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G4315 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS G 4315-1994 は改正され,この規格に置き換えられる。


日本工業規格

JIS

 G4315

: 2000

冷間圧造用ステンレス鋼線

Stainless steel wires for cold heading and cold forging

序文  この規格は,1972 年に JIS G 4309(ステンレス鋼線)の軟質線の一部を分離して制定されて以来 5

回の改正を経て今日に至っている。今回の改正に当たり,国際規格との整合を図るため検討を進めたが,

対象となる国際規格  (ISO 4954)  は冷間圧造用及び冷間押出用の鋼全体について規定してあり,パート 5

のステンレス鋼線を対応させようとしても技術的に困難な点が多かった。そのため,国際規格を JIS G 4315

とは別の日本工業規格として制定することにした。JIS G 4315 の改正点は,試験温度及び最終伸線の程度

をより具体的な文言へ変更したことである。

1.

適用範囲  この規格は,ボルト,ナット,小ねじ,タッピンねじなどのねじ類及び各種機械部品を冷

間圧造(温間圧造を含む。

)によって製造する場合に使用するステンレス鋼線及び約 10.5%以上のクロムを

含む耐熱鋼線(以下,線という。

)について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 4954 : 1993 Steels for cold heading and cold extruding

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これら引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 4308

  ステンレス鋼線材

JIS G 4311

  耐熱鋼棒

JIS Z 2201

  金属材料引張試験片

JIS Z 2241

  金属材料引張試験方法

3.

種類の記号,調質及び分類  線の種類は,14 種類とし,種類の記号,調質及び分類は,表 による。

調質の記号は,−WSA は,A 種,−WSB は,B 種を表す。


2

G4315 : 2000

表 1  種類の記号,調質及び分類

種類の記号

調質

分類

区分

記号

SUS304 A

−WSA

オーステナイト系

B

−WSB

SUS304L A

−WSA

B

−WSB

SUS304J3 A

−WSA

B

−WSB

SUS305 A

−WSA

B

−WSB

SUS305J1 A

−WSA

B

−WSB

SUS316 A

−WSA

B

−WSB

SUS316L A

−WSA

B

−WSB

SUS384 A

−WSA

B

−WSB

SUSXM7 A

−WSA

B

−WSB

SUH660 A

−WSA

B

−WSB

SUS430 B

−WSB

フェライト系

SUS434 B

−WSB

SUS403 B

−WSB

マルテンサイト系

SUS410 B

−WSB

4.

