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G 1326 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS G 1326 : 1987 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,国際規格と整合させる目的で,ISO 規格を翻訳し,

附属書 13561011 及び

12

として採用するとともに,各成分の定量方法を附属書方式で表現した。

JIS G 1326

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(規定)  ニッケル定量方法−ジメチルグリオキシム重量法  (ISO 6352)

附属書 1 附属書 A  (規定)原子吸光法によるろ液中のニッケルの定量

附属書 2(規定)  ニッケル定量方法−ジメチルグリオキシム沈殿分離エチレンジアミン四酢酸二水

素二ナトリウム滴定法

附属書 3(規定)  コバルト定量方法−原子吸光法  (ISO 7520)

附属書 4(規定)  炭素定量方法−燃焼−電量法

附属書 5(規定)  炭素定量方法−燃焼−赤外線吸収法  (ISO 7524)

附属書 6(規定)  けい素定量方法−二酸化けい素重量法  (ISO 8343)

附属書 7(規定)  けい素定量方法−モリブドけい酸青吸光光度法

附属書 8(規定)  マンガン定量方法−原子吸光法

附属書 9(規定)  りん定量方法−モリブドりん酸抽出分離モリブドりん酸青吸光光度法

附属書 10(規定)  りん定量方法−モリブドバナドりん酸抽出吸光光度法  (ISO 11400)

附属書 11(規定)  硫黄定量方法−燃焼−赤外線吸収法  (ISO 7526)

附属書 12(規定)  硫黄定量方法−燃焼−よう素酸カリウム滴定法  (ISO 7527)

附属書 13(規定)  硫黄定量方法−硫化水素気化分離メチレンブルー吸光光度法

附属書 14(規定)  クロム定量方法−原子吸光法

附属書 15(規定)  銅定量方法−原子吸光法


日本工業規格

JIS

 G

1326

 : 2000

フェロニッケル分析方法

Methods for chemical analysis of ferronickel

序 文   こ の規 格 は, ISO 6352 : 1985 (Ferronickel − Determination of nickel content −Dimethylglyoxime

gravimetric method), ISO 7520 : 1985 (Ferronickel

−Determination of cobalt content−Flame atomic absorption

spectrometric method), ISO 7524 : 1985 (Nickel metal, ferronickel and nickel alloys

−Determination of carbon

content Infra-red absorption method after induction furnace combustion), ISO 8343 : 1985 (Ferronickel

Determination of silicon content

−Gravimetric method), ISO 11400 : 1992 (Nickel, ferronickel and nickel alloys−

Determination of phosphorus content

−Phosphovanadomolybdate molecular absorption spectrometric method), ISO 

7526 : 1985 (Nickel metal, ferronickel and nickel alloys

−Determination of sulfur content−Infra-red absorption

method after induction furnace combustion)

及び ISO 7527 : 1985 (Nickel metal, ferronikel and nickel alloys−

Determination of sulfur content

−Iodimetric titration method after induction furnace combustion)  の翻訳を元に,

技術的内容及び規格票の様式を変更することなく,

附属書 13561011 及び 12 として規定し,さ

らに,対応国際規格に規定されていない定量方法を

附属書 247891314 及び 15 として追加して

作成した日本工業規格である。

1.

適用範囲  この規格は,フェロニッケル中のニッケル,コバルト,炭素,けい素,マンガン,りん,

硫黄,クロム及び銅の定量方法について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 6352 : 1985

  Ferronickel−Determination of nickel content−Dimethylglyoxime gravimetric

method

ISO 7520 : 1985

  Ferronickel − Determination of cobalt content − Flame atomic absorption

spectrometric method

ISO 7524 : 1985

  Nickel metal, ferronickel and nickel alloys−Determination of carbon content−

Infra-red absorption method after induction furnace combustion

ISO 7526 : 1985

  Nickel metal, ferronickel and nickel alloys−Determination of sulfur content−

Infra-red absorption method after induction furnace combustion

ISO 7527 : 1985

  Nickel metal, ferronikel and nickel alloys−Determination of sulfur content−

Iodimetric titration method after induction furnace combustion

ISO 8343 : 1985

  Ferronickel−Determination of silicon content−Gravimetric method

ISO 11400 : 1992

  Nickel, ferronickel and nickel alloys−Determination of phosphorus content−

Phosphova-nadomolybdate molecular absorption spectrometric method


2

G 1326 : 2000

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS G 1301

  フェロアロイ分析方法の通則

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8005

  容量分析用標準物質

JIS Z 2615

  金属材料の炭素定量方法通則

JIS Z 2616

  金属材料の硫黄定量方法通則

3.

一般事項  定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1301 による。ただし,附属書 13561011 

び 12 には適用しない。

4.

定量方法の区分  フェロニッケル中の各種成分の定量方法の区分は,表 による。

表 1  フェロニッケル中の各種成分の定量方法

成分

定量方法

適用含有率範囲

% (m/m)

附属書(規定)

番号

ニッケル

・  ジメチルグリオキシム重量法  (ISO 6352) 15 以上  60 以下

1

・  ジメチルグリオキシム沈殿分離エチレンジア

ミン四酢酸二水素二ナトリウム滴定法

15

以上  60 以下

2

コバルト

・  原子吸光法  (ISO 7520) 0.025 以上  2.5 以下  3

炭素

・  燃焼−電量法 0.001 以上  3 以下

4

・  燃焼−赤外線吸収法  (ISO 7524) 0.001 以上  2 以下

5

けい素

・  二酸化けい素重量法  (ISO 8343) 0.2 以上  4 以下

6

・  モリブドけい酸青吸光光度法 0.01 以上  0.5 以下

7

マンガン

・  原子吸光法 0.01 以上  0.5 以下

8

りん

・  モリブドりん酸抽出分離モリブドりん酸青吸

光光度法

0.001

以上  0.03 以

9

・  モリブトバナドりん酸抽出吸光光度法  (ISO 

11400)

0.000 5

以上  0.05

以下

10

硫黄

・  燃焼−赤外線吸収法  (ISO 7526) 0.001 以上  0.3 以下  11

・  燃焼−よう素酸カリウム滴定法  (ISO 7527) 0.001 以上  0.3 以下  12

・  硫化水素気化分離メチレンブルー吸光光度法 0.001 以上  0.05 以

13

クロム

・  原子吸光法 0.01 以上  3 以下

14

・  原子吸光法 0.01 以上  0.2 以下

15


3

G 1326 : 2000

附属書 1(規定)   

ニッケル定量方法−ジメチルグリオキシム重量法

序文  この附属書 は,1985 年に第 1 版として発行された ISO 6352 (Ferronicke1−Determination of nickel

content

−Dimethylglyoxime gravimetric method)  を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく

規定したものである。

なお,この附属書で点線の下線を施した箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲

この

附属書 は,フェロニッケル中のニッケルの含有率を重量法で定量する方法について規定する。

この方法は,ニッケルの含有率 15% (m/m)  以上 60% (m/m)  以下のフェロニッケルに適用する。

2.

引用規格

JIS R 3505

  ガラス製体積計

ISO 385-1

  Laboratory glassware−Burettes−Part 1 : General requirements

ISO 648

  Laboratory glassware−One-mark pipettes

ISO 1042

  Laboratory glassware−One-mark volmetric flasks

ISO 5725

  Precision of test methods−Determination of repeatability and reproducebility by inter-laboratory

tests

参考  ISO 1525 は,次の規格で置き換えられる。

ISO 5725-1

6 : 1994  Accuracy (trueness and precision) of measurement method and results−Part

1

∼6

3.

原理

試料を硝酸で分解し,過塩素酸で脱水して二酸化けい素を沈殿させる。ろ過して二酸化けい素を除去す

る。酒石酸・アンモニア溶液中で,ジメチルグリオキシムのエタノール溶液を加えて,ニッケルを沈殿さ

せる。再沈したニッケルの沈殿を 150℃で乾燥してひょう量する。ろ液に残留するニッケルを原子吸光法

によって定量する。

4.

試薬

特に規定がある場合を除き,分析には,認定された分析級の試薬及び蒸留水又は同等な純度の水を用い

る。

4.1

酢酸

ρ

20

1.05g/ml  希釈液 (1+1)

4.2

アンモニア水

ρ

20

0.925g/ml

4.3

ジメチルグリオキシム  10g/ml  エタノール溶液

4.4

塩酸

ρ

20

1.19g/ml

4.5

塩酸

ρ

20

1.19g/ml  希釈液 (1+9)

4.6

硝酸

ρ

20

1.41g/ml


4

G 1326 : 2000

4.7

硝酸

ρ

20

141g/ml  希釈液 (1+1)

4.8

過塩素酸

ρ

20

1.61g/ml [72% (m/m)]

4.9

酒石酸  500g/l

4.10

ふっ化水素酸

ρ

20

1.14g/ml  希釈液 (1+1)

警告  ふっ化水素酸は,皮膚及び粘膜に対して非常に刺激性及び腐食性があり,冶療に時間がか

かる激しい皮膚の炎症を引き起こす。皮膚に接触した場合には,水でよく洗い,医者に相

談する。

5.

装置

装置は,通常の実験装置及び次のものを用いる。

5.1

ガラスろ過器  溶融ガラス,孔径がおおよそ 10∼20µm のもの。

5.2

ガラスビーカー  容積 600ml で,きれいで,侵食がなく,平底のもの。

5.3

ピペット  容積 50ml 及び 100ml で,JIS R 3505 クラス A のピペット又は ISO 648 クラス A のピペ

ット。

5.4

全量フラスコ  容積 200ml 及び 1 000ml で,JIS R 3505 クラス A の全量フラスコ又は ISO 1042 クラ

ス A の全量フラスコ。

5.5

ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) ビーカー  容積 600ml,けい素の含有率の高い試料に使用す

る。

6.

サンプリング及び試料

6.1

サンプリング及び実験室試料の調製は,同意された方法,又は同意が得られない場合には関連する

国際規格によって,実施されなければならない。

6.2

実験室試料は,一般に粉,細粒,削り粉又は切り粉であり,それ以上試料調製を必要としない。

6.3

実験室試料が,ミル又はドリルを用いた調製の過程で油又はグリスに汚染されているおそれがある

ときは,高純度アセトンで洗浄した後,空気中で乾燥する。

6.4

実験室試料が,広範囲な大きさの粒子及び片を含む場合は,分析試料は,二分器を通すのがよい。

7.

操作

警告  過塩素酸白煙は,強力な酸化剤であり,有機物質と接触すると爆発性の混合物を生じる。蒸

発は,すべて過塩素酸用に適したドラフト中で行うことが望ましい。

7.1

試料のはかり取り

実験室試料 3.9∼4.1g をはかり取り,0.001g のけたまで読み取る。これをガラスビーカー(5.2)に移し入れ

る。

7.2

空試験

空試験は,定量操作と並行して,同じ操作で,全試薬の同量を用いて行う。

7.3

ガラスろ過器の準備

7.3.1

塩酸 20ml(4.4),硝酸 10ml(4.6)及び水 30ml の混合溶液を加熱し,これをガラスろ過器(5.1)に通す。

水で洗浄して,酸を除去する。

7.3.2

ガラスろ過器を 150℃の乾燥器で 2 時間加熱し,60 分間デシケーター中で放冷した後,手早くひょ

う量する。


5

G 1326 : 2000

備考1.  新しいガラスろ過器を使うとき,又は分析に使用したガラスろ過器を洗浄するときにこの操

作を行う。

2.

高い精度を得るためには,沈殿を含むガラスろ過器(7.5.9)は,空のガラスろ過器とできるだ

け同じ温度及び湿度の条件でひょう量することが望ましい。

7.4

試料溶液の調製

7.4.1

はかり取った試料(7.1)に,水 25ml を添加し,引き続き硝酸 (1+1) 50ml を添加して分解する。ビ

ーカーを時計皿で覆い,必要なら,完全に分解するまで穏やかに加熱する。

備考  けい素の含有率か 1% (m/m) 以上のフェロニッケル試料に対しては,ポリテトラフルオロエチ

レンビーカー(5.5)を使用する。水 25ml,硝酸(4.7)40ml 及び塩酸(4.4)10ml を順次添加して,試

料を分解する。発泡が終わったら,ふっ化水素酸(4.10)10ml 及び過塩素酸(4.8)40ml を添加し,

過塩素酸の白煙が発生するまで加熱して試料を完全に分解する。放冷した後,その溶液の全量

をガラスビーカー(5.2)に移し入れる。多量の白煙が発生するまで 260℃で加熱する。ビーカー

を時計皿で覆い,この温度で更に 20 分間加熱を継続した後,7.4.2“熱板からビーカーを降ろし,

放冷する。

”以降の手順の操作を行う。

7.4.2

金属が分解したら,過塩素酸(4.8)40ml を加え,多量の白煙が発生するまで 260℃で加熱する。ビー

カーを時計皿で覆い,この温度で更に 20 分間加熱する。熱板からビーカーを降ろし,放冷する。塩酸

(4.4)20ml

及び温水 200ml を加える。中程度の孔径のろ紙(5 種 B)を用いて二酸化けい素をろ別し,ろ液

を全量フラスコ 1 000ml に受ける。塩酸(4.5)でビーカーをすすぎ,二酸化けい素の沈殿を 3 回洗浄し,次

いで,温水で 4 回洗浄する。二酸化けい素の沈殿を捨てる。水を標線まで加える。

7.5

定量

7.5.1

ニッケルを 60∼120mg 含むように試料溶液の一部を分取してガラスビーカー(5.2)に移し入れる。

水を加えて液量を 300ml とする。試料のニッケルの含有率が 30% (m/m)  以下の場合は 100ml を,試料のニ

ッケルの含有率が 30% (m/m)  以上の場合は 50ml を分取すると,ニッケルの量が 60∼120mg になる。

7.5.2

この溶液(7.5.1)に洒石酸溶液(4.9)10ml を加える。かき混ぜながら,液の色が黄色から青緑に(pH

が微アルカリ性に)変わるまで,アンモニア水(4.2)を滴加する。このとき溶液が濁ってはならない。酢酸

(4.1)

を少量ずつ加えて,溶液の色を黄色に戻す。そのときの pH は 4∼5 である。溶液を 60℃まで加熱する。

7.5.3

ニッケル 10mg に対しジメチルグリオキシム溶液(4.3)を 4ml の割合でかき混ぜながら加え,更に過

剰に 20ml を加える。

7.5.4

アンモニア水(4.2)を加えて,溶液を微アンモニア性(pH 約 10)にする。約 30 秒間強くかき混ぜ

た後,30 分間その沈殿を放置する。

7.5.5

中程度の孔径のろ紙(5 種 B)を用いてその溶液をろ過する。温水(約 40∼50℃)で沈殿を 5 回洗

浄する。ろ液は保存して,7.5.10 の処理を行う。

7.5.6

塩酸(4.4)20ml,硝酸(4.6)10ml 及び水 30ml の混酸を加熱したもので,沈殿をろ紙上で分解し,最初

の沈殿操作に用いたビーカーに受ける。注意しながら,混酸 20ml でろ紙を洗浄する。続いて温水で洗浄

する。混酸及び温水による洗浄を 3 回繰り返す。赤い沈殿を完全に分解し,最後に,温水でろ紙を完全に

洗浄する。

7.5.7

7.5.2

から 7.5.4 の操作を繰り返し,ニッケルを再沈する。しかし,洒石酸溶液(4.9)の添加量は 2ml,

過剰に加えるジメチルグリオキシム溶液(4.3)の量は 5ml とする。

7.5.8

乾燥し,あらかじめひょう量したガラスろ過器(7.3.2)で沈殿をろ過する。温水でビーカーを完全に

洗浄し,沈殿を 5 回洗浄する。ろ液は保存して,7.5.10 の処理を行う。


6

G 1326 : 2000

7.5.9

沈澱の入ったガラスろ過器を,150℃の乾燥器で 2 時間乾燥した後,デシケーター中で 60 分間放冷

し,7.3.2 と同じような温度及び湿度で,手早くひょう量する。

7.5.10  7.5.5

及び 7.5.8 で得たろ液を合わせる。シロップ状になるまで蒸発濃縮する。10∼15ml まで濃縮し

たら,塩酸(4.4)50ml を添加し,加熱する。温水 50ml を加え,沸騰させる。放冷した後,全量フラスコ 200ml

に移し入れる。水を標線まで加える。

7.5.11

原子吸光法によって,この溶液中のニッケルの含有率を定量する。

附属書 附属書 参照。

備考1.  合わせたろ液のニッケルの量は,元の試料中のニッケルの含有率に換算して0.2% (m/m)  を超

えないことが望ましい。

2.

ろ液中のニッケルの量が多い場合,ガラスろ過器に問題がある可能性がある。

3.

ろ液中のニッケルの濃度が高い場合,又は原子吸光装置の感度が非常に高い場合には,7.5.10

で調製した溶液を希釈する必要がある。

8.

結果の表現

8.1

計算

ニッケルの含有率は,質量百分率で表示し,次の式によって算出する。

(

)

f

0

1

2

000

1

32

.

20

W

V

m

m

m

Ni

+

×

×

×

ここに,

Ni

ニッケルの含有率 [% (m/m)]

m

0

はかり取った試料の質量 (g)

m

1

空のガラスろ過器の質量 (g)

m

2

ニッケルジメチルグリオキシム沈殿を含むガラスろ過器の
質量 (g)

V

7.5.1

で分取した試料溶液の量 (ml)

W

f

合わせたろ液

(7.5.11)

から検出されたニッケルを試料中の

質量百分率に換算した値 [% (m/m)]

20.32

ニッケルジメチルグリオキシムからニッケルに変換するフ
ァクターに 100 を乗じた値

8.2

精度

8.2.1

分析室試験

8.2.1.1

7

か国の 20 分析室の 39 分析者が,この附属書に規定された方法による共同実験を実施し,ニッ

ケルの含有率 21∼41% (m/m)  の市販のフェロニッケル 8 試料を分析した。それぞれの試料について,各所

2

人の分析者による各人 2 個ずつの結果が報告された。

8.2.1.2

この分析室試験では,試料溶液の分取量は,ニッケルの含有率 30% (m/m) 以下のとき 50ml,ま

た,30% (m/m)  以上のとき 25ml であった。しかし,この試験の後,それぞれの分取量を 100ml 及び 50ml

に変更した(

7.5.1

参照)

。分取量を増やしたことによって,並行許容差及び再現許容差がよりよくなると

期待できる。

8.2.2

統計解析結果

ISO 5725

に従い計算した並行許容差及び再現許容差を

附属書 表 1

に示す。統計解析の詳細は

附属書 1

参考 B

に示す。


7

G 1326 : 2000

附属書 表 1  統計解析結果

ニッケルの含有率  % (m/m)

統計項目

15

∼30 31∼45

標準偏差−同一分析者,S

w1

 0.047

0.066

標準偏差−分析者間/室内,S

w2

 0.047

0.095

標準偏差−室間,S

b

 0.054

0.047

並行許容差,

2

1

83

.

2

w

S

r

=

 0.13

0.19

室内再現許容差,

2

2

2

1

83

.

2

w

w

w

S

S

R

+

=

 0.19

0.33

室間再現許容差,

2

2

2

2

1

83

.

2

b

w

w

S

S

S

R

+

+

=

 0.24

0.35

備考1.  これら並行許容差及び再現許容差は,この附属書に規定された分析

方法の,又は類似の試料を分析したときの,代表的な精度であると

考えてよい。

2.

並行許容差及び再現許容差のデータは,スプリッティンクリミット
を決めるときの指針として利用できる可能性がある。

参考  スプリッティングリミットとは,許容できる売り手と買い手の分析値

の差のことで,通常は,売買契約上で取り決められる。

9.

分析報告書

分析報告書には,次の情報を記載しなければならない。

a)

用いた引用規格

b)

分析結果

c)

独立した繰返し分析数

d)

分析の際の通常と異なる点

e)

この附属書に含まれない操作又は付加的な操作とみなすことができるもの。


8

G 1326 : 2000

附属書 附属書 A(規定)   

原子吸光法によるろ液中のニッケルの定量 

この

附属書 A

は,

附属書 1

の一部を構成するものである。

A.1

通則

この

附属書 A

は,ニッケルを重量分析法で分析する際に得られるろ液を合わせた溶液中の残留ニッケル

の定量方法を記載したものである(

7.5.10

及び

7.5.11

参照)

A.2

試薬

A.2.1

塩酸,

ρ

20

1.19g/ml

A.2.2

ニッケル標準溶液

  0.1gNi/

l

に相当する。

金属ニッケル[純度 99.9% (m/m)  以上]1.00g を 0.005g のけたまではかり取り,ビーカー (600ml) に入

れ,硝酸  (

ρ

20

=1.41g/ml) (1+1) 40ml で分解する。シロップ状まで濃縮し,放冷した後,水で塩類を溶解し

て全量フラスコ 1 000ml に移し入れる。水を標線まで加える。

この溶液 25.0ml を分取して,全量フラスコ 250ml に移し入れ,水を標線まで加える。

この標準溶液 1ml には 0.1mg のニッケルが含まれる。

A.3

装置

装置は,通常の実験装置及び次のものを用いる。

A.3.1

ビュレット

  容積 50ml で,0.05ml 刻みに目盛された,

JIS R 3505

クラス A のビュレット又は

ISO 

385-1

クラス A のビュレット。

A.3.2

全量フラスコ

  容積 200ml,

250ml

及び 1 000ml で,

JIS R 3505

クラス A の全量フラスコ又は

ISO 1042

クラス A の全量フラスコ。

A.3.3

ピペット

  容積 25ml で,

JIS R 3505

クラス A のピペット又は

ISO 648

クラス A のピペット。

A.3.4

原子吸光分析装置

  アセチレン・空気フレーム用のバーナー及びニッケルの中空陰極ランプを装備

したもの。

A.4

操作

A.4.1

原子吸光分析装置の調整

装置の取扱説明書に従い,必要な装置パラメータを設定する。測定波長を 232nm に,また,ニッケルラ

ンプの電流を推奨されている値に調整する。

バーナーを点火し,

水を噴霧しながら,

少し酸化性で透明感があり蛍光のないフレームが得られるよう,

空気及びアセチレンの流量を調整する。装置の指示値がゼロになるように調整をする。

A.4.2

検量線溶液の調製

ビュレットを用いて,全量フラスコ 200ml 5 個のそれぞれに,0ml,2ml,5ml,10ml 及び 15ml のニッケ

ル標準溶液

(A.2.2)

を分取して入れる。塩酸

(A.2.1)

50ml

を加え,水を標線まで加える。これらの検量線溶液

200ml

中には 0.0mg,0.2mg,0.5mg,1.0mg 及び 1.5mg のニッケルか含まれる(

7.5.10

参照)


9

G 1326 : 2000

A.4.3

原子吸光測定

まずゼロから順に,検量線溶液

(A.4.2)

を噴霧し,読み取った吸光度を記録する。それぞれの測定の間に

は水を噴霧して装置内を洗浄する。

合わせたろ液

(7.5.10)

を噴霧し,読み取った吸光度を記録する。

ろ液の測定値が,2 個の検量線溶液の測定値の間に挟まれるように,検量線溶液及びろ液の測定を繰り

返す。

A.4.4

検量線作成

検量線溶液のニッケルの含有量に対する装置の指示値をプロットする。

A.5

結果の表現

検量線

(A.4.4)

を用いて,ろ液の吸光度に対応するニッケルの量を読み取る。

8.1

の計算式の中の,ろ液から検出されたニッケルを試料中の百分率に換算した値

W

f

 [% (m/m)]

を,次

の式によって算出する。

100

0

3

×

×

V

m

m

W

f

ここに,

m

0

:  はかり取った試料の質量 (g)

m

3

:  合わせたろ液からのニッケルの検出量 (mg)

V

7.5.1

で分取した試料溶液の量 (ml)

備考1.

原子吸光分析装置の中には,スケールを拡大した方がよいものもある。

2.

検量線溶液の調製の際,ジメチルグリオキシムの添加及びシロップ状までの濃縮は必要ない。

3.

