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G 1236-1992

日本工業規格

JIS

 G

1236-

1992

鋼中のタンタル定量方法

Method for determination of tantalum in steel

1.

適用範囲  この規格は,鋼中のタンタル定量方法について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS G 1201

  鉄及び鋼の分析方法通則

2.

一般事項  定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1201 による。

3.

定量方法  タンタルの定量方法は,ふっ化物・ビクトリアブル−B 抽出吸光光度法による。この方法

は,タンタル含有率 0.000 5% (m/m) 以上 0.10% (m/m) 未満の試料に適用する。

4.

ふっ化物・ビクトリアブル−抽出吸光光度法

4.1

要旨  試料を塩酸と硝酸の混酸で分解し,ふっ化水素酸,硫酸及びりん酸を加えた後,硫酸白煙処

理を行う。ふっ化水素酸でタンタルをふっ化物とした後,ビクトリアブル−B を加える。呈色錯体をベン

ゼンに抽出し,その吸光度を測定する。

4.2

試薬  試薬は,次による。

(1)

ふっ化水素酸

(2)

ふっ化水素酸 (38+62)

(3)

硫酸 (1+1)

(4)

りん酸 (1+1)

(5)

混酸(塩酸 3,硝酸 1)

(6)

鉄  できるだけ純度の高い鉄で,タンタル及びほう素を含有しないか,又はタンタル含有率ができる

だけ低く既知であり,ほう素含有率が 40ppm 以下のもの。

(7)

洗浄溶液  硫酸 (1+1) 90ml,りん酸 (1+1) 40ml,ふっ化水素酸 (38+62) 40ml 及びビクトリアブル

−B 溶液 [(9)] 150ml を加えてよく混ぜる。常温まで冷却した後,水で液量を 500ml とする。この溶液

はポリエチレン試薬瓶中で保存する。

(8)

アスコルビン酸溶液 (20g/l)  使用の都度調製する。

(9)

ビクトリアブル−B 溶液  ビクトリアブル−B1.2g を約 500ml の水に溶解した後で,水で液量を 1

000ml

とする。乾いたろ紙(5 種 A)でろ過した後使用する。

(10)

メタノール

(11)

ベンゼン

(12)

標準タンタル溶液 A (10

µgTa/ml)  タンタル[99.9% (m/m) 以上]0.100 0g をはかり取り,白金皿に移

し入れる。ふっ化水素酸 10ml を加えた後,硝酸を滴加して分解する。常温まで冷却後,1 000ml の全


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量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (100

µgTa/ml)  とする。この原液を使用

の都度,必要量だけふっ化水素酸 (1+100)  で正確に 10 倍に薄めて標準タンタル溶液 A とする。原液

及び標準タンタル溶液 A はポリエチレン試薬瓶中で保存する。

(13)

標準タンタル溶液 B (4

µgTa/ml)  標準タンタル溶液 A [(12)]  の原液を必要量だけ,ふっ化水素酸 (1+

100)

で正確に 25 倍に薄めて標準タンタル溶液 B とする。この溶液は使用の都度調製し,ポリエチレ

ン試薬瓶中に移し入れる。

4.3

試料はかり取り量  試料はかり取り量は,表 による(

1

)

(

1

)

はかり取った試料中のバナジウムは12.5mg,タングステンは25mg を超えてはならない。

表 1  試料はかり取り量

タンタル含有率

% (m/m)

試料はかり取り量

g

0.000 5

以上 0.008

未満

0.50

0.008

以上 0.04

未満

0.25

0.04

    以上 0.10

未満

0.10

4.4

操作

4.4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う(

2

)

(1)

試料をはかり取って石英ビーカー (200ml) に移し入れる。

(2)

石英時計皿で覆い,混酸 15ml を加え,静かに加熱して分解する。次に硫酸 (1+1) 9ml,りん酸 (1+

1) 4m1

及びふっ化水素酸 3ml を加え,引き続き加熱して硫酸の白煙を約 3 分間発生させる。放冷後,

少量の水で塩類を溶解する。

(3)

メタノール 40ml を加えよくかくはんし,静かに加熱してメタノールを揮散させた後,再び硫酸の白

煙を約 3 分間発生させる。放冷後,少量の水で塩類を溶解する。

(

2

)

はかり取った試料中に含まれるほう素量が20

µg 未満の場合には,(3)の操作は行わない。

4.4.2

呈色及び抽出  呈色及び抽出は,次の手順によって行う。

(1)  4.4.1

(2)又は(3)で得た試料溶液を常温まで放冷した後,ふっ化水素酸 (38+62)  をポリエチレン全量

ピペットを用いて正確に 4ml を添加する。この溶液を少量の水を用いてポリエチレン分液漏斗

(100ml)

