日本工業規格
JIS
G
1323
-1989
金属クロム分析方法
Methods for Chemical Analysis of Chromium Metal
1.
適用範囲 この規格は,金属クロム中のクロム,炭素,けい素,りん,硫黄,鉄及びアルミニウムの
定量方法について規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参
考として併記したものである。
引用規格:
JIS G 1301
フェロアロイ分析方法の通則
JIS Z 2615
金属材料の炭素定量方法通則
JIS Z 2616
金属材料の硫黄定量方法通則
2.
一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS G 1301(フェロアロイ分析方法の通則)による。
3.
クロム定量方法
3.1
定量方法 クロムの定量方法は,化学分析によらず,不純物を定量した後,その残部とする。
3.2
計 算 試料中のクロム含有率を次の式によって算出し,小数点以下 3 けた目以下を切り捨てる。
クロム wt%=100− (C+Si+P+S+Fe+Al)
ここに,
C
: 炭素含有率 (wt%)
Si
: けい素含有率 (wt%)
P
: りん含有率 (wt%)
S
: 硫黄含有率 (wt%)
Fe
: 鉄含有率 (wt%)
Al
: アルミニウム含有率 (wt%)
4.
炭素定量方法
4.1
定量方法の区分 炭素の定量方法は,次のいずれかによる。
(1)
燃焼−中和滴定法 この方法は,炭素含有率 0.05wt%以上 0.1wt%未満の試料に適用する。
(2)
燃焼−導電率法 この方法は,炭素含有率 0.001wt%以上の試料に適用する。
(3)
燃焼−電量法 この方法は,炭素含有率 0.001wt%以上の試料に適用する。
(4)
燃焼−赤外線吸収法 この方法は,炭素含有率 0.001wt%以上の試料に適用する。
4.2
燃焼−中和滴定法
4.2.1
要 旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を十分に酸化して二酸化炭素とし,これを酸素と共にビ
ュレットに捕集した後,一定量の水酸化ナトリウム標準溶液に導いて二酸化炭素を吸収させた後,過剰の
水酸化ナトリウムを硫酸標準溶液で滴定する。
2
G 1323-1989
4.2.2
試 薬 試薬は,JIS Z 2615(金属材料の炭素定量方法通則)の 6.4.2 による。
4.2.3
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615 の 5.による。
4.2.4
装 置 装置は,JIS Z 2615 の 6.4.3 による。
4.2.5
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,1.0g とする。助燃剤は,JIS Z 2615 の
5.(13)
に示したものから最も適したもの(
1
)
を選び,試料はかり取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加し
てよく混合するか,試料の上を覆う。
注(
1
)
高純度の鉄,すず,タングステンなど。
4.2.6
操 作
4.2.6.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615 の 6.4.4 による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 400〜1 450℃(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(
3
)
を設定する。
注(
2
)
高温計の温度指示と燃焼管内温度との差に注意して補正する。
(
3
)
高周波発振機の陽極電流及び格子電流など,使用する装置の仕様に応じて決められた条件のこ
とである。
4.2.6.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.4.5 による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.4 の備考 2.による。
4.2.7
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.4.6 による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合 試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤だけを入れた
るつぼを用いて 4.2.6.2(2)の操作を行う。
なお,高周波電流によって誘導電流を生じない助燃剤を用いる場合は,炭素含有率ができるだけ低
く,炭素含有率既知の鉄などを 0.5〜1.0g 添加して行い,添加した鉄などの中に含まれる炭素量を補正
して空試験値とする。
4.2.8
計 算 計算は,JIS Z 2615 の 6.4.7 による。
4.3
燃焼−導電率法
4.3.1
要 旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を十分に酸化して二酸化炭素とし,一定量のアルカリ溶
液に吸収させ,吸収前後のアルカリ溶液の導電率の変化を測定する。
4.3.2
試 薬 試薬は,JIS Z 2615 の 6.6.2 による。
4.3.3
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615 の 5.による。
4.3.4
装 置 装置は,JIS Z 2615 の 6.6.3 による(
4
)
。
注(
4
)
管状電気抵抗加熱炉の代わりに,高周波誘導加熱炉を使用することができる。高周波誘導加熱
炉を使用する場合は,例えば,ボート及びボートカバーは,るつぼ及びふたに読み替える。
4.3.5
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.5
〜1.0g)とする。助燃剤は,JIS Z 2615 の 5.(13)に示したものから最も適したもの(
1
)
を選び,試料はか
り取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
4.3.6
操 作
4.3.6.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615 の 6.6.4 による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 400〜1 450℃(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(
3
)
を設定する。
3
G 1323-1989
4.3.6.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.6.5 による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
(a)
試料と助燃剤とを入れたるつぼを受け台に置き,燃焼管を閉じる。指定された流量で酸素を送入し
て管内の空気を置換した後,高周波誘導加熱炉を作動させる。
(b)
記録計又は指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したとき指示値を読み取り,高周波スイッ
チを切ってるつぼを取り出す。
4.3.7
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.6.6 による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合 試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤だけを入れた
るつぼを用いて 4.3.6.2(2)の操作を行う。
なお,高周波電流によって誘導電流を生じない助燃剤を用いる場合は,炭素含有率ができるだけ低
く,炭素含有率既知の鉄などを 0.5〜1.0g 添加して行い,添加した鉄などの中に含まれる炭素量を補正