ろ液中のニッケルの濃度が高い場合,適切な濃度まで希釈する必要がある。


10

G 1326 : 2000

附属書 参考 B   

分析室間試験の統計解析結果 

この

参考 B

は,単なる資料であり,この

附属書 1

の一部を構成するものではない。

B.0

はじめに

7

か国の 20 分析室の 39 分析者が,この

附属書 1

に規定された方法による共同実験を実施した。ニッケ

ルの含有率 21∼41% (m/m) の市販のフェロニッケル 8 試料を分析した。この共同実験計画は,

ISO 5725

に基づき,一般的な,並行許容差及び分析室内並びに分析室間の再現許容差を決定することを目的として

いる。

B.1

引用規格

ISO 3534

  Statistics−Vocabulary and symbols

ISO 5725

  Precision of test methods−Determination of repeatability and reproducebility by inter-laboratory

tests

参考

ISO 5725

は,次の規格で置き換えられている。

ISO 5725-1

6

 : 1994

  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 1∼6

B.2

定義

ISO 3534

の定義を適用する。

同一分析室内での分析者の違いなどの要因による,室内再現性を加えた。

B.3

実験計画の設計

実験計画は,最大の情報が得られるように設計された。それぞれの試料について,2 人の分析者による

各人 2 個ずつの結果が報告された。したがって,参加した各分析室から,各試料に対してそれぞれ二組の

結果が報告された。

B.4

分析試料

この実験計画では,インゴットからミル又はドリルを用いて得られたチップ状のフェロニッケル 8 試料

を用いた。

ミルを用いる場合,チップは振動クラッシャーで砕いた。これらの試料のニッケルの含有率は 21∼41%

(m/m)

で,市販品を代表するものである。

B.5

分析操作の変更

この分析室試験では,試料溶液の分取量は,ニッケルの含有率 30% (m/m)  以下のとき 50ml,また,30%

(m/m)

以上のとき 25ml であった。しかし,この試験の後,それぞれの分取量は 100ml 及び 50ml に変更さ

れた(

7.5.1

参照)


11

G 1326 : 2000

B.6

統計解析の手順

B.6.1

異常値の検定

B.6.1.1

ISO 5725

で推奨されているコクランの検定を,分析者内の変動(分析者ごとの並行分析の並行許

容差の分散)の比較に用いた。95%の確率で,3 試料で 4 分析室か棄却された。

B.6.1.2

同じ検定を,室内変動の比較に用いた。

“分析者”が“分析室”になったこと,また,

“個々の定量

値”が“分析者ごとの平均値”になったことを除けば,前述のものと同様のやり方である。95%の確率で,

4

試料で 4 分析室が棄却された。

B.6.1.3

分析室間の平均値の検定をするために,

ISO 5725

ではディクソン検定を推奨している。しかしな

がら,この検定は,少ない数の平均値の比較にだけ妥当である。20 の分析室という多くの分析室の比較に

は,グラブス検定がより一般的で厳密であるので,今回の統計解析ではグラブス検定を採用した。95%の

確率で,3 試料で 3 分析室が棄却された。

B.6.2

試料ごとの分散の解析

B.6.2.1

繰り返しの分散

S

w1

2

及び室間の分散

S

b

2

の算出は

ISO 5725

に基づいた。一方,今回の分析室試験で

は,

分析者間の分散と室間の分散とを区別できるように計画されている。

これらは次のように解析できる。

S

w1

は,繰り返しの標準偏差(分析者内)

S

w2

は,分析者間/室内の標準偏差(同一分析室内の分析者間)

S

b

は,室間の標準偏差

S

w

は,室内再現性(分析者の違いを含む。

)の標準偏差

2

2

2

1

w

w

w

S

S

S

+

ここに,

S

R

は,再現性の標準偏差

2

2

2

2

1

b

w

w

R

S

S

S

S

+

+

この形から,

ISO 5725

の考え方によって,次のように導くことができる。

並行許容差

2

1

83

.

2

w

S

r

=

室内再現許容差(分析者の違いを含む)

2

2

2

1

83

.

2

w

w

w

S

S

R

+

=

室間再現許容差

2

2

2

2

1

83

.

2

b

w

w

S

S

S

R

+

+

=

備考

R

w

は中間的な量であり,それは数人の分析者によって定量できた分析室内の値である。

B.6.2.2

スネデカー検定は,与えられた確率で,

“分析者”要因又は“分析室”要因が有意であるかどうか

という検定に適用された。この解析の結果を

附属書 表 2

に要約した。

B.6.3

4

試料から成る二つのグループにおける分散の解析

B.6.3.1

予備試験から,シリーズ A の 4 試料は同じ傾向をもつが,シリーズ B では若干異なることが分か

った。より大きな自由度で行われた分散の有意性の検定の結果から,4 試料から成る二つのグループの統

計的解析では,補足的な情報が得られた。濃度の低いグループの結果及び濃度の高いグループの結果が得

られた。

B.6.3.2

試料ごとの解析では不可能であったサンプリングの分散を,シリーズ B の場合,

“分析者及び分析

室”の分散(

S

w22

S

b

2

となる。

)から推測できることが,このより進めた解析によって分かった。このこと

は,

シリーズ B の四つの試料の単純な平均から,

わずかに小さな

S

w2

及び

S

b

が得られることと矛盾しない。

実際に,この推定結果は,分析方法自体の精度とよく一致する。得られた値を

附属書 表 3

に示す。


12

G 1326 : 2000

附属書 表 2  分析者及び分析室要因

試料 Ni 含有

%

(m/m)

棄却後
分析者

n

繰返し
標準偏

S

w1

分析者

間/室内

標準偏

S

w2

分析者要
因のスネ
デカー検

定の有意

室間標
準偏差

S

b

分析室要
因のスネ
デカー検

定の有意

並行
許容

r

室内再現

許容差

(分析者

間含む)

R

w

室間再
現許容

R

A1

21.55

34

0.065 2

0.066 4

HS

3)

 0.066

1

S

2

 0.18 0.26  0.32

A2

21.76

32

0.057 0

0.079 9

THS

4)

 0.026

5

NS

1

 0.16  0.28  0.29

A3

23.50

26

0.055 5

0.061 4

HS

3)

 0.048

4

NS

1

 0.16  0.23  0.27

A4

25.22

38

0.056 2

0.077 5

THS

4)

 0.048

7

NS

1

 0.16  0.27  0.30

B1

27.14

34

0.065 9

0.065 7

HS

3)

 0.034

1

NS

1

 0.19  0.26  0.28

B2

34.90

36

0.068 6

0.145 9

THS

4)

5

 NS

1

 0.19  0.45  0.45

B3

37.74

36

0.087 4

0.105 6

THS

4)

 0.099

1

S

2

 0.25 0.39  0.48

B4

41.11

34

0.073 8

0.093 5

THS

4)

 0.124

9

HS

3

 0.21  0.34  0.49

1) NS

は,95%の確率で有意でないことを示す。

2)  S

は,95%の確率で有意だが,99%で有意でないことを示す。

3) HS

は,99%の確率で高い有意だが,99.9%で有意でないことを示す。

4) THS

は,99.9%の確率で非常に高い有意であることを示す。

5)

分散の通常の解析から導き出される数値から,B2 試料の S

b

を除く,標準偏差 S

w2

及び S

b

を見積もるこ

とができた。B2 試料の S

b

を 0 とみなすことができる。

附属書 表 3  統計解析結果

ニッケルの含有率  % (m/m)

統計項目

15

∼30 31∼45

標準偏差−同一分析者  S

w1

 0.047

0.066

標準偏差−分析者間/室内  S

w2

 0.047

0.095

標準偏差室間  S

b

 0.054

0.047

並行許容差

2

1

83

.

2

w

S

r

=

 0.13

0.19

室内再現許容差

2

2

2

1

83

.

2

w

w

w

S

S

R

+

=

 0.19

0.33

室間再現許容差

2

2

2

2

1

83

.

2

b

w

w

S

S

S

R

+

+

=

 0.24

0.35


13

G 1326 : 2000

附属書 2(規定)  ニッケル定量方法− 

ジメチルグリオキシム沈殿分離エチレンジアミン四酢酸 

二水素二ナトリウム滴定法 

1.

要旨

  試料を硝酸で分解し,過塩素酸を加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生させた後,塩類を塩酸

で溶解する。酒石酸及びアンモニア水を加えて弱アルカリ性とし,ジメチルグリオキシムを加えてニッケ

ルを沈殿させてこし分け,沈殿を硝酸で分解する。次に,酒石酸を加え,アンモニア水で弱アルカリ性と

し,ムレキシドを指示薬としてエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム(以下 EDTA と略す)標準溶

液で滴定するか,酢酸アンモニウムを加えて弱酸性とし,Cu-PAN を指示薬として EDTA 標準溶液で滴定

するか,又は一定量の EDTA 標準溶液を加えアンモニア水及び硝酸で酸濃度を調節した後,酢酸及び酢酸

アンモニウムを加えて弱酸性とし,キシレノールオレンジを指示薬として亜鉛標準溶液で過剰の EDTA を

逆滴定する。沈殿をこし分けた後のろ液及び洗液中に残留するニッケルを原子吸光法で定量し,結果を補

正する。

2.

試薬

  試薬は,次による。

a)

塩酸

b)

塩酸 (11, 19) 

c)

硝酸 (11) 

d)

過塩素酸

e)

ふっ化水素酸

f)

硫酸 (11) 

g)

アンモニア水

h)

アンモニア水 (11) 

i)

二硫酸ナトリウム

j)

洗浄液

  温水約 500ml にアンモニア水 1 滴を加えてかき混ぜたもの。この溶液は,使用の都度調製す

る。

k)

酒石酸溶液 (200g/l

l)

酢酸アンモニウム溶液 (500g/l)

m)

酢酸−酢酸アンモニウム溶液

  酢酸アンモニウム 250g を水に溶解し,液量を水で 1 000ml とした後,

酢酸 25ml を加える。

n)

ジメチルグリオキシム溶液

  ジメチルグリオキシム 1g をエタノール (95) 100ml に溶解する。

o)

0.02mol/EDTA

標準溶液

  EDTA 二水和物 7.5g を水約 100ml に溶解し,溶液を全量フラスコ 1 000ml

に水を用いて移し入れ,水を標線まで加える。この溶液 1ml に相当するニッケル相当量を,次のいず

れかの手順によって求める。

1)

ムレキシドを指示薬とする場合

1.1)

ニッケル(99.9%以上)0.600 0g をはかり取り,ビーカー (300ml) に移し入れて時計皿で覆い,硝

酸 (1+1) 30ml を加えて穏やかに加熱して分解し,常温まで放冷した後,全量フラスコ 1 000ml に水


14

G 1326 : 2000

を用いて移し入れ,水を標線まで加えてニッケル標準溶液 (600

µ

gNi/ml)

とする。このニッケル標

準溶液 50ml を分取してビーカー (300ml) に移し入れる。

1.2)

4.3a)2)

の操作を行い,次の式によって 0.002mol/

l

EDTA

標準溶液 1ml に相当するニッケル量を算出す

る。

V

G

f

×

000

1

50

ここに,

f

: 0.02mol/

l

EDTA

標準溶液 1ml に相当するニッケルの量 (g)

G

1.1)

ではかり取ったニッケルの量 (g)

V

: 0.02mol/

l

EDTA

標準溶液の使用量 (ml)

2)

Cu-PAN

を指示薬とする場合

2.1)

1)1.1)

の操作を行った後,水を加えて液量を 150ml とする。

2.2)

4.3b)2)

の操作を行い,次の式によって 0.002mol/

l

EDTA

標準溶液 1ml に相当するニッケル量を算出す

る。

V

G

f

×

000

1

50

ここに,

f

: 0.02mol/

l

EDTA

標準溶液 1ml に相当するニッケルの量 (g)

G

2.1)

ではかり取ったニッケルの量 (g)

V

: 0.02mol/

l

EDTA

標準溶液の使用量 (ml)

3)

キシレノールオレンジを指示薬とする場合

3.1)

1)1.1)

の操作を行う

3.2)

4.3c)2)

の操作を行い,次の式によって 0.002mol/

l

EDTA

標準溶液 1ml に相当するニッケル量を算出す

る。

F

V

V

G

f

×

×

2

1

000

1

50

ここに,

f

: 0.02mol/

l

EDTA

標準溶液 1ml に相当するニッケルの量 (g)

G

3.1)

ではかり取ったニッケルの量 (g)

V

1

: 0.02mol/

l

EDTA

標準溶液の使用量 (ml)

V

2

: 0.02mol/

l

亜鉛標準溶液の使用量 (ml)

F

: 0.02mol/

l

亜鉛標準溶液の 0.02mol/

l

EDTA

標準溶液に対するファ

クター

p)

0.02mol/l

亜鉛標準溶液

亜鉛(99.9%以上)1.30g をはかり取り,ビーカー (500ml) に移し入れ,時計

皿で覆い,塩酸 (1+1) 20ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで放冷した後,水を加えて

液量を 1 000ml とする。この溶液の標定は,次による。

0.02mol/

l

EDTA

標準溶液[

o)

]

を正確に 25ml 取り,ビーカー (300ml) に移し入れ,水を加えて液量を

約 150ml とし,キシレノールオレンジ溶液 3∼5 滴を指示薬として加え,酢酸−酢酸アンモニウム溶

液[

m)

]25ml

を加え,約 10 分間放置する。この溶液を 0.02mol/

l

亜鉛標準溶液で滴定し,溶液の色が黄

色か ら赤 紫に 変 わる 点を 終点 とし ,0.02mol/

l

亜 鉛 標準 溶液 の使 用 量を 求め ,次 の式 によ って

0.02mol/

l

EDTA

標準溶液に対する 0.02mol/

l

亜鉛標準溶液のファクターを算出する。

V

F

25

ここに,  F: 0.02mol/亜鉛標準溶液の 0.02mol/lEDTA 標準溶液に対するファ

クター

V

: 0.02mol/亜鉛標準溶液の使用量 (ml)


15

G 1326 : 2000

q)

ニッケル標準溶液 (100

µgNi/ml) 

  ニッケル(99.5%以上)1.000g をはかり取り,ビーカー (300ml) に

移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 30ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで放冷した

後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を全量フラスコ 1 000ml に水を用いて移し入

れ,水を標線まで加えて原液 (1mgNi/ml) とする。使用の都度,この原液を必要量だけ正確に水で 10

倍に希釈してニッケル標準溶液とする。

r)

ブロモチモールブルー溶液 (1g/l

  調製方法は,

JIS K 8001

4.4

による。

s)

ムレキシド希釈粉末

  ムレキシド 0.5g と乾燥した塩化ナトリウム 50g とを混ぜ,乳鉢で十分にすり合

わせて均一にする。

t)

Cu-PAN

溶液

  Cu-PAN[Cu-EDTA と 1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールの混合物]1g を 2-プロパノ

ール (50v/v%) 100ml に溶解する。

u)

キシレノールオレンジ溶液 (1g/l

3.

試料のはかり取り量

  試料のはかり取り量は,ニッケルの含有率に応じて,

附属書 表 1

に従っては

かり取り,0.1mg のけたまで読み取る

(

1

)

附属書 表 1

試料中のニッケルの含有率

% (m/m)

試料のはかり取り量

g

15

以上 30 未満 0.80∼2.0

30

以上 60 以下 0.40∼1.0

(

1

)

試料は

附属書21

に従うとともに,ニッケルの量が200∼300mg となる量をはかり取る。

4. 

操作

4.1

試料の分解

  試料の分解は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 30ml を加え,穏やか

に加熱して分解する。過塩素酸 30ml を加え,加熱蒸発して過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わ

って逆流する状態になった後,約 20 分間加熱を継続し,試料を十分に分解する。

b)

放冷した後,塩酸 (1+1) 20ml 及び温水約 50ml を加え,加熱して可溶性塩類を溶解する。時計皿の下

面を温水で洗浄して時計皿を取り除き,溶液をろ紙(5 種 B)を用いてろ過し,約 40∼60℃に加熱し

た塩酸 (1+9)  で 3, 4 回洗浄し,次いで温水で十分に洗浄する

(

2

)

。ろ液及び洗液を常温まで放冷した

後,全量フラスコ 500ml に水を用いて移し入れ,水を標線まで加える。

(

2

)

この残さ中にニッケルを含むおそれのあるときは,残さをろ紙と共に白金るつぼ(30番)に移

し入れ,ろ紙を乾燥した後,穏やかに加熱して灰化する。放冷した後,硫酸 (1+1) 2,3滴を加

えて湿し,ふっ化水素酸3∼5ml を加え,飛まつが飛ばないように注意しながら加熱して二酸化

けい素及び硫酸を揮散させる。放冷した後,二硫酸ナトリウム2∼3g を加え,穏やかに加熱し

て融解する。放冷した後,融成物を少量の温水及び塩酸約1ml で溶解し,ろ液及び洗液に加え

る。

4.2

沈殿の生成及び分離

  沈殿の生成及び分離は,次の手順によって行う

a)

4.1b)

で得た溶液から 50ml を分取してビーカー (500ml) に移し入れ,酒石酸溶液 25ml を加え,水を加

えて液量を約 300ml とする。

b)

この溶液にブロモチモールブルー溶液[

2.r)

]2

,3 滴を指示薬として加え,溶液をかき混ぜながら,アン


16

G 1326 : 2000

モニア水を溶液の色が黄色から緑に変わるまで滴加し,更に,過剰に約 5ml を加える

(

3

)

。加熱して液

温を約 70℃とし,溶液をかき混ぜながら,溶液中のニッケル及びコバルトの合量 10mg に対してジメ

チルグリオキシム溶液[

2.n)

]

を 4ml の割合で加え,更に過剰に 20ml を加える。溶液を約 30 秒間激しく

かき混ぜた後,引き続き加熱して液温を約 70℃に約 10 分間保ち,更に室温に約 2 時間放置

(

4

)

して,

ニッケルジメチルグリオキシムの沈殿を熟成する。

c)

沈殿をろ紙(5 種 A)を用いてこし分け,洗浄液[

2.j)

]

で十分に洗浄する。ろ液及び洗液は保存する

(

5

)

d)

ろ紙上の沈殿を温水で元のビーカーに洗い落とす。約 40∼60℃に加熱した硝酸 (1+1) 20ml をろ紙上

から滴加して,ろ紙上に残った沈殿を分解し,ろ紙を温水で十分に洗浄する。ろ液及び洗液は元のビ

ーカーに合わせ,4∼5 分間煮沸してジメチルグリオキシムニッケルを分解する。

(

3

)

この溶液は透明でなければならない。また,このときの pH は約9.5である。

(

4

)

約 30 分間水冷して沈殿を熟成してもよい。

(

5

)

ろ液及び洗液中に残留するニッケルを

4.4

で定量して,結果を補正するために保存する。

4.3

滴定

  滴定は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

ムレキシドを指示薬とする場合

1)

4.2d)

で得た溶液を加熱蒸発して,2∼3ml となるまで濃縮する。放冷した後,水約 30ml を加える。

2)

酒石酸溶液[

2.k)

]1ml

を加え,溶液をかき混ぜながらアンモニア水 (1+1)  を溶液の色が緑から青緑

に変わるまで滴加し,更に過剰に 10ml を加えた後,水を加えて液量を約 100ml とする

(

6

)

。この溶

液を常温まで放冷した後,ムレキシド希釈粉末[

2.s)

]

約 0.1g を指示薬として加え,0.02mol/lEDTA 標

準溶液[

2.o)

]

で滴定し,溶液の色が黄色から紫に変わる点を終点とし,0.02mol/lEDTA 標準溶液の使

用量を求める。

b)

Cu-PAN

を指示薬とする場合

1)

4.2d)

で得た溶液に,水を加えて液量を約 150ml とする。

2)

これに Cu-PAN 溶液[

2.t)

]5

滴を指示薬として加え,

溶液をかき混ぜながら酢酸アンモニウム溶液[

2.l)

]

を少量ずつ加え,溶液の色が黄色から赤紫に変わってから,更に過剰に 10ml を加える

(

7

)

。この溶

液を煮沸直前まで加熱し,直ちに 0.02mol/lEDTA 標準溶液[

2.o)

]

で滴定し,溶液の色が赤紫から黄色

に変わる点を終点とし,0.02mol/lEDTA 標準溶液の使用量を求める。

c)

キシレノールオレンジを指示薬とする場合 

1)

4.2d)

で得た溶液を放冷する。

2)

溶液中のニッケルの予想量 10mg に対して 0.02mol/lEDTA 標準溶液[

2.o)

]

を 10ml の割合で加え,更

に過剰に 3∼5ml を正確に加えた後,キシレノールオレンジ溶液 3∼5 滴を指示薬として加え,溶液

をかき混ぜながらアンモニア水 (1+1)  を溶液の色が黄色から赤紫に変わるまで滴加し,水を加え

て液量を約 150ml とする。溶液をかき混ぜながら硝酸 (1+1)  を溶液の色が赤紫から黄色に変わる

まで滴加し,更に酢酸−酢酸アンモニウム溶液[

2.m)

]125ml

を加え

(

8

)

,約 10 分間放置する。この溶

液を 0.02mol/亜鉛標準溶液[

2.p)

]

滴定し,溶液の色が黄色から赤紫に変わる点を終点とし,0.02mol/l

亜鉛標準溶液の使用量を求める。

(

6

)

このときの pH は,約10である。

(

7

)

このときの pH は 4.0∼4.3 である。

(

8

)

このときの pH は,5.5∼5.7 である。

4.4

ろ液及び洗液中のニッケルの定量

  ろ液及び洗液中のニッケルの定量は,次の手順によって行う。

a)

4.2c)

で保存しておいたろ液及び洗液をビーカー (500ml) に合わせ,加熱蒸発して液量が約 50ml とな


17

G 1326 : 2000

るまで濃縮し,塩酸 25ml を加える。常温まで放冷した後,溶液を全量フラスコ 100ml に水を用いて

移し入れ,水を標線まで加える。

b)

溶液の一部を水でゼロ点を調整した原子吸光分析装置のアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,波長

232.0nm

における吸光度を測定する。

c)

数個の全量フラスコ 100ml を準備し,これらにニッケル標準溶液  [

2.q)

]0

∼10.0ml(ニッケルとして 0

∼1mg)を段階的に取り,それぞれに塩酸 25ml を加えた後,水を標線まで加える。以下,

b)

の操作を

ろ液及び洗液と並行して行い,得た吸光度とニッケルの量との関係線を作成して検量線とする。

d)

b)

で得た吸光度と

c)

で作成した検量線とからニッケルの量を求め,ろ液及び洗液中に残留するニッケ

ル量とする。

5.

計算

  試料中のニッケルの含有率を,次の式によって算出する。

5.1

ムレキシド又は Cu-PAN を指示薬として用いた場合

100

500

50

1

×

×

×

=

m

m

f

V

Ni

ここに,

Ni

:  試料中のニッケルの含有率 [% (m/m)]

V

4.3

a)2)

又は

b)2)

で得た 0.02mol/lEDTA 標準溶液の使用量

(ml)

f

: 0.02mol/lEDTA 標準溶液 1ml に相当するニッケルの量 (g)

m

1

4.4d)

で得たろ液及び洗液中に残留するニッケルの量 (g)

m

:  試料のはかり取り量 (g)

5.2

キシレノールオレンジを指示薬として用いた場合

(

)

100

500

50

1

2

1

×

×

+

×

×

m

m

f

F

V

V

Ni

ここに,  Ni:  試料中のニッケルの含有率 [% (m/m)]  

V

1

:  4.3c)2)で得た 0.02mol/lEDTA 標準溶液の使用量 (ml)

V

2

:  4.3c)2)で得た 0.02mol/亜鉛標準溶液の使用量 (ml)

F

: 0.02mol/亜鉛標準溶液の 0.02mol/lEDTA 標準溶液に対するフ

ァクター

f

: 0.02mol/標準溶液 1ml に相当するニッケルの量 (g)

m

1

:  4.4d)で得たろ液及び洗液中に残留するニッケルの量 (g)

m

:  試料のはかり取り量 (g)


18

G 1326 : 2000

6.

