>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

G 5705 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。これによって JIS G 5702 : 1988, JIS G 5703 : 1988, JIS G 5704 : 1988 は廃止され,この

規格に置き換えられる。


日本工業規格

JIS

 G

5705

 : 2000

可鍛鋳鉄品

Malleable iron castings

序文  この規格は,1981 年に第 1 版として発行された ISO 5922, Malleable cast iron を基に対応する部分(表

示方法,機械的性質,及び試験方法)については技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格で

あるが,対応国際規格には規定されていない機械的特性及び試験方法に関連した規定内容を日本工業規格

として追加し,また,対応国際規格には規定されていない規定項目(寸法,外観,及び試験方法)を日本

工業規格として追加した。

なお,この規格で点線の下線を施してある“箇所”は,対応国際規格にない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,可鍛鋳鉄品の要求事項について規定する。また,機械的性質に基づく分類も

規定する。

この規格は,砂型又はこれと類似の熱拡散率をもつ鋳型で鋳造した可鍛鋳鉄品だけに適用する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 5922 : 1981

  Malleable cast iron

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS G 1211

  鉄及び鋼−炭素定量方法

JIS Z 2202

  金属材料衝撃試験片

JIS Z 2241

  金属材料引張試験方法

JIS Z 2242

  金属材料衝撃試験方法

JIS Z 2243

  ブリネル硬さ試験−試験方法

3.

定義及び特性

3.1

可鍛鋳鉄品  熱処理をした鉄−炭素合金であり,鋳放し状態で黒鉛を含まない白銑組織をもつ鋳鉄

品。炭素分は,すべてセメンタイト (Fe

3

C)

として結合した形で存在する。

3.2

種類  化学成分,焼なまし工程の温度及び時間周期,焼なましの雰囲気及びその結果として得られ

る性質並びに顕微鏡組織の違いによって区別した 2 グループの可鍛鋳鉄品。

3.2.1

白心可鍛鋳鉄品  白心可鍛鋳鉄品の顕微鏡組織は,断面の大きさによって次のように分かれる。

a)

薄肉断面=フェライト(+パーライト+焼戻炭素)

b)

厚肉断面:

−  表面層=フェライト

−  中間層=パーライト+フェライト+焼戻炭素


2

G 5705 : 2000

−  中心部=パーライト(+フェライト)+焼戻炭素

顕微鏡組織に片状黒鉛が含まれてはならない。

3.2.2

黒心及びパーライト可鍛鋳鉄品  黒心可鍛鋳鉄品の顕微鏡組織は,本質的にフェライトの基地をも

つ。パーライト可鍛鋳鉄品の顕微鏡組織は,指定した種類によるが,パーライト又はその他,オーステナ

イトの変態生成物の基地をもつ。黒鉛は,焼戻炭素ノジュールの形で存在する。

顕微鏡組織に片状黒鉛が含まれていてはならない。

3.3

記号  この規格で規定する可鍛鋳鉄品の種類の表記は次による。

a)

可鍛鋳鉄品の種類を文字記号によって,次のように表す。

FCMW

  白心可鍛鋳鉄品

FCMB

  黒心可鍛鋳鉄品

FCMP

  パーライト可鍛鋳鉄品

この文字記号の後に,1 文字分の空白を置く。

b)

最小引張強さは,2 けたの数字を用い,直径 12mm の試験片の最小引張強さを表示する。すなわち,

直径 12mm の試験片における最小引張強さを N/mm

2

の単位で表し,

これを 10 で除した数値を用いる。

例えば,350N/mm

2

とすれば,記号は 35 となる。

この数字記号の後には,ハイフン  (−)  を付ける。

c)

最小伸びは,2 けたの数字を用い,直径 12mm の試験片での値が 10%未満の場合,ゼロ (0) を最初に

付ける。例えば,4%とすると表記は 04,そして,最小伸びが 12%とすると表記は 12 となる。

表記の実際例

直径 12mm の試験片測定による最小引張強さが 400N/mm

2

,最小伸びが 5%の白心可鍛鋳鉄品の記号

表示を次に示す。

FCMW

  40-05

4.

生産  可鍛鋳鉄品の生産方法,化学成分及び熱処理方法は,製造業者の自由選択とするが,注文書に

指定される等級に対して,この規格に規定の機械的性質に適合することを保証しなければならない。

ただし,可鍛鋳鉄品を特殊用途に供する場合,化学成分及び熱処理方法を受渡当事者間で協定すること

ができる。

なお,きず又は鋳巣で使用上影響が軽微なものは,注文者の承認を得て溶接その他適切な方法によって

これを補修することができる。

5.