して空試験値とする。
4.3.8
計 算 計算は,JIS Z 2615 の 6.6.7 による。
4.4
燃焼−電量法
4.4.1
要 旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を十分に酸化して二酸化炭素とし,一定の pH にした弱
アルカリ性のバリウム塩溶液に吸収させ,吸収によって減少した pH をバリウム塩溶液の電解によって元
の pH に戻すために要した電気量を測定する。
4.4.2
試薬 試薬は,JIS Z 2615 の 6.7.2 による。
4.4.3
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615 の 5.による。
4.4.4
装置 装置は,JIS Z 2615 の 6.7.3 による(
4
)
。
4.4.5
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.5
〜1.0g)とする。助燃剤は,JIS Z 2615 の 5.(13)に示したものから最も適したもの(
1
)
を選び,試料はか
り取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
4.4.6
操 作
4.4.6.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615 の 6.7.4 による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 400〜1 450℃(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(
3
)
を設定する。
4.4.6.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.7.5 による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
(a)
試料と助燃剤とを入れたるつぼを受け台に置き,燃焼管を閉じる。指定された流量で酸素を送入し
て管内の空気を置換した後,高周波誘導加熱炉を作動させ,同時に指示値を零に戻す。
(b)
指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したとき指示値を読み取り,高周波スイッチを切って
るつぼを取り出す。
4.4.7
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.7.6 による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合 試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤だけを入れた
るつぼを用いて 4.4.6.2(2)の操作を行う。
4
G 1323-1989
なお,高周波電流によって誘導電流を生じない助燃剤を用いる場合は,炭素含有率ができるだけ低
く,炭素含有率既知の鉄などを 0.5〜1.0g 添加して行い,添加した鉄などの中に含まれる炭素量を補正
して空試験値とする。
4.4.8
計 算 計算は,JIS Z 2615 の 6.7.7 による。
4.5
燃焼−赤外線吸収法(積分法)
4.5.1
要 旨 試料を酸素気流中で加熱し,炭素を十分に酸化して二酸化炭素とし,これを酸素と共に赤
外線吸収セルに送り,二酸化炭素による赤外線吸収量を測定する。
4.5.2
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615 の 5.及び 6.9.2 による。
4.5.3
装 置 装置は,JIS Z 2615 の 6.9.3 による(
5
)
。
注(
5
)
管状電気抵抗加熱炉を使用することができる。
4.5.4
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.5
〜1.0g)とする。助燃剤は,JIS Z 2615 の 5.(13)に示したものから最も適したもの(
1
)
を選び,試料はか
り取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
4.5.5
操 作
4.5.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615 の 6.9.4 による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 400〜1 450℃(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(
3
)
を設定する。
4.5.5.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
(a)
試料と助燃剤とを入れたボートを燃焼管の中央部に挿入し,使用する装置に指定された流量で酸素
を送る。
(b)
指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したときの指示値を読み取る。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.9.5 による。
4.5.6
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.7.6 による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.9.6 による。
4.5.7
計 算 計算は,JIS Z 2615 の 6.9.7 による。
4.6
燃焼−赤外線吸収法(循環法)
4.6.1
要 旨 試料を一定体積内の一定圧力下の循環酸素気流中で加熱し,炭素を二酸化炭素及び一酸化
炭素に酸化し,過剰の酸素と共に循環ループの赤外線吸収検出器に送り,二酸化炭素及び一酸化炭素の赤
外線吸収量をそれぞれ測定する。
4.6.2
器具及び材料 器具及び材料は,JIS Z 2615 の 5.及び 6.9.2 による。
4.6.3
装 置 装置は,JIS Z 2615 の 5.及び 6.10.2 による(
5
)
。
4.6.4
試料はかり取り量及び助燃剤添加量 試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.5
〜1.0g)とする。助燃剤は,JIS Z 2615 の 5.(13)に示したものから最も適したもの(
1
)
を選び,試料はか
り取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
4.6.5
操 作
4.6.5.1
準備操作 準備操作は,JIS Z 2615 の 6.10.3 による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 400〜1 450℃(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件(
3
)
を設定する。
5
G 1323-1989
4.6.5.2
定量操作 定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
(a)
試料と助燃剤とを入れたボートを燃焼管の中央部に挿入し,使用する装置に指定された流量で酸素
を送る。
(b)
指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したときの指示値を読み取る。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.10.4 による。
4.6.6
空試験 空試験は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.7.6 による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合 JIS Z 2615 の 6.10.5 による。
4.6.7
計 算 計算は,JIS Z 2615 の 6.10.6 による。
5.