分析精度  この方法による分析精度は,附属書 表 による。

附属書 表 2

単位 % (m/m)

試料中のニッケルの含有率

室内標準偏差

(

9

)

室間標準偏差

(

10

)

15

以上 30 未満 0.045

0.065

30

以上 60 以下 0.065

0.105

(

9

)

室内標準偏差は,同一分析室内で繰り返し分析したとき

の精度を示す。

(

10

)

室間標準偏差は,各分析室で 2 回繰り返し分析したとき
の各分析室の平均値間の精度を示す。


19

G 1326 : 2000

附属書 3(規定)  コバルト定量方法−原子吸光法

序文  この附属書 は,1985 年に第 1 版として発行された ISO 7520, Ferronickel−Determination of cobalt

content

−Flame atomic absorption spectrometric method を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更するこ

となく規定したものである。

なお,この附属書で点線の下線を施した箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲

この

附属書 は,フェロニッケル中のコバルトの含有率をフレーム原子吸光法で定量する方法について

規定する。

この方法は,コバルトの含有率が 0.025% (m/m)  以上 2.5% (m/m)  以下のフェロニッケルに適用する。

2.

引用規格

JIS R 3505

  ガラス製体積計

ISO 385-1

  Laboratory glassware−Burettes−Part 1 : General requirements

ISO 648

  Laboratory glassware−One-mark pipettes

ISO 1042

  Laboratory glassware−One-mark volmetric flasks

ISO 5725

  Precision of test methods−Determination of repeatability and reproducebility by inter-laboratory

tests

ISO 6352

  Ferronickel−Determination of nickel content−Dimethylglyoxime gravimetric method

参考  ISO 5725 は,次の規格で置き換えられている。

ISO 5725-1

6 : 1994  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 1∼6

3.

原理

試料を硝酸及び塩酸の混酸で分解する。過塩素酸処理を行って,二酸化けい素を沈殿させ,ろ過して二

酸化けい素を除去する。妨害の可能性を除くためにランタン溶液を添加して,原子吸光分析装置のアセチ

レン・空気フレーム中に噴霧し,波長 240.7nm における吸光度を測定してコバルトを定量する。

備考  この分析は,ISO 6352 でニッケルを定量するために調製された溶液に適用することができる。

なお,実験室試料のばらつきが小さい場合は,

附属書 8,  附属書 14 又は附属書 15 で調製され

た試料溶液からコバルトを定量することができる。

4.

試薬

特に規定がある場合を除き,分析には,認定された分析級の試薬及び蒸留水又は同等な純度の水を用い

る。

4.1

塩酸

ρ

20

1.19g/ml

4.2

塩酸

ρ

20

1.19g/ml  希釈液 (1+9)

4.3

硝酸

ρ

20

1.41g/ml  希釈液 (1+1)

4.4

過塩素酸

ρ

20

1.61g/ml   [72% (m/m)]

4.5

ふっ化水素酸

ρ

20

1.14g/ml  希釈液 (1+1)


20

G 1326 : 2000

警告

ふっ化水素酸は,皮膚及び粘膜に対して非常に刺激性及び腐食性があり,治療に時間が

かかる激しい皮膚の炎症を引き起こす。皮膚に接触した場合には,水でよく洗い,医者

に相談する。

4.6

ランタン溶液  200gLa/l

塩化ランタン六水和物 (LaCl

3

・6H

2

O) 250g

をはかり取って,ビーカー (600ml) に移し入れる。塩酸

(4.1)

25ml

及び水 300ml を加える。完全に溶解するまでかき混ぜる。必要ならろ過し,全量フラスコ 500ml

に入れ,水を標線まで加える。

4.7

ニッケル・鉄マトリックス溶液   (12gNi+28gFe) /l

4.7.1

高純度ニッケル粉末[コバルトの含有率が 0.001% (m/m)  以下のもの]12.0g をはかり取ってビーカ

ー (800ml) に移し入れ,水 50ml 及び硝酸  (

ρ

20

=1.41g/ml) 50ml を加える。最初の反応が終了してから,か

き混ぜ,加熱して完全に分解する。水を加えて液量を約 250ml とする。

4.7.2

高純度鉄粉末[コバルトの含有率か 0.001% (m/m) 以下のもの]28.0g をはかり取ってビーカー

(800ml)

に移し入れ,塩酸 (1+1) 100ml を加える。注意深く硝酸  (

ρ

20

=1.41g/ml) 50ml を加え,完全に分解

し,鉄が酸化するまで加熱する。水を加えて液量を約 250ml とする。

4.7.3

ニッケル溶液(4.7.1)を鉄溶液(4.7.2)に注意深く加え,全量フラスコ 1 000ml 中にろ過し,水を標線

まで加える。

4.8

コバルト標準溶液 (0.500gCo/l)  

高純度コバルト粉末[純度 99.9% (m/m)  以上のもの]0.500g を 0.001g のけたまではかり取って,ビーカ

ー (600ml) に移し入れ,硝酸(4.3)40ml を加える。完全に溶解するまで加熱し,穏やかに煮沸して窒素酸化

物を除去した後,放冷し,あらかじめ硝酸(4.3)160ml を入れてある全量フラスコ 1 000ml に移し入れる。

水を標線まで加える。

この標準溶液の 1ml は,コバルト 0.500mg を含む。

5.

装置

装置は,通常の実験装置及び次のものを用いる。

5.1

原子吸光分析装置  アセチレン・空気フレームを利用できるラミナーフローバーナー及びコバルト

の中空陰極ランプを装備したもの。

5.2

ビュレット  容積 50ml で,0.1ml 刻みに目盛された,JIS R 3505 クラス A のビュレット又は ISO 385-1

クラス A のビュレット。

5.3

ガラスビーカー  容積 600ml で,きれいで,侵食がなく,底が平らなもの。

5.4

ピペット  容積 25ml 及び 50ml で,JIS R 3505 クラス A のピペット又は ISO 648 クラス A のピペッ

ト。

5.5

全量フラスコ  容積 250ml, 500ml 及び 1 000ml で,JIS R 3505 クラス A の全量フラスコ又は ISO 1042

クラス A の全量フラスコ。

5.6

ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) ビーカー  容積 600ml,けい素の含有率の高い試料に使用す

る。

6.

サンプリング及び試料

6.1

サンプリング及び実験室試料の調製は,同意された方法,又は同意が得られない場合には関連する

国際規格によって,実施されなければならない。


21

G 1326 : 2000

6.2

実験室試料は,一般に粉,細粒,削り粉又は切り粉であり,それ以上の試料調製を必要としない。

6.3

実験室試料が,ミル又はドリルを用いた調製の過程で油又はグリスに汚染されているおそれがある

ときは,高純度アセトンで洗浄した後,空気中で乾燥する。

6.4

実験室試料が,広範囲な大きさの粒子及び片を含む場合は,分析試料は,二分器を通すのがよい。

7.

操作

警告

過塩素酸白煙は,強力な酸化剤であり,有機物質と接触すると爆発性の混合物を生じる。

蒸発は,すべて過塩素酸用に適したドラフト中で行うことが望ましい。

7.1

試料のはかり取り

実験室試料 3.9∼4.1g をはかり取り,0.001g のけたまで読み取る。これをガラスビーカー(5.3)に移し入れ

る。

7.2

空試験

空試験は,定量操作と並行して,同じ操作で,全試薬の同量を用いて行う。

7.3

試料溶液の調製

7.3.1

はかり取った試料(7.1)に,水 25ml を添加し,引き続き硝酸 (1+1) 50ml を添加して分解する。ビ

ーカーを時計皿で覆い,必要なら,完全に分解するまで穏やかに加熱する。

注  けい素の含有率が 1% (m/m) 以上のフェロニッケル試料に対しては,ポリテトラフルオロエチレ

ンビーカー(5.6)を使用する。水 25ml,硝酸(4.3)40ml 及び塩酸(4.1)10ml を順次添加して,試料を

分解する。発泡が終わったら,ふっ化水素酸(4.5)10ml 及び過塩素酸(4.4)40ml を添加し,過塩素酸

の白煙が発生するまで加熱して試料を完全に分解する。放冷した後,その溶液の全量をガラスビ

ーカー(5.3)に移し入れる。多量の白煙が発生するまで 260℃で加熱する。ビーカーを時計皿で覆

い,さらに,この温度で 20 分間加熱を継続した後,7.3.2 の“熱板からビーカーを降ろし,放冷

する。

”以降の手順の操作を行う。

7.3.2

金属が分解したら,過塩素酸(4.4)40ml を加え,多量の白煙が発生するまで 260℃で加熱する。ビー

カーを時計皿で覆い,さらに,この温度で 20 分間加熱する。熱板からビーカーを降ろし,放冷する。塩酸

(4.1)

20ml

及び温水 200ml を加える。中程度の孔径のろ紙(5 種 B)を用いて二酸化けい素をろ別し,ろ液

を全量フラスコ 1 000ml に受ける。塩酸(4.2)でビーカーをすすぎ,二酸化けい素の沈殿を 3 回洗浄し,次

に,温水で 4 回洗浄する。二酸化けい素の沈殿を捨てる。ランタン溶液(4.6)50ml をろ液に加え,水を標線

まで加える(試料溶液 A)

7.4

検量線溶液の調製

7.4.1

検量線溶液 A

7.4.1.1

6

個のビーカー (150ml) に,それぞれニッケル・鉄マトリックス溶液(4.7)50.0ml を移し入れる。

7.4.1.2

ビュレット(5.2)を用いて,コバルト標準溶液(4.8)をそれぞれ,0ml,1.0ml,2.0ml,3.0ml,5.0ml

及び 10.0ml 添加する。過塩素酸(4.4)20ml を加え,白煙が発生し始めるまで加熱する。放冷した後,水 50ml

を加え,その全量を,塩酸(4.1)10ml を入れてある全量フラスコ 500ml に移し入れる。ランタン溶液(4.6)25ml

を加え,水を標線まで加える。

7.4.2

検量線溶液 B

7.4.2.1

6

個のビーカー (150ml) に,それぞれニッケル・鉄マトリックス溶液(4.7)5ml を移し入れる。

7.4.2.2

7.4.1.2

による。

7.5

検量線の作成及び定量


22

G 1326 : 2000

7.5.1

コバルトの含有率が 0.025% (m/m)  以上 0.25% (m/m)  未満と予想される場合

試料溶液 A(7.3.2)及び検量線溶液 A(7.4.1)を測定する。

7.5.1.1

コバルトの中空陰極ランプを取り付け,測定波長を 240.7nm に調整し,取扱説明書に従って原子

吸光分析装置の測定条件を設定する。

7.5.1.2

バーナーに点火し,水を噴霧しながら,少し酸化性で透明感があり蛍光のないフレームが得られ

るよう,空気及びアセチレンの流量を調整する。

7.5.1.3

試料溶液 A(7.3.2)をフレーム中に噴霧し,吸光度の指示値を記録する。

7.5.1.4

水を噴霧し,指示値がゼロに戻るのを確認する。

7.5.1.5

検量線溶液 A(7.4.1)を,濃度の低い順に噴霧し,その吸光度の指示値を記録する。それぞれの測

定の間には,水を噴霧する。

7.5.1.6

空試験溶液を噴霧し,その指示値を記録する。

7.5.1.7

試料溶液,空試験及び検量線溶液の測定を繰り返し,指示値の再現性を確認する。

備考1.  再現性に乏しい場合は,装置の不調又は各溶液間の吸引速度の変化の可能性がある。

2.

試料溶液の測定値が,試料溶液のコバルトの濃度とできるだけ近い濃度の 2 個の検量線溶液

の測定値の間にあることを確認する。

7.5.2

コバルトの含有率が 0.25% (m/m)  以上 2.5% (m/m)  以下と予想される場合

7.5.2.1

試料溶液 A(7.3.2)25.0ml をピペットを用いて分取し,全量フラスコ 250ml 中に移し入れる。ラン

タン溶液(4.6)12ml,過塩素酸(4.4)10ml 及び塩酸(4.1)5ml を加える。水を標線まで加える(試料溶液 B)

7.5.2.2

空試験(7.2)を 7.5.2.1 と同様に希釈する。

7.5.2.3

7.5.1

と同様に,試料溶液 B(7.5.2.1),空試験(7.5.2.2)及び検量線溶液 B(7.4.2)を測定する。

7.6

検量線の作成

検量線溶液のそれぞれの吸光度の指示値から濃度ゼロの吸光度の指示値を差し引いたものを,検量線溶

液中のコバルトの濃度に対してプロットする。

備考  装置の中には,分析元素の濃度を直接読み出せるように設定できるものもある。吸光度と濃度

の検量線は,直線性と指示値の妥当性を確認してプロットすることが望ましい。

8.

結果の表現

8.1

計算

8.1.1

試料溶液及び空試験中のコバルトの濃度を検量線から求める。

8.1.2

コバルトの含有率は,質量百分率で表示し,次の式によって算出する。

(

)

f

m

V

Co

×

×

4

0

1

10

ρ

ρ

ここに,

Co

コバルトの含有率 [% (m/m)]

ρ

1

試料溶液中のコバルトの濃度 (mg/l)

ρ

0

空試験溶液中のコバルトの濃度 (mg/l)

m

はかり取った試料の質量 (g)

V

試料溶液の量 (ml)

f

試料溶液の希釈倍率(試料溶液 B の場合,f=10)

8.2

精度

4

か国の 7 分析室間で,この附属書に規定された方法による共同実験が実施された。ニッケルの含有率

が 21∼41% (m/m)  の市販のフェロニッケル 8 試料中の 0.6∼1.3% (m/m)  のコバルトを定量した。


23

G 1326 : 2000

ISO 5725

に従い計算した並行許容差及び室間再現許容差を

附属書 表 に示す。より低いコバルトの濃

度では,並行許容差及び室間再現許容差がより小さい値になるものと思われる。

附属書 表 1  統計解析結果

ニッケルの含有率% (m/m)   
コバルトの含有率% (m/m)

20

∼25

0.7

25

∼40

0.7

∼1.3

標準偏差−室内,S

w

 0.021

0.044

標準偏差−室間,S

b

 0.013

0.028

並行許容差,

2

83

.

2

w

S

r

=

 0.06

0.12

室間再現許容差,

2

2

83

.

2

b

w

S

S

R

+

=

 0.07

0.15

9.

特別な場合

ジメチルグリオキシム重量法によるニッケルの定量の試料溶液(

附属書 の 7.5.11)を用いるときは,

7.5.2

の操作手順に従って,適当な量を分取するものとし,ランタンを添加してコバルトを定量する。

10.

分析報告書

分析報告書には,次の情報を記載しなければならない。

a)

用いた引用規格

b)

分析結果

c)

独立した繰返し分析数

d)

分析の際の通常と異なる点

e)

この附属書に含まれない操作又は付加的な操作とみなすことができるもの。


24

G 1326 : 2000

附属書 4(規定)  炭素定量方法−燃焼−電量法

1.

要旨  試料を酸素気流中で加熱し,炭素を十分に酸化して二酸化炭素とし,一定の pH にした弱アル

カリ性のバリウム塩溶液に吸収させ,吸収によって減少した pH をバリウム塩溶液の電解によって元の pH

に戻すために要した電気量を測定する。

2.

試薬  試薬は,JIS Z 2615 の 6.7.2 による。

3.

装置,器具及び材料  装置,器具及び材料は,通常 JIS Z 2615 の 6.7.3 及び 5.による。

4.

試料のはかり取り量  試料(

1

)

はかり取り量は,使用する装置に最も適した量とし,0.1mg のけたまで

読み取る。助燃剤は,JIS Z 2615 の 5.(13)に示したものから最も適したものを選び,使用する装置に適し

た量を試料に添加してよく混合するか,試料の上を覆うようにする。

(

1

)

炭素定量用の試料は,通常厚さ1mm 未満に切断又は打砕しておく。

5.

準備操作  準備操作は,JIS Z 2615 の 6.7.4 による。

なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 260∼1 350℃(

2

)

に保つ。

また,高周波誘導加熱炉を用いる場合には,高周波誘導加熱に関する条件(

3

)

を設定する。

(

2

)

温度計の温度指示値と燃焼管内の温度との差に注意して補正する。

(

3

)

例えば,高周波発振機の陽極電流,格子電流など,使用する装置の仕様に応じて決められた条

件のことである。

6.

定量操作  定量操作は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

管状電気抵抗加熱炉を用いる場合  JIS Z 2615 の 6.7.5 による。

b)

高周波誘導加熱炉を用いる場合

1)

試料及び助燃剤を入れたるつぼを受台に置き,燃焼管を閉じる。指定された流量で酸素を送入して

管内の空気を置換した後,高周波誘導加熱炉を作動させ,同時に指示値をゼロに戻す(試料が燃焼

し,二酸化炭素の吸収が始まると,指示値が次第に増加する。

2)

指示計が一定値を示したとき指示値を読み取る。

7.

空試験  空試験は,次のいずれかによる。

a)

管状電気抵抗加熱炉を用いる場合  JIS Z 2615 の 6.7.6 による。

b)

高周波誘導加熱炉を用いる場合  試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤を入れたるつ

ぼを用いて 6.b)の操作を行う。

なお,高周波を誘導しない助燃剤を用いる場合は,炭素の含有率が既知でできるだけ低い鉄など 0.5

∼1.0g を助燃剤に追加して行い,追加した鉄などの炭素の量を補正する。

8.

計算  計算は,JIS Z 2615 の 6.7.7 による。


25

G 1326 : 2000

附属書 5(規定)  炭素定量方法−燃焼−赤外線吸収法

序文  この附属書 は,1985 年に第 1 版として発行された ISO 7524,Nickel metal, ferronickel and nickel alloys

−Determination of carbon content−Infra-red absorption method after induction furnace combustion を翻訳し,技

術的内容及び規格票の様式を変更することなく規定したものである。

なお,この附属書で点線の下線を施した箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲

この

附属書 は,フェロニッケル中の炭素の含有率を,誘導加熱炉を用いて燃焼し,赤外線吸収法で定

量する方法について規定する。

この方法は,炭素の含有率 0.001% (m/m)  以上 2.0% (m/m)  以下のフェロニッケルに適用する。

それらの組成の例を

附属書 参考 に示す。

参考  原文では,ニッケル及びニッケル合金も対象にしているが,これらは,JIS H 1151(ニッケル

地金分析方法)及び JIS H 1275(ニッケル及びニッケル合金中の炭素定量方法)に規定してあ

るので削除し,この附属書では,フェロニッケルについてだけ規定した。

備考  炭素の含有率が 2.0% (m/m)  を超えるときは,JIS G 1211(鉄及び鋼−炭素定量方法)付属書 3

又は

付属書 を適用することができる。

2.

引用規格

ISO 5725

  Precision of test methods−Determination of repeatability and reproducibility by inter-laboratory

tests

参考  ISO 5725 は,次の規格で置き換えられている。

ISO 5725-1

6 : 1994  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−

Part 1

∼6 

3.

原理

試料を融剤及び助燃剤とともに,高周波誘導加熱炉中で酸素を流しながら高温で燃焼する。生成した二

酸化炭素を赤外線ガス分析計によって測定する。

4.

試薬及び材料

4.1

酸素  99.5% (m/m)  以上

4.2

アスカライト又はソーダ石灰  0.7∼1.2mm(14∼22 メッシュ)

4.3

過塩素酸マグネシウム  Mg (C10

4

)

2

  0.7∼1.2mm(14∼22 メッシュ)

4.4

ガラスウール

4.5

るつぼ及びふた

4.5.1

炉の誘導コイル中に正確に試料を置くため,磁器るつぼは正確な寸法でなければならない(9.1 

照)


26

G 1326 : 2000

4.5.2

 0.01%

(m/m)

以下の炭素を定量する場合は,空気又は酸素中であらかじめるつぼを 1 100℃で 1 時

間以上空焼きし,デシケーター又は密閉容器中に保存する。酸素を流す燃焼管の付いた抵抗炉を用いても

よい。るつぼの内容物を高温域に保持するためのるつぼのふたも同様に空焼きする。

4.6

融剤  炭素の含有率の低いすず,銅とすず,又は銅(9.2 参照)

4.7

助燃剤  炭素の含有率の低い銅,鉄,タングステン又はニッケル(9.2 参照)

4.8

鉄鋼標準物質  0.01∼2.5% (m/m)  の炭素を含むもの。

5.

装置

高周波誘導加熱炉中で燃焼し,発生した二酸化炭素を赤外線吸収で測定するために必要な装置は,数社

から市販されている。

装置の操作方法は製造業者の説明書に従う。

圧力調整器は炉の酸素圧の制御に必要であり,製造業者の仕様書に従う[通常 28kN/m

2

 (28kPa)

市販されている装置の特徴を

附属書 参考 に示す。

6.

サンプリング及び試料

6.1

サンプリング及び実験室試料の調製は,同意された方法,又は同意が得られない場合には関連する

国際規格によって,実施されなければならない。

6.2

実験室試料は,一般に粉,細粒,削り粉又は切り粉であり,それ以上の試料調製を必要としない。

6.3

実験室試料が,ミル又はドリルを用いた調製の過程で油又はグリスで汚染されているおそれがある

ときは,高純度アセトンで洗浄した後,空気中で乾燥する。

6.4

実験室試料が,広範囲な大きさの粒子及び片を含む場合は,分析試料は,二分器を通すのがよい。

7.

操作

警告  燃焼分析で危険なのは,主に磁器るつぼの空焼きの際と融解の際の火傷である。常にるつぼ挟

みを用い,使用済みるつぼは適切な容器に廃棄する。酸素ボンベの取扱いには通常の安全対策

を講じる。密閉された室内で酸素が高濃度になると火災の原因となるため,装置から排出され

る酸素を効果的に排気しなければならない。

7.1

装置の安定化

7.1.1

測定(7.4)と同じ操作で,適切な融剤及び助燃剤を用いて幾つかの試料を燃焼させることによって,

装置の調整及び安定化を行う。

備考  この際,るつぼは,空焼きしたものを用いる必要はない。

7.1.2

装置に酸素気流を数回循環させて,ゼロ調整を行う。

7.2

空試験及びゼロ調整

7.2.1

測定(7.4)に用いる量の融剤及び助燃剤を空焼きしたるつぼ(4.5)に入れる。

7.2.2

内容物の入ったるつぼを炉の受台に置き,燃焼位置まで上昇させ,固定する。取扱説明書に従って

炉を操作する。9.3 及び

附属書 参考 を参照。

備考1.  得られた指示値は,るつぼ,融剤及び助燃剤による空試験値に対応する。

2.

空試験値は炭素 0.001% (m/m)  を超えてはならない。

3.

空試験値の指示値が異常に高い場合は,汚染の原因を調査し,除去する。

7.2.3

ゼロ調整つまみ,又は幾つかの装置では空試験調整制御によって装置の指示値を調整する。


27

G 1326 : 2000

7.2.4

装置の精度限度内の再現性のある指示値を得るまで,7.2.17.2.3 を繰り返す。

備考  空試験の指示値を記録し,検量線を用いて補正する方法もある。

7.3

検量線

7.3.1

認証された鉄鋼標準物質(4.8)を選択する。

7.3.2

検量線範囲の上限を含むように,鉄鋼標準物質(4.8)の適量(通常 1.00g)をはかり取って,空焼き

したるつぼに移し入れる。あらかじめ決められた量の融剤及び助燃剤を加え,7.2.2 の条件で燃焼する。装

置の指示値を記録する。

7.3.3

取扱説明書に従って,鉄鋼標準物質中の炭素の含有率と一致するように装置の指示値を調整する。

7.3.4

指示値の再現性を確認するため 7.3.2 を繰り返す。

7.3.5

必要な範囲の検量線を作成するため,より低い炭素の含有率の鉄鋼標準物質を用いて 7.3.2 を繰り

返す。利用できるならば,取扱説明書に従って直線性制御を調節する。

備考1.  この操作では,含有率の異なるいろいろな低含有率炭素試料を使うよりは,分割した量の高

含有率炭素試料を使用する方が,簡便かつ正確であることが多い。

2.