に移し入れ,アスコルビン酸溶液  [4.2(8)] 3ml を加えた後,水で液量を 35ml とする。

(2)

ビクトリアブル−B 溶液  [4.2(9)] 15ml を加えてよく混ぜる。ベンゼンを

表 に従って正碓に加えて 30

秒間激しく振り混ぜて静置し,二層に分離した後,下層を捨てる。洗浄溶液  [4.2(7)] 25ml を加えて 30

秒間激しく振り混ぜて静置し,二層に分離した後,下層を捨てる。この洗浄操作をもう一度繰り返す。

表 2  ベンゼン添加量

タンタル含有率

% (m/m)

ベンゼン添加量

ml

0.000 5

以上 0.008

未満

20

0.008

以上 0.04

未満

50

0.04

以上 0.10

未満

50

4.4.3

吸光度の測定  4.4.2(2)で得た有機相の一部を乾いたふた付ポリエチレンビーカーに移し入れ,5 分

間放置した後,上層部を傾斜法で光度計のセル(10mm,石英製)に取り,最初の溶液についてはセル内

に 5 分間放置後捨て,再び上層部を傾斜法でセルに取り,ベンゼンを対照液として,波長 630nm 付近の吸

光度を測定する。

参考  有機相を乾いたポリエチレンビーカーに移し入れ,しばらく放置した後,上層部を傾斜法でセ


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G 1236-1992

ルに取れば,水分の混入が防げる。有機相を乾いたろ紙でろ過すると,ばらつきの原因となる

のでろ過は行ってはならない。

また,セル内部と有機相の接触(洗浄)が不十分であると吸光度の退色が著しく,大きな誤

差を生じる場合がある。

4.5

空試験  試料の代わりに鉄  [4.2(6)]  を,はかり取った試料と同量はかり取り,石英ビーカー (200ml)

に移し入れる。以下,4.4.1(2)4.4.3 の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。

4.6

検量線の作成  表 のタンタル含有率範囲ごとに,7 個の石英ビーカー (200ml) を準備し,それぞ

れに

表 の試料はかり取り量と同量の鉄  [4.2(6)]  をはかり取って移し入れる。次に,表 の標準タンタル

溶液添加量に従って標準タンタル溶液を正確に加える。以下,4.4.1(2)4.4.3 の手順に従って試料と並行し

て操作し,得た吸光度とタンタル量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検

量線とする。

表 3  標準タンタル溶液添加量

タンタル含有率

% (m/m)

使用する標準 
タンタル溶液

標準タンタル溶液添加量

ml

0.000 5

以上 0.008

未満

B [4.2(13)] 0

,1,2,4,6,8,10

0.008

以上 0.04

未満

A [4.2(12)] 0

,1,2,4,6,8,10

0.04

以上 0.10

未満

A [4.2(12)] 0

,1,2,4,6,8,10

4.7

計算  4.4.3 及び 4.5 で得た吸光度と,4.6 で作成した検量線とからタンタル量を求め,試料中のタン

タル含有率を,次の式によって算出する。

タンタル% (m/m)=

A

A

m

1

2

×100

ここに,

A

1

試料溶液中のタンタル検出量 (g)

A

2

空試験液中のタンタル検出量(

3

) (g)

m

試料はかり取り量 (g)

(

3

)

空試験に使用した鉄中にタンタルが含まれる場合は,はかり取った鉄中のタンタル量を差し引

く。

4.8

許容差  許容差は,表 による。

表 4  許容差

単位  % (m/m)

室内許容差

室間許容差

D

2

[0.009 2×(Ta 含有率)+0.000 12]D

2

[0.016 3×(Ta 含有率)+0.000 40]

参考  この許容差はタンタル含有率 0.001% (m/m) 以上 0.11% (m/m) 未満の試料を用いて求めたも

のである。


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原案作成委員会  構成表

氏名

所属

鉄鋼分析部会(部会長)

佐  伯  正  夫

新日本製鐵株式会社

化学分析分科会(主査)

岩  田  英  夫

日本鋼管株式会社

(直属幹事)