けい素定量方法
5.1
定量方法 けい素の定量方法は,二酸化けい素重量法による。
5.2
二酸化けい素重量法
5.2.1
要 旨 試料を塩酸で分解し,過塩素酸で白煙処理を行い,けい素を不溶性けい酸とする。水で可
溶性塩類を溶解した後,沈殿をこし分ける。沈殿を強熱してその質量をはかった後,ふっ化水素酸で処理
して二酸化けい素を揮散させ,その質量をはかる。
5.2.2
試 薬 試薬は,次による。
(1)
塩酸 (1+5, 1+10)
(2)
過塩素酸 (60wt%)
(3)
ふっ化水素酸
(4)
硫酸 (1+3)
(5)
過酸化水素
5.2.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,3.0g とする。
5.2.4
操 作 定量操作は,次の手順によって行う。
5.2.4.1
試料の分解及びけい酸の脱水処理 試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で
覆い,塩酸 (1+5) 60ml を加えて加熱分解する。過塩素酸 40ml を加えて加熱蒸発し,過塩素酸の蒸気がビ
ーカーの内壁を伝わって逆流する状態で 15〜20 分間加熱する。
5.2.4.2
ろ過洗浄 5.2.4.1 で得た溶液を放冷した後,温水約 150ml を加えて可溶性塩類を溶解し,過酸化
水素 10〜20ml を少量ずつ加えてクロムを還元する。約 1 分間煮沸(
6
)
した後,時計皿を水で洗って取り除
き,直ちにろ紙(5 種 B)を用いて沈殿をこし分け,ビーカー内壁に付着した沈殿はポリスマン(ゴム付
ガラス棒)でこすってろ紙上に移し,初めは温塩酸 (1+10) で 5 回洗浄し,次に,温水で数回洗浄する。
注(
6
)
長時間加熱煮沸すると,不溶性けい酸は,再び可溶性となるおそれがあるから,溶解はなるべ
く短時間で行い,直ちに次のろ過洗浄を行うように注意しなければならない。
5.2.4.3
灰化及びひょう量 灰化及びひょう量は,次の手順によって行う。
(1) 5.2.4.2
で得た沈殿をろ紙と共に白金るつぼ(30 番)に移し入れる。乾燥した後,徐々に加熱してろ紙
を灰化する。
(2)
約 1 100℃で約 30 分間強熱し,デシケーター中で室温まで放冷してその質量をはかる。この操作を恒
量となるまで繰り返す。
5.2.4.4
ふっ化水素酸処理及びひょう量 ふっ化水素酸処理及びひょう量は,次の手順によって行う。
6
G 1323-1989
(1) 5.2.4.3
で得た白金るつぼ中の残さに硫酸 (1+3) 2, 3 滴を加えて湿し,ふっ化水素酸 3〜5ml を加えて
注意して加熱する。二酸化けい素及び硫酸を揮散させる。
(2)
約 1 100℃で 30 分間強熱し,デシケーター中で室温まで放冷してその質量をはかる。この操作を恒量
となるまで繰り返す。
5.2.5
空試験 試薬だけを用いて 5.2.4.1〜5.2.4.4 の手順に従って試料と並行して操作する。
5.2.6
計 算 試料中のけい素含有率を,次の式によって算出する。
100
4
467
.
0
)]
(
)
[(
(%)
0
4
3
2
1
×
×
−
−
−
m
m
m
m
m
wt
=
けい素
ここに,
m
1
: 試料について 5.2.4.3(2)で得た質量> (g)
m
2
: 試料について 5.2.4.4(2)で得た質量 (g)
m
3
: 空試験において 5.2.4.3(2)で得た質量 (g)
m
4
: 空試験において 5.2.4.4(2)で得た質量 (g)
m
0
: 試料はかり取り量 (g)
6.
りん定量方法
6.1
定量方法の区分 りんの定量方法は,次のいずれかによる。
(1)
モリブデン青吸光光度法 この方法は,りん含有率 0.08wt%未満の試料に適用する。
(2)
モリブドりん酸抽出分離モリブデン青吸光光度法 この方法は,りん含有率 0.03wt%未満の試料に適
用する。
6.2
モリブデン青吸光光度法
6.2.1
要 旨 試料を過塩素酸で分解し,白煙を発生させる。亜硫酸水素ナトリウムでクロム,鉄などを
還元した後,七モリブデン酸六アンモニウム及び硫酸ヒドラジニウム (2+) を含む呈色試薬を加え,加熱
してりんモリブデン青を生成させ,その吸光度を測定する。
6.2.2
試 薬 試薬は,次による。
(1)
過塩素酸 (60wt%)
(2)
亜硫酸水素ナトリウム溶液 (100g/l)
(3)
呈色試薬溶液 次の A 液 25ml, B 液 10ml 及び水 40ml を使用時に混合する。
A
液:七モリブデン酸六アンモニウム四水和物 [ (NH
4
)
6
Mo
7
O
24
・4H
2
O] 20g
を水 300ml に溶解し,
これに硫酸 (1+1) 650ml を加え,冷却した後,水で 1l に薄める。
B
液:硫酸ヒドラジニウム (2+) 溶液 (1.5g/l)
(4)
標準りん溶液(100
µgP/ml)りん酸二水素カリウム (KH
2
PO4)
を 110℃で乾燥してデシケーター中で室
温まで放冷し,恒量としたもの 0.4394g をはかり取り,水に溶解する。溶液を 1 000ml の全量フラス
コに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
6.2.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.0g とする。
6.2.4
操 作
6.2.4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
(1)
試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,過塩素酸 20ml を加えて加熱分解
し,白煙を発生させ,ビーカー内部が透明になり,過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流
する状態で約 10 分間加熱する。放冷した後,時計皿を水で洗って取り除き,温水約 100ml を加えて
可溶性塩類を溶解し,ろ紙(5 種 A)を用いて 250ml の全量フラスコにろ過し,温水で 4, 5 回洗浄す
る。
7
G 1323-1989
(2)
常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。
6.2.4.2
呈 色 6.2.4.1 で得た溶液から正確に 25ml を分取して 100ml の全量フラスコに移し入れ,亜硫
酸水素ナトリウム溶液 10ml を加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で溶液の色が鮮やかな青緑になるまで加熱す
る。次に,呈色試薬溶液[6.2.2(3)]25ml を加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で 40 分間加熱する。流水中で常温
まで冷却した後,水で標線まで薄める。
6.2.4.3
吸光度の測定 6.2.4.2 で得た溶液の一部を光度計の吸収セル(10mm,ガラス製)に取り,水を対
照液として波長 825nm 付近の吸光度を測定する。
6.2.5