ほとんどの装置は,炭素含有率を百分率で直接表示できるが,

検量線をプロットしてもよい。

7.4

測定

7.4.1

試料 0.9∼1.1g をはかり取り,0.001g のけたまで読み取る。これを適切な量の融剤(4.6)を含む空焼

きしたるつぼ(4.5)に移す。必要ならば適量の助燃剤(4.7)を加える。用いる融剤及び助燃剤は,装置の特性

及び分析される物質の種類によって異なる。典型的な添加剤は,試料 1.0g に対し,銅なら 2g,タングステ

ンなら 2∼3g,又は銅 1g 及び鉄 1g の合剤である。るつぼにふたをする。

7.4.2

炉の受台に内容物の入ったるつぼを置き,燃焼位置に上昇させ,固定する。取扱説明書に従って炉

を操作する。9.3 及び

附属書 参考 参照。

7.4.3

分析装置の指示値を記録し,測定を繰り返す。

備考1.  炉から赤外線分析計へ二酸化炭素を完全に移動させるため,試料の融解後も高温状態を維持

することが重要である。

2.

融解物がるつぼのふたに飛び散ると,誘導加熱の範囲から外れてしまうので,それを避ける

ために,静かに燃焼させることが必要である。

8.

結果の表現

8.1

計算

8.1.1

装置が,試料の質量から自動的に補正して炭素の質量百分率を直接算出する場合は,二つの定量値

を平均し,定量結果として報告する。

8.1.2

試料の質量を 1.00g として計算し,自動的に質量補正をしない場合は,それぞれの指示値を各々の

試料の質量 (g) で割る。二つの定量値を平均し,定量結果として報告する。

8.1.3

幾つかの装置では,炭素の質量  (

µg)  と装置の指示値との関係の検量線を作成する必要がある。試

料中の炭素の質量  (

µg)  を検量線から読み取り,空試験値及び試料の質量から試料中の含有率を求める。

二つの定量値を平均し,定量結果として報告する。

8.2

精度

5

か国の 8 分析室間で,この附属書に規定された方法による共同実験が実施された。5 試料を日を変えて

2

回分析した。ISO 5725 に従い計算された並行許容差及び室間再現許容差を

附属書 表 に示す。


28

G 1326 : 2000

附属書 5  表 1  統計解析の結果

金属又は合金

平均炭素の含有率

% (m/m)

室内標準偏差

S

w

室間標準偏差

S

b

並行許容差

r

室間再現許容差

R

フェロニッケル

  A22

0.014

0.000 6

0.000 6

0.001 7

0.002 4

  A31

0.061

0.001 6

0.000 1

0.004 5

0.004 6

  A28

1.84

0.012 0.068 0.033 0.19

ニッケル

  S65

0.025

0.000 6

0.000 3

0.001 8

0.002 0

ニッケル合金

  02(A*)

0.010

0.000 7

0.001 2

0.002 1

0.004 1

  13(G*)

0.223

0.001 4

0.004 3

0.004 1

0.012

  49(C*)

0.093

0.000 7

0.001 0

0.001 8

0.003 3

*

附属書 表 の合金の種類を参照

9.

操作上及び装置上の注意

9.1

るつぼ及びふた

磁器るつぼは,試料及び必要な添加剤を入れて融解するために用いる。るつぼは装置に対して正確な寸

法でなくてはならない。また,るつぼ中の試料を加熱する誘導コイル内に正確にセットするため受台に適

合したものでなければならない。

燃焼るつぼの典型的な寸法は,高さ 25mm,外径 25mm,内径 20mm,肉厚 2.5mm 及び底厚 8mm である。

るつぼの炭素分を除去するために,酸素気流中 1 100℃で空焼きする。内容物が飛散して誘導コイルの加

熱部から外れないように,るつぼにふたをする。るつぼのふたは,るつぼと同様の操作で空焼きする(4.5.2

参照)

9.2

融剤及び助燃剤

9.2.1

試料の微粒子を互いに凝集し,流動性のある溶体を生成し,効果的に誘導加熱をするために融剤を

添加する。すず,銅とすず,銅及びタングステンが有効な融剤である。

9.2.2

銅,鉄,タングステン及びニッケルが一般的な助燃剤である。助燃剤は次のような目的で添加する。

a)

そのままでは誘導加熱されにくい,非常に細かい試料及び複雑な組成の物質などを誘導加熱しやすく

するための結合媒体。

b)

燃焼温度を上昇させる化学燃料のようなもの。

c)

試料が少量の場合,試料の量を増加せずにるつぼ内の物質の量を増やすもの。

融剤及び助燃剤の炭素の含有率は低くなければならない。また,検量線の作成の際にもこれらを添

加しなければならない。酸素,耐火材,融剤及び助燃剤などからの全空試験値は 0.001% (m/m) を超

えてはならない。

備考  幾つかの物質は融剤及び助燃剤両方の作用をする。

9.3

高周波誘導加熱炉の特徴及び操作

9.3.1

商品化されている装置の特徴を

附属書 参考 に示す。

9.3.2

アスカライト(4.2)及び過塩素酸マグネシウム(4.3)を詰めた管を使用し供給酸素を精製する。準備中

の流量は約 0.5l/min にする。

9.3.3

炉室と分析計の間にガラスウールフィルターを詰め,必要に応じて取り替える。炉室,受台及びフ

ィルタートラップは飛散した内容物を除去するために頻繁に清掃することが望ましい。


29

G 1326 : 2000

9.3.4

製造業者は,酸素が炉室に入る前に予備燃焼する設定を推奨しているかもしれない。この予備燃焼

中に試料は赤熱状態であることが望ましい。このようにすれば,燃焼段階で酸素が導入されたときに温度

が十分に上がる。

9.3.5

燃焼中に到達する温度は,炉,るつぼ内の金属の種類及び量に依存する。二酸化炭素を炉から赤外

線分析計に完全に移動させるために,試料が融解した後もこの温度を 1 700℃以上に維持する。

9.3.6

酸素流量は装置によって異なるが,燃焼時は通常約 2.0l/min である。

9.3.7

装置を数時間放置した後,又は炉室及びフィルターを清掃した後は,7.1 に従って装置を安定化さ

せることが望ましい。

10.

分析報告書

分析報告書には,次の情報を記載しなければならない。

a)

用いた引用規格

b)

分析結果

c)

独立した繰返し分析数

d)

分析の際の通常と異なる点

e)

この附属書に含まれない操作又は付加的な操作とみなすことができるもの。


30

G 1326 : 2000

附属書 参考 A   

ニッケル・フェロニッケル・ニッケル合金の組成の一例 

この

参考 は,この附属書 の一部を構成するものではない。

附属書 表 2に示された組成の一例は,化学組成の規格として表したものではない。

附属書 表 2  ニッケルの組成の例

単位 % (m/m)

Ni

+Co Co

(最大)

C

(最大)

Cu

(最大)

Fe

(最大)

S

(最大)

99.95 0.1

0.015

0.005

0.02

0.002

5

99.9

0.5 0.03 0.03 0.03 0.03

99.0 1.5

0.15

0.2

0.4

0.01

附属書 表 3  フェロニッケルの組成の例

単位 % (m/m)

種類 Ni

C

Cr

(最大)

Cu

(最大)

Fe S

(最大)

Si

(最大)

LC 15

0.005

0.10

0.20

残部 0.03  0.20

 60

0.03

MC 15

0.03

0.5

0.20

残部 0.10  1.0

 60

1.0

HC 15

1.0

2.0

0.20

残部 0.40  4.0

 60

2.5

備考 Co は通常 Ni の 1/40∼1/20


31

G 1326 : 2000

附属書 表 4  ニッケル合金の組成の例

1)

単位 % (m/m)

合金

2)

Al B C

Co

3)

Cr Cu Fe Mn Ni  P

S  Si  Ti

その他の元素

A

− 0.30 −

− 28.0

34.0

2.5 2.0 63.0

4)

0.025 0.5

B

− 0.15 − 14.0

17.0

0.5

6.0

10.0

1.0 72.0

4)

0.015 0.5

C 0.4

1.0

− 0.08 − 14.0

17.0

0.5

5.0

9.0

1.0 70.0

4)

0.015 0.5 2.2

2.8

Nb

+Ta

0.7

∼1.2

D 0.2

0.8

0.006 0.08

− 17.0

21.0

0.3

残部 0.4 50.0

55.0

0.015

0.015 0.4 0.6

1.2

Nb

+Ta

4.7

∼5.5

E 0.15

0.60

− 0.10 − 19.0

23.0

0.7

残部 1.5 30.0

35.0

0.015 1.0 0.15

0.60

F

− 0.08

0.15

5.0 18.0

21.0

0.5

5.0 1.0

残部

4)

0.02

1.0 0.2 0.6 Pb

0.005

G 1.0

2.0

0.020 0.13  15.0

21.0

18.0

21.0

0.2

1.5 1.0

残部

0.015 1.0 2.0

3.0

Zr

0.15

H 4.5

4.9

0.003

0.010

0.12

0.17

18.0

22.0

14.0

15.7

0.2

1.0 1.0

残部

0.015 1.0 0.9

1.5

Zr

0.15

1 0.3

0.6

0.005 0.04

0.08

19.0

21.0

19.0

21.0

0.2

0.7 0.6

残部

0.007 0.4 1.9

2.4

Ti

十 Al

2.4

∼2.8

J

− 0.02 1.0

1.0

2.0 1.0

残部

4)

0.04

0.035 0.1

K 1.2

1.6

0.003

0.010

0.02

0.10

12.0

15.0

18.0

21.0

0.1

2.0 1.0

残部 0.015

0.015 0.1 2.8

3.3

Zr

0.02

∼0.08

L

− 0.02 2.5

14.5

16.5

4.0

7.0

1.0

残部 0.04

0.035

0.08

− V0.35

W3.0

∼4.5

1)

値が一つのものは最大値である。ただし,ニッケルの場合は値が一つのものは最小値であ

る。

2)

国際規格名称が明らかになるまで商品名の代わりにアルファベットを用いた。

3)

最大値が記載されていないもののコバルトは,最大 1.5% (m/m)  である。

4)

コバルトの含有率がニッケルの含有率に含まれている合金もある。


32

G 1326 : 2000

附属書 参考 B   

商品化されている高周波誘導加熱炉及び赤外線炭素分析計の特徴 

この

参考 は,この附属書 の一部を構成するものではない。

B.1

燃焼炉

B.1.1

燃焼炉は誘導コイル及び高周波発生器から成る。炉室は誘導コイルの内側に適合する石英ガラス管

から成る。この管には上下に O リングによってシールされた金属板が取り付けられている。ガスの出入口

の穴はその金属板を通してつくられている。

B.1.2

高周波発生器は,通常,1.5∼2.5kV・A の定格出力のものを用いているが,製造業者によって周波数

は異なることがある。周波数は 2∼6, 15 又は 20MHz のものが用いられてきた。高周波発生器からの出力

は,通常空冷されている石英ガラス管の周りの誘導コイルに伝えられる。

B.1.3

試料,融剤及び助燃剤を入れたるつぼを正確に位置された受台に置くので,それが上昇すると,出

力が供給されたとき有効に誘導結合するように,るつぼの内容物は誘導コイル中に正確に入る。

B.1.4

誘導結合の度合いは,誘導コイルの直径及び巻き数,並びに炉室の構造及び高周波発生器の出力に

よって決まる。これらの要因は装置製造業者によって決められている。

B.1.5

燃焼中に到達する温度は,B.1.4 の要因に依存するだけでなく,るつぼ内の金属の性質,試料の形,

物質の質量によって異なる。これらの要因の幾つかは作業者によって異なるかもしれない。

B.2

赤外線分析計

B.2.1

ほとんどの装置で,燃焼によって発生する気体は連続的な酸素の流れによって検出器に送られる。

この気体は赤外セルを通過するが,例えば,ルフト形の場合,あらかじめ設定された時間,二酸化炭素に

よる赤外部の吸収が積分される。信号は増幅され,炭素の含有率百分率がデジタルディスプレー上に表示

される。

B.2.2

分析計の中には,燃焼発生ガスを,圧力を制御した一定量の酸素中に収集し,その混合気体を分析

して二酸化炭素を求めるものもある。

B.2.3

電子制御は,ゼロ設定,空試験補正,検量線の傾き調整及び非直線的な応答の補正に,通常用いら

れる。一般的な分析計は,指示値から自動的に炭素の含有率を算出できるように,標準物質及び試料の質

量を入力できる。るつぼの質量,試料の質量をはかり,分析装置へ質量を出力するための,一体化した自

動はかりを内蔵している装置もある。


33

G 1326 : 2000

附属書 参考 C   

炭素定量のための非水溶媒滴定法 

この

参考 は,附属書 の一部を構成するものではない。

C.1

燃焼発生ガスは,二酸化炭素を補足するための有機塩基を含む吸収液を通る。

C.2

吸収された二酸化炭素は,有機塩基溶液によって連続的に滴定される。滴定の終点は,指示薬又は電

気的な装置で測定される。

C.3

吸収液は,2-アミノエタノール 33ml 及びチモールフタレイン 0.1g をエタノール 100ml に溶かしたチ

モールフタレイン溶液 12ml に,ジメチルホルムアミドを加えて液量を 1としたものである。滴定容器に

この吸収液 20ml を入れ,水酸化-n-テトラブチルアンモニウム滴定液を薄い青を呈するまで数滴加える。

燃焼発生した二酸化炭素を通してこの溶液が無色になったら,元の青を呈するまで滴定液を加える。要し

た滴定液の量から試料中の炭素量を算出する。

C.4

二つの分析室が 8.2 で述べた試料についてこの方法で分析をした。結果を

附属書 表 に示す。

附属書 表 5  滴定法による結果

単位 % (m/m)

炭素の含有率

金属又は合金

分析室 1

分析室 2

フェロニッケル

  B31 0.063

0.063

ニッケル

  S65 0.028

0.028

ニッケル合金

  13(G*) 0.228

0.220

49(C*) 0.096

0.092

*

附属書 表 の合金の種類を参照。


34

G 1326 : 2000

附属書 6(規定)  けい素定量方法−二酸化けい素重量法

序文  この附属書 は,1985 年に第 1 版として発行された ISO 8343, Ferronickel−Determination of silicon

content

−Gravimetric method を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく規定したものであ

る。

なお,この

附属書で点線の下線を施した箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲

この

附属書 は,フェロニッケル中のけい素の含有率を二酸化けい素重量法で定量する方法について規

定する。

この方法は,けい素の含有率 02% (m/m)  以上 4.0% (m/m)  以下のフェロニッケルに適用する。

備考  けい素の含有率が 4.0% (m/m)  を超えるときは,JIS G 1212(鉄及び鋼−けい素定量方法)の附

属書 を適用することができる。

2.

引用規格

ISO 5725

  Precision of test methods−Determination of repeatability and reproducibility by inter-laboratory

tests

参考  ISO 5725 は,次の規格で置き換えられている。

ISO 5725-1

6 : 1994  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−

Part 1

∼6

3.

原理

試料を硝酸で分解し,過塩素酸を加える。過塩素酸処理をして不溶性の二酸化けい素を生成させた後,

ろ別し,強熱してひょう量する。ふっ化水素酸及び硫酸で二酸化けい素を揮発させ,残留物をひょう量す

る。その差から二酸化けい素を定量し,けい素の含有率を計算する。

4.

試薬

特に規定がある場合を除き,分析には,認定された分析級の試薬及び蒸留水又は同等な純度の水を用い

る。

4.1

塩酸

ρ

20

1.19g/ml

4.2

塩酸

ρ

20

1.19g/ml  希釈液 (1+9)

4.3

ふっ化水素酸

ρ

20

1.14g/ml

警告

ふっ化水素酸は,皮膚及び粘膜に対して非常に刺激性及び腐食性があり,治療に時間が

かかる激しい皮膚の炎症を引き起こす。皮膚に接触した場合には,水でよく洗い,医者

に相談する。

4.4

硝酸

ρ

20

1.41g/ml  希釈液 (1+1)

4.5

過塩素酸

ρ

20

1.61g/ml [70% (m/m)]

4.6

硫酸

ρ

20

1.83g/ml  希釈液 (1+1)


35

G 1326 : 2000

5.

装置

装置は,通常の実験装置及び次のものを用いる。

5.1

腐食のない,容積 600ml のトールビーカー

5.2

容積 40ml の白金るつぼ

5.3

 1

100

℃に設定できるマッフル炉

5.4

デシケーター

6.

サンプリング及び試料

6.1

サンプリング及び実験室試料の調製は,同意された方法,又は同意が得られない場合には関連する

国際規格によって,実施されなければならない。

6.2

実験室試料は,一般に粉,細粒,削り粉又は切り粉であり,それ以上の試料調製を必要としない。

6.3

実験室試料が,ミル又はドリルを用いた調製の過程で,油又はグリスに汚染されているおそれがあ

るときは,高純度アセトンで洗浄した後,空気中で乾燥する。

6.4

実験室試料が,広範囲な大きさの粒子及び片を含む場合は,分析試料は,二分器を通すのがよい。

7.

操作

7.1

試料のはかり取り

7.1.1

けい素の含有率が 1% (m/m)  以上のものは,2.00g をはかり取り,0.001g のけたまで読み取る。

7.1.2

けい素の含有率が 0.25% (m/m)  以上 1% (m/m)  未満のものは,4.00g をはかり取り,0.002g のけた

まで読み取る。

7.1.3

けい素の含有率が 0.25% (m/m)  未満のものは,10.00g をはかり取り,0.005g のけたまで読み取る。

7.2

空試験

空試験は,定量操作と並行して,同じ操作で,全試薬の同量を用いて行う。

7.3

定量

警告

過塩素酸白煙は,強力な酸化剤であり,有機物質と接触すると爆発性の混合物を生じる。

蒸発は,すべて過塩素酸用に適したドラフト中で行うことが望ましい。

7.3.1

はかり取った試料(7.1)をビーカー(5.1)に移し入れた後,硝酸(4.4)50ml を加え時計皿で覆う。穏やか

に加熱し,分解がほぼ完了した時点で,過塩素酸(4.5)50ml を加える。

備考  試料 10g を用いたときは,激しく発泡しないように注意して硝酸を少量ずつ加える。分解した

後に過塩素酸 70ml を加える。

7.3.2

穏やかに加熱した後,次第に強く加熱して過塩素酸の白煙を発生させる。沈殿が結晶化するまで加

熱を続けた後,熱板から降ろして放冷する。ほぼ沸騰している水 100ml を加え,塩酸(4.1)15ml を加えて塩

類を溶解する。熱水を加えて液量を 250ml とする。かき混ぜ,沸騰する直前の温度で 2 分間加熱する。

7.3.3

 125mm

の折りたたまれた中間孔径のろ紙(5 種 B)を通してろ過する。熱水でビーカー内を洗い,

ポリスマン(ゴム管付きのガラス棒)でこすり落とす。ろ紙及び内容物を塩酸(4.2)で鉄塩の黄色がなくな

るまで洗浄する。最後にろ液に酸がなくなるまで熱水で洗浄する。ろ液及び洗浄液は棄てる。

警告  微量でも過塩素酸が残っていると灰化中に爆発を引き起こす可能性があるので,過塩素

酸が完全に除去されるまでろ紙を洗浄しなければならない。


36

G 1326 : 2000

7.3.4

沈殿をろ紙とともに白金るつぼ(5.2)に入れる。熱板上又は,乾燥器の中で乾燥した後,マッフル炉

(5.3)

で,まず低温で加熱してろ紙を炭化し,引き続き 1 100℃で最低 30 分間強熱して灰化する。デシケー

ター(5.4)の中で放冷し,焼成した沈殿物の入ったるつぼの質量をはかり,0.1mg のけたまで読み取る。恒

量となるまで 30 分間隔で強熱を繰り返す。

7.3.5

強熱した沈殿を数滴の水で湿らせる。硫酸(4.6)約 0.5ml,引き続きふっ化水素酸(4.3)約 0.5ml を加

える。硫酸白煙が出なくなるまで熱板上で穏やかに加熱して蒸発乾固する。マッフル炉の中で 10 分間,

1100

℃で強熱する。デシケーター中で放冷した後,不純物の入ったるつぼの質量をはかり,0.1mg のけた

まで読み取る。恒量となるまで 10 分間隔で強熱を繰り返す。

8.

結果の表現

8.1

計算

試料中のけい素の含有率は,質量百分率で表示し,次の式によって算出する。

100

467

.

0

0

3

2

1

×

×

m

m

m

m

Si

ここに,

Si

けい素の含有率 [% (m/m)]

m

0

はかり取った試料の質量 (g)

m

1

るつぼ及び不純物を含む二酸化けい素の質量 (g)

m

2

るつぼ及び不純物残さの質量 (g)

備考 m

1

m

2

は,揮発した純粋な二酸化けい素の質量 (g)

m

3

空試験によって得られた純粋な二酸化けい素の質量 (g)

0.467

二酸化けい素からけい素への換算係数である。

8.2

精度

4

か国の 5 分析室間で,この附属書に規定された方法による共同実験が実施された。5 試料を日を変えて

2

回分析した。

ISO 5725

に従い計算された並行許容差及び室間再現許容差を

附属書 表 に示す。

附属書 表 1

けい素の含有率  %

(m/m)

0.26 1.01 2.56

標準偏差−室内  S

w

0.005 0.022 0.014

標準偏差−室間  S

b

0.001 0.012 0.027

並行許容差  r

0.013 0.062 0.039

室間再現許容差  R

0.014 0.071 0.087

9.

分析報告書

分析報告書には,次の情報を記載しなければならない。

a)

用いた引用規格

b)

分析結果

c)

独立した繰返し分析数

d)

分析の際の通常と異なる点

e)

この附属書に含まれない操作又は付加的な操作とみなすことができるもの。


37

G 1326 : 2000

附属書 7(規定)  けい素定量方法−モリブドけい酸青吸光光度法

1.

要旨  試料を塩酸及び硝酸の混酸で分解し,七モリブデン酸六アンモニウムを加えてけい素をけいモ

リブデン酸とし,しゅう酸でりん,ひ素,鉄などの影響を除いた後,硫酸アンモニウム鉄 (II) で還元して

モリブドけい酸青を生成させ,光度計を用いてその吸光度を測定する。

2.

試薬試薬は,次による(

1

)(

2

)

a)

混酸[塩酸 (11) 1,硝酸 (11) 2]  この溶液は,使用の都度調製する。

b)

ニッケル  できるだけ純度が高く,けい素を含有しないか,又はけい素の含有率ができるだけ低く既

知であるもの(

3

)

c)

鉄  できるだけ純度が高く,けい素を含有しないか,又はけい素の含有率ができるだけ低く既知であ

るもの(

3

)

d)

七モリブデン酸六アンモニウム溶液  七モリブデン酸六アンモニウム四水和物 100g を温水に溶解し,

室温まで放冷した後,水を加えて液量を 1 000ml とする(

4

)

e)

硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液  硫酸アンモニウム鉄 (II) 六水和物 150g に温水約 500ml 及び硫酸 (1

+1) 200ml を加えて溶解する。放冷した後,溶液をろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,ろ紙を水で数回

洗浄した後,水で液量を 1 000ml とする。

f)

しゅう酸溶液  しゅう酸二水和物 100g を温水に溶解し,室温まで放冷した後,水で液量を 1 000ml

とする。

g)

けい素標準溶液 (20

µgSi/ml)    二酸化けい素(99.5%以上)を 1 100℃で強熱して恒量とした後,デシ

ケーター中で室温まで放冷したものを 0.214 0g はかり取って白金るつぼ(30 番)に移し入れ,炭酸ナ

トリウム約 1g を混和して加熱して融解する。放冷した後,融成物を水に溶解し,溶液を全量フラスコ

1 000ml

に水を用いて移し入れ,水を標線まで加えて原液 (100gSi/ml) とする。使用の都度,この原液

の一部を正確に水で 5 倍に希釈してけい素標準溶液とする。

(

1

)

この方法では,使用する試薬中に含まれるけい素が誤差の原因となるので,けい素含有率が低

い試薬を使用する。

(

2

)

混酸以外の試薬は,ポリエチレン容器に保存する。

(

3

)

けい素の含有率 0.001% (m/m)  以下であることが望ましい。

(

4

)

この試薬の調製の際,加熱すると酸化物が析出することがあるので,ときどきかき混ぜながら

溶解するとよい。また,長期の保存などによって濁りが認められたものは使用してはならない。

3.

