の長方形の試験片を,

図 の Z 位置から切り出す。端部の試験片は,シート端から

25mm

以内では採取しないものとする。

12.2.2

試験方法  ISO 6892 の附属書 に規定された,薄金属製品及び試験片の種類 1 による条件,すな

わち,幅 12.5±1mm 及び標点幅 L

0

:50mm を用いて,ISO 6892 による 0.2%耐力を測定する。

12.2.1

によって選択した各試験片に試験 1 回,すなわち,選択したシート当たり 2 回の試験を行う。

コンサインメントから採取した供試材シートすべてに対して得られた耐力の結果を,算術平均して,コ

ンサインメントの代表耐力とする。

13.

再試験  得られた結果で要求事項を満たさないものがある場合,その項目の特性に対する測定を,コ

イル終端から 15m を超える位置で採取した新たな供試材シートについて,2 回繰り返す。


9

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

繰り返し実施した 2 回の再試験の結果が,要求事項を満たす場合は,そのコンサインメントはこの規格

に適合するものとみなす。しかし,2 回の再試験のいずれかの結果が,要求事項を満たさない場合,その

コンサインメントはこの規格に適合しないものとみなす。

14.

発送及び包装  コイルは,縦又は横にして発送する[4.1 d)参照]。

孔の向きは,注文時に規定するものとする。コイル内径は,

15

10

420 −

+

mm

又は

15

10

508 −

+

mm

のいずれかとする。

備考11.  ぶりき原板ストリップは通常,外径が少なくとも1 200mm 以上のコンサインメントのコイル

で供給される。しかし,外径の小さいコイルも,限られた範囲内の数でコンサインメントに

含まれてもよい。

12.

上記と異なる内径のコイルの要求がある場合は,注文時に示すことが望ましい[4.2 d)参照]


10

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

附属書 A(規定)  二回冷間圧延した鋼材に対する耐力の 

日常的測定のためのスプリングバック試験

これは対比試験方法ではない。疑義のある場合はすべて,本体 12.2(すなわち,ISO 6892 に示された方

法)を使用する。

A.1

原理  スプリングバック試験は,円筒マンドレル周りに 180°成形しその後開放させた,長方形のス

トリップ試験片の厚さとスプリングバック角度との測定値から,二回冷間圧延した鋼材の引張降伏強度を

評価するのに用い,簡単で迅速な方法である。

A.2

試験片  用いる試験片は,本体 12.2.1 に示された引張試験のそれらと同一のものである。

A.3

試験方法  A.2 に従って(すなわち,選択したシート当たり 2 個)得た試験片のそれぞれについて 1

回の試験を行う。試験は,スプリングバック調質試験機  [Springback temper tester model G.67

1)

]

を用いて行

う。

1)

スプリングバック調質試験機モデル G.67は,市場で入手できる製品の一例である。この規格の

使用者の便のために,この情報を記述するもので,ISO がこの製品を承認するものではない。

試験の際,スプリングバック調質試験機の操作説明書を正確に守る必要がある。試験の原則

的なステップは次に示すとおりである。

a)

ぶりき原板試験片の厚さを,0.001mm 単位の精度で測定する。

b)

試験片を試験機に挿入し,指の圧力で締付ねじを柔軟に締め試験位置に固定する。

c)

成形アームを柔軟に回転させ,試験片をマンドレルに対し 180°に曲げる。

d)

成形アームを“スタート”位置に戻し,試験片を直接観察してスプリングバック角度を読み,記録す

る。

e)

試験機から試験片を取り,記録した試験片厚さとスプリングバック角度を用いて,製造業者と注文者

間で協定した最適変換式(例えば,バウアー式)から最適なスプリングバック指数値を決める。

備考13.  標準引張試験(本体12.2参照)又は,その他“対比”スプリングバック調質試験機を用いて,

新スプリングバック調質試験機  (Springback temper tester model G.67)  を校正する。加えて,例

えば,過度の摩耗や試験の不注意な誤用から生じる誤動作はすぐには現れないことから,ス

プリングバック調質試験機の読取り値は,標準引張試験又は,その他“対比”スプリングバ

ック調質試験機の読取り値と,定期的に比較調査することが推奨される。そのような直接的

なクロスチェックは,既知の耐力値の対比試料を頻繁に用いることでも更に補われるもので

ある。


11

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

附属書 B(参考)  二回冷間圧延ぶりき原板のロックウェル硬さ推奨値

B.1

全般  表 B.1 に,硬さが B.2 及び B.3 に示したとおりに決められる場合の硬さの推奨値を示す。

表 B.1  二回冷間圧延ぶりき原板の硬さ値 (HR30Tm)

鋼材名グレード  平均ロックウェル硬さ (HR30Tm)

1)

(以前の表示)  表示  試料平均の範囲

1)

 HR30Tm

では,試験片の裏面上にくぼみがあってよい(ISO 1024を参照)と指示していること

から,HR30T と識別することが重要である。

B.2

試験片  11.に従って得た供試材シートのそれぞれから,図 中の Y で印した位置で 125mm×125mm

の試験片 2 個を採取する。

備考14.  適切と認められる場合,個々の供試材シート内の厚さの変動を定量するために採取した試験

片 (Y) を,硬さの定量用に用いてもよい。

B.3

に従って,硬さ試験を行う前に,200℃で 20 分間の人工時効を行う。ショットブラスト仕上げ鋼材

は#600 グレードのエメリー紙で研磨する。

B.3

試験方法  次のいずれかで,ロックウェル HR30Tm 押込み硬さを測定する。

a)