空試験 試薬だけを用いて 6.2.4.1〜6.2.4.3 の手順に従って試料と並行して操作する。
6.2.6
検量線の作成 標準りん溶液[6.2.2(4)]0〜8.0ml(りんとして 0〜800
µg)を段階的に数個のビーカー
(100ml)
に取り,時計皿で覆う。それぞれに過塩素酸 5ml を加えて加熱し,白煙を発生させ,ビーカーの
内部が透明になり過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流する状態で約 10 分間加熱する。
放冷し
た後,時計皿を水で洗って取り除き,温水約 50ml を加え,250ml の全量フラスコに水を用いて移し入れる。
以下,6.2.4.1(2)〜6.2.4.3 の手順に従って操作し,得た吸光度とりん量との関係線を作成し,その関係線を
原点を通るように平行移動して検量線とする。
6.2.7
計 算 6.2.4 で得た吸光度から,6.2.5 で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,6.2.6 で作成
した検量線とから りん量を求め,試料中のりん含有率を次の式によって算出する。
100
%
×
× B
m
A
wt
=
りん
ここに,
A
: 分取した試料溶液中のりん検出量 (g)
m
: 試料はかり取り量 (g)
B
: 試料溶液及び空試験液の分取比
6.3
モリブドりん酸抽出分離モリブデン青吸光光度法
6.3.1
要旨
試料を過塩素酸で分解し,白煙を発生させる。亜硫酸水素ナトリウムでクロムを還元した後,
七モリブデン酸六アンモニウムを加え,生じたモリブドりん酸錯体を混合溶媒で抽出し,これを塩化すず
(II)
で還元して生成したモリブデン青を水相に逆抽出し,その吸光度を測定する。
6.3.2
試 薬
試薬は,次による。
(1)
過塩素酸 (60wt%)
(2)
亜硫酸水素ナトリウム溶液 (100g/l)
(3)
七モリブデン酸六アンモニウム溶液 (80g/l) 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物 8g を水に溶解
して水で 100ml に薄める。
(4)
塩化すず(II)溶液 塩化すず(II)二水和物 5g を塩酸 160ml に溶解し,水で 500ml に薄めて原液とする。
この原液を使用の都度水で 5 倍に薄める。
(5)
混合溶媒 クロロホルム 3 に,1−ブタノール(n−ブチルアルコール)1 を加えてよく振り混ぜる。
(6)
標準りん溶液(20
µgP/ml) りん酸二水素カリウム (KH
2
PO
4
)
を 110℃で乾燥してデシケーター中で
常温まで放冷し,恒量としたもの 0.439 4g をはかり取り,水に溶解して 1 000ml の全量フラスコに移
し入れ,水で標線まで薄めて標準原液(100
µgP/ml)とする。この原液を使用の都度,水で正確に 5
倍に薄めて,標準りん溶液とする。
6.3.3
試料はかり取り量
試料はかり取り量は,1.0g とする。
6.3.4
操 作
6.3.4.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
8
G 1323-1989
(1)
試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,過塩素酸 20ml を加えて加熱分解
し,白煙を発生させ,ビーカー内部が透明になり,過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流
する状態で約 10 分間加熱する。放冷した後,時計皿を水で洗って取り除き,温水約 100ml を加えて
可溶性塩類を溶解し,ろ紙(5 種 A)を用いて 250ml の全量フラスコにろ過し,温水で 4,5 回洗浄す
る。
(2)
常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。
6.3.4.2
りんの抽出
6.3.4.1(2)
で得た溶液から 25ml を分取して分液漏斗 (100ml) に移し入れ,過塩素酸
5ml
(
7
)
を加え,次に溶液が緑色を呈するまで亜硫酸水素ナトリウム溶液を振り混ぜながら加え,更にその
過剰 1ml を加えた後,七モリブデン酸六アンモニウム溶液[
6.3.2(3)
]5ml
を加えて振り混ぜる。次に,混合
溶媒[
6.3.2(5)
]20ml
を加えて 2 分間激しく振り混ぜ,しばらく静置して 2 層に分離し,下層の有機相を別の
分液漏斗 (100ml) に移し入れて保存する。水相に再び混合溶媒 5ml を加えて約 30 秒間激しく振り混ぜ,
しばらく静置して 2 層に分離し,下層の有機相を先に保存した有機相に合わせ,上層を捨てる。
注(
7
)
抽出時の最適過塩素酸濃度は1〜2N であり,過塩素酸5ml の追加によって約1.5N になる。
6.3.4.3
呈 色
6.3.4.2
で得た有機相に塩化すず(II)溶液[
6.3.2(4)
]
を正確に 20ml 加えて約 30 秒間激しく振
り混ぜ,しばらく静置して 2 層に分かれた後,下層を捨てる
(
8
)
。
注(
8
)
長時間両相を接触させておくと低値を示すので,静置して2層に分かれた後直ちに有機相を捨て
る。
6.3.4.4
吸光度の測定
6.3.4.3
で得た呈色溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液と
して波長 700nm 付近の吸光度を測定する。
6.3.5
空試験
試薬だけを用いて
6.3.4.1
〜
6.3.4.4
の手順に従って試料と並行して操作する。
6.3.6
検量線の作成
標準りん溶液[
6.3.2(6)
]0
〜15.0ml(りんとして 0〜300
µg)を段階的に数個のビーカ
ー (300ml) に取り,時計皿で覆う。それぞれに過塩素酸 15ml を加えて加熱し,白煙を発生させ,ビーカ
ーの内部が透明になり過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって逆流する状態で約 10 分間加熱する。
放
冷した後,時計皿を水で洗って取り除き,温水約 100ml を加えて可溶性塩類を溶解し,250ml の全量フラ
スコに水を用いて移し入れ,常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。以下,
6.3.4.1(2)
〜
6.3.4.4
の手順
に従って操作し,得た吸光度とりん量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して
検量線とする。
6.3.7
計 算
6.3.4.4
で得た吸光度から,
6.3.5
で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,
6.3.6
で作
成した検量線とから りん量を求め,試料中のりん含有率を次の式によって算出する。
100
%
×
× B
m
A
wt
=
りん
ここに,
A
: 分取した試料溶液中のりん検出量 (g)
m
: 試料はかり取り量 (g)
B
: 試料溶液及び空試験液の分取比
7.