試料のはかり取り量  試料のはかり取り量は,けい素の含有率に応じて,附属書 表 によって,0.1mg

のけたまで読み取る。

附属書 表 1

試料中のけい素の含有率

% (m/m)

試料のはかり取り量

g

0.01

以上 0.1 未満 0.50

0.1

以上 0.5 以下 0.10


38

G 1326 : 2000

4.

操作

4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取ってビーカー (200ml) (

5

)

に移し入れ,時計皿で覆う。

b)

混酸[2.a)]25ml(

6

)

を加え,穏やかに加熱して分解する(

7

)

。温水 20ml を加え,加熱して煮沸し,窒素酸

化物を除去する。

c)

常温まで放冷した後(

8

)

,溶液を全量フラスコ 100ml に水を用いて移し入れ,標線まで水を加える。

(

5

)

微量のけい素を定量する場合は,ビーカーの内壁から溶出するけい素が結果に影響を与えるの

で,石英ガラス製のビーカーを使用する。

(

6

)

試薬の添加量は発色に影響するので,正確に加える必要がある。

(

7

)

加熱し過ぎると二酸化けい素が析出するおそれがあり,析出した二酸化けい素はこの方法では

定量されず負の誤差の原因となる。また,試料分解後の遊離酸量も発色に影響するので,試料

の分解に際しては過度に酸を消費しないよう穏やかに分解することが必要である。

(

8

)

溶液中に炭化物などの不溶解残さが認められる場合には,ろ紙(5 種 B)を用いてろ過し,少量

の温水で洗浄し,ろ液と洗液とを合わせる。残さは捨てる。

4.2

発色  4.1c)で得た試料溶液から 20ml を分取して全量フラスコ 100ml に移し入れ,七モリブデン酸六

アンモニウム溶液[2.d)]15ml(

6

)

を加えて振り混ぜ,10 分間放置する。次に,しゅう酸溶液[2.f)]25ml(

6

)

を加

えて振り混ぜ,30 秒間以内に硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液[2.e)]5ml を加えて振り混ぜた後,水を標線ま

で加える(

9

)

(

9

)

発色は,液温が20∼30℃のときは,発色後60分間は安定であるが,液温が15℃以下又は35℃以

上のときは低値を示す原因となるので,発色操作及び吸光度測定までの液温に注意する必要が

ある。

4.3

吸光度の測定  4.2 で得た溶液の一部を吸収セル (10mm) に移し入れ,6.で得た溶液のうち,けい素

標準溶液[2.g)]を加えないものを対照液として,波長 810nm 付近の吸光度を測定する(

9

)

5.

空試験  4.1a)ではかり取った試料中のニッケル及び鉄の量と同量のニッケル[2.b)]及び鉄[2.c)]をはか

り取ってビーカー (200ml) に移し入れ,時計皿で覆う。以下,4.1b)4.3 の手順に従って試料と同じ操作

を試料と並行して行う。

6.

検量線の作成  数個のビーカー (200ml) (

5

)

を準備し,そのそれぞれに 4.1a)ではかり取った試料中のニ

ッケル及び鉄の量と同量のニッケル[2.b)]及び鉄[2.c)]をはかり取って移し入れ,時計皿で覆い,4.1b)の操

作を行った後,けい素標準溶液[2.g)]0∼25.0ml(けい素として 0∼500

µg)を段階的に加える。以下,4.1c)

4.3)の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度とけい素量との関係線を作成し

て検量線とする。

7.

計算  4.3 及び 5.で得た吸光度と 6.で作成した検量線とからけい素量を求め,試料中のけい素の含有率

を,次の式によって算出する。

C

m

A

A

Si

100

5

1

2

1

×

×

ここに,

Si

:  試料中のけい素の含有率 [% (m/m)]


39

G 1326 : 2000

A

1

:  分取した試料溶液中のけい素の検出量 (g)

A

2

:  分取した空試験溶液中のけい素の検出量 (g)

m

:  試料のはかり取り量 (g)

C

:  空試験に用いたニッケル[2.b)]及び鉄[2.c)]中に含まれるけい素

の含有率 [% (m/m)] の加重合計で,次の式によって算出する。

m

m

b

m

a

C

2

1

×

×

ここに,

a

:  ニッケル[2.b)]中に含まれるけい素の含有率 [% (m/m)]

m

1

:  5.ではかり取ったニッケル[2.b)]の量 (g)

b

:  鉄[2.c)]中に含まれるけい素の含有率 [% (m/m)]

m

2

:  5.ではかり取った鉄[2.c)]の量 (g)

m

:  試料のはかり取り量 (g)


40

G 1326 : 2000

附属書 8(規定)  マンガン定量方法−原子吸光法

1.

要旨  試料を硝酸で分解し,過塩素酸を加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生させた後,塩類を塩酸

で溶解し,溶液を原子吸光分析装置のアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。

2.

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸 (11)  

b)

硝酸 (11)  

c)

過塩素酸

d)

ふっ化水素酸

e)

硫酸 (11)  

f)

ニッケル  できるだけ純度が高く,マンガンを含まないもの,又はマンガンの含有率ができるだけ低

く既知であるもの。

g)

鉄  できるだけ純度が高く,マンガンを含まないもの,又はマンガンの含有率ができるだけ低く既知

であるもの。

h)

二硫酸ナトリウム

i)

二硫酸ナトリウム溶液 (100g/l)  

j)

マンガン標準溶液 (50

µ

gMn/ml) 

  マンガン(99.5%以上)1.000g をはかり取り,ビーカー (300ml) に

移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 30ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで放冷した

後,全量フラスコ 1000ml に水を用いて移し入れ,水を標線まで加えて原液 (1mgMn/ml) とする。こ

の原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に 20 倍に希釈してマンガン標準溶液とする。

3.

試料のはかり取り量  試料のはかり取り量は,0.50g とし,0.1mg のけたまで読み取る。

4.

操作

4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う(

1

)

a)

試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 20ml を加え,穏やかに加熱して分解する。過塩素酸 20ml を加え,加熱を

続けて過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流する状態になった後,

その状態で約 10 分間加

熱を続け,引き続き加熱蒸発して液量が約 10ml になるまで濃縮する。放冷した後,塩酸 (1+1) 16ml

を加え,加熱して可溶性塩類を溶解する。

c)

溶液をろ紙(5 種 B)を用いてろ過し,温水で十分に洗浄する。ろ液及び洗液を合わせ,常温まで放

冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を全量フラスコ 100ml に水を用いて移

し入れ,水を標線まで加える。残さは捨てる(

2

)

d)

溶液 20ml を分取して全量フラスコ 100ml に移し入れる。

e)

塩酸 (1+1) 13ml を加え(

3

)

,水を標線まで加える。

(

1

)

次の a)c)の操作を行う代わりに,

附属書144.1の a)c)の操作を行ってもよい。

(

2

)

試料中のマンガンの含有率が 0.2% (m/m)  未満の場合には,次の d)及び e)の操作は行わない。


41

G 1326 : 2000

(

3

)

(

1

)

を適用した場合には,さらに,二硫酸ナトリウム溶液[2.i)]8ml を加える。

4.2

吸光度の測定  4.1 の c)又は e)で得た溶液の一部を水でゼロ点を調整した原子吸光分析装置のアセチ

レン・空気フレーム中に噴霧し,波長 279.5nm における吸光度を測定する。

5.

検量線の作成  検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

試料中のマンガンの含有率が 0.2% (m/m)  未満の場合

1)

数個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれに,3.ではかり取った試料中のニッケル及び鉄の量と

同量のニッケル[2.f)]及び鉄[2.g)]をはかり取って移し入れる。

2)

4.1b)

の操作を行った後(

4

)

,常温まで放冷し,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を

全量フラスコ 100ml に水を用いて移し入れる。マンガン標準溶液[2.j)]0∼20.0ml(マンガンとして 0

∼1mg)を段階的に加え(

5

)

,水を標線まで加える。

3)

溶液の一部を水でゼロ点を調整した原子吸光分析装置のアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,波

長 279.5nm における吸光度を試料溶液と並行して測定し,得た吸光度とマンガン量との関係線を作

成して検量線とする。

b)

試料中のマンガンの含有率が 0.2% (m/m)  以上の場合

1)

a)1)

の操作を行う。

2)

4.1b)

の操作を行った後(

4

)

,常温まで放冷し,溶液を全量フラスコ 100ml に水を用いて移し入れ(

5

)

水を標線まで加える。

3)

4.1d)

の操作を行った後,マンガン標準溶液[2.j)]0∼10.0ml(マンガンとして 0∼500

µ

g

)を段階的に

加える。

4)

塩酸 (1+1) 13ml を加え(

3

)

,水を標線まで加えた後,a)3)の操作を行う。

(

4

)

  4.1

において

(

1

)

を適用した場合は,

附属書144.1b)の操作を行う。

(

5

)

  4.1

において

(

1

)

を適用した場合は,二硫酸ナトリウム溶液 10ml を加える。ただし,

附属書 14

の 4.1 

(

1

)

を適用した場合は,加えない。

6.

計算  計算は,次のいずれかによる。

a)

試料中のマンガン含有率が 0.2% (m/m)  未満の場合  4.2 で得た吸光度と 5.a)で作成した検量線とから

マンガンの量を求め,試料中のマンガンの含有率を,次の式によって算出する。

1

100 C

m

A

Mn

×

ここに,  Mn

試料中のマンガンの含有率 [% (m/m)]

A

試料溶液中のマンガンの検出量 (g)

m

試料のはかり取り量 (g)

C

1

検量線溶液に添加したニッケル[2.f)]及び鉄[2.g)]中に含まれる
マンガンの含有率 [% (m/m)] の加重合計で,次の式によって
算出する。

m

m

b

m

a

C

2

1

1

×

×

ここに,

a

:  ニッケル[2.f)]中のマンガンの含有率 [% (m/m)]

m

1

:  5.ではかり取ったニッケル[2.f)]の量 (g)

b

:  鉄[2.g)]中のマンガンの含有率 [% (m/m)]

m

2

:  5.ではかり取った鉄[2.g)]の量 (g)


42

G 1326 : 2000

b)

試料中のマンガン含有率が 0.2% (m/m)  以上の場合  4.2 で得た吸光度と 5.b)で作成した検量線とから

マンガンの量を求め,試料中のマンガンの含有率を,次の式によって算出する。

2

100

100

20

C

m

A

Mn

×

×

ここに,

Mn

試料中のマンガンの含有率 [% (m/m)]

A

分取した試料溶液中のマンガンの検出量 (g)

m

試料のはかり取り量 (g)

C

2

検量線溶液に添加したニッケル[2.f)]及び鉄[2.g)]中に含まれる
マンガンの含有率 [% (m/m)] の加重合計で,次の式によって
算出する。

100

20

1

2

×

C

C

ここに,  C

1

:  a)の C

1

に同じ


43

G 1326 : 2000

附属書 9(規定)   

りん定量方法−モリブドりん酸抽出分離モリブドりん酸青吸光光度法 

1.

要旨  試料を硝酸で分解し,過塩素酸を加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生させ,りんを酸化する。

硫酸アンモニウム鉄 (II) でクロムを還元し,硝酸で酸濃度を調節する。七モリブデン酸六アンモニウムを

加えてりんをりんモリブデン酸塩とし,クロロホルム・1-ブタノールで抽出した後,塩化すず (II) で還元

してモリブドりん酸青錯体を生成させて水相に逆抽出し,光度計を用いて,その吸光度を測定する。

2.

試薬  試薬は,次による。

a)

硝酸 (11)  

b)

過塩素酸

c)

硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液  硫酸アンモニウム鉄 (II) 六水和物 30g を硫酸 (1+1) 1ml 及び少量の

水に溶解し,水を加えて液量を 300ml とする。

d)

七モリブデン酸六アンモニウム溶液  七モリブデン酸六アンモニウム四水和物 100g を水に溶解し,水

を加えて液量を 1 000ml とする。

e)

塩化すず (II) 溶液  塩化すず (II) 二水和物 30g に塩酸 100ml を加え,加熱して溶解し,放冷した後,

水を加えて液量を 300ml とする。この溶液は,金属すずの粒状のもの 2, 3 個を加えて保存し,使用の

都度,その一部を水で 10 倍に希釈する。

f)

クロロホルム・1-ブタノール (31)  

g)

りん標準溶液 (20

µ

gP/ml) 

  りん酸二水素カリウムを 105±2℃で 2 時間加熱し,デシケーター中で放

冷する。その 0.439 3g をはかり取り,水に溶解する。溶液を全量フラスコ 1 000ml に水を用いて移し

入れ,水を標線まで加えて原液 (100

µ

gP/ml)

とする。使用の都度,この原液を,必要量だけ水で正確

に 5 倍に希釈してりん標準溶液とする。

3.

試料のはかり取り量  試料のはかり取り量は,1.0g とし,0.1mg のけたまで読み取る。

4.

操作

4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 20ml を加え,穏やか

に加熱して分解する。過塩素酸 20ml を加え,加熱して過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって

逆流する状態になった後,5∼10 分間加熱を続け,引き続き加熱蒸発して液量が約 10ml となるまで濃

縮する。

b)

放冷した後,温水約 40ml を加え,加熱して可溶性塩類を溶解する。硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液

[2.c)]10ml

を加えて,かき混ぜた後(

1

)

,引き続き加熱して約 5 分間煮沸する。少し放冷した後,時計皿

の下面を洗って時計皿を除き,溶液をろ紙(5 種 B)を用いてろ過し,温水で 4,5 回洗浄する。ろ液

及び洗液を常温まで放冷した後,全量フラスコ 200ml に水を用いて移し入れ,水を標線まで加える。

(

1

)

かき混ぜたときに二クロム酸のだいだい色が残る場合には,更に硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液


44

G 1326 : 2000

[2.c)]2ml

を追加する。

4.2

発色及び抽出  発色及び抽出は,次の手順によって行う。

a)

4.1b)

で得た溶液から 20ml を分取して分液漏斗 (100ml) に移し入れ,硝酸 (1+1) 9ml 及び七モリブデ

ン酸六アンモニウム溶液[2.d)]7.5ml を加えた後,水を加えて液量を約 50ml とする(

2

)

。クロロホルム・

1-

ブタノール (3+1) 10ml を加え,約 1 分間振り混ぜる。10 分間静置して 2 層に分かれた後,下層の

有機相を分離して別の分液漏斗 (100ml) に移し入れて保存する。水相には再びクロロホルム・1-ブタ

ノール (3+1) 10ml を加えて 1 分間振り混ぜ,しばらく静置して下層の有機相を分離し,先に保存し

ておいた有機相に合わせる。上層の水相は捨てる。

b)

有機相に塩化すず (II) 溶液[2.e)]を正確に 20ml 加え,十分に振り混ぜ,しばらく静置して 2 層に分か

れた後,下層の有機相は捨てる。

(

2

)

この溶液の酸濃度は,1.3∼2mol/が適当である。

4.3

吸光度の測定  4.2b)で得た水相の一部を光度計の吸収セル (10mm) に移し入れ,クロロホルム・1-

ブタノール (3+1)  を対照液として,波長 690nm 付近の吸光度を測定する。

5.

空試験  試薬だけを用いて,試料と同じ操作を試料と並行して行う。

6.

検量線の作成  数個のビーカー (200ml) を準備し,これらにりん標準溶液[2.g)]0∼15.0ml(りんとし

て 0∼300

µ

g

)を段階的に加えて時計皿で覆う。過塩素酸 20ml を加え,加熱して過塩素酸の蒸気がビーカ

ーの内壁を伝わって逆流する状態になった後,

5

∼10 分間加熱を続け,

引き続き加熱蒸発して液量が約 10ml

となるまで濃縮する。以下,4.1b)4.3 の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光

度と溶液中のりん量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように並行移動して検量線とする。

7.

計算  4.3 及び 5.で得た吸光度と 6.で作成した検量線とからりんの量を求め,試料中のりんの含有率を,

次の式によって算出する。

100

200

20

2

1

×

×

m

A

A

P

ここに,

P

:  試料中のりんの含有率 [% (m/m)]

A

1

:  分取した試料溶液中のりん検出量 (g)

A

2

:  分取した空試験溶液中のりん検出量 (g)

m

:  試料のはかり取り量 (g)


45

G 1326 : 2000

附属書 10(規定)   

りん定量方法−モリブドバナドりん酸抽出吸光光度法

序文  この附属書 10 は,1992 年に第 1 版として発行された ISO 11400, Nickel, ferronickel and nickel alloys

−Determination of phosphorus content−Phosphovanadomolybdate molecular absorption spectrometric method を

翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく規定したものである。

なお,この附属書で点線の下線を施した箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲

この

附属書 10 は,フェロニッケル中のりんの含有率を吸光光度法で定量する方法について規定する。

この方法は,りんの含有率 0.000 5% (m/m)  以上 0.05% (m/m)  以下のフェロニッケルに適用する。

ひ素,クロム,ハフウニウム,ニオブ,シリコン,タンタル,チタン及びタングステンは妨害するが,

錯体化又は揮散(クロムについて)によって防止できる。妨害元素の含有率が低い場合だけ,りん含有量

の適用範囲下限が,0.000 5% (m/m)  となる。

参考  原文では,ニッケル及びニッケル合金も対象にしているが,これらは,JIS H 1278(ニッケル

及びニッケル合金中のりん定量方法)に規定してあるので削除し,この附属書では,フェロニ

ッケルについてだけ規定した。

2.

引用規格

次に掲げる規格は,この附属書の本体に引用するもので,この附属書の規定の一部を構成する。各引用

規格は,ここに示す年度の版が有効であった。すべての規格は改訂されるものであるので,この規格に基

づくことに合意した関係者は,これらの引用規格の最新版を適用する可能性を調べることに努めるのがよ

い。IEC 及び ISO のメンバーには,現在有効な国際規格のリストを配布されている。

JIS R 3505

  ガラス製体積計

ISO 648 

: 1977

  Laboratory glassware−One-mark pipettes

ISO 1042

 : 1983

  Laboratory glassware−One-mark volumetric flasks

ISO 5725 

: 1986

  Precision of test methods−Determination of repeatability and reproducibility for a standard

test method by inter-laboratory tests

参考  ISO 5725 は,次の規格で置き換えられている。

ISO 5725-1

6 : 1994  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−

Part 1

∼6

3.

原理

硝酸及び塩酸の混酸で試料を分解する。PFA 又は PTFE ビーカー中で過塩素酸の白煙を発生させ,クロ

ムを揮発性の二塩化二酸化クロムとして除去する。ふっ化物イオンでけい素及び難溶性の元素を錯体化す

る。

過塩素酸及び硝酸溶液中でモリブドバナドりん酸塩を生成させる。

くえん酸によってひ素を錯体化し,

モリブドバナドりん酸塩を 4-メチル-2-ペンタノンに抽出する。


46

G 1326 : 2000

4.

試薬

特に規定がある場合を除き,分析には,認定された分析級の試薬及び蒸留水又は同等な純度の水を用い

る。

空試験  (7.6)  によって,りんが入っていない適切な試薬であることを確認しておく。空試験値が高いロ

ットは,不適当なので使用してはならない。試料 1g として計算した空試験値は,0.000 5% (m/m) 以下で

あることが望ましい。

4.1

硝酸

ρ

20

1.41g/ml  希釈液 (1+4)

4.2

ふっ化水素酸    [40% (m/m)], 

ρ

20

1.14g/ml

警告

ふっ化水素酸は,皮膚及び粘膜に対して非常に刺激性及び腐食性があり,治療に時間が

かかる激しい皮膚の炎症を引き起こす。皮膚に接触した場合には,水でよく洗い,医者

に相談する。

4.3

くえん酸溶液

くえん酸一水和物 (H

8

C

6

O

7

・H

2

O) 500g

を,水に溶解して 1 000ml とする。

4.4

4-

メチル-2-ペンタノン(メチルイソブチルケトン)

4.5

七モリブデン酸六アンモニウム溶液

七モリブデン酸六アンモニウム四水和物 [(NH

4

)

6

Mo

7

O

24

・4H

2

O] 15g

を水に溶解し,100ml とする。

その都度,新しい溶液を調製する。高いか,又は不安定な空試験値が得られる場合は,使用した試薬に

問題があるので,そのような場合は,他のロットに交換する。

4.6

パナジン酸アンモニウム溶液

バナジン酸アンモニウム (NH

4

VO

3

) 2.5g

を,水に溶解して 1 000ml とする。

4.7

亜硝酸ナトリウム溶液

亜硝酸ナトリウム (NaNO

2

) 50g

を,水に溶解して 1 000ml とする。

4.8

テトラフルオロほう酸溶液

ほう酸 (H

3

BO

3

) 75g

をプラスチックビーカーの中で温水 600ml に懸濁させる。ふっ化水素酸(4.2)50ml を

加え,水で 1 000ml として,ほう酸を溶解する。溶液はプラスチック瓶に入れて保存する。

ほう酸の結晶が析出するようであれば,溶液を穏やかに加熱する。

4.9

りん標準溶液 (1.000g/l)  

あらかじめ 110℃で恒量となるので乾燥し,デシケーターの中で放冷したりん酸二水素カリウム

(KH

2

PO

4

) 4.394 2g

をはかり取り,0.000 1g のけたまで読み取る。これを全量フラスコ 1 000ml に移し入れ

水で溶解する。標線まで水を加える。

4.10

りん標準溶液 (10mg/l)  

りん標準溶液(4.9)10.0ml を全量フラスコ 1 000ml に移し入れる。水を標線まで加える。

5.

装置

ガラス製品は,約 40∼60℃に加熱した塩酸  (

ρ

20

=1.18g/ml)で洗浄し,引き続き水で洗浄しなくてはなら

ない。

装置は,通常の実験装置及び次のものを用いる。

5.1

分光光度計

355nm

の波長で,吸光度の測定が可能なもの。

5.2

加熱可能なプラスチックビーカー


47

G 1326 : 2000

ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 製,又はパーフルオロアルコキシコポリマー (PFA) 製のもの。

PFA

ビーカーは,グラファイトベースで,特に 280℃で,酸の白煙の発生に耐えられるもの。

分析前にビーカーを完全に洗浄しなければならない。ビーカーをふっ化水素酸  (

ρ

20

=1.18g/ml) (1+1)  で

満たし,加熱して約 2 分間沸騰させ,水で洗浄する。

5.3

加熱源

表面温度が制御できるもの。

6.

サンプリング及び試料

6.1

サンプリング及び実験室試料の調製は,同意された方法,又は同意が得られない場合には関連する

国際規格によって,実施されなければならない。

6.2

実験室試料は,一般に粉,細粒,削り粉又は切り粉であり,それ以上の試料調製を必要としない。

6.3

実験室試料が,ミル又はドリルを用いた調製の過程で油又はグリスに汚染されているおそれがある

ときは,高純度アセトンで洗浄した後,空気中で乾燥する。

6.4

実験室試料が,広範囲な大きさの粒子及び片を含む場合は,分析試料は,二分器を通すのがよい。

7.