ISO 1024

に従って直接的に測定する。

b)

比較的薄い板(0.22mm 以下)については,ISO 1024 に従って,HR15T 硬さを測定し,次いで

表 B.2

を用い HR15T 値を HR30Tm 値に換算することによって,間接的に測定する。

B.2

に従って採取した試験片のそれぞれについて,硬さ測定を 3 回行う。

コンサインメントから採取した供試材シートすべてにつき得られた硬さの結果値の算術平均として,

コンサインメントの代表硬さを算出する。

押込み硬さを測定するための適切な試験機として,30Tm 又は 15T 級を測定するロックウェルスー

パーフィシャル硬さ試験機(ISO 1024 参照)を使用する。

有機被覆をすべて取り除いた試験片について試験を行う。カンチレバー(片持ち)効果があり得る

ことから,試験片の端部近くの試験は避ける。

表 B.1  二回冷間圧延ぶりき原板の硬さ  (HR30Tm)

平均ロックウェル硬さ

(HR30Tm)

1)

鋼材の種類 
(旧記号)

呼称

試料平均に対する呼称硬

さからの許容範囲

T550 (DR550)

73

±3

T580 (DR580)

74

±3

T620 (DR620)

76

±3

T660 (DR660)

77

±3

T690 (DR690)

80

±3

1)

 HR30Tm

では,試験片の裏面上にくぼみがあってよい(ISO 1024を参照)

と指示していることから,HR30T と識別することが重要である。


12

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

表 B.2  ロックウェル HR15T 値とそれらの HR30Tm 等価硬さ

HR15T

値 HR30Tm 等価硬さ

92.0 80.5

91.5 79.0

91.0 78.0

90.5 77.5

90.0 76.0

89.5 75.5

89.0 74.5

88.5 74.0

88.0 73.0

87.5 72.0

87.0 71.0

86.5 70.0

86.0 69.0

85.5 68.0

85.0 67.0

84.5 66.0

84.0 65.0

83.5 63.5

83.0 62.5

82.5 61.5

82.0 60.5

81.5 59.5

81.0 58.5

80.5 57.0

80.0 56.0

79.5 55.0

79.0 54.0

78.5 53.0

78.0 51.5

77.5 51.0

77.0 49.5

76.5 49.0

76.0 47.5


13

G 7123 : 2000 (ISO 11951 : 1995)

社団法人日本鉄鋼連盟鋼材標準専門委員会 JP3 分科会  構成表

氏名

所属

(主査)

森  下      昇

日本鋼管株式会社鉄鋼技術総括部

(副主査)

中  島  正  博

日本鋼管株式会社鉄鋼技術総括部

黒  田      均

東洋鋼板株式会社技術部

(委員)

松  田  邦  男

川崎製鉄株式会社技術総括部

橋  本  俊  一

株式会社神戸製鋼所鉄鋼事業本部

八  木  隆  義

新日本製鐵株式会社技術総括部

猪  野  信  吾

住友金属工業株式会社薄板事業部

小  林  芳  夫

日新製鋼株式会社商品技術部

山  崎  博  昭

日本金属株式会社技術本部

熊  川  正  之

株式会社淀川製鋼所市川工場

釜  土  祐  一

通商産業省工業技術院標準部

(事務局)

細  田  卓  夫

社団法人日本鉄鋼連盟標準部

社団法人日本鉄鋼連盟鋼材規格三者委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

佐久間  健  人

東京大学工学部

(委員)

林      明  夫

通商産業省基礎産業局

大  嶋  清  治

通商産業省工業技術院標準部

馬  木  秀  雄

社団法人火力原子力発電技術協会

(石川島播磨重工業株式会社豊洲総合事務所電力事業部)

金  沢      孝

社団法人自動車工業会

(いすゞ自動車株式会社材料開発部)

井  上  一  朗

社団法人日本建築学会(大阪大学工学部)

北  田  博  重

財団法人日本海事協会材料艤装部

三  宮  好  史

川崎製鉄株式会社技術総括部

渡  邊  和  彦

社団法人高圧ガス保安協会機器検査事業部

石  田  安  正

株式会社神戸製鋼所鉄鋼事業本部生産技術部

小  峰  武  夫

日本工具工業会(コベルコツールエンジニアリング株式会

社営業技術部)

桃  木  明  和

新日本製鐵株式会社技術総括部

島  田  瑛  司

鈴木金属工業株式会社生産本部

中  村      剛

住友金属工業株式会社技術部

白  谷  勝  典

大同特殊鋼株式会社技術企画部

上津原  政  則

トーア・スチール株式会社技術部

山  田  健太郎

社団法人土木学会(名古屋大学工学部)

三  浦  恒  幸

財団法人エンジニアリング振興協会(日揮株式会社プロジ

ェクトシステム本部)

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会技術部

森  下      昇

日本鋼管株式会社鉄鋼技術総括部

本  野  光  彦

社団法人日本水道協会工務部

川  原  雄  三

社団法人日本機械工業連合会(三菱重工業株式会社横浜研

究所)

(幹事)

金  子  康  宏

社団法人日本鉄鋼連盟標準部