硫黄定量方法
7.1
定量方法の区分
硫黄の定量方法は,次のいずれかによる。
(1)
燃焼−中和滴定法
この方法は,硫黄含有率 0.005wt%以上の試料に適用する。
(2)
燃焼−導電率法
この方法は,硫黄含有率 0.001wt%以上の試料に適用する。
(3)
燃焼−電量法
この方法は,硫黄含有率 0.001wt%以上の試料に適用する。
9
G 1323-1989
(4)
燃焼−赤外線吸収法
この方法は,硫黄含有率 0.001wt%以上の試料に適用する。
7.2
燃焼−中和滴定法
7.2.1
要 旨
試料を酸素気流中で燃焼させ,発生した硫黄酸化物を過酸化水素水に吸収させて硫酸とし,
これを水酸化ナトリウム標準溶液で滴定する。
7.2.2
試薬
試薬は,
JIS Z 2616
(金属材料の硫黄定量方法通則)の
7.2(2)
による。
7.2.3
器具及び材料
器具及び材料は,
JIS Z 2616
の
6.
による。
7.2.4
装置
装置は,
JIS Z 2616
の
7.2(3)
による
(
4
)
。
7.2.5
試料はかり取り量及び助燃剤添加量
試料はかり取り量は,0.5g とする。助燃剤は,
JIS Z 2616
の
6.12
に示したものから最も適したもの
(
1
)
を選び,試料はかり取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加し
てよく混合するか,試料の上を覆う。
7.2.6
操 作
7.2.6.1
準備操作
準備操作は,
JIS Z 2616
の
7.2(4)
による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 450℃
(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件
(
3
)
を設定する。
7.2.6.2
定量操作
定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.2(5)
による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.2
の
備考
による。
7.2.7
空試験
空試験は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.2(6)
による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
試料を入れないで,試料に添加した量と同量の助燃剤だけを入れた
るつぼを用い,
JIS Z 2616
の
7.2
の
備考
によって操作を行う。
なお,高周波電流によって誘導電流を生じない助燃剤を用いた場合は,硫黄含有率ができるだけ低
く,硫黄含有率既知の鉄などを 0.5〜1.0g 添加して行い,添加した鉄などの中に含まれる硫黄量を補正
して空試験値とする。
7.2.8
計 算
試料中の硫黄含有率を,次の式によって算出する。
100
)
(
%
2
1
×
×
−
m
f
V
V
wt
=
硫黄
ここに,
V
1
:
7.2.6.2
で得た 0.01mol/l 水酸化ナトリウム標準溶液使用量 (ml)
V
2
:
7.2.7
で得た 0.01mol/l 水酸化ナトリウム標準溶液使用量 (ml)
f
: 0.01mol/l 水酸化ナトリウム標準溶液 1ml に相当する硫黄量
(g)
m
: 試料はかり取り量 (g)
7.3
燃焼−導電率法
7.3.1
要 旨
試料を酸素気流中で加熱し,硫黄を酸化して硫黄酸化物とし,これを一定量の硫酸酸性の
過酸化水素水に吸収させて硫酸とし,吸収前後の酸性溶液の導電率の変化を測定する。
7.3.2
試 薬
試薬は,
JIS Z 2616
の
7.5(2)
による。
7.3.3
器具及び材料
器具及び材料は,
JIS Z 2616
の
6.
