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G 5504

:2005

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人大阪科学

技術センター付属ニューマテリアルセンター(OSTEC)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を

具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改

正した日本工業規格である。

これによって,JIS G 5504:1992 は改正され,この規格に置き換えられる。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS G 5504

には,次に示す附属書がある。

附属書(規定)原子力用使用済燃料等輸送・貯蔵容器(キャスク)の追加要件


G 5504

:2005

(2)

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  種類及び記号 

1

5.

  外観

1

6.

  化学成分

1

7.

  機械的性質 

2

8.

  黒鉛球状化率 

2

9.

  基地組織

2

10.

  内部の健全性 

2

11.

  形状・寸法・質量及びその許容差

2

12.

  製造方法 

2

13.

  試験

2

13.1

  試験場所 

2

13.2

  供試材の採取 

2

13.3

  分析試験 

3

13.4

  機械試験 

3

13.5

  黒鉛球状化率判定試験 

3

13.6

  基地組織判定試験

3

13.7

  非破壊試験 

4

14.

  再試験

4

15.

  検査

5

16.

  表示

5

17.

  報告

5

附属書(規定)原子力用使用済燃料等輸送・貯蔵容器(キャスク)  の追加要件 

6

 


日本工業規格

JIS

 G

5504

:2005

低温用厚肉フェライト球状黒鉛鋳鉄品

Heavy-walled ferritic spheroidal graphite iron

castings for low temperature service

1. 

適用範囲  この規格は,−40  ℃以上の温度で使用される鋳放し肉厚 550 mm 以下のフェライト地の厚

肉球状黒鉛鋳鉄品(以下,鋳鉄品という。

)について規定する。

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 0320

  鋼材の溶綱分析方法

JIS G 0321

  鋼材の製品分析方法及びその許容変動値

JIS G 0417

  鉄及び鋼−化学成分定量用試料の採取及び調整

JIS Z 2201

  金属材料引張試験片

JIS Z 2241

  金属材料引張試験方法

JIS Z 2242

  金属材料のシャルピー衝撃試験方法

JIS Z 2343-1

  非破壊試験−浸透探傷試験−第 1 部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の

分類

JIS Z 2343-2

  非破壊試験−浸透探傷試験−第 2 部:浸透探傷剤の試験

JIS Z 2343-3

  非破壊試験−浸透探傷試験−第 3 部:対比試験片

JIS Z 2343-4

  非破壊試験−浸透探傷試験−第 4 部:装置

JIS Z 2344

  金属材料のパルス反射法による超音波探傷試験方法通則

ISO 945

  Cast iron−Designation of microstructure of graphite

ASTM E1820

  Standard Test Method for Measurement of Fracture Toughness

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a) 

余長部  鋳鉄品の延長部に設けられた余肉部分で鋳鉄品と同等の条件で凝固した部分。

b) 

基地  合金組織の主体となる部分。この部分には,少量の他の組織が分散している。例えば,球状黒

鉛鋳鉄では,球状黒鉛が分散している主体の部分を基地といい,この部分がフェライト組織であれば

フェライト地と呼ぶ。

4. 

種類及び記号  鋳鉄品は 1 種類とし,記号は FCD 300 LT とする。

5. 

外観  鋳鉄品の外観は,使用上有害なきず,鋳巣などがあってはならない。


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G 5504

:2005

6. 

化学成分  鋳鉄品は,通常,13.3 の試験を行い,その化学成分は,受渡当事者間の協定による。

なお,原子力用使用済燃料等輸送・貯蔵容器(キャスク)は,

附属書による。

参考  主な化学成分の範囲を,参考表 に示す。

参考表  1  化学成分

単位  %

C Si Mn P  S Mg

3.0

以上 2.5 以下

0.4

以下 0.05 以下 0.02 以下 0.09 以下

7. 

機械的性質  鋳鉄品は 13.4 の試験を行い,その引張強さ,0.2 %耐力,伸び及びシャルピー吸収エネ

ルギーは,

表 による。ただし,0.2 %耐力は,注文者の要求がある場合に適用する。

なお,原子力用使用済燃料等輸送・貯蔵容器(キャスク)には,

附属書の追加要件を課す。

  1  機械的性質

伸び

シャルピー吸収エネルギー

 J

引張強さ

N/mm

2

0.2%

耐力

N/mm

2

3

個の試験片

の平均値

個々の試験片

の値

3

個の試験片

の平均値

個々の試験片

の値

300

以上 200 以上 12 以上

8

以上

6

以上

4

以上

備考 1

N/mm

2

 = 1 MPa 

8. 