操作

警告

過塩素酸白煙は,強力な酸化剤であり,有機物質と接触すると爆発性の混合物を生じる。

蒸発は,すべて過塩素酸用に適したドラフト中で行うことが望ましい。

7.1

分析試料及び試料溶液の調製

7.1.1

附属書 10 表 に従って試料をはかり取り,0.1mg のけたまで読み取る。

附属書 10 表 1  試料量

予想されるりんの含有

% (m/m)

試料のはかり取り量

g

妨害元素の最高濃度  % (m/m)

As

Hf

Nb

Ta

Ti

W

0.000 5

以上  0.010 未満

1.0 0.05

0.1

1

0.1

2

2

0.002 0

以上  0.040 未満

0.25 0.2

0.5

5

0.5

10

8

0.005 0

以上  0.050 以下

0.10 0.5

1.5

10

1

25

10

7.1.2

はかり取った試料をプラスチックビーカー(5.2)に移し入れ,硝酸  (

ρ

20

=1.41g/ml) 5ml を加えた後,

ふっ化水素酸  (

ρ

20

=1.18g/ml) 5ml を加える。ニオブ,けい素,タンタル又はハフニウムの含有率が高い試

料の場合は,更にふっ化水素酸(4.2)7ml を加える。ビーカーに PTFE のふたをし,反応が終わるまで穏や

かに加熱する。過塩素酸  (

ρ

20

=1.66g/ml) 10ml を加えて,蒸気を揮散させるためにふたを少しずらし,過塩

素酸の白煙を発生させる。

備考1.  ニッケル及びモネルメタルのようなニッケル−銅合金は,硝酸  (

ρ

20

=1.41g/ml) (1+1)  でより

容易に分解する。

7.1.3

クロムの含有率が 0.1% (m/m)  以下の試料については,次の手順(7.2)を省略して 7.3 を行う。

7.2

クロムの除去

ふたに水滴が認められなくなり,クロムがすべて六価の状態に酸化されるまで白煙の発生を続ける。ふ

たをずらし,白煙を発生しているビーカー中の溶液に,色のついた発煙がなくなるまで塩酸  (

ρ

20

=1.18g/ml)

を滴加する。残留するクロムを再酸化するため,再び白煙を発生させる。塩酸を加えたとき,黄色の発煙

がなくなるまでこの操作を繰り返す。室温で放冷する。


48

G 1326 : 2000

7.3

錯体化

7.3.1

溶液(7.2)に,硝酸(4.1)25ml 及びふっ化水素酸(4.2)4ml を加え,沈殿がすべて分解するまで 8∼10 分

間加熱を続ける。

備考2.  沈殿した分解しにくい酸化物を完全に分解することが大切である。分解しない場合は,更に

ふっ化水素酸(4.2)2ml を加えて,煮沸を繰り返してもよい。それでも沈殿が分解せずに残留

する場合は,試料のはかり取り量を減らしてはかり直し,分析し直す。

7.3.2

亜硝酸ナトリウム溶液(4.7)10ml を加え,加熱して溶液を 10 分間沸騰させて残留する二クロム酸塩

を還元し,酸化窒素を完全に追い出す。沸騰している間,水でビーカー壁を数回洗浄する。

7.3.3

テトラフルオロほう酸溶液(4.8)40ml を加え,20∼30℃まで急速に冷却して,直ちに発色させる。

備考3.  溶液の冷却に10分間以上かかると,酸化物が再び沈殿する。

7.4

発色及び抽出

7.4.1

冷却した透明な溶液にバナジン酸アンモニウム溶液(4.6)10ml 及び七モリブデン酸六アンモニウム

溶液(4.5)15ml を加える。7∼15 分間,温度を 18∼25℃に保つ。

7.4.2

溶液を 100ml のところに印を付けた分液漏斗 250ml に入れ,水を印のところまで加える。くえん

酸溶液(4.3)10ml を加え混合した後,直ちに 4-メチル-2-ペンタノン(4.4)40ml を加える。分液漏斗を 30 秒間

振とうする。2 層に分離した後,下層の水相は棄てる。

分液漏斗の足の中の水分をろ紙片でふき取る。乾いたろ紙を通して有機相をろ過し,ろ液を乾いた小さ

いビーカーの中に受ける。直ちに吸光度を測定する。

7.5

吸光度測定

溶液の温度が±1℃の範囲で一定であることを確認する。分光光度計(5.1)を使用し,355nm の波長で溶液

の吸光度を測定する。光路長 1cm のセルを用いる。対照溶液として,4-メチル-2-ペンタノン(4.4)を使用す

る。

7.6

空試験

空試験は,試料を用いないで定量操作と並行して,同じ操作で,全試薬の同量を用いて行う。

7.7

検量線の作成

7.7.1

りん標準溶液(4.10)0ml, 2.5ml, 5.0ml 及び 10.0ml をそれぞれ四つのプラスチックビーカー(5.2)に加

える。添加量は,りんとして 0mg, 0.025mg, 0.05mg 及び 0.100mg に相当する。添加した後,7.1.2 から 7.5

までの操作を行う。

7.7.2

それぞれのりんの検量線溶液の吸光度から“0”の検量線溶液の吸光度を差し引いた吸光度と添加

したりんの量 (mg) との関係線を作成する。

7.8

測定数

測定は,少なくとも 2 回行う。

8.

結果の表現

8.1

計算

8.1.1

空試験(7.6 参照)の吸光度を差し引いて,試料溶液(7.5 参照)の吸光度を補正する。試料溶液の

正味の吸光度と検量線(7.7.2 参照)とから,りんの量 (mg) を求める。

8.1.2

試料中のりんの質量百分率を,次の式によって算出する。

1

2

10 m

m

P

×


49

G 1326 : 2000

ここに,

P

:  りんの含有率 [% (m/m)]

m

1

:  はかり取った試料の質量 (g)

m

2

:  試料中のりんの検出量 (mg)

8.2

精度

8.2.1

分析室試験

6

か国の 8 分析室が,2 個のニッケル,4 個のフェロニッケルメタル(4 か国の 7 分析室)及び 6 個のニ

ッケル基合金(6 か国の 8 分析室)を使用し,この附属書に規定された方法による共同実験に参加した。

試料は,日を変えて 3 回又は 4 回分析した。試料名及びその組成を

附属書 10 表 に示す。

附属書 10 表 2  試料の組成

単位% (m/m)

ニッケル及びフェロニッケル

試料 P As

Cr

Fe

Si

Ni

NiNo.1 0.000

05

<0.01

残部

NiNo.2 0.000

8

0.2

残部

Fe-Ni No.1

0.01

<0.001

0.5

残部

0.5 25

Fe-Ni No.2

0.01

0.1

4.5

残部

5 25

Fe-Ni No.3

0.045

<0.001

0.5

残部

0.6 25

Fe-Ni No.4

0.045 0.1

4.5

残部

5 25

ニッケル基合金

試料

P Co Cr Cu Fe

Mo Ni

Nb

W

4D-7 0.01

− − 32  1

− 65

4D-8 0.01

− 21 −

4

9

62

3

4D-9 0.02

− 18 − 19

3 53

5

4D-10 0.02

− 20 − 46

− 31

4D-11 0.01

1

21

− 20

8 47

4D-12 0.005

42 21

2

4

20

4

4

8.2.2

統計解析

8.2.2.1

共同実験で得られた結果は,ISO 5725 に基づいて計算した。得られたデータは,通常の分布から

大きく外れた値がないか,ISO 5725 にコクラン検定及びディクソン検定で異常値の検定にかけた。

8.2.2.2

コクランの検定は,ある分析室の室内分散が他所に比べて大きすぎるとき,それが異常値である

ことを検定するものである。ディクソンの検定は,ある分析室の平均値が他所に比べてかけ離れているか

どうか判断するものである。いずれの検定でも,95%信頼区間を適用した。

8.2.2.3

並行許容差及び室間再現許容差は,ISO 5725 によって 95%信頼区間で計算された。統計解析の結

果を

附属書 10 表 に示す。


50

G 1326 : 2000

附属書 10 表 3  統計解析結果

参照試料

平均りん含有率

%

 (m/m)

室内標準偏差

S

w

室間標準偏差

S

b

並行許容差

r

室間再現許容差

R

NiNo.2

0.000 91

0.000 07

0.000 12

0.000 2

0.000 4

Fe-Ni No.1

0.010 0

0.000 4

0.000 2

0.001 2

0.001 4

Fe-Ni No.2

0.010 0

0.000 4

0.001 2

0.001 2

Fe-Ni No.3

0.043 7

0.001 4

0.002 1

0.003 8

0.006 8

Fe-Ni No.4

0.042 5

0.001 0

0.001 0

0.002 7

0.003 8

4D-7

0.012 0

0.000 6

0.000 7

0.001 6

0.002 6

4D-8

0.008 9

0.000 9

0.001 5

0.002 4

0.005 0

4D-9

0.014 8

0.000 8

0.000 6

0.002 3

0.002 8

4D-10

0.018 5

0.000 3

0.000 7

0.001 0

0.002 2

4D-11

0.013 5

0.000 6

0.000 8

0.001 6

0.002 7

4D-12

1)

0.005 4

0.000 1

0.000 8

0.000 4

0.002 2

1

)

サンプル 4D-12 は,りんの含有率が 0.005% (m/m) であると認証された標準合金 BMA328-1
である。

8.2.2.4

ニッケルの 2 個の試料のうち,

Ni No.2

について,

1

分析室がコクランの検定で棄却された。

Ni No.1

のりんの含有率はこの規格の適用範囲より低く,無意味な結果となった。

フェロニッケルでは,Fe-Ni No.4 について 1 分析室がコクランの検定で棄却された。

合金では,3 分析室が棄却された。4D-12 のコクラン検定で棄却されたのが 1 か所,4D-9 及び 4D-10 の

ディクソン検定で棄却されたのが 2 か所である。

9.

分析報告書

分析報告書には,次の情報を記載しなければならない。

a)

用いた引用規格

b)

分析結果

c)

独立した繰返し分析数

d)

分析の際の通常と異なる点

e)

この附属書に含まれない操作又は付加的な操作とみなすことができるもの。


51

G 1326 : 2000

附属書 11(規定)  硫黄定量方法−燃焼赤外線吸収法 

序文  この

附属書 11 は,1985 年に第 1 版として発行された ISO 7526, Nickel meta1, ferronickel and nickel

alloys

−Determination of sulfur content−Infra-red absorption method after induction furnace combustion を翻訳し,

技術的内容及び規格票の様式を変更することなく規定したものである。

なお,この附属書で点線の下線を施した箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲

この

附属書 11 は,フェロニッケル中の硫黄の含有率を,誘導加熱炉を用いて燃焼し,赤外線吸収法で定

量する方法について規定する。

この方法は,硫黄の含有率 0.001% (m/m)  以上 0.3% (m/m)  以下のフェロニッケルに適用する。

それらの組成の例を

附属書 11 参考 に示す。

備考  この方法を 0.000 2∼0.001% (m/m) の範囲に適用することは,おそらく可能である。しかし,

この低い濃度範囲を適用範囲に加えるには十分な実験データがない。

参考  原文では,ニッケル及びニッケル合金も対象にしているが,これらは,JIS H 1151(ニッケル

地金分析方法)及び JIS H 1277(ニッケル及びニッケル合金中の硫黄定量方法)に規定してあ

るので削除し,この

附属書では,フェロニッケルについてだけ規定した。

2.

引用規格

ISO 5725

, Precision of test methods

−Determination of repeatability and reproducibility by inter-laboratory

tests

ISO 7525

, Nickel

−Determination of sulfur content−Methylene blue molecular absorption spectrometric

method after generation of hydrogen sulfide

参考  ISO 5725 は,次の規格で置き換えられている。

ISO 5725-1

6  : 1994  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−

Part 1

∼6

3.

原理

試料を融剤及び助燃剤とともに,高周波誘導加熱炉中で酸素を流しながら高温で燃焼する。生成した二

酸化硫黄を赤外線ガス分析計によって測定する。

4.

試薬及び材料

4.1

酸素  99.5% (m/m)  以上

4.2

アスカライト又はソーダ石灰  0.7∼1.2mm(14∼22 メッシュ)

4.3

過塩素酸マグネシウム  Mg (C10

4

2

 0.7

∼1.2mm(14∼22 メッシュ)

4.4

ガラスウール

4.5

るつぼ及びふた

4.5.1

炉の誘導コイル中に正確に試料を置くため,磁器るつぼは正確な寸法でなければならない(9.1 

照)


52

G 1326 : 2000

4.5.2

るつぼは,空気又は酸素中であらかじめ 1 100℃で 1 時間以上空焼きし,デシケーター又は密閉容

器中に保存する。酸素を流す燃焼管の付いた抵抗炉を用いてもよい。るつぼの内容物を高温域に保持する

ためのるつぼのふたも同様に空焼きする。

4.6

融剤  硫黄の含有率の低いすず,銅とすず,銅又は酸化バナジウム (V) (9.2 参照)。

4.7

助燃剤  硫黄の含有率の低い銅,鉄,タングステン又はニッケル(9.2 参照)。

4.8

ニッケル  硫黄の含有率が 0.001% (m/m)  以下で,その含有率が既知のもの。

4.9

鉄鋼標準物質  0.1∼0.2% (m/m)  の硫黄を含むもの。

5.

装置

高周波誘導加熱炉中で燃焼し,発生した二酸化硫黄を赤外線吸収で測定するために必要な装置は,数社

から市販されている。

装置の操作方法は製造業者の説明書に従う。

圧力調整器は炉の酸素圧の制御に必要であり,製造業者の仕様書に従う[通常 28kN/m

2

 (28kPa)

市販されている装置の特徴を

附属書 11 参考 に示す。

6.

サンプリング及び試料

6.1

サンプリング及び実験室試料の調製は,同意された方法,又は同意が得られない場合には関連する

国際規格によって,実施されなければならない。

6.2

実験室試料は,一般に粉,細粒,削り粉又は切り粉であり,それ以上の試料調製を必要としない。

6.3

実験室試料が,ミル又はドリルを用いた調製の過程で油又はグリスで汚染されているおそれがある

ときは,高純度アセトンで洗浄した後,空気中で乾燥する。

6.4

実験室試料が,広範囲な大きさの粒子及び片を含む場合は,分析試料は,二分器を通すのがよい。

7.

操作

警告

燃焼分析で危険なのは,主に磁器るつぼの空焼きの際及び融解の際における火傷である。常に

るつぼ挟みを用い,使用済みるつぼは適切な容器に廃棄する。酸素ボンベの取扱いには通常の

安全対策を講じる。密閉された室内で酸素が高濃度になると火災の原因となるため,装置から

排出される酸素を効果的に排気しなければならない。

7.1

装置の安定化

7.1.1

測定(7.4)と同じ操作で,適切な融剤及び助燃剤を用いて幾つかの試料を燃焼させることによって,

装置の調整及び安定化を行う。

備考  この際,るつぼは,空焼きしたものを用いる必要はない。

7.1.2

装置に酸素気流を数回循環させて,ゼロ調整を行う。

7.2

空試験及びゼロ調整

7.2.1

測定(7.4)に用いる量の融剤,助燃剤,及び硫黄の含有率が既知でかつ低含有率である高純度ニッケ

(4.8)1g を空焼きしたるつぼ(4.5)に入れる。

7.2.2

内容物の入ったるつぼを炉の受台に置き,燃焼位置まで上昇させ,固定する。取扱説明書に従って

炉を操作する。9.3 及び

附属書 11 参考 を参照。

備考1.  得られた指示値は,るつぼ,融剤並びに助燃剤による空試験値及び高純度ニッケル中の硫黄

に対応する。


53

G 1326 : 2000

2.

空試験値は硫黄 0.001% (m/m)  を超えてはならない。

3.

空試験値の指示値が異常に高い場合は,汚染の原因を調査し,除去する。

7.2.3

ゼロ調整つまみ,又は幾つかの装置では空試験調整制御によって装置の指示値がニッケル(4.8)の硫

黄含有率になるように調整する。

7.2.4

装置の精度限度内の再現性のある指示値を得るまで,7.2.17.2.3 を繰り返す。

備考  空試験の指示値を記録し,検量線を用いて補正する方法もある。

7.3

検量線

7.3.1

認証された鉄鋼標準物質(4.9)を選択する。

7.3.2

鉄鋼標準物質は,濃度既知か又は ISO 7525 で定量された低硫黄含有率 [<0.001% (m/m)] の純ニッ

ケルと組み合わせて使用する。

7.3.3

検量線範囲の上限を含むように,空焼きしたるつぼに適切な比率の二つの物質(7.3.1 及び 7.3.2

をはかり取る。あらかじめ決められた量の融剤及び助燃剤を加え,7.2.2 の条件で燃焼する。そして装置の

指示値を記録する。

7.3.4

取扱説明書に従って,7.3.3 の硫黄の含有率と一致するように装置の指示値を調整する。

7.3.5

指示値の再現性を確認するため 7.3.3 を繰り返す。

7.3.6

必要な範囲の検量線を作成するため,鉄鋼標準物質及びニッケルの割合を変えて 7.3.3 を繰り返す。

7.3.7

硫黄の含有率 0.100% (m/m) の鉄鋼標準物質,及び硫黄の含有率 0.001% (m/m) のニッケル試料を

用いた検量線試料の例を

附属書 11 表 に示す。

附属書 11 表 1  検量線試料の例

鉄鋼標準物の質量

g

ニッケルの量

g

混合物中の硫黄含有量

% (m/m)

0.500 0.500

0.050

+0.000 5

0.300 0.700

0.030

+0.000 7

0.100 0.900

0.010

+0.000 9

0 1.000

0.0

0

7.4

測定

7.4.1

試料 0.9∼1.1g をはかり取り,0.001g のけたまで読み取る。これを適切な量の融剤(4.6)を含む空焼

きしたるつぼ(4.5)に移す。必要ならば適量の助燃剤(4.7)を加える。用いる融剤及び助燃剤は,装置の特性

及び分析される物質の種類によって異なる。典型的な添加剤は,試料 1.0g に対し,銅なら 2g,銅 1g と鉄

1g

の合剤,タングステンなら 2∼3g,又は酸化バナジウム (V) 1g 及び鉄粉 1g である。るつぼにふたをす

る。

7.4.2

炉の受台に内容物の入ったるつぼを置き,燃焼位置に上昇させ,固定する。取扱説明書に従って炉

を操作する(9.3 及び

附属書 11 参考 参照)。

7.4.3

分析装置の指示値を記録し,測定を繰り返す。

備考1.  炉から赤外線分析計へ二酸化硫黄を完全に移動させるため,試料の融解後も高温状態を維持

することが重要である。

2.

融解物がるつぼのふたに飛び散ると,誘導加熱の範囲から外れてしまうので,それを避ける

ために,静かに燃焼させることが必要である。

8.

結果の表現

8.1

計算


54

G 1326 : 2000

8.1.1

装置が,試料の質量から自動的に補正して硫黄の質量百分率を直接算出する場合は,二つの定量値

を平均し,定量結果として報告する。

8.1.2

試料の質量を 1.00g として計算し,自動的に質量補正をしない場合は,それぞれの指示値を各々の

試料の質量 (g) で割る。二つの定量値を平均し,定量結果として報告する。

8.1.3

幾つかの装置では,硫黄の質量  (

µ

g)

と装置の指示値との関係の検量線を用意する必要がある。試

料中の硫黄の質量  (

µ

g)

を検量線から読み取り,空試験値及び試料の質量から試料中の含有率を求める。

二つの定量値を平均し,定量結果として報告する。

8.2

精度

6

か国の 14 分析室間で,この附属書に規定された方法による共同実験が実施された。11 試料を日を変え

て 2 回分析した。ISO 5725 に従い計算された並行許容差及び室間再現許容差を

附属書 11 表 に示した。

附属書 11 表 2  統計解析の結果

金属又は合金

平均硫黄含有率

% (m/m)

室内標準偏差

S

w

室間標準偏差

S

b

並行許容差

r

室間再現許容差

R

フェロニッケル

  A22

0.020

0.000 6

0.001 3

0.001 8

0.004 0

  A28

0.023

0.000 3

0.001 7

0.000 9

0.005 0

  C1

0.024

0.000 5

0.001 0

0.001 4

0.003 2

  C2

0.048

0.000 7

0.003 0

0.002 1

0.008 9

  C3

0.074

0.000 9

0.003 1

0.002 5

0.009 1

  C4 0.20

0.0

3

0.013

0.009

0.038

ニッケル

  HN

0.000 4

0.000 14

0.000 15

0.000 4

0.000 5

  YG

0.006 3

0.000 2

0.000 5

0.000 5

0.001 6

  YF

0.013

0.000 3

0.001 3

0.000 7

0.003 8

ニッケル合金

  AK (H*)

0.002 5

0.000 2

0.000 6

0.000 6

0.001 9

  AO (B*)

0.016

0.000 6

0.001 0

0.001 8

0.003 3

*

附属書 12 表 の合金の種類を参照。

9.

操作上及び装置上の注意

9.1

るつぼ及びふた

磁器るつぼは,試料及び必要な添加剤を入れて融解するために用いる。るつぼは装置に対して正確な寸

法でなくてはならない。また,るつぼ中の試料を加熱する誘導コイル内に正確にセットするため受台に適

合したものでなければならない。

燃焼るつぼの典型的な寸法は,高さ 25mm,外径 25mm,内径 20mm,肉厚 2.5mm 及び底厚 8mm である。

るつぼの硫黄分を除去するために,酸素気流中 1 100℃で空焼きする。内容物が飛散して誘導コイルの加熱

部から外れてしまわないように,るつぼにふたをする。るつぼのふたは,るつぼと同様の操作で空焼きす

る(4.5.2 参照)

9.2

融剤及び助燃剤

9.2.1

試料の微粒子を互いに凝集し,流動性のある溶体を生成させ,効果的に誘導加熱するために融剤を

添加する。すず,銅とすず,銅と酸化バナジウム (V) が有効な融剤である。

9.2.2

銅,鉄,タングステン及びニッケルが一般的な助燃剤である。助燃剤は次のような目的で添加する。

a)

そのままでは誘導加熱されにくい,非常に細かい試料及び複雑な組成の物質などを誘導加熱しやすく


55

G 1326 : 2000

するための結合媒体。

b)

燃焼温度を上昇させる化学燃料のようなもの。

c)

試料が少量の場合,試料の量を増加せずにるつぼ内の物質の量を増やすもの。

融剤及び助燃剤の硫黄の含有率は低くなければならない。また,検量線の作成の際にもこれらを添

加しなければならない。酸素,耐火材,融剤,助燃剤などからの全空試験値は 0.001% (m/m) を超え

てはならない。

備考  幾つかの物質は融剤と助燃剤両方の作用をする。

9.3

高周波誘導加熱炉の特徴及び操作

9.3.1

商品化されている装置の特徴を

附属書 11 参考 に示す。

9.3.2

アスカライト(4.2)及び過塩素酸マグネシウム(4.3)を詰めた管を使用し供給酸素を精製する。準備中

の流量は約 0.5l/min にする。

9.3.3

炉室と分析計の間にガラスウールフィルターを詰め,必要に応じて取り替える。炉室,受台及びフ

ィルタートラップは飛散した内容物を除去するために頻繁に清掃することが望ましい。

9.3.4

製造業者は,酸素が炉室に入る前に予備燃焼する設定を推奨しているかもしれない。この予備燃焼

中に試料は赤熱状態であることが望ましい。このようにすれば,燃焼段階で酸素が導入されたときに温度

が十分に上がる。

9.3.5

燃焼中に到達する温度は,炉,るつぼ内の金属の種類及び量に依存する。二酸化硫黄を炉から赤外

線分析計に完全に移動させるために,試料が融解した後もこの温度を 1 700℃以上に維持する。

9.3.6

酸素流量は装置によって異なるが,燃焼時は通常約 2.0l/min である。

9.3.7

装置を数時間放置した後,又は炉室及びフィルターを清掃した後は,7.1 に従って装置を安定化さ

せることが望ましい。

10.