による。
7.3.4
装 置
装置は,
JIS Z 2616
の
7.5(3)
による
(
4
)
。
10
G 1323-1989
7.3.5
試料はかり取り量及び助燃剤添加量
試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.5
〜1.0g)とする。助燃剤は,
JIS Z 2616
の
6.12
に示したものから最も適したもの
(
1
)
を選び,試料はかり
取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
7.3.6
操 作
7.3.6.1
準備操作
準備操作は,
JIS Z 2616
の
7.5(4)
による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 450℃
(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件
(
3
)
を設定する。
7.3.6.2
定量操作
定量操作は,
JIS Z 2616
の
7.5(5)
による。
7.3.7
空試験
空試験は,
JIS Z 2616
の
7.5(6)
による
(
9
)
。
注(
9
)
高周波誘導加熱炉を用いる場合は,硫黄含有率が低く,硫黄含有率既知の試料を用い,得た測
定値から既知硫黄量に相当する測定値を差し引いて空試験値とする。
7.3.8
計 算
計算は,
JIS Z 2616
の
7.5(7)
による。
7.4
燃焼−電量法
7.4.1
要 旨
試料を酸素気流中で燃焼させ,発生した硫黄酸化物を,あらかじめ一定の pH 値に設定し
た過酸化水素・硫酸ナトリウム吸収液に吸収させる。このとき増加した水素イオンを中和するのに必要な
アルカリを電気分解によって発生させるために要した電気量を測定する。
7.4.2
試 薬
試薬は,
JIS Z 2616
の
7.6(2)
による。
7.4.3
装 置
装置は,
JIS Z 2616
の
7.6(3)
による
(
5
)
。
7.4.4
試料はかり取り量及び助燃剤添加量
試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.5
〜1.0g)とする。助燃剤は,
JIS Z 2616
の
6.12
に示したものから最も適したもの
(
1
)
を選び,試料はかり
取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
7.4.5
操 作
7.4.5.1
準備操作
準備操作は,
JIS Z 2616
の
7.6(4)
による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 450℃
(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件
(
3
)
を設定する。
7.4.5.2
定量操作
定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
(a)
試料と助燃剤とを入れたボートを燃焼管の中央部に挿入し,使用する装置に指定された流量で酸素
を送る。
(b)
指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したときの指示値を読み取る。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.6(5)
による。
7.4.6
空試験
空試験は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.2(6)
による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.6(6)
による。
7.4.7
計 算
計算は,
JIS Z 2616
の
7.6(7)
による。
7.5
燃焼−赤外線吸収法(積分法)
7.5.1
要 旨
試料を酸素気流中で高温に加熱し,硫黄を酸化して二酸化硫黄とし,これを酸素と共に赤
外線吸収検出器に送り,二酸化硫黄の赤外線吸収量を測定する。
7.5.2
器具及び材料
器具及び材料は,
JIS Z 2616
の
6.
による。
7.5.3
装 置
装置は,
JIS Z 2616
の
7.7(2)
による
(
5
)
。
11
G 1323-1989
7.5.4
試料はかり取り量及び助燃剤添加量
試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.5
〜1.0g)とする。助燃剤は,
JIS Z 2616
の
6.12
に示したものから最も適したもの
(
1
)
を選び,試料はかり
取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
7.5.5
操 作
7.5.5.1
準備操作
準備操作は,
JIS Z 2616
の
7.7(3)
による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 450℃
(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件
(
3
)
を設定する。
7.5.5.2
定量操作
定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
(a)
試料と助燃剤とを入れたボートを燃焼管の中央部に挿入し,使用する装置に指定された流量で酸素
を送る。
(b)
指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したときの指示値を読み取る。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.7(4)
による。
7.5.6
空試験
空試験は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.2(6)
による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.7(5)
による。
7.5.7
計 算
計算は,
JIS Z 2616
の
7.7(6)
による。
7.6
燃焼−赤外線吸収法(循環法)
7.6.1
要 旨
試料を一定体積内の一定圧力下の循環酸素気流中で高温に加熱し,硫黄を酸化して二酸化
硫黄とし,過剰の酸素と共に循環ループの赤外線吸収検出器に送り,二酸化硫黄の赤外線吸収量を測定す
る。
7.6.2
器具及び材料
器具及び材料は,
JIS Z 2616
の
6.
による。
7.6.3
装 置
装置は,
JIS Z 2616
の
7.8(2)
による
(
5
)
。
7.6.4
試料はかり取り量及び助燃剤添加量
試料はかり取り量は,使用する装置に最も適した量(通常は
0.5
〜1.0g)とする。助燃剤は,
JIS Z 2616
の
6.12
に示したものから最も適したもの
(
1
)
を選び,試料はかり
取り量及び燃焼装置に最も適した量を添加してよく混合するか,試料の上を覆う。
7.6.5
操 作
7.6.5.1
準備操作
準備操作は,
JIS Z 2616
の
7.8(3)
による。
なお,管状電気抵抗加熱炉を用いる場合は,燃焼管内温度を 1 450℃
(
2
)
に保つ。
また,高周波誘導加熱炉を用いる場合は,高周波誘導加熱炉に関する条件
(
3
)
を設定する。
7.6.5.2
定量操作
定量操作は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
(a)
試料と助燃剤とを入れたボートを燃焼管の中央部に挿入し,使用する装置に指定された流量で酸素
を送る。
(b)
指示計の指示値が次第に増加して一定値を示したときの指示値を読み取る。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.8(4)
による。
7.6.6
空試験
空試験は,次のいずれかによって行う。
(1)
管状電気抵抗加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.2(6)
による。
(2)
高周波誘導加熱炉を用いる場合
JIS Z 2616
の
7.8(5)
による。
7.6.7
計 算
計算は,
JIS Z 2616
の
7.8(6)
による。
12
G 1323-1989
8.