黒鉛球状化率  鋳鉄品は 13.5 の試験を行い,その黒鉛球状化率は,特に注文者の指定がない場合,80  %

以上とする。

9. 

基地組織  鋳鉄品は 13.6 の試験を行い,その基地組織のフェライト面積率は,特に注文者の指定がな

い場合,80  %以上とする。

10. 

内部の健全性  鋳鉄品の内部には,使用上有害な鋳巣などがあってはならない。

なお,注文者は,内部の健全性の評価方法として,13.7 の非破壊試験を指定することができる。

11. 

形状・寸法・質量及びその許容差  鋳鉄品の形状・寸法,鋳放し寸法の許容差,抜けこう(勾)配及

び質量は,受渡当事者間の協定による。

12. 

製造方法  鋳鉄品の製造方法は,次による。

a) 

鋳鉄品は,キュポラ,電気炉,その他適切な炉を用いて溶解し,黒鉛を球状化するための処理を行い,

鋳型に鋳造する。

b) 

鋳鉄品は,その必要がある場合は,焼なまし,その他の熱処理を行うことができる。

13. 

試験

13.1 

試験場所  試験場所は,通常,当該製造所とする。


3

G 5504

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13.2 

供試材の採取  供試材は,鋳鉄品ごとに,鋳鉄品又はその余長部から採取する。供試材の採取位置

及び数は,受渡当事者間の協定による。

なお,鋳鉄品を熱処理する場合には,供試材は,通常,鋳鉄品と同一炉で,同時に熱処理を行う。

13.3 

分析試験

13.3.1 

分析試料  分析試料は,鋳鉄品ごとに 1 個採取し,その採り方は,JIS G 0417 の 9.(鋳鉄品)によ

る。ただし,炭素分析の試料は,とりべごとに白銑試料から採取し,その採り方は,JIS G 0417 の 6.(鋳

鉄品製造用の溶銑)による。

13.3.2 

分析方法  鋳鉄品の分析方法は,JIS G 0321 による。溶銑の分析方法は,JIS G 0320 による。

13.4 

機械試験

13.4.1 

試験片  試験片は,次による。

a) 

引張試験片は,JIS Z 2201 に規定する 4 号試験片とし,供試材から採り,その数は,予備の試験片を

除き,3 個とする。

b) 

衝撃試験片は,JIS Z 2242 に規定する U ノッチ試験片とし,供試材から採り,その数は,予備の試験

片を除き,3 個とする。

13.4.2 

引張試験方法  引張試験方法は,JIS Z 2241 による。ただし,試験温度は常温とする。

13.4.3 

衝撃試験方法  衝撃試験方法は,JIS Z 2242 による。ただし,試験温度は−40±2  ℃とする。

13.5 

黒鉛球状化率判定試験

13.5.1 

試験片  試験片は,供試材から 1 個採る。

13.5.2 

試験方法  黒鉛球状化率の試験方法は,顕微鏡組織の写真観察又は直接観察による。

13.5.3 

黒鉛形状の分類  黒鉛形状の分類は,図 1ISO945 の図1に相応)によるものとし,これに基づ

いて顕微鏡組織の黒鉛形状を分類する。

13.5.4 

黒鉛球状化率の算出  顕微鏡組織観察による黒鉛球状化率の算出は,次による。

a) 

顕微鏡の倍率を

図 のイメージに合うような適正な倍率とし,5 視野について図 の分類に基づいて

観察を行う。

b) 

実際の寸法が 15 µm 以下の黒鉛及び介在物は,観察の対象としない。

c) 

各視野について,

図 の形状Ⅴ及び形状Ⅵに分類される黒鉛粒数の全黒鉛粒数に対する割合(%)を求

め,5 視野の平均割合(%)を黒鉛球状化率とする。

d) 

画像解析装置を用いて黒鉛球状化率を判定してもよい。この場合,判定は a)c)に準じて行う。

e) 

受渡当事者間の協定による標準組織写真がある場合には,これを用いて 5 視野の組織を比較し,黒鉛

球状化率を判定してもよい。ただし,この場合の標準組織写真の黒鉛球状化率は,13.5.3 によって黒

鉛形状を分類し,13.5.4  a)c)  によって求めたものとする。

13.6 

基地組織判定試験

13.6.1 

試験片  試験片は,13.5.1 の黒鉛球状化率判定試験用試験片と同一のものを使用する。

13.6.2 

試験方法  試験方法は,次のいずれかによる。

a) 