吉  川  裕  泰

日本鋼管株式会社

大河内  春  乃

科学技術庁金属材料技術研究所

広  川  吉之助

東北大学金属材料研究所

和  田  俊  雄

愛知製鋼株式会社

中  井      浩

川鉄テクノリサーチ株式会社

合  田  明  弘

川鉄テクノリサーチ株式会社

小  石  想  一

川鉄テクノリサーチ株式会社

浅  野  栄  一

川鉄テクノリサーチ株式会社

沼  田      武

株式会社神戸製鋼所

粕  谷      治

株式会社神戸製鋼所

三  浦  信  一

株式会社神戸製鋼所

汐  田  健一郎

株式会社神戸製鋼所

高  瀬  信  男

山陽特殊製鋼株式会社

竹  田  秀  俊

新日本製鐵株式会社

野  口  義  哉

新日本製鐵株式会社

浪  花  敏  夫

新日本製鐵株式会社

江  塚      宏

新日本製鐵株式会社

大  水      勝

新日本製鐵株式会社

植  村      健

新日本製鐵株式会社

黒  田  幸  清

新日本製鐵株式会社

土  屋  武  久

新日本製鐵株式会社

喜  多  孝  夫

新日本製鐵株式会社

近  藤  博  幸

新日本製鐵株式会社

中  村  泰  三

新日本製鐵株式会社

安  楽      勇

新日本製鐵株式会社

桐  本  武  志

住友金属工業株式会社

平  松  茂  人

住友金属工業株式会社

鳥  野      勇

住友金属工業株式会社

中  里  福  和

住友金属工業株式会社

浜  松  茂  喜

住友金属工業株式会社

老  田  昭  夫

住金テクノリサーチ株式会社

塚  田  鋼  二

日本鋼管株式会社

小  倉  正  之

日本鋼管株式会社

小  沢  幸  男

株式会社日本製鋼所

松  田  地  生

日本冶金工業株式会社

宮  原  和  男

日立金属株式会社

高  崎  惣  一

三菱製鋼株式会社

大  濱  煕  久

日新製鋼株式会社

原  田  幹  雄

株式会社中山製鋼所

栗  山  孝  司

合同製鐵株式会社

石  黒  雄  彦

日本金属工業株式会社

(幹事委員)

稲  本      勇

新日本製鐵株式会社

蔵  保  浩  文

住友金属工業株式会社

岡  野  輝  雄

川崎製鉄株式会社

河  村  恒  夫

株式会社コベルコ科研

成  田  正  尚

大同特殊鋼株式会社

大  坪  孝  至

社団法人日本鉄鋼連盟


5

G 1236-1992

大  槻      孝

社団法人日本鉄鋼協会

増  喜  浩  二

社団法人日本鉄鋼協会

タンタル分析 WG(リーダー)

茂  木  文  吉

大同特殊鋼株式会社

山  本  佳  博

新日本製鐵株式会社

猪  熊  康  夫

住友金属工業株式会社

太  田  法  明

株式会社コベルコ科研

鉄鋼部会  鉄及び鋼の分析方法専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

大河内  春  乃

科学技術庁金属材料技術研究所

中  島  一  郎

通商産業省基礎産業局

服  部  幹  雄

工業技術院標準部

大  槻      孝

社団法人日本鉄鋼協会 ISO 事務局

河  村  恒  夫

株式会社コベルコ科研

永  山      宏

日立マテリアルエンジニアリング株式会社

松  村  泰  治

川崎製鉄株式会社技術研究本部分析物性研究センター

宮  原  和  男

日立金属株式会社安来工場

吉  原  聖  博

日本冶金工業株式会社川崎製造所

佐  伯  正  夫

新日本製鐵株式会社技術開発本部先端技術研究所

藤  貫      正

社団法人日本分析化学会

束  原      巌

古河電気工業株式会社研究開発本部横浜研究所

小  沢  幸  男

日鋼検査サービス株式会社

成  田  正  尚

大同特殊鋼株式会社研究開発本部特殊鋼研究所

橋  本      勝

株式会社日産アーク

日野谷  重  晴

住友金属工業株式会社研究開発本部鉄鋼技術研究所

森  本      求

愛知製鋼株式会社知多工場

岩  田  英  夫

日本鋼管株式会社技術開発本部中央研究所

大  濱  煕  久

日新製鋼株式会社呉製鉄所

(関係者)

稲  本      勇

新日本製鐵株式会社技術開発本部先端技術研究所

吉  川  裕  泰

日本鋼管株式会社京浜製鉄所

(事務局)

大  磯  義  和

工業技術院標準部材料規格課

早  野  幸  雄

工業技術院標準部材料規格課

小  田  宏  行

工業技術院標準部材料規格課