外観  可鍛鋳鉄品の外観は,有害なきず,鋳巣などがあってはならない。

6.

形状及び寸法  形状及び寸法は,次による。

a)

可鍛鋳鉄品の形状及び寸法は図面によるものとし,機械仕上げを行わない部分の寸法許容差は,

表 1

による。なお,図面又は

表 に従いにくい場合には,受渡当事者間の協定による。


3

G 5705 : 2000

表 1  寸法許容差

単位 mm

区分 10 以下 18 以下 30 以下 50 以下 80 以下

180

以下

400

以下 800 以下

精級

±1.0

±1.5

±2.0

±3.0

肉厚

並級

±1.5

±2.0

±3.0

±4.0

精級

±0.8

±1.0

±2.0

±3.0

±4.0

寸法許容差

長さ

並級

±1.0

±1.5

±2.5

±3.5

±5.0(

1

)

(

1

)

黒心可鍛鋳鉄品の場合±5.5まで許容される。

b)

抜けこう配の許容差は,

表 による。

表 2  抜けこう配の許容差

抜けこう配の区分

等級別

精級

並級

精級

並級

許容差

2/100 3/100 3/100 5/100

備考  長さ及び肉厚寸法許容差には,抜けこう配の許容差を

加算することができる。

7.

機械的性質  可鍛鋳鉄品の試験片の機械的性質は,表 及び表 による。

0.2%

の耐力は,購入者が注文書に要求した場合だけ測定する。

表中のブリネル硬さは,参考値だけとする。ブリネル硬さ値を必要とする場合は,

表 及び表 に基づ

き,受渡当事者間で協定する。

表 3  白心可鍛鋳鉄品の機械的性質

記号

A(

2

)

B(

2

)

試験片の直径(

3

)

(主要寸法 mm)

引張強さ(

4

)

N/mm

2

以上

0.2%

耐力(

6

)

N/mm

2

以上

伸び

%

以上

硬さ

HB

以下

6

(5 未満) 310

8

 10

(5 以上 9 未満)

330 165

5

FCMW34-04

12

(9 以上) 340 180

4

207

 9

340

− 5

 12

350

− 4

FCMW35-04

 15

360

− 3

280

6

(5 未満) 350

− 14

 10

(5 以上 9 未満)

370 185

8

FCMW38-07

12

(9 以上) 380 200

7

192

 9

320

170

15

 12

380

200

12

FCMW38-12(

5

)

 15

400

210

8

200

 9

360

200

8

 12

400

220

5

FCMW40-05

 15

420

230

4

220

 9

400

230

10

 12

450

260

7

FCMW45-07

 15

480

280

4

220


4

G 5705 : 2000

(

2

)  A

欄は,将来の改訂版でも継承する予定の等級を示し,B 欄は,将来統合の検討を行う予定の等

級を示す。

(

3

)

白心可鍛鋳鉄品については,試験片直径が,鋳造品の断面厚さにできるだけ近いことが望ましい。
この試験片直径は,受渡当事者間で協定することが望ましい。

また,主要肉厚を特に協定しない場合の機械的性質は,主要肉厚 5mm 以上 9mm 未満を規定値

とする。

なお,主要肉厚を定めにくいときの機械的性質の規定は,受渡当事者間の協定による。

(

4

) 1N/mm

2

=1MPa

(

5

)

白心鍛鋳鉄品の各種類は適正な溶接方法を用いる限り,すべて溶接可能である。強度が必要で,
かつ溶接後の熱処理を特に避けたい部品には,記号 FCMW38-12 が望ましい。

(

6

)

耐力は,永久伸びの値を 0.2%とするが,荷重下の全伸び 0.5%を用いてもよい。

表 4  黒心可鍛鋳鉄品及びパーライト可鍛鋳鉄品の機械的性質

記号

試験片の

引張強さ 0.2%耐力

伸び

硬さ

シャルピー吸収エネルギー

直径 mm N/mm

2

以上

N/mm

2

以上

%

以上 HB

3

個の

個々の値

A

(

7

)

B

(

7

)

(

8

)

(

9

)

(

9

)(

14

)

平均値 J J

FCMB27-05

12

又は 15

270

165

5

163

以下

FCMB30-06

(

10

)

 12

又は 15 300

− 6

150

以下

 FCMB31-08

12

又は 15

310

185

8

163

以下

 FCMB32-12

12

又は 15 320

190

12 150

以下

 FCMB34-10

12

又は 15

340

205

10

163

以下

FCMB35-10

12

又は 15 350

200

10 150

以下

FCMB35-10S

(

11

)