顕微鏡組織写真による方法  顕微鏡写真を用いてフェライト面積率を,次の式によって算出する。

100

)

(

G

P

C

G

×

+

+

=

A

A

A

A

A

A

F

(%)

ここに,

F

:  フェライト面積率

A

:  判定視野面積

A

G

:  黒鉛面積


4

G 5504

:2005

A

C

:  セメンタイト面積

A

p

:  パーライト面積

b) 

画像解析装置による方法

  画像解析装置を用いて,フェライト面積率を求める。

  1  黒鉛形状の分類


5

G 5504

:2005

13.7 

非破壊試験

  非破壊試験は,

JIS Z 2343-1

JIS Z 2343-4

による浸透探傷,

JIS Z 2344

による超音波

探傷などの方法によって行う。

14. 

再試験

  再試験は,次による。

a) 

試験片のきず又は鋳巣が試験成績に影響を及ぼしたと判定された場合は,その成績を無効とし,予備

の試験片をこれに替えて再試験を行うことができる。

b) 

引張試験片が標点間の中心から標点距離の 1/4 以外で破断し,その成績が規定に適合しない場合は,

その試験を無効とし,予備の試験片をこれに替えて再試験を行うことができる。

c) 

引張試験又は衝撃試験の一部が規定に適合しない場合は,規定に適合しない試験について予備の試験

片を用いて再試験を行うことができる。その場合,試験片の数は,

13.4.1

に規定する試験片の数の 2

倍とする。ただし,2 倍の数の試験片が採取できない場合には,受渡当事者間の協定による。

なお,再試験の成績は,すべて

7.

8.

及び

9.

の規定に適合しなければならない。

d) 

受渡当事者間の協定によって,規定値を満足させるために鋳鉄品を再熱処理する場合には,供試材を

13.2

によって採取して再試験を行い,再試験の成績は,すべて

7.

8.

及び

9.

の規定に適合しなければ

ならない。

15. 

検査

  鋳鉄品の検査は,次による。

a) 

鋳鉄品は,検査前に塗装その他検査の妨げとなるどのような処理も行ってはならない。

b) 

外観は,

5.

の規定に適合しなければならない。

c) 

化学成分は,

6.

の規定に適合しなければならない。

d) 

機械的性質は,

7.

の規定に適合しなければならない。

e) 

黒鉛球状化率は,

8.

の規定に適合しなければならない。

f) 

基地組織は,

9.

の規定に適合しなければならない。

g) 

内部の健全性は,

10.

の規定に適合しなければならない。

なお,合否判定基準は,必要がある場合,受渡当事者間の協定による。

h) 

形状・寸法及び質量は,

11.

の規定に適合しなければならない。

16. 

表示

  表示は,製品又は 1 包装ごとに次の事項を表示する。ただし,注文者の承認を得た場合には,

その一部を省略することができる。

a) 

規格番号及び種類の記号

b) 

製造番号

c) 

製造業者名又はその略号

17. 

報告

  製造業者は,注文者の要求がある場合には,製造番号を記載した試験成績書を提出しなければ

ならない。


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G 5504

:2005

附属書(規定)原子力用使用済燃料等輸送・貯蔵容器(キャスク)

の追加要件

原子力用使用済燃料等輸送・貯蔵容器(キャスク)には,次の追加要件を課す。

1. 

化学成分

  鋳鉄製キャスクの主な化学成分の範囲は,

附属書表 1

又は受渡当事者間の協定による。

附属書表 1  化学成分

単位  %

C Si Mn P Cu Ni Cr Mg

3.0

∼3.7

1.2~2.3 0.25

以下

0.03

以下

0.1

以下

1.0

以下 0.07 以下 0.07 以下

2. 

機械的性質

  鋳鉄製キャスクは,本体の

13.4

の試験に加えて,

3.

の試験を行い,その伸び及び破壊じ

ん性値は,

附属書表 2

による。

附属書表 2  伸び及び破壊じん性値

伸び

破壊じん性値

MPa

√m

12

以上 50 以上

3. 

破壊じん性試験

3.1 

試験片

ASTM E1820

に規定する試験片とし,供試材から採り,その数は,予備の試験片を除き 4

個とする。

3.2 

試験方法

  破壊じん性試験方法は,

 ASTM E1820

による。ただし,試験温度は,−40  ℃以下とす

る。