分析報告書

分析報告書には,次の情報を記載しなければならない。

a)

用いた引用規格

b)

分析結果

c)

独立した繰返し分析数

d)

分析の際の通常と異なる点

e)

この附属書に含まれない操作又は付加的な操作とみなすことができるもの。


56

G 1326 : 2000

附属書 11 参考 A   

ニッケル・フェロニッケル・ニッケル合金の組成の一例

この

参考 は,この附属書 11 の一部を構成するものではない。

附属書 11 表 3に示された組成の一例は,化学組成の規格として表したものではない。

附属書 11 表 3  ニッケルの組成の例

単位% (m/m)

Ni

+Co

Co C Cu Fe  S

(最大) (最大) (最大) (最大) (最大)

99.95 0.1

0.015  0.005  0.02

0.002

5

99.9

0.5  0.03 0.03 0.03 0.03

99.0

1.5 0.15

0.2 0.4 0.01

附属書 11 表 4  フェロニッケルの組成の例

単位% (m/m)

種類 Ni

C

Cr  Cu  Fe

S

Si

(最大) (最大)

(最大) (最大)

LC 15 0.005 0.10 0.20

残部 0.03  0.20

 60

0.03

MC 15  0.03  0.5  0.20

残部 0.10  1.0

60

1.0

HC 15  1.0  2.0  0.20

残部 0.40  4.0

60

2.5

備考 Co は通常 Ni の 1/40∼1/20。


57

G 1326 : 2000

附属書 11 表 5  ニッケル合金の組成の例

1)

単位% (m/m)

合金

2)

Al B  C

Co

3)

Cr Cu

Fe

Mn

Ni

P

S  Si

Ti

その他の元素

A

− 0.30  −

− 28.0

2.5 2.0

63.0

4)

− 0.025 0.5  −

34.0

B

− 0.15  − 14.0  0.5

6.0 1.0

72.0

4)

− 0.015 0.5  −

17.0  10.0

C 0.4

− 0.08  − 14.0  0.5

5.0 1.0

70.0

4)

−  0.015 0.5 2.2 Nb+Ta

 1.0

 17.0

9.0

  2.8

0.7

∼1.2

D 0.2 0.006

0.08

− 17.0  0.3

残部

0.4

50.0  0.015 0.015 0.4 0.6 Nb

+Ta

0.8

21.0    55.0

   1.2

4.7

∼5.5

E 0.15

− 0.10  − 19.0  0.7

残部

1.5

30.0

− 0.015 1.0 0.15

0.60

23.0    35.0

   0.60

F

− 0.08 5.0 18.0  0.5

5.0 1.0

残部

4)

−  0.02  1.0 0.2 Pb

0.15

 21.0

   0.6

0.005

G  1.0  0.020  0.13 15.0 18.0

0.2

1.5 1.0

残部

−  0.015 1.0 2.0 Zr

2.0

   21.0

21.0

   3.0

0.15

H  4.5  0.003  0.12 18.0 14.0

0.2

1.0 1.0

残部

−  0.015 1.0 0.9 Zr

4.9  0.010  0.17 22.0 15.7

1.5  0.15

I  0.3  0.005  0.04 19.0 19.0

0.2

0.7 0.6

残部

−  0.007 0.4 1.9 Ti+Al

0.6

0.08 21.0 21.0

2.4  2.4

∼2.8

J

−  0.02  1.0  1.0

2.0 1.0

残部

4)

0.04 0.035 0.1

K  1.2  0.003  0.02 12.0 18.0

0.1

2.0 1.0

残部

0.015 0.015 0.1 2.8 Zr

1.6  0.010  0.10 15.0 21.0

3.3  0.02

∼0.08

L

−  0.02  2.5 14.5

4.0 1.0

残部

0.04 0.035 0.08

− V0.35

     16.5

7.0

W3.0

∼4.5

1)

値が一つのものは最大値である。ただし,ニッケルの場合は値が一つのものは最小値である。

2)

国際規格名称が明らかになるまで商品名の代わりにアルファベットを用いた。

3)

最大値が記載されていないもののコバルトは,最大 1.5% (m/m)  である。

4)

コバルトの含有率がニッケルの含有率に含まれている合金もある。


58

G 1326 : 2000

附属書 11 参考 B

商品化されている高周波誘導加熱炉及び赤外線硫黄分析計の特徴 

この

参考 は,この附属書 11 の一部を構成するものではない。

B.1

燃焼炉

B.1.1

燃焼炉は誘導コイル及び高周波発生器から成る。炉室は誘導コイルの内側に適合する石英ガラス管

から成る。この管には上下に O リングによってシールされた金属板が取り付けてある。ガスの出入口の穴

はその金属板を通してつくられている。

B.1.2

高周波発生器は,通常,1.5∼2.5kV・A の定格出力のものを用いているが,製造業者によって周波数

は異なることがある。周波数は 2∼6, 15 又は 20MHz のものが用いられてきた。高周波発生器からの出力

は,通常空冷されている石英ガラス管の周りの誘導コイルに伝えられる。

B.1.3

試料,融剤及び助燃剤を入れたるつぼを正確に位置された受台に置くので,それが上昇すると,出

力が供給されたとき有効に誘導結合するように,るつぼの内容物は誘導コイル中に正確に入る。

B.1.4

誘導結合の度合いは,誘導コイルの直径及び巻き数,並びに炉室の構造及び高周波発生器の出力に

よって決まる。これらの要因は装置製造業者によって決められている。

B.1.5

燃焼中に到達する温度は,B.1.4 の要因に依存するだけでなく,るつぼ内の金属の性質,試料の形,

物質の質量によって異なる。これらの要因の幾つかは作業者によって異なるかもしれない。

B.2

赤外線分析計

B.2.1

ほとんどの装置で,燃焼によって発生する気体は連続的な酸素の流れによって検出器に送られる。

この気体は赤外セルを通過するが,例えば,ルフト形の場合,あらかじめ設定された時間,二酸化硫黄に

よる赤外部の吸収が積分される。信号は増幅され,硫黄の含有率百分率がデジタルディスプレー上に表示

される。

B.2.2

分析計の中には,燃焼発生ガスを,圧力を制御した一定量の酸素中に収集し,その混合気体を分析

して二酸化硫黄を求めるものもある。

B.2.3

電子制御は,ゼロ設定,空試験補正,検量線の傾き調整及び非直線的な応答の補正に,通常用いら

れる。一般的な分析計は,指示値から自動的に硫黄の含有率を算出できるように,標準物質及び試料の質

量を入力できる。るつぼの質量,試料の質量をはかり,分析装置へ質量を出力するための,一体化した自

動はかりを内蔵している装置もある。


59

G 1326 : 2000

附属書 12(規定)  硫黄定量方法−燃焼−よう素酸カリウム滴定法

序文  この附属書 12 には,1985 年に第 1 版として発行された ISO 7527, Nickel metal, ferronickel and nickel

alloys

−Determination of sulfur content−Iodimetric titration method after induction furnace combustion を翻訳し,

技術的内容及び規格票の様式を変更することなく規定したものである。

なお,この附属書で点線の下線を施した箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲

この

附属書 12 は,フェロニッケル中の硫黄の含有率を,誘導加熱炉を用いて燃焼し,よう素酸カリウム

滴定法で定量する方法について規定する。

この方法は,硫黄の含有率 0.001% (m/m)  以上 0.3% (m/m)  以下のフェロニッケルに適用する。

それらの組成の例を

附属書 12 参考 に示す。

参考  原文では,ニッケル及びニッケル合金も対象にしているが,これらは,JIS H 1151(ニッケル

地金分析方法)及び JIS H 1277(ニッケル及びニッケル合金中の硫黄定量方法)に規定してあ

るので削除し,この附属書では,フェロニッケルについてだけ規定した。

2.

引用規格

JIS R 3505

  ガラス製体積計

ISO 385-1

  Laboratory glassware−Burettes−Part 1 : General requirements

ISO 648

  Laboratory glassware−One-mark pipettes

ISO 1042

  Laboratory glassware−One-mark volumetric flasks

ISO 5725

  Precision of test methods−Determination of repeatability and reproducibility by inter-laboratory

tests

ISO 7525

  Nickel−Determination of sulfur content−Methylene blue molecular absorption spectrometric

method after generation of hydrogen sulfide

参考  ISO 5725 は,次の規格で置き換えられている。

ISO 5725-1

6 : 1994  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−

Part 1

∼6

3.

原理

試料を融剤及び助燃剤とともに,高周波誘導加熱炉中で酸素を流しながら高温で燃焼する。

酸性のよう素でんぷん溶液に生成した二酸化硫黄を吸収し,

よう素酸カリウム標準溶液で連続滴定する。

4.

試薬及び材料

特に規程がある場合を除き,分析には,認定された分析級の試薬及び蒸留水又は同等な純度の水を用い

る。

4.1

酸素  99.5% (m/m)  以上

4.2

アスカライト又はソーダ石灰  0.7∼1.2mm(14∼22 メッシュ)

4.3

過塩素酸マグネシウム Mg (ClO

4

)

2

  0.7∼1.2mm(14∼22 メッシュ)


60

G 1326 : 2000

4.4

ガラスウール

4.5

るつぼ及びふた

4.5.1

炉の誘導コイル中に正確に試料を置くため,磁器るつぼは正確な寸法でなければならない(9.1 

照)

4.5.2

るつぼは,空気又は酸素中であらかじめ 1 100℃で 1 時間以上空焼きし,デシケーター又は密閉容

器中に保存する。酸素を流す燃焼管の付いた抵抗炉を用いてもよい。るつぼの内容物を高温域に保持する

ためのるつぼのふたも同様に空焼きする。

4.6

融剤  硫黄の含有率の低いすず,銅とすず,銅又は酸化バナジウム(9.2 参照)

4.7

助燃剤  硫黄の含有率の低い銅,鉄,タングステン又はニッケル(9.2 参照)

4.8

ニッケル  硫黄の含有率が 0.001% (m/m)  以下で,その含有率が既知のもの。

4.9

鉄鋼標準物質  0.1∼0.2% (m/m)  の硫黄を含むもの。

4.10

塩酸

ρ

20

1.19g/ml  希釈液 (1+99)

4.11

よう化カリウムでんぷん溶液

可溶性でんぷん 9g をビーカー (50ml) に移し入れ,水 5∼10ml を加えてのり状になるまでかき混ぜる。

沸騰水 500ml にゆっくりと注ぐ。放冷した後,よう化カリウム 15g を加えて溶解するまでかき混ぜ,水で

1l

とする。

4.12

よう素酸カリウム標準溶液

よう素酸カリウム 0.222 5g を正確にはかり取り,水酸化ナトリウム 1g を含む水 900ml に溶解する。全

量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標線まで加える。

この標準溶液 1ml は,0.1mg の硫黄に相当する。

4.13

よう素酸カリウム標準溶液

全量フラスコ 1 000ml に 4.12 で調製した,よう素酸カリウム溶液 200ml を移し入れる。水を標線まで加

える。

この標準溶液 1ml は,0.02mg の硫黄に相当する。

備考  4.12 及び 4.13 の標準溶液の硫黄相当量は,完全に硫黄が二酸化硫黄になり,回収されることを

前提としている。十分正確に分析された,既知量の硫黄を含む標準物質は,これらの溶液の標

定に用いることができる。

5.

装置

5.1

高周波誘導加熱炉中で燃焼し,発生した二酸化硫黄を測定するために必要な装置は,数社から市販

されている。

装置の操作方法は製造業者の説明書に従う(9.3 参照)

5.2

ビュレット  容積 50ml で,0.1ml 間隔に目盛の刻まれたもの,及び容積 10ml で,0.02ml 間隔に目盛

の刻まれたもので,いずれも JIS R 3505 クラス A のビュレット又は ISO 385-1 クラス A のビュレット。

5.3

ピペット  JIS R 3505 クラス A のピペット又は ISO 648 クラス A のピペット。

5.4

全量フラスコ  JIS R 3505 クラス A のピペット又は ISO 1042 クラス A の全量フラスコ。

6.

サンプリング及び試料

6.1

サンプリング及び実験室試料の調製は,同意された方法,又は同意が得られない場合には関連する

国際規格によって,実施されなければならない。


61

G 1326 : 2000

6.2

実験室試料は,一般に粉,細粒,削り粉又は切り粉であり,それ以上の試料調製を必要としない。

6.3

実験室試料が,ミル又はドリルを用いた調製の過程で油又はグリスで汚染されているおそれがある

ときは,高純度アセトンで洗浄した後,空気中で乾燥する。

6.4

実験室試料が,広範囲な大きさの粒子及び片を含む場合は,分析試料は,二分器を通すのがよい。

7.

操作

警告

燃焼分析で危険なのは,主に磁器るつぼの空焼きの際及び融解の際における火傷である。

常にるつぼ挟みを用い,使用済みるつぼは適切な容器に廃棄する。酸素ボンベの取扱いに

は通常の安全対策を講じる。

7.1

測定

7.1.1

試料 0.9∼1.1g をはかり取り,0.001g のけたまで読み取る。これを適切な量の融剤(4.6)を入れた空

焼きしたるつぼ(4.5)に移す。必要ならば適量の助燃剤(4.7)を加える。用いる融剤及び助燃剤は,装置の特

性及び分析される物質の種類によって異なる。典型的な添加剤は,試料 1.0g に対し,銅なら 2g,銅 1g と鉄

1g

の合剤,

タングステンなら 2∼3g,又は酸化バナジウム (V) 1g 及び鉄粉 1g である。

るつぼにふたをする。

7.1.2

炉の受台に内容物の入ったるつぼを置き,酸素を流しながら燃焼位置に上昇させる。

7.1.3

塩酸(4.10)50∼70ml 及びよう素でんぷん溶液(4.11)2ml を吸収容器へ入れる。最後の滴定終点として

設定した青の濃さを示すまで十分なよう素酸カリウム標準溶液(4.13)をビュレットから加える。ビュレット

をゼロら戻す。

備考  硫黄の含有率が 0.02% (m/m)  以上の場合には,濃度の高いよう素酸カリウム標準溶液(4.12)を使

用する。

7.1.4

炉のスイッチを入れて酸素を流し続けながら試料を燃焼させる。終点の色として設定したよう素で

んぷんの青を保つように,よう素酸カリウム標準溶液(4.13)を継続的に滴加する。

二酸化硫黄がロスするので,滴定の間は常に溶液が無色にならないようにする。青の退色が見られなく

なり,るつぼの内容物が完全に燃焼した後,誘導コイルの電源を切る。通常 5 分間かかる。

7.1.5

滴定量を記録する。

7.1.6

7.1.1

から 7.1.5 までの手順を繰り返す。

7.2

空試験

7.2.1

定量(7.1)に使用した量の融剤並びに助燃剤及び硫黄の含有率が低く,かつ,既知である純ニッケル

(4.8)

1.0g

を空焼きしたるつぼ(4.5)に入れる。

7.2.2

7.1.2

から 7.1.5 を行う。

備考1.  滴定量は,るつぼ,融剤,助燃剤及び純ニッケル中の硫黄による空試験値に相当する。

2.

空試験値は,硫黄 0.001% (m/m)  を超えてはならない。

3.

空試験値が異常に高ければ,汚染の原因を調査し,除去する。

7.3

検量線

7.3.1

認証された鉄鋼標準物質(4.9)を選択する。

備考  フェロニッケルに対しては,硫黄の含有率が高い標準物質を使用する。

7.3.2

鉄鋼標準物質は,濃度既知か又は ISO 7525 で定量された低硫黄含有率 [<0.001% (m/m)] の純ニッ

ケルと組み合わせて使用する。

7.3.3

検量線範囲の上限を含むように,空焼きしたるつぼに適切な比率の二つの物質(7.3.1 及び 7.3.2

をはかり取る。あらかじめ決められた量の融剤及び助燃剤を加え,7.1.5 から 7.1.6 に従って燃焼する。


62

G 1326 : 2000

7.3.4

指示値の再現性を確認するために 7.3.3 を繰り返す。

7.3.5

必要な範囲の検量線を作成するために,鉄鋼標準物質及びニッケルの割合を変えて 7.3.3 を繰り返

す。

7.3.6

硫黄の含有率 0.100% (m/m) の鉄鋼標準物質及び硫黄の含有率 0.001% (m/m) のニッケル試料を用

いた検量線試料の例を

附属書 12 表 に示す。

附属書 12 表 1  検量線試料の例

鉄鋼標準物質の量

g

ニッケルの量

g

混合物の硫黄の含有率

% (m/m)

0.500 0.500

0.050

+0.000 5

0.300 0.700

0.030

+0.000 7

0.100 0.900

0.010

+0.000 9

0 1.000

0.0

0

備考1.  炉から赤外線分析計へ二酸化硫黄を完全に移動させるため,試料の融解後も高温状態を維持

することが重要である。

2.

融解物がるつぼのふたに飛び散ると,誘導加熱の範囲から外れてしまうので,それを避ける

ために,静かに燃焼させることが必要である。

7.3.7

各検量線試料の滴定量(7.3)から空試験の滴定量(7.2)を差し引く。

7.3.8

燃焼させた各検量線試料中の硫黄量  (

µ

g)

を求め,空試験値を差し引いた滴定量に対してプロット

する。

8.

結果の表現

8.1

計算

8.1.1

試料の滴定量から空試験の滴定量を差し引く。

8.1.2

検量線から,試料中の硫黄の質量  (

µ

g)

を読み取る。

8.1.3

硫黄の含有率 [% (m/m)] は,次の式によって算出する。

4

0

1

10

×

m

m

S

ここに,

S

:  試料中の硫黄の含有率 [% (m/m)]

m

1

:  はかり取った試料中の硫黄の検出量  (

µ

g)

m

0

:  はかり取った試料の質量 (g)

8.1.4

各々の試料について,2 個の結果の平均値を報告する。

8.2

精度

6

か国の 14 分析室間で,

この附属書に規定された方法による共同実験が実施された。

この操作に従って,

10

試料を日を変えて 2 回分析した。

ISO 5725

に従い計算した並行許容差及び室間再現許容差を

附属書 12 表 に示した。


63

G 1326 : 2000

附属書 12 表 2  統計解析の結果

金属又は合金

平均硫黄の含有率

% (m/m)

室内標準偏差

S

w

室間標準偏差

S

b

並行許容差

r

室間再現許容差

R

フェロニッケル

  A22

0.020

0.000 8

0.002 2

0.002 3

0.006 6

  A28

0.024

0.000 8

0.001 5

0.002 2

0.004 9

  C1

0.024

0.000 6

0.000 7

0.001 7

0.002 6

  C2

0.049

0.001 0

0.001 7

0.002 9

0.005 6

  C3

0.074

0.000 9

0.004 7

0.002 5

0.014

  C4 0.20

0.0

5

0.013

0.007

0.039

ニッケル

  YG

0.006 7

0.000 2

0.000 5

0.000 5

0.001 6

  YF

0.014

0.000 3

0.001 4

0.000 9

0.004 1

ニッケル合金

  AK (H*)

0.003 2

0.000 5

0.001 4

0.001 3

0.004 0

  AO (B*)

0.017 8

0.000 3

0.002 5

0.000 9

0.007 1

*

附属書 12 表 の合金の種類を参照。

9.

操作上及び装置上の注意

9.1

るつぼ及びふた

磁器るつぼは,試料及び必要な添加剤を入れて融解するために用いる。るつぼは装置に対して正確な寸

法でなくてはならない。また,るつぼ中の試料を加熱する誘導コイル内に正確にセットするため受台に適

合したものでなければならない。

燃焼るつぼの典型的な寸法は,高さ 25mm,外径 25mm,内径 20mm,肉厚 2.5mm 及び底厚 8mm である。

るつぼの硫黄分を除去するために,酸素気流中 1 100℃で空焼きする。内容物が飛散して誘導コイルの加

熱部から外れてしまわないように,るつぼにふたをする。るつぼのふたは,るつぼと同様の操作で空焼き

する(4.5.2 参照)

9.2

融剤及び助燃剤

9.2.1

試料の微粒子を互いに凝集し,流動性のある溶体を生成させ,効果的に誘導加熱するために融剤を

添加する。すず,銅とすず,銅と酸化バナジウム (V) が有効な融剤である。

9.2.2

銅,鉄,タングステン及びニッケルが一般的な助燃剤である。助燃剤は次のような目的で添加する。

a)

そのままでは誘導加熱されにくい,非常に細かい試料及び複雑な組成の物質などを誘導加熱しやすく

するための結合媒体。

b)

燃焼温度を上昇させる化学燃料のようなもの。

c)

試料が少量の場合,試料の量を増加せずにるつぼ内の物質の量を増やすもの。

融剤及び助燃剤の硫黄の含有率は低くなければならない。また,検量線の作成の際にもこれらを添

加しなければならない。酸素,耐火材,融剤及び助燃剤などからの全空試験値は 0.001% (m/m) を超

えてはならない。

備考  幾つかの物質は融剤及び助燃剤両方の作用をする。

9.3

高周波誘導加熱炉の特徴及び操作


64

G 1326 : 2000

9.3.1

燃焼炉は誘導コイル及び高周波発生器から成る。炉室は誘導コイルの内側に適合する石英ガラス管

から成る。この管には上下に O リングによってシールされた金属板が取り付けられている。ガスの出入口

の穴はその金属板を通してつくられている。燃焼中に生成した二酸化硫黄はガラス管を通って滴定容器に

送られる。

9.3.2

滴定溶液の滴加によって,でんぷんとよう素から生成する青の強度を測定するための光電セルを,

滴定容器に装備することが望ましい。青の強度は光電セルに接続されたガルバノメーターで測定される。

滴定溶液の滴加を手動で行うものもあるが,

幾つかの装置では,

あらかじめ設定しておいた色の強度まで,

滴定溶液の滴加を自動的に行うことができる。目で見て色の強度を判定することも可能であるが,分析の

精度はよくない。

9.3.3

高周波発生器は,通常,1.5∼2.5kV・A の定格出力のものを用いているが,製造業者によって周波

数は異なることがある。周波数は 2∼6, 15 又は 20MHz のものが用いられてきた。高周波発生器からの出

力は,通常空冷されている石英ガラス管の周りの誘導コイルに伝えられる。

9.3.4

試料,融剤及び助燃剤を入れたるつぼを正確に位置された受台に置くので,それが上昇すると,出

力が供給されたとき有効に誘導結合するように,るつぼの内容物は誘導コイル中に正確に入る。

9.3.5

誘導結合の度合いは,誘導コイルの直径及び巻数,並びに炉室の構造及び高周波発生器の出力によ

って決まる。これらの要因は装置製造業者によって決められている。

9.3.6

燃焼中に到達する温度は,炉,るつぼ内の金属の種類及び量に依存する。二酸化硫黄を炉から完全

に移動させるために,試料が融解した後もこの温度を 1 700℃以上に維持する。

9.3.7

アスカライト(4.2)及び過塩素酸マグネシウム(4.3)を詰めた管を使用し供給酸素を精製する。酸素の

流量は装置によって異なるが,通常,約 0.5l/min である。

9.3.8

炉室と分析計の間にガラスウールフィルターを詰め,必要に応じて取り替える。炉室,受台及びフ

ィルタートラップは飛散した内容物を除去するために頻繁に清掃することが望ましい。

10.