 12

又は 15

350

200

10

150

以下

15

以上

13

以上

 FCMP44-06

12

又は 15

440

265

6

149-207

FCMP45-06

12

又は 15 450

270

6 150-200

 FCMP49-04

12

又は 15

490

305

4

167-229

 FCMP50-05

12

又は 15 500

300

5 160-220

 FCMP54-03

12

又は 15

540

345

3

183-241

FCMP55-04

12

又は 15 550

340

4 180-230

 FCMP59-03

12

又は 15

590

390

3

207-269

 FCMP60-03

12

又は 15 600

390

3 200-250

FCMP65-02

12

又は 15 650

430

2 210-260

FCMP70-02(

12

)(

13

)

 12

又は 15 700

530

2 240-290

 FCMP80-01

(

12

)

12

又は 15 800

600

1 270-310

(

7

)  A

欄は,将来の改訂版でも継承する予定の等級を示し,B 欄は,将来統合の検討を行う予定の等級を示す。

(

8

)

試験片の直径二種に関し,購買者の指定がなければ,製造業者がいずれかを選択しなければならない。

(

9

) 1N/mm

2

=1MPa

(

10

)

等級 FCMB30-06 は,強度又は延性の優秀さよりも,耐密性を重要とする用途に特に意図したものである。

(

11

) FCMB35-10S

は耐衝撃性を重要とする用途を特に意図したもので,衝撃値も規定する。

(

12

)

油焼入れ後,焼戻し。

(

13

)

この材質を空気焼入れし,焼戻した場合,0.2%耐力は 430N/mm

2

以上でなければならない。

(

14

)

耐力は,永久伸びの値を 0.2%とするが,荷重下の全伸び 0.5%を用いてもよい。

8.

残留炭素量

8.1

白心可鍛鋳鉄品(FCMW34-04 及び FCMW38-07)生産の場合,注文者から残留炭素量の指定があっ

た場合は,

表 による。


5

G 5705 : 2000

表 5  残留炭素量

主要肉厚 mm

5

未満

5

以上 9 未満

9

以上 15 未満

残留炭素量 %  0.6 以下 0.8 以下 1.6 以下

備考  主要肉厚 15mm 以上の場合の残留炭素量は,受渡当事者間の協定による。

8.2

残留炭素分析試験  可鍛鋳鉄品の残留炭素分析試験は,その主要肉厚部をきりもみ貫通して分析試

料を採り,炭素分析を行う。分析方法は,JIS G 1211 による。

8.3

残留炭素分析試験は,ろう付け,溶接を施す品種で注文者の指定があった場合に限り行う。

9.

機械試験及びその他の試験

9.1

引張試験  試験方法は,JIS Z 2241 による。ただし,荷重下の全伸びを求めるためのひずみ測定に

はディバイダを用いてもよい。

試験片は,10.に記述する試験棒でなければならない。

備考  明確な(自然の)降伏点を呈する等級の場合,次の条件を満たすならば,0.2%耐力の代わりに

降伏強さ(

15

)

を測定することを推奨する。

試験片に初期応力をかけてはならない。連続荷重の場合,荷重速度は,降伏点の 0.5 倍から 1.2 倍の範囲

において,2N/mm

2

・s を超えてはならない。

荷重を解くことが繰返し行われる場合は,一荷重レベルに付き,0.5 分間の休止時間を適用する。

(

15

)

可鍛鋳鉄品の降伏強さの測定に関する詳細については,CIAFT-Report No.2を参照。

同 レ ポ ー ト は , CIAF 事 務 局   Verein Deutscher Giessereifachleute, Sohnstrasse 70 D-4000,

Dusseldorf, Germany, F. R.

で入手できる。

9.2

ブリネル硬さ試験  ブリネル硬さ試験は,購入者によって指定されている場合,JIS Z 2243 による。

この硬さ試験は,試験片,又は受渡当事者間で協定した鋳造品上の 1 又は数箇所に対して行わなければな

らない。

9.3

衝撃試験  衝撃試験片は,JIS Z 2202 の 3 号試験片とする。試験方法は,JIS Z 2242 の“シャルピー

衝撃試験機を用いる場合”による。試験温度は,23±5℃とする。ただし,−10℃を超える低温で使用する

場合は,その最低使用温度以下とし,その試験温度を製品に刻印する。

9.4

つち打試験  可鍛鋳鉄品のつち打試験は,つち打ちすることによって,熱処理の良否,鋳巣,き裂,

その他の欠点の有無を調べる。

9.5

破壊試験  可鍛鋳鉄品の破壊試験は,それぞれの規格に規定されたもののほかは,同種同形の群か

ら試験品を抜き取り,これを破壊し,破壊の状況及び破面を調べる。

ただし,テストラグ (test lug) を本体に鋳出し,上記の試験に代用することができる。

10.