機械的性質  線は,10.1 の試験を行い,その引張強さ及び絞りは,表 による。

表 2  引張強さ及び絞り

種類及び調質の記号

線径

mm

引張強さ

N/mm

2

絞り

%

参考

伸び %

SUS304

−WSA

SUS304L

−WSA

SUS304J3

−WSA

0.80

以上 2.00 未満 560∼710 70 以上 30 以上

2.00

以上 5.50 以下 510∼660 70 以上 40 以上

SUS305

−WSA

SUS305J1

−WSA

0.80

以上 2.00 未満 530∼680 70 以上 30 以上

2.00

以上 5.50 以下 490∼640 70 以上 40 以上

SUS316

−WSA

SUS316L

−WSA

0.80

以上 2.00 未満 560∼710 70 以上 20 以上

2.00

以上 5.50 以下 510∼660 70 以上 30 以上

SUS384

−WSA 0.80 以上 2.00 未満 490∼640 70 以上 30 以上

2.00

以上 5.50 以下 450∼600 70 以上 40 以上

SUSXM7

−WSA 0.80 以上 2.00 未満 480∼630 70 以上 30 以上

2.00

以上 5.50 以下 440∼590 70 以上 40 以上

SUH660

−WSA 0.80 以上 2.00 未満 630∼780 65 以上 10 以上

2.00

以上 5.50 以下 580∼730 65 以上 15 以上

SUS304

−WSB

SUS304L

−WSB

SUS304J3

−WSB

0.80

以上 2.00 未満 580∼760 65 以上 20 以上

2.00

以上 17.0 以下 530∼710 65 以上 25 以上


種類及び調質の記号

線径

mm

引張強さ

N/mm

2

絞り

%

参考

伸び %

SUS305

−WSB

SUS305J1

−WSB

0.80

以上 2.00 未満 560∼740 65 以上 20 以上

2.00

以上 17.0 以下 510∼690 65 以上 25 以上

SUS316

−WSB

SUS316L

−WSB

0.80

以上 2.00 未満 580∼760 65 以上 10 以上

2.00

以上 17.0 以下 530∼710 65 以上 20 以上

SUS384

−WSB 0.80 以上 2.00 未満 510∼690 65 以上 20 以上

2.00

以上 17.0 以下 460∼640 65 以上 25 以上

SUSXM7

−WSB 0.80 以上 2.00 未満 500∼680 65 以上 20 以上

2.00

以上 17.0 以下 450∼630 65 以上 25 以上

SUH660

−WSB 0.80 以上 2.00 未満 650∼830 60 以上

8

以上

2.00

以上 17.0 以下 600∼780 60 以上 10 以上

SUS430

−WSB 0.80 以上 2.00 未満 500∼700 65 以上

2.00

以上 17.0 以下 450∼600 65 以上 10 以上

SUS403

−WSB

SUS410

−WSB

SUS434

−WSB

0.80

以上 2.00 未満 540∼740 65 以上

2.00

以上 17.0 以下 460∼640 65 以上 10 以上

備考  オーステナイト系及びフェライト系の B 種の線の引張強さは,受渡当事者間の協定に

よって,

表 の引張強さの下限及び上限を高くすることができる。この場合,絞りは

55%

以上とする。

5.

線径,線径の許容差及び偏径差  線は,10.2 の試験を行い,線径,線径の許容差及び偏径差は,次に

よる。

a)

線径の範囲は,A 種は 0.80∼5.50mm,B 種は 0.80∼17.0mm とする。

b)

線径の許容差及び偏径差は,

表 による。

表 3  許容差及び偏径差

単位  mm

線径

許容差

偏径差(

1

)

0.80

以上 3.00 以下

  0 
−0.025

0.013

以下

3.00

を超え 6.00 以下

  0 
−0.030

0.015

以下

6.00

を超え 10.0 以下

  0 
−0.04

0.020

以下

10.0

を超え 17.0 以下

  0 
−0.05

0.025

以下

(

1

)

偏径差は,同一断面における線径の最大値と最小値と
の差で表す。

備考  表 の許容差は,受渡当事者間の協定によって表 

全許容差範囲をプラス側に移行することができる。

6.

外観及び形状  線の外観及び形状は,次による。

a)

線は,使用上有害な外観上の欠点があってはならない。

b)

線は,使用上有害な曲がり及び波ぐせがあってはならない。


7.

きず  線は,注文者の指定がある場合,10.3 の試験を行い,その長手方向の割れ状のきずの深さの許

容限度は,

表 による。

表 4  きずの深さの許容限度

単位  mm

線径

きずの深さの許容限度

0.8

以上 3.50 以下

0.03

3.50

を超え 5.50 以下

0.04

5.50

を超え 9.00 以下

0.05

9.00

を超え 17.0 以下

0.06

8.

材料  線の製造に用いる材料は,JIS G 4308 及び JIS G 4311 の線材とする。ただし,SUS410 及び

SUS403

のねじ部品を焼入焼戻しする場合は,炭素含有量の下限を 0.08%以上とする。

9.

製造方法  製造方法は,次による。

a)

A

種の線は,伸線後,固溶化熱処理を行う。

b)  B

種の線は,伸線後,オーステナイト系は固溶化熱処理を行い,フェライト系及びマルテンサイト系

は焼なましを行い,更に要求されている引張強さに応じた伸線を行う。

c)

注文者の指定がある場合,冷間圧造に適した被覆を行う。

10.

試験

10.1

引張試験

10.1.1

供試材及び試験片の採り方  供試材及び試験片の採り方は,同一溶鋼,同一線径,同一熱処理条件

のロットから,1 コイルを抜き取り,その片端から試験片 1 個を採取する。

10.1.2

試験片  試験片は,JIS Z 2201 の 9A 号試験片とする。

10.1.3

試験方法  試験方法は,JIS Z 2241 による。ただし,温度管理が必要なときは,試験温度 23±5℃

を標準とし,引張速度は,

表 による。

表 5  引張速度

調質の区分

引張速度(平均応力増加率)

N/mm

2

・s

A

種及び B 種 10 以上  100 以下

10.2

線径の測定  線径の測定は,マイクロメータなどを用い,線の任意の箇所について行う。

10.3

きず検出試験

10.3.1

供試材及び試験片の採り方  供試材及び試験片の採り方は,同ー溶鋼,同ー線径,同ー熱処理条件

のロットから 1 コイルを抜き取り,その両端から,それぞれ試験片 1 個を採取する。

10.3.2

試験方法  試験片を王水など適切な酸で腐食させ,きずの有無を調べる。きずの深さは通常,きず

がなくなるまで削って,削り取られたきずの深さをマイクロメータで測定する。

11.