鉄定量方法
8.1
定量方法
鉄の定量方法は,原子吸光法による。
8.2
原子吸光法
8.2.1
要 旨
試料を過塩素酸で分解し,残さ処理を行った後水で一定量に薄め,溶液を原子吸光光度計
の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。
8.2.2
試 薬
試薬は,次による。
(1)
過塩素酸 (60wt%)
(2)
ふっ化水素酸
(3)
硫酸 (1+1)
(4)
二硫酸ナトリウム
(5)
二硫酸ナトリウム溶液 (100g/l)
(6)
クロム溶液 (10mgCr/ml) 電解金属クロム 1.00g をはかり取ってビーカー (500ml) に移し入れ,時計
皿で覆い,過塩素酸 15ml を加えて加熱分解し,引き続き加熱して約 10 分間白煙を発生させる。放冷
した後,時計皿を水で洗って取り除き,温水約 50ml を加えて塩類を溶解し,常温まで冷却した後,
100ml
の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
(7)
標準鉄溶液 (100
µgFe/ml) 鉄(99.5wt%以上)0.100g をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,
時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 30ml を加えて加熱分解し,硝酸 (1+1) 2ml を加えて約 10 分間煮沸する。
常温まで冷却した後,時計皿を水で洗って取り除き,1 000ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,
水で標線まで薄める。
8.2.3
試料はかり取り量
試料はかり取り量は,1.0g とする。
8.2.4
操 作
定量操作は,次の手順によって行う。
8.2.4.1
試料の分解
試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,過塩素酸 15ml
を加えて初めは緩やかに加熱して大部分の試料を分解する。次に,強熱して過塩素酸白煙が発生し始めて
から更に約 10 分間加熱する。放冷した後,温水約 50ml を加えて可溶性塩類を溶解する。時計皿を水で洗
って取り除き,ろ紙(5 種 A)を用いてビーカー (200ml) にろ過する。温水で 4, 5 回洗浄した後,ろ液及
び洗液は主液として保存する。
8.2.4.2
残さの処理
8.2.4.1
で得た残さをろ紙と共に白金るつぼ(30 番)に移し入れ,乾燥して低温でろ
紙を灰化した後,500〜600℃で強熱する。室温まで放冷した後,残さを水 2, 3 滴で湿し,硫酸 (1+1) 2, 3
滴及びふっ化水素酸 1ml を加え,砂浴上で加熱して蒸発乾固する。放冷した後,二硫酸ナトリウム 1g を
加え,暗赤色になるまで加熱して融解する。放冷した後,るつぼを保存した主液の入ったビーカー中に入
れ,加熱して融成物を溶解する。るつぼをビーカーから水で洗って取り除く。常温まで冷却した後,溶液
を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,
水で標線まで薄める。
この溶液から 10ml を分取して 100ml
の全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
8.2.4.3
吸光度の測定
8.2.4.2
で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空
気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長 248.3nm における吸光度を測定する
(
10
)
。
注(
10
)
鉄の吸光度測定条件の例を,
表1
に示す。
13
G 1323-1989
表 1 測定条件の例
波長 nm
ランプ電流 mA
使用ガス
圧力
流速
アセチレン
0.049MPa
{0.5kgf/cm
2
}
3l/min
248.3 10
〜15
空 気
0.177MPa
{1.8kgf/cm
2
}
13l/min
8.2.5
空試験
試薬だけを用いて
8.2.4.1
〜
8.2.4.3
の手順に従って試料と並行して操作する。
8.2.6
検量線の作成
標準鉄溶液
[8.2.2(7)]
0
〜2.0ml(鉄として 0〜2.0mg)の各種液量を数個の 100ml の全
量フラスコに取り,それぞれにクロム溶液
[8.2.2(6)]
10.0ml
及び二硫酸ナトリウム溶液 1.0ml を加え,水で
標線まで薄める。溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレー
ム中に噴霧し,波長 248.3nm における吸光度を試料と並行して測定する。得た吸光度と鉄量との関係線を
作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
8.2.7
計 算
8.2.4.3
で得た吸光度から
8.2.5
で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,
8.2.6
で作成
した検量線とから鉄量を求め,試料中の鉄含有率を次の式によって算出する。
100
%
×
× B
m
A
wt
=
鉄
ここに,
A
: 分取した試料溶液中の鉄検出量 (g)
m
: 試料はかり取り量 (g)
B
: 試料溶液及び空試験液の分取比
9.