引張試験片  引張試験片(図 及び表 参照)は,受渡当事者間の協定がない場合,別に鋳造し,機

械加工を行ってはならない。


6

G 5705 : 2000

図 1  引張試験片の寸法 

表 6  引張試験片の寸法

(

16

)

直径の

公称

標点距離

平行部の

肩部半径

直径

許容差

断面積

シャンク寸法(

17

)

長さ

d

S

0

直径

長さ(

18

)

L

0

Lc

r

mm mm  mm

2

D mm

L mm

mm

mm

mm

6

±0.7 28.3 12 40 21 25 15 以上

9

±0.7 63.6  13  40

27

30

以上

6

10

±0.7 78.5 16 45 35 42 15 以上

12

±0.7 113.1  16  50

36

40

以上

8

15

±0.7 176.7  19  60

45

50

以上

8

(

16

)

機械加工していない状態の試験片を試験する場合,引張強さは,各試験片の直
径の測定値を用いて計算しなければならない。この場合,互いに直角をなす二
方向で測定した2個の直径測定値の平均値を求めなければならない。

(

17

)

必要に応じて,使用する試験機のつかみ部に合うように,シャンクを修正して
もよい。

(

18

)  L

の最小長さは,使用する試験機のつかみ部の全長以上にしなければならない。

11.

試料採取

11.1

試験片は,協定した試料採取手順に従い,該当鋳造品を製造するのと同一の溶解(又はとりべ)か

ら鋳造しなければならない。

基本的には,試験片は 1 溶解ごとに砂型に鋳造し,1 溶解に 1 個とする。

再試験用に試験片を余分に 2 個準備しておく。

11.2

試験片の熱処理は,いかなる場合においても,代表する鋳造品と同じ条件の下で行われなければな

らない。

12.

バッチの構成  ランダム抜取りによる受入検査の場合,各バッチは同一溶解(又は同一とりべ)から

鋳込んだ鋳造品で構成し,同一の熱処理を行わなければならない。

連続生産の場合,1 バッチの大きさは生産トン数及び生産鋳造品の種類に応じて決めなければならない

が,基本的には連続溶解におけるバッチの大きさは同一目標成分の場合,2 時間ごとの出湯とする。

13.

試験の効力  試験によって要求特性に満たない結果が得られ,その原因が可鍛鋳鉄品そのものの品質

によらず次のいずれかの理由による場合は,その試験結果を無効とすることができる。


7

G 5705 : 2000

a)

試験片の取付けが不完全,又は試験機の操作が不完全な場合

b)

試験片の鋳造不良又は加工不良の場合

c)

試験片が標点距離以外で破断した場合

d)

破断後に試験片の鋳きずが明らかになった場合

14.

再試験

14.1  13.

の原因以外によって試験結果が規定の要求特性に適合しないときは,不合格となった各試験片に

ついて 2 回の再試験を行わなければならない。

14.2  2

回の再試験の結果が 7.の規定数値に適合した場合は,そのバッチは要求項目に適合するものとみな

す。再試験において,2 個の試験片の内の 1 個が不合格となった場合,そのバッチは不合格とする。

14.3

製造業者は,不合格バッチに対してその代表試験片と一緒に再熱処理を行い,受入検査に再提出す

る権利をもつ。

可鍛鋳鉄分野の国際整合化調査研究委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

堤      信  久

早稲田大学名誉教授

(副委員長)

藤  田  達  生

株式会社リケン

(委員)

小  谷  泰  久

通商産業省機械情報産業局

大  嶋  清  治

工業技術院標準部

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

木  南  俊  行

日本カタン株式会社

渡  辺  宣  行

日立金属株式会社

辻  本  勝  彦

株式会社吉年

竹  井  英  敏

社団法人日本自動車工業会

本  野  光  彦

社団法人日本水道協会

川  本  岩  次

日本ガイシ株式会社

辻  村  太  郎

財団法人鉄道総合技術研究所

大  山  康  郎

鉄管継手協会

(事務局)

前  澤      征

日本可鍛鋳鉄工業会技術委員長(株式会社リケン)

東      節  信

日本可鍛鋳鉄工業会

笹  井  隆  之

日本可鍛鋳鉄工業会