検査  検査は,次による。

a)

機械的性質は,4.に適合しなければならない。

b)

線径は,5.に適合しなければならない。

c)

外観及び形状は,目視又は適切な方法によって行い,6.に適合しなければならない。


d)

きずは,7.に適合しなければならない。ただし,きずは,注文者から指定のあった場合に適用する。

12.

表示  検査に合格した線には,コイルごとに次の事項を表示する。ただし,注文者の承認を得たとき

は,項目の一部を省略することができる。

a)

種類の記号,調質の区分又はその記号

b)

線径

c)

被覆がある場合は,その名称又は略称

d)

製造番号又は検査番号

e)

製造業者名又はその略語

13.

報告  注文者の要求がある場合,製造業者は規定された試験の成績及び必要によって数量,納入状態

などを記載した線の明細書を提出する。

参考  線に使用する線材の化学成分は,参考表 1に示す。

参考表 1  オーステナイト系の化学成分

単位  %

種類の記号 C

Si

Mn

P

S

Ni

Cr

その他

SUS 304

0.08

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.045 以下 0.030 以下

8.00

∼10.50

18.00

∼20.00

SUS 304L

0.030

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.045 以下 0.030 以下

9.00

∼13.00

18.00

∼20.00

SUS 304J3

0.08

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.045 以下 0.030 以下

8.00

∼10.50

17.00

∼19.00 Cu

1.00

∼3.00

SUS 305

0.12

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.045 以下 0.030 以下

10.50

∼13.00

17.00

∼19.00

SUS 305J1

0.08

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.045 以下 0.030 以下

11.00

∼13.50

16.50

∼19.00

SUS 316

0.08

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.045 以下 0.030 以下

10.00

∼14.00

16.00

∼18.00 Mo

2.00

∼3.00

SUS 316L

0.030

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.045 以下 0.030 以下

12.00

∼15.00

16.00

∼18.00 Mo

2.00

∼3.00

SUS 384

0.08

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.045 以下 0.030 以下

17.00

∼19.00

15.00

∼17.00

SUS XM7

0.08

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.045 以下 0.030 以下

8.50

∼10.50

17.00

∼19.00 Cu

3.00

∼4.00

SUH 660

0.08

以下 1.00 以下 2.00 以下 0.040 以下 0.030 以下

24.00

∼27.00

13.50

∼16.00 V  0.10∼0.50

Ti

1.90

∼2.35

Al

0.35

以下

B

0.001

∼0.010

Mo

1.00

∼1.50

参考表 2  フェライト系の化学成分

単位  %

種類の記号 C

Si

Mn

P

S

Cr

Mo

SUS 430

0.12

以下 0.75 以下 1.00 以下 0.040 以下 0.030 以下 16.00∼18.00

SUS 434

0.12

以下 1.00 以下 1.00 以下 0.040 以下 0.030 以下 16.00∼18.00 0.75∼1.25

備考 Ni は,0.60%以下を含有してもよい。

参考表 3  マルテンサイト系の化学成分

単位  %

種類の記号 C

Si

Mn

P

S

Cr

SUS 403

0.15

以下 0.50 以下 1.00 以下 0.040 以下 0.030 以下 11.50∼13.00

SUS 410

0.15

以下 1.00 以下 1.00 以下 0.040 以下 0.030 以下 11.50∼13.50

備考 Ni は,0.60%以下を含有してもよい。


ステンレス協会  規格専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

中  野  恒  男

住友金属工業株式会社ステンレス・チタン技術部

(委  員)

増  田  正  純

工業技術院標準部

三  宮  好  史

日本鉄鋼連盟標準部

伊  藤      修

川崎製鉄株式会社千葉製鉄所ステンレス管理室

吉  田  英  雄

日本冶金工業株式会社技術部

橋  本  政  哲

新日本製鐵株式会社ステンレス商品技術室

小  林  芳  夫

日新製鋼株式会社商品技術部

大  谷  俊  司

日本金属工業株式会社衣浦製造所品質保証部

成  田      基

愛知製鋼株式会社品質保証部

武  藤  伸  久

株式会社神戸製鋼所生産技術部

重  住  忠  義

山陽特殊製鋼株式会社技術企画部

白  谷  勝  典

大同特殊鋼株式会社技術企画部

山  崎  博  昭

日本金属工業株式会社技術本部技術部

柴  田  正  宣

日本鋼管株式会社鉄鋼技術総括部

吉  野  正  実

日本精線株式会社枚方工場品質保証部

喜代永      明

日新製鋼株式会社商品技術部

(事務局)

池  原  慶  允

ステンレス協会