分析報告書

分析報告書には,次の情報を記載しなければならない。

a)

用いた引用規格

b)

分析結果

c)

独立した繰返し分析数

d)

分析の際の通常と異なる点

e)

この附属書に含まれない操作又は付加的な操作とみなすことができるもの。


65

G 1326 : 2000

附属書 12 参考 A   

ニッケル・フェロニッケル・ニッケル合金の組成の一例 

この

参考 は,この附属書 12 の一部を構成するものではない。

附属書 12 表 3に示した組成の一例は,化学組成の規格として表したものではない。

附属書 12 表 3  ニッケルの組成の例

単位% (m/m)

Ni

+Co

Co C Cu Fe  S

(最大) (最大) (最大) (最大) (最大)

99.95

0.1

 0.015

 0.005

 0.02

0.002 5

99.9

0.5

 0.03

 0.03

 0.03

0.03

99.0

1.5

 0.15

 0.2

 0.4

0.01

附属書 12 表 4  フェロニッケルの組成の例

単位% (m/m)

種類 Ni

C

Cr  Cu  Fe

S

Si

(最大) (最大)

(最大) (最大)

LC 15 0.005

0.10 0.20

残部 0.03 0.20

 60

0.03

MC 15  0.03 0.5  0.20

残部 0.10 1.0

 60

1.0

HC 15  1.0  2.0  0.20

残部 0.40 4.0

 60

2.5

備考 Co は通常 Ni の 1/40∼1/20。


66

G 1326 : 2000

附属書 12 表 5  ニッケル合金の組成の例

1)

単位% (m/m)

合金

2)

 Al

B

C  Co

3)

 Cr  Cu

Fe

Mn

Ni

P

S

Si

Ti

その他の元素

A

− 1

0.30

− 28.0  2.5 2.0 63.0

4)

0.025 0.5

34.0

B

− 0.15 − 14.0  0.5

6.0 1.0 72.0

4)

0.015 0.5

17.0

 10.0

C 0.4

− 0.08 − 14.0  0.5

5.0 1.0 70.0

4)

0.015 0.5

2.2

Nb

+Ta

1.0

17.0

 9.0

 2.8

0.7

∼1.2

D 0.2 0.006 0.08

− 17.0  0.3 残部 0.4 50.0 0.015 0.015 0.4

0.6

Nb

+Ta

 0.8

 21.0

   55.0

  1.2

4.7

∼5.5

E 0.15

− 0.10 − 19.0  0.7 残部 1.5 30.0

0.015 1.0

0.15

 0.60

 23.0

   35.0

  0.60

F

−  1

0.08  5.0 18.0  0.5

5.0 1.0

残部

4)

0.02 1.0

0.2

Pb

     0.15

 21.0

  0.6

0.005

G  1.0  0.020  0.13 15.0 18.0  0.2

1.5 1.0

残部

0.015 1.0

2.0

Zr

2.0

 21.0

21.0

  3.0

0.15

H  4.5  0.003  0.12 18.0 14.0  0.2

1.0 1.0

残部

0.015 1.0

0.9

Zr

4.9

0.010

0.17

22.0

15.7

  1.5

0.15

I  0.3  0.005  0.04 19.0 19.0  0.2

0.7 0.6

残部

0.007 0.4

1.9

Ti

+A1

0.6   0.08

21.0

21.0

  2.4

2.4

∼2.8

J

−  0.02   1.0   1.0  −

2.0 1.0

残部

4)

0.04

0.035 0.1

K  1.2  0.003  0.02 12.0 18.0  0.1

2.0 1.0

残部

0.015 0.015 0.1

2.8

Zr

 1.6 0.010

0.10

15.0

21.0

  3.3

0.02

∼0.08

L

− 0.02

2.5

14.5

4.0 1.0

残部

0.04

0.035 0.08

− V0.35

16.5

7.0

W3.0

∼4.5

1)

値が一つのものは最大値である。ただし,ニッケルの場合は値が一つのものは最小値である。

2)

国際規格名称が明らかになるまで商品名の代わりにアルファベットを用いた。

3)

最大値が記載されていないもののコバルトは,最大 1.5% (m/m)  である。

4)

コバルトの含有率がニッケルの含有率に含まれている合金もある。


67

G 1326 : 2000

附属書 13(規定)   

硫黄定量方法−硫化水素気化分離メチレンブルー吸光光度法 

1.

要旨  試料を塩素酸カリウム及び硝酸で分解し,蒸発乾固した後,塩酸で塩類を溶解する。還元剤を

加え,窒素を通しながら加熱し,硫黄を硫化水素に還元して気化させ,酢酸亜鉛に吸収させた後,NN-ジ

メチル-p-フェニレンジアミン及び塩化鉄 (III) を加えてメチレンブルーを生成させ,光度計を用いてその

吸光度を測定する。

2.

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸 (11)  

b)

硝酸

c)

窒素  99.5vol%以上のもの。

d)

アルゴン

e)

塩素酸カリウム

f)

塩化鉄 (III)溶液  塩化鉄 (III) 六水和物 10g を水に溶解して水で液量を 100ml とする。

g)

還元剤混液  よう化水素酸[約 57% (m/m)]200ml 及びホスフィン酸(次亜りん酸)[約 50% (m/m)]

50ml

を精製装置(

附属書 13 図 参照)に移し入れ,窒素を 100ml/min の流量で 10 分間流して混合し,

装置内の空気を除去する。引き続き窒素[c)]  (

1

)

を流しながら 115∼117℃で 2 時間加熱した後,窒素を

流しながら放冷し,褐色の着色瓶に入れて保存する。

h)

吸収液  酢酸亜鉛二水和物 20g を水に溶解し,水で液量を 1 000ml とする。濁りを生じたときは,酢

酸数滴を加えた後,ろ過する。このとき,吸収液の pH は 5 以上でなければならない。

i)

洗浄液  りん酸二水素ナトリウム二水和物 2g 及びピロガロール 2g を水 20ml に溶解し,あらかじめ

窒素[c)](

1

)

を通じておく。この溶液は,使用の都度調製する。

j)

NN-

ジメチル--p-フェニレンジアミン溶液  硫酸 NN-ジメチル-p-フェニレンジアミン 0.6g を硫酸 (1

+2) 300ml に溶解する。

k)

硫黄標準溶液 (2.5

µ

gS/ml) 

  硫酸カリウムを 105±2℃で 2 時間加熱し,デシケーター中で放冷する。

その 0.5435g をはかり取り,水に溶解する。溶液を全量フラスコ 1 000ml に水を用いて移し入れ,水

を標線まで加えて原液 (100

µ

gS/ml)

とする。使用の都度,この原液を必要量だけ水で正確に 40 倍に

希釈して硫黄標準溶液とする。

(

1

)

窒素の代わりにアルゴンを用いてもよい。

3.

装置及び器具  装置及び器具は,通常,次による(

2

)

附属書 13 図 参照)。

a)

窒素清浄装置  この装置は,窒素 (A) (

3

)

中に含まれている不純物を除いて清浄な窒素とするための過

マンガン酸カリウム溶液(過マンガン酸カリウム 1g 及び水酸化ナトリウム 10g を水 100ml に溶解す

る。

)を入れたガス洗浄瓶 (B) 及び空瓶からなる。

b)

加熱フラスコ  加熱フラスコ (C) は,容積約 40ml の三角フラスコで,窒素導入管を下部に付けた冷

却器 (D) をその上に連結する。


68

G 1326 : 2000

c)

洗浄管  洗浄管 (E) 中には,内容積の約 2/3(約 35ml)の洗浄液[2.i)(

4

)

を入れる。

d)

吸収管  吸収管 (F) は,35ml 及び 50ml の目盛を付けたもので,その中に吸収液[2.h)]を 35ml 入れる。

吸収管の中には,ビニル管で洗浄管 (E) の出口に連結したガス導入管 (G) を挿入する。

e)

電熱器及び変圧器  電熱器 (300W) の電圧を変圧器で調節し,加熱フラスコ中の試料溶液を 115∼

120

℃に加熱できるように調節しておく。

(

2

)

連結部分は,共通すり合わせ,ビニル管などによって接続する。

(

3

)

減圧弁を付けた窒素ボンベを使用すると便利である。

(

4

)

洗浄液を取り替えずに多数回の測定を繰り返すと洗浄液が汚れ,それが吸収液の汚染の原因と

なり,発色に影響することがあるので,このような場合には,洗浄液を入れ替える必要がある。

4.

試料のはかり取り量  試料のはかり取り量は,硫黄の含有率に応じて,附属書 13 表 によって,0.1mg

のけたまで読み取る(

5

)

附属書 13 表 1

硫黄の含有率

% (m/m)

試料のはかり取り量

g

0.001

以上  0.01 未満

1.5

∼2.5

0.01

以上  0.05 以下

0.50

∼1.5

(

5

)

試料は,硫黄量がなるべく50∼250

µ

g

となるようにはかり取る。

5.

操作

5.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,塩素酸カリウム 1g 及び硝酸 20∼

30ml

を加え,穏やかに加熱して分解し,引き続き加熱して窒素酸化物などを除去する。常温まで放冷

した後,溶液を全量フラスコ 100ml に水を用いて移し入れ,水を標線まで加える。

b)

この溶液 10ml を分取してビーカー (100ml) に移し入れ,穏やかに加熱して蒸発乾固する(

6

)

。少し放

冷した後,塩酸 (1+1) 10ml を用いてビーカーの内壁を洗浄するとともに,可溶性塩類を溶解し,再

び加熱して蒸発乾固する。さらに,この操作を 2 回繰り返した後,塩酸 (1+1) 1ml 及び水約 10ml を

加え,加熱して可溶性塩類を溶解する。

(

6

)

蒸発乾固の際,鉄及びニッケルが酸化物(黒褐色)となるまで加熱する。ただし,局部的な過

度の加熱は避ける必要がある。

5.2

気化分離  気化分離は,次の手順によって行う。

a)

5.b)

で得た溶液を,水を用いて気化装置の加熱フラスコ (C) [3.b)]に移し入れ,加熱蒸発して液量が 5ml

以下となるまで濃縮する。

b)

放冷した後,還元剤混液[2.g)]10ml を加え,直ちに冷却器 (D) を連結し(

7

)

,窒素[2.c)]を約 100ml/min

の流量で通じながら加熱フラスコを 115∼120℃に加熱し,約 15 分間穏やかに煮沸する。

(

7

)

手早く操作することが必要である。


69

G 1326 : 2000

5.3

発色  ガス導入管 (G) を洗浄管 (E) から外した後,5.2b)で得た吸収液の入った吸収管 (F) [3.d)]に

ガス導入管 (G) の入ったまま栓 (H) をし,放冷する。N,  N-ジメチル-p-フェニレンジアミン溶液[2.j)]5ml

を手早く加え,

直ちに栓 (H) をして振り混ぜ,更に塩化鉄 (III) 溶液[2.e)]1ml を手早く加え,再び栓 (H) を

して振り混ぜた後,15 分間放置する。導入管 (G) を水で洗いながら取り出し(

8

)

,水を 50ml の標線まで加

え,栓 (H) をして振り混ぜ,再び 20∼30℃で 15 分間放置する。

(

8

)

ピンセットなどを使用する。

5.4

吸光度の測定  5.3 で得た溶液の一部を吸収セル (10mm) に移し入れ,波長 665nm 付近の吸光度を

測定する。

6.

空試験  試薬だけを用いて,試料と同じ操作を並行して行う。

7.

検量線の作成  数個の加熱フラスコ (C) [3.b)]を準備し,これらに硫黄標準溶液[2.k)]0∼10.0ml(硫黄

として 0∼25

µ

g

)を段階的に加える。塩酸 (1+1)  数滴を加え,少量の水を加えるか又は加熱蒸発して液量

を 5ml 以下とする。以下,5.2b)5.4 の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度

と硫黄の量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように並行移動して検量線とする。

8.

計算  5.4)及び 6.で得た吸光度と 7.で作成した検量線とから硫黄の量を求め,試料中の硫黄の含有率

を,次の式によって算出する。

100

10

1

2

1

×

×

m

A

A

S

ここに,

S

:  試料中の硫黄の含有率 [% (m/m)]

A

1

:  分取した試料溶液中の硫黄の検出量 (g)

A

2

:  分取した空試験溶液中の硫黄の検出量 (g)

m

:  試料のはかり取り量 (g)


70

G 1326 : 2000

附属書 13 図 1  還元剤混液の精製装置の例


71

G 1326 : 2000

附属書 13 図 2  還元気化装置の例


72

G 1326 : 2000

附属書 14(規定)  クロム定量方法−原子吸光法 

1.

要旨  試料を硝酸で分解し,過塩素酸を加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生さたせ後,塩類を塩酸

で溶解する。二硫酸ナトリウムを加えた後,溶液を原子吸光分析装置のアセチレン・一酸化二窒素フレー

ム中に噴霧し,その吸光度を測定する。

2.

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸 (11)  

b)

硝酸 (11)  

c)

過塩素酸

d)

ふっ化水素酸

e)

硫酸 (11)  

f)

ニッケル  できるだけ純度が高く,クロムを含まないか,又はクロムの含有率ができるだけ低く既知

であるもの。

g)

鉄  できるだけ純度が高く,クロムを含まないか,又はクロムの含有率ができるだけ低く既知である

もの。

h)

二硫酸ナトリウム

i)

二硫酸ナトリウム溶液 (100g/l)  

j)

クロム標準溶液 (50

µ

gCr/ml) 

  二クロム酸カリウム  (JIS K 8005)  をめのう乳鉢を用いて砕き,150℃

で約 60 分間加熱した後,デシケーター中で放冷する。その 1.415g をはかり取り,水で溶解して全量

フラスコ 1 000ml に水を用いて移し入れ,水を標線まで加えて原液 (500

µ

gCr/ml)

とする。この原液を

使用の都度,必要量だけ水で正確に 10 倍に希釈してクロム標準溶液とする。

3.

試料のはかり取り量  試料のはかり取り量は,0.50g とし,0.1mg のけたまで読み取る。

4.

操作

4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

a)

試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 20ml を加え,穏やかに加熱して分解する。過塩素酸 20ml を加え,加熱を

続けて過塩素酸の白煙が発生し始めたら加熱温度を約 200℃に保ち,引き続き加熱蒸発して液量が約

10ml

になるまで濃縮する。放冷した後,塩酸 (1+1) 16ml 及び温水約 20ml を加え,加熱して可溶性

塩類を溶解する。

c)

溶液をろ紙(5 種 B)を用いてろ過し,温水で十分に洗浄する(

1

)

。ろ液及び洗液を合わせ,常温まで

放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を全量フラスコ 100ml に水を用いて

移し入れ,二硫酸ナトリウム溶液 10ml を加え(

2

)

,水を標線まで加える(

3

)

d)

溶液を,試料中のクロム含有率に応じて

附属書 14 表 によって分取して全量フラスコ 100ml に移し

入れる。

e)

附属書 14 表 によって塩酸 (1+1)  及び二硫酸ナトリウム溶液[2.i)]を加え,水を標線まで加える。


73

G 1326 : 2000

(

1

)

この残さ中にクロムを含むおそれのあるときは,残さをろ紙とともに白金るつぼ(30番)に移

し入れ,乾燥した後,穏やかに加熱してろ紙を灰化する。放冷した後,硫酸 (1+1) 2, 3滴を加

えて湿し,ふっ化水素酸3∼5ml を加え,飛まつが飛ばないように注意しながら加熱して二酸化

けい素及び硫酸を揮散させる。放冷した後,二硫酸ナトリウム1g を加え,穏やかに加熱して融

解する。放冷した後,融成物を少量の温水及び過塩素酸約1ml で溶解し,この溶液をろ液及び

洗液に加える。

(

2

)

(

1

)

を適用したときは,二硫酸ナトリウム溶液の添加は行わない。

(

3

)

試料中のクロムの含有率が 0.2% (m/m)  未満の場合には,次の d)及び e)の操作は行わない。

附属書 14 表 1

試料中のクロムの含有率

% (m/m)

分取量

ml

塩酸 (1+1)  添加量

ml

二硫酸ナトリウム溶液

(100g/l)

添加量

ml

0.2

以上 1.5 未満 20

13

8

1.5

以上 3  以下 10

15

9

4.2

吸光度の測定  4.1 の c)又は e)で得た溶液の一部を水でゼロ点を調整した原子吸光分析装置のアセチ

レン・一酸化二窒素フレーム(

4

)

中に噴霧し,波長 357.9nm における吸光度を測定する。

(

4

)

アセチレン・一酸化二窒素フレームの代わりに,アセチレン・空気フレームを用いてもよい。

ただし,この場合にはあらかじめアセチレン流量による測定値の変動が小さく,よい感度の得

られる条件を調べておく必要がある。

5.

検量線の作成  検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。

a)

試料中のクロムの含有率が 0.2% (m/m)  未満の場合

1)

数個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれに,3.ではかり取った試料中のニッケル及び鉄の量と

同量のニッケル[2.f)]及び鉄[2.g)]をはかり取って移し入れる。

2)

4.1b)

の操作を行った後,常温まで放冷し,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を全

量フラスコ 100ml に水を用いて移し入れ,二硫酸ナトリウム溶液[2.i)]10ml を加える(

2

)

。クロム標準

溶液[2.j)]0∼20.0ml(クロムとして 0∼1mg)を段階的に加えた後,水を標線まで加える。

3)

溶液の一部を水でゼロ点を調整した原子吸光分析装置のアセチレン・一酸化二窒素フレーム中に噴

霧し,波長 357.9nm における吸光度を試料溶液と並行して測定し,得た吸光度とクロムの量との関

係線を作成して検量線とする。

b)

試料中のクロムの含有率が 0.2% (m/m)  以上の場合

1)

a)1)

の操作を行う。

2)

4.1b)

の操作を行った後,常温まで放冷し,溶液を全量フラスコ 100ml に水を用いて移し入れ,二硫

酸ナトリウム溶液[2.i)]10ml を加え(

2

)

,水を標線まで加える。

3)

4.1d)

の操作を行った後,クロム標準溶液[2.j)]0∼30.0ml(クロムとして 0∼1.5mg)を段階的に加え

る。

4)

4.1e)

の操作を行った後,a)3)の操作を行う。

6.

計算  計算は,次のいずれかによる。

a)

試料中のクロム含有率が 0.2% (m/m)  未満の場合  4.2 で得た吸光度と 5.a)で作成した検量線とからク


74

G 1326 : 2000

ロムの量を求め,試料中のクロムの含有率を,次の式によって算出する。

1

100 C

m

A

Cr

×

ここに,  Cr:  試料中のクロムの含有率 [% (m/m)]  

A

:  試料溶液中のクロムの検出量 (g)

m

:  試料のはかり取り量 (g)

C

1

:  検量線溶液に添加したニッケル[2.f)]及び鉄[2.g)]中に含まれる

クロムの含有率 [% (m/m)] の加重合計で,次の式によって算出
する。

m

m

b

m

a

C

2

1

1

×

×

ここに,

a

:  ニッケル[2.f)]中のクロムの含有率 [% (m/m)]

m

1

:  5.ではかり取ったニッケル[2.f)]の量 (g)

b

:  鉄[2.g)]中のクロムの含有率 [% (m/m)]

m

2

:  5.ではかり取った鉄[2.g)]の量 (g)

b)

試料中のクロム含有率が 0.2% (m/m)  以上の場合  4.2 で得た吸光度と 5.b)で作成した検量線とからク

ロムの量を求め,試料中のクロムの含有率を,次の式によって算出する。

2

100

100

C

m

A

Cr

υ

×

×

ここに,  Cr:  試料中のクロムの含有率 [% (m/m)]  

A

:  分取した試料溶液中のクロムの検出量 (g)

m

:  試料のはかり取り量 (g)

υ

:  4.1d)で分取した液量 (ml)

C

2

:  検量線溶液に添加したニッケル[2.f)]及び鉄[2.g)]中に含まれる

クロムの含有率 [% (m/m)] の加重合計で,次の式によって算出
する。

100

1

2

υ

×

C

C

ここに,  C

1

:  a)の C

1

に同じ

υ

:  4.1d)で分取した液量 (ml)


75

G 1326 : 2000

附属書 15(規定)  銅定量方法−原子吸光法

1.

要旨  試料を硝酸で分解し,過塩素酸を加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生させた後,塩類を塩酸

で溶解し,溶液を原子吸光分析装置のアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。

2.

試薬  試薬は,次による。

a)

塩酸 (11)  

b)

硝酸 (11)  

c) 

過塩素酸

d)

ふっ化水素酸

e)

硫酸 (11)  

f)

ニッケル  できるだけ純度が高く,銅を含まないか,又は銅の含有率ができるだけ低く既知であるも

の。

g)

鉄  できるだけ純度が高く,銅を含まないか,又は銅の含有率ができるだけ低く既知であるもの。

h)

二硫酸ナトリウム

i)

二硫酸ナトリウム溶液 (100g/l)  

j)

銅標準溶液 (50

µgCu/ml)    銅(99.5%以上)1.000g をはかり取り,ビーカー (300ml) に移し入れ,時

計皿で覆い,硝酸 (1+1) 30ml を加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで放冷した後,全量フラ

スコ 1 000ml に水を用いて移し入れ,水を標線まで加えて原液 (1mgCu/ml) とする。この原液を使用

の都度,必要量だけ水で正確に 20 倍に希釈して銅標準溶液とする。

3.

試料のはかり取り量  試料のはかり取り量は,0.50g とし,0.1mg のけたまで読み取る。

4.

操作

4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う(

1

)

a)

試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れる。

b)

時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 20ml を加え,穏やかに加熱して分解する。過塩素酸 20ml を加え,加熱を

続けて過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流する状態になった後,

その状態で約 10 分間加

熱を続け,引き続き加熱蒸発して液量が約 10ml になるまで濃縮する。放冷した後,塩酸 (1+1) 16ml

を加え,加熱して可溶性塩類を溶解する。

c)

溶液をろ紙(5 種 B)を用いてろ過し,温水で十分に洗浄する。ろ液及び洗液を合わせ,常温まで放

冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を全量フラスコ 100ml に水を用いて移

し入れ,水を標線まで加える。残さは捨てる。

(

1

)

試料溶液の調製を,

附属書144.1の a)c)の手順によって行うことができる。

4.2

吸光度の測定  4.1 の c)で得た溶液の一部を水でゼロ点を調整した原子吸光分析装置のアセチレン・

空気フレーム中に噴霧し,波長 324.7nm における吸光度を測定する。

5.

検量線の作成  検量線の作成は,次の手順によって行う。


76

G 1326 : 2000

a)

数個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれに,3.ではかり取った試料中のニッケル及び鉄の量と同

量のニッケル[2.f)]及び鉄[2.g)]をはかり取って移し入れる。

b)

  4.1b)

の操作を行った後(

2

)

,常温まで放冷し,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を全

量フラスコ 100ml に水を用いて移し入れる(

3

)

。銅標準溶液[2.j)]0∼20.0ml(銅として 0∼1mg)を段階

的に加え,水を標線まで加える。

c)

溶液の一部を水でゼロ点を調整した原子吸光分析装置のアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,波長

324.7nm

における吸光度を試料溶液と並行して測定し,得た吸光度と銅の量との関係線を作成して検

量線とする。

(

2

)

  4.1

において

(

1

)

を適用した場合は,

附属書144.1b)の操作を行う。

(

3

)

  4.1

において

(

1

)

を適用した場合は,二硫酸ナトリウム溶液 10ml を加える。ただし,

附属書 14

の 4.1 

(

1

)

を適用した場合は,加えない。

6.

計算  4.2 で得た吸光度と 5.で作成した検量線とから銅の量を求め,試料中の銅の含有率を,次の式に

よって算出する。

C

m

A

Cu

100

×

ここに,  Cu:  試料中の銅の含有率 [% (m/m)]  

A

:  試料溶液中の銅の検出量 (g)

m

:  試料のはかり取り量 (g)

C

:  検量線溶液に添加したニッケル[2.f)]及び鉄[2.g)]中に含まれる

銅の含有率 [% (m/m)] の加重合計で,次の式によって算出す
る。

m

m

b

m

a

C

2

1

×

× +

ここに,

a

:  ニッケル[2.f)]中の銅の含有率 [% (m/m)]

m

1

:  5.ではかり取ったニッケル[2.f)]の量 (g)

b

:  鉄[2.g)]中の銅の含有率 [% (m/m)]

m

2

:  5.ではかり取った鉄[2.g)]の量 (g)


77

G 1326 : 2000

フェロニッケル分析方法 JIS 改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(主査)

鈴  木  邦  輝

日本重化学工業株式会社

(委員)

稲  本      勇

社団法人日本鉄鋼連盟

大  槻      孝

元社団法人日本鉄鋼連盟

金  築  宏  治

株式会社神戸製鋼所

河  野  政  治

日本電工株式会社

見  持  洋  司

日本重化学工業株式会社

佐  藤  正  文

昭和電工株式会社

杉  山  鉄  男

大平洋金属株式会社

戸  舘      一

社団法人日本海時検定協会

紅  谷  紀  生

日本鋼管株式会社

松  本      誠

中央電気工業株式会社

佐  藤  哲  哉

通商産業省基礎産業局

大  嶋  清  治

通商産業省工業技術院

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

石  塚      司

日本冶金工業株式会社

猪  股  吉  晴

大平洋金属株式会社

蔵  本  幸  広

株式会社日向製錬所

塚  原  涼  一

住友金属鉱山株式会社

(関係者)

増  田  正  純

通産産業省工業技術院

(事務局)

奥  山  満  之

日本フェロアロイ協会

稲  垣  勝  彦

日本鉱業協会