アルミニウム定量方法
9.1
定量方法
アルミニウムの定量方法は,原子吸光法による。
9.2
原子吸光法
9.2.1
要 旨
試料を過塩素酸で分解し,残さ処理を行った後水で一定に薄め,溶液を原子吸光光度計の
酸化二窒素・アセチレンフレーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。
9.2.2
試薬
試薬は,次による。
(1)
過塩素酸 (60wt%)
(2)
ふっ化水素酸
(3)
硫酸 (1+1)
(4)
電解金属クロム
(5)
二硫酸ナトリウム
(6)
二硫酸ナトリウム溶液 (100g/l)
(7)
標準アルミニウム溶液(500
µgAl/ml)アルミニウム(99.9wt%以上)0.500g をはかり取ってビーカー
(200ml)
に移し入れ,塩酸 (1+1) 50ml を加えて加熱分解する。常温まで冷却した後,1 000ml の全量
フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
9.2.3
試料はかり取り量
試料はかり取り量は,1.0g とする。
9.2.4
操 作
定量操作は,次の手順によって行う。
14
G 1323-1989
9.2.4.1
試料の分解
試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,過塩素酸 15ml
を加え,初めは緩やかに加熱して大部分の試料を分解する。次に,強熱して過塩素酸白煙が発生し始めて
から更に約 10 分間加熱する。放冷した後,温水約 50ml を加えて可溶性塩類を溶解する。時計皿を水で洗
って取り除き,溶液をろ紙(5 種 A)を用いてビーカー (200ml) にろ過する。温水で 5,6 回洗浄した後,
ろ液及び洗液は主液として保存する。
9.2.4.2
残さの処理
9.2.4.1
で得た残さをろ紙と共に白金るつぼ(30 番)に移し入れ,乾燥して低温でろ
紙を灰化した後,500〜600℃で強熱する。室温まで放冷した後,残さを水 2, 3 滴で湿し,硫酸 (1+1) 2, 3
滴及びふっ化水素酸 1ml を加え,砂浴上で加熱して蒸発乾固する。放冷した後,二硫酸ナトリウム 1g を
加え,暗赤色になるまで加熱して融解する。放冷した後,るつぼを保存した主液の入ったビーカー中に入
れ,加熱して融成物を溶解する。るつぼをビーカーから水で洗って取り除く。常温まで冷却した後,溶液
を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
9.2.4.3
吸光度の測定
9.2.4.2
で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の酸化
二窒素・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長 309.2nm(又は 396.2nm)における吸光度を測定する
(
11
)
。
注(
11
)
アルミニウムの吸光度測定条件の例を,
表2
に示す。
表 2 測定条件の例
波長 nm
ランプ電流 mA
使用ガス
圧力
流速
アセチレン
0.049MPa
{0.5kgf/cm
2
}
4l/min
309.2
(又は 396.2)
10
〜15
酸化二窒素
0.177MPa
{1.8kgf/cm
2
}
6l/min
9.2.5
空試験
試薬だけを用いて
9.2.4.1
〜
9.2.4.3
の手順に従って試料と並行して操作する。
9.2.6
検量線の作成
標準アルミニウム溶液
[9.2.2(7)]
0
〜6.0ml(アルミニウムとして 0〜3.0mg)の各種液
量を数個のビーカー (300ml) に取り,
それぞれに電解金属クロム 1.0g をはかり取って加え,時計皿で覆い,
過塩素酸 15ml を加えて加熱分解し,引き続き加熱蒸発して約 10 分間白煙を発生させる。放冷した後,温
水約 50ml を加えて可溶性塩類を溶解する。時計皿を水で洗って取り除き,溶液をろ紙(5 種 A)を用いて
100ml
の全量フラスコにろ過し,温水で 5, 6 回洗浄する。これに二硫酸ナトリウム溶液 10.0ml を加え,常
温まで冷却した後,水で標線まで薄める。溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の
酸化二窒素・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長 309.2nm(又は 396.2nm)における吸光度を試料と並
行して測定する。得た吸光度とアルミニウム量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行
移動して検量線とする。ただし,吸光度の測定は,試料溶液と並行して行う。
9.2.7
計 算
9.2.4.3
で得た吸光度から
9.2.5
で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,
9.2.6
で作成
した検量線とからアルミニウム量を求め,試料中のアルミニウム含有率を次の式によって算出する。
100
%
×
m
A
wt
=
アルミニウム
ここに,
A
: 試料溶液中のアルミニウム検出量 (g)
m
: 試料はかり取り量 (g)
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G 1323-1989
鉄鋼部会 フェロアロイ分析方法専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
神 森 大 彦
社団法人化学情報協会
大河内 春 乃
科学技術庁金属材料技術研究所
今 井 康 夫
社団法人日本海事検定会
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会 ISO 事務局
谷 口 政 行
株式会社コベルコ科研
針間矢 宣 一
川鉄テクノリサーチ株式会社
藤 野 充 克
住友金属工業株式会社
結 城 方
海外貨物検査株式会社
松 田 重 信
日本冶金工業株式会社
佐 伯 正 夫
新日本製鐵株式会社
前 田 孝
愛知製鋼株式会社
帆 足 万 里
日本フエロアロイ協会
森 本 勲
日本電工株式会社
円城寺 輝 行
昭和電工株式会社
小 澤 幸 男
株式会社日本製鋼所
鈴 木 敬 彦
大同特殊鋼株式会社
水 野 幸四郎
社団法人日本鉄鋼協会
岩 田 晶 夫
触媒学会
嶋 貫 孝
日本重化学工業株式会社
(事務局)
穐 山 貞 治
工業技術院標準部材料規格課
坂 元 耕 三
工業技術院標準部材料規格課
日本フエロアロイ協会分析専門委員会 構成表
氏名
所属
(主査)
嶋 貫 孝
日本重化学工業株式会社
稲 本 勇
新日本製鐵株式会社
今 井 康 夫
社団法人日本海事検定協会
大 槻 孝
日本鉄鋼協会
片 柳 哲
株式会社神戸製鋼所
唐 島 英 夫
日本電工株式会社
見 持 洋 司
日本重化学工業株式会社
志 原 長 男
中央電気工業株式会社
杉 山 鉄 男
大平洋金属株式会社
針間矢 宣 一
川鉄テクノリサーチ株式会社
紅 谷 紀 生
日本鋼管株式会社
吉 永 康 男
昭和電工株式会社
高 橋 保
工業技術院標準部
奥 孝 一
日本フエロアロイ協会